JP2015125265A - 帯電防止性マット調光反射フィルム及び該マット調光反射フィルムを有する光反射板 - Google Patents

帯電防止性マット調光反射フィルム及び該マット調光反射フィルムを有する光反射板 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電防止性を備え、反射ムラや照明器具の映り込みを防止できるとともに、保護フィルムと過密着となることを防止することもできるマット調光反射フィルムを提供する。【解決手段】白色ポリエステルフィルム層及び帯電防止層を有するマット調光反射フィルムであって、最表層に帯電防止層を有し、帯電防止層の表面抵抗値が1012Ω/cm2未満であり、帯電防止層の60?光沢値が40未満であり、帯電防止層が粒子及びコート層を備えてなり、粒子の10%変形強度K値が0.3kgf/mm2以上5.0kgf/mm2以下であり、粒子の平均粒子径(d)が1μm以上20μm以下であり、コート層が帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層であり、コート層の厚み(D)が0.5μmより大きく、コート層の厚み(D)と粒子の平均粒子径(d)との比(d/D)が0.35以上10以下である、マット調光反射フィルムとする。【選択図】図1

Description

本発明はマット調光反射フィルムおよび該マット調光反射フィルムを金属板又は樹脂板に積層してなる光反射板に関する。具体的には、照明器具、照明看板、液晶表示装置等において使用されるマット調光反射フィルムおよび光反射板に関する。
近年、LED等の面状光源の部材等において、光反射フィルムが使用されている。例えば、光反射フィルムには、LED光源から発せられた直線性の高い光線を広い面全体に拡散させるため高い拡散反射性が求められ、表面反射についても映りこみがないよう低いグロス値が求められる。そのため従来用いられてきた銀反射材、アルミ反射材のような拡散反射性が低く正反射性の強い反射材は使用に適さない場合が多い。そこで、拡散反射性の強い白色光反射フィルムが注目されている。
例えば、特許文献1には、白色ポリエステルフィルムを用いた光反射フィルムの表面に導電層を設け、静電気による光反射フィルムの表面の汚染を防止したり、電磁波ノイズによる画像の表示の乱れを防止する光反射フィルムが記載されている。特許文献2には、凝集シリカ粒子を含み、それに加えアクリル樹脂粒子またはシリコーン樹脂粒子を含む低光沢層を設けた反射フィルムについて記載されている。
特開2006−163378号公報 特開2006−072347号公報
特許文献1には帯電防止性を付与した耐熱黄変性コート層について記載されており、具体的には帯電防止剤として針状酸化亜鉛または水溶性アクリルポリマー(三菱化学社製サフトマー)を使用している。しかしながら、このようなコート層は光沢が高いためLEDのような直線性の高い光源向けに使用すると反射ムラが大きくなってしまうため使用に適さない。一方で、特許文献2の低光沢層のように凝集シリカ粒子を含ませた場合、凝集シリカ粒子が非常に硬い粒子(以下に記載する粒子の硬さ(10%変形強度K値)で6kg/mm)であるため、例えば金属板へのラミネートプロセスでのロールとの接触による粒子の欠落、実使用での拭取り清掃による粒子の欠落などの不具合が発生しやすい。また、凝集シリカ粒子は多孔性のため白色を呈しているが、拡散反射率が低いため、低光沢性を得るにはバインダー層に対し多量の添加量を必要とし、バインダー層による粒子の固定化が十分ではなく、粒子の欠落が起こりやすくなってしまう。さらにバインダー層に機能性(帯電防止性、ハードコート性など)を持たせている場合、粒子添加量が多すぎるためにバインダー層の機能性が失われやすいという問題もある。
他にも、従来技術においては、製造プロセス、運送での傷防止のために表面に保護フィルムを備える場合が多いが、保管状態によっては保護フィルムと帯電防止層が過密着を起こし、コーティング層が剥離してしまうというケースが発生するという問題がある。
また、表面光沢が高い反射フィルムを照明器具として使用した場合、反射ムラが出て均一な表示がしにくくなるという問題がある。一方で、拡散反射性の強い白色反射フィルムでも表面が平滑な場合、LEDの映りこみが生じるため、使用に適さない場合が多い。
また、LEDは高輝度であるがために反射フィルムに高い耐光性が求められる。すなわち、長期間高輝度のLEDに間近でさらされることにより反射フィルムが劣化して、変色したり、クラックが入ったりするなどの問題がある。
反射フィルムに埃がつかないように帯電防止コート、硬度を持たせるためにハードコートを行うことが可能であるが、コート層にももちろん高い耐光性、低グロスが求められることは言うまでもない。
以上のことから、本発明は、帯電防止性を備え、反射ムラや照明器具の映り込みを防止できるとともに、保護フィルムと過密着となることを防止することもできるマット調光反射フィルム、およびそのラミネート金属板(光反射板)を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、白色ポリエステルフィルム層(1)及び帯電防止層(2)を有するマット調光反射フィルム(10)であって、マット調光反射フィルムは最表層に帯電防止層(2)を有し、帯電防止層(2)の表面抵抗値が1012Ω/cm未満であり、帯電防止層(2)の60°光沢値が40未満であり、帯電防止層(2)が粒子(2a)及びコート層(2b)を備えてなり、粒子(2a)の10%変形強度K値が0.3kgf/mm以上5.0kgf/mm以下であり、粒子(2a)の平均粒子径(d)が1μm以上20μm以下であり、コート層(2b)が帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層であり、コート層(2b)の厚み(D)が0.5μmより大きく、コート層(2b)の厚み(D)と粒子(2a)の平均粒子径(d)との比(d/D)が0.35以上10以下である、マット調光反射フィルム(10)を提供して前記課題を解決するものである。
第1の本発明において、粒子(2a)が、アクリル系粒子、ナイロン系粒子及びウレタン系粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の粒子を含むことが好ましい。
第1の本発明において、帯電防止層(2)の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上2.3μm以下であることが好ましい。
第1の本発明において、コート層(2b)を構成する固形分100質量部に対して粒子(2a)が30質量部以上100質量部以下含まれることが好ましい。
第2の本発明は、上記のマット調光反射フィルム(10)を金属板(20)にラミネートしてなる、光反射板(100)を提供して前記課題を解決するものである。
第2の本発明に係る光反射板(100)は、LED用光反射板に用いることが好ましい。
本発明の光反射フィルムは、所定の白色熱可塑性フィルム、および、表層に所定の帯電防止層を備えてなることにより、優れた光反射性を維持しつつ、静電気による汚染を防止し、電磁波ノイズによる画像の表示の乱れを防止することができる。また、帯電防止層を所定の粒子と所定のコート層とを備えて構成することで、60°光沢値が所定範囲内となり、反射ムラや照明器具の映り込みを防止でき、さらに、保護フィルムとの過密着を防止し、表層の剥がれを抑制することができる。
一実施形態に係る本発明のマット調光反射フィルム10を説明するための概略図である。 一実施形態に係る本発明の光反射板100を説明するための概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
1.マット調光反射フィルム
図1に一実施形態に係る本発明のマット調光反射フィルム10を概略的に示す。図1に示すように、マット調光反射フィルム10は、白色ポリエステルフィルム層1及び帯電防止層2を有している。マット調光反射フィルム10においては、最表層に帯電防止層2を有する。
1.1.白色ポリエステルフィルム層
白色ポリエステルフィルム層1は、ポリエステル樹脂及び微粒状充填剤を含む層であり、ポリエステル樹脂と微粒状充填剤との屈折率差による屈折散乱、並びに、光反射層内に空隙(空孔)を有する場合には、ポリエステル樹脂と空隙(空気)との屈折率差による屈折散乱などから光反射性能を得ることができる。その反射率は80%以上であることが好ましい。
1.1.1.ポリエステル樹脂
白色ポリエステルフィルム層1のベース樹脂(主成分)であるポリエステル樹脂は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、などのグリコールとを重縮合して得られる芳香族ポリエステル樹脂;ポリε−カプロラクタム等、ラクトンを開環重合して得られる脂肪族ポリエステル樹脂;ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、二塩基酸とジオールとを重合して得られる脂肪族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸、ポリグリコール等ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる脂肪族ポリエステル樹脂;前記脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば全エステル結合の50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。また、微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル樹脂として、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等を用いても良い。
中でも、分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル樹脂であれば、紫外線吸収を起こさないから、紫外線に晒されることによって、或いは、液晶表示装置等の光源から発せられた紫外線を受けることによって劣化したり、黄変したりすることがなく、光反射性が経時的に低下するのを抑えることができる。
また、屈折散乱を利用して光反射性を得るため、空気や充填剤との屈折率の差が大きい樹脂を用いることが好ましい。この点から、充填剤との屈折率差を主として利用する場合には、ベース樹脂の屈折率は小さい方が好ましく、屈折率(n)が1.46未満であるポリ乳酸は特に好適である。
ポリ乳酸としては、例えばD−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体を挙げることができる。具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、更にはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体を挙げることができる。ポリ乳酸のDL比、すなわちD−乳酸とL−乳酸との含有比率は、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましい。さらに好ましくはD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。なお、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なるポリ乳酸をブレンドしてもよい。
また、ポリ乳酸として、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体を用いることもできる。この際、共重合される「他のヒドロキシカルボン酸単位」としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸は、必要に応じ、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族カルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールや、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を含んでいてもよい。
ポリ乳酸は高分子量であることが好ましく、例えば、重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、6万〜40万であるのが更に好ましく、中でも10万〜30万であるのが特に好ましい。ポリ乳酸の重量平均分子量が5万未満であると機械的物性に劣る場合がある。
1.1.2.微粒状充填剤
微粒状充填剤は、白色度を向上させ、ベース樹脂と充填剤との屈折率差による屈折散乱を提供すると共に、フィルムを延伸した際にフィルム内に空隙(空孔)を形成させ、ベース樹脂と空隙(空気)との屈折率差による屈折散乱を提供する役割を果たす。
微粒状充填剤としては、有機質微粒状充填剤と無機質微粒状充填剤とを挙げることができる。
有機質微粒状充填剤としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、オレフィン樹脂などからなるポリマービーズ、スチレン等のポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
無機質微粒状充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
中でも、ベース樹脂との屈折率差が大きく優れた反射性能を得ることができる微粒状充填剤が好ましく、この観点から、屈折率の大きい微粒状充填剤を用いることが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましく、中でも屈折率が2.5以上である酸化チタンが特に好ましい。なお、長期耐久性を勘案すると、酸やアルカリに対して安定な硫酸バリウムも好ましい。
微粒状充填剤は、平均粒子径が0.05μm〜15μmであるものが好ましく、中でも0.1μm〜10μmであるものがより好ましい。微粒状充填剤の平均粒子径が0.05μm以上であれば、粗表面化に伴い光散乱反射が生じるので、得られる反射指向性がより小さくなる。また、微粒状充填剤の平均粒子径が15μm以下であれば、ベース樹脂と微粒状充填剤との界面がより緻密に形成されるので優れた光反射性を得ることができる。なお、本願において微粒状充填剤の平均粒子径は、レーザー回折法により測定した粒度分布において積算重量分率50%となる粒子径を示す。
白色ポリエステルフィルム層1は、必要に応じて公知の添加剤を含有してもよい。例えば、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等を含有してもよい。
1.1.3.白色ポリエステルフィルムの製造方法
白色ポリエステルフィルム層1を構成する白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂及び微粒状充填剤を含む樹脂組成物を溶融状態とし、これを金属板上に塗布或いは押出して形成することができる。また、前記の樹脂組成物からフィルムを製膜し、このフィルムを金属板上に積層して形成することもできる。
より高い反射率を得るためには、ポリエステル樹脂及び微粒状充填剤を含む樹脂組成物からフィルム(キャストシート)を製膜し、このフィルムを一軸方向又は二軸方向に1.1倍以上延伸することが好ましい。延伸することにより、微粉状充填剤を核とした空隙がフィルム内部に形成され、ベース樹脂と空隙の界面、及び空隙と微粉状充填剤との界面が形成され、界面で生じる屈折散乱の効果が増えることから光反射性を高めることができる。
この際、フィルムの製膜及び延伸方法は、公知の方法を採用すればよい。例えば、二軸延伸の方法としては、Tダイより溶融押し出した末延伸のフィルムをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次2軸延伸法)を採用することも可能であるし、又、末延伸フィルムをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する方法(同時2軸延伸法)を採用することも可能である。又、チューブ状に溶融押し出したフィルムを気体の圧力で膨張させ延伸する方法(インフレーション法)、その他の方法を採用することも可能である。
延伸温度は、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)から所定の温度範囲(Tg〜Tg+50℃)内とすることが好ましく、例えば、ポリ乳酸の場合には50〜90℃とすることが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができ、また延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなり反射率を高めることができる。
また、得られたフィルムに耐熱性及び寸法安定性を付与するために、熱処理することが好ましい。この際、熱処理温度は90〜160℃であることが好ましく、110〜140℃であることがさらに好ましい。熱処理に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
なお、微粒状充填剤を含む市販の白色ポリエステルフィルムを白色ポリエステルフィルム層1に用いることも可能である。例えば、東レ社製のルミラーE60LやE60V(商品名)、帝人・デュポン社製のメリネックス(商品名)、東洋紡績社製のクリスパー(商品名)、きもと社製のレフホワイト(商品名)、三菱樹脂製のエコロージュ(商品名)などの白色ポリエステルフィルムを挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
接着性や濡れ性を良くするために、白色ポリエステルフィルムの表面にコロナ処理、コーティング処理又は火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
製膜したフィルムを金属板上に積層する方法としては、例えば、金属板の表面温度を、白色ポリエステルフィルムの主成分をなす樹脂の融点程度となるように加熱し、ゴムロールによりフィルムを熱融着する方法、或いは、加熱したロールに金属板とフィルムとを重ねて供給して熱融着する方法、或いは、予め金属板に接着剤を塗布しておき、フィルムを圧着する方法等を挙げることができる。
白色ポリエステルフィルム層1の厚みは特に制限するものではないが、例えば10μm〜500μmの範囲であれば、成形性及び積層性が一層良好なものとなる。
1.2.帯電防止層
帯電防止層2はマット調光反射フィルム10の最表層を構成する。特に、帯電防止層2は白色ポリエステルフィルム層1の反射面側に設けることが好ましい。
本発明において帯電防止層2は以下のような特徴を有する。すなわち、
・ 帯電防止層2の表面抵抗値が1012Ω/cm未満であり、
・ 帯電防止層2の60°光沢値が40未満であり、
・ 帯電防止層2は粒子2a及びコート層2bを備えてなり、
・ 粒子2aの10%変形強度K値が0.3kgf/mm以上5.0kgf/mm以下であり、
・ 粒子2aの平均粒子径(d)が1μm以上20μm以下であり、
・ コート層2bが帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層であり、
・ コート層2bの厚み(D)が0.5μmより大きく、
・ コート層2bの厚み(D)と粒子2aの平均粒子径(d)との比(d/D)が1以上10以下である。
1.2.1.表面抵抗値
本発明において、帯電防止層2の表面抵抗値はフィルム表面への埃の付着が実質防止可能な1012Ω/cm未満であり、好ましくは1010Ω/cm以下である。一方、下限に特段の制限はないが、10Ω/cm以上が好ましい。
帯電防止層2の表面抵抗値がこの範囲であれば、マット調光反射フィルム10に優れた帯電防止性を付与でき、静電気による汚染を防止し、電磁波ノイズによる画像の表示の乱れを防止することができる。
なお、本願において表面抵抗値はJIS K6911に準じて、以下の条件にて測定して得られる値をいう。
・ 測定装置:ハイレスターUPMCP−HT450型(三菱化学社製)
・ 測定方式:定電圧印加方式
・ 印加電圧:1000V
1.2.2.光沢値
本発明において、帯電防止層2の60°光沢値は40未満であり、好ましくは20以下である。一方、下限に特段の制限はないが、好ましくは3以上である。
帯電防止層2の60°光沢値がこの範囲であれば、反射ムラや照明器具の映り込みを十分に抑えることが可能である。
なお、本願において60°光沢値とはスガ試験機社製ハンディ光沢計HG−268により測定される、帯電防止層の反射面側の60°光沢値をいう。
1.2.3.粒子
帯電防止層2には粒子(好ましくは球状粒子)2aが含有される。なお、「球状」との形状は、厳密な球状のみを示すものではなく、角部のない楕円球状なども包含する意であるが、真球状であることがより好ましい。より詳細には、粒子の最も大きな径である最大粒子径(L)と、粒子の最も小さな径である最小粒子径(D)との比(D/L)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上のものであり、この数値は、光学顕微鏡(倍率500〜2000倍)を使用して測定することができる。
帯電防止層2には10%変形強度K値が0.3〜5.0kg/mmの範囲にある粒子(球状粒子)2aが含有される。下限は好ましくは0.8kg/mm以上、より好ましくは1.0kg/mm以上であり、上限は好ましくは3.0kg/mm以下、より好ましくは2.5kg/mm以下である。
K値が0.3kg/mm以上であると、粒子2aが柔らかくなりすぎることがなく、得られる光反射フィルム10を巻物としたときにブロッキングすることがなく、またK値が5.0kg/mm未満であれば、粒子2aが硬くなりすぎることがなく、コート層2bを指や爪で擦った際にコート層2b自体の欠落または粒子2aの欠落などの虞がない。
なお、粒子2aのK値は以下の通りに測定して得られた値である。すなわち、島津製作所社製の微小圧縮試験機「MCTM2000」を用いて粒子1個に対し、一定の負荷速度で1gfの荷重をかけたときの粒子の変形量と荷重を測定し、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子半径を次式:K値(kgf/mm)=2.8×荷重(kgf)/{π×(粒子半径(mm))}に算入して得られる値をK値とする。特に本願では試験条件を以下の通りとする。
・ 試験温度:常温(20℃)
・ 試験用圧子:平面50(直径50μmの平面圧子)
・ 試験種類:圧縮試験(MODE1)
・ 試験荷重:1.00(gf)
・ 負荷速度:0.072500(gf/秒)
・ 変位フルスケール;10(μm)
粒子2aとしては、K値が上記の範囲にあるものであればよく、具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリル酸エステルおよびポリエチルメタクリレート(PEMA)などのアクリル樹脂からなるアクリル系粒子;ポリアミドイミド(PAI)などのナイロン樹脂からなるナイロン系粒子;ウレタン樹脂からなるウレタン粒子;さらには、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの材料からなる粒子を挙げることができる。これらの中でも、アクリル系粒子、ナイロン系粒子およびウレタン系粒子から選択される1種以上の粒子(プラスチックビーズ)を用いることが好ましい。特に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子、ナイロン粒子、ウレタン粒子が特に好ましい。
PMMA粒子としては、「ガンツパールGMシリーズ」(ガンツ化成株式会社製)、「テクポリマーシリーズ」(積水化成品工業社製)などが市販品として入手可能である。また、ポリアクリル酸エステル粒子としては、「テクポリマーABX」(積水化成品工業社製)などが市販品として入手可能である。さらに、ナイロン粒子としては、商品名「アミラン」(東レ株式会社製)、商品名「ガンツパールGBA−550」(ガンツ株式会社製)および商品名「ナイロンパウダー」(住友エンビロサイエンス社製)などが市販品として入手可能である。
粒子2aの平均粒子径は1μm以上20μm以下である。下限は好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、上限は好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。
平均粒子径が下限値以上であることで、帯電防止層2の表面に適度な粗さを付与することができるので、グロスが低減でき、保護フィルムとの過密着を防止できる。平均粒子径が上限値以下であることで、表面の光学特性、例えばグロスが高くなりすぎてしまい、反射特性に影響が大きくなってしまうという虞がない。なお、本願において粒子2aの平均粒子径は、レーザー回折法により測定した粒度分布において積算重量分率50%となる粒子径を示す。
1.2.4.コート層
帯電防止層2はコート層2bを備える。コート層2bは帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層である。
(帯電防止剤)
コート層2bに含まれる帯電防止剤としては、従来公知の帯電防止剤を特に限定されることなく用いることが可能であるが、好ましくはカチオンポリマーを用いる。このカチオンポリマーは、好ましくはビニル系重合体からなり、側鎖にカチオン性基を有し、そのカチオン性基が第3級アンモニウム塩または第4級アンモニウム塩である化合物である。第3級アンモニウム塩としては、第3級アンモニウムスルホネート、第3級アンモニウムサルフェート、第3級アンモニウムナイトレートを例示することができる。第4級アンモニウム塩としては、第4級アンモニウムスルホネート、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートを例示することができる。
カチオンポリマーがビニル系重合体である場合、モノマー成分として、反応性モノマー成分を用いることができる。この場合、膜凝集性を向上させることができ、塗布層の耐久性を向上することができる。
反応性モノマー成分としては、2ーヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、2ーヒドロキシプロピルアクリレート、2ーヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、Nーアルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等のイソシアネート含有モノマーを例示することができる。
或いは、カチオンポリマーがビニル系重合体である場合、モノマー成分として、非反応性モノマー成分を用いることもできる。この場合、ポリエステルフィルム上への密着性や塗布層の造膜性を向上させることができる。
非反応性モノマー成分としては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、スチレン、αーメチルスチレンを例示することができる。
コート層2bにおいて、帯電防止剤の含有量は、コート層の固形分全体を基準(100質量%)として、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3 〜10質量%である。
1質量%未満であると帯電防止性が不十分となってフィルム表面に埃等が付き易くなる虞があり、15質量%を超えると白色ポリエステルフィルム層1に対する密着性に劣る場合がある。
(バインダー樹脂)
コート層2bは、帯電防止剤を白色ポリエステルフィルム層1等の基材上に固着させる目的で、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの樹脂の混合物を用いることができる。バインダー樹脂は、水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有し、水に可溶なものも好ましく用いることができる。
バインダー樹脂の含有量は、コート層の固形分全体を基準(100質量%)として、好ましくは85〜99質量%とする。
85質量%未満であるとポリエステルフィルム等の基材への密着性が不足する虞がある。一方、99質量%を超えると帯電防止性が低下する虞がある。
さらに架橋剤を用いる場合は、架橋剤の含有量は、コート層の固形分全体を基準(100質量%)として、好ましくは2〜30質量%とする。
2質量%未満であるとコート層の凝集力が低くなり耐久性が悪化する虞がある。30質量%を超えると塗布層の造膜性が悪くなり、帯電防止性能が低下する虞がある。
コート層2bに含まれる帯電防止剤とバインダー樹脂との質量比については特に限定されるものではないが、帯電防止剤100質量部に対して、バインダー樹脂を500質量部以上9900質量部以下含ませることが好ましい。下限がより好ましくは600質量部以上であり、上限がより好ましくは8000質量部以下である。
これにより、白色ポリエステルフィルム層1等の基材と帯電防止層2との密着性を一層向上させることができ、帯電防止層2の帯電防止性も一層優れたものとなる。
コート層2bには、上記した帯電防止剤やバインダー樹脂以外に各種添加剤が含まれていてもよい。例えば、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等を含有してもよい。
コート層2bの厚み(D)は0.5μm以上であり、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。上限に特段の制限はないが、通常10μm以下、好ましくは8.5μm以下、より好ましくは7μm以下である。
コート層2bの厚み(D)が0.5μm以上であることで帯電防止層2に十分な帯電防止性が付与される。一方、コート層2bの厚み(D)が10μm以下であることで、塗工及び加工の際にコート層2bにクラックなどの不具合が生じ難くなる。
なお、コート層2bの厚み(D)とは、帯電防止層2において粒子2aを除外した場合の厚みをいう。すなわち、図1に示す帯電防止層2においては、コート層2bの表面から白色ポリエステルフィルム層1までの長さをいう。図1では、コート層2bの表面から粒子2aの一部が突出しており、これにより、帯電防止層2の表面は凹凸を有することとなる。コート層2bの厚みはSEM等によって断面を観察することで容易に特定可能である。
1.2.5.粒子とコート層との関係
帯電防止層2における粒子2aとコート層2bとの質量比については、コート層2bの固形分100質量部に対して、粒子2aが30質量部以上100質量部以下含まれるようにすることが好ましい。下限はより好ましくは40質量部以上であり、上限はより好ましくは80質量部部以下である。
粒子2aがコート層2bの固形分100重量部に対して30重量部以上含まれることで、帯電防止層2aの60°光沢値や表面粗さを一層適切なものとすることができる。一方、粒子2aが該コート層の固形分100重量部に対して100質量部以下含まれることで、帯電防止層2の表面抵抗値や表面粗さを一層適切なものとすることができる。また、質量比をこの範囲内とすることで、白色ポリエステルフィルム層1等の基材との密着性、任意に設けられる表面保護フィルムとの過密着防止、削れ性防止付与、グロス低減等、マット調光反射フィルム10の性能が一層向上する。
コート層2bの厚み(D)に対する粒子2aの平均粒子径(d)の比(d/D)は0.35以上10以下である。下限は好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、上限は好ましくは8以下である。
コート層2bの厚み(D)に対する粒子2aの平均粒子径(d)の比(d/D)を下限値以上とすることで、60°光沢値を適切な範囲とすることができる。一方、コート層2bの厚み(D)に対する粒子2aの平均粒子径(d)の比(d/D)を上限値以下とすることで、コート層2bが粒子2aを適切に保持することができ、マット調光反射フィルム10からの帯電防止層2の剥離等を適切に防止できる。
帯電防止層2が上記のような所定の粒子2aと所定のコート層2bとを備えて構成されることで、帯電防止層2の最表層側に突出した粒子2aにより、表面に凹凸を付与することができる。この場合、帯電防止層2は、表面粗さ(Ra)が0.3μm以上2.3μm以下であることが好ましい。下限はより好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上であり、上限はより好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.8μm以下である。
帯電防止層2の表面粗さがこのような範囲にあることで、反射ムラや照明器具の映り込みをより適切に防止できるとともに、保護フィルムと過密着となることを防止することもできる。なお、表面粗さは帯電防止層に含ませる粒子の大きさや量等によって調整することができる。
以上の通り、本発明に係るマット調光反射フィルム10は、上記した白色ポリエステルフィルム層1と最表層である帯電防止層2とを備えることで、優れた光反射性を維持しつつ、静電気による汚染を防止し、電磁波ノイズによる画像の表示の乱れを防止することができる。また、帯電防止層2を所定の粒子2aと所定のコート層2bとを備えて構成することで、60°光沢値が所定範囲内となり、反射ムラや照明器具の映り込みを防止でき、さらに、保護フィルムとの過密着を防止し、表層の剥がれを抑制することができる。
尚、上記説明では、マット調光反射フィルムが帯電防止層及び白色ポリエステルフィルム層のみを備えるものとして説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明においては、白色ポリエステルフィルム層を設けて光反射性を付与しつつ、帯電防止層が最表層となるように構成して所望の帯電防止性等を確保できれば、その他の層については特に限定されるものではない。例えば、帯電防止層と白色ポリエステルフィルム層との間にその他の樹脂層が備えられていてもよい。また、白色ポリエステルフィルム層の帯電防止層とは反対側の表面にその他の樹脂層が備えられていてもよい。その他樹脂層としては金属板との密着性を向上させるようなプライマーなどを用いることができる。
また、例えばマット調光反射フィルムの製造後から使用前までの間において、その表面を保護するために帯電防止層の表面に公知の保護フィルムが設けられていても良い。上述したように、本発明においては帯電防止層が所定の粒子と所定のコート層とを備えて構成されていることから、表面には粒子の凹凸形状が存在しており、これにより保護フィルムとの過度の密着が防がれる。すなわち、保護フィルムを剥がす際、帯電防止層の剥離を防止できる。
2.光反射板
本発明は光反射板としての側面も有する。図2に一実施形態に係る本発明の光反射板100を概略的に示す。図2に示すように、光反射板100はマット調光反射フィルム10を金属板20にラミネートしてなる。
金属板20は、その素材を特に限定するものではなく、例えば、鉄、各種ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、錫合金、ニッケル、亜鉛などの各種金属を挙げることができる。特に金属板20として鋼板を用いることが好ましい。
金属板20の厚みは、0.05mm〜0.8mmが一応の目安であるが、このような厚みの金属板に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、リフレクターを使用する液晶表示装置の種類などに応じて、厚さ0.05mm〜0.4mmのステンレス板、厚さ0.1〜0.6mmのアルミニウム合金、厚さ0.2〜0.4mmの黄銅板などを例示することができる。但し、これに限定するものではない。
金属板20の表面には、単層めっき、複層めっきまたは合金めっきが施されていてもよいし、また、浸漬クロム酸処理、リン酸クロム酸処理が施されていてもよい。
また、マット調光反射フィルム10との密着性を向上させる目的で、金属板20の表面にシランカップリング剤、チタンカップリング剤等によるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理等の化学処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理等の放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理等の電磁波照射処理、その他火炎処理等の表面処理やプライマー処理等の各種表面処理が施されていてもよい。
光反射板100の製造方法は特に限定されるものではない。例えば金属板20の片面に接着剤を塗布し、該金属板20を加熱し、例えばニップロールなどで該接着剤側にマット調光反射フィルム10を圧着するようにしてもよいし、或いは、マット調光反射フィルム10の片面に接着剤を塗布し、この接着剤側に、加熱した金属板20を圧着するようにしてもよい。
いずれにしても、接着剤の塗布方法については、公知の方法を採用することができ、例えばエアーレス法、スプレーコート、浸漬法、グラビアコート、ロールコート法、バーコート、刷毛塗り法、その他の公知の方法を適宜採用することができる。また、接着剤の塗布量は、乾燥後の厚みが0.5μm〜10μm、特に1μm〜5μmとなるように塗布することが好ましい。さらに、金属板の加熱は、150℃〜230℃の温度範囲に加熱することが好ましい。150℃未満であると、密着強度が弱過ぎて反射フィルムが剥離する可能性がある。逆に230℃より高いと、接着剤が熱劣化して密着強度が低下し、加工時の衝撃等により反射フィルムが割れたり剥離したりする原因となるほか、反射フィルムへの熱ダメージにより反射性能が低下する原因となる。
以上の通り、本発明に係る光反射板100は、上記したマット調光反射フィルム10を備えることで、優れた光反射性を維持しつつ、静電気による汚染を防止し、電磁波ノイズによる画像の表示の乱れを防止することができる。また、上記したマット調光反射フィルムが高い拡散反射性を有することから、LED光源から発せられる直線性の高い光線に対しても反射ムラを抑制することができ、さらにはLEDの映り込みを防止することもできる。
尚、上記説明においては、マット調光反射フィルムが金属板にラミネートされる形態について説明したが、本発明に係るマット調光反射フィルムは樹脂基体や板状でない金属基体に対してラミネートされてもよい。例えば、照明器具を設置する箇所の形状に応じて基体の材質や形状を適宜変更することができる。ただし、汎用性、取り扱い性等の観点からは、マット調光反射フィルムを金属板の表面にラミネートすることが好ましく、鋼板の表面にラミネートすることがより好ましい。
以下、実施例を示して本発明について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<評価方法>
(1)表面抵抗値
帯電防止層の表面抵抗値は、JIS K6911に準じて、以下の条件にて測定した。
・ 測定装置:ハイレスターUPMCP−HT450型(三菱化学社製)
・ 測定方式:定電圧印加方式
・ 印加電圧:1000V
○:表面抵抗値が1012Ω/cm未満
×:表面抵抗値が1012Ω/cm以上
(2)60°光沢値(%)
スガ試験機社製ハンディ光沢計HG−268を使用して、サンプルの反射面側の60°光沢値を測定した。
○:光沢値40未満
△:光沢値40以上60未満
×:光沢値60以上
(3)保護フィルム剥離性
基材がポリエチレンで粘着材が合成ゴム系の保護フィルム(SUSに対する粘着力が0.2N/25mm)を反射面側(帯電防止層の表面)に貼り付け、40℃、湿度98%環境下で1ヶ月保管したのち、保護フィルムを剥がして帯電防止層の剥離の有無を確認した。
○:帯電防止層の剥離あり
×:帯電防止層の剥離無し
(4)粒子の10%変形強度K値
実施例及び比較例に用いた粒子をそれぞれエタノール中に分散させた後、試料台に塗布・乾燥し、測定用試料を調製した。調製した試料に対し、島津製作所社製の微小圧縮試験機「MCTM2000」を用いて粒子1個に対し、一定の負荷速度で1gfの荷重をかけたときの粒子の変形量と荷重を測定し、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子半径を次式:K値(kgf/mm)=2.8×荷重(kgf)/{π×(粒子半径(mm))}に算入して、K値を得た。試験条件の詳細は以下の通りとした。
・ 試験温度:常温(20℃)
・ 試験用圧子:平面50(直径50μmの平面圧子)
・ 試験種類:圧縮試験(MODE1)
・ 試験荷重:1.00(gf)
・ 負荷速度:0.072500(gf/秒)
・ 変位フルスケール;10(μm)
実施例、比較例で使用した粒子の組成、平均粒子径、10%変形強度K値を以下に示す。
・ 粒子1:酸化チタン含有架橋PMMA粒子(平均粒子径2μm、K値2.5kg/mm
・ 粒子2:酸化チタン含有架橋PMMA粒子(平均粒子径7μm、K値2.5kg/mm
・ 粒子3:架橋ポリウレタンエステル粒子(平均粒子径7μm、K値0.8kg/mm
・ 粒子4:ナイロン12粒子(平均粒子径5μm、K値1.0kg/mm
・ 粒子5:架橋ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子径8μm、K値2.5kg/mm
・ 粒子6:シリカ粒子(平均粒子径4μm、K値6.0kg/mm
・ 粒子7:ナノシリカ粒子(平均粒子径1μm、K値6.0kg/mm
・ 粒子8:架橋ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子径20μm、K値2.5kg/mm
・ 粒子9:ナノシリカ粒子(平均粒子径0.5μm、K値6.0kg/mm
(5)スクラッチ性
布製のウェスでサンプルの反射面側を1kg加重で10往復乾拭きし、コート層の削れの有無を目視で確認した。
○:コート層の削れなし
×:コート層の削れあり
(6)表面粗さ
接触式表面粗さ計(SurF Coder ET4000A)を使用し、帯電防止層の表面粗さを測定した。測定条件は、TD方向に測定長さ3mm、測定速度0.2mm/secで測定を行い、表面粗さRa値を測定した。
<光反射フィルムの作製>
(比較例1)
4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤をアクリル系樹脂に分散させた帯電防止剤(コルコート(株)、コルコートNR−121X−9、固形分10%)を、反射フィルムの基材の反射面側にバーコーター(松尾産業社製、バーコーター#6)を使用して塗工し、80℃で1分乾燥した。
白色ポリエステルフィルム層を構成する白色ポリエステルフィルムは以下のようにして準備した。重量平均分子量20万の乳酸系重合体(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒子径0.25μmの酸化チタンとを、質量割合を50:50で混合し、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチと前記乳酸系重合体とを、質量割合を40:60で混合して樹脂組成物を作製した。その後、この樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを温度65℃で、MDに3倍、TDに3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ100μmの2軸延伸脂肪族ポリエステルフィルムを得た。
(実施例1〜10、比較例2〜9)
4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤をアクリル系樹脂に分散させた帯電防止剤(コルコート(株)社製、コルコートNR−121X−9、固形分10%)に表1、2に示した粒子を帯電防止剤の固形分に対し所定量添加し、比較例1に係る白色ポリエステルフィルムの反射面側に表1、2に記載の塗布量となるよう適宜選択したバーコーター番手(松尾産業社製)を使用して塗工し、80℃で1分乾燥した。
<光反射板の作製>
アクリル系熱硬化型接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になる様に塗布し、次いで熱風加熱炉及び赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥及び加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)の表面温度を220℃に設定し、直ちにロールラミネータを用いて上記の光反射フィルムを被覆し、水冷にて冷却することにより光反射板を作製した。
評価結果を以下表1、2に示す。
Figure 2015125265
Figure 2015125265
表1、2に示す結果から次のことが明らかとなった。
実施例1〜10のように帯電防止層にウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリル粒子といった軟質粒子を適量添加することにより、表面を適度に荒らすことができるため、低光沢度化、保護膜との過密着防止、スクラッチ性の向上が可能であり、帯電防止性も実用上問題のないレベルであった。
一方、比較例1のように粒子を添加しなかった場合は、表面粗さが小さく、光沢が高く、保護膜密着性試験でコート層の剥離が見られた。
また、比較例2のように粒子添加量が単位面積当たりに過剰である場合は、表面抵抗値を担保する帯電防止剤の量がすくなくなるため帯電防止性に劣り、さらに粒子が保持できなくなったためかスクラッチ試験で粒子が欠落し外観に劣るものであった。
また、比較例3のようにコート層の厚みを粒子径に対して極端に薄くした場合は、コート層の白色ポリエステルフィルム層に対する密着性が悪くなり、さらには、コート層が粒子を物理的に保持することができずに、保護膜フィルム離性及びスクラッチ性に劣るものであった。
また、比較例4のように粒子の添加量が少なすぎる場合、表面粗さが小さくなり過ぎ、光沢値を十分に下げることができなかった。
また、比較例5のようにd/D値が小さすぎる場合(粒子径に対しコート層が厚すぎる場合)も、光沢値を十分に下げることができなかった。
また、比較例6のように硬質のシリカ粒子を添加した場合は、光沢を下げることが可能であるものの、耐スクラッチ性に劣るものであった。
また、比較例7、9のように粒子径の小さい粒子を添加した場合は、表面粗さが小さくなり過ぎ、光沢値を十分に下げることができなかった。
また、比較例8のように粒子径の大きい粒子を添加した場合は、粒子がコート層で保持できなくなるためラビング試験で粒子の欠落が見られ外観に劣るものであった。
以上のように、白色ポリエステルフィルム層及び最表層として帯電防止層を有するマット調光反射フィルムにおいて、帯電防止性を備え、反射ムラや照明器具の映り込みを防止できるとともに、保護フィルムと過密着となることを防止することもできるようにするためには、
・ 帯電防止層の表面抵抗値を1012Ω/cm未満とすること
・ 帯電防止層の60°光沢値を40未満とすること
・ 帯電防止層がコート層及び粒子を備えてなること
・ 粒子の10%変形強度K値が0.3kgf/mm以上5.0kgf/mm以下を満たすこと
・ 粒子の平均粒子径(d)が1μm以上20μm以下であること
・ コート層が帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層であること
・ コート層の厚み(D)が0.5μmより大きいこと
・ コート層の厚み(D)と粒子の平均粒子径(d)との比(d/D)が0.35以上10以下であること
のすべてを満たすようにすることが有効であることが分かった。
本発明に係るマット調光反射フィルムは、各種光源からの光を拡散反射させることができ、照明器具、照明看板、液晶表示装置等において使用されるマット調光反射フィルムとして広く利用可能である。
1 白色ポリエステルフィルム層
2 帯電防止層
2a 粒子
2b コート層
10 マット調光反射フィルム
20 金属板
100 光反射板

Claims (6)

  1. 白色ポリエステルフィルム層及び帯電防止層を有するマット調光反射フィルムであって、
    該マット調光反射フィルムは最表層に前記帯電防止層を有し、
    前記帯電防止層の表面抵抗値が1012Ω/cm未満であり、
    前記帯電防止層の60°光沢値が40未満であり、
    前記帯電防止層が粒子及びコート層を備えてなり、
    前記粒子の10%変形強度K値が0.3kgf/mm以上5.0kgf/mm以下であり、
    前記粒子の平均粒子径(d)が1μm以上20μm以下であり、
    前記コート層が帯電防止剤及びバインダー樹脂を含む層であり、
    前記コート層の厚み(D)が0.5μmより大きく、
    前記コート層の厚み(D)と前記粒子の平均粒子径(d)との比(d/D)が0.35以上10以下である、
    マット調光反射フィルム。
  2. 前記粒子が、アクリル系粒子、ナイロン系粒子及びウレタン系粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の粒子を含む、請求項1に記載のマット調光反射フィルム。
  3. 前記帯電防止層の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上2.3μm以下である、請求項1又は2に記載のマット調光反射フィルム。
  4. 前記帯電防止層において、前記コート層を構成する固形分100質量部に対して前記粒子が30質量部以上100質量部以下含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載のマット調光反射フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のマット調光反射フィルムを金属板にラミネートしてなる、光反射板。
  6. 請求項5に記載の光反射板を用いた、LED用光反射板。
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