JP2019050346A - 太陽電池裏面保護シート用多層フィルム、太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池裏面保護シート用多層フィルム、太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】形態保持性、隠蔽性を有し、発電素子の封止材との熱密着性が高く、かつ、裏面への紫外線の影響による劣化の程度が小さい太陽電池裏面保護シート用多層フィルムを提供する。【解決手段】太陽電池裏面保護シート用多層フィルム1は、示差走査熱量測定において90℃以上150℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1が40〜110J/g、150℃超180℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm2が0.5〜40J/gであるポリオレフィン系樹脂多層フィルム2とプラスチックフィルム4を接着剤層3を介して接着する。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の太陽電池素子を封入した太陽電池モジュール用裏面保護シートに用いられる多層フィルム、並びにそれを用いた太陽電池裏面保護シート、及び太陽電池モジュールに関する。
近年、環境への意識の高まりにより、クリーンエネルギーを利用した発電手段の一つとして、太陽電池モジュールを備えた太陽電池発電システムが普及している。太陽電池モジュールは、太陽電池素子が複数枚配置されており、これらの太陽電池素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材で挟み、太陽光が当たる側にガラスなどの前面板、これとは反対側に耐候性・防湿性を有する太陽電池裏面保護シート(以下「裏面保護シート」とも言う。)を順に重ね合せ、真空加熱ラミネーション法などにより一体成形されたものである。
太陽電池裏面保護シートは、太陽電池素子や封止材を保護するものであり、外部からの機械的衝撃や圧力から太陽電池素子を保護し、水分の浸透を防いで太陽電池素子の劣化を防ぐなどの様々な特性が要求される。
ポリオレフィン系フィルムを使用した太陽電池裏面保護シートには、太陽電池モジュールの接着性樹脂層として用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略称する)シートとの熱密着性と、モジュールへの成型時の熱と圧力による変形を抑えるための形態保持性の相反する特性が要求される。特許文献1ではA/B/Cの3層からなるポリオレフィン系樹脂多層フィルムで、A層はEVAとの熱密着性を上げるためにポリエチレンとポリプロピレンの混合配合であり、B、C層はモジュール成形時の熱圧着により形態保持性を損なわないようポリプロピレン系樹脂層となっている。しかし、この処方では熱密着性、形態保持性は優れているものの、耐候性が不十分であり、長期間屋外で使用される太陽電池裏面保護シートにおいて、紫外線の影響による強度低下、ひび割れなどの劣化の原因となっている。
国際公開第2013/051403号
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを使用した太陽電池モジュール用裏面保護シートに用いられる多層フィルムに関し、太陽電池モジュールの製造工程における熱と圧力の影響でフィルムが変形することでフィルムが部分的に薄くなり、発電素子や配線が透けることのない程度の形態保持性、隠蔽性を有し、発電素子の封止材として用いられるEVAなどの樹脂との熱密着性が高く、かつ、裏面への紫外線の影響による劣化の程度が小さい太陽電池裏面保護シート用多層フィルム、並びにそれを用いた太陽電池裏面保護シート及び太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ポリオレフィン系樹脂を用いて形態保持性、隠蔽性、熱密着性を兼ね備えるフィルム開発に鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、太陽電池で用いられる封止材と熱密着可能なポリオレフィン系樹脂で構成される多層フィルムであって、示差走査熱量測定において90℃以上150℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1が40〜110J/gであり、かつ、150℃超180℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm2が0.5〜40J/gであることを特徴とする、太陽電池裏面保護シート用多層フィルム(以下、「本発明の多層フィルム」という。)を提供することを課題とする。
本発明の多層フィルムは、前記結晶融解熱量ΔHm1の前記結晶融解熱量ΔHm2に対する比率(ΔHm1/ΔHm2)が1.0〜35であることが好ましい。
本発明の多層フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂と融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との混合物であり、前記ポリエチレン系樹脂と前記融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との質量比としては、50:50〜95:5であることが好ましい。
本発明の多層フィルムは、フィルムの厚さにおいて、厚さ保持率が75%以上であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムは、前記融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムは。前記ポリエチレン系樹脂が2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910〜0.970g/cmであることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムは、前記ポリエチレン系樹脂が密度0.940〜0.970g/mの高密度ポリエチレンと、密度0.880〜0.930g/mの低密度ポリエチレンとの混合物であり、前記高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの質量比としては、90:10〜60:40であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムは、少なくとも表層、中間層、及び裏層を有し、前記中間層の厚さはフィルム全体の厚さに対して50〜99.9%であり、前記中間層に含まれる顔料の含有量が、表層と裏層に含まれる顔料の含有量より多いことが好ましい。
本発明の太陽電池裏面保護シートは、本発明の多層フィルムと基材フィルムとを有することが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、前記太陽電池裏面保護シートの基材フィルム側の面を被着材に貼着してなることが好ましい。
本発明の多層フィルムは、製膜性が良好なポリオレフィン系多層フィルムであり、太陽電池モジュールの製造工程において加熱圧着された際に、配線部材の影響でフィルムが薄くなることがない程度に形態保持性に優れ、発電素子の封止材として用いられているEVAなどの樹脂との熱密着性が高く、耐候性に優れるため、特に、太陽電池裏面保護シート材料に好適に用いることができる。
本発明の太陽電池裏面保護シートの一例を示した概略断面図である。
本発明の一つの態様は、太陽電池で用いられる封止材と熱密着可能なポリオレフィン系樹脂で構成される多層フィルムであって、示差走査熱量測定において90℃以上150℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1が40〜110J/gであり、かつ、150℃超180℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm2が0.5〜40J/gであることを特徴とする。
結晶融解熱量
本発明の多層フィルムにおいて、結晶融解熱量ΔHm1は、加熱速度5℃/minで25℃から230℃まで昇温した際に、90℃以上150℃以下の温度範囲でDSCチャート上に現れるピーク面積から算出される結晶融解熱量を意味する。このピークは少なくとも一つあればよく、二つ以上であってもよい。結晶融解熱量ΔHm1は、真空プレスで封止材と太陽電池裏面保護シートを熱圧着させる際に必要な密着性を有すること示す指標となり、結晶融解熱量ΔHm1が40J/g以上110J/g以下であることで封止材と良好な密着性を付与することができる。
また、本発明の多層フィルムの結晶融解熱量ΔHm2は、加熱速度5℃/minで25℃から230℃まで昇温した際に、150℃超180℃以下の温度範囲でDSCチャート上に現れるピーク面積から算出される結晶融解熱量を意味する。このピークは少なくとも一つあればよく、二つ以上であってもよい。結晶融解熱量ΔHm2は、太陽電池モジュールの製造工程において加熱圧着された際に、太陽電池裏面保護シートがある程度の厚さを保持するための耐熱性を有することを示す指標となり、結晶融解熱量ΔHm2が0.5J/g以上40J/g以下であることで、太陽電池裏面保護シートの厚さの減少を抑え、良好な厚さを保持することができる。
即ち、本発明の多層フィルムは、所定の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1とΔHm2をそれぞれ所定の範囲に調整することで、裏面保護シートの封止材への密着性とモジュールの製造工程における熱と圧力による変形を抑えるための形態保持性を付与することができる。
また、本発明の多層フィルムにおいて、結晶融解熱量ΔHm1は40J/g以上110J/g以下であることが重要である。結晶融解熱量ΔHm1の下限値は45J/g以上が好ましく、50J/g以上がさらに好ましい。また結晶融解熱量ΔHm1の上限値は105J/g以下が好ましく、100J/g以下がさらに好ましい。結晶融解熱量ΔHm1を上記の範囲とすることで、真空プレスでモジュール化した際の封止材と裏面保護シートの密着性が良好となる。
さらに、本発明の多層フィルムにおいて、結晶融解熱量ΔHm2は0.5J/g以上40J/g以下であることが重要である。結晶融解熱量ΔHm2の下限値は3J/g以上が好ましく、5J/g以上がさらに好ましい。また結晶融解熱量ΔHm2の上限値は30J/g以下が好ましく、25J/g以下がさらに好ましい。結晶融解熱量ΔHm2を上記の範囲とすることで、真空プレスでモジュール化した際に、熱と圧力による裏面保護シートの変形を抑えることができるため好ましい。
結晶融解熱量ΔHm1の結晶融解熱量ΔHm2に対する比率(ΔHm1/ΔHm2)は、1〜35であることが重要であり、前記比率の下限値は2以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。また、前記比率の上限値は35以下であり、33以下が好ましく、32以下がさらに好ましい。上記の範囲とすることで、封止材と裏面保護シートの密着性、モジュールの製造工程における熱と圧力による変形を抑える形態保持性の両方の特性を有することができるため好ましい。
結晶融解熱量ΔHmの測定方法については、加熱速度5℃/minとし、25℃から230℃まで昇温した際に測定されたDSCチャート上の結晶融解熱量のピーク面積において、90℃以上150℃以下、150℃超180℃以下の各温度範囲に存在するピーク面積を算出することで結晶融解熱量ΔHm1とΔHm2をそれぞれ求めることができる。
ポリオレフィン系樹脂
本発明の多層フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂は、上述の結晶融解熱量ΔHm1及びΔHm2を満たせば、特に限定されないが、封止材との密着性、150℃の熱圧着でも変形しにくい形態保持性の点からポリエチレン系樹脂と融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との混合樹脂であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂と融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との混合物の質量比としては、50:50〜95:5の範囲であれば、良好な耐候性が得られる。耐候性をより向上させる観点から、55:45〜93:7の範囲が好ましく、さらに好ましくは60:40〜90:10の範囲である。
融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂は、耐水性、絶縁性が良好であり、ポリエチレン系樹脂との相溶性が良いことからポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の詳細については後述する。
ポリエチレン系樹脂
本発明の多層フィルムで用いられるポリエチレン系樹脂は、2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物であることが好ましく、その平均密度が0.910〜0.970g/cmの範囲となるものを用いることが好ましく、さらに好ましくは平均密度が0.920〜0.960g/cm、より好ましくは0.930〜0.960g/cmの範囲である。上記の範囲とすることで成膜時の巻き取り性や、ラミネート等の二次加工時の取り扱い性の点で好ましい。また、密度を高くすることで耐候性が良好となる。
前記ポリエチレン系樹脂は、密度0.940〜0.970g/cmの範囲の高密度ポリエチレンと、密度0.880〜0.930g/cmの範囲の低密度ポリエチレンの混合樹脂であって、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの質量比が90:10〜60:40の範囲であることが好ましい。
密度が0.940〜0.970g/cmの範囲の高密度ポリエチレンを用いた場合は、フィルムの腰が優れ、成膜時のハンドリング性が良好となる。また密度が0.880〜0.930g/cmの範囲の低密度ポリエチレンを用いた場合は、密度を0.880g/cm以上とすることでフィルムの滑り性を確保でき、成膜時のハンドリング性が良くなるので好ましい。一方、密度を0.930g/cm以下とすることで、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂との分散性を向上させる効果を発現しやすい。
また、混合樹脂の質量比(配合割合)を高密度ポリエチレン:低密度ポリエチレン=90:10〜60:40、好ましくは85:15〜62:38、さらに好ましくは80:20〜65:35の範囲とすることで、成膜時のハンドリング性が良好となり、低密度ポリエチレンの一定量の配合により、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂との分散性を向上させる効果が期待できる。
なお、密度は、JIS K−7112に準拠し測定した値である。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体および/またはエチレンを主成分とする、エチレンとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたポリエチレン等)、あるいは前記単独重合体および/または共重合体と他の共重合体との混合物(ポリマーブレンド)等が例示できる。この単独重合体および/または共重合体と混合してポリマーブレンドを与えることのできる重合体としては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、およびスチレン−ブタジエン系やスチレン−イソプレン系等のスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂
本発明の多層フィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂は、融点が150℃以上であり、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、ランダムポリプロピレン、及び立体制御型低結晶ポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。さらに、立体制御型低結晶ポリプロピレンは柔軟性と高融点を有し、製膜性、形態保持性に優れるためより好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂の含有量が樹脂全体の質量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の含有量を樹脂成分の5質量%以上、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上とすることで、形態保持性が向上し、封止材と熱圧着させた際に裏面保護シートの厚さ減少を抑え、部分放電電圧を保持することができるため好ましい。一方、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下とすることで、Tダイキャスト成形時、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂との分散性が良く、外観が良好となり、レゾナンス、ネックインも生じず、製膜性は良好となる。また、封止材との密着性が良好となる。ポリプロピレン系樹脂の含有量が50質量%を超えると、フィルム加工時の製膜性は悪化し、製膜は困難となる。
その他の成分
本発明の多層フィルムは、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、顔料、滑剤、分散剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特に光安定剤、酸化防止剤を配合するのが好ましい。
光安定剤
本発明の多層フィルムは、表裏層および中間層に裏面保護シートに通常用いられる各種添加剤や安定剤を配合することができるが、特にヒンダードアミン系光安定剤を配合することが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部当たり(ポリオレフィン系多層シートの場合は、それぞれの層におけるポリオレフィン系樹脂100質量部当たり)0.01〜10質量部の範囲で含有することが好ましい。含有量が0.01質量部以上であれば、安定化効果が得られやすく、10質量部以下であれば、配合量に見合った効果が得られ、またブルームを起こすおそれもない。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セパケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジル)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピぺリジン重縮合物及び、ポリ[{6−(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5‐トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}]、1,5,8,12−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン等のヒンダードアミン系の光安定剤が例示でき、好ましくは、1,5,8,12−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカンが挙げられる。
酸化防止剤
また、本発明の多層フィルムは、太陽電池用材料に使用する際の変色防止及び強度維持の観点から、表層、中間層、及び裏層に酸化防止剤としてフェノール系/リン系酸化防止剤、例えばペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]/トリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスファイト(BASFイルガノックス1010、イルガフォス168(登録商標))を添加することが好ましい。このような酸化防止剤を添加することによりフィルム押出時の熱安定性や耐候性を向上させることができる。酸化防止剤の添加量は各層の樹脂組成質量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲が好ましい。添加量が0.1質量%未満では効果が低く、5.0質量%を超えてもそれ以上熱安定性は向上しない。イルガノックス1010とイルガフォス168以外の酸化防止剤も使用することがきる。
白色顔料
本発明の多層フィルムで使用可能な顔料としては、石油などから合成した有機顔料、天然鉱物顔料や合成無機顔料などの無機顔料が挙げられるが、無機顔料が好ましく、白色顔料が特に好ましい。フィルムの光反射性向上の観点からは、本発明のフィルムは、顔料として酸化チタンを顔料として含むことが好ましい。
顔料の含有量は、表層と裏層の顔料の添加量をできるだけ少なくするか、または添加せず、中間層の顔料の添加量を多くすることにより、成膜時にメヤニが発生することを良好に防止することができる。従って、中間層に顔料を添加することにより製膜性の良いフィルムを得ることができる。
本発明の多層フィルムの中間層に顔料として酸化チタン粒子を含む場合、中間層の樹脂成分100質量部に対し、酸化チタン粒子を2〜200質量部の範囲で混合すると優れた白色度と光反射性が得られるので好ましい。
本発明で用いられる酸化チタンは、光触媒作用によって樹脂を劣化させる可能性があることから、光触媒作用を抑制する目的で、表面被覆処理されていることが好ましく、光活性の低いルチル型の酸化チタンが特に好ましい。また、酸化チタンの表面被覆層の組成は限定されないが、酸化ケイ素やアルミナ、または酸化亜鉛などの無機酸化物であることが好ましい。表面被覆剤の被覆方法についても特に限定されるものではなく、公知の方法で得られた酸化チタン粒子を使用することができる。
また、本発明で用いられる中間層の酸化チタンの添加量は、その比重によって左右されるものの、2〜200質量部の範囲であることが必要であり、好ましくは5〜150質量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜100質量部の範囲である。添加量が2質量部未満では白色化と光反射効果が低く、また、200質量部を超えると、製膜時の発泡や樹脂への分散性が悪化する場合があるので、好ましくない。
その他の樹脂
本発明の多層フィルムは、製膜性、密着性、形態保持性、耐候性等その他性能を阻害しない限り、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、上述以外の樹脂を含むことができる。上述以外の樹脂として、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、粘着付与樹脂、各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリアミド等)等が挙げられる。
フィルム構成
本発明の多層フィルムは、少なくとも表層、中間層、及び裏層を有し、前記中間層の厚さはフィルム全体の厚さに対して50〜99.9%の範囲であり、前記中間層に含まれる顔料の含有量は、表層、裏層に含まれる顔料の含有量よりも多いことが好ましい。
表層と裏層の顔料の添加量をできるだけ少なくするか、または添加しない積層構成をとることにより、中間層の顔料を多くしても成膜時にメヤニが発生することを優位に防止することができる。従って、製膜性の良いフィルムを得ることができる。
また、本発明の多層フィルムは、中間層の厚さがフィルム全体の厚さに対して50%〜99.9%以上、好ましくは60〜98%以上、さらに好ましくは70〜95%以上の範囲であることが好ましい。中間層の厚さを上記範囲とすることで中間層に添加される顔料が均一に分散され、裏面保護シートの光反射率が向上し、発電効率が良くなることが期待される。
本発明の多層フィルムは2種3層の共押出成形フィルムであることが好ましいが、ドライラミネートなどの公知手法を用いて、単層体又は積層体を貼り合せることで多層フィルムを作製することができる。
本発明の多層フィルムを製造する際に、発生するスリット屑などを回収原料として用いることもできる。具体的には、スリット屑などをペレタイズし、本発明のフィルムの中間層に必要に応じて添加することができる。ペレタイズの方法は、断裁したものを溶融押出後、カッティングする方法が一般的であるが、この方法に限定されるものではない。
厚さ保持率
厚さ保持率とは、裏面保護シート用多層フィルムの厚さにおいて、真空プレス前後で、どれだけ所定の厚さを保持できるかを表す。太陽電池モジュールを模して、ガラス/封止材/本発明の多層フィルムの順に積層し、真空プレスしたサンプルの厚さと真空プレス前の厚さを求め、下記計算式より厚さ保持率が求められる。

厚さ保持率(%)=(真空プレス後のサンプルのフィルム厚さ/真空プレス前のフィルム厚さ)×100

厚さ保持率は75%以上が好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、フィルムが部分的に薄くなることで太陽電池モジュールの発電素子や配線が透けたり、耐電圧特性が低下したりすることを防ぐのに効果的である。
フィルムシートの厚み
本発明の多層フィルムの厚みは、製膜性や強度の観点から、5〜300μmの範囲であることが好ましく、10〜250μmの範囲であることがより好ましく、15〜200μmの範囲であることがさらに好ましい。
製膜方法
ポリオレフィン系樹脂、または添加剤等の混練方法は、混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。本発明の多層フィルムを製造するための方法としては、Tダイ押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的な樹脂フィルムの成形方法を用いればよく、特に限定されない。
製膜された多層フィルムはシート状で得られた封止材の表面及び/または裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子のラミネート工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行っても良い。また、各種被着体への接着性を向上させる目的で表面にコロナ処理やプラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。さらに、得られた多層フィルムを用いてラミネーション等の二次加工をすることができる。
添加剤混合法
本発明に使用する顔料などを樹脂に含有する方法としては、例えば成形時にそれぞれの原料を単独で含有させても良く、また、それぞれの原料を事前に混合して含有させても良く、それぞれの原料に添加剤を加えてマスターバッチ化して混合する方法としても良い。
太陽電池裏面保護シート
本発明の多層フィルは、太陽電池裏面保護シートとして好適に用いることができる。太陽電池裏面保護シートは、本発明の多層フィルムと基材フィルムとを有する。太陽電池裏面保護シートの全体の厚みは、製膜性や強度の観点から、10〜600μmの範囲であることが好ましく、20〜500μmの範囲であることがより好ましく、30〜400μmの範囲であることがさらに好ましい。
太陽電池モジュール
太陽電池モジュールは、太陽電池素子が上下の保護材の間に設けられる。太陽電池モジュールとして、種々の構成のものを挙げることができ、例えば、(i)上部保護材(フロントシート)/フロントシート側に用いる封止材/太陽電池素子/バックシート側に用いる封止材/下部保護材(バックシート)のように、太陽電池素子の両側から封止材で挟むように構成されたもの、(ii)上部保護材/フロントシート側に用いる封止材/内周面上に太陽電池素子を設けた下部保護材のように、下部保護材の内周面上に設けた太陽電池素子上に封止材と上部保護材を設けるように構成されたもの、(iii)内周面下に太陽電池素子を設けた上部保護材/バックシート側に用いる封止材/下部保護材のように、上部保護材の内周面下に設けた太陽電池素子の下に封止材と下部保護材を設けるように構成されたものなどを挙げることができる。なお、記号「/」は、記号「/」を挟む層が隣接して積層されていることを表す。
本発明の実施様態は、上記した多層フィルムからなる太陽電池モジュール用裏面保護シートである。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[使用した材料]
<ポリエチレン系樹脂>
高密度ポリエチレン:融点135℃、密度0.960g/cm3、MFR7.0g/10分
低密度ポリエチレン(1):融点94℃、密度0.903g/cm3、MFR4.0g/10分
低密度ポリエチレン(2):融点127℃、密度0.935g/cm3、MFR5.0g/10分
低密度ポリエチレン(3):融点111℃、密度0.918g/cm3、MFR4.3g/10分
<ポリプロピレン系樹脂>
ホモポリプロピレン:融点168℃、密度0.900g/cm3、MFR15.3g/10分
エチレン・プロピレンブロック共重合体:融点165℃、密度0.900g/cm3、MFR8.5g/10分
立体制御型低結晶ポリプロピレン:融点160℃、密度0.900g/cm3、MFR4.5g/10分
<酸化チタンマスターバッチ>
実施例1〜11、比較例1、2はポリエチレン35質量%と、酸化チタン65質量%で作製された酸化チタンマスターバッチを使用した。また比較例3〜5に関してはポリプロピレン35質量%と、酸化チタン65質量%で作製された酸化チタンマスターバッチを使用した。
<実施例1〜11及び比較例1〜5>
[太陽電池裏面保護シートの作製]
表1に示す配合の樹脂組成物を用いて、50mmφの押出機1台と35mmφの押出機2台、及びTダイ(650mm幅)を用い、ダイス温度210℃の条件で樹脂を押出し、冷却水を通した金属製成形ロールとゴム製成形ロールでニップ成形を行い、厚さ60μmの3層からなる多層フィルムを作製し、これを太陽電池裏面保護シートとして用いた。得られた太陽電池裏面保護シートついて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[製膜性の評価]
上記、太陽電池裏面保護シートの製膜性を評価した。
評価項目として、製膜性を見る重要な基準となるフィルムの分散性、レゾナンス、ネックインを評価し、下記の基準により「〇」以上を合格と判定した。
<分散性>
◎:均一に分散
〇:やや流れスジが見える状態
×:流れ方向に鱗状のもやもやとした跡が見える状態
<レゾナンス>
◎:厚さ、幅方向に変化がない状態
〇:厚さ、幅方向が経時で改善され、サンプル採取に問題ない状態
×:厚さ、幅方向が大きく変化し、経時で改善されない状態
<ネックイン>
◎:幅方向の減少率90%以上
〇:幅方向の減少率が80%以上、90%未満
×:幅方向の減少率が80%以下
結晶融解熱量ΔHm1及びΔHm2の測定
ΔHmの測定方法については、METTLER TOLEDO製 DSC823示差走査熱量計を用いて、加熱速度5℃/minとし、25℃から230℃まで昇温した際に測定されたDSCチャート上の結晶融解熱量のピーク面積より、結晶融解熱量ΔHm1とΔHm2を求めた。
結晶融解熱量ΔHm1は90℃以上150℃以下の温度範囲に存在する一つのピークに対して、ベースラインを引くことにより求めた。同様に、結晶融解熱量ΔHm2は150℃超180℃以下の温度範囲に存在する一つのピークに対して、ベースラインを引くことにより求めた。
耐候性評価
岩崎電気(株)製 アイスーパーUVテスター SUV−W151を用いて、紫外線照射を行った。100時間照射した後、室温条件下にて、引張試験機(SHIMAZU オートグラフ AGS−X)を用いて、引張速度100mm/minで引張試験を行い、引張伸張破断残率を求め、「〇」以上を合格とした。

引張伸張破断残率=(100時間照射後の太陽電池裏面保護シートの引張伸度)/照射前の太陽電池裏面保護シートの引張伸度)×100

〇:引張伸張破断残率が70%以上
×:引張伸張破断残率が70%未満
密着性評価
25mm幅の太陽電池裏面保護シートと封止材とを真空プレス(NISSINBO ラミネーターPVL0505S)を用いて、熱圧着した。太陽電池裏面保護シート側から太陽電池裏面保護シート/EVA層間にて剥離し、室温条件下にて、引張試験機(SHIMAZU オートグラフ AGS−X)を用いて、剥離角度180°、剥離スピード100mm/minで剥離し、密着性強度を評価して、下記の基準により「〇」を合格と判定した。
〇:剥離せずに、材破となる
×:界面剥離または層間剥離となる
太陽電池モジュールを模したサンプルの作製
ガラス/封止材/太陽電池裏面保護シートの順に積層したサンプルを150℃で予熱した真空プレスを用いて、100KPa下で熱圧着した。サンプルの構成、真空プレス条件の詳細については下記に記す。
<サンプルの構成>
・ガラス:スライドガラス(製品名:マイクロスコープスライド(AS ONE))
・封止材:EVA(製品名:ソーラーエバ(三井化学東セロ(株)社製)
・太陽電池裏面保護シート:各実施例及び比較例の多層フィルム(表1参照)
<真空プレス条件>
・真空プレス設定温度:150℃
・真空引き時間:5分
・プレス保持時間:5分
・圧力条件:100KPa
・冷却ファン:使用せず、常温で静置
前記サンプルを用いて、厚さ保持率を評価した。評価方法を下記に記す。
厚さ保持率(%)
太陽電池裏面保護シートをダイヤルゲージ(PEACOCK製 UPRIGHT DIAL GAUGE)を用いて、任意の3点を測定し、その平均値をフィルム厚さとした。また、前記作製したサンプルのフィルム厚さは、フィルム断面をミクロトーム(日本ミクロトーム研究所製 ロータリーミクロトームRMS)で切り出し、該断面をレーザー顕微鏡(KEYENCE VK−X100シリーズ)で100倍の倍率で観察し、太陽電池裏面保護シートの厚さを求めた。厚さ保持率に関し、以下の式より値を求めた。

厚さ保持率(%)=(前記の方法で作製した(真空プレス後)太陽電池裏面保護シートの厚さ/真空プレス前の太陽電池裏面保護シートの厚さ)×100
Figure 2019050346
表1より、実施例1〜11の結晶融解熱量ΔHm1は40〜110J/gの範囲にあり、結晶融解熱量ΔHm2は0.5〜40J/gの範囲にあった。このように本発明で規定される多層フィルムであれば、密着性が良好で、厚さ保持率が高く、耐候性も良好な太陽電池裏面保護シートが得られることがわかる。また、本発明の多層フィルムは、厚さ保持率が高いことから、太陽電池モジュールの製造工程において加熱圧着された際に、配線部材の影響でフィルムが薄くなることがない程度に形態保持性に優れることが予想される。また、本発明の多層フィルムは、密着性、耐候性が良好であることから、封止材との密着性が良好であり、耐候性に優れるため、太陽電池裏面保護シート材料に好適に用いることができると認められる。
他方、比較例1〜5については、比較例1はポリエチレン100%配合で、密着性、耐候性は良好であったが、厚さ保持率が73%と低かった。また、比較例2はポリプロピレン60%配合で、製膜性が悪く、厚さ保持率はレゾナンスによる厚さ振れが大きかったため、試料サンプルの厚さを正確に測定することができなかった。また、比較例3は、ポリプロピレン95%配合で、製膜性、厚さ保持率は良好であったが、密着性、耐候性は劣る結果となった。また、比較例4は、ポリプロピレン100%配合で、比較例3と同様、製膜性、厚さ保持率は良好だったが、密着性、耐候性は劣る結果となった。また、比較例5は3種3層で封止材と密着する表層にポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の混合樹脂層、中間層、裏面層にはポリプロピレン系樹脂を用いて製膜したため、厚さ保持性は良好であったが、分散性が悪く、また、ポリエチレン、ポリプロピレン間で層間剥離が起こり、密着性が劣る結果となった。また、耐候性も劣る結果となった。
上記の結果から、90〜150℃の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1が40〜110J/gの範囲であり、かつ、150〜180℃の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm2が0.5〜40J/gの範囲であることで、製膜性、密着性、厚さ保持率、耐候性が全て良好な太陽電池裏面保護シートを得ることができる。
この結果から、製膜性に優れ、太陽電池をモジュール化する際に、裏面保護シートが薄く変形することで太陽発電素子などが透けることがない程度の形態保持性、隠蔽性に優れ、紫外線の影響により耐候劣化の程度が少なく、また、封止材として用いられているEVA等との熱密着性に優れることが認められる。
本発明のフィルムは、形態保持性、 隠蔽性、及び熱密着性を兼ね備える。このため、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートや太陽電池モジュールに好適に用いることができる。
1:太陽電池裏面保護シート
2:ポリオレフィン系樹脂多層フィルム
3:接着剤層
4:プラスチックフィルム

Claims (10)

  1. 太陽電池で用いられる封止材と熱密着可能なポリオレフィン系樹脂で構成される多層フィルムであって、
    示差走査熱量測定において90℃以上150℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm1が40〜110J/gであり、かつ、150℃超180℃以下の温度範囲に少なくとも一つのピークを持ち、そのピークの結晶融解熱量ΔHm2が0.5〜40J/gであることを特徴とする、太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  2. 前記結晶融解熱量ΔHm1の前記結晶融解熱量ΔHm2に対する比率(ΔHm1/ΔHm2)が、1.0〜35である、請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂と融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との混合物であり、前記ポリエチレン系樹脂と前記融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂との質量比が50:50〜95:5である、請求項1又は2に記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  4. フィルムの厚さ保持率が75%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  5. 前記融点150℃以上のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂が、2種類以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910〜0.970g/cmである、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  7. 前記ポリエチレン系樹脂が、密度0.940〜0.970g/mの高密度ポリエチレンと、密度0.880〜0.930g/mの低密度ポリエチレンとの混合物であり、前記高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの質量比が90:10〜60:40である、請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  8. 前記多層フィルムが、少なくとも表層、中間層、及び裏層を有し、前記中間層の厚さはフィルム全体の厚さに対して50〜99.9%であり、前記中間層に含まれる顔料の含有量が、表層と裏層に含まれる顔料の含有量より多い、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用多層フィルムと基材フィルムとを有する太陽電池裏面保護シート。
  10. 請求項9に記載する太陽電池裏面保護シートの基材フィルム側の面を被着材に貼着してなる太陽電池モジュール。
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