JP2019047070A - 太陽電池裏面保護シート用フィルム、太陽電池裏面保護シート、及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910 〜0.970g/cm3、メルトフローレート(MFR)が1〜30であり、封止材に接する面の算術平均粗さRaが0.28〜6.0μm、最大高さ粗さRzが2.9〜27μmであり、フィルムの厚さが60μm以上とする。
【選択図】図1
Description
[第一の態様]
第一の態様の本発明のフィルムは、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂が2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910 〜0.970g/cm3、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が1〜30であり、封止材に接する面のフィルム表面の算術平均粗さRaが0.28〜6.0μm、最大高さ粗さRzが2.9〜27μmであり、フィルムの厚さが60μm以上であることを特徴とする太陽電池裏面保護シート用フィルムである。
第一の態様で用いられるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体および/またはエチレンを主成分とする、エチレンとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたポリエチレン等)、あるいは前記単独重合体および/または共重合体と他の共重合体との混合物(ポリマーブレンド)等を例示することができる。中でもフィルム耐熱性及びフィルムに製膜する際の分散性の理由から高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物を用いることが好ましい。
なお、MFRは、JIS−K7210(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した値である。
第一の態様の本発明のフィルムは、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、顔料、滑剤、分散剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特に光安定剤、酸化防止剤を配合するのが好ましい。光安定剤を添加することで実際に太陽電池モジュールとして使用した場合に、長期間劣化せずに物性を保つことができる。また、酸化防止剤を添加することで製膜時に熱で発生するポリエチレンの架橋を抑制することができ、均一なフィルムを得ることができる。
第一の態様の本発明のフィルムにおいては、封止材との密着性向上の観点から、封止材に接するフィルム表面の算術平均粗さRaが0.28μm以上、好ましくは0.35μm以上、さらに好ましくは0.40μm以上であり、6.0μm以下、好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは4.0μm以下である。また第一の態様の本発明のフィルムの表面の最大高さ粗さRzは、2.9μm以上、好ましくは3.5μm以上、さらに好ましくは4.0μm以上であり、上限は27μm以下、好ましくは24μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。本発明のフィルムの表面の算術平均粗さと最大高さ粗さが上記下限値以上であれば、太陽電池モジュールの製造工程において積層する際に良好な滑りが得られ、安定した加工性が得られる。また、算術平均粗さと最大高さ粗さが上記上限値以下であれば、太陽電池モジュールの製造工程において空気が上手く抜け、良質な対応電池モジュールが得られる。
第一の態様の本発明のフィルムの総厚さは、製膜性や強度の観点から、60〜300μmであることが好ましく、70〜250μmであることがより好ましく、75〜200μmであることがさらに好ましい。
第二の態様の本発明のフィルムは、少なくとも表裏層と中間層とを有するポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、前記表裏層及び前記中間層のポリエチレン系樹脂が2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910 〜0.970g/cm3、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が1〜30であり、封止材に接する前記表裏層のフィルム表面の算術平均粗さRaが0.28〜6.0μm、最大高さ粗さRzが2.9〜27μmであり、フィルムの厚さが60μm以上であり、前記中間層の厚さがフィルムの総厚さに対して50〜99.9%であり、前記表裏層及び前記中間層が顔料を含み、前記中間層に含まれる顔料の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して2〜200質量部であり、かつ、前記中間層の顔料の含有量が、前記表裏層に含まれる顔料の含有量より多いことを特徴とする太陽電池裏面保護シート用フィルムである。
第二の態様の本発明のフィルムで使用可能な顔料としては、石油などから合成した有機顔料、天然鉱物顔料や合成無機顔料などの無機顔料が挙げられるが、無機顔料が好ましく、白色顔料が特に好ましい。フィルムの光反射性向上の観点からは、第二の態様の本発明のフィルムは、顔料として酸化チタンを顔料として含むことが好ましい。
また中間層の厚さがフィルム総厚さに対して50〜99.9%以上、好ましくは60〜98%以上、さらに好ましくは70〜95%以上であることが好ましい。中間層の厚さを上記範囲とすることでメヤニを発生させることなくフィルムに効率よく顔料が均一に分散され、裏面保護シートの光反射率が向上し、発電効率が良くなることが期待される。
第二の態様の本発明のフィルムは、顔料を含むため、太陽光を裏面保護層から反射することにより太陽電池モジュールの発電効率を上げることができるため、フィルムの反射率が55%以上であることがよく、62%以上が好ましく、68%以上がより好ましく、75%以上であることが最も好ましい。
本発明のフィルムにおけるポリエチレン系樹脂と添加剤等の混練方法は、混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。樹脂層を製造するための方法としては、Tダイ押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的な樹脂フィルムの成形方法を用いればよく、特に限定されない。
本発明に使用する添加剤・顔料などをポリエチレン系樹脂に含有する方法としては、例えば成形時にそれぞれの原料を単独で含有させてもよく、また、それぞれの原料を事前に混合して含有させてもよく、それぞれの原料に添加剤を加えてマスターバッチ化して混合する方法としてもよい。
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして好適に用いることができる。太陽電池裏面保護シートは、本発明のフィルムと基材フィルムとを有する。本発明の裏面保護シートの全体の厚みは、製膜性や強度の観点から、65〜600μmであることが好ましく、70〜500μmであることがより好ましく、75〜400μmであることがさらに好ましい。
太陽電池モジュールは、太陽電池素子が上下の保護材の間に設けられる。太陽電池モジュールとして、種々の構成のものを挙げることができ、例えば、(i)上部保護材(フロントシート)/フロントシート側に用いる封止材/太陽電池素子/バックシート側に用いる封止材/下部保護材(バックシート)のように、太陽電池素子の両側から封止材で挟むように構成されたもの、(ii)上部保護材/フロントシート側に用いる封止材/内周面上に太陽電池素子を設けた下部保護材のように、下部保護材の内周面上に設けた太陽電池素子上に封止材と上部保護材を設けるように構成されたもの、(iii)内周面下に太陽電池素子を設けた上部保護材/バックシート側に用いる封止材/下部保護材のように、上部保護材の内周面下に設けた太陽電池素子の下に封止材と下部保護材を設けるように構成されたものなどを挙げることができる。なお、記号「/」は、記号「/」を挟む層が隣接して積層されていることを表す。
本発明の実施様態は、上記した多層フィルムからなる太陽電池裏面保護シートである。
<ポリエチレン系樹脂>
高密度ポリエチレン
融点135℃、密度0.960g/cm3、MFR7.0g/10分
低密度ポリエチレン
融点94℃、密度0.903g/cm3、MFR4.0g/10分
酸化チタン
結晶構造:ルチル型
表面処理:酸化ケイ素 3.5質量%、アルミナ 3.2質量%
中間粒子径:0.31μm
<光安定剤>
N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン90%と、コハク酸ジメチル及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物10%の混合物を使用した。
<表面粗さ測定(Ra、Rz)>
JIS B0601:2001に準拠する方法により、株式会社東京精密製表面粗さ形状測定機SURFCOM FLEX−50Aで、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.6mN、カットオフ値λc=0.8mm、評価長さ=2.0mm、フィルタ種類=ガウシアン、λsフィルタ種別=カットオフ比300、評価スピード=0.3mm/sの条件にて測定した。
株式会社日立製作所製 U−3500形自記分光光度計を用いてJIS K7375に従い波長300〜2500nm、波長の間隔1nmで樹脂層の面側に照射して、照射面と反対側にライトトラップを取り付け、各太陽電池モジュールの裏面保護シート用フィルムの全光線反射率を測定した。
その測定結果から400〜1200nmの値の平均値を全光線反射率の値とした。
JIS B7735に記載のスガ試験機株式会社製サンシャインウェザーメーターS80を、バックパネル温度63℃、1サイクル120分、12分降雨の条件でJIS K7127規定の測定部分が1cm幅のダンベル状に打ち抜いたサンプルを2000h処理した。そのサンプルを23℃でチャック間を4cmに設置して引張速度300mm/minにて引張破断強度の測定を行った。耐候性の評価として、上記引張破断強度の結果を以下の基準で評価した。
○:引張破断強度2MPa以上
×:引張破断強度2MPa未満
[太陽電池裏面保護シートの作製]
表1に示す配合の樹脂組成物を用いて、単層フィルムの場合、50mmφの押出機1台と650mm幅のTダイを、また多層フィルムの場合、50mmφの押出機1台と35mmφの押出機2台、及び650mm幅のTダイをそれぞれ用い、ダイス温度210℃の条件で樹脂を押出し、冷却水を通した金属製成形ロールとゴム製成形ロールでニップ成形を行い、厚さ60μmの単層又は3層からなる多層フィルムを作製し、これを太陽電池裏面保護シートとして用いた。なお、実施例2は実施例1よりも粗いシボの金属ロールを、比較例2は鏡面状の金属ロールを、比較例3は実施例2よりも粗いシボの金属ロールをそれぞれ使用し、表面粗さが異なるフィルムを作製した。
得られた太陽電池裏面保護シートついて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
これに対し、比較例1は、ポリエチレン系樹脂の密度が低いため、フィルムが非常に柔軟であり、フィルムに凹凸を付けるために金属ロールとゴムロールでエンボス加工を行う際にゴムロールに密着してしまいフィルムの製膜ができなかった。また、比較例2は、フィルムの表面粗さが低すぎるため太陽電池モジュールの製造工程において積層する際の滑りが悪く安定した加工性が得られなかった。比較例3は、フィルムの表面粗さが高すぎるため太陽電池モジュールの製造工程において空気が上手く抜けず良質な太陽電池モジュールを得られなかった。比較例4は、酸化チタンの添加量が200質量部より多いため、酸化チタンが十分に分散されず、均一なフィルムを得ることができなかった。
2:ポリエチレン系樹脂多層フィルム
3:接着剤層
4:プラスチックフィルム
Claims (8)
- ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、
前記ポリエチレン系樹脂が2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910 〜0.970g/cm3、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が1〜30であり、
封止材に接するフィルム表面の算術平均粗さRaが0.28〜6.0μm、最大高さ粗さRzが2.9〜27μmであり、
フィルムの厚さが60μm以上であることを特徴とする太陽電池裏面保護シート用フィルム。 - 少なくとも表裏層と中間層とを有するポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、
前記表裏層及び前記中間層のポリエチレン系樹脂が2種以上のポリエチレン系樹脂の混合物からなり、その平均密度が0.910 〜0.970g/cm3、メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が1〜30であり、
封止材に接する前記表裏層のフィルム表面の算術平均粗さRaが0.28〜6.0μm、最大高さ粗さRzが2.9〜27μmであり、
フィルムの厚さが60μm以上であり、
前記中間層の厚さがフィルムの総厚さに対して50〜99.9%であり、
前記表裏層及び前記中間層が顔料を含み、前記中間層に含まれる顔料の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して2〜200質量部であり、かつ、前記中間層の顔料の含有量が、前記表裏層に含まれる顔料の含有量より多いことを特徴とする太陽電池裏面保護シート用フィルム。 - 前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物である、請求項1又は2に記載の太陽電池裏面保護シート用フィルム。
- 前記顔料が、少なくともアルミナ層で被覆されたルチル型酸化チタンである、請求項2又は3に記載の太陽電池裏面保護シート用フィルム。
- 全光線反射率が55%以上である、請求項2〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用フィルム。
- 前記フィルムが共押出成形フィルムである、請求項2〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用フィルムと基材フィルムとを有する太陽電池裏面保護シート。
- 請求項7に記載の太陽電池裏面保護シートの基材フィルム側の面を被着材に貼着してなる太陽電池モジュール。
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