JP6413826B2 - トナー - Google Patents
トナー Download PDFInfo
- Publication number
- JP6413826B2 JP6413826B2 JP2015030662A JP2015030662A JP6413826B2 JP 6413826 B2 JP6413826 B2 JP 6413826B2 JP 2015030662 A JP2015030662 A JP 2015030662A JP 2015030662 A JP2015030662 A JP 2015030662A JP 6413826 B2 JP6413826 B2 JP 6413826B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- toner
- acrylate
- parts
- charge control
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
a+5.0≦b 式I
17.0≦b≦24.0 式II
特許文献1の発明においては、上記式Iを満たすように材料を選択することにより、硫黄原子含有重合体がトナー粒子表層近傍に優先的に偏在しやすくなり、多数枚のプリントアウトを行っても現像スジ、ボタ落ち、かぶり等の発生を防止し、更には画像濃度を安定にすることを目的としている。また、当該発明においては、上記式IIを満たすように材料を選択することにより、低湿環境から高湿環境においてトナー粒子表面における安定した水分量を保持することを目的としている。
本発明の課題は、上記問題を解決し、耐熱保存性と低温定着性のバランスに優れ、定常使用時及び高温放置後の耐久性に優れ、高温高湿環境下でのカブリの発生が少ないトナーを提供することである。
19.0≦α≦21.6 式(1)
13.0≦β≦22.0 式(2)
−1.0≦α−β≦7.0 式(3)
19.0≦α≦21.6 式(1)
13.0≦β≦22.0 式(2)
−1.0≦α−β≦7.0 式(3)
本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤、離型剤、定着助剤及び帯電制御樹脂を含有する。
以下、着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子と外添剤の混合方法、及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、離型剤、定着助剤、及び帯電制御樹脂、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いる。
スチレン系単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、及びエチルスチレンを使用する。これらの単量体は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、スチレン、ビニルトルエン、及びメチルスチレンのうち少なくともいずれか1つを使用することが好ましく、スチレンを使用することがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルを使用する。これらの単量体は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルのうち少なくともいずれか1つを使用することが好ましく、アクリル酸n−ブチルを使用することがより好ましい。
得られるトナーの耐熱保存性および低温定着性をバランスよく良好に保つ観点から、前記結着樹脂を構成する共重合体中、上記スチレン系単量体単位の含有割合としては、好ましくは70〜78質量%、より好ましくは70〜77質量%、さらに好ましくは71〜77質量%であり、上記(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位の含有割合としては、好ましくは22〜30質量%、より好ましくは22〜29質量%、さらに好ましくは23〜29質量%である。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
19.0≦α≦21.6 式(1)
しかし、界面張力αが19.0mN/m未満の場合には、定着助剤の結着樹脂に対する親水性が高すぎるため、後述するような懸濁重合等により形成される液滴が不安定になる結果、トナー粒径が予測よりも大きくなるというデメリットがある。
また、界面張力αが21.6mN/mを超える場合には、トナー表面に存在する定着助剤が減るため、トナーが耐熱保存性に劣り、高温で放置した後に印字品質が著しく低下する。
界面張力αは、19.5〜21.5mN/mとすることが好ましい。
定着助剤の添加の目的の1つには、耐熱保存性を改善する狙いがある。しかし、定着助剤のガラス転移温度が60℃未満である場合には、ガラス転移温度が低すぎるため、耐熱保存性に乏しい。一方、定着助剤のガラス転移温度が80℃を超える場合には、低温定着性が悪化する。
定着助剤のガラス転移温度Tgは、例えば、ASTM D3418−82に準拠して求めることができる。具体的には、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製:SSC5200)等を用いて定着助剤試料を昇温速度10℃/分で昇温し、その過程で得られたDSC曲線の最大級熱ピークを示す温度をガラス転移温度とすることができる。
なお、定着助剤の酸価は、日本工業標準調査会(JICS)制定の規準油脂分析手法である、JIS K 0070に準拠して測定される値である。
定着助剤の重量平均分子量(Mw)が6,000未満である場合には、重量平均分子量が小さすぎるため、耐熱保存性、耐久性が悪化するおそれがある。一方、定着助剤の重量平均分子量(Mw)が50,000を超える場合には、重量平均分子量が大きすぎるため、低温定着性が悪化するおそれがある。
溶離液:THF
流量:0.5〜3.0mL/min
温度:25〜50℃
定着助剤の当該添加量が1質量部未満である場合には、定着助剤の添加量が少なすぎるため、上述した本発明の効果、すなわち、耐熱保存性及び低温定着性のバランスに優れ、且つ、幅広い温度及び湿度環境下において優れた印字耐久性を発揮できる効果を十分享受できない。また、定着助剤の当該添加量が4質量部を超える場合には、低温定着性が低下する。
定着助剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1.5〜3.5質量部であることが好ましく、2.0〜3.0質量部であることがより好ましい。
上記4種類の単量体単位の比は、共重合体合成時のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸の添加量の質量比により調節することができる。当該添加量の質量比としては、例えば、(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル):(アクリル酸及び/又はメタクリル酸)=(99〜99.95):(0.05〜1)であってもよく、(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル):(アクリル酸及び/又はメタクリル酸)=(99.4〜99.9):(0.1〜0.6)であることが好ましく、(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル):(アクリル酸及び/又はメタクリル酸)=(99.5〜99.7):(0.3〜0.5)であることが更に好ましい。なお、これら重合性単量体の内、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、前記結着樹脂を構成するモノビニル単量体に例示されているスチレン誘導体、ニトリル化合物及びアミド化合物等のその他の単量体で置換されても良い。その割合は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの総添加量の10質量%以下、好ましくは2質量%以下であり、置換されないことが好ましい。
まず、反応容器内に溶媒を適宜加え、反応容器内を不活性雰囲気に置換した後、昇温し、原料モノマーであるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル、並びに、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を反応容器に加える。このとき、重合開始剤を共に加えることが好ましい。また、原料モノマー及び重合開始剤の混合物を、反応容器内に徐々に滴下することが好ましい。
次に、重合反応が進行する温度まで昇温し、重合を開始する。重合終了後、適宜溶媒を留去することにより、所望の共重合体が得られる。
13.0≦β≦22.0 式(2)
しかし、界面張力βが13.0mN/m未満の場合、吸湿性が高くなってしまい、特に高温高湿(H/H)環境でのトナーの印字品質が悪化する。
また、界面張力βが22.0mN/mを超える場合、トナー表面に存在する帯電制御樹脂が減るため、トナーの帯電調整機能が十分発揮されず、その結果トナーの印字品質が悪化してしまう。
界面張力βは、14.0〜21.0mN/mとすることが好ましい。
帯電制御樹脂溶液の水に対する界面張力の測定方法は、上述した定着助剤溶液の水に対する界面張力の測定方法と同様である。
帯電制御樹脂のガラス転移温度が55℃未満である場合には、高温で保管後のトナーの印字品質が悪化してしまう。一方、帯電制御樹脂のガラス転移温度が90℃を超える場合には、トナーの定着性が悪化してしまう。
帯電制御樹脂のガラス転移温度の算出方法は、上述した定着助剤のガラス転移温度の算出方法と同様である。
帯電制御樹脂の重量平均分子量が大きすぎると、水系分散媒体中での単量体組成物の液滴の粒径分布がブロードとなる。また、重量平均分子量が大きすぎると、トナーの帯電量分布が広くなり、高温高湿下でカブリが発生しやすくなる。帯電制御樹脂の重量平均分子量が小さすぎると、トナーの流動性が不十分となり、保存性も低下する。
帯電制御樹脂の重量平均分子量(Mw)の算出方法は、上述した定着助剤の重量平均分子量(Mw)の算出方法と同様である。
本発明における帯電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.2〜15質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
正帯電制御樹脂は、通常、正帯電性をもたらす官能基を有するビニル系単量体と、これと共重合可能な他のビニル系単量体との共重合体であることが好ましいが、官能基を有さないビニル系単量体を重合した後、変性処理により当該官能基を導入した重合体であってもよい。結着樹脂との相溶性の観点からは、正帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位とビニル芳香族炭化水素単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とを含有する共重合体が特に好ましい。正帯電制御樹脂がトナー中の結着樹脂(重合性単量体の重合体)に相溶するものであると、トナーの帯電性がより均一になる。正帯電制御樹脂は、重合性単量体組成物中への分散性の観点から、スチレン系単量体に溶解するものであることが好ましい。
(ii)N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート単量体を第4級アンモニウム塩化した単量体、ビニル芳香族単量体、及び(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させた後、有機酸又はその誘導体と反応させて塩にする方法。
(iii)ビニル芳香族単量体、(メタ)アクリレート単量体、及び第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させる方法。
(iv)ビニル芳香族炭化水素単量体とハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート単量体との共重合体と、ビニル芳香族炭化水素単量体とアミノ基含有(メタ)アクリレート単量体との共重合体とを混合し、ポリマー間で第4級化する方法。
負帯電制御樹脂としては、重合性単量体組成物の液滴の分散安定性、トナーの帯電制御性や画質等の点から、スルホン酸基を有する重合体が好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート単量体由来の構造単位と他の重合性単量体由来の構造単位とを有する共重合体がより好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体由来の構造単位とビニル芳香族炭化水素単量体由来の構造単位と(メタ)アクリレート単量体由来の構造単位とからなる共重合体が特に好ましい。このような共重合体は、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体、ビニル芳香族炭化水素単量体、及び(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤を用いて、乳化重合、分散重合、懸濁重合、又は溶液重合する等の方法により得ることができる。これらの中でも、目的とする重量平均分子量を有する共重合体を得やすい点で溶液重合法が好ましい、重合方法としては、正帯電制御樹脂におけるのと同様の方法が採用できる。
従来の帯電制御樹脂を乾燥処理する条件としては、例えば、乾燥温度35〜80℃、圧力0.5〜20kpaの条件下で、10分間〜24時間乾燥させる条件が挙げられる。
−1.0≦α−β≦7.0 式(3)
(α−β)が−1.0mN/m未満の場合、定着助剤よりも帯電制御樹脂がトナー内部に存在し易く、帯電制御機能を十分に発揮することが出来ないため、特に高温高湿(H/H)環境下でのトナーの印字品質が悪化してしまう。更に、トナー表面に存在する定着助剤が増えることで、低温定着性が悪化してしまう。
一方、(α−β)が7.0mN/mを超える場合、定着助剤と帯電制御樹脂の親和性が小さくなるため、定着助剤がトナー表面に存在し難く、連続印字耐久性、耐熱保存性、高温で放置した後の印字品質が悪化する。
(α−β)は、−0.5〜6.5であることが好ましく、−0.3〜5.5であることがより好ましい。
離型剤は、エステルワックスを含有することが好ましい。このワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等の多官能エステルワックス、パルミチン酸エイコシル、ステアリン酸ステアリル、エイコサン酸ヘキサデシル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸エイコシル、エイコサン酸ステアリル、ベヘン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ベヘニル、エイコサン酸エイコシル、ベヘン酸ステアリル、及びリグノセリン酸ヘキサデシル等のモノエステルワックスが挙げられ、中でもモノエステルワックスが好ましく、また、モノエステルワックスの中でも、ステアリン酸ベヘニル、エイコサン酸エイコシル、ベヘン酸ステアリル、及びリグノセリン酸ヘキサデシルがより好ましく、ステアリン酸ベヘニルが更に好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体、着色剤、離型剤、定着助剤及び帯電制御樹脂を含む重合性単量体組成物を、好ましくは分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行うことが好ましい。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、離型剤、定着助剤、及び帯電制御樹脂、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
上述した着色樹脂粒子はそのままトナーとして使用することもできるが、外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を均一かつ好適に付着添加(外添)させた状態で、トナーとして使用することが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分トナーとしてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[製造例1]
反応容器内にトルエン200部を投入し、トルエンを攪拌しながら反応容器内を十分に窒素で置換した後、90℃に昇温させ、その後メタクリル酸メチル97部、アクリル酸n−ブチル2.6部、アクリル酸0.4部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)3部の混合溶液を、2時間かけて反応容器中へ滴下した。更に、トルエン還流下で10時間保持することにより、重合を完了させ、その後、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた共重合体を共重合体1とする。得られた共重合体1の特性を表1に示す。
製造例1において、使用するモノマー類の組成比及び開始剤の量を表1に示す通りに変更したこと以外は、製造例1と同様の工程により、共重合体2〜9を製造した。得られた共重合体2〜9の特性を表1に示す。
[製造例10]
スチレン88部、アクリル酸n−ブチル10部、及びN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メタクリロイルエチル)アンモニウム p−トルエンスルホン酸2部を、トルエン500部、メタノール400部の混合溶媒に投入し、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下で80℃にて8時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、第4級アンモニウム塩基含有共重合体(以下、帯電制御樹脂1という)を得た。得られた帯電制御樹脂1は、重量平均分子量が12,200であり、ガラス転移温度が75.4℃であった。
製造例10において、使用するモノマー類を表2に示す組成に変更したこと以外は、製造例10と同様の工程により、帯電制御樹脂2〜8を製造した。得られた帯電制御樹脂2〜8の特性を表2に示す。
共重合体1〜9及び帯電制御樹脂1〜8について、界面張力、ガラス転移温度、及び重量平均分子量(Mw)を測定した。また、共重合体1〜9の酸価も測定した。
スチレン72部及びアクリ酸n−ブチル28部に、共重合体1部又は帯電制御樹脂1部を溶解し、得られた溶液について、水に対する界面張力を測定した。
具体的には、温度25℃の環境下にて、自動接触角計(協和界面科学社製、商品名:DM−501)を用いて、レンズ部の視野としてWIDE2にて測定した。針は鉛直方向下向きのものを用い、針の内径をサンプルにより適宜変更し、針の先端部分を測定する溶液に入れた。次に、針をシリンジ部に接続した。シリンジ部にはイオン交換水を脱気した状態で入れた。シリンジよりイオン交換水を針から押し出すことにより、溶液内で針先端部に液滴を作製した。そして、界面張力はこの液滴の形状から多機能統合解析ソフトウェアFAMASを用いて算出した。なお、計算に必要な水と溶液の密度差は0.10g/cm3として行った。最終的な界面張力の測定結果は10回の測定値の平均値とした。得られた界面張力の結果は表1及び表2の通りである。
ASTM D3418−82に準拠して、共重合体及び帯電制御樹脂の最大吸熱ピークを示す温度(最大吸熱ピーク温度)を測定した。より具体的には、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名:SSC5200)を用いて、試料を昇温速度10℃/分で昇温し、その過程で得られたDSC曲線の最大吸熱ピークを示す温度を測定し、当該温度をその共重合体のガラス転移温度(Tg)とした。得られたガラス転移温度(Tg)の結果は表1及び表2の通りである。
精秤した試料0.1gをそれぞれ100mLガラス製サンプル瓶に入れた後、THF49.9gをそれぞれ加えた。次に、スターラーチップを入れ、マグネティックスターラーを用いて室温で1時間攪拌後、0.2μmPTFE製フィルターで濾過して、共重合体のTHF溶液を得た。最後に、THF溶液のそれぞれ100μLをGPC測定装置に注入してGPC測定した。重量平均分子量(Mw)は、得られたGPCの溶出曲線を基に市販の単分散標準ポリスチレンによる検量線から換算した。得られた重量平均分子量(Mw)の結果は表1及び表2の通りである。
(GPC測定条件)
GPC:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSK−GEL MULTIPORE HXL−M 2本直結(東ソー社製)
溶離液:THF
流量:1.0mL/min
温度:40℃
共重合体の酸価は、日本工業標準調査会(JICS)制定の規準油脂分析手法である、JIS K 0070に準拠して測定した。得られた酸価は表1の通りである。
下記表2は、帯電制御樹脂1〜8の組成及び特性をまとめた表である。下記表1中、「ST(部)」、「BA(部)」、及び「官能基モノマー(部)」とは、それぞれ、スチレン、アクリル酸n−ブチル、及びN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メタクリロイルエチル)アンモニウム p−トルエンスルホン酸(官能基モノマー)の添加量を示す。
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン70部及びアクリル酸n−ブチル30部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.7部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部、及び定着助剤として上記製造例1で得られた共重合体1を2部、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行った後、帯電制御剤として上記製造例10で得られた帯電制御樹脂1を1部、及び離型剤としてステアリン酸ベヘニル(分子式:C17H35CO2C22H45、融点:70℃、酸価:0.1mgKOH/g、水酸基価:0.37mgKOH/g)20部をさらに混合して、重合性単量体組成物を得た。
実施例1において、共重合体及び/又は帯電制御樹脂について、種類及び/又は添加量を表3及び表4に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜9のトナーを製造した。
実施例2のトナーの製造において、モノビニル単量体として、スチレン70部及びアクリル酸n−ブチル30部の代わりに、スチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例12のトナーを製造した。実施例12においては、実施例2と同じ共重合体(定着助剤)及び帯電制御剤を使用した。
上記実施例1〜12及び比較例1〜9のトナー、並びにトナーに使用した着色樹脂粒子について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。評価結果を表3〜表5に示す。
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dp、及び粒径分布Dv/Dpを粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、着色樹脂粒子サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、着色樹脂粒子を湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定機による測定を行った。
トナー10gを100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最高温度を、耐熱温度とした。
上記実施例1〜12及び比較例1〜9のトナーについて、印字特性を調べた。詳細は以下の通りである。評価結果を表3〜表5に示す。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(解像度600dpi、印刷速度28枚/分)の定着ロールの温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させ、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定した。
定着率は、改造プリンターで試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分(黒ベタ領域)に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、分光光度計(X−Rite社製、商品名:スペクトロアイ)を用いて測定した。この定着試験において、定着率が80%以上になる最低定着ロール温度をトナーの最低定着温度とした。
上記「(1)トナーの定着温度測定」と同様のプリンターに、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度23℃、湿度50%RHの常温常湿(N/N)環境下で24時間放置した後、同環境にて、5%印字濃度で20,000枚まで連続印字を行った。500枚毎にベタ印字(印字濃度100%)をして分光光度計(X−Rite社製、商品名:スペクトロアイ)でそのベタ印字部の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させ、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
上記「(1)トナーの定着温度測定」と同様のプリンターに、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度50℃の環境下で120時間放置した後、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿(N/N)環境下にて、上記「(2)常温常湿(N/N)環境下での印字耐久性試験」と同様の試験を実施した。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターと、評価対象のトナーを温度35℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E0)とした。次に、トナーを用いて上記「(1)トナーの定着温度測定」と同様のプリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E1〜E6)を測定した。色相(E1〜E6)と、基準値(E0)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とした。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、色相は、上記分光光度計を用いて測定した。
以下、表3〜表5を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
表4より、比較例1のトナーに使用された共重合体3に係る界面張力αは21.8mN/m、ガラス転移温度は75.7℃である。また、比較例1のトナーに使用された帯電制御樹脂1に係る界面張力βは19.8mN/m、ガラス転移温度は75.4℃である。
表4より、比較例1のトナーは、最低定着温度が120℃であり、H/Hカブリの値が0.4であるため、少なくとも低温定着性及びカブリの問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーの耐熱温度は56℃と低く、N/N耐久性の評価枚数は15,000枚と少なく、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は10,000枚とさらに少ない。これは、界面張力αが大きすぎることにより、トナー粒子表面から定着助剤が減る結果、耐熱保存性に劣り、かつ高温放置後に印字品質が著しく低下するためと考えられる。
表4より、比較例2のトナーの体積平均粒径Dvは9.1μmと、目標としていた8.0μmよりも1μm以上ずれが生じている。また、比較例2のトナーの粒径分布Dv/Dpは1.32と広い。これは、界面張力αが小さすぎる、すなわち、スチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部である重合性単量体組成物の極性に対し、共重合体5の親水性が高すぎるため、懸濁重合時に作製した液滴が不安定になり、トナー粒径が大きくなった結果、目的とする粒径のトナーが得られにくくなったためと考えられる。
表4より、比較例3のトナーは、耐熱温度が59℃であり、最低定着温度が125℃であるため、少なくとも耐熱保存性及び低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例3のトナーのN/N耐久性の評価枚数は16,000枚と少なく、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は14,000枚と少なく、H/Hカブリの値は2.5と高い。これは、界面張力βが小さすぎることにより、吸湿性が高くなる結果、特にH/H環境でのトナーの印字品質が悪化するためと考えられる。
表4より、比較例4のトナーは、耐熱温度が59℃であり、最低定着温度が130℃であるため、少なくとも耐熱保存性及び低温定着性に問題は見られない。
しかし、比較例4のトナーのN/N耐久性の評価枚数は15,000枚と少なく、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は14,000枚と少なく、H/Hカブリの値は3.2と高い。これは、比較例3同様に、界面張力βが小さすぎることによるものである。また、界面張力の差(α−β)も小さすぎることにより、定着助剤よりも帯電制御樹脂がトナー内部に存在し易く、帯電制御機能を十分に発揮することが出来ない結果、特にH/H環境での印字品質が悪化してしまうことによるものと考えられる。
表4より、比較例5のトナーは、耐熱温度が61℃であるため、少なくとも耐熱保存性に問題は見られない。
しかし、比較例5のトナーの最低定着温度は135℃と高く、N/N耐久性の評価枚数は16,000枚と少なく、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は15,000枚と少なく、H/Hカブリの値は2.3と高い。これは、比較例4同様に、界面張力の差(α−β)が小さすぎることによるものである。
表4より、比較例6のトナーは、最低定着温度が115℃であり、H/Hカブリの値が0.6であるため、少なくとも低温定着性及びカブリの問題は見られない。
しかし、比較例6のトナーの耐熱温度は56℃と低く、N/N耐久性の評価枚数は11,000枚と少なく、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は10,000枚とさらに少ない。これは、界面張力の差(α−β)が大きすぎることにより、定着助剤と帯電制御樹脂の親和性が低くなる結果、定着助剤がトナー表面に存在し難くなり、連続印字耐久性、耐熱保存性、及び高温で放置した後の印字品質が悪化するためと考えられる。
表4より、比較例7のトナーは、最低定着温度が115℃であり、N/N耐久性の評価枚数が18,000枚であり、H/Hカブリの値が0.5であるため、少なくとも低温定着性、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久性及びカブリの問題は見られない。
しかし、比較例7のトナーの耐熱温度は53℃と低く、高温放置後N/N耐久性の評価枚数は10,000枚と少ない。これは、共重合体8のガラス転移温度が低すぎることにより、主に耐熱保存性に劣るためと考えられる。
表4より、比較例8のトナーは、耐熱温度が61℃であり、N/N耐久性及び高温放置後N/N耐久性の評価枚数がいずれも20,000枚を超え、H/Hカブリの値が0.6であるため、少なくとも耐熱保存性、印字耐久性及びカブリの問題は見られない。
しかし、比較例8のトナーの最低定着温度は145℃と高い。これは、共重合体9のガラス転移温度が高すぎることにより、低温定着性に劣るためと考えられる。
表4より、比較例9のトナーは、耐熱温度が57℃であり、最低定着温度が120℃であり、N/N耐久性の評価枚数が18,000枚であり、H/Hカブリの値が0.5であるため、少なくとも耐熱保存性、低温定着性、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久性、及びカブリの問題は見られない。
しかし、比較例9のトナーの高温放置後N/N耐久性の評価枚数は12,000枚と低い。これは、帯電制御樹脂8のガラス転移温度が低すぎることにより、高温保存後のトナーの印字品質が悪化するためと考えられる。
表3及び表5より、実施例1〜実施例12のトナーは、耐熱温度が58℃以上と高く、最低定着温度が135℃以下と低く、N/N耐久性及び高温放置後N/N耐久性の評価枚数はいずれも18,000枚以上と多く、H/Hカブリの値が1.2以下と低い。
したがって、スチレン系単量体単位を67〜78質量%及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位を22〜33質量%含む結着樹脂100質量部に対し、1〜4質量部の定着助剤及び0.1〜20質量部の帯電制御樹脂が含まれ、かつ当該定着助剤及び帯電制御樹脂が上記式(1)〜(3)をいずれも満たし、かつ定着助剤のガラス転移温度が60〜80℃であり、かつ帯電制御樹脂のガラス転移温度が55〜90℃である本発明のトナーは、耐熱保存性と低温定着性のバランスに優れ、かつ定常使用時及び高温放置後の耐久性に優れ、さらに高温高湿環境下でのカブリの発生が少ないことが分かる。
Claims (3)
- 結着樹脂、着色剤、離型剤、定着助剤及び帯電制御樹脂を少なくとも含有するトナーであって、
前記結着樹脂は、スチレン系単量体単位67〜78質量%と(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位22〜33質量%とを含む共重合体であり、
前記スチレン系単量体単位は、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、及びエチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に係る単量体単位であり、
前記(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に係る単量体単位であり、
前記定着助剤の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して1〜4質量部であり、
前記帯電制御樹脂の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であり、
スチレン72質量部及びアクリル酸n−ブチル28質量部の混合物に前記定着助剤1質量部を溶解させた溶液の水に対する界面張力をα(mN/m)とし、
スチレン72質量部及びアクリル酸n−ブチル28質量部の混合物に前記帯電制御樹脂1質量部を溶解させた溶液の水に対する界面張力をβ(mN/m)としたとき、
下記式(1)〜(3)をいずれも満たし、且つ、前記定着助剤のガラス転移温度が60〜80℃であり、前記帯電制御樹脂のガラス転移温度が55〜90℃であることを特徴とするトナー。
19.0≦α≦21.6 式(1)
13.0≦β≦22.0 式(2)
−1.0≦α−β≦7.0 式(3) - 前記帯電制御樹脂は、4級アンモニウム塩を含有する正帯電性の帯電制御樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記定着助剤は、アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくともいずれか一方と、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのうち少なくともいずれか一方との共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015030662A JP6413826B2 (ja) | 2014-02-19 | 2015-02-19 | トナー |
US15/019,403 US9904192B2 (en) | 2015-02-19 | 2016-02-09 | Toner |
US15/870,234 US10372054B2 (en) | 2015-02-19 | 2018-01-12 | Toner |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014029536 | 2014-02-19 | ||
JP2014029536 | 2014-02-19 | ||
JP2015030662A JP6413826B2 (ja) | 2014-02-19 | 2015-02-19 | トナー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015172744A JP2015172744A (ja) | 2015-10-01 |
JP6413826B2 true JP6413826B2 (ja) | 2018-10-31 |
Family
ID=54260074
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015030662A Active JP6413826B2 (ja) | 2014-02-19 | 2015-02-19 | トナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6413826B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017170278A1 (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 日本ゼオン株式会社 | 正帯電性ブラックトナー |
CN110945438B (zh) * | 2017-07-31 | 2023-09-29 | 日本瑞翁株式会社 | 静电图像显影用调色剂 |
JP2022170256A (ja) | 2021-04-28 | 2022-11-10 | キヤノン株式会社 | トナー |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002296834A (ja) * | 2001-03-29 | 2002-10-09 | Nippon Zeon Co Ltd | トナー、トナーの製造方法及び画像形成方法 |
CN101652722B (zh) * | 2007-04-09 | 2012-05-23 | 佳能株式会社 | 调色剂 |
JP5079020B2 (ja) * | 2008-01-10 | 2012-11-21 | キヤノン株式会社 | イエロートナー |
JP2010091704A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Canon Inc | トナー |
JP5455746B2 (ja) * | 2010-03-31 | 2014-03-26 | キヤノン株式会社 | トナー粒子の製造方法及びイエロートナー |
JP5578923B2 (ja) * | 2010-04-28 | 2014-08-27 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP5845570B2 (ja) * | 2010-11-30 | 2016-01-20 | 日本ゼオン株式会社 | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 |
US20150044604A1 (en) * | 2012-03-28 | 2015-02-12 | Zeon Corporation | Toner for developing electrostatic images |
JP5598640B1 (ja) * | 2013-02-28 | 2014-10-01 | 日本ゼオン株式会社 | 静電荷像現像用トナー |
-
2015
- 2015-02-19 JP JP2015030662A patent/JP6413826B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015172744A (ja) | 2015-10-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6020458B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP5598640B1 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP6250637B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
US11099494B2 (en) | Magenta toner | |
US10372054B2 (en) | Toner | |
JP5925421B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP6413826B2 (ja) | トナー | |
JP5549579B2 (ja) | シアントナー | |
JP5845570B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP5987900B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JPWO2011114985A1 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2019109538A (ja) | イエロートナーの製造方法 | |
CN110945438B (zh) | 静电图像显影用调色剂 | |
JP7308222B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー用ワックス、及びこれを含む静電荷像現像用トナー | |
JP6269653B2 (ja) | イエロートナーの製造方法 | |
JP2023125146A (ja) | トナー | |
JP2015075601A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2019179256A (ja) | 静電荷像現像用トナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171030 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180530 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180703 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180822 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180904 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180917 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6413826 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |