JP6204863B2 - 太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュールに関する。
近年、石油や石炭等の化石燃料の代替エネルギーとして、原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電などの種々の方法が検討されており、太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電は、クリーンなエネルギー源として期待されている。
この太陽光発電には、太陽電池素子を封止材で封止し、封止された太陽電池素子を、太陽光が入射する側に配置されるガラス等の表面保護材と、裏面側に配置される裏面保護材と、で挟んだ構造を有する太陽電池モジュールが用いられている。そして最近では、モジュールを構成する裏面保護材には、ポリエステルシートなどの樹脂製シートが適用されている。
太陽電池モジュールは、一般に屋外に設置されて数十年にも及ぶ長期にわたり継続的に使用されるため、発電性能を安定的に維持するには、裏面保護材においても、高度な耐久性が求められる。耐久性としては、太陽光に曝された場合の紫外線耐性や耐熱性などのほか、砂や塵などが風と共に舞って衝突することで引き起こされる傷などに対する耐性も重要である。保護材に傷が付くと、傷のある部分を起点に劣化が促進されやすくなる傾向がある。
裏面保護材としては、基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムの、一方面に白色ポリエチレンフィルムを、他方面に樹脂、所定量の導電材料、及び着色顔料を含有する樹脂層を、それぞれ積層した太陽電池裏面封止シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、裏面保護材の他の例として、ポリエステル基材に、最外層として酸化チタンと樹脂を含む遮光層を有する太陽電池モジュール用バックシートや、樹脂組成物が架橋硬化された保護層、ポリウレタン樹脂に酸化チタン等の顔料が分散されたプライマー層、ポリエステル系樹脂層、及び基材が積層された太陽電池モジュール用裏面保護シート、基材上に樹脂や白色顔料を含む硬化された白色層を有する太陽電池用バックシートが開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
国際公開第2011/068067号パンフレット 特開2011−210835号公報 特開2011−77320号公報 特開2013−65803号公報
しかしながら、従来より知られている裏面保護材は、砂や塵などの衝突に対する耐性としては、環境を問わず充分な特性を満たしているとは必ずしも言い難い。外的応力の影響を従来以上に抑えてより安定した発電性能を確保するには、砂塵等に対する耐性改善が求められる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、砂塵等に対して優れた耐砂性を有する太陽電池用裏面保護シート、及び長期に亘り安定的な発電性能が得られる太陽電池モジュールを提供することを目的とし、目的を達成することを課題とする。
上記の課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 基材と、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である、太陽電池用裏面保護シート。
<2> (メタ)アクリレート樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂である<1>に記載の太陽電池用裏面保護シート。
<3> 紫外線吸収層が、さらにポリロタキサンを含む<1>又は<2>に記載の太陽電池用裏面保護シート。
<4> 基材が紫外線吸収顔料を含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<5> 最表面の表面粗さが、0.01μm以上0.20μm以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<6> 最表面を含む層は、厚みに対する紫外線吸収顔料の粒子径の比率が0.01〜0.15である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<7> 最表面の表面比抵抗値が、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<8> 最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の含有比が、原子比で0.1以上0.7以下である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シート。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュール。
<10> 太陽光が入射する透明性の基材と、基材上に設けられ、太陽電池素子及び太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、素子構造部分の基材が位置する側と反対側に配置された<1>〜<8>のいずれか1つに記載の太陽電池用裏面保護シートと、を備えた太陽電池モジュール。
本発明によれば、砂塵等に対して優れた耐砂性を有する太陽電池用裏面保護シートが提供される。また、本発明によれば、長期に亘り安定的な発電性能が得られる太陽電池モジュールが提供される。
以下、本発明の太陽電池用裏面保護シート及びこれを備えた太陽電池モジュールについて、詳細に説明する。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含することを示し、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルの両方を包含することを示す。
なお、本明細書において、「〜」の表記を用いた数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値をそれぞれ下限値又は上限値として含む範囲を意味する。
<太陽電池用裏面保護シート>
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、少なくとも、基材と、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である範囲として構成されている。
本発明においては、太陽電池モジュールに使用した場合に基材からみて紫外線吸収層を有する側、すなわち露出面において弾性回復率を60%以上とし、且つ、ビッカース硬度の値を特定の領域に調節することで、太陽電池の裏面保護シートに砂塵などが衝突することで発生する変形に対し、修復する力が働き、傷が残り難くなる。
これにより、裏面保護シートに砂が衝突して付く傷等が減り、傷等を起点として促進される耐久性の低下、ひいては太陽電池モジュールの発電性能の低下を防ぐことができる。
本発明の太陽電池用保護シートは、基材の紫外線吸収層を有する側とは反対側の面にポリオレフィン樹脂及び着色顔料を含む層を有することが好ましい。
−最表面の弾性回復率−
本明細書における弾性回復率は、ISO 14577−1(計装化押し込み硬さ)に準拠したナノインデンテーション法により、負荷速度0.14mN/secにて最大荷重1mNとして測定したものである。具体的には、「最大押し込み深さ(hmax)」と「荷重除荷後の押し込み深さ(hf)」とを測定し、(hmax−hf)/(hmax)から算出されるものである。
最大押し込み深さ(hmax)は最大荷重保持時の押し込み深さである。
荷重除去後の押し込み深さ(hf)は完全に荷重を除去した時の押し込み深さである。
例えば、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の弾性回復率が、60%以上である。
弾性回復率が、60%以上であると、砂等の衝突によってシートの変形(表面のへこみ)が起こっても、一定時間経過すると元の形状に戻るため、結果として傷が付きにくく、耐砂性に有利である。
弾性回復率は、62%以上であるのが好ましく、70%以上100%以下であるのがより好ましく、80%以上100%以下であるのがさらに好ましい。
最表面の弾性回復率の調節は、最表面をなす層に用いる材料等を選択することで行なうことができる。具体的には、紫外線吸収層における樹脂の種類や含有比率、架橋剤の種類や架橋度合い、無機粒子の含有量や大きさ、形状、あるいは光硬化する組成、光硬化度、等を適宜選択することにより調節することができる。弾性回復率を調節する具体的な方法及び成分については後述する。
−最表面のビッカース硬度−
太陽電池用裏面保護シートは、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面におけるビッカース硬度を、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下の範囲とする。すなわち、太陽電池モジュールを作製した場合、太陽電池用裏面保護シートにおいて最表面をなすことになり、この最表面のビッカース硬度を所定の範囲に調節することで、砂の衝突に耐える耐性が得られる。
ビッカース硬度が1.0×10Pa以上であると、外力を受けた場合の耐傷性が良化し、砂が衝突した場合に耐久性低下の起点となる傷が付きにくくなる。また、ビッカース硬度が1.0×10Pa以下であると、砂の衝突エネルギーを表面の変形によって吸収することができることから、塑性変形による傷がつきにくくなる。
ビッカース硬度としては、上記の理由から、1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10以下がより好ましい。
ビッカース硬度(単位:Pa)は、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いてTriangular圧子にて計測し、負荷−除去モードにおける負荷除去後の深さから算出される。
最表面のビッカース硬度の調節は最表面をなす層の硬さ等を制御することで行なうことができる。具体的には、紫外線吸収層における樹脂の種類や含有比率、架橋剤の種類や架橋度合い、無機粒子の含有量や大きさ、形状、あるいは光硬化する組成、光硬化度、等を適宜選択することにより調節することができる。弾性回復率を調節する具体的な方法及び成分については後述する。
(紫外線吸収層)
本発明の太陽電池用裏面保護シートを構成する紫外線吸収層は、(メタ)アクリレート樹脂を含むバインダーと、紫外線吸収顔料と、を少なくとも含有し、最表面とする場合は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース高度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である。
−バインダー−
紫外線吸収層は、バインダーの少なくとも一種を含有し、バインダーの1つとして、(メタ)アクリレート樹脂を含有する。(メタ)アクリレート樹脂は、樹脂材料の中でも比較的硬い樹脂であり、少なくとも(メタ)アクリレート樹脂を含むことで、最表面の表面硬度が高められる。
(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルが単独重合もしくは他のモノマー成分と共重合した樹脂であり、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルから選ばれるエステルモノマーを重合させることで得られる。
また、他のモノマー成分としては、不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等)、不飽和炭化水素(例えばブタジエン、エチレン等)、及びビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)からなる群より選ばれるモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリレート樹脂は、架橋構造の基点(架橋点)となる水酸基を導入し、アクリルポリオール系樹脂として含有されてもよい。(メタ)アクリレート樹脂に水酸基を与えて(メタ)アクリルポリオール樹脂とするための重合モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。
(メタ)アクリレート樹脂としては、(メタ)アクリルポリオール樹脂と紫外線吸収剤とが共重合した樹脂や、(メタ)アクリルポリオール樹脂と光安定化剤とが共重合した樹脂を使用してもよい。
(メタ)アクリルポリオールと光安定化剤又は紫外線吸収剤とが共重合した樹脂の製造方法等の詳細については、特開2002−90515号公報の段落0019〜0039の記載を参照することができある。
中でも、アクリルモノマーと紫外線吸収剤と光安定化剤とが共重合した共重合物は好ましく、この共重合物を有効成分として含有するハルスハイブリッドポリマー(登録商標)〔日本触媒社製〕などを好適に用いることができる。
なお、紫外線吸収剤及び光安定化剤の詳細については、国際公開第2011/068067号明細書パンフレットの段落0027〜0028の記載を参照することができる。
(メタ)アクリレート樹脂は、架橋点を有して、この架橋点において(メタ)アクリレート樹脂が架橋剤で架橋されている態様が好ましい。これにより、最表面のビッカース硬度を調節できる。架橋剤の詳細については、後述する。
−架橋剤−
紫外線吸収層は、(メタ)アクリレート樹脂を架橋する架橋剤の少なくとも一種を含有することができる。架橋剤は、(メタ)アクリレート樹脂中の架橋点となる例えば水酸基と反応して紫外線吸収層を架橋硬化し、最表面のビッカース硬度を調節できる。
架橋剤としては、ポリイソシアネート系樹脂が好ましく、ウレタン結合(架橋構造)の生成を促す処方に構成されるのが好ましい。
架橋剤として用いられるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、及び脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは、以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、及び4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、及び1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンジイソシアネート、及び2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。中でも、ポリイソシアネートの原料としては、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂環族ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましい。
更に、耐溶剤性の観点から、紫外線吸収層はより硬化性に優れた脂環族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
また、アクリルポリオール系樹脂との架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性などの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
架橋剤は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例としては、住化バイエル社製のデスモジュール(登録商標)シリーズ(例えばデスモジュールN3300)などが挙げられる。
−弾性回復性樹脂−
紫外線吸収層は、砂や塵などが衝突した場合に自己修復されるように、最表面の弾性回復率が60%以上であり、表面のビッカース硬度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である層に構成される。
紫外線吸収層は、弾性回復率及びビッカース硬度を上記の範囲に調整するため、弾性回復性樹脂を含む。
紫外線吸収層を上記のような弾性回復率及びビッカース硬度を有する層とするため、例えば、光硬化性樹脂(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂など)、熱硬化性樹脂(例えば、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂など)等を用いて構成することができる。
中でも、光硬化性樹脂が好ましく、弾性回復率及び硬度を調整しやすいという観点から、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
−ウレタン(メタ)アクリレート−
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した後に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる生成物、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂とイソシアネートとの重合体、等が好適に挙げられる。
ポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものであり、その具体例として、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリオキシプロピレンジオール(PPG)、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられる。
また、ポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、その具体例として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
上記したポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、日本合成社製の紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(例えば、UV1700B、UV6300B、UV7600B等)などが挙げられる。
また、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂とイソシアネートとの重合体としては、特開2012−25821号公報の「請求項2」及び「請求項3」並びに段落0142〜0148に記載された方法により調製することができる。
最表層は、表面の防汚性、耐摩擦係数の低減(滑りやすさ)等の点で、フッ素原子を含有している態様が好ましい。
フッ素原子を含有させる方法としては、例えば、上述した水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)とともに、含フッ素アクリレートモノマーを併用する方法や、特開2011−158751号公報の段落0124等に記載のフッ素化処理により含有させることができる。
−ポリロタキサン−
紫外線吸収層を上記のような弾性回復率及びビッカース硬度を有する層とするため、紫外線吸収層の好適な他の態様として、例えばポリロタキサンを含有する層として構成することができる。
ポリロタキサンは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に貫かれ、複数の環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置した分子複合体である。
なお、ポリロタキサンとは、分子複合体に加えて、分子複合体同士が環状分子部分で架橋された架橋体、及び分子複合体と他のモノマーやポリマーとが重合した重合体を含む概念である。
〜直鎖状分子〜
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子又は物質であって、直鎖状のものであれば特に制限されない。
なお、「直鎖状分子」とは、高分子を含めた分子及びその他上記の要件を満たす全ての物質をいう。
また、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、回転子である環状分子が回転可能もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
直鎖状分子としては、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキサイド(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/又はこれらの共重合体など)、疎水性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂など;及びこれらの誘導体又は変性体など)を挙げることができる。
これらのうち、直鎖状分子は、ヘイズ値及び反射率の維持率がより高くなる点で、親水性ポリマーであることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、又はポリプロピレンであることがより好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体であることがさらに好ましく、ポリエチレングリコールであることが特に好ましい。
直鎖状分子は、高い破壊強度を有していることが好ましい。ポリロタキサンを含有する層の破壊強度は、ブロック基と直鎖状分子との結合強度、環状分子と表面被覆層の他の成分との結合強度、環状分子同士の結合強度など、その他の因子にもよるが、直鎖状分子自体が高い破壊強度を有していると、より高い破壊強度が得られる。
直鎖状分子の分子量は、1,000以上(例えば1,000〜1,000,000)が好ましく、より好ましくは5,000以上(例えば5,000〜1,000,000又は5,000〜500,000)、さらに好ましくは10,000以上(例えば10,000〜1,000,000、10,000〜500,000、又は10,000〜300,000であることが好ましい。
また、直鎖状分子は、環境への影響の観点から、生分解性分子であることが好ましい。
直鎖状分子は、その両末端に反応性基を有するのが好ましい。反応性基を有することで、ブロック基と容易に反応することができる。反応性基は、用いるブロック基に依存するが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができる。
〜環状分子〜
ポリロタキサンを構成する環状分子は、直鎖状分子と包接可能な環状分子であれば、いずれの環状分子であってもよい。
なお、「環状分子」とは、環状分子を含む種々の環状物質をいい、実質的に環状である分子又は物質をいう。ここで、「実質的に環状である」とは、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものを含む意であり、英字の「C」の一端と多端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含む意である。
環状分子として、例えば、種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン及びグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体又は変性体など)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、及びジシクロヘキサノクラウン類、並びにこれらの誘導体又は変性体などを挙げることができる。
シクロデキストリン類及びクラウンエーテル類などは、種類によって環状分子の開口部の大きさが異なる。したがって、直鎖状分子の種類、具体的には用いる直鎖状分子を円柱状と見立てた場合、その円柱の断面の直径、直鎖状分子の疎水性又は親水性などにより、用いる環状分子を選択することができる。また、開口部が相対的に大きな環状分子と、相対的に直径が小さな円柱状の直鎖状分子を用いた場合、環状分子の開口部に2以上の直鎖状分子を包接することもできる。なかでも、環境への影響等の観点から、シクロデキストリン類(特にα−シクロデキストリン)であることが好ましい。
直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、環状分子がシクロデキストリンの場合、その最大包接量を1とすると、0.05〜0.60が好ましく、0.10〜0.50がさらに好ましく、0.20〜0.40がさらに好ましい。
環状分子がα−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン系化合物である場合、シクロデキストリン系化合物は、防汚性に優れる点で、水酸基の少なくとも1つが疎水性基によって置換(修飾)されたものが好ましい。
疎水性基の具体例としては、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基、フッ素原子含有有機基、不飽和二重結合基などが挙げられる。中でも、防汚性により優れる点で、アシル基(特にアセチル基)又はフッ素原子含有有機基が好ましい。不飽和二重結合基の具体例は、後述する不飽和二重結合基と同様である。
フッ素原子含有有機基は、フッ素原子を含有する1価の有機基であれば特に制限されない。なお、フッ素原子含有有機基は、フッ素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子)を含んでいてもよい。
1価の有機基としては、特に制限はなく、具体例として、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、アリール基)、複素環基(例えば、アゾール基、ピリジル基)などが挙げられる。
フッ素原子含有有機基は、防汚性により優れる点で、下記式(1)で表される基であることが好ましい。
式(1)において、R11は、フッ素原子を有するアルキル基を表し、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
12は、分岐していてもよい1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルキニル基などが挙げられ、中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
11及びL12は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基などのアリーレン基)、−O−、−S−、−SO−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。L11は、アルキレン基であることが好ましい。L12は、下記式(2)で表される基であることが好ましい。式(1)中の「*」は、結合位置を表す。
式(2)において、X及びXは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。また、式(2)中の「*」は、結合位置を表す。
疎水性基による修飾度は、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数を1とすると、0.02以上(好ましくは1以下)であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることがさらに好ましい。
ここで、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数とは、換言すれば、修飾する前にシクロデキストリンが有していた全水酸基数のことである。修飾度とは、換言すれば、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
〜ブロック基〜
ポリロタキサンを構成するブロック基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持する基であれば、いかなる基を用いてもよい。このような基として、例えば「嵩高さ」を有する基及び/又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。ここで、「基」というのは、分子基及び高分子基を含めた種々の基を意味する。また、「イオン性」を有する基の「イオン性」と、環状分子の有する「イオン性」とが影響しあうことにより、例えば反発しあうことにより、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持することができる。
また、ブロック基は、上述のように、串刺し状になった形態を保持するものであれば、高分子の主鎖であっても、側鎖であってもよい。ブロック基が高分子Aである場合、マトリクスとして高分子Aがありその一部にポリロタキサンが含まれる形態であってもよいし、逆にマトリクスとしてポリロタキサンがありその一部に高分子Aが含まれる形態であってもよい。このように、種々の特性を有する高分子Aと組み合わせることにより、ポリロタキサンの特性と高分子Aの特性とを組み合わせて有する複合材料を形成することができる。
ブロック基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル、シクロデキストリン、アダマンタン、トリチル、フルオレセイン及びピレン、並びにこれらの誘導体又は変性体に由来の基を挙げることができる。
ブロック基は、上記の疎水性基により置換(修飾)されたものでもよい。
〜ポリロタキサンの合成方法〜
ポリロタキサンの合成方法は、特に制限されないが、例えば、特許第2810264号公報や特許第3475252号公報に記載の方法などにより合成することができる。
具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基として2,4−ジニトロフェニル基、疎水性基としてアセチル基、不飽和二重結合基としてアクリロイル基を用いた場合、例えば、以下のようにして合成することができる。
まず、後に行うブロック基の導入のために、ポリエチレングリコールの両末端をアミノ基に変性してポリエチレングリコール誘導体を得る。α−シクロデキストリン及びポリエチレングリコール誘導体を混合して擬ポリロタキサンを調製する。調製に際して、最大包接量を1とした場合、包接量が1に対して、0.001〜0.6となるように、例えば混合時間を1時間〜48時間とし、混合温度を0℃〜100℃とすることができる。
一般に、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000に対して、α−シクロデキストリンは、最大230個包装することができる。したがって、この値が最大包接量である。上記条件は、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000を用いて、α−シクロデキストリンが平均60〜65個(63個)、すなわち最大包接量の0.26〜0.29(0.28)の値で包接するための条件である。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、光吸収、元素分析などにより確認することができる。
得られた擬ポリロタキサンを、DMFに溶解した2,4−ジニトロフルオロベンゼンと反応させることにより、ブロック基を導入したポリロタキサンを得る。
上述したシクロデキストリン類の疎水性基による修飾は、合成したポリロタキサンに対して行っても、ポリロタキサンを合成する前に予めシクロデキストリン類に対して行ってもよい。
疎水性基としてアセチル基による修飾を行う方法としては、例えば、無水酢酸を用いてシクロデキストリンの水酸基を修飾する方法などが挙げられる。
〜ポリロタキサンの好適な態様〜
ポリロタキサンは、防汚性に優れる点で、環状分子に、アシル基(特にアセチル基)及びフッ素原子含有有機基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するものが好ましく、フッ素原子含有有機基を有するものがより好ましく、アシル基(特にアセチル基)及びフッ素原子含有有機基を有するものがさらに好ましい。
紫外線吸収層中のポリロタキサンの含有量は、ヘイズ値及び反射率の維持率がより高くなる点で、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
また、紫外線吸収層中の、フッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量は、ヘイズ値及び反射率の維持率がより高くなる点で、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%以上30質量%未満がより好ましく、1質量%〜20質量%がさらに好ましく、10質量%〜20質量%が特に好ましい。
ポリロタキサンの含有量は、NMR法(溶液NMR法、固体NMR法)や特開2010−261134号公報に記載のX線回折法などにより求めることができる。
なお、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む層形成用組成物を用いて硬化された紫外線吸収層を形成する場合、紫外線吸収層中のポリロタキサンの含有量とは、層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量(質量%)をさす。同様に、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む層形成用組成物を用いて硬化された紫外線吸収層を形成する場合、紫外線吸収層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量とは、層形成用組成物中の全固形分に対するフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量(質量%)をさす。
〜ポリロタキサンを含む紫外線吸収層の形成方法〜
ポリロタキサンを含有する紫外線吸収層を形成する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、環状分子に反応性基を有するポリロタキサンと溶媒とを含む層形成用組成物を、基材上に塗布し、塗布形成された層形成用組成物に加熱処理又は光照射処理の少なくとも一方を施すことで硬化させて紫外線吸収層を形成する方法などが挙げられる。
なお、加熱処理又は光照射処理後に、適宜加熱処理又は光照射処理後の組成物から溶媒を使用して未反応の成分を除去してもよい。
反応性基の具体例は、既述の直鎖状分子の反応性基と同様である。中でも、反応性基は、水酸基(特にポリカプロラクトン基)又は重合性基であることが好ましく、重合性基であることがより好ましい。ここで、ポリカプロラクトン基は、*−(CO−C10O)−H(*:結合位置、n:整数)で表される基である。重合性基の具体例は、不飽和二重結合基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基であることがより好ましい。
好ましいポリロタキサンとしては、環状分子に不飽和二重結合基を有するポリロタキサンを挙げることができる。
環状分子に不飽和二重結合基を導入する方法としては、例えば、次に挙げる方法が挙げられる。すなわち、イソシアネート化合物などによるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物などによるエステル結合形成による方法;シラン化合物などによるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物などによるカーボネート結合形成による方法;などである。
カルバモイル結合を介して、不飽和二重結合基として(メタ)アクリロイル基を導入する場合、ポリロタキサンをDMSO、DMFなどの脱水溶媒に溶解し、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化剤を加えることで行う。その他、エーテル結合やエステル結合を介して導入する場合、グリシジル基や酸クロライドなどの活性基を有する(メタ)アクリル化剤を用いることもできる。
環状分子が有する水酸基を不飽和二重結合基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサンが環状分子に反応性基を有するポリロタキサンである場合、ポリロタキサン同士を反応させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士を反応させる前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換する不飽和二重結合基に依存するが、特に制限されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。
−紫外線吸収顔料−
紫外線吸収層は、紫外線吸収顔料の少なくとも一種を含有する。紫外線吸収顔料は、紫外領域に吸収を有する顔料であり、具体的には250nm〜450nmの波長領域に吸収を有する顔料が挙げられる。紫外線吸収顔料としては、無機顔料又は有機顔料のいずれでもよいが、耐紫外線性、意匠性の観点から、白色顔料又は黒色顔料が好ましい。
白色顔料としては、酸化チタンが好ましく、発色の観点から、特に数平均粒子径が0.1μm〜1.0μmの酸化チタンが好ましい。更には、上記の(メタ)アクリレート樹脂(特にアクリルポリオール系樹脂)に対する分散性やコストの点で、数平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの酸化チタンがより好ましい。
また、黒色顔料としては、カーボンブラックが好ましく、数平均粒子径が0.01μm〜0.5μmのカーボンブラックが好ましい。更には、上記の(メタ)アクリレート樹脂(特にアクリルポリオール系樹脂)に対する分散性やコストの点で、数平均粒子径が0.02μm〜0.1μmのカーボンブラックがより好ましい。
紫外線吸収顔料の含有量は、紫外線吸収層全体に対して40質量%〜70質量%が好ましく、45質量%〜55質量%がより好ましい。紫外線吸収顔料の含有量が40質量%以上であると、紫外線及び/又は可視光に対する遮光性能が良好であり、屋外に長期間曝された場合でも基材フィルムの劣化、黄変を防ぐことができる。紫外線吸収顔料の含有量が70質量%以下であると、層表面におけるチョーキング(Chalking)の発生が防止される。
−無機微粒子−
紫外線吸収層は、層のビッカース硬度を調整する観点から、無機微粒子の少なくとも一種を含有してもよい。無機微粒子を含有することで、無機微粒子の持つ硬さに寄与して膜の硬度や屈折率を調整することができる。また、無機微粒子として親疎水性基で変性した微粒子を選択した場合、紫外線吸収層の表面の濡れ性や、紫外線吸収層上に形成された層との層間密着力を制御することができる。
無機微粒子の平均粒子径としては、特に紫外線吸収層の硬度をより高める点で、2nm〜200nmの範囲が好ましく、10nm〜150nmの範囲がより好ましい。 平均粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求められる。具体的には、粒子の投影面積を求め、投影面積から円相当径を求めて、平均粒子径(平均一次粒子径)とする。平均粒子径は、300個以上の粒子について投影面積を測定して、円相当径を求めることで算出される値である。
無機微粒子としては、無機酸化物粒子等の無機粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、Si、Al、及びZrから選ばれる元素を有する無機酸化物粒子が好ましく、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)などの粒子が挙げられる。中でも、分散性の点で、二酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子がより好ましく、アスペクト比を制御できる点で、アルミナ粒子が更に好ましい。
無機酸化物粒子のアスペクト比は、300以上800以下の範囲が好ましい。すなわち、無機酸化物粒子は、層の割れを防ぎ、層厚を厚くした場合でも割れの発生防止効果が得られる点で、繊維状、棒状、針状などの細長い形状を持つ粒子が好ましい。
具体的には、繊維状もしくは針状の形状を持つアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子が特に好適である。
アスペクト比としては、アスペクト比は、粒子を電子顕微鏡で観察し、各粒子の短軸長さと長軸長さを計測し、計測された短軸長さに対する長軸長さの比として求められる。
シリカ粒子としては、四塩化ケイ素の燃焼によって製造される乾燥粉末状のシリカを用いることもできるが、二酸化ケイ素が溶媒中に分散したコロイダルシリカを用いることがより好ましい。具体的には、シリカ粒子の例として、日産化学工業社製のスノーテックスシリーズ(例えば、スノーテックスMEK−ST、同MEK−ST−L、同MEK−ST−XL、同O−L等)、AGC社製のサンスクエアH−121−ETなどが挙げられる。
酸化ジルコニウム粒子としては、例えば、日産化学工業社製のナノユースシリーズ(例えば、ナノユースZR等)などが挙げられる。
アルミナ水和物粒子は、無定形、ベーマイト、及び擬ベーマイトから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ベーマイト又は擬ベーマイトがさらに好ましい。
ここで、ベーマイトとは、Al23・nH2O(n=1〜1.5)で表されるアルミナ水和物の結晶である。また、擬ベーマイトとは、ベーマイトのコロイド状凝集体をさす。
なお、無機酸化物粒子として用いることができるアルミナ粒子の結晶系はγ、θ及びαから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、γ又はθがさらに好ましい。
市販品としては、例えば、川研ファインケミカル(株)製のベーマイトゾル、川研ファインケミカル社製のアルミナゾルA−2、日産化学社製のAS−520、扶桑化学社製のクォートロン、住友化学社製のAKPシリーズなどが挙げられる。また、アスペクト比が比較的大きい(長軸長さ/短軸長さ=300〜800)粒子の例として、川研ファインケミカル社製の酸化アルミニウム(アルミナゾルF−1000(アスペクト比:350)、アルミナゾルF−3000(アスペクト比750)等)などが挙げられる。
アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子は、水性溶液に分散していることが好ましい。アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子が分散している水性溶液を水性アルミナゾルといい、この水性アルミナゾルは、加水分解性アルミニウム化合物を加水分解し、酸性下でコロイドを形成することにより製造することができる。加水分解性アルミニウム化合物には、各種の無機アルミニウム化合物及び有機性の基を有するアルミニウム化合物が包含される。無機アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの無機酸の塩、アルミン酸ナトリウムなどのアルミン酸塩、水酸化アルミニウムなどが例示される。
また、有機性の基を有するアルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、環状アルミニウムオリゴマー、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウムなどのアルミニウムキレート、アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などが例示される。
これらの化合物のうち、適度な加水分解性を有し、副生成物の除去が容易であることなどから、アルミニウムアルコキシドが好ましく、炭素数2〜5のアルコキシル基を有するものが特に好ましい。
加水分解に使用する酸としては、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの一価の酸が好ましく、操作性、経済性の点で酢酸が特に好ましい。酸の使用量は、アルミニウムアルコキシドに対して、0.2モル倍〜2.0モル倍であり、好ましくは0.3モル倍〜1.8モル倍である。加水分解に使用する酸の使用量を上記範囲内とすることにより、得られる粒子の平均アスペクト比を所望の範囲とすることができ、かつ経時安定性を高めることができる。
なお、加水分解は、100℃以下で0.1時間〜3時間行うことが好ましい。
加水分解するアルミニウムアルコキサイドの酸水溶液の固形分濃度は、2質量%〜15質量%が好ましく、好ましくは3質量%〜10質量%である。固形分濃度を上記範囲内とすることにより、得られる粒子の平均アスペクト比を所望の範囲とすることができ、反応液の撹拌性も高めることができる。
加水分解で生成したアルコールを留去後、解膠処理を行う。解膠処理は、100℃〜200℃で0.1時間〜10時間、更に好ましくは110〜180℃で0.5時間〜5時間加熱して行うことが好ましい。
このようにして、所望の平均アスペクト比を有する無機酸化物粒子が得られる。
無機酸化物粒子の、紫外線吸収層中におけるバインダー及び無機酸化物粒子に対する体積比率は、15体積%以上40体積%以下であることが好ましい。無機酸化物粒子の体積比率が上記範囲であると、紫外線吸収層の表面のビッカース硬度を所定範囲に調整することができる。
−界面活性剤−
紫外線吸収層には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有することができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、パイオニンD−6512、D−6414、D−6112、D−6115、D−6120、D−6131、D−6108−W、D−6112−W、D−6115−W、D−6115−X、D−6120−X(竹本油脂(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、ナロアクティーCL−95、HN−100(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデッドBL(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・フォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越化学工業株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、水性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
紫外線吸収層は、塗布により形成することができる。例えば、硬化性樹脂を含有する硬化性組成物を調製し、この組成物を塗布液として塗布し、紫外線照射して硬化させる方法等が挙げられる。
塗布は、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置を用いた塗布法により行うことができる。
紫外線吸収層を形成するための組成物は、既述の成分以外に、溶剤や各種添加剤を含有してもよい。
溶剤としては、例えば、炭化水素類、ハロゲン化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等が挙げられ、具体的には、キシレン、ジブチルエーテル等が好適に挙げられる。
添加剤としては、例えば、光重合開始剤、帯電防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、シランカップリング等が挙げられる。
紫外線吸収層の形態としては、単層構造又は多層構造のいずれに構成されてもよい。紫外線吸収層が多層構造に構成される場合、内側(基材側)の層が紫外線吸収顔料を含み、外側(紫外線吸収層の表面側)の層が紫外線吸収顔料を含まないことが好ましい。
紫外線吸収層が多層構造に構成される場合、最表層の表面の弾性回復率が60%以上であり、最表層の表面のビッカース硬度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であればよい。
紫外線吸収層の厚み(多層構造の場合は各層の合計の厚み)としては、用途等により適宜選択すればよいが、0.2μm〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmである。紫外線吸収層の厚みは、紫外線吸収層を塗布形成するための塗工液の塗布量を調整することにより制御することができる。
更に、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、以下の性質を有することが好ましい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面が以下の性質を有していることで、耐砂性をより効果的に向上させることができる。
(1)表面粗さ
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面粗さは、0.01μm以上0.20μm以下の範囲にあることが好ましい。基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面粗さは既述したように、紫外線吸収層の材質を選択することで上記範囲に調節することができる。
表面粗さが0.01μm以上であると、太陽電池用裏面保護シートに滑り性が向上し容易にハンドリングできる点で有利である。また、表面粗さが0.20μm以下であると、砂等が衝突する際に削られにくくなり、傷等の発生を防ぐことができる点で有利である。
表面粗さとしては、0.05μm以上0.20μm以下が好ましく、0.1μm以上0.15μm以下がより好ましい。
ここでの表面粗さは、3次元光学プロファイラー(Zigo、キャノン社製)を用い、0.3mm×0.3mmの領域における表面粗さとして算出することで求められる値である。
上記の表面粗さは、紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収顔料のサイズ(粒径)や含有量と層の厚みとを調整することで、上記範囲に調節することができる。例えば、紫外線吸収層において、層中に含まれる紫外線吸収顔料の粒径(μm)の層厚(μm)に対する比(=粒径/層厚)を、0.01〜0.15の範囲に調節することで上記範囲にすることができる。紫外線吸収顔料の粒径の層厚に対する比は、0.07〜0.15の範囲に調節されるのが好ましい。
(2)表面比抵抗値
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面比抵抗値は、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。最表面の表面比抵抗値が上記範囲内にあることで、砂や塵等が付着し難くなり、付着した砂等に別の砂が衝突した場合に傷等が生じる破壊モードが抑えられ、耐砂性により優れたものとなる。
最表面の表面比抵抗値は、1.0×1012Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲がより好ましい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の表面比抵抗値の調整は、表面のスタチック性が低下する方法であればいずれの方法によってもよく、例えば、帯電防止剤などの導電材料を紫外線吸収層に含有する方法が挙げられる。帯電防止剤としては、国際公開第2011/068067号明細書パンフレットの段落0034〜0048の記載を参照することができる。具体的な例としては、導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン系ポリマー、ポリピロール系ポリマー、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマーなどが挙げられ、市販品の例としてBayer社製の導電性ポリマーBaytronを使用できる。更に、導電性酸化物としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸カリウム、酸化チタン、スズ−アンチモン系酸化物、インジウム−スズ系酸化物、アンチモン−スズ系酸化物などが挙げられ、市販品の例として三菱マテリアル電子化成社製の導電性酸化物ATO−T−1を使用できる。
上記のほか、アニオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤などを用いてもよい。導電材料は、表面比抵抗値が上記範囲を満たす範囲で使用すればよい。
表面比抵抗値は、高抵抗−抵抗率計(ハイレスタ、三菱化学アナリテック社製)を用いて測定される。
(3)炭素原子に対するフッ素原子の含有比(F/C)
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、基材の紫外線吸収層を有する側の最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の比(F/C;原子比)が、0.1以上0.7以下の範囲であることが好ましい。基材の紫外線吸収層を有する側の最表面にフッ素原子が存在していることで、砂や塵等が付着し難くなり、付着した砂等に別の砂が衝突した場合に傷等が生じる破壊モードが抑えられ、耐砂性により優れたものとなる。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面のF/C値は、0.5以上0.7以下の範囲がより好ましい。
基材の紫外線吸収層を有する側の最表面のF/C値の調整は、表面の滑り性が良くなって砂塵が付着し難くなる方法であればいずれの方法でもよい。例えば、紫外線吸収層にフッ素系化合物等を含有する方法等が挙げられる。
フッ素系化合物としては、例えば、フッ素含有アクリレート、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などを挙げることができる。フッ素系化合物は、F/C値が上記範囲を満たす範囲で使用すればよい。
F/C値は、X線光電子分光測定装置(Quantum2000、PHI社製)を用いて基材の紫外線吸収層を有する側の最表面における元素量を測定し、算出される値である。
(基材)
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材を用いて構成されている。
基材は、シート状もしくはフィルム状等のいずれでもよく、単層であっても複数のシートもしくはフィルムを貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。
中でも、機械的強度や耐熱性、経済性の点から、PETフィルム又はPENフィルムが好ましい。長期間の特性維持の観点から、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(耐加水分解性PETフィルム)又は耐加水分解性ポリエチレンナフタレートフィルム(耐加水分解性PENフィルム)がより好ましい。
また、基材は、耐候性の点で、フッ素系樹脂フィルムも好ましく、ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂フィルムとを積層したフィルムも好適である。
耐加水分解性PETフィルムとは、140℃の高圧スチーム下で10時間保管した後の引張伸度が、保管前の引張伸度に対して60%以上保っているものをさす。
このような耐加水分解性PETフィルムを用いることによって、太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐候性を向上し、長期に亘って太陽電池モジュールの発電性能をより安定的に保持することができる。
耐加水分解性PETフィルムは、ジカルボン酸成分にテレフタル酸を、ジオール成分にエチレングリコールを用いた、固有粘度[η]が0.70〜1.20(より好ましくは0.75〜1.00)のPETを二軸延伸することで得ることができる。
固有粘度[η]は、o−クロロフェノールを溶媒としてPETを溶解し、25℃の温度で測定した値である。固有粘度が0.70以上であると、耐加水分解性、耐熱性が良好であり、また固有粘度が1.20以下であると、製膜性に優れたものとなる。
PETは、単独重合体であるホモPETであってもよいし、共重合成分が共重合した共重合PETであってもよい。共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
また、PETには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤(例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、耐侯安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等)が配合されてもよい。
耐加水分解性PETフィルムの具体例 としては、東レ(株)製の「ルミラー」(登録商標)X10Sなどを挙げることができる。
PENフィルムは、ジカルボンサン成分に2,6−ナフトルジカルボン酸を、ジオール成分にエチレングリコールを用い、公知の方法で重合された樹脂を二軸延伸することで得られる。
耐加水分解性PETフィルムやPENフィルムの厚みは、38μm〜300μmが好ましく、フィルムのコシ、耐電圧性、並びにコスト及び加工適性の点で、50μm〜250μがより好ましい。
また、難燃規格であるUL746AにおけるHAI(高電流アーク・イグニッション)試験に適合するためには、耐加水分解性PETフィルム、PENフィルムの厚みは、200μm〜250μmが好ましい。
フッ素系樹脂フィルムは、フッ素系樹脂を溶融して口金からシート状に押し出して回転冷却ドラム上で冷却化されることで、所望の厚みのフィルムとして得られる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフロロエチレン・プロピレン共重合体、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン・プロピレン共重合体、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフロロプロピレン・テトラフロロエチレン共重合体(FEP)、又はパーフロロ(アルキルビニルエーテル)・テトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフロロエチレン樹脂などが挙げられる。これらのうち、溶融押出成形性の点で、特にポリフッ化ビニル、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフロロプロピレン・テトラフロロエチレン共重合体(FEP)、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)・テトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフロロエチレン重合体が好ましい。
基材は、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、化学処理などの表面処理を施してもよい。表面処理を施すことで基材表面を活性化処理することで、隣接層の密着性を高めることができる。
−紫外線吸収顔料−
基材自体が、紫外線吸収顔料を含有していることが好ましい。
基材が紫外線吸収顔料を含むことで、シート中の総量として求められる紫外線吸収顔料の量を満たしながら、既述の紫外線吸収層中に含有される紫外線吸収顔料の比率を減らすことが可能になる。これにより、紫外線吸収層において、無機酸化物粒子の含有比率を高めやすく、最表面のビッカース硬度がより調節しやすくなる。
基材に含有される紫外線吸収顔料は、既述の紫外線吸収層で使用可能な紫外線吸収顔料と同様であり、好ましい態様も同様である。
基材が紫外光吸収顔料を含む場合、基材中における紫外光吸収顔料の含有量は、基材を構成する樹脂に対して、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜10質量% がより好ましい。基材中における紫外光吸収顔料の含有量が1質量%以上であると、第二の層に含有される紫外光吸収顔料の量を減らし、所望量の無機酸化物粒子を添加しやすくなる。また、紫外光吸収顔料の含有量が20質量%以下であると、基材の脆化防止の点で有利である。
(着色層)
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、ポリオレフィン樹脂と、着色顔料と、を少なくとも含有する層(着色層)を有することが好ましい。
着色層は、基材の紫外線吸収層を有する側とは反対の面に形成されることが好ましい。
−着色顔料−
着色層は、着色顔料の少なくとも一種を含有することが好ましい。着色顔料は、(1)樹脂層を着色する、(2)色調の維持(退色しない)、(3)紫外線及び/又は可視光の遮光、(4)表面抵抗の低下防止の目的で用いられる。
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれでもよく、目的等に応じて適宜選択すればよく、発電効率の向上や意匠性の観点から、白色顔料又は黒色顔料が好適である。白色顔料としては、白色微粒子が好ましい。白色微粒子の例としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機系の微粒子が好ましく、酸化チタン粒子がより好ましい。
粒子の結晶構造としては、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などの結晶構造が知られているが、優れた白色度と耐候性、及び光反射性などの特性に優れる点で、ルチル型に着色顔料が好ましい。
酸化チタンは、粒子表面が表面被覆剤によって表面被覆処理されていることが好ましい。表面被覆剤の組成は限定されないが、酸化ケイ素やアルミナ、又は酸化亜鉛などの無機酸化物が好ましい。表面被覆剤による被覆方法には特に制限はなく、公知の方法で表面被覆された酸化チタン粒子を使用することができる。
更に、酸化チタン粒子の安定化の点で、例えばヒンダードアミン系などの光安定剤を樹脂中に添加することもできる。
着色顔料(特に白色微粒子)の平均粒子径としては、0.2μm〜0.7μmが好ましく、可視光の反射率をより高める点で、0.25μm〜0.35μmがより好ましい。
着色層中における着色顔料の含有量としては、着色層の面積に対して、1g/m〜30g/mの範囲が好ましく、5g/m〜2/mの範囲がより好ましい。また、後述のように、着色の層が積層構造に構成される場合、例えば3層構造からなる着色の層の厚みは、50μm〜300μmの範囲が好ましい。
−ポリオレフィン樹脂−
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びこれらの混合樹脂が含まれる。
ポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、あるいはこれらの混合樹脂を挙げることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(以下、LLDPEと略記することがある)であり、炭素数4〜20(好ましくは4〜8)のα−オレフィンの共重合体であることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの具体例としては、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1などとの共重合体が挙げられる。
これらのα−オレフィンは、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
特に、重合生産性の点で、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体を挙げることができる。
エチレンとプロピレンとの共重合体は、エチレン含有量が1モル%〜15モル%の範囲のものが好ましい。エチレン含有量が1モル%以上であると、LLDPE又はLDPEあるいはこれらの混合樹脂への分散性が向上し、金属ロールやゴムロールとの間で擦過が生じた場合に、樹脂が脱落し難く、白粉発生を抑制することができる。また、EVAとの密着力を高くなる。一方、エチレン含有量が15モル%以下であると、EVAと熱圧着させた際に、シート厚さが低減せず、バスバー等の隠蔽性を高めることができる。
ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRとしては、1.0g/10分〜15g/10分の範囲が好ましい。MFRが1.0g/10分以上であると、製膜工程において口金の吐出幅よりもフィルム幅が低下(ネックダウン)しにくく、フィルムの安定製造が容易になる。また、MFRが15g/10分以下であると、結晶化速度が低下し、フィルムが脆くならないため好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の融点は、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐カール性、EVAとの熱接着性の点で、140℃〜170℃の範囲が好ましい。融点が140℃以上であると、第1の層(あるいは後述する3層積層構造のA層)が耐熱性に優れ、太陽電池モジュール用裏面保護シートとしてEVAと熱圧着させた際のシート厚みの低下が抑制され、耐電圧特性も確保される。また、融点が170℃以下であることで、EVAとの密着性に優れたものとなる。
ここで、着色層の形態について説明する。
着色層の形態としては、特に制限はなく、単層構造又は多層構造のいずれに構成されてもよい。着色層が多層構造に構成される場合、2層構造、3層構造、4層構造などのいずれでもよく、例えば、「A層/B層/C層」の3層が積層された構造を有するポリオレフィン系樹脂多層フィルムとして構成されてもよい。
A層としては、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを混合した樹脂組成物が好ましい。ポリエチレン系樹脂にポリプロピレン系樹脂を混合することで、耐熱性が向上し、B層との密着性がより向上する。この場合、A層に用いられるポリエチレン系樹脂は、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、あるいはこれらの混合樹脂が好適である。
A層に用いられるLLDPEの融点としては、110℃〜130℃の範囲が好ましい。融点が130℃以下であることで、封止材として使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)との熱接着性に優れる。また、融点が110℃以上であることで、EVAと熱圧着した際に、シートの厚みが低減せず、耐電圧特性を確保することができる。
また、LLDPEの密度は、0.90g/cm以上が好ましい。また、密度の上限は、0.94g/cmが好ましい。密度が0.94g/cm以下であると、ポリプロピレン系樹脂を併用した場合の分散性が良好になり、金属ロールやゴムロールとの間で擦過が生じた場合でも、樹脂が脱落し難く、白粉発生も抑制される。
LLDPE中のα−オレフィンの含量は、好ましくは0.5モル%〜10モル%であり、更に好ましくは2.0モル%〜8.0モル%である。α−オレフィン含量が0.5モル%〜10モル%であることで、LLDPEの密度を0.90g/cm以上0.94g/cm以下の範囲に調節することができる。
A層におけるLLDPEの、190℃での溶融指数(メルトフローレート;以下、「MFR」と略記する)としては、好ましくは0.5g/10分〜10.0g/10分であり、より好ましくは1.0g/10分〜5.0g/10分である。MFRが0.5g/10分以上であることで、フィルム製膜時に他層との積層ムラが生じ難くなる。また、MFRが10.0g/10分以下であると、キャスト時のハンドリング性不良が生じ難く、結晶化度の増大による脆化も生じ難い。
A層に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」と略記する)の密度としては、0.90g/cm〜0.93g/cmの範囲が好ましい。密度が0.90g/cm以上であることで、フィルムの滑り性に優れ、加工時のフィルムの取り扱い性もよくなる。一方、密度が0.93g/cm以下であると、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との分散性の向上効果が発現しやすい。
A層に、密度が0.94g/cm〜0.97g/cmの高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略記する)を用いる場合、フィルムの腰及び耐カールに優れる反面、加工時のロール摩擦によってHDPEが脱落し白粉を発生させるため、フィルム汚れや傷を付けるなどの問題が起こる場合があり、LLDPEやLDPEと比べ融点が高い分、EVAとの熱接着を行う際の加熱温度を高めに設定するなどの注意が必要であり、熱接着の条件によってはEVAとの密着強度が低めとなる懸念がある。
A層の表面平均粗さRaとしては、加工時のフィルムのハンドリング機能を満足させる点で、0.10μm〜0.30μmが好ましい。
B層は、白色微粒子と、ポリプロピレン系樹脂組成物と、を含むことが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂組成物としては、耐熱性の点で、ホモポリプロピレン、及びエチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体から選ばれる樹脂、あるいはこれら樹脂とポリエチレンとの混合樹脂を含み、ポリエチレンの含有量が樹脂成分全体の30質量%未満であるものが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂がエチレンとプロピレンとの共重合体である場合、エチレン含有量は15モル%以下であることが耐熱性の点で好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRとしては、A層及び後述のC層と共押出する際の積層性に優れる点で、1.0g/10分〜15g/10分の範囲が好ましい。MFRが1.0g/10分以上であることで、製膜工程において口金から溶融押出したフィルムがネックダウンし難く、フィルムの幅方向の平面性が悪化しない等、安定製膜が容易になる。また、MFRが15g/10分以下であると、結晶化速度が低下し、フィルムが脆くなり難い。
B層は、白色微粒子を含有することが好ましい。白色微粒子としては、着色層に含有することができる既述の白色微粒子から選択することができる。
B層における白色微粒子の含有量としては、比重に依存するものの、ポリオレフィン樹脂(特にポリプロピレン系樹脂)に対して、5質量%〜50質量%の範囲が好ましい。中でも、ポリオレフィン樹脂(特にポリプロピレン系樹脂)に対して、10質量%〜30質量%の範囲がより好ましい。含有量が5質量%以上であると、白色化と光反射効果が良好であり、バスバーなどの配線材料の透けがなく意匠性に優れたものとなる。また、含有量が50質量%以下であると、製膜時に白色微粒子が凝集し難く、安定的に製膜できる。
C層は、ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて構成することができる、
C層は、B層と同様、耐熱性の点で、ホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とし、ポリプロピレン系樹脂が70質量%以上含まれることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐傷性、耐カール性の点で、ブロック共重合体がより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの厚みは、太陽電池の構造に依存するものの、10μm〜250μmの範囲が好ましく、フィルム製造面や、他基材とのラミネート加工性の点で、20μm〜200μmの範囲がより好ましい。厚みが250μm以下であることで、経済性に優れ、取り扱い性に優れたものとなる。更には、配線部材の影響で裏面保護シートが薄く変形することで太陽発電素子やインターコネクター、バスバーが透けることがない程度の耐熱性、隠蔽性に優れたものとなる点で、ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの厚みは、50μm〜200μmが好ましく、130μm〜200μmがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂多層フィルムを構成するA層/B層/C層の積層比としては、特に制限はないが、ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの総厚を100%とした場合、A層及びC層がそれぞれ5%〜20%であって、B層が90%〜60%である場合が好ましい。
また、A層/B層/C層の積層順にすることで、白色微粒子を含有するB層はA層とC層との間に挟まれることになり、製造時の口金における、粒子を大量に含む樹脂分解物の付着が抑制され、分解物が脱落することによる工程汚染やフィルムの傷の発生をより効果的に回避することができる。
上記の「A層/B層/C層」の3層が積層された構造を有するポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、以下のようにして作製することができる。すなわち、
各層を形成するための樹脂をそれぞれ単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ220℃〜280℃の範囲にて溶融する。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルタを通して異物や粗大無機粒子などを除去した後、マルチ・マニホールド型のTダイあるいはTダイ上部に設置したフィードブロックにて、A層/B層/C層の3種3層積層を行い、Tダイより回転金属ロール上に、C層側を金属ロール面側にして吐出し、未延伸フィルムを得る。この際、回転金属ロールの表面温度は、C層の金属ロールへの粘着を起こさず、結晶性が高められる点で、20℃〜60℃に制御されることが好ましい。また、溶融ポリマーを金属ロールに密着させるため、非金属ロール側からエアーを吹き付ける方法や、ニップロールを使用することが好ましい。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の太陽電池用裏面保護シートを設けて構成されている。具体的には、本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する透明性の基材(ガラス基板等のフロント基材)と、基材上に設けられ、太陽電池素子及び太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、素子構造部分の基板が位置する側と反対側に配置された太陽電池用バックシート(本発明の太陽電池用裏面保護シートを含む)と、を備えており、「透明性のフロント基材/素子構造部分/バックシート」の積層構造を有している。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子が配された素子構造部分を、太陽光が直接入射する側に配置された透明性のフロント基材と、本発明の太陽電池用バックシートと、の間に配置し、フロント基材とバックシートとの間において、太陽電池素子を含む素子構造部分(例えば太陽電池セル)をエチレン−ビニルアセテート(EVA)系等の封止材を用いて封止、接着した構成になっている。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基材は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子の例としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、質量基準である。
(実施例1)
[基材フィルム]
基材フィルムとして、東レ(株)製の耐加水分解性白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;ルミラー(登録商標)X10S(125μm))を準備した。
[着色層]
着色層を構成するフィルムとして、下記の手順により、A層/B層/C層の構造を有するポリオレフィン系樹脂多層フィルムを準備した。
まず、融点162℃、密度0.900g/cmのホモポリプロピレン40%と、無機酸化物(主成分=珪素、アルミニウム、亜鉛から選ばれる1種又は複数種)で表面処理された平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン(堺化学工業(株)製、FTR−700)60%と、を二軸押出機にて240℃で溶融混練した。その後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチAを製造した。
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、メルトフローレート(MFR;以下同様)5.0g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;以下、直鎖状低密度ポリエチレンを「LLDPE」という)80部、及び融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4.0g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE;以下、低密度ポリエチレンを「LDPE」という)20部(以上、ポリエチレン系樹脂の合計100部)と、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン・プロピレンランダム共重合体(エチレン含有量:4モル%;ポリプロピレン系樹脂)100部と、を混合した混合樹脂を用意した。
B層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のホモポリプロピレン100部と、酸化チタンマスタバッチA30部と、を混合した混合樹脂を用意した。着色化剤である酸化チタンの含有量は、13.8%である。
C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4.0g/10分のエチレン・プロピレンブロック共重合体(エチレン含有量:7モル%)を用意した。
このようにして用意したA層、B層、又はC層の各層を形成するための各樹脂を、単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融した。そして、A層/B層/C層の積層順になるようにマルチ・マニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出した。非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、各層の厚さの比率(A層/B層/C層)が10%/80%/10%である、厚み150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
[基材フィルムとポリオレフィン系樹脂多層フィルムの貼合]
接着剤(LX−703VL、DIC(株)製)10部に対し、硬化剤(KR−90、DIC(株)製)1部を添加し、固形分濃度30%になるよう酢酸エチルにて希釈した接着剤インクを準備した。この接着剤インクを、フィルムコーター(岡崎機械工業(株)製)を用い、乾燥温度120℃にて乾燥した後の厚みが5.0μmとなるように、ルミラー(登録商標)X10S上に塗工し、接着剤層を形成した。
この接着剤層に接触させてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを重ね、ルミラー(登録商標)X10Sとポリオレフィン系樹脂多層フィルムとを貼合して、基材フィルム上に第一の層(ポリオレフィン系樹脂多層フィルム)を形成した。
[紫外線吸収層の形成]
下記組成中の成分を混合し、紫外線吸収層を形成するための塗布組成物を得た。
<組成>
・(メタ)アクリレート樹脂 ・・・30部
(紫外光吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1、日本触媒社製)
・架橋剤 ・・・15部
(ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂、デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100%)、住化バイエル社製)
・弾性回復性樹脂 ・・・ 5部
(ウレタン(メタ)アクリレート、自己治癒クリアー(登録商標)、ナトコ(株)製)
・酸化チタン(紫外線吸収顔料) ・・・50部
(D−918(粒子径0.26μm)、堺化学社製)
・メチルエチルケトン(溶媒) ・・・180部
基材フィルム(ルミラー(登録商標)X10S)のポリオレフィン系樹脂多層フィルムが積層されていない面に、コロナ処理を行った後、乾燥後の厚みが2.0μmとなるように、上記の塗布組成物を塗工し、紫外線吸収層を形成した。
以上のようにして、本発明の太陽電池裏面用保護シートを作製した。
(比較例1)
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の(メタ)アクリレート樹脂の量を変更し、弾性回復性樹脂を用いなかったこと、及び紫外線照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
(実施例2〜実施例5)
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の(メタ)アクリレート樹脂の量及び弾性回復性樹脂の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例5の太陽電池用裏面用保護シートを作製した。
(実施例6)
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の弾性回復性樹脂として、自己治癒クリアー(登録商標)に代えて下記の方法で合成したポリロタキサンAを用い、(メタ)アクリレート樹脂の量及び弾性回復性樹脂の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
(合成例1:架橋性ポリロタキサンA)
100mlの三角フラスコに、ポリエチレングリコール(平均分子量20,000)4g及び乾燥塩化メチレン20mlを入れ、ポリエチレングリコールを溶解した。この溶液をアルゴン雰囲気下におき、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.8gを加え、引き続きアルゴン雰囲気下、室温(20℃)で6時間、攪拌、反応させた。
上記で得られた反応物を、高速攪拌したジエチルエーテル300mlに注いだ。10分間静置後、沈殿物を有する液を10,000rpmで5分間、遠心分離した。沈殿物を取り出し、40℃で3時間真空乾燥した。
得られた生成物を塩化メチレン20mlに溶解した。この液をエチレンジアミン10mlに3時間かけて滴下し、滴下後40分間攪拌した。得られた反応物をロータリーエバポレーターにかけ、塩化メチレンを除去した。その後、水50mlに溶解し、透析チューブ(分画分子量8,000)に入れ、水中で3日間透析した。得られた透析物をロータリーエバポレーターで乾燥した。さらに、この乾燥物を塩化メチレン20mlに溶解し、ジエチルエーテル180mlで再沈させた。沈殿物を有する液を100,000rpmで5分間遠心分離し、40℃で2時間真空乾燥して、ポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
得られたポリエチレングリコールビスアミン4.5gとα−シクロデキストリン18.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し、5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gとの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。析出物を水とメタノールとで各3回ずつ洗浄した後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがα−シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンを「ポリロタキサンa1」とする。
得られたポリロタキサンa1について紫外線吸収測定及びH−NMR測定を行い、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。
具体的には、紫外線吸収測定では、合成した包接化合物及び2,4−ジニトロアニリンそれぞれの360nmにおけるモル吸光係数を測定することで、シクロデキストリンの包接量を算出した。また、H−NMR測定では、ポリエチレングリコール部分の水素原子とシクロデキストリン部分の水素原子の積分比から算出した。
ポリロタキサンa1(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。この溶液に無水酢酸6.7g、ピリジン5.2g、及びN,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサン(1.2g)を得た。得られたポリロタキサンを「ポリロタキサンa2」とする。
ポリロタキサンa2のH−NMR測定を行い、アセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、75%であった。
ポリロタキサンa2(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。この溶液にアクリル酸クロライド5.9g、ピリジン5.2g、及びN,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて二晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基がアクリロイル基及びアセチル基で修飾されたポリロタキサン(0.8g)を得た。得られたポリロタキサンを「架橋性ポリロタキサンA」とする。
架橋性ポリロタキサンAのH−NMR測定を行い、アクリロイル基及びアセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、87%であった。すなわち、アクリロイル基の導入量(修飾度)は12%である。
(実施例7及び比較例2)
実施例1において、下記表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物の(メタ)アクリレート樹脂として)ハルスハイブリットポリマーを用いずに、弾性回復性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレート(自己治癒クリアー(登録商標))及びポリロタキサンAを、表1に示す配合比で、用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7及び比較例2の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
(実施例8及び実施例9)
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層の膜厚を変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例8及び実施例9の太陽電池裏面用保護シートを作製した。
(実施例10)
実施例3で形成した紫外線吸収層に対して、さらに下記組成物を塗工し、90℃で2分間乾燥した後、紫外線を照射して硬化することにより、乾燥後の紫外線吸収層の合計の塗工層厚みが4.0μmとなるように紫外線吸収層を形成して、実施例10の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
<組成>
・(メタ)アクリレート樹脂 ・・・30部
(紫外光吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1、日本触媒社製)
・架橋剤 ・・・15部
(ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂、デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100%)、住化バイエル社製)
・弾性回復性樹脂 ・・・ 5部
(ウレタン(メタ)アクリレート、自己治癒クリアー(登録商標)、ナトコ(株)製)
・メチルエチルケトン(溶媒) ・・・100部
(実施例11)
実施例3において、下記表1に示すように、基材中の紫外線吸収顔料の有無と紫外線吸収層を形成する塗布組成物中の紫外線吸収顔料の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の太陽電池用裏用保護シートを作製した。基材として、実施例11においては透明ポリエチレンテレフタレートフィルム 東洋紡(株)製 コスモシャイン4100を用いた。
(実施例12及び実施例13)
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中にその他の添加物を添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例12、及び実施例13の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
実施例12においては導電性ポリマーBaytron(ポリチオフェン系導電性高分子水分散体、Bayer社製)を0.1質量部添加した。
実施例17においては導電性酸化物ATO−T−1(三菱マテリアル電子化成(株)製)を0.13量部添加した。
(実施例14〜16)
実施例3において、表1に示すように、紫外線吸収層を形成する塗布組成物中(メタ)アクリレート樹脂の種類と量を変更したこと以外は、実施例3と同様にして実施例14〜実施例16の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
含フッ素アクリルモノマーとして、実施例14〜実施例16においては三菱マテリアル電子化成(株)製のエフトップEF−PA2を用いた。
(評価)
上記の実施例及び比較例で作製した太陽電池裏面用保護シートについて、以下の方法により評価を行った。評価結果は、下記表1〜表2に示す。
−1.ビッカース硬度及び弾性回復率−
最表面のビッカース硬度は、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)においてTriangular圧子を用いて測定し、負荷−除去モードにおける負荷除去後の深さによって算出した。
−2.表面粗さ−
表面粗さは、3次元光学プロファイラー(Zigo、キャノン社製)を用いて、0.3mm×0.3mmの領域における表面粗さとして算出した。
−3.表面比抵抗−
表面比抵抗は、高抵抗−抵抗率計(ハイレスタ、三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。
−4.炭素原子に対するフッ素原子の含有比(F/C)−
F/Cは、X線光電子分光測定装置(Quantum2000、PHI社製)を用いてフィルム表面における元素量を測定し、算出した。具体的には、下記の測定条件でX線光電子分光測定を行い、測定により得られたF、C、O、及びNのそれぞれのナロースペクトルの強度から、元素組成(at%)を算出した。そして、算出されたF、C、N、及びOの元素組成からF/Cを求めた。測定条件は、以下の通りである。
<測定条件>
・X線源:単色化Al−Ka,出力16kV−34W1(X線発生面積170μmφ)
・帯電中和:電子銃(2μA),イオン銃(1V)併用
・分光系:パスエネルギー
187.85eV(ワイドスペクトル)
58.70eV(ナロースペクトル,N1s)
29.35eV(ナロースペクトル,C1s,O1s,F1s)
11.75eV(ナロースペクトル,C1s)
・取り出し角:45°(表面より)
−5.落砂試験−
ASTM D968−05、Method Bに準じた条件にて、シリコンカーバイド粉末を用いて落砂試験を行った。落砂を行い、基材が剥き出しになった時点での落砂量(kg)を、砂によって削られた膜厚(μm)で除した値を評価値とした。

表1に示すように、実施例において、耐砂性の評価について良好な結果が得られたことがわかる。

Claims (10)

  1. 基材と、
    (メタ)アクリレート樹脂を含むバインダー及び紫外線吸収顔料を含む紫外線吸収層と、を有し、
    前記基材の紫外線吸収層を有する側の最表面は、弾性回復率が60%以上であり、ビッカース硬度が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である、太陽電池用裏面保護シート。
  2. 前記(メタ)アクリレート樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂である請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  3. 前記紫外線吸収層が、さらにポリロタキサンを含む請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  4. 前記基材が紫外線吸収顔料を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  5. 前記最表面の表面粗さが、0.01μm以上0.20μm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  6. 前記最表面を含む層は、厚みに対する前記紫外線吸収顔料の粒子径の比率が0.01〜0.15である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  7. 前記最表面の表面比抵抗値が、1.0×1011Ω/□以上1.0×1014Ω/□以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  8. 前記最表面の、炭素原子に対するフッ素原子の含有比が、原子比で0.1以上0.7以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュール。
  10. 太陽光が入射する透明性の基材と、前記基材上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、前記素子構造部分の前記基材が位置する側と反対側に配置された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートと、を備えた太陽電池モジュール。
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