JP6204863B2 - 太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
<1> 基材と、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下である、太陽電池用裏面保護シート。
<3> 紫外線吸収層が、さらにポリロタキサンを含む<1>又は<2>に記載の太陽電池用裏面保護シート。
<4> 基材が紫外線吸収顔料を含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<5> 最表面の表面粗さが、0.01μm以上0.20μm以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<6> 最表面を含む層は、厚みに対する紫外線吸収顔料の粒子径の比率が0.01〜0.15である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<7> 最表面の表面比抵抗値が、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<8> 最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の含有比が、原子比で0.1以上0.7以下である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<10> 太陽光が入射する透明性の基材と、基材上に設けられ、太陽電池素子及び太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、素子構造部分の基材が位置する側と反対側に配置された<1>〜<8>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シートと、を備えた太陽電池モジュール。
なお、本明細書において、「〜」の表記を用いた数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値をそれぞれ下限値又は上限値として含む範囲を意味する。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、少なくとも、基材と、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下である範囲として構成されている。
これにより、裏面保護シートに砂が衝突して付く傷等が減り、傷等を起点として促進される耐久性の低下、ひいては太陽電池モジュールの発電性能の低下を防ぐことができる。
本明細書における弾性回復率は、ISO 14577−1(計装化押し込み硬さ)に準拠したナノインデンテーション法により、負荷速度0.14mN/secにて最大荷重1mNとして測定したものである。具体的には、「最大押し込み深さ(hmax)」と「荷重除荷後の押し込み深さ(hf)」とを測定し、(hmax−hf)/(hmax)から算出されるものである。
最大押し込み深さ(hmax)は最大荷重保持時の押し込み深さである。
荷重除去後の押し込み深さ(hf)は完全に荷重を除去した時の押し込み深さである。
例えば、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
弾性回復率が、60%以上であると、砂等の衝突によってシートの変形(表面のへこみ)が起こっても、一定時間経過すると元の形状に戻るため、結果として傷が付きにくく、耐砂性に有利である。
弾性回復率は、62%以上であるのが好ましく、70%以上100%以下であるのがより好ましく、80%以上100%以下であるのがさらに好ましい。
太陽電池用裏面保護シートは、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面におけるビッカース硬度を、1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下の範囲とする。すなわち、太陽電池モジュールを作製した場合、太陽電池用裏面保護シートにおいて最表面をなすことになり、この最表面のビッカース硬度を所定の範囲に調節することで、砂の衝突に耐える耐性が得られる。
ビッカース硬度が1.0×107Pa以上であると、外力を受けた場合の耐傷性が良化し、砂が衝突した場合に耐久性低下の起点となる傷が付きにくくなる。また、ビッカース硬度が1.0×109Pa以下であると、砂の衝突エネルギーを表面の変形によって吸収することができることから、塑性変形による傷がつきにくくなる。
ビッカース硬度としては、上記の理由から、1.0×107Pa以上5.0×108Pa以下が好ましく、5.0×107Pa以上1.0×108以下がより好ましい。
本発明の太陽電池用裏面保護シートを構成する紫外線吸収層は、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダーと、紫外線吸収顔料と、を少なくとも含有し、最表面とする場合は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース高度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下である。
紫外線吸収層は、バインダーの少なくとも一種を含有し、バインダーの1つとして、(メタ)アクリレート樹脂を含有する。(メタ)アクリレート樹脂は、樹脂材料の中でも比較的硬い樹脂であり、少なくとも(メタ)アクリレート樹脂を含むことで、最表面の表面硬度が高められる。
また、他のモノマー成分としては、不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等)、不飽和炭化水素(例えばブタジエン、エチレン等)、及びビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)からなる群より選ばれるモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリルポリオールと光安定化剤又は紫外線吸収剤とが共重合した樹脂の製造方法等の詳細については、特開2002−90515号公報の段落0019〜0039の記載を参照することができある。
中でも、アクリルモノマーと紫外線吸収剤と光安定化剤とが共重合した共重合物は好ましく、この共重合物を有効成分として含有するハルスハイブリッドポリマー(登録商標)〔日本触媒社製〕などを好適に用いることができる。
なお、紫外線吸収剤及び光安定化剤の詳細については、国際公開第2011/068067号明細書パンフレットの段落0027〜0028の記載を参照することができる。
紫外線吸収層は、(メタ)アクリレート樹脂を架橋する架橋剤の少なくとも一種を含有することができる。架橋剤は、(メタ)アクリレート樹脂中の架橋点となる例えば水酸基と反応して紫外線吸収層を架橋硬化し、最表面のビッカース硬度を調節できる。
架橋剤として用いられるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、及び脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは、以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
更に、耐溶剤性の観点から、紫外線吸収層はより硬化性に優れた脂環族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
また、アクリルポリオール系樹脂との架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性などの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
紫外線吸収層は、砂や塵などが衝突した場合に自己修復されるように、最表面の弾性回復率が60%以上であり、表面のビッカース硬度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下である層に構成される。
紫外線吸収層は、弾性回復率及びビッカース硬度を上記の範囲に調整するため、弾性回復性樹脂を含む。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した後に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる生成物、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂とイソシアネートとの重合体、等が好適に挙げられる。
また、ポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、その具体例として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
フッ素原子を含有させる方法としては、例えば、上述した水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)とともに、含フッ素アクリレートモノマーを併用する方法や、特開2011−158751号公報の段落0124等に記載のフッ素化処理により含有させることができる。
紫外線吸収層を上記のような弾性回復率及びビッカース硬度を有する層とするため、紫外線吸収層の好適な他の態様として、例えばポリロタキサンを含有する層として構成することができる。
なお、ポリロタキサンとは、分子複合体に加えて、分子複合体同士が環状分子部分で架橋された架橋体、及び分子複合体と他のモノマーやポリマーとが重合した重合体を含む概念である。
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子又は物質であって、直鎖状のものであれば特に制限されない。
なお、「直鎖状分子」とは、高分子を含めた分子及びその他上記の要件を満たす全ての物質をいう。
また、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、回転子である環状分子が回転可能もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
また、直鎖状分子は、環境への影響の観点から、生分解性分子であることが好ましい。
ポリロタキサンを構成する環状分子は、直鎖状分子と包接可能な環状分子であれば、いずれの環状分子であってもよい。
なお、「環状分子」とは、環状分子を含む種々の環状物質をいい、実質的に環状である分子又は物質をいう。ここで、「実質的に環状である」とは、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものを含む意であり、英字の「C」の一端と多端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含む意である。
疎水性基の具体例としては、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基、フッ素原子含有有機基、不飽和二重結合基などが挙げられる。中でも、防汚性により優れる点で、アシル基(特にアセチル基)又はフッ素原子含有有機基が好ましい。不飽和二重結合基の具体例は、後述する不飽和二重結合基と同様である。
1価の有機基としては、特に制限はなく、具体例として、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、アリール基)、複素環基(例えば、アゾール基、ピリジル基)などが挙げられる。
R12は、分岐していてもよい1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルキニル基などが挙げられ、中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
L11及びL12は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基などのアリーレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。L11は、アルキレン基であることが好ましい。L12は、下記式(2)で表される基であることが好ましい。式(1)中の「*」は、結合位置を表す。
ここで、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数とは、換言すれば、修飾する前にシクロデキストリンが有していた全水酸基数のことである。修飾度とは、換言すれば、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
ポリロタキサンを構成するブロック基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持する基であれば、いかなる基を用いてもよい。このような基として、例えば「嵩高さ」を有する基及び/又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。ここで、「基」というのは、分子基及び高分子基を含めた種々の基を意味する。また、「イオン性」を有する基の「イオン性」と、環状分子の有する「イオン性」とが影響しあうことにより、例えば反発しあうことにより、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持することができる。
ブロック基は、上記の疎水性基により置換(修飾)されたものでもよい。
ポリロタキサンの合成方法は、特に制限されないが、例えば、特許第2810264号公報や特許第3475252号公報に記載の方法などにより合成することができる。
具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基として2,4−ジニトロフェニル基、疎水性基としてアセチル基、不飽和二重結合基としてアクリロイル基を用いた場合、例えば、以下のようにして合成することができる。
疎水性基としてアセチル基による修飾を行う方法としては、例えば、無水酢酸を用いてシクロデキストリンの水酸基を修飾する方法などが挙げられる。
ポリロタキサンは、防汚性に優れる点で、環状分子に、アシル基(特にアセチル基)及びフッ素原子含有有機基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するものが好ましく、フッ素原子含有有機基を有するものがより好ましく、アシル基(特にアセチル基)及びフッ素原子含有有機基を有するものがさらに好ましい。
また、紫外線吸収層中の、フッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量は、ヘイズ値及び反射率の維持率がより高くなる点で、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%以上30質量%未満がより好ましく、1質量%〜20質量%がさらに好ましく、10質量%〜20質量%が特に好ましい。
ポリロタキサンの含有量は、NMR法(溶液NMR法、固体NMR法)や特開2010−261134号公報に記載のX線回折法などにより求めることができる。
ポリロタキサンを含有する紫外線吸収層を形成する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、環状分子に反応性基を有するポリロタキサンと溶媒とを含む層形成用組成物を、基材上に塗布し、塗布形成された層形成用組成物に加熱処理又は光照射処理の少なくとも一方を施すことで硬化させて紫外線吸収層を形成する方法などが挙げられる。
なお、加熱処理又は光照射処理後に、適宜加熱処理又は光照射処理後の組成物から溶媒を使用して未反応の成分を除去してもよい。
環状分子に不飽和二重結合基を導入する方法としては、例えば、次に挙げる方法が挙げられる。すなわち、イソシアネート化合物などによるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物などによるエステル結合形成による方法;シラン化合物などによるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物などによるカーボネート結合形成による方法;などである。
紫外線吸収層は、紫外線吸収顔料の少なくとも一種を含有する。紫外線吸収顔料は、紫外領域に吸収を有する顔料であり、具体的には250nm〜450nmの波長領域に吸収を有する顔料が挙げられる。紫外線吸収顔料としては、無機顔料又は有機顔料のいずれでもよいが、耐紫外線性、意匠性の観点から、白色顔料又は黒色顔料が好ましい。
白色顔料としては、酸化チタンが好ましく、発色の観点から、特に数平均粒子径が0.1μm〜1.0μmの酸化チタンが好ましい。更には、上記の(メタ)アクリレート樹脂(特にアクリルポリオール系樹脂)に対する分散性やコストの点で、数平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの酸化チタンがより好ましい。
また、黒色顔料としては、カーボンブラックが好ましく、数平均粒子径が0.01μm〜0.5μmのカーボンブラックが好ましい。更には、上記の(メタ)アクリレート樹脂(特にアクリルポリオール系樹脂)に対する分散性やコストの点で、数平均粒子径が0.02μm〜0.1μmのカーボンブラックがより好ましい。
紫外線吸収層は、層のビッカース硬度を調整する観点から、無機微粒子の少なくとも一種を含有してもよい。無機微粒子を含有することで、無機微粒子の持つ硬さに寄与して膜の硬度や屈折率を調整することができる。また、無機微粒子として親疎水性基で変性した微粒子を選択した場合、紫外線吸収層の表面の濡れ性や、紫外線吸収層上に形成された層との層間密着力を制御することができる。
具体的には、繊維状もしくは針状の形状を持つアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子が特に好適である。
アスペクト比としては、アスペクト比は、粒子を電子顕微鏡で観察し、各粒子の短軸長さと長軸長さを計測し、計測された短軸長さに対する長軸長さの比として求められる。
ここで、ベーマイトとは、Al2O3・nH2O(n=1〜1.5)で表されるアルミナ水和物の結晶である。また、擬ベーマイトとは、ベーマイトのコロイド状凝集体をさす。
なお、無機酸化物粒子として用いることができるアルミナ粒子の結晶系はγ、θ及びαから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、γ又はθがさらに好ましい。
市販品としては、例えば、川研ファインケミカル(株)製のベーマイトゾル、川研ファインケミカル社製のアルミナゾルA−2、日産化学社製のAS−520、扶桑化学社製のクォートロン、住友化学社製のAKPシリーズなどが挙げられる。また、アスペクト比が比較的大きい(長軸長さ/短軸長さ=300〜800)粒子の例として、川研ファインケミカル社製の酸化アルミニウム(アルミナゾルF−1000(アスペクト比:350)、アルミナゾルF−3000(アスペクト比750)等)などが挙げられる。
また、有機性の基を有するアルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、環状アルミニウムオリゴマー、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウムなどのアルミニウムキレート、アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などが例示される。
加水分解に使用する酸としては、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの一価の酸が好ましく、操作性、経済性の点で酢酸が特に好ましい。酸の使用量は、アルミニウムアルコキシドに対して、0.2モル倍〜2.0モル倍であり、好ましくは0.3モル倍〜1.8モル倍である。加水分解に使用する酸の使用量を上記範囲内とすることにより、得られる粒子の平均アスペクト比を所望の範囲とすることができ、かつ経時安定性を高めることができる。
なお、加水分解は、100℃以下で0.1時間〜3時間行うことが好ましい。
加水分解で生成したアルコールを留去後、解膠処理を行う。解膠処理は、100℃〜200℃で0.1時間〜10時間、更に好ましくは110〜180℃で0.5時間〜5時間加熱して行うことが好ましい。
このようにして、所望の平均アスペクト比を有する無機酸化物粒子が得られる。
紫外線吸収層には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有することができる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、パイオニンD−6512、D−6414、D−6112、D−6115、D−6120、D−6131、D−6108−W、D−6112−W、D−6115−W、D−6115−X、D−6120−X(竹本油脂(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、ナロアクティーCL−95、HN−100(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデッドBL(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・フォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越化学工業株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、水性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
塗布は、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置を用いた塗布法により行うことができる。
溶剤としては、例えば、炭化水素類、ハロゲン化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等が挙げられ、具体的には、キシレン、ジブチルエーテル等が好適に挙げられる。
添加剤としては、例えば、光重合開始剤、帯電防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、シランカップリング等が挙げられる。
紫外線吸収層が多層構造に構成される場合、最表層の表面の弾性回復率が60%以上であり、最表層の表面のビッカース硬度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下であればよい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面が以下の性質を有していることで、耐砂性をより効果的に向上させることができる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面粗さは、0.01μm以上0.20μm以下の範囲にあることが好ましい。基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面粗さは既述したように、紫外線吸収層の材質を選択することで上記範囲に調節することができる。
表面粗さが0.01μm以上であると、太陽電池用裏面保護シートに滑り性が向上し容易にハンドリングできる点で有利である。また、表面粗さが0.20μm以下であると、砂等が衝突する際に削られにくくなり、傷等の発生を防ぐことができる点で有利である。
表面粗さとしては、0.05μm以上0.20μm以下が好ましく、0.1μm以上0.15μm以下がより好ましい。
ここでの表面粗さは、3次元光学プロファイラー(Zigo、キャノン社製)を用い、0.3mm×0.3mmの領域における表面粗さとして算出することで求められる値である。
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面比抵抗値は、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。最表面の表面比抵抗値が上記範囲内にあることで、砂や塵等が付着し難くなり、付着した砂等に別の砂が衝突した場合に傷等が生じる破壊モードが抑えられ、耐砂性により優れたものとなる。
最表面の表面比抵抗値は、1.0×1012Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲がより好ましい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面比抵抗値の調整は、表面のスタチック性が低下する方法であればいずれの方法によってもよく、例えば、帯電防止剤などの導電材料を紫外線吸収層に含有する方法が挙げられる。帯電防止剤としては、国際公開第2011/068067号明細書パンフレットの段落0034〜0048の記載を参照することができる。具体的な例としては、導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン系ポリマー、ポリピロール系ポリマー、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマーなどが挙げられ、市販品の例としてBayer社製の導電性ポリマーBaytronを使用できる。更に、導電性酸化物としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸カリウム、酸化チタン、スズ−アンチモン系酸化物、インジウム−スズ系酸化物、アンチモン−スズ系酸化物などが挙げられ、市販品の例として三菱マテリアル電子化成社製の導電性酸化物ATO−T−1を使用できる。
上記のほか、アニオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤などを用いてもよい。導電材料は、表面比抵抗値が上記範囲を満たす範囲で使用すればよい。
表面比抵抗値は、高抵抗−抵抗率計(ハイレスタ、三菱化学アナリテック社製)を用いて測定される。
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の比(F/C;原子比)が、0.1以上0.7以下の範囲であることが好ましい。基材の紫外線吸収層を有する側の最表面にフッ素原子が存在していることで、砂や塵等が付着し難くなり、付着した砂等に別の砂が衝突した場合に傷等が生じる破壊モードが抑えられ、耐砂性により優れたものとなる。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面のF/C値は、0.5以上0.7以下の範囲がより好ましい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面のF/C値の調整は、表面の滑り性が良くなって砂塵が付着し難くなる方法であればいずれの方法でもよい。例えば、紫外線吸収層にフッ素系化合物等を含有する方法等が挙げられる。
フッ素系化合物としては、例えば、フッ素含有アクリレート、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などを挙げることができる。フッ素系化合物は、F/C値が上記範囲を満たす範囲で使用すればよい。
F/C値は、X線光電子分光測定装置(Quantum2000、PHI社製)を用いて基材の紫外線吸収層を有する側の最表面における元素量を測定し、算出される値である。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材を用いて構成されている。
基材は、シート状もしくはフィルム状等のいずれでもよく、単層であっても複数のシートもしくはフィルムを貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
中でも、機械的強度や耐熱性、経済性の点から、PETフィルム又はPENフィルムが好ましい。長期間の特性維持の観点から、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(耐加水分解性PETフィルム)又は耐加水分解性ポリエチレンナフタレートフィルム(耐加水分解性PENフィルム)がより好ましい。
また、基材は、耐候性の点で、フッ素系樹脂フィルムも好ましく、ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂フィルムとを積層したフィルムも好適である。
このような耐加水分解性PETフィルムを用いることによって、太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐候性を向上し、長期に亘って太陽電池モジュールの発電性能をより安定的に保持することができる。
固有粘度[η]は、o−クロロフェノールを溶媒としてPETを溶解し、25℃の温度で測定した値である。固有粘度が0.70以上であると、耐加水分解性、耐熱性が良好であり、また固有粘度が1.20以下であると、製膜性に優れたものとなる。
また、PETには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤(例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、耐侯安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等)が配合されてもよい。
また、難燃規格であるUL746AにおけるHAI(高電流アーク・イグニッション)試験に適合するためには、耐加水分解性PETフィルム、PENフィルムの厚みは、200μm〜250μmが好ましい。
基材自体が、紫外線吸収顔料を含有していることが好ましい。
基材が紫外線吸収顔料を含むことで、シート中の総量として求められる紫外線吸収顔料の量を満たしながら、既述の紫外線吸収層中に含有される紫外線吸収顔料の比率を減らすことが可能になる。これにより、紫外線吸収層において、無機酸化物粒子の含有比率を高めやすく、最表面のビッカース硬度がより調節しやすくなる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、ポリオレフィン樹脂と、着色顔料と、を少なくとも含有する層(着色層)を有することが好ましい。
着色層は、基材の紫外線吸収層を有する側とは反対の面に形成されることが好ましい。
着色層は、着色顔料の少なくとも一種を含有することが好ましい。着色顔料は、(1)樹脂層を着色する、(2)色調の維持(退色しない)、(3)紫外線及び/又は可視光の遮光、(4)表面抵抗の低下防止の目的で用いられる。
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれでもよく、目的等に応じて適宜選択すればよく、発電効率の向上や意匠性の観点から、白色顔料又は黒色顔料が好適である。白色顔料としては、白色微粒子が好ましい。白色微粒子の例としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機系の微粒子が好ましく、酸化チタン粒子がより好ましい。
粒子の結晶構造としては、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などの結晶構造が知られているが、優れた白色度と耐候性、及び光反射性などの特性に優れる点で、ルチル型に着色顔料が好ましい。
更に、酸化チタン粒子の安定化の点で、例えばヒンダードアミン系などの光安定剤を樹脂中に添加することもできる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びこれらの混合樹脂が含まれる。
これらのα−オレフィンは、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
特に、重合生産性の点で、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などが好ましい。
着色層の形態としては、特に制限はなく、単層構造又は多層構造のいずれに構成されてもよい。着色層が多層構造に構成される場合、2層構造、3層構造、4層構造などのいずれでもよく、例えば、「A層/B層/C層」の3層が積層された構造を有するポリオレフィン系樹脂多層フィルムとして構成されてもよい。
ポリプロピレン系樹脂組成物としては、耐熱性の点で、ホモポリプロピレン、及びエチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体から選ばれる樹脂、あるいはこれら樹脂とポリエチレンとの混合樹脂を含み、ポリエチレンの含有量が樹脂成分全体の30質量%未満であるものが好ましい。
C層は、B層と同様、耐熱性の点で、ホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とし、ポリプロピレン系樹脂が70質量%以上含まれることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐傷性、耐カール性の点で、ブロック共重合体がより好ましい。
また、A層/B層/C層の積層順にすることで、白色微粒子を含有するB層はA層とC層との間に挟まれることになり、製造時の口金における、粒子を大量に含む樹脂分解物の付着が抑制され、分解物が脱落することによる工程汚染やフィルムの傷の発生をより効果的に回避することができる。
各層を形成するための樹脂をそれぞれ単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ220℃〜280℃の範囲にて溶融する。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルタを通して異物や粗大無機粒子などを除去した後、マルチ・マニホールド型のTダイあるいはTダイ上部に設置したフィードブロックにて、A層/B層/C層の3種3層積層を行い、Tダイより回転金属ロール上に、C層側を金属ロール面側にして吐出し、未延伸フィルムを得る。この際、回転金属ロールの表面温度は、C層の金属ロールへの粘着を起こさず、結晶性が高められる点で、20℃〜60℃に制御されることが好ましい。また、溶融ポリマーを金属ロールに密着させるため、非金属ロール側からエアーを吹き付ける方法や、ニップロールを使用することが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の太陽電池用裏面保護シートを設けて構成されている。具体的には、本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する透明性の基材(ガラス基板等のフロント基材)と、基材上に設けられ、太陽電池素子及び太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、素子構造部分の基板が位置する側と反対側に配置された太陽電池用バックシート(本発明の太陽電池用裏面保護シートを含む)と、を備えており、「透明性のフロント基材/素子構造部分/バックシート」の積層構造を有している。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子が配された素子構造部分を、太陽光が直接入射する側に配置された透明性のフロント基材と、本発明の太陽電池用バックシートと、の間に配置し、フロント基材とバックシートとの間において、太陽電池素子を含む素子構造部分(例えば太陽電池セル)をエチレン−ビニルアセテート(EVA)系等の封止材を用いて封止、接着した構成になっている。
[基材フィルム]
基材フィルムとして、東レ(株)製の耐加水分解性白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;ルミラー(登録商標)X10S(125μm))を準備した。
着色層を構成するフィルムとして、下記の手順により、A層/B層/C層の構造を有するポリオレフィン系樹脂多層フィルムを準備した。
接着剤(LX−703VL、DIC(株)製)10部に対し、硬化剤(KR−90、DIC(株)製)1部を添加し、固形分濃度30%になるよう酢酸エチルにて希釈した接着剤インクを準備した。この接着剤インクを、フィルムコーター(岡崎機械工業(株)製)を用い、乾燥温度120℃にて乾燥した後の厚みが5.0μmとなるように、ルミラー(登録商標)X10S上に塗工し、接着剤層を形成した。
この接着剤層に接触させてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを重ね、ルミラー(登録商標)X10Sとポリオレフィン系樹脂多層フィルムとを貼合して、基材フィルム上に第一の層(ポリオレフィン系樹脂多層フィルム)を形成した。
下記組成中の成分を混合し、紫外線吸収層を形成するための塗布組成物を得た。
<組成>
・(メタ)アクリレート樹脂 ・・・30部
(紫外光吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1、日本触媒社製)
・架橋剤 ・・・15部
(ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂、デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100%)、住化バイエル社製)
・弾性回復性樹脂 ・・・ 5部
(ウレタン(メタ)アクリレート、自己治癒クリアー(登録商標)、ナトコ(株)製)
・酸化チタン(紫外線吸収顔料) ・・・50部
(D−918(粒子径0.26μm)、堺化学社製)
・メチルエチルケトン(溶媒) ・・・180部
以上のようにして、本発明の太陽電池裏面用保護シートを作製した。
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の(メタ)アクリレート樹脂の量を変更し、弾性回復性樹脂を用いなかったこと、及び紫外線照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の(メタ)アクリレート樹脂の量及び弾性回復性樹脂の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例5の太陽電池用裏面用保護シートを作製した。
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の弾性回復性樹脂として、自己治癒クリアー(登録商標)に代えて下記の方法で合成したポリロタキサンAを用い、(メタ)アクリレート樹脂の量及び弾性回復性樹脂の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
100mlの三角フラスコに、ポリエチレングリコール(平均分子量20,000)4g及び乾燥塩化メチレン20mlを入れ、ポリエチレングリコールを溶解した。この溶液をアルゴン雰囲気下におき、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.8gを加え、引き続きアルゴン雰囲気下、室温(20℃)で6時間、攪拌、反応させた。
上記で得られた反応物を、高速攪拌したジエチルエーテル300mlに注いだ。10分間静置後、沈殿物を有する液を10,000rpmで5分間、遠心分離した。沈殿物を取り出し、40℃で3時間真空乾燥した。
得られた生成物を塩化メチレン20mlに溶解した。この液をエチレンジアミン10mlに3時間かけて滴下し、滴下後40分間攪拌した。得られた反応物をロータリーエバポレーターにかけ、塩化メチレンを除去した。その後、水50mlに溶解し、透析チューブ(分画分子量8,000)に入れ、水中で3日間透析した。得られた透析物をロータリーエバポレーターで乾燥した。さらに、この乾燥物を塩化メチレン20mlに溶解し、ジエチルエーテル180mlで再沈させた。沈殿物を有する液を100,000rpmで5分間遠心分離し、40℃で2時間真空乾燥して、ポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
得られたポリエチレングリコールビスアミン4.5gとα−シクロデキストリン18.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し、5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gとの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。析出物を水とメタノールとで各3回ずつ洗浄した後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがα−シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンを「ポリロタキサンa1」とする。
具体的には、紫外線吸収測定では、合成した包接化合物及び2,4−ジニトロアニリンそれぞれの360nmにおけるモル吸光係数を測定することで、シクロデキストリンの包接量を算出した。また、1H−NMR測定では、ポリエチレングリコール部分の水素原子とシクロデキストリン部分の水素原子の積分比から算出した。
ポリロタキサンa2の1H−NMR測定を行い、アセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、75%であった。
架橋性ポリロタキサンAの1H−NMR測定を行い、アクリロイル基及びアセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、87%であった。すなわち、アクリロイル基の導入量(修飾度)は12%である。
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物の(メタ)アクリレート樹脂として)ハルスハイブリットポリマーを用いずに、弾性回復性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレート(自己治癒クリアー(登録商標))及びポリロタキサンAを、表1に示す配合比で、用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7及び比較例2の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層の膜厚を変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例8及び実施例9の太陽電池裏面用保護シートを作製した。
実施例3で形成した紫外線吸収層に対して、さらに下記組成物を塗工し、90℃で2分間乾燥した後、紫外線を照射して硬化することにより、乾燥後の紫外線吸収層の合計の塗工層厚みが4.0μmとなるように紫外線吸収層を形成して、実施例10の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
・(メタ)アクリレート樹脂 ・・・30部
(紫外光吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1、日本触媒社製)
・架橋剤 ・・・15部
(ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂、デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100%)、住化バイエル社製)
・弾性回復性樹脂 ・・・ 5部
(ウレタン(メタ)アクリレート、自己治癒クリアー(登録商標)、ナトコ(株)製)
・メチルエチルケトン(溶媒) ・・・100部
実施例3において、下記表1に示すように、基材中の紫外線吸収顔料の有無と紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の紫外線吸収顔料の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の太陽電池用裏用保護シートを作製した。基材として、実施例11においては透明ポリエチレンテレフタレートフィルム 東洋紡(株)製 コスモシャイン4100を用いた。
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中にその他の添加物を添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例12、及び実施例13の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
実施例12においては導電性ポリマーBaytron(ポリチオフェン系導電性高分子水分散体、Bayer社製)を0.1質量部添加した。
実施例17においては導電性酸化物ATO−T−1(三菱マテリアル電子化成(株)製)を0.13量部添加した。
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中(メタ)アクリレート樹脂の種類と量を変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例14〜実施例16の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
含フッ素アクリルモノマーとして、実施例14〜実施例16においては三菱マテリアル電子化成(株)製のエフトップEF−PA2を用いた。
上記の実施例及び比較例で作製した太陽電池裏面用保護シートについて、以下の方法により評価を行った。評価結果は、下記表1〜表2に示す。
最表面のビッカース硬度は、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)においてTriangular圧子を用いて測定し、負荷−除去モードにおける負荷除去後の深さによって算出した。
表面粗さは、3次元光学プロファイラー(Zigo、キャノン社製)を用いて、0.3mm×0.3mmの領域における表面粗さとして算出した。
表面比抵抗は、高抵抗−抵抗率計(ハイレスタ、三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。
F/Cは、X線光電子分光測定装置(Quantum2000、PHI社製)を用いてフィルム表面における元素量を測定し、算出した。具体的には、下記の測定条件でX線光電子分光測定を行い、測定により得られたF、C、O、及びNのそれぞれのナロースペクトルの強度から、元素組成(at%)を算出した。そして、算出されたF、C、N、及びOの元素組成からF/Cを求めた。測定条件は、以下の通りである。
<測定条件>
・X線源:単色化Al−Ka,出力16kV−34W1(X線発生面積170μmφ)
・帯電中和:電子銃(2μA),イオン銃(1V)併用
・分光系:パスエネルギー
187.85eV(ワイドスペクトル)
58.70eV(ナロースペクトル,N1s)
29.35eV(ナロースペクトル,C1s,O1s,F1s)
11.75eV(ナロースペクトル,C1s)
・取り出し角:45°(表面より)
ASTM D968−05、Method Bに準じた条件にて、シリコンカーバイド粉末を用いて落砂試験を行った。落砂を行い、基材が剥き出しになった時点での落砂量(kg)を、砂によって削られた膜厚(μm)で除した値を評価値とした。
Claims (10)
- 基材と、
(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、
前記基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×107Pa以上1.0×109Pa以下である、太陽電池用裏面保護シート。 - 前記(メタ)アクリレート樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂である請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記紫外線吸収層が、さらにポリロタキサンを含む請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記基材が紫外線吸収顔料を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記最表面の表面粗さが、0.01μm以上0.20μm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記最表面を含む層は、厚みに対する前記紫外線吸収顔料の粒子径の比率が0.01〜0.15である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記最表面の表面比抵抗値が、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の含有比が、原子比で0.1以上0.7以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュール。
- 太陽光が入射する透明性の基材と、前記基材上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、前記素子構造部分の前記基材が位置する側と反対側に配置された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートと、を備えた太陽電池モジュール。
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