JPWO2013011872A1 - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

高いガスバリア性能を有するガスバリア性フィルム及び連続生産性に優れたガスバリア性フィルムの製造方法を提供することである。樹脂基材上に、少なくとも1層のガスバリア性層が積層されたガスバリア性フィルムにおいて、該ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層の硬度及び弾性回復率が、ナノインデンテーション法による測定で0.5GPa≦硬度≦5.0GPa、かつ50%≦弾性回復率≦100%である、ガスバリア性フィルム。

Description

本発明は、ガスバリア性層を有するガスバリア性フィルム及びその製造方法に関する。より詳しくは、主に電子デバイス等のパッケージ、太陽電池や有機EL素子、液晶等のプラスチック基板といったディスプレイ材料に用いられるガスバリア性フィルム及びその製造方法に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。
このようなガスバリア性フィルムを形成する方法として、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法、化学蒸着法)によりガスバリア性層を形成する技術や、ポリシラザンを主成分とする塗布液を塗布し、表面処理する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ガスバリア性フィルムの構成は、一般的に上記のようにプラスチック基板上に、無機酸化物からなるガスバリア性層を形成する。プラスチック基材と無機酸化物は機械物性、熱的物性が大きく異なるため、プラスチック基板上に直接、無機酸化物層を成膜するとピンホールの増加、無機酸化物層の膜面ヒビ割れが発生するため、プラスチック基板とガスバリア性層の間にプラスチックと無機酸化物の中間的な物性の層を挿入し、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を高める試みがなされている(例えば、特許文献4〜6)。
特許文献4では、プラスチック基材上に、UV硬化樹脂を用いて、所謂ハードコート層を設け、その上にCVD法により、SiOC層のC比率を、ガスバリア性層となるSiO 層に向けて段階的少なくしていくことが開示されている。特許文献4では、ナノインデンテーションで測定した時の弾性率が段階的に高くなる層を設置することでプラスチック基材および無機酸化物からなるガスバリア性層の物性差を緩和し、水蒸気透過率の非常に小さいガスバリア性フィルムを製造している。しかしながら、特許文献4では、SiOC層の物性を弾性率のみで規定しており、その他の物性に関しては何も述べていない。
特許文献5では、有機無機交互積層の構成で、有機層の硬度を記載しているものの、それ以外の物性についての詳細な記載はされていない。
特許文献6では、ガスバリア性フィルムのガスバリア性層を成膜する側の面において基材側から表面に向かって段階的に硬度を高くし、最表面に最も高硬度の層を設置することでガスバリア性フィルムの性能劣化を抑制する技術が開示されている。しかしながら、物性については硬度の記載しかなく、さらには最表層に最も高硬度な層が必要となり、結果的にガスバリア性層と同等か、ガスバリア性層よりも割れやすい層を設置することになる。このため折り曲げ耐性が劣化してしまう。
また、昨今では、高いガスバリア性能を持ったガスバリア性フィルムを安価に製造することが望まれている。そのために、例えば特許文献2、3のように、大気圧下でのロール・トゥ・ロール連続生産や、さらには成膜効率の高い塗布方式でガスバリア性層を成膜する検討がなされている。
しかしながら、いずれの技術も、CVDを用いた蒸着方式の成膜方法であり、成膜生産性が低く、減圧環境が必要な技術である。さらに、塗布方式で製造するガスバリア性フィルムにおいて、各層の機械的物性に関する検討は報告されておらず、水蒸気透過率(WVTR)で1×10−2g/m/dayを下回るようなガスバリア性膜は実現できていないのが現状である。
特開2008−56967号公報 特開2009−255040号公報 米国特許出願公開第2010/166977号明細書 米国特許出願公開第2010/003482号明細書 米国特許出願公開第2011/064947号明細書 特開平11−158608号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高いガスバリア性能を有するガスバリア性フィルム及び連続生産性に優れたガスバリア性フィルムの製造方法を提供することである。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一実施形態は以下である。
1.樹脂基材上に、少なくとも1層のガスバリア性層が積層されたガスバリア性フィルムにおいて、該ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層の硬度及び弾性回復率が、ナノインデンテーション法による測定で0.5GPa≦硬度≦5.0GPa、かつ50%≦弾性回復率≦100%である、ガスバリア性フィルム。
また、本発明の他の実施形態は以下である。
2.前記ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層の硬度及び弾性回復率が、ナノインデンテーション法による測定で0.7GPa≦硬度≦2.0GPa、かつ60%≦弾性回復率≦90%である、前記1に記載のガスバリア性フィルム。
3.前記ガスバリア性層が、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物を含有する、前記1または2に記載のガスバリア性フィルム。
4.前記金属酸化物、金属窒化物、または金属酸窒化物の金属が、Si、Al、Gaからなる群から選ばれる金属を少なくとも1種含む、前記3に記載のガスバリア性フィルム。
5.前記1〜4のいずれか1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層を、塗布で形成された前駆体層に変換処理を施して形成する、ガスバリア性フィルムの製造方法。
6.前記1〜4のいずれか1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記ガスバリア性層を、塗布で形成された前駆体層に変換処理を施して形成する、ガスバリア性フィルムの製造方法。
本発明により、高いガスバリア性能を有するガスバリア性フィルム及び連続生産性に優れたガスバリア性フィルムの製造方法を提供することができる。
典型的なナノインデンテーション法に従って得られる荷重−変位曲線の一例を示す図である。 ナノインデンテーション法による測定におけるダイヤモンド圧子と試料の接触状態の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
《ガスバリア性層に隣接する層》
本発明のガスバリア性フィルムは、樹脂基材(例えばポリエチレンテレフタレート)上に、少なくとも1層のガスバリア性層が積層され、該ガスバリア性層に隣接する少なくとも1層の物性が、ナノインデンテーション法による測定で、硬度が0.5GPa以上5.0GPa以下、かつ弾性回復率が50%以上100%以下である。本願発明者は、かような構成とすることで、ガスバリア性能が向上することを見出した。以下、ナノインデンテーション法による測定で0.5GPa≦硬度≦5.0GPa、かつ50%≦弾性回復率≦100%である、ガスバリア性層に隣接する層を単に隣接層と称する場合もある。水分透過率の観点からは、硬度は0.7GPa以上2.5GPa以下、かつ弾性回復率は60%以上90%以下であることが好ましく、水蒸気透過率の初期値及び水蒸気透過率の初期値を維持する点で、硬度は0.7GPa以上2.0GPa以下、かつ弾性回復率は60%以上90%以下がより好ましい。
硬度が0.5GPa未満であると、ガスバリア性能、特に水分透過率の点で十分なものではなくなる。また、硬度が5.0GPaを超えると、外力が加わった場合に、隣接層内の内部応力が大きくなり、隣接層自体にひび割れが生じやすくなる。一方、上記硬度物性を満たしても、弾性回復率が50%未満、すなわち全変形量に対する塑性変形量の比率が大きい場合には、ガスバリア性層の成膜直後、もしくはCa腐食法でガスバリア性能評価を開始して短時間の内にガスバリア層にひび割れが発生することがある。これは、水蒸気の侵入によりバリア膜に働く破壊応力により、下地若しくは中間層自身が塑性変形してしまうためと考えられる。
本発明におけるガスバリア性層に隣接する層の硬度及び弾性回復率は、ナノインデンテーション法により算出する。
ナノインデンテーション法とは、試料に対して超微小な荷重で圧子を連続的に負荷、除荷し、得られた荷重−変位曲線から硬さ(Hardness)や弾性率(Reduced
Modulus)を測定する方法である。
(ナノインデンテーション法の測定原理)
ナノインデンテーション法とは、原子間力顕微鏡(AFM)に、押し込み硬度測定用モジュール(トランスデューサーと押し込みチップにて構成)を付加することにより、ナノレベルでの押し込み硬度測定を行うことができるようになった最新の測定方法である。最大荷重20μN以下の荷重を加えながら、測定対象物である試料に対し、先端半径が0.1〜1μm程度のダイヤモンド圧子を押し込み、ナノメートルの精度で押し込み深さを測定する。この測定から荷重−変位曲線図が得られ、材料の弾塑性変形に関する特性を定量的に評価することができる。薄膜の場合、基材の影響を受けずに測定するには、膜厚の1/10〜1/3の深さまで押し込むことが必要である。このナノインデンション法では、超低荷重、例えば、最大荷重20μN、荷重分解能1nNのヘッドアセンブリを用いて、変位分解能として0.01nmの高精度で測定することができる。
図1に、典型的なナノインデンテーション法に従って得られる荷重−変位曲線の一例を示す。ここで図1中、傾きSとは、除荷曲線の勾配を指し(=dP/dh)、具体的には、単純弾性回復といえる除荷の初期に注目し最大荷重Pmaxにおける除荷曲線の勾配を使って求める。
図2は、ナノインデンテーション法による硬度及び弾性回復率測定におけるダイヤモンド圧子と試料の接触状態の一例を示す図である。図2において、1は圧子が接触していない時の試料の初期表面であり、2は圧子を介して荷重をかけている時の試料表面のプロファイルであり、3は圧子を取り除いた後の試料表面のプロファイルである。
硬度Hは、H=W/A(Wは荷重、Aは接触面積)の式より求められる。しかしながら、ナノインデンテーション法では、荷重が非常に小さいため、圧痕等から直接Aを求めることはできない。本発明では、具体的には下記方法による。
図2に示すように、hcはhc=ht−ε・W/S(εは圧子固有の定数、Sは図1に記載の傾き)の式が成り立ち、ここでεは圧子の幾何形状により決定される圧子固有の定数で、円錐及びバーコビッチ圧子、キューブコーナー圧子などの三角錐圧子ではε=0.726、球状圧子ではε=0.75、円柱圧子ではε=1を用いる。
三角錐圧子の場合,三角錐の中心軸と側面のなす角をαとすると,幾何学形状からAは次式で表される。
バーコビッチ圧子ではα=65.27°であるため,Cは24.56となり、A=24.56hcとなる。また、キューブコーナー圧子では、α=45°であり、C1は5.196となり、A=5.196hcとなる。したがって、ht、W、Sが分かれば、Hを求めることができる。
また、複合弾性率Erは、Er=S・π1/2/2/A1/2より算出できる。Erが大きければ塑性変形しやすく、小さければ弾性変形しやすいと推定される。
弾性回復率は最大変位量(ht)と、最大変位量から圧子を戻した時に荷重が0になる変位量の差(hc)の比率(%)=100×hc/htで定義する。
本発明では、硬度及び弾性回復率は、MTSシステム社製のナノインデンター(Nano Indenter TMXP/DCM)を用いて測定する。使用圧子はcube corner tip(90°)である。
試料サイズは、最大20mmφ×10mmであるが、試料台に接着剤その他で固定する。本装置の荷重範囲は〜10mNと非常に低荷重のため、膜厚数10nm〜1μm程度の薄膜の硬度、弾性率測定に適している。
隣接層の硬度および弾性回復率の測定において、製造段階で測定対象の層が最上層となっている段階で各物性を測定することとする。例えば、隣接層が基材とガスバリア層との間に存在する場合(例えば、隣接層が後述の下引き層の場合)には、隣接層を形成した後、ガスバリア性層を形成する前に物性の測定を行う。また、隣接層が後述の保護層の場合には、ガスバリア性層の上に保護層を製膜した後に物性を測定する。さらに、多層積層の場合、例えば、樹脂基材−下引き層1−ガスバリア性層−保護層2(下引き層)−ガスバリア性層といったフィルムの場合、樹脂基材−下引き層1(測定)−ガスバリア性層−保護層2(下引き層)(測定)−ガスバリア性層のように行う。
なお、隣接層が2層以上形態の場合には、積層状態での物性として規定する。
ガスバリア性層に隣接する層の硬度及び弾性回復率を、ナノインデンテーション法による測定で0.5GPa≦硬度≦5.0GPa、かつ50%≦弾性回復率≦100%にするには、ガスバリ性層に隣接する層として、無機成分比率が高く、3次元架橋構造を取ることが可能な、ポリシラザンやポリシロキサンを主骨格とする無機ポリマー(オリゴマー)材料から形成される層、無機骨格を主体とする無機有機ナノコンポジット材料を用いて得られる層が挙げられる。
無機ポリマー材料は、その骨格に炭素を含む官能基(C2n+1)を含んでもよいが、炭素数が大き過ぎると、硬度と弾性回復率のバランスを取ることが難しくなってくる。無機骨格に含まれる炭素数nは好ましくは0〜5、より好ましくは1〜3である。炭素数が5以内であれば、硬度、弾性回復率を本発明の範囲内に容易にすることできる。後述するような後硬化処理による3次元架橋反応促進が進み易いためと考えられる。
(ポリシラザン)
以下、ポリシラザンについて説明する。
ポリシラザンとは、珪素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
ポリシラザンとしては、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物が好ましい。
上記一般式(I)において、R、R及びRは、同一か又は異なり、互いに独立して、水素原子;置換または未置換のアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)、などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。好ましくはR、R及びR は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基及び3−(トリメトキシシリル)プロピル基からなる群から選択される基である。
また、上記一般式(I)において、nは整数であり、nは、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、得られるポリシラザン層の緻密性の観点からR、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質であるが、その状態は分子量により異なる。
また、他のポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物が好ましい。
上記一般式(II)において、R、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、n及びpは整数であり、nは、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。なお、nおよびpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(II)において、特に好ましいものは、R、R及びRが各々水素原子を表し、R、R及びRが各々メチル基を表す化合物、R、R及びRが各々水素原子を表し、R、Rが各々メチル基を表し、Rがビニル基を表す化合物、R、R、R及びRが各々水素原子を表し、R及びRが各々メチル基を表す化合物である。
更には、他のポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物が好ましい。
上記一般式(III)において、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。n、p及びqは各々整数であり、nは、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。なお、n、pおよびqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(III)において、特に好ましいものは、R、R及びRが各々水素原子を表し、R、R、R及びRが各々メチル基を表し、Rが(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、Rがアルキル基または水素原子を表す化合物である。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
ポリシラザン化合物の別の例としては、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いて隣接層を形成するには、特に限定されるものではないが、例えば、ポリシラザン塗布液を用いて塗布法により形成することができる。塗布液には溶剤を用いることができ、溶剤中におけるポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機系溶剤が好ましく、非プロトン性の溶剤が好適である。
ポリシラザン塗布液に適用可能な溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)エーテル類、あるいはこれらの溶剤の混合物を挙げることができる。上記溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン塗布液として使用することができる。市販品としては、例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のアクアミカ(登録商標) NN120−10、NN120−20、NAX120−10、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
ポリシラザン塗布液には、ポリシラザンとともに触媒を含有してもよい。適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン又はN−複素環式化合物が好ましい。添加する触媒の濃度としては、ポリシラザンを基準としたとき、通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%の範囲である。
ポリシラザン塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
他の添加剤の添加量は、第2のバリア層の全重量を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
ポリシラザン塗布液を塗布後、3次元架橋構造を形成させるために、適宜乾燥処理や紫外線照射処理等の変換処理を行うことが好ましい。乾燥処理を行う場合、乾燥条件としては、反応が進行するように適宜設定すればよいが、20〜40℃で1〜4日間乾燥させることが好ましい。
なお、ポリシラザンを隣接層に用いる場合には、ポリシラザン層を形成する前にアクリル樹脂、ウレタン樹脂などから構成される層を形成させたほうが基材変形による応力をより緩和できる構成が取れる点で好ましい。
(ポリシロキサン)
本発明で用いられるポリシロキサンとしては、3次元架橋構造を有するポリシロキサンが好ましい。かようなポリシロキサンは、例えば、下記(A)に示されるシロキサンオリゴマーを縮合して得た、下記(B)に示されるポリシロキサンが挙げられる。
上記(A)および(B)のそれぞれにおいて、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、メチル基、フェニル基が好ましい。なお、上記(B)において、黒点はSi原子、白丸は酸素原子である。
上記(A)に示されるシロキサンオリゴマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは10〜10である。なお、シロキサンオリゴマーの末端は、通常、Si−OHである。
シロキサンオリゴマーからポリシロキサンの隣接層を形成するには、特に限定されるものではないが、例えば、シロキサンオリゴマー塗布液を用いて塗布法により形成することができる。塗布液には溶剤を用いることができ、溶剤中におけるシロキサンオリゴマーの割合は、一般的には、シロキサンオリゴマー10〜30質量%である。
溶剤としては、水アルコール系、アルコール系、芳香族系、エステル系等、好ましくはアルコール系溶媒が挙げられる。
(A)に示されるシロキサンオリゴマーは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままシロキサンオリゴマー塗布液として使用することができる。市販品としては、例えば、JSR株式会社製のセラミックコーティング材グラスカ(HPC7003、HPC7004、HPC7516)等が挙げられる。
無機ポリマー材料の隣接層を形成するための塗布液の塗布手段は特に限定されず、例えば、キャスト法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコート法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法等の通常の方法を用いることができる。
無機ポリマー材料で3次元架橋構造を形成するには、一般的には200℃以上の加熱処理を加えることで実現可能であるが、耐熱性の低い樹脂基材上に成膜することは難しい。本発明者が鋭意検討した結果、これらの材料の塗膜を樹脂基材上に生成し、樹脂基材の耐熱温度以下の温度の熱処理により、溶媒除去と初期の硬化反応(プレ硬化処理)を行った後に、高エネルギー線、例えば波長200nm以下の真空紫外線を照射(後硬化処理)することにより、樹脂基材へのダメージを与えることなしに、膜物性を本発明の範囲内に調整することが可能である。これについては、後述の(ガスバリア性層に隣接する層の変換処理)において述べる。
(無機有機ナノコンポジット材料)
ナノコンポジット(nanocomposite)とは、有機材料を1〜100nmの大きさに粒子化したものを、無機材料に練りこんで拡散させた複合材料の総称である。無機有機ナノコンポジット材料としては、硬化して層を形成することができることが必要である。
また、無機有機ナノコンポジット材料の場合も、同様の後硬化処理により膜物性の調整が可能であるが、無機骨格のネットワークが主体となる必要がある。すなわち、有機成分の比率が高過ぎると無機骨格のネットワークが分断され、硬度が低くなったり、塑性変形が大きくなったりしてしまう。本発明において、無機有機ナノコンポジット材料を用いる場合は、分散する有機成分の比率を0.1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%にすることが好ましい。このような比率にすることで、無機骨格材料の「海」の中に、ナノレベルで分散された有機材料の「島」を持つ、海島構造の形成が可能となり、硬度と弾性回復率のバランスが取れた層の成膜が可能になる。このような無機骨格材料としては、シロキサンポリマーなどが挙げられ、有機材料としてはアクリル、ウレタンなどが挙げられる。このような無機有機ナノコンポジット材料は、市販品をそのまま使用することができる。市販品としては、例えば、日東紡社製のSSGコートシリーズ(SSGコートHB21B等)等が挙げられる。
海島構造の海島比率を調整し、無機骨格の3次元架橋を進行させる事で、高エネルギー線による後硬化処理を施さずに本発明の物性を達成することも可能である。後硬化処理を行わない場合、無機有機ナノコンポジット材料から形成される隣接層を作製するために、塗布液を塗布後、塗布膜を乾燥させることが好ましい。乾燥温度としては、50〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。乾燥時間としては、0.001〜20時間が好ましく、0.03〜1時間がより好ましい。
ガスバリア性層に対して基板(樹脂基材)側に隣接する層(下引き層と呼ぶ)に、上記の物性となる層を設けた場合、後述するCa腐食法によるガスバリア性評価で、腐食が発生するまでの時間を遅延することが可能になる。この現象は、隣接するガスバリア性層の成膜時に発生する内部応力を逃がすことによりガスバリ性層の膜質が向上する結果、ガスバリア性能が向上すると推定している。すなわち、本発明の好適な一実施形態のガスバリア性フィルムは、隣接層がガスバリア性層と基材との間に配置される。
また、ガスバリア性層に対して基板(樹脂基材)と反対側に隣接する層(保護層と呼ぶ)として上記の物性となる層を設けた場合、Ca腐食評価で、腐食率で1%前後の腐食発生初期と腐食率が50%前後の腐食進行期とでCa腐食の増加率が殆ど変わらないことが分かった。この現象は、外部からストレスが加わった時に、破壊が進行し難いことを示していると思われ、無機の緻密な層であるが故に外力によりクラックが入りやすいガスバリア性層の破壊を外力から保護する機能が向上する。このため、初期のガスバリ性能を長時間維持できると推定している。すなわち、本発明の好適な他の一実施形態のガスバリア性フィルムは、隣接層が基材と反対側のガスバリア性層上に配置される。
なお、上記物性となる層として、下引き層および保護層を組み合わせて用いることは、ガスバリア性能の点でさらに好ましい。
本発明者が鋭意検討した結果、単にナノインデンテーション法測定による、下引き層や保護層の硬度や弾性回復率単独の数値だけではガスバリ性能の向上及び維持には不十分であり、特定範囲の硬度と、特定範囲の弾性回復率の両方を満たすことが必要であることが分かった。
なお、本願において、「ガスバリア性」とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(60±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−2g/(m・24h)以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−2ml/m・24h・atm以下であることをいう。後述の実施例はいずれも上記特性を満たしている。
(下引き層)
下引き層の重要な機能として、前述したようにガスバリア性層の成膜応力を分散し、成膜時に発生するクラック等の欠陥生成を抑制する機能があると考えている。この機能を発揮させるためには、ガスバリア性層の成膜応力に対して、厚み方向へ力を分散させるためのある程度の硬度が必要なこと、またガスバリア性層の成膜応力が加わった場合に、下引き層自体に破壊が起きないことが必要と思われる。
本発明者の検討の中で、下引き層の硬度が0.5GPa以上の場合、ガスバリア性層にひび割れが発生し難く、ガスバリア性層を内側にしたフィルムカールが小さく、硬度が5.0GPa以下では下引き層自身のヒビ割れが発生し難くなる。さらに、前述の硬度の範囲内であっても、弾性回復率が50%未満、すなわち全変形量に対する塑性変形量の比率が大きい場合には、ガスバリア性層の成膜直後、もしくはCa腐食法でガスバリア性能評価を開始して短時間の内にガスバリア層にひび割れが発生することがある。
すなわち、ガスバリア性層の成膜応力(特に横方向の応力)を拡散して、下引き層とガスバリア性層界面への応力集中を避けること、またはガスバリア性層内の残留応力を小さくすることに併わせて、成膜時及び成膜後に発生する応力に対して塑性変形(破壊)が小さい層物性が必要であることが分かる。
また、本発明に係る下引き層は平滑化層、ブリードアウト防止層を兼ねることもできる。
平滑化層は突起等が存在する樹脂基材(支持体)の粗面を平坦化し、あるいは、樹脂基材に存在する突起により隣接層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑化層は、基本的には光硬化性材料(感光性材料)、熱硬化性材料を硬化させて形成される。
ブリードアウト防止層は、平滑化層を有するフィルムを加熱した際に、フィルム支持体中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、平滑化層を有する樹脂基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑化層と同じ構成をとっても構わない。
下引き層(平滑化層、ブリードアウト防止層も含む)の材料は、本発明の物性が実現できれば特に限定されず、例えば、光硬化性材料(感光性材料)、熱硬化性材料を硬化させて形成される。また、異種の材料を積層もしくは混合して結果として本発明の物性を実現してもよい。
光硬化性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の化合物とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑化層の形成方法は特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑化層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑化層の積層位置に関係なく、いずれの平滑化層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて平滑化層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
熱硬化性材料としては、例えば、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂やポリシラザン、ポリシロキサン、チタンオリゴマー等、さらには無機骨格の中に樹脂の成分をナノレベルで分散した様な無機有機ナノコンポジット材料等が挙げられる。
中でも本発明のように比較的硬度が高く、弾性回復率が高い物性を実現する材料としては、無機成分比率が高く、3次元架橋構造を取ることが可能な、ポリシラザンやポリシロキサンを主骨格とする無機ポリマー(オリゴマー)材料、無機骨格を主体とする無機有機ナノコンポジット材料が好ましい。
本発明における下引き層の厚さとしては、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。0.1μm以上にすることにより、下引き層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、下引き層を樹脂基材の一方の面にのみ設けた場合のフィルムのカールを抑え易くすることができる。
(保護層)
保護層の重要な機能は、前述したように形成したガスバリア性層への外部応力集中を緩和し、ガスバリア性能を保持することである。本発明者が鋭意検討した結果、層として保護層に求められる物性は下引き層と同じであることが分かった。
フィルムの硬度が0.5GPa以上であることにより、ストレスによるガスバリア性能の劣化が起こり難く、フィルムの硬度が5.0GPa以下であることにより、外部応力に対して保護層内で発生する内部応力が大きくならず保護層自身のヒビ割れが発生し難くなる。
さらに、前述の硬度の範囲内であっても、弾性回復率が50%未満、すなわち全変形量に対する塑性変形量の比率が大きい場合には、初期性能の持続にはある程度の効果を示すものの、加速試験等でストレスが長時間持続すると爆発的な破壊が起こることが分かった。
すなわち、保護層は外部からの応力を拡散して、保護層とガスバリア性層界面への応力集中を避けることに併わせて、長時間加わる外部応力に対して塑性変形(破壊)が小さい層物性が必要であることが分かる。
前記物性を実現する材料としては、下引き層と同様であり、下引き層素材と同じ材料を用いることも可能であり、用途に合わせて下引き層とは異なる材料を用いることも可能である。
本発明における保護層の厚さとしては、50nm〜5μmが好ましく、300nm〜1μmであることがより好ましい。50nm以上にすると保護層の効果が発揮され、5μm以下では、保護層の効果を維持しながら、フィルムとしてのカールバランス調整、光学的性能調整がし易くなる。
(ガスバリア性層に隣接する層の変換処理)
前述したように、下引き層、保護層等のガスバリア性層に隣接する層に本発明の物性を付与するために、隣接層形成用の前駆体(例えば、上述のポリシラザン溶液)を塗布して前駆体層を形成後、前駆体層に変換処理(後硬化処理)を施すことが好ましい。変換処理としては、後硬化処理としては、紫外線照射処理、アニール(加熱)処理等の層内の3次元架橋反応を促進する後処理を施こすことが好ましい。より好ましくは、基板を高い温度に晒すことなく反応促進が可能である紫外線照射処理である。
無機ポリマー材料で3次元架橋構造を形成するには、一般的には200℃以上の加熱処理(アニール処理)を加えることで実現可能であるが、耐熱性の低い樹脂基材上に成膜することは難しい。本発明者が鋭意検討した結果、これらの材料の塗膜を樹脂基材上に生成し、樹脂基材の耐熱温度以下の温度の熱処理により、溶媒除去と初期の硬化反応(プレ硬化処理)を行った後に、高エネルギー線、例えば波長200nm以下の真空紫外線を照射(後硬化処理)することにより、樹脂基材へのダメージを与えることなしに、膜物性を本発明の範囲内に調整することが可能である。
樹脂基材の耐熱温度以下の温度の熱処理における乾燥温度は、迅速処理の観点から高い温度であることが好ましいが、樹脂基材に対する熱ダメージを考慮し、温度と処理時間を適宜決定することが好ましい。例えば、樹脂基材として、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、熱処理温度は200℃以下に設定することができる。処理時間は溶媒が除去され、かつ基材への熱ダメージが少なくなるように短時間に設定することが好ましく、乾燥温度が200℃以下であれば30分以内に設定することができる。
さらに、ガスバリア性層に隣接する層の変換処理、紫外線照射処理については、後述するガスバリア性層の変換処理を参照することができる。また、隣接層を形成する際の変換処理の好適な形態についても、後述するガスバリア性層の変換処理と同様である。
《ガスバリア性層》
本発明に係るガスバリア性層は、公知のガスバリア性層を広く適用することが可能である。その中でも、特に本発明はガスバリア性層の成膜応力の拡散、外部応力の拡散に優れた構成である。したがって、一般的には連続生産性に優れる。また、ガスバリア性層前駆体層を塗布し、前駆体層を改質処理することで得られるガスバリア性層は、成膜時の収縮応力が大きくなりやすいが、かようなガスバリア層であっても、本発明の隣接層を用いることによってガスバリア性能を大きく向上することが可能である。また、CVD法で代表される蒸着方式で製造されるガスバリア性層も、成膜速度を上げることが可能となる。
本発明に係るガスバリア性層は単層でも複数の同様な層を積層してもよく、複数の層で、さらにガスバリア性を向上させることもできる。また、他材料と積層してもよく、例えば、水吸着性または水と反応性のある材料を積層し、デシカント層として設置したり、公知のバリア性層を積層したりしてもよい。
特に高いガスバリア性能を付与するには、ガスバリア性層が金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物を含むことが好ましい。これらは、化学的に安定で、緻密な構造を有するからである。これらの化合物の金属種としては、酸化物、窒化物または酸窒化物の結合間平均距離が水分子の大きさ(3〜4Å)と同等以下程度になるSi、Al、Gaから少なくとも1種選択することが好ましい。かようなガスバリア性層の形成としては、Si、Al、Gaを含む金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物をスパッタ等により製膜して得てもよいし、Si、Al、Gaを含み、変換処理、好適には紫外線照射処理により、Si、Al、Gaを含む金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物に転化する前駆体化合物を用いて形成してもよい。かような前駆体化合物としては、隣接層の欄で述べたポリシラザン;硝酸ガリウム;硝酸アルミニウム;シロキサンポリマーなどが挙げられる。
(ガスバリア性層を積層する際の下引き層、保護層)
本発明に係るガスバリア性層は、複数層積層してガスバリア性フィルムのガスバリア性能をさらに向上することが可能である。ガスバリア性層の積層は、1層目のガスバリア性層を成膜後、逐次で1層目のガスバリア性層上に直接成膜してもよいし、本発明に係る保護層を設置し保護層の上に2層目のガスバリア性層を成膜してもよい。本発明に係る保護層を用いる場合(保護層が隣接層の場合)、2層目のガスバリア性層にとっては隣接層は下引き層となる。この場合、膜厚設定等の条件は、前記下引き層、保護層のどちらの条件を用いても構わないが、ガスバリア性フィルムの合計膜厚があまり厚くならないことやカールバランスを取りやすいことから、保護層の条件で成膜することが好ましい。
(ガスバリア性層の変換処理)
本発明では、ガスバリア性層を、塗布で形成された前駆体層に変換処理を施して形成することが好ましい。
ガスバリア性層の前駆体層を塗布する場合、溶媒として有機溶剤系、水系のいずれを選択することも可能である。前駆体層としては、好適には、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物前駆体;溶媒;およびその他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン、界面活性剤等である。
塗膜を安定して形成するため、塗布する面の表面処理を行ってもよい。表面処理の方法としては、火炎処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、酸素プラス間処理、UVオゾン処理、エキシマ光処理等公知の表面処理法により処理することが可能である。基板表面の表面処理により、塗布液の接触角が10°〜30°になるように処理することが好ましい。30°以下の接触角の場合、均一な塗膜形成ができ、ガスバリア性層の密着強度が維持される。10°以上の場合、基板表面が劣化し難く、ガスバリア性層の密着強度が維持される。
本発明に係る金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物前駆体層を金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物へ変換する処理は、熱及び/または紫外線照射処理、特に紫外線の波長は300nm以下の深紫外線や真空紫外線を用いることが好ましい。加熱温度は50〜300℃の間で適宜選択してよいが、原料のDSC分析により最も高い温度、すなわち結晶水の脱離と酸化物、窒化物または酸窒化物形成が開始する温度以上の温度を選択することがより好ましい。50℃以下では反応進行が非常に遅く、短時間で酸化物、窒化物または酸窒化物を形成することができず、300℃以上の温度では樹脂基材の耐熱性の問題により、基材自身の変形及び基材変形を起因としたひび割れや、層剥離が発生することがある。樹脂基材は、金属塩原料の結晶水脱離/酸化物、窒化物または酸窒化物形成反応の温度やその他デバイス作製工程でのプロセス温度を鑑みて、適宜選択が可能である。熱処理の時間は適宜選択可能であるが、生産性の観点から0.1〜10分の間が好ましく、より好ましくは1〜5分である。
(紫外線照射処理)
変換処理としては、400nm以下の紫外線照射処理を行うことが好ましく、紫外線の波長200nm以下の真空紫外線を用いることが特に好ましい。紫外線照射により、ガスバリア性能が向上するメカニズムは明らかではないが、光子エネルギーの高い紫外線が効果的であることから、結晶水脱離及び酸化物、窒化物または酸窒化物形成の反応をアシストしているものと考えられる。特に真空紫外線は結合を切断して再結合を促進し得る光子エネルギーを持ち、かつ水も強い吸収を示すことから、より効果的に結晶水脱離及び酸化物、窒化物または酸窒化物形成の反応をアシストしていると思われる。紫外線の照射エネルギーとしては10〜10000mJ/cmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100〜5000mJ/cmである。この範囲であれば、紫外線照射の効果を適切に得ることができ、また、樹脂基材へのダメージも少ない。
(真空紫外線照射処理;エキシマ照射処理)
本発明において、さらに好ましい改質処理の方法として、真空紫外線照射による処理が挙げられる。真空紫外線照射による処理は、含有有機物の分解除去、膜内水分の除去や酸化物形成を100〜200nmの波長の光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光子エネルギーを用いアシストすると考えられる。原子間結合の切断、再結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾン等による酸化反応を進行させることで、比較的低温で、金属酸化物、窒化物または酸窒化物薄膜形成を行う方法である。また、光子エネルギーが殆どの有機物結合エネルギーより大きいため不純物として取り込まれている有機物を効率的に分解除去できること、さらには水も真空紫外領域に強い吸収を持つため、加熱だけではなかなか除けない、膜内の結晶水も効率よく除去できると考えられる。なお、樹脂基材を損なわない範囲で加熱を併用することにより、これらの効果がより一層高くなる。加熱処理としては、例えば、ヒートブロック等の発熱体に基板を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターの様な赤外領域の光を用いた方法等が上げられるが特に限定はされない。加熱温度としては、50℃〜250℃の範囲に適宜調整することが好ましい。また、加熱時間としては、1秒〜10時間の範囲が好ましい。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
エキシマ発光とは、Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。
また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。誘電体バリア放電とは、両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でも分る光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外に無電極電界放電でも可能である。
容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は、基本的には誘電体バリア放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリア放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには、外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾン等により損傷しやすい。
これを防ぐためにはランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素等の不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。従って仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリア放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。従って、非常に安価な光源を提供できる。
二重円筒型ランプは内外管の両端を接続して閉じる加工をしているため、細管ランプに比べ取り扱いや輸送で破損しやすい。細管ランプの管の外径は6〜12mm程度で、あまり太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は誘電体バリア放電でも無電極電界放電のいずれでも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であってもよいが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。従って、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板等への照射を可能としている。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を有する。このため、熱の影響を受けやすいとされるPET等のフレシキブルフィルム材料に適している。
(気相堆積法を用いるガスバリア性層)
本発明のガスバリア性フィルムは公知の気相堆積法によって成膜するガスバリア性層を用いることも可能である。気相堆積法は物理的気相堆積法と化学的気相堆積法に大別されるが、物理的気相成長法は、気相中で物質の表面に物理的手法により目的とする物質(この場合酸化珪素)の薄膜を堆積する方法であり、これらの方法としては、蒸着(抵抗加熱法、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー)法、また、イオンプレーティング法、スパッタ法等があり、いずれの方法でもよいが、これらの方法のうちでは、高融点の材料にも適用が容易なスパッタ法等が、酸化珪素を含有するセラミック層の形成には好ましい。
スパッタ法は、真空チャンバー内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。このとき、チャンバー内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させてガスバリア性層を形成する、反応性スパッタリング法を用いてもよい。
また、化学気相成長法は、基板上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法であり、また、化学反応を活性化する目的で、プラズマ等を発生させる方法等がある。
これらの化学気相成長法としては、原料ガスの変更、調整により容易に異なったセラミック層の成膜が可能な熱CVD法、プラズマCVD(真空、大気圧)法等があるが、これらのうちでは、成膜速度が速い大気圧プラズマ(大気圧PECVD)法が、特に好ましい方法である。
また、大気圧プラズマ法のなかでも、異なる周波数の電界を二つ以上印加する、所謂2周波大気圧プラズマ法が特に好ましく、これについては後に詳述する。
化学気相成長法に用いられる原料ガスとしては、所望のガスバリア性層となるような原料ガスを適宜選択すればよく、例えば、例えば、珪素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物、錫化合物、有機金属化合物などの金属化合物が挙げられる。これらのうち、珪素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
(2周波大気圧プラズマ法)
大気圧プラズマ法は、例えば、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、国際公開第02/048428号パンフレット等に記載されているが、特に、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密でガスバリア性が高いセラミック層を形成するには好ましい。また、ロール状の元巻きからウエブ状の基材を繰り出して、組成の異なるセラミック層を連続的に形成することができる。
本発明に係る上記の大気圧プラズマ法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマCVD法であり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93〜104kPaが好ましい。
本発明における放電条件は、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上印加するものが好ましく、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し、電界を印加する。
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、かつ、前記第1の高周波電界の強さV1と、前記第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係が、 V1≧IV>V2、または V1>IV≧V2 を満たし、前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm以上である。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
重畳する高周波電界が、ともにサイン波である場合、第1の高周波電界の周波数ω1と該周波数ω1より高い第2の高周波電界の周波数ω2とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重なった鋸歯状の波形となる。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離等によって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
上記で述べたような高周波電界を放電空間に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができると推定される。
ここで重要なのは、このような高周波電界が対向する電極間に印加され、すなわち、同じ放電空間に印加されることである。特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる高周波電界を印加する方法は好ましくない。
上記でサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、さらに周波数の異なる第3の電界を有していてもよい。
上記の高周波電界を、同一放電空間に印加する具体的な方法としては、例えば、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電界強度V1である第1の高周波電界を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電界強度V2である第2の高周波電界を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いる。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガス(原料ガス)とを供給するガス供給手段を備える。さらに、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルタを、また第2電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルタを接続することが好ましく、第1フィルタは第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10pF〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることができる。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルタとして使用できる。
さらに、本発明の大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より高い電界強度を印加できる能力を有していることが好ましい。
印加電界強度と放電開始電界強度は、下記の方法で測定される。
印加電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、所定の時点の電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記印加電界強度測定と同じである。
上述のような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持でき、高性能な薄膜形成を行うことができる。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp−p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の印加電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を印加することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数及び高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが好ましい。
また、第1の高周波電界の出力密度を高くすることで、放電の均一性を維持したまま、第2の高周波電界の出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマが生成でき、更なる製膜速度の向上と、膜質の向上が両立できる。
(ガスバリア性層の厚み)
本発明に係るガスバリア性層の厚みは、1層あたり1〜100nmが好ましい、10〜50nmがさらに好ましい。かような範囲であれば、バリア性能が発揮され、ガスバリア性層にクラックが入りにくい。ガスバリア性能の向上とクラック防止を両立する方法の例として、合計膜厚を一定にして層を細分化する方法が挙げられる。金属酸化物形成時の残留応力が低減でき、本発明に係るガスバリア性層とその隣接層とを合わせて、高度に改質した場合でもクラック抑制することが可能である。また、ガスバリア性層を逐次で積層することにより、欠陥の位置をずらすことが可能であり、迂回効果によりさらにガスバリア性能が向上する。この際の層数としては、2〜4層程度であることが好ましい。
(表面粗さ:表面平滑性)
本発明に係るガスバリア性フィルム表面の表面粗さ(Ra)は、2以下が好ましく、さらに好ましくは1以下である。表面粗さがこの範囲にあると、各種電子デバイスの樹脂基材として使用する際に、凹凸が少ない平滑な膜面により光透過効率の向上と、電極間リーク電流の低減によりエネルギー変換効率が向上するので好ましい。本発明に係るガスバリア性層の表面粗さ(Ra)は以下の方法で測定することができる。
表面粗さ測定の方法;AFM測定 表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)、例えば、Digital Instrments社製DI3100で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
《ガスバリア性フィルムの構成》
(基板(樹脂基材):支持体)
本発明のガスバリア性フィルムの基板(「支持体」ともいう。)としては、後述のバリア性を有するガスバリア性層を保持することができる材料であれば、特に限定されたものではないが、ロール・トゥ・ロールによる連続生産や、デバイスの軽量化、割れ防止のため有機材料で形成された樹脂基材を用いる。
樹脂基材フィルムとしては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、さらには前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、無機層、ガスバリア性層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。支持体の厚さは5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、本発明に係る支持体は透明であることが好ましい。支持体が透明であり、支持体上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリア性フィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた支持体は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる支持体は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の支持体を製造することができる。また、未延伸の支持体を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、支持体の流れ(縦軸)方向、または支持体の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸支持体を製造することができる。この場合の延伸倍率は、支持体の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る支持体においては、下引き層を形成する前にコロナ処理等を施してもよい。
さらに、本発明に係る支持体表面には、下引き層またはガスバリア性層との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
(表面硬度、弾性回復率測定方法;ナノインデンテーション)
本発明では、極めて薄いガスバリア性層の隣接層の表面硬度、弾性回復率を高い精度で測定できる観点から、隣接層の硬度および弾性回復率はナノインデンターにより測定する。
ここで、「ナノインデンテーション法」とは、測定対象物である樹脂基材上に設けたガスバリア性層に対し、超微小な荷重で先端半径が0.1〜1μm程度の三角錐の圧子を押し込んで負荷を付与した後、圧子を戻して除荷し、得られた荷重−変位曲線を作成し、荷重−変位曲線から得られた負荷荷重と押し込み深さより、表面硬度、弾性率、弾性回復率を測定する方法である。このナノインデンテーション法では、超低荷重、例えば、最大荷重20μN、荷重分解能1nNのヘッドアセンブリを用いて、変位分解能として0.01nmの高精度で測定することができる。
ナノインデンテーションで薄膜を測定した場合の典型的な荷重−変位曲線を図1に示す。本発明における表面硬度は上述したように最大変位時の荷重から、圧子形状を考慮して算出され、弾性回復率は最大変位量と、最大変位量から圧子を戻した時に荷重が0になる変位量の差の比率で定義する。
(水蒸気透過率の評価)
本発明のガスバリア性フィルムの水蒸気透過率は、以下の測定方法により評価できる。
〈装置〉
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M レーザー顕微鏡:KEYENCE VK−8500
〈原材料〉
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〈水蒸気バリア性評価用セルの作製〉
バリアフィルム試料のガスバリア性層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置、JEE−400)を用い、マスクを用いて1cm×1cmの面積に金属カルシウムを蒸着させる。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させる。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製、)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製する。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算する。
なお、バリアフィルム面から以外の水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐蝕が発生しないことを確認する。
<用途>
ガスバリア性フィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等)等の電子デバイスを挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。
ガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける方法である。ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(下引き層物性とガスバリア性)
《ガスバリア性フィルムの作製》
(樹脂基材:支持体)
樹脂基材(支持体)として、両面に易接着加工された125μmの厚さのポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製、A4300)を用いた。
(ブリードアウト防止層の形成)
上記支持体の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;1.0J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。ガスバリア性フィルム1〜18の全てでブリードアウト防止層は共通とした。
(基板1の作製)
続いて上記支持体の反対面(ブリードアウト防止層のない面)に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用(波長365nm)、硬化条件;1.0J/cm 硬化を行い、下引き層兼平滑化層を形成し、基板1を作製した。
このときの最大断面高さRt(p)は16nmであった。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出し、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定した。微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
(基板2の作製)
基板1の下引き層の上に、マツモト公商社製 酸化チタンオリゴマー防錆材 オルガチックスPC685を塗布し、80℃で3分乾燥して、乾燥膜厚300nmの酸化チタン薄膜を成膜した。さらにXeエキシマ光(波長172nm)を基板温度100℃にて1J/cm照射し、基板2を得た。基板2の最大断面高さRt(p)は20nmであった。
(基板3の作製)
基板1のOPSTAR Z7501を、JSR社製 ポリシロキサン/アクリル樹脂ハイブリッドコート材 グラスカHPC7506とし、乾燥条件を80℃10分としたこと以外は基板1と同様にして基板3を得た。基板3の最大断面高さRt(p)は21nmであった。なお、硬化剤としてJSR社製 HPC406HをHPC7506に対して10質量%添加した。
(基板4の作製)
上記支持体の反対面(ブリードアウト防止層のない面)に、JSR社製 ポリシロキサンハードコート材 グラスカHPC7003を乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、Xeエキシマ光(波長172nm)を基板温度100℃にて1J/cm照射し、下引き層兼平滑化層を形成し、基板4を作製した。基板4の最大断面高さRt(p)は18nmであった。なお、硬化剤としてJSR社製 HPC404HをHPC7003に対して10質量%添加した。
(基板5の作製)
基板1の下引き層の上に、AZマテリアルズ社製 ポリシラザン系ハードコート材 アクアミカNAX120−10(パーヒドロポリシラザンの10質量%ジブチルエーテル溶液、アミン触媒タイプ、ポリシラザンに対しアミン触媒が5質量%)を塗布し、25℃55%RH環境で3日間放置し、乾燥膜厚300nmのポリシラザン層を含む基板5を得た。基板5の最大断面高さRt(p)は12nmであった。
(基板6の作製)
上記支持体の反対面(ブリードアウト防止層のない面)に、日東紡社製 有機無機ナノコンポジットハードコート材 SSGコート HB21Bを乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、120℃2分乾燥した後、25℃55%RH環境で3日間放置し、基板6を得た。基板3の最大断面高さRt(p)は18nmであった。
〈ガスバリア性フィルム1−1〜1−6の作製〉
基板1〜6の上に、大気圧プラズマCVD法を用いて、以下に示す条件で膜厚30nmの酸化ケイ素からなるガスバリア性層を形成し、ガスバリア性フィルム1−1〜1−6を得た。
(ガスバリア性層の成膜条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.9体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード)
PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
電極温度 90℃
〈ガスバリア性フィルム1−7〜1−12の作製〉
基板1〜6の上に、触媒を1質量%含んだポリシラザン溶液(NAX120−20とNN120−20を1:4で混合して作製)を塗布し80℃2分乾燥し、乾燥後膜厚50nmのポリシラザン層を形成した。このポリシラザン層に以下に示す条件でXeエキシマ光を照射し、改質することによって酸化ケイ素を含むガスバリア性層を成膜し(膜厚150nm)、ガスバリア性フィルム1−7〜1−12を得た。
(エキシマ光照射条件)
照射装置:エム・ディ・エキシマ製MEIRH−M−1−200H
基板温度:100℃
積算光量:3J/cm
最大照度:100mW/cm
〈ガスバリア性フィルム1−13〜1−18の作製〉
基板1〜6の上に、以下の酸化Ga前駆体塗布液を用いて、150℃2分乾燥した後、同上の装置を用いて基板温度100℃、積算光量3J/cmで改質処理を行い、膜厚50nmの酸化Gaを含むガスバリア性層を成膜し、ガスバリア性フィルム1−13〜1−18を得た。
なお、基板3の上には、下記に示す水系塗布液は塗布性が非常に悪かったため、ポリシラザン(NAX120)層を乾燥膜厚30nmで成膜し、塗れ性向上層とした。ナノインデンテーションのデータは塗れ性向上層が無い場合のデータである。
(酸化Ga前駆体塗布液)
市販の硝酸ガリウム9水和物(Sigma Aldorich製、99.999%)を用い、硝酸Ga換算で超純水に10質量%添加し、10分間撹拌後、10分間超音波(48Hz)で溶解し、硝酸Ga含有の水溶液を得た。その水溶液に界面活性剤としてSurfynol465(日信化学工業製)を硝酸Gaに対して0.2質量%添加し、減圧脱気して硝酸Ga含有前駆体塗布液を得た。
《ガスバリア性フィルムの測定及び評価》
作製したガスバリア性フィルムについて、下記方法で、下引き層の硬度及び弾性回復率、及びガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を評価した。
(硬度及び弾性回復率の測定)
上記作製した基板1〜6の下引き層について、前述のナノインデンテーション法に従って測定した。物性測定用の試料は、下引き層が最上層となっている段階で測定した。具体的には、試料サイズ2cm×2cm、23℃55%RHの環境下でナノインデンター、MTSシステム社製のナノインデンター(Nano Indenter TMXP/DCM)により測定した。硬度、弾性回復率の数値は、2cm×2cmの試料内で5か所測定した数値の平均値を求め、その層の硬度及び弾性回復率とした。
(水蒸気透過率の評価)
水蒸気透過率は以下の方法により評価した。
〈装置〉
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
レーザー顕微鏡:KEYENCE VK−8500
〈原材料〉
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〈水蒸気バリア性評価用セルの作製〉
ガスバリア性フィルムのガスバリア性層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置、JEE−400)を用い、マスクを用いて1cm×1cmの面積に金属カルシウムを蒸着した。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製、)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量1%及び50%からセル内に透過した水分量を計算し、水蒸気透過率(WVTR)を算出した。
なお、バリアフィルム面から以外の水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐蝕が発生しないことを確認した。
測定及び評価の結果を表1、表2に示す。
本発明に係る下引き層を用いたガスバリア性フィルムは、Caの1%及び5%腐食から計算される水蒸気透過率〔g/(m・24h)〕が低く抑えられ、ガスバリア性能が顕著に向上していることが分かる。また、下引き層の成膜方法、材料によらず、ガスバリア性を向上できるが、塗布で形成したガスバリア性層は向上幅が大きい。
さらに、基板2を用いたガスバリア性フィルムは、全てのガスバリア性層で成膜後にひび割れが発生し、硬度が高いだけでは、高いガスバリア性能を実現できないことが分かる。
実施例2(保護層物性とガスバリア性)
《ガスバリア性フィルムの作製》
〈ガスバリア性フィルム2−1〜2−6の作製〉
実施例1で作製した基板1を用いて、実施例1のガスバリア性フィルム1−1〜1−6のガスバリア層の形成と同様にして大気圧プラズマCVD膜をガスバリア性層としたガスバリア性フィルムを6枚作製し、そのガスバリア層の上に、実施例1の基板1〜6で下引き層に用いた素材及び処理を行った膜をトータル膜厚500nmで成膜して保護層としてガスバリア性フィルム2−1〜2−6を得た。なお、2−2、および2−5におけるUV硬化アクリル樹脂膜の膜厚は350nmである。
〈ガスバリア性フィルム2−7〜2−12の作製〉
実施例1で作製した基板1を用いて、実施例1のガスバリア性フィルム1−7〜1−12のガスバリア層の形成と同様にポリシラザンのエキシマ光改質膜をガスバリア性層としたガスバリア性フィルムを6枚作製し、そのガスバリア層の上に、実施例1の基板1〜6で下引き層に用いた素材及び処理を行った膜をトータル膜厚500nmで成膜して保護層としてガスバリア性フィルム2−7〜2−14を得た。なお、2−8、および2−11におけるUVアクリル硬化樹脂膜の膜厚は350nmである。
〈ガスバリア性フィルム2−13〜2−18の作製〉
実施例1で作製した基板1を用いて、実施例1のガスバリア性フィルム1−13〜1−18のガスバリア層の形成と同様に硝酸Gaのエキシマ光改質膜をガスバリア性層としたガスバリア性フィルムを6枚作製し、そのガスバリア層の上に、実施例1の基板1〜6で下引き層に用いた素材及び処理を行った膜をトータル膜厚500nmで成膜して保護層としてガスバリア性フィルム2−13〜2−18を得た。なお、2−14、および2−17におけるUV硬化アクリル樹脂膜の膜厚は350nmである。
《ガスバリア性フィルムの評価》
作製したガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様に、保護層の硬度及び弾性回復率、及びガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を評価した。保護層の硬度および弾性回復率の測定用の試料の作製方法および硬度および弾性回復率の測定方法は上記下引き層の欄で述べたものと同様である。
測定及び評価の結果を表3、表4示す。
表より、本発明に係る保護層を用いたガスバリア性フィルムは、Caの腐食が進行、すなわち封止セルの状態で長い時間高温高湿に晒され、長時間のストレスを受けた後でも、ガスバリア性能の変化が極端に小さいことが分かる。また、保護層の成膜方法、材料によらずガスバリア性能を維持できることが分かる。
実施例3(下引き層と保護層組み合わせとガスバリア性)
《ガスバリア性フィルムの作製》
〈ガスバリア性フィルム3−1〜3−18の作製〉
実施例1の下引き層と実施例2の保護層を組み合わせた構成のガスバリア性フィルムを作製した。下引き層素材と保護層素材は同一となるように組み合わせた。具体的素材については、表5および6に記載した。ガスバリア性層については、実施例1と同様にして作製し、各フィルムで用いた素材および製造方法を表5および6に記載した。
《ガスバリア性フィルムの評価》
作製したガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様に、下引き層及び保護層の硬度及び弾性回復率、及びガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を評価した。なお、基板2及び基板3を用いた水準は、実施例1と同様にヒビ割れが発生したため水蒸気透過率の評価は行わなかった。
測定及び評価の結果を表5、表6に示す。
表より、本発明に係る下引き層と保護層を用いたガスバリア性フィルムは、初期ガスバリア性能の向上が可能で、なおかつその性能を長時間維持できることが分かる。また、下引き層と保護層の成膜方法、材料によらずガスバリア性能の向及びガスバリア性能を維持できることが分かる。
本出願は、2011年7月15日に出願された日本特許出願番号2011−156459号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
1 圧子が接触していない時の試料の初期表面
2 圧子を介して荷重をかけている時の試料表面のプロファイル 3 圧子を取り除いた後の試料表面のプロファイル
W 荷重

Claims (6)

  1. 樹脂基材上に、少なくとも1層のガスバリア性層が積層されたガスバリア性フィルムにおいて、該ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層の硬度及び弾性回復率が、ナノインデンテーション法による測定で0.5GPa≦硬度≦5.0GPa、かつ50%≦弾性回復率≦100%である、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層の硬度及び弾性回復率が、ナノインデンテーション法による測定で0.7GPa≦硬度≦2.0GPa、かつ60%≦弾性回復率≦90%である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記ガスバリア性層が、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物を含有する、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記金属酸化物、金属窒化物、または金属酸窒化物の金属が、Si、Al、Gaからなる群から選ばれる金属を少なくとも1種含む、請求項3に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記ガスバリア性層に隣接する少なくとも一層を、塗布で形成された前駆体層に変換処理を施して形成する、ガスバリア性フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記ガスバリア性層を、塗布で形成された前駆体層に変換処理を施して形成する、ガスバリア性フィルムの製造方法。
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