本発明に係る表面加飾用積層フィルムは、基材層(s)の少なくとも蒸着および/または印刷加工を施す面側に塗布層(a)を設けた積層フィルムであり、塗布層(a)により、蒸着および/または印刷層との密着性を向上させることができる。また、基材層(s)表面に蒸着および/または印刷層が設けられることで、基材層(s)表面のコントラストが明瞭となり微細なキズが目立つことを防止することができる。よって、外観が良好な表面加飾シート用の基材として用いるために塗布層(a)を設ける。
なお、ここでいう表面加飾シートは、基材層としてのフィルムに着色や図柄印刷などが施されたものをいい、家庭用電化製品、自動車用製品、住宅建材製品、グラフィック製品、セキュリティー製品、安全表示関係製品などに使用されるプラスチック製品や金属部品、ガラス部品等の表面に積層することで、表面加飾を行うことができる。本発明の表面加飾用積層フィルムにおいては、金属調の風合いを出すために基材層としてのフィルムに蒸着加工を施したり、濃色のベタ印刷を施した場合に、特に目立ちやすいフィルム表面の非常に薄く微細なキズが見えにくくなるので、特に外観要求が厳しいディスプレイ表面の加飾保護フィルムや情報端末などの筐体外層の加飾用フィルムとしての用途に好適である。また、表面加飾シートの構成は特に限定されないが、図1に示されるような構成を一例として挙げることができる。図1においては、塗布層2、基材層3および塗布層4からなる表面加飾シート8の最外層にキズ付き防止のためハードコート層1が積層され、基材層3を挟んでハードコート層1の反対側には、外力からの保護のために蒸着および/または印刷加工が施されて蒸着層(印刷層)5が形成され、更に接着層6を介して表面加飾シート8が部材7に積層される構成が示されている。
塗布層(a)は厚みが50nm以上であり、好ましくは100nm以上である。塗布層(a)の厚みが50nm未満である場合は、蒸着層や印刷層との接着性に劣る場合があったり、また基材層表面の微細なキズが蒸着層や印刷層の積層後に目立ちやすくなり、外観が悪くなる傾向がある。塗布層(a)層の厚みの上限は特には限定されないが、接着性や微細なキズの視認性とコスト面から通常は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることが更に好ましい。また、表面加飾用積層フィルムの塗布層(a)側表面の波長範囲450nm〜650nmにおける分光反射率の最小値は6.0〜9.0%であり、好ましくは6.5〜8.0%である。分光反射率の最小値が6.0%未満である場合や9.0%を越える場合は、基材層表面の微細なキズが見えやすい傾向がある。
表面加飾用積層フィルムにおいては、特に塗布層(a)側に存在する基材層(s)表面の微細なキズが、蒸着加工を施したり、濃色のベタ印刷を施した後に、コントラストが明確となりため目立ちやすい問題がある。しかし、前述のような特性を有する塗布層(a)を設けることで、基材層(s)表面のわずかな凹凸による光の散乱を抑制し、外観を改善することが可能となる。その際、塗布層(a)と基材層(s)との界面における反射が少ないほど基材層(s)表面での散乱光が発生しにくくなるため、キズが視認されにくい。また塗布層(a)の厚みが大きいほど、基材層(s)表面の微細な凹凸形状が塗布層(a)により改善され表面が平滑となるため、よりクリアで良好な外観特性を得ることが出来る。特に波長範囲450〜650nmにおける分光反射率の最小値が6.5〜8.0%で、かつ塗布層(a)の厚みが100nm以上の時に、極めて外観特性が良好となる。
上記のような特性を有する塗布層(a)を形成するための手法は特には限定されないが、例としてナフタレン骨格、フルオレン骨格といった多環式化合物や金属微粒子、水溶性金属化合物などの屈折率が高い成分を塗布層(a)中に含有させることで分光反射率を高めることができ、さらに含有量を調整することで所望の表面反射率を有する塗布層(a)を得ることができる。特に、フルオレン骨格を有する樹脂を用いることで、塗布層(a)を形成する樹脂そのものの屈折率を高くすることが可能となるため、金属微粒子や金属キレート剤などを添加せずに、あるいは少量のみ添加して所望の表面反射率を得ることができる。よって、フルオレン骨格を有する樹脂を用いて塗布層(a)を形成する手法は、金属成分を添加することによる塗布外観特性の悪化や、蒸着層や印刷層との密着性の低下がなく特に好ましい。更にこの場合、塗布層(a)のガラス転移温度(Tg)が大きくなるため、耐湿熱性が向上する効果も得られる。また、塗布外観や接着性の観点から、塗布層(a)を形成する樹脂はポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。
ポリエステル樹脂とは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有する樹脂を指し、以下のI)またはII)の方法によって得ることができる。また、I)とII)を併用する方法(ジカルボン酸成分、グリコール成分、および1以上のアルコール性の官能基(ヒドロキシル基)と1以上のカルボキシル基を有する成分を構成要素とし、これらを重縮合反応せしめる方法)を用いても良い。
I)ジカルボン酸成分と、グリコール成分とを構成要素とし、両者を重縮合反応せしめる方法。
II)1以上のアルコール性の官能基(ヒドロキシル基)と、1以上のカルボキシル基を有する成分を構成要素とし、重縮合反応せしめる方法。
塗布層(a)は、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有する樹脂を含有していることが好ましく、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂を含有していることが特に好ましい。ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂を得る方法として、上記I)の方法においては、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分を用いるか、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するグリコール成分を用いることで、上記ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂を得ることが出来る。また、上記II)の方法においては、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有し、1以上のアルコール性の官能基(ヒドロキシル基)と1以上のカルボキシル基を有する成分を用いることで、上記ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂を得ることが出来る。
ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分としては、例えば、9,9−ビス(t−ブトキシカルボニルメチル)フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[1−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−シクロヘキシルエチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−フェニルエチル]フルオレン、9,9−ビス[1−(t−ブトキシカルボニル)プロピル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)プロピル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチルエチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチルプロピル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)ブチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチルブチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(t−ブトキシカルボニル)ペンチル]フルオレン、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、ナフタレン骨格および/またはフルオレン骨格を有するグリコール成分としては9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ) 10−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン、1,4−ジヒロドキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
ポリエステル樹脂を得るために、ナフタレン骨格またはフルオレン骨格を有さない芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸やグリコール成分を使用することもできる。かかるジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。また、かかる脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができるがこれに限定されるものではない。
塗布層(a)のポリエステル樹脂を含有せしめた水系塗剤を得るためには、ポリエステル樹脂は水溶性であることが好ましい。ポリエステル樹脂を水溶性とするためには、ポリエステル樹脂の側鎖などにカルボン酸塩基を含む化合物や、スルホン酸塩基を含む化合物などの親水成分を導入することが好ましい。かかる親水成分の導入は、ジカルボン酸成分として、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分や、3価以上の多価カルボン酸成分を用いることによって、達成することができる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分としては、例えばスルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5−[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸等の多価カルボン酸のほか、酸無水物を用いることもできる。具体的には、1,2,4,5−ブタンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
金属蒸着層との密着性や耐湿熱環境下での耐久性を要求される用途においては、ポリエステル樹脂の親水成分としてスルホン酸塩基を用いた場合に、スルホン酸塩基の親水性の強さによって、被接着物との高温高湿条件下での接着性が低下する恐れがある。そのため、ポリエステル樹脂が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を含まないようにするか、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分の量に対してスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の割合を5モル%以下とすることが好ましい。さらに、3価以上の多価カルボン酸成分を共重合することによって、ポリエステル樹脂の側鎖にカルボキシル基を導入することができる。この方法によれば、金属蒸着層との密着性を向上させたり、ポリエステル樹脂の水溶化のための親水性を高めることができる。また、ポリエステル樹脂の側鎖に導入されたカルボキシル基をアンモニアや、水酸化ナトリウム等にて中和することにより、カルボン酸塩基としてもよい。カルボキシル基をカルボン酸塩基とすることにより、親水性をさらに高めることができる。なお、多価カルボン酸成分の共重合に際しては、ジカルボン酸成分とグリコール成分を反応させたポリエステルポリオール(ポリエステルオリゴマー)に、3価以上の多価カルボン酸無水物を反応させることでポリエステル樹脂の側鎖にカルボキシル基を導入する方法を用いることが好ましい。かかる方法を用いることによって、ポリエステル樹脂の側鎖にカルボキシル基をより効率的に導入することができる。
積層フィルムの塗布層(a)において、上述のポリエステル樹脂に高屈折率の金属微粒子、金属キレート剤を含有することで塗布層(a)表面の反射率を高めることができる。金属微粒子の例としては酸化チタン、三酸化アンチモン、酸化錫などの金属酸化物の微粒子が、水溶性金属化合物としては、チタンキレート剤、ジルコニウムキレート剤が挙げられるが、塗布外観や塗布層表面の平滑性、加工後の外観のクリア感から、水溶性の金属キレート剤を含有することが好ましい。適用可能なチタンキレート剤およびジルコニウムキレート剤としては、具体的には、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートなどが挙げられる。金属キレート剤の含有量は、塗布層(a)を形成する主成分に対し50重量部以下が好ましく、30重量部以下が更に好ましい。50重量部を越える場合は、塗布層の外観特性や密着力が劣ることがある。
表面加飾用積層フィルムにおいて、塗布層(a)の反対側表面に塗布層(b)が設けられることが好ましい。表面加飾用積層フィルムにおいては、蒸着や印刷などにより加飾される図柄面の反対側が最表層となる構成が一般的であり、最表面の傷つき防止や防汚のためにハードコート層を積層することが多いが、該ハードコート層との密着性の観点から塗布層(b)を設けることが好ましい。また、ハードコート層を設けた時に発生する干渉ムラ(光の干渉模様)を抑制するために、塗布層(b)側表面の波長範囲450〜600nmにおける分光反射率の最小値が4.0〜6.0%であることが好ましく、4.5〜5.5%であることがより好ましい。
塗布層(b)は、ハードコート層と表面加飾用積層フィルム間の界面での反射光が可視光領域で最も小さくなるように設計することが好ましい。ハードコートフィルムの干渉ムラは、空気/ハードコート層界面での反射光とハードコート層/フィルム層界面の反射光が干渉することにより発生する。よって、塗布層(b)が隣接する基材層(s)および、塗布層(b)上に積層されるハードコート層との屈折率差を共に小さくすることが、ハードコート層/塗布層(b)間および塗布層(b)/基材層(s)間界面での反射率が小さく抑えることができるため好ましい。さらに、両者の反射率差が近い方が、干渉による反射光の低減効果が大きくなるので好ましい。一般的なハードコート層の屈折率は1.45〜1.55であり、基材層(ポリエステルフィルム層)(s)の屈折率は1.60〜1.70であるため、その範囲において上記の干渉ムラが良い状態を保つためには、表面加飾用積層フィルムの塗布層(b)側の分光反射率が前述の範囲となることが好ましい。更に、塗布層(b)側表面の分光反射率が最小となる波長が可視光領域の中心である500〜600nmの範囲内である場合は、干渉ムラがほとんど視認されず特に好ましい。
塗布層(b)側の分光反射率を上述の範囲とする方法は特には限定されないが、例えば前述の塗布層(a)と同様に、ナフタレン骨格、フルオレン骨格といった多環式化合物や金属微粒子、水溶性金属化合物などの屈折率が高い成分を塗布層(b)中に含有させること、およびその含有量を調整することで所望の表面反射率を有する塗布層(b)を得ることができる。また、塗布層(b)表面の分光反射率は塗布層(a)表面よりも小さい値が好ましく、さらにハードコート層との密着性も鑑みると、塗布層(b)を構成する成分としてはナフタレン骨格を含むポリエステル樹脂を主成分とし、後述するメラミン化合物、オキサゾリン化合物に代表される架橋剤成分を含有することが好ましい。塗布層(b)側表面の分光反射率が最小となる波長においては、空気層/塗布層(b)間の界面の反射光と塗布層(b)/基材層(s)間の界面の反射光が互いに逆位相となって打消し合っていると考えられるので、両者の光が進む光路長の差(易接着層の厚み×易接着層の屈折率)が波長(500〜600nm)の1/2となるように塗布層(b)の屈折率および厚さを調整することで、塗布層(b)表面の分光反射率の最小化が達成される。
塗布層(a)、塗布層(b)を構成する樹脂のガラス転移点(以下、Tgと略すことがある)は、50〜170℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。Tgが50℃未満では耐湿接着性が悪化し易く、逆に150℃を越えると後述するインラインコート法において塗布層を均一に塗設できないことがある。Tgを上記範囲内とするには、塗布層を構成する樹脂中ナフタレンおよび/またはフルオレン骨格を有する成分の含有量を調整するほか、塗布層を構成する樹脂に芳香族ジカルボン酸成分を含有させることで達成可能となる。
またポリエステル樹脂の酸価は、20mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは30mgKOH/g以上である。酸価を上記範囲内とすることにより、接着性、特に耐湿接着性を良好にすることができる。酸価を上記範囲とするためには、フルオレン共重合ポリエステル樹脂の重合時において、ポリエステルポリオールに反応させる多価カルボン酸無水物の量を調整することによって得られる。
塗布層(a)、塗布層(b)において、架橋剤として、メラミン系架橋剤を含有することが、密着性、特に耐湿熱環境下での密着力保持に優れるため好ましい。メラミン系架橋材の含有量は、塗布層(a)においては塗布層を構成する樹脂主成分100重量部に対して5〜60重量部が好ましく、10〜50重量部であることがさらに好ましい。塗布層(b)においては、塗布層を構成する樹脂主成分100重量部に対して10〜60重量部が好ましく、30〜50重量部であることがさらに好ましい。メラミン系架橋剤の含有量が塗布層(a)中で5重量部未満である場合は、蒸着膜との密着力に劣る場合があり、塗布層(b)で10重量部未満である場合は、ハードコート層との密着力に劣る場合がある。また、60重量部を越えると塗布欠陥が増加する傾向がある。
塗布層(a)、塗布層(b)で用いられるメラミン系架橋剤は、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。またメラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを用いることができる。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
塗布層(a)、塗布層(b)において、メラミン系以外の架橋剤も発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。例えばオキサゾリン系架橋剤やカルボジイミド系架橋剤が好ましい例として挙げられ、特にオキサゾリン系架橋剤を塗布層(b)中に含有させた場合は、ハードコート層との耐湿密着力が向上するため好ましい。オキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。また、カルボジイミド系架橋剤は、該化合物中に官能基としてカルボジイミド基、またはその互変異性の関係にあるシアナミド基を分子内に1個または2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。このようなカルボジイミド化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、ウレア変性カルボジイミド等を挙げることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
塗布層(a)や塗布層(b)において、塗布層の均一性を改善したり、塗布欠陥の発生を防止するために界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の含有量はポリエステル樹脂100重量部に対して0.5〜3.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜1.5重量部である。0.5重量部未満では界面活性剤の効果が不十分な場合があり、また3.0重量部を越える場合はハードコート層との密着性が悪化する傾向が見られる。添加する界面活性剤は、特に限定される物ではなく、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステルなど)、イオン性界面活性剤(例えば、高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシドなど)、フッ素系界面活性剤(例えばフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなど)が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を混合して用いても良い。中でもフッ素界面活性剤が、塗布層(A層)の均一性および塗布欠陥抑制に優れており好ましい。また、さらにレベリング性を向上させるためには水溶性溶剤を併用することもできる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤を用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
塗布層(a)や塗布層(b)において、発明の特性を損なわない範囲でアクリル樹脂を混合してもよい。特に塗布層(a)中にアクリル樹脂を混合せしめたり、含有せしめたりすることで、特に印刷層との密着性を向上させ、成型加飾フィルムの生産性を上げることができる。アクリル樹脂は、該アクリル樹脂を構成するモノマー成分として、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて(共)重合される。アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0〜90℃、より好ましくは10〜80℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いた場合は耐熱接着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は造膜性が劣ることがある。また、該アクリル樹脂は粒子径が100nmの水分散体、つまりエマルションであることが好ましく、更には粒子径が60nm以下の水分散体であることがより好ましい。アクリル樹脂が水に完全に溶解する場合はハードコートとの耐湿密着力に劣る場合があり、また粒子径が100nmより大きなエマルションではフィルムの外観が悪化し光学積層フィルムとして不適切となる恐れがある。塗布層におけるアクリル樹脂の混率(含有割合)は、ナフタレン骨格及び/またはフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂の100重量部に対して5〜20重量部の割合であることが好ましい。アクリル樹脂の含有割合がポリエステル樹脂の100重量部に対して5重量部未満である場合は、密着力向上の効果が不十分である場合があり、また20重量部を越えると、反射率Rminが低下し干渉ムラが悪化したり、微細なキズが視認されやすくなる傾向がある。
塗布層(a)側の表面粗さ(SRa(a))は、3nm未満であることが好ましく、さらに好ましくは2nm未満である。表面粗さ(SRa(a))が3nmを越える場合は、蒸着や印刷などの加飾を施した後の加飾フィルムの外観がわずかに曇りがかってクリア感に劣ることがあるため好ましくない。これらの現象は塗布層(a)側表面のわずかな凹凸により、光が乱反射することが原因で生じるものと考えられ、塗布層(a)側の表面粗さ(SRa(a))を3nm未満と極めて平滑にすることで良好な外観を得ることができる。表面粗さ(SRa(a))を上述の範囲にするための方法は特には限定されないが、塗布層(a)中に微粒子を含有させないこと、および後述する基材層(s)表面の微細なキズを低減すること等の方法を用いることで塗布層(a)表面を極めて平滑なものとして達成することが可能となる。なお、塗布層(a)側の表面粗さ(SRa(a))の下限値は特には限定されず平滑であるほど好ましいが、フィルム製造工程で使用するロールの表面転写や部分的な樹脂の結晶成分などにより、粒子を含有しない場合でもフィルム表面にはごく僅かな凹凸が存在するため、実質的には0.1nm程度である。
塗布層(b)側の表面粗さ(SRa(b))は3nm〜10nmであることが好ましく、3nm〜7nmであることがさらに好ましい。塗布層(b)側の表面粗さ(SRa(b))が3nm未満である場合は、易滑性が低下し搬送性・巻き取り性に悪影響を及ぼし、また、10nmを越える場合は、表面凹凸の乱反射によって、フィルムヘイズが上昇し透明感を低下させてしまうため好ましくない。塗布層(b)側の表面粗さ(SRa(b))を上述の範囲とすることで、塗布層(a)側表面が平滑であった場合でも、塗布層(b)により易滑性やエア抜け性が付与されるため、積層ポリエステルフィルムの製造時における搬送性・巻き取り性や積層ポリエステルフィルムを加工する際の搬送性・巻き取り性が良好となり、かつ塗布層(b)側にハードコート加工を施した後の外観特性にも優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
塗布層(a)および/または塗布層(b)中に使用する微粒子としては特に限定されないが、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、“テフロン”(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられ、これら粒子のいずれを用いてもあるいは複数種を併用してもよい。
塗布層(a)中に微粒子を含有する場合は、微粒子の数平均一次粒径が100nm未満であることが、塗布層(a)側の表面粗さ(SRa(a))を所望の範囲にするうえで好ましい。また、塗布層(b)中に含有される微粒子の数平均一次粒径が10〜300nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10〜230nmである。ここで数平均一次粒径とは、JIS−H7008(2002)において単一の結晶核の成長によって生成した粒子と定義される一次粒子の粒子径の数平均である。なお添加する粒子には、単分散粒子を用いても、複数の粒子が凝集した凝集粒子を用いてもよい。また、場合によっては平均一次粒径の異なる複数種の粒子を併用してもよい。粒子の添加量は、塗布層の厚みや樹脂組成、平均一次粒径、求められる易滑性や用途などによって適切に調節設計されるべきであるが、塗布層(b)全体を100重量部とした時に0.05〜8重量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲内である。粒子添加量が0.05重量部未満である場合は、易滑性や耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、粒子添加量が8重量部を越える場合は粒子が脱落したり、外観が悪化する傾向がある。
更に、塗布層(a)および塗布層(b)には、発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
塗布層(a)や塗布層(b)を有する積層フィルムを得る方法としては、塗布層(a)や塗布層(b)を構成する塗剤をコーティング(塗布)し、積層する方法が好ましい。かかるコーティング方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、ポリエステルフィルムの製造工程中にコーティングを行い、塗布層(a)や塗布層(b)が積層された積層ポリエステルフィルムを一気に得る、いわゆるインラインコーティング方法があるが、コストの面や、塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いる塗液の溶剤は、環境汚染や防爆性の点から、水系溶剤であることが最も好ましい。
塗布層の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法などを用いることができるが、塗布層(a)、塗布層(b)の厚みムラを低減するためにはグラビアコート法およびバーコート法が好ましく、特に好ましくは計量バーによるバーコート方式である。上記計量バーの直径は特には限定されないが通常10〜30mmの範囲である。また、計量のための溝は、ワイヤーを円筒形の部材に巻き付けたワイヤーバー方式でもよいし、部材表面に螺旋状溝を掘った方式のものを用いても良い。なお、計量バーは振れ量が150μm以下、更に好ましくは100μm以下であるものを用いることで、塗布均一性が安定するため好ましい。
基材層(s)を構成するポリエステルは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好適に用いることができる。これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断するとエチレンテレフタレートを主要成分とするポリエステルを用いることが特に好ましい。また、基材に熱が作用する用途においては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートを用いることが更に好ましい。また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
上述したポリエステルの極限粘度(JIS K7367(2000)に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定する。)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲内である。
このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、架橋剤などが、その特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。特に、紫外線カット能を付与するにはポリエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させるのが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびベンゾオキサジノン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく例示することができるが、380nmでの紫外線カット性、色調などの点及び後述するポリエステルのM+P、M/P( Mはフィルム中に残存する触媒金属元素の濃度(ミリモル% ) 、P はフィルム中に残存するリン元素の濃度(ミリモル% ) を示す。) の制御による分散性向上の効果発現度合いの点からベンゾオキサジノン系化合物が最も好ましい。これらの化合物は1種単独であるいは2種以上一緒に併用することができる。またHALSや酸化防止剤等の安定剤を併用することもでき、特にリン系の酸化防止剤を併用することが好ましい。
ここでベンゾトリアゾール系の化合物としては、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を例示することができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等を挙げることができる。
ベンゾオキサジノン系化合物としては、例えば2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(p−ベンゾイルフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2′−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等を例示することができる。
表面加飾用積層フィルムは、380nmの波長における透過率が5.0% 以下であることが好ましく、380nmでの透過率は3.0% 以下であることがより好ましい。このような表面加飾用積層フィルムを用いることにより、表示基材保護が必要なディスプレイ部材の表面加飾(例えば額縁印刷)用等に適用する際の他素材、他化合物への紫外線保護機能や、携帯やモバイル家電などの筐体の加飾用途等において、紫外線による色の劣化等を防止することができる。また、微粒子の添加は光線透過率やヘイズといった透明性に関する特性を低下させる場合が多いため、添加する場合は極力粒子径が小さく、好ましくは散乱が発生しにくい可視光波長の約1/4以下の粒子径を有するものが好ましく、その添加量も微量であることが好ましい。
また、基材層(s)自身が2層以上の積層構造体であっても良い。積層構造体としては、例えば、内層部と表層部と有する複合体フィルムであって、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルムを挙げることができ、内層部と表層部が化学的に異種のポリマーであっても同種のポリマーであっても良い。表面加飾用積層フィルムとしての用途においては、基材層(s)中に粒子などを含有しない方が透明性などの光学特性上好ましい。基材層(s)の厚みは特に限定されないが、通常は10〜500μm程度、好ましくは38〜300μm、さらに好ましくは50〜250μmである。
基材層(s)は二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。ここでいう「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートをシート長手方向および幅方向に各々2.5〜5.0倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより得ることができる。未延伸フィルムを二軸配向する方法としては、長手方向延伸、幅方向延伸をそれぞれ別工程で順次実施する逐次二軸延伸法や、長手方向と幅方向を一気に同時に延伸する同時二軸延伸法が挙げられる。同時二軸延伸は幅方向の両端部をクリップなどの把持具で把持し、長手方向と幅方向の把持具の間隔を広げて延伸する方式であるが、成型加飾用途で一般的に使用される様な厚さ50μmを越える厚いフィルムにおいては延伸の均一性が悪化する傾向があり、二軸延伸フィルムの平面性や熱収縮率のバラツキが大きくなる傾向がみられる。よって、表面加飾用積層ポリエステルフィルムにおいては逐次二軸延伸法を用いることが好ましい。
積層ポリエステルフィルムの長手方向の延伸工程については、図2に例示されるようなロール群により長手方向延伸前のフィルムを予熱する予熱工程と、ロール間の収束差を用いて延伸する延伸工程と、ロール群による冷却工程を有するロール延伸方式が好ましいが、ロールを用いた延伸方式であるため、基材層(s)表面にロールとの擦過や転写・粘着によるキズ・面粗れが発生しやすい傾向がある。そのため予熱工程におけるロール温度は、ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度(Tg)−3℃以下、さらにはガラス転移温度(Tg)−5℃以下である。予熱工程においては、フィルムを高い予熱ロール温度により加熱するため、ロール表面温度がポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)を越えた場合、ロール表面とフィルム表面がわずかに粘着することで微少なキズや面荒れが発生しフィルム外観を損ねることがある。予熱での粘着欠点を防止するため温度を低く設定すると、延伸工程におけるフィルムの温度が不足し、フィルム破れや延伸が不均一となる問題が発生しやすくなる傾向がある。よって、延伸工程においては、図2に例示されるようにラジエーションヒーターなどの補助加熱装置をフィルムの上下両方に設けたり、延伸工程においてニップロールを用いることで、延伸時のフィルムの温度不足を補ったり、延伸時にフィルムがロール上で滑るのを防止することが好ましい。また、冷却工程においてはロール周速が隣接する上流側のロールの周速より遅いことが好ましく、その隣接する上流側ロールとの周速比が99.95%〜99.99%、さらには99.98%〜99.99%が好ましい。冷却工程では、加熱延伸されたフィルムを、フィルムよりも低い温度のロール群で冷却するため、フィルムとロール間の密着力が予熱工程と比較して低く、フィルムとロールのわずかな速度差で擦過キズが発生しやすい。そのためフィルムの冷却による収縮に伴い冷却ロール群の周速を落としていくことで、ロールとフィルム速度の差による擦過キズを改善することができ好ましい。
長手方向延伸に使用されるロールはその平滑性からハードクロムまたはタングステンカーバイト表面を有する表面粗度0.4S以下、より好ましくは0.2S以下の金属ロールを用いることが好ましい。表面粗度が0.4Sを越える場合はロールの表面がポリエステルフィルムに転写されたり、表面の凹凸部分にポリエステルのオリゴマーなどが堆積することで、粘着や擦過欠点が発生しやすくなる恐れがある。
長手方向延伸工程の後に、塗布層(a)が塗布される工程を実施することが好ましい。長手方向延伸工程においては、上述のような工程を経た場合でも完全に微細なキズを無くすことは困難であり、その後に前述した塗布層(a)を設けることで、残った微細なキズや面荒れ状欠点を視認しにくくすることができ好ましい。また、横延伸工程については、塗布層(a)、塗布層(b)を塗布後にオーブンにて、フィルム両端をクリップで把持しながら乾燥、予熱し、引き続き横延伸を実施することにより横延伸時の予熱工程と塗布層の乾燥工程を同時に行うことが出来る。また、横延伸工程を実施後に連続して熱処理工程を行うことで、フィルムの結晶化度を上げ、熱寸法安定性を高めることができる。
次に、積層ポリエステルフィルムロールの製造方法を、基材層(s)としてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
基材層(s)を構成する極限粘度0.5〜0.8dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃のPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作製した。この未延伸フィルムを50〜74℃に加熱された予熱ロール群で予熱した後、延伸ロール群の周速差を用いて縦方向(フィルムの進行方向を指し「長手方向」ともいう)にラジエーションヒーターにてフィルムを加熱しながら2.5〜5.0倍延伸し、その後20〜60℃の冷却ロールにて冷却し長手方向に一軸延伸されたフィルムを得る。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、片面に塗布層(a)を、反対面に塗布層(b)を形成する水系塗剤を塗布する。この塗布された光学積層フィルムをクリップで把持して乾燥ゾーンに導き、塗布層を乾燥させた後に70〜150℃の温度で加熱を行い、引き続き連続的に70〜150℃の加熱ゾーンで横方向(フィルムの進行方向とは直交する方向を指し「幅方向」ともいう)に2.5〜5.0倍延伸し、続いて200〜240℃の加熱ゾーンで5〜40秒間熱処理を施し、100〜200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向の完了した基材層(s)の片面に塗布層(a)が、その反対面に塗布層(b)が積層されたポリエステルフィルムを得る。なお、上記熱処理中に必要に応じて3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの端部をカットした後に巻き取り中間製品とし、その後スリッターを用いて所望の幅にカット後、円筒状のコアに巻き付け所望の長さの積層ポリエステルフィルムロールを得ることができる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにフィルム両端部にエンボス処理を施しても良い。
塗布層(a)の反対面には塗布層(b)が設けられ、塗布層(b)上にハードコート層が積層されることが好ましい。ハードコート層を構成する材料は特に限定されるものではなく、可視光線を透過するものであればよいが、光線透過率が高いものが好ましい。用いられる材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、活性線硬化型樹脂などである。特に、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、活性線硬化型樹脂は、耐擦傷性、生産性などの点で好適に用いることができる。
ハードコート層の構成成分として用いられる活性線硬化型樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4− (メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いる。
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするために、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリル系化合物」という記載は、「メタアクリル(メタクリルともいう)系化合物およびアクリル系化合物」を略して表示したものであり、他の化合物についても同様である。
活性線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に対し、0.01〜10重量部程度の光重合開始剤を加えることが望ましい。
活性線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、発明の効果を損なわない範囲において、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を配合することができる。
活性線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
ハードコート層の屈折率は、塗布層(b)表面との界面における屈折率差が小さくなるよう調整されることで、干渉縞の原因となる光反射を抑制することが出来る。かかるハードコート層の屈折率は、1.45〜1.55であることが好ましく、1.48〜1.53がより好ましい。またハードコート層の厚みは、使用用途などによって適切に調節して設計されるべきものであり、特に限定されるものではないが、通常は1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。ハードコート層の厚みがかかる好ましい範囲であるとハードコート性が十分に発現し、一方、ハードコート層の硬化時の収縮によりフィルムがカールすることもない。
ハードコート層の表面には、ちらつきを抑えるための反射防止層を設けたり、また、汚れ防止のための防汚処理を施しことが好ましい。
特に、ハードコート層の上に反射防止層たる高屈折率ハードコート層および低屈折率層をこの順に積層し、これを反射防止フィルムとして用いても良い。反射防止層は特に限定されるものではないが、低屈折率化合物の積層やフッ化マグネシウムや酸化ケイ素などの無機化合物のスパッタリングや蒸着などにより形成することができる。防汚処理については、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などによる防汚処理を施すことができる。
[物性の測定法]
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、各種物性の測定方法を記載する。
(1)分光反射率
分光反射率の測定は、試料の測定面の裏面に50mm幅の黒色光沢テープ(ヤマト(株)製 ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を気泡を噛みこまないように、試料とテープの長手方向を合わせて貼り合わせた後、約40mm角のサンプル片に切り出し、分光光度計(島津製作所(株)製 UV2450、鏡面反射率測定ユニットを使用)にて入射角5°での分光鏡面反射率を測定した。サンプルを測定器にセットする方向は、測定器の正面に向かって前後の方向にサンプルの長手方向を合わせた。なお反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3板を用いた。反射率は波長400〜700nmの範囲で測定し、450〜650nmの波長区間での反射率の最小値を読みとった。
(2)塗布層の厚み
積層ポリエステルフィルムの表面に対し垂直に超薄切片を切り出し、RuO4染色、OsO4 染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で断面構造が目視可能な以下の条件にて観察し、その断面写真からC層の厚みを測定した。測定値は、3点の平均値を用いた。
・測定装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製 H−7100FA型)
・測定条件:加速電圧 100kV
・試料調整:凍結超薄切片法
・倍率:30万倍
(3)干渉ムラ
ハードコート層を構成する活性線硬化型樹脂(日本合成化学工業(株)製 紫光UV−1700B[屈折率:1.50〜1.51])を積層ポリエステルフィルムの塗布層(b)表面上にバーコーターを用いて硬化後の膜厚が1.5μmとなるように均一に塗布した。次いで、ハードコート層の表面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させ、光学積層フィルム上にハードコート層を積層された光学積層フィルムを得た。なお、紫外線の積算照射強度測定には工業用UVチェッカー(日本電池(株)製UVR−N1)を用いた。
なお、ハードコート層の屈折率はシリコンウエハー上にスピンコーターにて形成された塗膜について、位相差測定装置(ニコン(株)製 NPDM−1000)で633nmの屈折率を測定した。結果、ハードコート層の屈折率は1.50であった。
次いで、得られた光学積層フィルムから、8cm(積層ポリエステルフィルム幅方向)×10cm(積層ポリエステルフィルム長手方向)の大きさのサンプルを切り出し、ハードコート層の反対面に黒色光沢テープ(ヤマト(株)製 ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を気泡を噛み込まないように貼り合わせた。
このサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により干渉縞の程度を観察し、以下の評価を行った。実用レベルのものは△とし、実用レベルのもののうち良好なものは○とした。なお、干渉ムラは(1)(A)と同様の方法にてハードコートフィルムロールからサンプリングした。結果の判定は以下基準で実施し、△以上が合格範囲である。
○:干渉ムラがほとんど見えないか、わずかに見える程度である。
△:弱い干渉ムラが見える。
×:干渉ムラが強い。
(4)塗布層外観(蒸着後の表面クリア感、キズ)
上記(3)の方法にて塗布層(b)表面上にハードコートを施したハードコートフィルムの塗布層(a)表面に真空蒸着法により膜厚30nmのアルミニウム金属層を設け、塗布層(a)上にアルミニウム蒸着層、塗布層(b)上にハードコート層を有するフィルムを得た。得られたフィルムを下記方法にて、外観およびキズの評価を実施した。なお、結果の判定は以下基準により◎、○、△、×で判定し、△以上が合格範囲である。
(a)蒸着層のクリア感
得られたサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視によりアルミニウム光沢を観察し光沢が白く濁った程度を観察し、結果の判定は以下の基準で実施した。○以上が合格範囲である。
◎:アルミニウム光沢が白く濁っていない
○:アルミニウム光沢がわずかに白く濁る
△:アルミニウム光沢が弱く白く濁る
×:アルミニウム光沢が白く濁る
(b)キズ
得られたサンプルを500mm角に切り出し、暗室にて2000lxのLEDライト反射で視角をかえながら観察し、視認できるキズの個数をカウントした。結果の判定は以下の基準で実施した。○以上が合格範囲である。
◎:キズが3個未満
○:キズが3個以上10個未満
△:キズが10個以上20個未満
×:キズが20個以上
(5)表面粗さ
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面と粗さ曲面の中心面との高さ方向の差をとり、その絶対値の平均値を表したものである。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm2)
(6)印刷層との密着性
紫外線硬化型インキとしてベストキュア161墨(T&K東華(株)製)を用い、ロールコート法で積層膜上に約1.5μm厚みに塗布した。その後、照射強度120W/cmの紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとインキ面の距離)12cmで10秒間照射した。インキ硬化膜に1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、ゴムローラーを3往復させながら荷重20Nで押し付けた後、膜表面と90度をなす方向に向けて剥離した。接着性は、インキ硬化膜の残存した個数により下記の通り判定し、◎と○について接着性良好と評価した。
◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49
各実施例・比較例で用いる樹脂等の調整法を参考例として示す。
[参考例1]ポリエステル樹脂(A1)の調製
窒素ガス雰囲気下で、コハク酸ジメチル85モル部、グリコール成分として9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン90モル部、エチレングリコール10モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)をジカルボン酸エステル誘導体100万重量部に対して100重量部添加して、160〜200℃で5時間エステル化反応を行った後、メタノールを留出させた。更に240℃、0.2MPaの減圧下で30分反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。
次にポリエステルポリオールに、3価以上の多価カルボン酸成分である1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物15モル部を仕込み、反応温度160〜180℃で3時間反応を行い、ポリエステル樹脂(A1)を得た。該ポリエステル樹脂のTgは130℃であった。
<ポリエステル樹脂(A1)の組成>
(ジカルボン酸成分および多価カルボン酸成分)
・コハク酸 85モル部
・1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸 15モル部
(グリコール成分)
・9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン 90モル部
・エチレングリコール 10モル部
[参考例2] ポリエステル樹脂(A2)の調製
窒素ガス雰囲気下でコハク酸ジメチル90モル部、グリコール成分として9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン90モル部、エチレングリコール10モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)をジカルボン酸エステル誘導体100万重量部に対して100重量部添加して、160〜200℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。
その後、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(Aa−3)として5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩 10モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A2)を得た。該ポリエステル樹脂のTgは130℃であった。
<ポリエステル樹脂(A2)の組成>
(ジカルボン酸成分および多価カルボン酸成分)
・コハク酸 90モル部
・5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩 10モル部
(グリコール成分)
・9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン 90モル部
・エチレングリコール 10モル部
[参考例3]ポリエステル樹脂(A3)の調製
窒素ガス雰囲気下でジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸85モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール100モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。
その後、3価以上の多価カルボン酸成分であるトリメリット酸10モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A3)を得た。該ポリエステル樹脂のTgは120℃であった。
<ポリエステル樹脂(A3)の組成>
(ジカルボン酸成分および多価カルボン酸成分)
・2,6−ナフタレンジカルボン酸 85モル部
・5−スルホイソフタル酸ナトリウム 5モル部
・トリメリット酸 10モル部
(グリコール成分)
・エチレングリコール 100モル部
[参考例4]ポリエステル樹脂(A4)の調製
窒素ガス雰囲気下でジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル部、グリコール成分としてエチレングリコール100モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。
その後、3価以上の多価カルボン酸成分であるトリメリット酸15モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A4)を得た。該ポリエステル樹脂のTgは75℃であった。
<ポリエステル樹脂(A4)の組成>
(ジカルボン酸成分および多価カルボン酸成分)
・テレフタル酸 85モル部
・トリメリット酸 15モル部
(グリコール成分)
・エチレングリコール 100モル部。
[参考例5] ポリエチレンテレフタレートペレット(PET)の調製
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。
[参考例6] アクリル系樹脂(B)の調製
窒素ガス雰囲気下、減圧状態で溶媒となる水300部中に乳化剤としてp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)65重量部、アクリル酸エチル(EMA)30重量部、N−メチロールアクリルアミド(N−MAM)3重量部、アクリル酸(AA)2重量部を乳化重合反応器に仕込み、これに過硫酸ナトリウム(開始剤)を全モノマー成分100万重量部に対して100重量部添加して、30〜80℃で10時間反応を行った後、アンモニア水溶液(アルカリ)でpH7.0〜9.0となるよう調整を行った。その後、70℃の減圧下において未反応モノマーを除去、濃縮しアクリルエマルション35%を得た。アクリルエマルションの平均粒子径は45nm、Tgは55℃であった。
<アクリル樹脂の組成>
・メタクリル酸メチル 65重量部
・アクリル酸エチル 30重量部
・N−メチロールアクリルアミド 3重量部
・アクリル酸 2重量部
[実施例1]
参考例5の方法で得られたPETペレット(極限粘度0.63dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃)を真空中160℃で5時間乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融押出を行った。ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで、次いで平均目開き14μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターで濾過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを図2に示される縦延伸装置を用いて、69℃の予熱ロール群で加熱後、上下方向からラジエーションヒーターを用いてフィルム温度を90℃まで加熱しつつ延伸ロール間の周速差を利用して長手方向に3.1倍延伸し、引き続き表面温度25℃の冷却ロール群にて冷却し、一軸配向(一軸延伸)フィルムとした。なお、縦延伸工程にて用いた予熱・延伸・冷却ロールはいずれも表面粗度0.2Sのタングステンカーバイド表面を有するロールであった。また、冷却ロール群の周速は隣接する上流側ロールとの周速比が99.99%となるように調整した。
この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとした。次いで、塗布層(a)として下記塗液1Aを、塗布層(b)として下記塗剤1Bを上記一軸延伸フィルムの片面にそれぞれ計量バーを有する塗布装置を用いて、塗布層厚みが表1の通りになる様に塗布した。
<塗液1A>:塗布層(a)
ポリエステル樹脂固形分を100重量部とした時に、以下成分を含有する水溶液。また、本塗液を加熱乾燥して得た樹脂固形物のぬれ張力は43mN/m、屈折率は1.63であった。
ポリエステル樹脂(A1):100重量部
メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF):10重量部(固形分換算)
フッ素系界面活性剤(互応化学(株)社製“プラスコート”RY2):1.0重量部(固形分換算)
<塗液1B>:塗布層(b)
ポリエステル樹脂固形分を100重量部とした時に、以下成分を含有する水溶液。また、本塗液を加熱乾燥して得た樹脂固形物のぬれ張力は41mN/m、屈折率は1.58であった。
ポリエステル樹脂(A3):40重量部
ポリエステル樹脂(A4):60重量部
メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF):50重量部(固形分換算)
オキサゾリン系架橋剤(日本触媒(株)製“エポクロス”WS500):10重量部(固形分換算)
粒径140nmのコロイダルシリカ:1.5重量部
粒径300nmのコロイダルシリカ:0.3重量部
フッ素系界面活性剤(互応化学(株)社製“プラスコート”RY2):1.0重量部(固形分換算)
水系塗剤を塗布した一軸延伸フィルムをクリップで把持してオーブン中にて雰囲気温度120℃で乾燥・予熱し、引き続き連続的に120℃の延伸ゾーンで幅方向に3.7倍延伸した。得られた二軸配向(二軸延伸)フィルムを引き続き230℃の加熱ゾーンで10秒間熱処理を実施後、230℃から120℃まで冷却しながら5%の弛緩処理を施し、続けて50℃まで冷却した。引き続き幅方向両端部を除去した後に巻き取り、基材層(ポリエステルフィルム)(s)に、塗布層(a)、塗布層(b)が積層された厚さ188μm、ヘイズ0.8%(JIS K7105(1981))の積層ポリエステルフィルムを得た。
塗布層(a)の厚みは150nm、塗布層(a)側の波長450〜650nmでの表面反射率の最小値は7.0%であり、塗布層(a)側に蒸着処理を施した後も微少なキズは殆ど見られず極めて良好であった。また、塗布層(a)側の表面粗さSRa(a)は1.5nmと極めて平滑であり、外観のクリア感も極めて良好であった。また塗布層(b)の厚みは85nm、波長450〜650nmでの表面反射率の最小値は5.1%であり、塗布層(b)表面にハードコート層を設けた後も干渉ムラはほぼ見えず極めて良好であった。更に塗布層(b)側の表面粗さSRa(b)は3.5nmと塗布層(a)側の表面粗さより粗くすることで、塗布層(a)側の表面が極めて平滑であっても、フィルムの搬送性や巻き取り性は良好であった。上記の様に、得られたフィルムは表面加飾用として極めて好適な外観・取り扱い性を有するものであった。
[実施例2〜29,比較例1〜7、9]
塗布層(a)および塗布層(b)の組成および塗布厚み、縦延伸時の予熱温度および冷却ロール群の隣接する上流側ロール速度との周速を表1、表2の通りとした以外は実施例1に従い積層ポリエステルフィルムロールを得た。なお、表2中のチタンキレート剤はチタンラクテート(化学式Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2)を水とイソプロピルアルコール混合溶媒により溶解したものを使用した。また実施例25においては、基材層(s)中に紫外線吸収剤として2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン)を0.5重量%含有したこと以外は請求項1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムロールを得た。
得られた積層ポリエステルフィルムロールの特性を表3に示す。なお、実施例11については蒸着後のフィルムを60℃90RH%で24時間エージング後の蒸着層とフィルムの密着力が弱く、耐湿密着性にやや劣る結果であった。また、実施例25では380nmでの光線透過率が2.0%であり紫外線吸収性に優れたフィルムであった。
(塗布層(a))
塗布層(a)側の450〜650nmの表面反射率の最小値が6.0〜9.0%で塗布層(a)の厚みが50nm以上を満たす場合に蒸着後の微少なキズが低減され良好な結果となった。さらに、塗布層(a)側の450〜650nmの表面反射率の最小値が6.5〜8.0%、塗布層(a)厚みが100nm以上である場合は、蒸着後に視認できるキズが非常に少なく特に良好であった。(実施例1,2,4,5,8等)
また、塗布層(a)側の表面粗さ(SRa(a))が3nm未満である場合には、蒸着後のクリア感が良好であり、表面粗さが2nm未満である場合には、特に良好な結果であった。
塗布層(a)の組成としては、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂が主成分であることが、表面反射率の制御や外観特性で好ましく、更にスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を有せず、かつ3価以上のカルボン酸基を有する多価カルボン酸成分を有することが密着性の観点で好ましい結果であった。(実施例11は耐湿密着力が劣る)また、塗布層(a)中にアクリル系樹脂を含有させた実施例26〜28では、インキ密着性が極めて良好な結果となった。
(塗布層(b))
塗布層(b)側の表面反射率の最小値が4.0〜6.0%で塗布層(b)上のハードコートを実施した場合の干渉ムラが良好な結果であり、さらに4.5〜5.5%の場合に特に良好であった。また、塗布層(b)側の表面粗さ(SRa(b))が3〜10nmの時は、塗布層(a)側表面の表面粗さ(SRa(a))が3nm未満と非常に平滑である場合でも、巻き取り性等の取り扱い性が良好な結果であり、特に(SRa(b))が3〜7nmの時には外観への影響も含めて極めて良好であった(実施例18については塗布層(b)側の粗さの影響で外観がやや劣る結果であった。)。
(製造条件)
長手方向延伸における予熱工程のロール温度がガラス転移温度(Tg)以下である場合に、予熱ロール起因のキズが減少し良好な結果であり、ガラス転移温度(Tg)−5℃以下である場合に非常に良好となった。実施例20では長手方向延伸工程での予熱ロール起因の粘着状キズがやや増加傾向が見られ、実施例22では予熱ロール温度がガラス転移温度(Tg)以上となっており、合格範囲内ではあるが粘着状キズが更に増加した。また、長手方向延伸における冷却工程のロール周速は隣接する上流側のロールの周速未満となることで、キズが良好な結果となっており、同速度とした実施例21では冷却ロール起因の擦過キズが増加する結果となった。
一方、塗布層(a)を設けなかった比較例8においては、上記長手方向延伸工程における条件は予熱・冷却ロールとも満たしているが、塗布層(a)を設けていないため、キズが非常に目立つ結果となった。長手方向延伸条件の改善のみでは、微細なキズを完全になくすまでには至らず、所望の特性を有する塗布層(a)を設けることで、蒸着後の外観特性が飛躍的に向上した。