JP2013125876A - 太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】着色顔料を含有した高分子が塗布された太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを連続的に均一に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムに、着色顔料を塗液乾燥後固形分で5重量%以上、70重量%以下含有した高分子溶液をグラビアロール、ドクターブレードを用いて塗布、乾燥して塗布フィルムを製造する方法であって、グラビアロールの表面のビッカース硬度が800以上であることを特徴とする太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法に関する。
太陽光発電は、無尽蔵で無公害の新たなエネルギー源として実用化され、近年、爆発的に普及が進んでいる。太陽光エネルギーを直接電気に変換する太陽電池素子は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板等を用いて作製され、実用的な電気出力を発生させるために複数の太陽電池素子を接続し、受光面を透明基板等で覆い、隙間は充填材等を用いて太陽電池素子を保護する構造である太陽電池モジュールを作製し、太陽電池として使用することが通常行われている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板、表面充填材層、太陽電池素子、裏面充填材層、及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造される。太陽電池モジュールは複数のものを並べて屋外に設置して使用されることが多いため、太陽電池モジュールを構成する部材には高い耐候性と耐久性が必要とされる。なかでも、太陽電池モジュールに用いられる裏面保護シートは、主として太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子の裏面側を保護するため、機械強度に優れ、かつ耐候性、耐加水分解性、耐久性等を備えることが必要とされている。
現在、このような太陽電池モジュール用裏面保護シ−トとしては、たとえば、基材シートのセル面もしくは屋外暴露される面の一方の表面が表面抵抗値1×10から5×1012Ω/□の範囲の帯電防止層を有し、もう一方の面には、帯電防止層を有しない太陽電池モジュール用裏面保護シート(特許文献1)、耐加水分解性を有するプラスチックフィルムからなるB層と、B層に隣接し、表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□であり、かつ350〜360nm波長の平均透過率が5%以下であるA層を有する太陽電池モジュール用裏面保護シート(特許文献2)等が提案され、実用化されている。
また、連続的に搬送されるウェブ基材にグラビア塗布装置で塗布する際に、グラビア版とドクター刃の接触が原因とする様々な塗布欠陥を起こすことのないグラビア塗布装置として、グラビア塗布装置のグラビアシリンダー版の外円周表面にダイヤモンドライク状(DLC)コーティング膜層を備え、ドクターブレードの少なくとも先端部分の表面がフッ素系樹脂を含有する有機樹脂分散複合メッキ層で積層されていることを特徴とするグラビア塗布装置が光学膜、電子基板、食品包装用材料等の精密塗布の低コスト化、高精度化が図れる塗布装置として、また、ハップ剤、冷却シート、絆創膏等の衣料部材の生産用の塗布装置として知られている(特許文献3)。この特許文献3のグラビア塗布装置を用いて本発明の対象である太陽電池モジュール用裏面保護シ−トを製造すると、グラビアロールの表面硬度が高すぎるため、グラビアロールの表面の凸部から塗工されるフィルム表面にすり傷が発生しがちであり、塗布フィルムの外観が損なわれがちであった。
これらの太陽電池モジュール用裏面保護シ−トを製造する際の基材シートへの帯電防止層を塗布する工程、あるいはプラスチックフィルムに導電成分を塗布する工程はグラビアロール、ドクターブレードを用いた塗工方法が行われることが多かったが、特に着色顔料が塗液に含まれる場合にこれらの塗液をシート、フィルム表面に長期にわたり連続的に、均一に塗布するのは困難であった。すなわち、塗布加工本数が増大するにつれ、塗布むらを生じたり、塗布厚さが減少したり、塗布スジが発生しがちであった。
特開2009−147063号公報 特開2010−92958号公報 特開2007−730号公報
本発明の課題は、光反射性に優れ、品位に優れた表面傷の無い太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを連続的に均一に製造することができる製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムに着色顔料を塗布液乾燥後の全固形分中5重量%以上、70重量%以下含有した高分子溶液をグラビアロールを用いて塗布、乾燥して塗布フィルムを製造する方法であって、グラビアロールの表面のビッカース硬度を800以上とすることにより、太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを連続的に均一に製造することができることを見出した。
本製造方法によれば、太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを長手方向に延べ120万m以上、連続的に均一に傷が発生することなく製造することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において、太陽電池モジュール裏面保護シート用フィルムとして、ポリエステルフィルムが好ましく、機械強度、耐熱性、経済性の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。更に好ましくは耐加水分解性のポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、140℃高圧スチームで10時間保持後の引張強度がフィルムの縦方向、横方向共に、60%以上を保持するポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましく例示される。
本発明においては、高分子溶液を塗布前のポリエステルフィルムはその表面の濡れ張力が45〜60mN/mであることがより好ましい。この範囲であると高分子溶液のポリエステルフィルムへの塗布均一性、塗膜とポリエステルフィルムとの接着性がより向上し好ましい。コロナ放電処理、易接着性樹脂塗布等により前処理された、表面の濡れ張力が45〜60mN/mであるポリエステルフィルムを用いる、あるいは、前処理されていないポリエステルフィルムの場合は、本製造方法における塗布液塗布前に、例えば、コロナ放電処理を直流放電方式、交流放電方式等の従来公知の方法により処理し、ポリエステルフィルム表面の濡れ張力を45〜60mN/mになるようにするのが好ましい。コロナ放電処理の雰囲気ガスは、空気、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス、各種の有機化合物・無機化合物の蒸気などが挙げられ、特に好ましくは空気、窒素である。放電処理の強度は10〜50W・min/mが適当である。
本発明において、ポリエステルフィルムには、着色顔料を固形分中5重量%以上、70重量%以下含有した高分子溶液が塗布される。これにより、ポリエステルフィルムの耐候性、耐加水分解性、耐久性が向上する。本発明に用いる着色顔料は、塗布層の発色、色調の維持(退色しない)、及び表面抵抗の低下防止という目的で選定して用いられる。太陽電池用裏面保護シートとしては、光反射性及び意匠性の観点から白色のシートが主流であるが、近年、発電素子間の隙間が白色に見える前記シートと比較して意匠性に優れるという理由で黒色のシートの需要も拡大している。また、これらの顔料自体も特定の波長の光線を吸収及び/又は反射することから、着色することにより光線からポリエステルフィルムを保護するという効果が得られる。また塗布層を紫外線から保護することで、屋外で長期暴露されても塗布層の劣化・消失を低減することができる。着色顔料としては、無機顔料、有機顔料等の各種着色顔料を使用できる。現在実用されている白色あるいは黒色に関しては汎用性、価格、発色性能、また耐紫外線性の観点から、白色顔料としては、酸化チタン(モース硬度 ルチル:7〜7.5、アナターゼ:5.5〜6、ブルカイト:5.5〜6)、酸化亜鉛(モース硬度4〜5)等が好ましく、黒色顔料としてはカーボンブラック(モース硬度1〜4)、酸化第2銅(モース硬度4.5)等が好ましい。特に発色の観点から酸化チタンに関しては、その数平均粒子径は0.1〜1.0μmが好ましく、高分子樹脂に対する分散性やコストの観点から、より好ましくは0.2〜0.5μmである。同様にカーボンブラックに関しては、その数平均粒子径は0.01〜0.5μmが好ましく、分散性やコストの観点からより好ましくは0.02〜0.1μmである。
前記した着色顔料の塗布層中配合量に関しては、発色させたい色調の設計に合わせて適宜調整すれば良い。ただし、5重量%未満となると、顔料配合量が少なすぎて意匠性に優れた色調外観が得られないこと、逆に配合量が多すぎる場合にはコストが高くなること、樹脂層の硬度が大幅に向上することによる基材との密着力不良を生じやすくなるなどの理由から、塗布液乾燥後の全固形分中の固形分で5重量%以上、70重量%以下の範囲が好ましい。より好ましくは7重量%以上、60重量%以下が望ましい。
本発明における高分子溶液の高分子としては、非水溶性ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、アクリルポリオール、ポリウレタン等の非水溶性高分子、ポリビニルアルコール、メチルセルロール、水溶性ポリエステル樹脂等の水溶性高分子を用いることができる。
また、塗布層の特性向上の目的で塗布高分子と反応し得る官能基を有する架橋剤を配合しても良い。架橋剤を併用した場合には、ポリエステルフィルムと塗布層との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う塗布層の耐溶剤性、耐熱性向上といった効果が得られる。架橋剤としてはイソシアネート化合物、エポキシ化合物等が使用できる。
本発明における高分子溶液を塗布法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
塗布方式としては、種々の方法、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法や、これらを組み合わせた方法が存在するが、本発明においては、着色顔料を含有した高分子溶液を広幅で欠点無く均一に塗布するためにグラビアロールを用いて塗布する方式が特に好ましい。グラビアロールを用いる塗布方式は、正転グラビア、リバースキス方式グラビアいずれの方式でも良く、グラビアロールは、直径が60mm以上の通常の径のグラビアロールであっても良く、直径が20〜60mmの小径・マイクログラビアと呼ばれる径の小さなグラビアロールであっても良い。塗布速度は1〜400m/分の範囲で調整できる。
本発明の効果の点から、グラビアロールの表面のビッカース硬度は800以上であることが好ましい。着色顔料を含有した高分子溶液をグラビアロールに付着させ、余分な塗布液をドクターブレードで掻き取る方式での塗布において、グラビアロールの表面のビッカース硬度が800以上であると、塗布時のドクターブレードと着色剤との摺擦等による耐久性が向上し、長期間に渡り高品質な塗布を行うことが可能となり好ましい。ビッカース硬度は特に1000以上が更に好ましい。ビッカース硬度が1000以上であると、着色顔料のモース硬度が7以上のものであってもグラビアロール表層の耐久性が保たれ好ましい。鉄芯に硬化肉盛用被覆アーク溶接棒(日鐵住金溶接株式会社製 銘柄H−800)を用いると、ビッカース硬度が800程度、鉄芯表面に公知の手法で硬質クロムメッキを施すと840程度、クロミア(酸化クロム)を溶射すると1160程度、セラミックを溶射すると1500から2000程度、ダイヤモンドライクカーボン層を化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法で設けると7000程度までの表面ビッカース硬度が得られる。しかし、グラビアロールの表面のビッカース硬度は2500未満であることがより好ましい。グラビアロールの表面硬度がビッカース硬度で2500以上であるとグラビアロールの表面の凸部上面から塗工されるフィルム表面にすり傷が発生しがちであり、塗布フィルムの外観が損なわれがちであるからである。またドクター刃の摩耗が激しくなる。
グラビアロールの表面の濡れ張力が50mN/m以上であると、着色顔料を含有した高分子溶液がグラビアロールにより付着しやすくなり、より均一な塗布を可能としやすくなりより好ましい。また、グラビアロールの表面の濡れ張力がポリエステルフィルムの表面の濡れ張力より低いと、グラビアロールに付着した、着色顔料を含有した高分子溶液がポリエステルフィルムにより転写しやすくなり、より好ましい。
グラビアロールの表面の濡れ張力は、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有するポリマー微細粒子を所定量含有させた金属メッキ浴中にグラビアロールを浸し、硬質クロムメッキを施すとか、同様のポリマー微細粒子を所定量含有させたセラミックを溶射する、または、セラミックロールに燃料ガスにシラン化合物を導入しその火炎を用いて表面処理をする、または、ダイヤモンドライクカーボン原料中にシランカップリング剤等のシラン化合物、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有するベンゼン等を添加することによって調整することができる。
ドクターブレードは公知のグラビアコーティング用のドクターブレードが使用でき、スチール製、プラスチック製のものが用いることができる。
以上、本発明の製造方法により、太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを連続的に均一に製造することができる。
本発明の製造方法により製造された塗布フィルムの非塗布面側にドライラミネート法により、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層フィルム、3層以上のポリオレフィン系樹脂多層フィルム等、太陽電池モジュール隙間の充填材と密着性のあるプラスチックフィルムと接着し加熱エージングにより太陽電池モジュール用裏面保護シート用フィルムを製造できる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
ビッカース硬度
グラビアロールの表面硬度としてはビッカース硬度、Hvを用いる。ビッカース硬さ試験機(株式会社ミツトヨ製AVK−C0)を用い、対面角136°の正四角錘ダイヤモンド圧子を用い、試験面にピラミッド形の窪みをつけたときの荷重(9.807N)を、永久窪みの対角線の長さから求めた表面積で除した商であり、JIS Z2224:2009に準じて次の式、
Hv=0.1891×(F/d
Hv:ビッカース硬さ、F:荷重(N)、d:窪み対角線の長さの平均(mm)
で算出する。
グラビアロール作成の材料、加工方法を用いた平板試料を作成し、それを試験片とし、5箇所の測定を行い、平均値を求めることにより決定する。
なお、コーターに取り付けられた状態、取り外した状態でのグラビアロール表面のビッカース硬度は、GEインスペクション・テクノロジーズ社製のUCI(超音波接触インピーダンス)法硬度測定器MIC10DLを用いて、幅方向に5箇所グラビアロール表面の硬度値を測定し平均することにより求める。グラビアロールの各5箇所における硬度値は、プローブにMIC−205Lを用い、グラビアロールとほぼ垂直にプローブ先端をあてて各箇所付近を10点ランダムに測定し、測定された最大値を硬度値とする。
濡れ張力
JIS K6768:1999に記載の測定法に準じて、表面張力が順を追って異なるように調整した標準液(和光純薬工業株式会社製ぬれ張力試験用混合液)をポリエステルフィルムの塗布を行う面に塗布し、該面を濡らすと判定された標準液の表面張力によって決定する。
また、グラビアロールの場合は、該グラビアロール表層の材料、加工方法を用いて平板試料を作成し、それを試験片とし、5箇所にその標準液を塗布し試料表面を濡らすと判定された標準液の表面張力の平均値を求めることにより決定する。
なお、コーターに取り付けられた状態、取り外した状態でのグラビアロール表面の濡れ張力は、グラビアロールをメチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶媒でよく洗浄し、溶媒が乾いた後に、グラビアロールを軸方向から見て赤道位置に相当する側部のグラビアロール表面の幅方向5箇所、各4cmの幅に綿棒でグラビアロールの軸方向と平行にその標準液を塗布し、約10秒後にそのまま平行に標準液が付着している場合を、試料表面を濡らすと判定し、その濡らすと判定された標準液の5箇所の平均値を求めることにより決定する。
着色顔料の重量含有率
製造の際は、全固形分中の着色顔料の固形分重量を配合表より計算し決定する。
塗工層厚さ
塗工したフィルムの厚さをアンリツ社製電子マイクロメーターK−402Bで測定した後、酢酸エチル/MEK=1/1の混合溶剤に浸し、ナイロンたわしでコーティング層を除去し、ドライヤーで5分間乾燥した後に厚さを測定し、コーティング層の有り/無しでの厚さの差からコーティング層の厚さを求める。
意匠性
塗布フィルムの意匠性は、室内で蛍光灯(100W)照明下、JIS標準色票 光沢版[第8版(JIS Z8721準拠)]と比較して着色の度合いを目視評価した。また表面のざらつき具合も目視評価した。
[実施例1]
太陽電池モジュール裏面保護シートの基材シート用フィルムとして、東レ(株)製耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”X10S(厚さ125μm、幅1000mm、長さ4000m)を用い、富士機械工業(株)製のフィルムコーターを用いて、180℃の乾燥温度にて30秒間アニール処理した。しかる後に、本フィルムへコロナ処理を行い(コロナ処理面の濡れ張力は58mN/m)、下記の塗液を準備し、富士機械工業社製のフィルムコーターを用いてグラビアロールコート方式により100m/分の速度で塗工し、120℃の乾燥温度にて乾燥後の塗工層厚み2.0μmとなるように形成した。
グラビアロール(直径:200mm、幅:990mm、ハニカムパターン:セル角度60°、彫刻線数:200本/25.4mm)は鉄芯にハードクロムメッキを施しその上にシラン化合物を導入した火炎処理を施した(燃焼ガス:LPG、空気導入、シラン化合物:テトラメチルシラン(LPG100モルに対し5モルの割合で混合)、火炎温度:1000℃、3秒間処理)グラビアロールを用いた。表面硬度をHv830、濡れ張力を52mN/mとした。
ドクターブレードはスチールドクターブレード(株式会社エコーブレード製、材質:SUS420、厚さ:0.15mm、刃先形状:テーパーおよびラウンド)を用いた。
塗液:
アクリルポリオール樹脂(日本触媒社製 “ハルスハイブリッド”ポリマーBK−1)65重量部
ビューレット型イソシアネート樹脂(旭化成ケミカル(株)社製“デュラネート”22A−75PX)5重量部
カーボンブラック(東海カーボン株式会社製“トーカブラック”7350F、
粒子径0.28μm、モース硬度1.5)6重量部
メチルエチルケトン180重量部
本グラビアロールを用い、同一組成の塗液を作成し、同一の塗布条件で、1本ずつ塗工し、乾燥後の塗布厚さを求めた。塗布工程は安定に進行し、徐々に塗布厚さは低下していき、512本目の厚さは1.8μmであった。塗布厚さが初期設定厚さから1割を超えて薄くなると塗布フィルムの着色度合いが異なってきて塗布フィルムの品質の均一性が損なわれるので加工を中止した。
なお、各512本のフィルムロールについて塗工を行っていない面へ、膜厚5μmとなるように下記接着剤を塗布し、岡崎機械工業(株)社製ドライラミネーターで80℃で15秒乾燥し、ポリオレフィンフィルムとして、東レフィルム加工(株)製白色ポリエチレンフィルムLLフィルム4806W(厚さ150μm、幅1000mm、長さ4000m)のコロナ処理面側と積層した。40℃オーブンにて48時間硬化エージングを行い、太陽電池モジュール裏面保護シートロール512本が安定に製造できた(表1)。
接着剤
DIC(株)製ドライラミネート剤ディックドライ(登録商標)LX−903を16部、硬化剤としてDIC(株)製KL−75を2質量部、および酢酸エチルを29.5質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20%のドライラミネート用接着剤を得た。
[実施例2]
実施例1において、塗液のカーボンブラックを酸化チタン(堺化学株式会社製、粒子径0.26μm、D−918ルチル型、モース硬度7.5、固形分濃度85%)にかえ、35重量部とした。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工した。317本目でパターンが磨耗しセル容積が減少したため塗布厚さが1.8μmとなり、若干の塗布むらが発生したので、加工を中止した。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロール317本を作成した(表1)。
[実施例3]
実施例2において、グラビアロールとして鉄芯にハードクロムメッキを施しその上にダイヤモンドライクカーボンを設け(プラズマCVD装置によりメタンをプラズマ中で分解し作成)、更にその上にシラン化合物を導入した火炎処理を施し(燃焼ガス:LPG、空気導入、シラン化合物:テトラメチルシラン(LPG100モルに対して5モルの割合で混合)、火炎温度:1000℃、3秒間処理)、表面硬度2400、濡れ張力54mN/mとしたグラビアロール(直径:200mm、幅:990mm、ハニカムパターン:セル角度60°、彫刻線数:200本/25.4mm)を用いた。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は603本目であり、塗布は安定であった。塗布厚さが初期設定厚さから1割を超えて薄くなると塗布フィルムの着色度合いが異なってきて塗布フィルムの品質の均一性が損なわれるので加工を中止した。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロール603本が安定に製造できた(表1)。
[実施例4]
実施例2において、グラビアロールとして鉄芯にハードクロムメッキを施しその上にダイヤモンドライクカーボンを設け(プラズマCVD装置によりベンゼンをプラズマ中で分解し作成)、更にその上にシラン化合物を導入した火炎処理を施し(燃焼ガス:LPG、空気導入、シラン化合物:テトラメチルシラン(LPG100モルに対して5モルの割合で混合)、火炎温度:1000℃、3秒間処理)、表面硬度2800、濡れ張力54mN/mとしたグラビアロール(直径:200mm、幅:990mm、ハニカムパターン:セル角度60°、彫刻線数:200本/25.4mm)を用いた。その他、実施例1と同様にして、1本加工した。1本目の塗工面を見ると若干のすり傷が断続的に発生していた。すり傷部分を直角に厚み測定をすると塗布厚みは1.9μmであったので、2本目以降の加工を1本ずつ行った。加工を連続的に実施するうちにすり傷の発生は徐々になくなっていったが、541本目でその部分の塗布すじが目立つようになり加工を中止した。541本目の塗布厚さは1.9μmであった。ドクターブレードをルーペで見ると、若干の磨耗が見られた。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロール541本を製造した(表1)。
[実施例5]
実施例2において、グラビアロールを鉄芯にタングステンカーバイドを溶射により設け(粉末式フレーム溶射、2800℃)、更にその上にシラン化合物を導入した火炎処理(燃焼ガス:LPG、空気導入、シラン化合物:テトラメチルシラン(LPG100モル%に対して3モルの割合で混合)、火炎温度:1000℃、3秒間処理)を施したグラビアロール(直径:200mm、幅:990mm、ハニカムパターン:セル角度60°、彫刻線数:200本/25.4mm)にかえた。表面硬度Hv1500、濡れ張力は50mN/mであった。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は527本目であり、塗布は安定であった。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロール527本が安定に製造できた(表1)。
[実施例6]
実施例3において、テトラメチルシラン量をLPG100モルに対して10モルの混合とした。表面硬度Hv2400、濡れ張力は61mN/mとなった。その他、実施例2と同様にして、1本目の塗布を行ったが、塗布液はポリエチレンテレフタレートフィルム表面に転写しがたく塗布むらが目立ち、加工を即座に中止した。フィルムへのコロナ処理強度を上げ、コロナ処理面の濡れ指数を63mN/mとして、加工を再開した。塗布は安定化した。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は603本目であり、塗布は安定であった。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロール603本が安定に製造できた(表1)。
[実施例7]
実施例3において、ダイヤモンドライクカーボンとしてフッ化ベンゼンより作成したフッ素含有ダイヤモンドライクカーボンを設けた。火炎処理はしなかった。表面硬度はHv1800、濡れ張力は47mN/mであった。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は550本目であり、塗布は安定であったが、若干の塗布むらが最初から発生していた。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロールを550本安定に製造できた(表1)。
[実施例8]
実施例1において、塗液のカーボンブラックの組成を4重量部とした。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は530本目であり、塗布は安定であった。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロールを530本安定に製造できた(表1)。
[実施例9]
実施例3において、塗液の酸化チタンの組成を124重量部とした。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は554本目であり、塗布は安定であった。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロールを554本安定に製造できた(表1)。
[実施例10]
実施例3において、塗液の酸化チタンの組成を192重量部とした。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は515本目であり、塗布は安定であった。その後、実施例1と同様にして太陽電池モジュール裏面保護シートロールを515本安定に製造できた(表1)。
[比較例1]
実施例1において、グラビアロールとして鉄芯をステンレス製とし、その上に何の表面処理もしなかった。表面硬度はHv210、濡れ張力は32mN/mであった。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は20本目であり、塗布むらも発生したので、その後の加工は中止した(表1)。
[比較例2]
実施例1において、グラビアロールとして鉄芯にアルミナを溶射し(粉末式フレーム溶射、2800℃)、その上にシラン化合物を導入した火炎処理(燃焼ガス:LPG、空気導入、シラン化合物:テトラメチルシラン(LPG100モルに対して4モルの割合で混合)、火炎温度:1000℃、3秒間処理)を施した。表面硬度はHv700、濡れ張力は52mN/mとなった。その他、実施例1と同様にして、1本ずつ加工を試みた。塗布厚さが1.8μmとなる加工本数は103本目であり、その後塗布むらが発生した。その後、実施例1と同様にしては太陽電池モジュール裏面保護シートロール、103本を作成した(表1)。
[比較例3]
実施例1において、塗液のカーボンブラックの組成を3重量部とした。その他、実施例1と同様にして、1本目の加工を行った。1本目の塗布で塗布フィルムは黒色が薄く意匠性に優れなかったので、加工を即座に中止した(表1)。
[比較例4]
実施例2において、塗液の酸化チタンの組成を329重量部とした。その他、実施例2と同様にして、1本目の加工を行った。1本目の塗布で塗布フィルムの塗布厚さを測る際、酸化チタンの脱落が激しく起こっており表面がざらざらしていることがわかり、加工を即座に中止した(表1)。
Figure 2013125876
本発明のグラビアロールを用いた製造方法を用いることにより、太陽電池モジュール裏面保護シ−ト用塗布フィルムを連続的に均一に製造することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムに、着色顔料を含有する高分子溶液をグラビアロールを用いて塗布、乾燥して得られる塗布フィルムの製造方法であって、着色顔料は塗布、乾燥後において、塗布された全固形分中の固形分で5重量%以上、70重量%以下含有され、かつ、グラビアロールの表面のビッカース硬度が800以上であることを特徴とする太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法。
  2. 前記着色顔料のモース硬度が7以上であり、グラビアロールの表面のビッカース硬度が1000以上、2500未満であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法。
  3. 前記グラビアロールの表面の濡れ張力が50mN/m以上であり、ポリエステルフィルム表面の濡れ張力よりも低いことを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法。
  4. 前記グラビアロールの表層がダイヤモンドライクカーボン層であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール裏面保護シート用塗布フィルムの製造方法。
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