JP2019109538A - イエロートナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
界面張力(スチレン)>界面張力(イエロー顔料)>界面張力(樹脂b) 式I
界面張力(スチレン)>界面張力(樹脂a)>界面張力(樹脂b) 式II
0≦|界面張力(イエロー顔料)−界面張力(樹脂a)|≦10.0 式III
5.0≦界面張力(スチレン)−界面張力(樹脂b)≦17.0 式IV
特許文献1の発明においては、上記式I及びIIを満たすように材料を選択することにより、重合性単量体組成物の油滴において、樹脂bにより最外殻を形成することを目的としている。また、当該発明においては、上記式III及びIVを満たすように材料を選択することにより、重合性単量体組成物の油滴中において樹脂aがイエロー顔料の分散性を高めることを目的としている。
3.0≦(B−A)≦15.0 式V
(上記式V中、界面張力Aはイエロー顔料をスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力を示し、界面張力BはC.I.ソルベントイエロー98をスチレンに溶解させた溶解液の水に対する界面張力を示す。)
特許文献2の発明においては、上記式Vを満たすようにイエロー着色剤を選択することにより、重合性単量体組成物の油滴中でイエロー顔料と染料(C.I.ソルベントイエロー98)とが層分離を起こしたり、当該油滴中でイエロー顔料が凝集したりすることなく、当該油滴中の重合性単量体の重合反応が完了するまでイエロー顔料の分散状態を維持することを目的としている。
本発明の課題は、上記問題を解決し、顔料の分散性に優れるため画像濃度が高く、カブリの発生が少ないイエロートナーを提供することである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸アルキル」との表現は、アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルの両方を意味するものとする。
本発明のイエロートナーは、少なくとも、結着樹脂及びイエロー顔料を含有する。
以下、着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子と外添剤の混合方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、及びイエロー顔料、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いる。
スチレン系単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、及びエチルスチレンを使用する。これらの単量体は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、スチレン、ビニルトルエン、及びメチルスチレンのうち少なくともいずれか1つを使用することが好ましく、スチレンを使用することがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルを使用する。これらの単量体は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルのうち少なくともいずれか1つを使用することが好ましく、アクリル酸n−ブチルを使用することがより好ましい。
得られるトナーの耐熱保存性および低温定着性をバランスよく良好に保つ観点から、前記結着樹脂を構成する共重合体中、上記スチレン系単量体単位の含有割合としては、好ましくは70〜85質量%、より好ましくは70〜80質量%、さらに好ましくは71〜77質量%であり、上記(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位の含有割合としては、好ましくは15〜30質量%、より好ましくは20〜30質量%、さらに好ましくは23〜29質量%である。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体の総使用量100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
マクロモノマーは、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体の総使用量100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
ここで、イエロー顔料9質量部、スチレン72質量部及びアクリル酸n−ブチル28質量部からなる混合液(以下、顔料分散液と称する場合がある。)とは、特定の組成の重合性単量体組成物を模擬したものであり、かつ界面張力の測定及び評価に用いるものである。スチレン及びアクリル酸n−ブチルの水溶性は低いため、このような顔料分散液につき水に対する界面張力を測定することによって、顔料分散液における主にイエロー顔料の親水性を測定することができる。
一方、顔料分散液の水に対する界面張力の値が19mN/mよりも大きい場合には、結着樹脂に対するイエロー顔料の親水性が低すぎるため、イエロー顔料がトナー粒子内部に埋もれやすくなり、その結果画像濃度に劣る。
顔料分散液の水に対する界面張力は、7〜17mN/mであることが好ましく、10〜15mN/mであることがより好ましい。
イエロー顔料に表面処理を行う方法としては、例えばロジンを用いる方法がある。具体的にロジンを用いてイエロー顔料を表面処理する方法としては、(1)ロジンとイエロー顔料を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法、(2)顔料製造時のイエロー顔料の合成溶液中にロジンのアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はマンガン等のレーキ金属塩を添加し、ロジンを不溶化することでイエロー顔料表面に被覆処理を施す湿式処理等が挙げられる。
また、イエロー顔料の結晶構造や一次粒径によっても、界面張力を制御することが可能である。
イエロー顔料の種類に応じて、これらの表面処理の処理剤量や処理時間などを変更することで、処理度合いを調整することが出来、適切な親水性の顔料を得ることが出来る。
これらの中でも、本発明に使用されるイエロー顔料は、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155、及びC.I.ピグメントイエロー180からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
重合性単量体100質量部に対して、イエロー顔料が3質量部未満である場合には、着色力が低くなり、画像濃度が低下する。また、重合性単量体100質量部に対して、イエロー顔料が15質量部を超える場合には、低温定着性が低下したり、印字耐久性が低下したりする。
重合性単量体100質量部に対して、イエロー顔料の量は4〜12質量部であることがより好ましく、5〜9質量部であることがさらに好ましい。
離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもジペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、また、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体の総使用量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体の総使用量100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキル単量体の総使用量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体、及びイエロー顔料を含む重合性単量体組成物を、好ましくは分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行うことが好ましい。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、及びイエロー顔料、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
上述した着色樹脂粒子はそのままトナーとして使用することもできるが、外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を均一かつ好適に付着添加(外添)させた状態で、トナーとして使用することが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分トナーとしてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
市販のイエロー顔料につき疎水化処理又は親水化処理を行うことにより、親水性を調整したイエロー顔料1〜9を含有する特性組成の評価用顔料分散液について、以下の方法により界面張力を測定した。
スチレン72部、アクリル酸n−ブチル28部、及び各イエロー顔料9部を、メディア式分散機を用いて湿式粉砕し、得られた顔料分散液について、水に対する界面張力を測定した。
具体的には、まず温度25℃の環境下にて固液界面解析装置(協和界面科学(株)製、製品名:Drop Master 501)を用い、レンズ部の視野としてWIDE2にて測定した。針は鉛直方向上向きのものを用い、針の内径をサンプルにより適宜変更し、針の先端部分をイオン交換水に入れた。次に、針をシリンジ部に接続した。シリンジ部には測定する顔料分散液を脱気した状態で入れた。シリンジ部より顔料分散液を針から押し出すことによって、イオン交換水内で針先端部に液滴を作製した。そして、この液滴の形状から水との界面張力を計算した。液滴を作製する上での制御や計算方法については、測定解析システム(協和界面科学(株)製)を用いて行った。なお、計算に必要な水と顔料分散液の密度差は0.10g/cm3として行った。最終的な界面張力の測定結果は、10回の測定値の平均値とした。得られた界面張力の結果は下記表1の通りである。
[実施例1]
スチレンが75部及びアクリル酸n−ブチルが25部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)が0.3部、ジビニルベンゼンが0.6部、t−ドデシルメルカプタンが1.6部、並びにイエロー顔料1が6.0部となるように混合し、メディア式分散機を用いて湿式粉砕した。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベースFCA−207P)1部と脂肪酸エステルワックス(日油社製、商品名:WEP7)6部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
実施例1において、イエロー顔料1をイエロー顔料2〜9に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜5、及び比較例1〜4のイエロートナーを得た。
実施例1において、スチレン及びアクリル酸n−ブチルの添加量をスチレン85部及びアクリル酸n−ブチル15部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6のイエロートナーを得た。
実施例1において、スチレン及びアクリル酸n−ブチルの添加量をスチレン70部及びアクリル酸n−ブチル30部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7のイエロートナーを得た。
実施例6において、イエロー顔料1をイエロー顔料7に変更した以外は、実施例6と同様にして比較例5のイエロートナーを得た。
実施例7において、イエロー顔料1をイエロー顔料7に変更した以外は、実施例7と同様にして比較例6のイエロートナーを得た。
実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例6、並びにトナーに使用した着色樹脂粒子について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
イエロートナーの体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び粒径分布Dv/Dnは粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、トナーサンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、トナーを湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)にイエロートナーを入れ、温度23℃及び湿度50%の環境下で、複写紙上に50mm×50mmの正方形のベタ印字を行った。その際、現像バイアス電圧を変化させて、複写紙上のイエロートナーの量である、現像量M/Aを変化させた。現像量M/Aについては、未定着画像をプリンターより取り出し、複写紙上に現像されたイエロートナーをエアーにて吹き飛ばし、吹き飛ばし前後の複写紙の質量に基づき下記式より計算した。
W1=重合トナー吹き飛ばし前の複写紙の質量(mg)
W2=重合トナー吹き飛ばし後の複写紙の質量(mg)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターと、評価対象のイエロートナーを温度35℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E0)とした。次に、イエロートナーを用いて上記プリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E1〜E6)を測定した。色相(E1〜E6)と、基準値(E0)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とした。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、色相は、上記反射型濃度計を用いて測定した。
以下、表1及び表2を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
表1より、比較例1のトナーに使用されたイエロー顔料6は、顔料分散液の界面張力が20.4mN/mである。また、比較例3のトナーに使用されたイエロー顔料8は、顔料分散液の界面張力が22.4mN/mである。表2より、比較例1及び比較例3のトナーは、いずれもH/Hカブリの値が0.5であり、カブリの問題は見られない。
しかし、比較例1及び比較例3のトナーの画像濃度は、1.27又は1.21と低い。
これは、スチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部である重合性単量体組成物の極性に対し、イエロー顔料の親水性が低すぎるため、イエロー顔料がトナー粒子内部に偏在しやすくなる結果、画像濃度が低いと考えられる。
表2より、比較例2及び比較例4のトナーの粒度分布(Dv/Dn)は、1.31又は1.41と大きい。また、比較例2及び比較例4のトナーの画像濃度は、1.24又は1.17と低く、これらのトナーのH/Hカブリの値は、5.8又は5.7と高い。これは、スチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部である重合性単量体組成物の極性に対し、イエロー顔料の親水性が高すぎるため、イエロー顔料のトナー粒子表層近傍への偏在が抑制しきれず、トナーの粒度分布が広がり、トナーの体積平均粒径が目的とする粒径よりもずれ、さらに画像濃度に劣り、高温高湿環境下にてカブリが生じやすくなるためと考えられる。
表2より、実施例1〜実施例5のトナーの画像濃度は、1.31〜1.37と高く、これらのトナーのH/Hカブリの値は、0.6〜1.4と低い。
したがって、スチレン75部及びアクリル酸n−ブチル25部である重合性単量体組成物に対し、顔料分散液の水に対する界面張力が5〜19mN/mである適度な親水性のイエロー顔料を用いたトナーは、顔料の分散性に優れるため画像濃度が高く、カブリの発生が少ないトナーであることが分かる。
これは、顔料分散液の界面張力が11.2mN/mのイエロー顔料1を使用した場合には、スチレン85部及びアクリル酸n−ブチル15部、もしくは、スチレン70部及びアクリル酸n−ブチル30部と重合性単量体組成物の組成を実用上現実的な範囲内で調整し、重合性単量体組成物の極性が変化した場合でも、顔料の分散性に優れるトナーが得られることを示している。
Claims (4)
- 重合性単量体、及びイエロー顔料を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、当該水系媒体中で当該重合性単量体組成物の液滴を形成し、当該重合性単量体組成物の当該液滴に含まれる当該重合性単量体を重合することにより、結着樹脂及び当該イエロー顔料を少なくとも含有する着色樹脂粒子を合成する工程を有するイエロートナーの製造方法であって、
前記結着樹脂は、スチレン系単量体単位67〜88質量%と(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位12〜33質量%とを含む共重合体であり、
前記スチレン系単量体単位は、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、及びエチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に係る単量体単位であり、
前記(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に係る単量体単位であり、
前記イエロー顔料の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して3〜15質量部であり、
前記イエロー顔料9質量部、スチレン72質量部及びアクリル酸n−ブチル28質量部からなる混合液の水に対する界面張力が5〜19mN/mとなるように当該イエロー顔料を疎水化処理又は親水化処理する工程を有することを特徴とするイエロートナーの製造方法。 - 前記イエロー顔料が、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155、及びC.I.ピグメントイエロー180からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のイエロートナーの製造方法。
- 前記重合性単量体組成物が、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂を含む、請求項1又は2に記載のイエロートナーの製造方法。
- 前記重合性単量体組成物が、離型剤として、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイエロートナーの製造方法。
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