JP5896367B2 - ポリオレフィン系樹脂多層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂多層フィルムに関するものである。更に詳しくは、腰が強く、耐ブロッキング性に優れ、カールが小さく、低粉性、耐紫外線性を併せ持つ、食品・飲料、医薬品・医療品、光学フィルム、液晶部材、電子・電気部品、精密部品等の包装材料、および太陽電池用裏面保護シートに適したポリオレフィン系樹脂多層フィルムである。
従来、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムは適度な、強度、透明性、ヒートシール性、防湿性、耐薬品性、低温衝撃強度に優れているため食品・飲料、医薬品・医療品、産業資材、生活資材等の各種包装材料として幅広く使用されている。
ところで近年、太陽光発電が、国の政策、補助を背景に著しい伸びを示している。太陽電池は、通常、フロントシートのガラス板/封止材のエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVAと略称する)/発電セル/EVA/裏面保護シート材の構成になっている。その太陽電池の裏面保護シート材として、EVAとの接着性と耐候性を持ったポリオレフィン系樹脂フィルムの開発が望まれている。これら太陽電池などの屋外用途においては、元来紫外線に弱いポリオレフィン系樹脂フィルムにあって、その耐候性、反射率、および着色による意匠性、ラミネートなどの二次加工時にカールやずれが発生しないなどのハンドリング性も求められるようになってきている。
ポリオレフィン系樹脂フィルムに意匠性を付与する目的から白色化する方法として、一般的に酸化チタンを練り込む方法が知られているが、高い隠蔽性や反射率を付与する場合、添加量を多くしなければならない。この場合、酸化チタンの分散不良が原因となりフィッシュアイと呼ばれる異物欠点を発生させる。また、T−ダイキャスト法にて成型した場合にダイスが汚れ、目やにや、スジなどの問題が生じる。また、酸化チタンの分散剤などが揮発し、ガスを発生するなどの問題がある。
また、特許文献1において、太陽電池用裏面シートとして、密度0.940g/cm以上、0.970g/cm以下のポリエチレン系樹脂に紫外線遮断剤や酸化防止剤を添加したフィルムを用いる方法が開示されている。しかし、密度が0.940g/cm以上の樹脂は高密度であるために、本フィルムをT−ダイキャスト法にて成型した場合、結晶化によりフィルムがカールする問題が発生する。さらに、密度が0.940g/cm以上、0.970g/cm以下のポリエチレンは一般的に高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略称することがある)に分類される。このHDPEは、結晶性が高いために表面が粗れやすく、キャスト後の引き取りロールや巻取り工程中のロールとの摩擦による削れが起こって金属ロールに削れ粉が付着し、その削れ粉がフィルムを傷つけ、かつ製膜工程を汚染するなどの問題が生じる場合がある。また、密度が0.940g/cm以上のポリエチレン樹脂フィルムは、表面が平滑でないために他基材とのラミネート時に、界面に気泡が入りやすく、また、太陽電池用裏面保護シートとして用いた際に、封止材であるEVAとの溶融接着力に劣るという問題がある。
また、特許文献2において、ポリエチレンフィルムの腰が強く、カールしにくい積層フィルムの製造方法が開示されているが、このポリエチレンフィルムには、酸化防止剤、紫外線遮断剤、酸化防止剤等の添加がなく、表面にゲルやスジが発生して生産性が悪化する問題があり、また、ヤング率が低く、耐ブロッキング性に劣るため、他基材とのラミネート性に劣るという問題がある。
従って、ヤング率が高く、耐ブロッキング性に優れ、カールが小さく、低粉性、耐候性を併せ持つ、食品・飲料、医薬品・医療品、光学フィルム、液晶部材、電子・電気部品、精密部品等の包装材料に適し、特に太陽電池用裏面保護シートに適したポリオレフィン系樹脂多層フィルムの開発が望まれている。
特開平11−261085号公報 特開2008−73854号公報
本発明の課題は上記した問題点を解決することにある。すなわち、本発明の目的は、腰が強く、耐ブロッキング性に優れ、カールが小さく、低粉性、耐候性を併せ持つ、食品・飲料、医薬品・医療品、光学フィルム、液晶部材、電子・電気部品、精密部品等の包装材料、および太陽電池用裏面保護シートに適したポリオレフィン系樹脂多層フィルムを提供することにある。

上記した課題は、本発明にかかるポリオレフィン系樹脂多層フィルムによって解決される。すなわち、A層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層およびC層は、密度が0.920〜0.938g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなり、B層は、密度が0.920g/cm未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、リン−フェノール系化合物の酸化防止剤を0.01〜0.3重量%添加混合してなり、C層の厚さがA層の厚さの2/3以下であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムである。
本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、腰が強く、耐ブロッキング性に優れ、カールが小さく、低粉性、耐候性を併せ持つため、食品・飲料、医薬品・医療品、光学フィルム、液晶部材、電子・電気部品、精密部品等の包装材料、および太陽電池用裏面保護シートに好適に用いることができる。
本発明は、A層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層およびC層は、密度が0.920〜0.938g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなり、B層は、密度が0.920g/cm未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、リン−フェノール系化合物の酸化防止剤を0.01〜0.3重量%添加混合してなり、C層の厚さがA層の厚さの2/3以下であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムである。
本発明のA層およびC層は、特定の密度のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなる。本発明におけるA層およびC層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと少量のα−オレフィンとをランダム共重合して得られる直鎖状の低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略称する場合がある)である。
前記α―オレフィンは、特に限定されるものではないが、炭素原子数4〜10、好ましくは4〜8のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または組み合わせて用いることができ、特に、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが、重合生産性から好ましく用いられる。
上記、本発明で用いられるA層およびC層のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.920〜0.938g/cmである。0.938g/cmよりも密度が高くなると、金属ロールやゴムロールとの擦過において、樹脂が脱落し易く白粉発生の要因となる。また、0.938/cmよりも密度が高いと、太陽電池用裏面シートとして用いたときに、太陽電池の発電セルの封止材のEVAとのラミネート強度が、実用上必要とされる40N/10mm以上の値が得られない。
0.920g/cmより低い場合は、所望する滑り性やハンドリング性が得られず、製膜およびラミネート加工時に、巻きずれやシワが入りやすくなる。また、太陽電池用裏面シートとして用いたときに、部分放電電圧が低くなり実用性に劣る。さらに、後述するB層の密度との関係で、A層およびC層の密度が、B層の密度より高くなることが必要であるが、A層、C層一方の密度がB層の密度よりも低く、A層/B層/C層の順で密度の大小がある場合は、それぞれの層の結晶化挙動の違いによりフィルムのカールが大きくなる。
本発明において、A層およびC層のエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含量は、好ましくは0.5〜10モル%、更に好ましくは2.0〜8.0モル%である。α−オレフィン含量を0.5〜10モル%とすることで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度を0.920〜0.938g/cmの範囲とすることができる。
本発明で用いられるA層およびC層のエチレン・α−オレフィン共重合体の190℃の溶融指数(以下、MFRと略称する)は、好ましくは1.0〜10.0g/10分、より好ましくは1.5〜7.0g/10分である。10.0g/10分よりMFRが大きくなると、フィルム製造時にネックダウンや、他層との積層ムラを生じ易くなる。またMFRが1.0g/10分より低くなると、溶融押出時の流動性が低下して押出安定性に劣り、フィルムの厚みムラを生じやすくなる。
本発明で用いられるA層およびC層のエチレン・α−オレフィン共重合体は、従来のマルチサイト触媒による合成方法や、シングルサイト触媒(カミンスキー触媒、メタロセン触媒)を用いた合成方法により製造することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、滑り性向上、強度付与の点からマルチサイト触媒によるものが好ましい。
本発明では、A層およびC層において、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂を5〜20重量部混合する必要がある。低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂が5重量部未満では、ヤング率が低くなってフィルムの腰が弱くなるため、フィルム巻き取り時やラミネート加工時にフィルムが伸び、ロール状に巻き取ったフィルムが巻き締まり、本フィルムを巻き出す際に平面性が悪化する。また、金属との滑り性が低下してフィルムにしわが発生して、工程通過性が悪くなる。一方、20重量部を越えると、A層およびC層を構成する樹脂成分の結晶化が速くなり、キャスティングドラムへの密着性が悪化してフィルム表面の平滑性が悪化し、製膜工程やラミネート工程中の金属ロールでの摩擦で削れ粉が発生する。また、本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムに他基材をラミネートする際に、平面性が悪いために、他基材との界面に気泡を噛みこむ。さらにEVAとラミネートする層側においては結晶化が進むため、EVAとのラミネート強度が低下する。
上記混合樹脂の低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の配合比率は、低密度ポリエチレン10〜40重量%に対して、プロピレン系樹脂が90〜60重量%が好ましい。特に、加工性の問題(ラミネート時の粘着防止)から配合比率を低密度ポリエチレン15〜30重量%に対して、プロピレン系樹脂85〜70重量%とすることがより好ましい。
ここで、混合樹脂の低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂のそれぞれの役割を述べると、低密度ポリエチレンの添加によりLLDPEの結晶性が向上し、フィルムのヤング率が向上する。一方、プロピレン系樹脂を添加することにより滑り性と耐ブロッキング性が向上する。
前記低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略称することがある)樹脂としては、チ−グラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いて重合して得られたものを挙げることができる。該低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.890〜0.920g/cmが好ましい。該低密度ポリエチレン樹脂の密度が0.890g/cm以上であれば所望する滑り性やハンドリング性が得られるが、0.920g/cmよりも密度が高くなると、金属ロールやゴムロールとの擦過において、樹脂が削れて脱落し易く白粉発生の要因ともなる。
前記プロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体を挙げることができるが、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐傷付き性、耐カール性の点からホモプロピレンが最も好ましい。
また、エチレンとプロピレンの共重合体を用いる場合は、エチレン含有量は1〜7モル%の範囲のものが、耐熱性維持して、滑り性を向上できるので好ましい。また、フィルムに強度を付与したい場合には、必要に応じて核剤を添加することが好ましい。
尚、前記プロピレン系樹脂の230℃でのMFRは3〜15g/10分の範囲が好ましく、前記低密度ポリエチレンの190℃でのMFRは5〜30g/10分の範囲が好ましい。プロピレン系樹脂と低密度ポリエチレンのMFRを上記の範囲とすることによって、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合性が向上し、本発明のフィルムの性能が向上する。
また、A層には極力、無機および/又は有機の微粒子や有機化合物の滑剤などの添加を少なくすることが、EVAとのラミネート強度が高くなるので好ましい。C層のみに添加することが、A層との重ね巻きの際に滑りが良くて、巻き取り性およびラミネート加工性が向上するので好ましい。
C層には、フィルムの取扱い性、滑り性を改善させる目的で平均粒子径1〜5μmの無機および/又は有機の微粒子を、C層の分として、0.1〜5重量%添加することが好ましい。
添加する微粒子としては、たとえば、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機粒子やスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ジビニルベンゼンなどを構成成分とし、架橋させた有機粒子などを用いることができる。中でもケイ酸アルミニウムの使用が樹脂への分散性がよく、低添加量で滑り性向上効果が高く、また、安価であることから好ましい。
無機および/又は有機の微粒子の平均粒子径が1μm以上の場合、フィルムの滑り性が向上するので好ましい。また、平均粒子径が5μmより大きいと、粒子がフィルムから脱落して汚染や、傷を起因するため好ましくない。
また、粒子の添加量が0.1重量%未満の場合、滑り性の改善力が弱く好ましくない。一方、添加量が5重量%を超える場合は、粒子がフィルムから脱落しやくなり、汚染や傷に起因するため好ましくない。
また、有機化合物の滑剤を添加しても良く、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。さらに、A層およびC層には酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、核剤等を適宜添加してもよい。これらを単独もしくは2種類以上併用して添加してもよい。
本発明におけるC層の表面平均粗さRaとしては、0.10〜0.30μmであることが、加工時のフィルムのハンドリング機能を満足させるので好ましい。
本発明におけるB層は、特定の密度のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、B層樹脂成分としてリン−フェノール系酸化防止剤を0.01〜0.3重量%添加混合してなることが必要である。ここでいうエチレン・α−オレフィン共重合体とはA層およびC層と同様のエチレンと少量のα−オレフィンとをランダム共重合して得られる直鎖状ポリエチレンである。
B層の密度は、0.920g/cm未満であることが重要であり、より好ましくは0.910〜0.920g/cmである。密度が0.920g/cmよりも高くなると、結晶化によって、他基材とラミネートする際にフィルムの割れやクラックなどの問題を生じる。密度が0.910g/cmよりも低くなると、フィルムのヤング率が低くなり、製膜およびラミネート等の加工後の巻き取り時にフィルムが伸びて、巻き姿が悪化する場合がある。
本発明において、B層で用いられる上記α―オレフィンは、特に限定されるものではないが、炭素原子数4〜10、好ましくは4〜8のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または組み合わせて用いることができる。
本発明において、B層で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含量は、0.5〜10モル%が好ましく、より好ましくは2.0〜8.0モル%であることが、フィルムのヤング率が高くてラミネートなどの二次加工性が良好となる。α−オレフィン含量が0.5モル%未満では結晶性が低くなり、10モル%を越えるとフィルムが脆くなるので好ましくない。
本発明において、B層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、1.0〜10.0g/10分が好ましく、より好ましくは1.5〜7.0g/10分である。1.0g/10分より大きく、粘度が低くなると、フィルム製造時のネックダウンや、他層との積層ムラの要因となる。
また、B層には、紫外線や温湿度に対する強度維持のため、リン−フェノール系酸化防止剤を、B層樹脂成分として0.01〜0.3重量%の範囲で添加することが必要である。リン−フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤は、紫外線や温湿度による酸化劣化に対する耐候性は満足するものの、黄変の問題がある。また、リン−フェノール系以外の酸化防止剤は、熱揮散性が高いために、加熱押出時に口金リップ部に目やに状に付着して、フィルムの表面欠点の要因になる場合がある。リン−フェノール系酸化防止剤の添加量は0.01重量%未満では効果が低く、0.3重量%を超えると分散性が悪化し、また、ブリードアウトして口金スリット部に目ヤニ状に付着して表面欠点となる。また、本フィルムを用いて作製した太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、該表面欠点が起因でポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが起こる。
リン−フェノール系化合物の酸化防止剤としては、例えば、2,10-ジメチル-4,8- ジ-t- ブチル-6-[3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロポキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10-テトラ-t- ブチル-6-[3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロポキシ] ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10- テトラ-t- ブチル-6-[3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオニルオキシ]-ジベンゾ[ d,f][1,3,2] ジオキサホスフェピンなどを挙げることができ、中でも2,4,8,10- テトラ-t- ブチル-6-[3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオニルオキシ]-ジベンゾ[ d,f][1,3,2] ジオキサホスフェピン(住友化学(株)製“スミライザー”GP)が、樹脂への分散性がよく、添加効果が高いことから好ましい。また、リン−フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤、例えばリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤を併用して用いることもできるが、その添加量は、0.05重量%以下であることが、揮散防止や着色防止の点から好ましい。
また、B層の分として、平均粒子径150〜500nmの無機酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子を、5〜30重量%添加すると優れた光反射性が得られ、太陽電池の裏面保護シートとして用いた時に、太陽電池の発電セル間から漏れた光を反射して、発電効率が高くなるので好ましい。添加量を5重量%以上とすることで光反射効果を発現することができ、また、30重量%未満とすることで樹脂への良好な分散性を確保でき、製膜時やラミネート等の加工時にフィルムが破断するなどの問題や、フィルム中に微細なクラックができて電気特性の低下や、変色が大きくなるなどの問題を回避することができる。
本発明のB層で用いられる酸化チタン粒子とは、特に限定されるものではないが、結晶型として、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などが知られており、優れた白色度と耐候性および光反射性などの特性からルチル型が好ましい。
本発明のB層で用いられる酸化チタンは、光触媒作用によって樹脂を劣化させる可能性があることから、光触媒作用を安定させる目的で、表面被覆処理されていることが好ましく、その組成は限定されないが、酸化ケイ素やアルミナ、または酸化亜鉛などの無機酸化物であることが好ましい。表面被覆剤の被覆方法についても特に限定されたものではなく、公知の方法で得られた酸化チタン粒子を使用することができる。
本発明で用いられる酸化チタン粒子の平均粒子径は150〜500nmのものが好ましく、中でも180〜350nmのものがより好ましい。平均粒子径が150nmより小さいと、酸化チタン粒子の活性度が高く樹脂劣化を招く要因となり好ましくない。また、平均粒子径が500nmを越えると樹脂への分散性が悪化して、フィルム製造時に用いるフィルタの目詰まりの原因となるため好ましくない。
また、本フィルムを製造する際に発生するスリット屑などを回収原料として用いることもできる。具体的には、スリット屑などをペレタイズし、本フィルムのB層に、B層の樹脂成分として、5〜50重量%添加することができる。ペレタイズの方法は、断裁したものを溶融押出後、カッティングする方法が一般的であるが、本方法に限定されるものではない。
また、本発明のおけるA層、B層、C層には、上述した以外に他の添加剤を含むものであっても良い。上記他の添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、または、熱安定剤を挙げることができる。
上記光安定剤としては、樹脂中の光劣化開始の活性種を捕捉し、光酸化を防止するものを用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物、およびその他等から選択される1種類または2種類以上を組み合わせたものを使用することができる。中でもヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましい。ヒンダードアミン系化合物として、具体的には、アデカ・アーガス化学(株)製の“MARK”LA−57、LA−62、LA−67、チバガイギ(株)製の“Tinuvin”144、622LDなどを挙げることができる。特にB層に光安定剤をB層の樹脂成分として、0.005〜0.2重量%の範囲で混合すると、酸化チタンが安定化し、長期耐候性を付与されるので好ましい。添加量が0.005重量%未満では、光安定剤としての効果が不十分であり、また0.2重量%を超えるとブリードアウトや酸化チタンなどの無機粒子の凝集を引き起こすため好ましくない。
上記紫外線吸収剤としては、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものを用いることができる。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および、超微粒子酸化チタン(粒子径:10nm〜60nm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:10nm〜40nm)等の無機系等の紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種類のものを使用することができる。
また、上記熱安定剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4´−ジイルビスホスフォナイト、および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤、8−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤を挙げることができる。また、これらを1種類または2種類以上を用いることもできる。
本発明における上記紫外線吸収剤、熱安定剤等の含有量としては、目的に応じ各層の樹脂成分として、0.01重量%〜5重量%の範囲内で適宜添加されることがある。
本発明のフィルムはA層/B層/C層から構成されており、フィルムの厚さは、用いられる用途によって変わるものの、10〜200μmの範囲が好ましく、更に、20〜150μmの範囲がフィルム製造面や、他基材とのラミネート加工性から好ましい。
その積層比は、A層が3〜30%、B層が60〜96%、C層が1〜10%であることが好ましい。また、C層の厚さはフィルムのカールを抑制する点から、A層よりも薄く、A層の厚さに対して2/3以下であることが必要であり、1/5〜2/3の範囲とすることがより好ましい。
例えば、本発明のフィルムを溶融T−ダイ成型法にて製膜する場合、溶融押出シートを冷却ドラム上で冷却キャストする際に、A層を冷却ドラム面とした場合、冷却ドラム面から急冷され、C層の非ドラム面側は徐冷となり結晶化の差によるカールが起こり、C層側を内面にカールが発生する。そこで、上記のように徐冷側となるC層の厚さは、急冷側となるA層よりも薄いことが好ましい。C層の厚さがA層の2/3を越えるとフィルムのカールが大きくなり、引き取り工程や二次加工でのフィルムズレなどが起こる場合がある。
また、本発明のフィルムの長手方向および幅方向の各ヤング率の値としては、150〜400MPaの範囲、好ましくは250〜350MPaの範囲であることが、製膜時の巻き取り性やラミネートなどの二次加工時の取り扱い性がよくて好ましい。ヤング率の値が150MPa未満では、製膜時の巻き取り性やラミネートなどの二次加工時の張力によって、フィルムが伸びて加工性が悪く、巻き姿も悪化する。また、400MPaを越えるとフィルムが硬くなりすぎて、製膜時の巻き取り性やラミネートなどの二次加工時にフィルムの割れやクラックが発生する場合がある。
また、本発明のフィルムは、用途に応じて他基材と接着剤や熱融着などの方法でラミネートして用いることができる。他基材としては、アルミ箔、紙、熱可塑性樹脂フィルムなどを挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、溶融押出しによってフィルムを形成し得る熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、好ましい例として、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合等を挙げることができる。特に本発明においては、寸法安定性や機械的特性が良好である点よりポリエステルが好ましく、特にPETが好ましい。
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを製造する方法を具体的に説明する。なお、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
A層に使用する樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部と、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成を二軸押出機に投入して、180〜280℃の範囲でコンパウンドしてチップ化する。
B層に使用する樹脂としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、または、エチレン・α−オレフィン共重合体に、平均粒子径150〜500nmの無機酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子と、酸化防止剤として、リン−フェノール系酸化防止剤を混合して、二軸押出機を使用して、180〜280℃の範囲でコンパウンドしてチップ化する。
C層樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部と、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合5〜20重量部、または、必要に応じて平均粒子径1〜5μmの無機および/又は有機粒子を分として混合した樹脂組成を二軸押出機を使用して、180〜280℃の範囲でコンパウンドしてチップ化する。
このようにして用意した各層の混合樹脂のコンパウンドチップを各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ220〜280℃の範囲にて溶融押出を行う。そしてポリマー管の途中に設置したフィルターを通して異物や、粗大無機粒子などを除去した後、マルチマニホールド型のTダイあるいはTダイ上部に設置したフィードブロックにて、A層/B層/C層型の3種3層積層を行いTダイより回転金属ロール上に、A層側を金属ロール面側にして吐出して無延伸シートを得る。この際、回転金属ロールは表面温度が20〜60℃に制御することが、A層の金属ロールへの粘着をおこさず、結晶性を高めるので好ましい。また、溶融ポリマーを金属ロールに密着させるため、非金属ロール側からエアーを吹き付ける方法や、ニップロールを使用することが好ましい。
このように得られた本発明のフィルムのA層および/またはC層には、他基材と貼り合わすために空気中または窒素ガス、炭酸ガスの1種以上の雰囲気中でコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を35mN/m以上にして巻き取ることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、食品・飲料、医薬品・医療品、光学フィルム、液晶部材、電子・電気部品、精密部品等の包装材料、および太陽電池用裏面保護シートに好適に用いることができる。
太陽電池用裏面保護シートとは、太陽電池モジュールの裏面保護シートであり、例えば、厚さが25〜250μmの耐加水分解性PETフィルム(東レ(株):“ルミラー”X10S)と本発明のポリオレフィン系多層積層フィルムを公知の接着剤を用いてドライラミネートしたものである。
例えば実開平6−38264号公報に記載があるように、一般的に太陽電池は、受光側のガラス基板と、裏面保護シートとの間に、複数の板状太陽電池発電セルを挟み、発電セルの保護としてセルの封止樹脂として、EVAを充填し、ガラス基板の反対側の裏面に、保護シートを重ねた構造をとる。該裏面保護シートには、優れた機械的性質、耐熱性、耐湿性、耐候性(耐紫外線劣化性、耐変色)を有するプラスチックフィルムが用いられ、また、太陽光を有効に利用するために、光反射率の高いフィルムが用いられる場合がある。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)樹脂の密度
密度はJIS K7112−1980に規定された密度勾配管法に従い、試料を各辺2mmの立方体にカットした。次に、25℃±0.5℃に温度管理された水槽中に、エチルアルコールと精製水用いて作製した密度勾配管中に、密度がわかっているガラスフロートを3個以上入れ、検量線を作製した。その後、密度勾配管中に試料を入れて24hr放置後に試料の位置を測定して、検量線から密度を求めた。
(2)フィルム厚さおよび厚さ構成比率
フィルム厚さは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを5枚分測定した。その平均値を10で除してフィルム厚さとした。また、積層フィルムの場合の各層の厚さは、積層フィルムをエポキシ樹脂に包埋しフィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を走査型電子顕微鏡で5,00倍の倍率で観察し、積層各層の厚さ比率を求めた。
(3)光反射率
分光光度計(日立製作所製 U−3410)に、φ60積分球(日立製作所製 130−0632)および10度傾斜スペーサーを取り付けた状態で、本発明のフィルムのA層面を場所を変えて3箇所測定し、波長560nmの光反射率の平均値をフィルムの光反射率とした。
(4)ヤング率
JIS K7113(1995/05/01改訂版)に準拠してサンプルフィルムを、長手方向と幅方向にそれぞれ120mm×10mmの大きさに切り出した。このカットサンプルフィルムを、23℃の雰囲気下で(株)エー・アンド・アイ製の“テンシロン”RTG−1210を用いて、試長50mmとして、引っ張り速度300mm/分の速度で引って、ヤング率を求めた。n数を5として、その平均値を算出した。
(5)カール
サンプルフィルムを300mm四方に切り出し、このカットサンプルフィルムのカール内面を上側にして平板上において、フィルムの四方の辺で、平版から最も浮いている界面距離を、ノギスで測定した。測定はn数を5として、その平均値を算出した。
ラミネート加工時のシワや巻きずれが起きないで使用可能なカールの上限は6mmである。
(6)耐ブロッキング性
サンプルフィルムを120mm×30mmに切り出し、このカットサンプルフィルム端部から40mm位置で、キャストドラム面と非ドラム面を重ねる。その重ね合わせた40mm×30mm面に、500gのおもりを乗せて、40℃・84%RHのオーブン中で24時間放置した後、23℃・55%RHの部屋に30分間放冷した。その後、引張圧縮試験機TG−500N(ミネベア(株)製)を用いて、重ねてあるフィルムの両端部を剥離速度300mm/分で引っ張り、重ねたフィルムが剥離した際の剪断剥離力の積分平均値をブロッキング剪断力(N/12cm)とした。測定はn数を5として、その平均値を算出した。ブロッキング剪断力が5N/12cm以上では、ロール状にフィルムを巻き取って巻き出す際に、表面に剥離痕ができ、太陽電池裏面シートとしたときに界面に気泡ができたり、表面の外観が悪くなる。
(7)耐候性
耐候性試験として、紫外線劣化促進試験機(アイスーパーUVテスター SUV−W131:岩崎電気(株)製)を用いて、下記の条件で実施した。紫外線照射(UV照度:100mW/cm、温湿度:60℃×50%RH)を144時間実施し、フィルムの外観を目視観察し、下記の判定を行った。
++:樹脂の変色がなく、割れやクラックが認められない。
+:樹脂が若干変色しているが、割れやクラックが認められない。
−:樹脂の変色が大きく、クラックが生じ、一部に割れが確認される。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
(8)低粉性(製膜工程防汚性)
フィルムの製膜工程において、キャストドラムから巻取り機までに使用している金属製ロールに白粉が付着していないか観察し、以下の基準で判定した。なお、判定は各フィルムの製膜実験を30分行った後で行った。
++:観察したロール全てで白粉の付着は認められない。
− :観察したロールの一部または全てのロールに白粉の付着が認められた。
上記評価で「−」評価のフィルムは、製膜工程を汚して製膜安定性に劣り、また、太陽電池用裏面保護シート作製時にフィルム表面に付着した削れの白粉によって、下記(9)のポリエステルフィルムとの積層の際に、ラミネート工程を汚したり、ポリエステルフィルムとの界面に気泡をかみ込む等の問題を生じる可能性が高い。
(9)太陽電池用裏面保護シートの製造方法
二軸延伸PETフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”X10S 125μm)に2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製 LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚さ6μmで塗布し、80℃で乾燥後に、ポリオレフィン系樹脂多層フィルムのコロナ処理面と重ね合わせて、1対の加圧ロール間に通して積層体を作成した。該積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池用裏面保護シートとした。
(10)ラミネート後の界面かみ込み気泡数
(9)で得た太陽電池用裏面保護シートの幅1m、長さ1650mを、(株)ヒューテック製の反射型欠点検知器を用いて、二軸延伸ポリエステルフィルム側から測定し、フィルム界面にある片側の長さ1mm以上の気泡数(個)を全面積で求めて、下記評価を行った。
++:気泡数が9個以下
+:気泡数が10〜29個
−:気泡数が30個以上
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として、部分放電電圧が低下したり、商品価値が下がるので、実用に耐えない。
(11)ラミネート強度
(9)で作成した太陽電池用裏面保護シートのA層がEVAと接するように、ガラス(厚さ5mm、200mm×200mm四方)/EVA(サンビック(株)製 PV−45FR00S 450μm)/銅板(2mm幅×厚さ0.6mm)/EVA(450μm)/太陽電池用裏面保護シートの構成に重ねて、(株)エヌ・ピー・シー製 太陽電池モジュールラミネーター(LM−50X50−S)に設置後、真空時間4分、制御時間1分、プレス時間15分、温度140℃の条件にて加熱圧着した。圧着後、室温で冷却し、疑似モジュールを作成した。その後、温度85℃、湿度85%のオーブン中に1000時間保存した。該1000時間保存した疑似モジュールから、太陽電池用裏面保護シートを幅15mm、長さ50mmにEVAと積層フィルムを剥離して、ラミネート強度測定サンプル5本を準備した。その後、23℃の室温条件下にてORIENTEC社製“テンシロン”PTM−50を用いて、剥離角度180°、剥離スピード300mm/分で剥離して、太陽電池用裏面保護シートとEVA間のラミネート強度を求め、下記判定をした。
++:ラミネート強度が50N/10mm以上
+:ラミネート強度が40N/10mm以上、50N/10mm未満
−:ラミネート強度が40N/10mm未満。
上記評価で、「―」のフィルムは、太陽電池用途に用いたときに界面剥離が起こり、実用
に耐えない。
(12)部分放電電圧
(9)の太陽電池裏面保護シートを下記の条件で測定して、下記の評価をした。
試験機 : KPD2050(菊水工業社製)
測定環境条件: 温度 23℃、湿度 50%
最大印加電圧: 1.10〜1.25kV
電圧印加時間: 22.0s
開始電圧 : 0.71〜0.98kV
消滅電圧 : 0.86〜1.07kV
++:部分放電電圧が、800V以上
+:部分放電電圧が、700V以上、800V未満
−:部分放電電圧が、700V未満。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
(13)滑り性
フィルムを100mm×50mmの大きさにカットし、A層とC層が重なるように2枚のフィルムをセットし、JISK7125プラスチックフィルムおよびシート摩擦係数試験方法(1999/08/20改訂)に準じて静摩擦係数を測定し、n数5の平均値を算出した。算出値から、下記の評価を行った。
++:静摩擦係数が1.0未満
+ :静摩擦係数が1.0以上1.5未満
− :静摩擦係数が1.5以上。
上記評価で「−」評価のフィルムは工程通過性および巻き取り性にシワや巻きずれが起こり、太陽電池用裏面保護シート作製時に問題を生じる可能性が高い。
(14)ラミネート加工性
(9)の太陽電池裏面シート作製時のラミネート加工において、シワの発生、巻きズレ、フィルム破断等を観察して、下記の評価を行った。
++:ラミ加工時に巻きズレ、シワの発生、フィルム破断がなく、巻き姿が綺麗であった。
+:ラミ加工時に巻き取った裏面シートの端部に、若干の巻きズレが見られた。
−:ラミ加工時に巻きズレ、シワの発生、フィルム破断のいずれか起こり、ラミネート加工性に劣った。
(15)総合評価
上記の太陽電池用裏面保護シートとしての評価結果を総合して、下記総合評価を行った。
++:全て評価で++の性能を示す場合。
−:−の評価が1個以上の場合。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
以下、本発明の実施例、および比較例について記載する。
リン−フェノール系酸化防止剤マスタバッチAの製造方法
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体90重量%と、リン−フェノール系酸化防止剤として、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(住友化学(株)製“スミライザー”GP)10重量%を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化防止剤マスタバッチAを製造した。
ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチBの製造方法
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体90重量%と、ヒンダードアミン系光安定剤10重量%(アデカ・アーガス化学(株)製の“MARK”LA−57)を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチBを製造した。
酸化チタンマスタバッチCの製造方法
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体40重量%と、無機酸化物で表面処理された平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン60重量%(堺化学工業製“FTR”700)を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチCを製造した。
無機粒子マスタバッチDの製造方法
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体90重量%と、平均粒子径2μmのケイ酸アルミニウムからなる無機粒子(‘シルトン“JC30、水沢化学製)10重量%を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチDを製造した。
(実施例1)
A層に使用する樹脂として、炭素原子数4の1−ブテンを6モル%共重合した、密度0.935g/cm、MFR5g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(LLDPE)100重量部に対し、密度0.900g/cm、MFR7g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)3.5重量部と、プロピレン系樹脂として密度0.900g/cm、MFR8g/10分のホモポリプロピレン(以下、H−PPと略称する)10.5重量部を混合して、220℃に加熱された二軸押出機に投入しコンパウンドした。
B層に使用する樹脂としては、炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.918g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対して、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを0.5重量部を混合して、220℃に加熱された二軸押出機を使用してコンパウンドした。リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.05重量%である。
C層樹脂として、該A層樹脂同様に、密度0.935g/cm、MFR5g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体のLLDPE100重量部に対し、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のLDPE3.5重量部とプロピレン系樹脂として、密度0.900g/cm、MFR8g/10分のH−PP10.5重量部を混合し、更に平均粒子径2μmのケイ酸アルミニウムからなる無機粒子(‘シルトン“JC30、水沢化学製)のマスタバッチDを6重量部混合(C層への無機粒子の添加量は0.5重量%である)した樹脂組成を220℃に加熱された二軸押出機にてコンパウンドした。
このようにして用意したA層、B層、C層のコンパウンド樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ220℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚さ構成比率がフィルムの全厚さを100%としてA層/B層/C層=15%/75%/10%であるフィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。該多層フィルムのC層にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。次に、二軸延伸PETフィルム(東レ社製 “ルミラー”X10S 125μm)に2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製 LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚6μmで塗布、乾燥後、上記ポリオレフィン系樹脂多層フィルムをラミネートした後、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応および接着剤層内の発泡を促し、本発明の太陽電池用裏面保護シートとした。
表1に示したように、本フィルムは、本発明の必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に優れた特性を有していることがわかる。
(実施例2)
実施例1のB層組成成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを0.2重量部(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.02重量%である)混合した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、実用途での問題は認められなかったが、太陽電池用裏面シートに用いた時に、若干変色がみられた。
(実施例3)
実施例1のB層樹脂成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを3重量部(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.29重量%である。)混合した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面シートに用いた時に、優れた特性を有していることがわかる。
(実施例4)
B層組成として、実施例1の樹脂組成100重量部に対して、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチA0.1重量部を混合し(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.01重量%である)、更にルチル型酸化チタンのマスタバッチCを33重量部混合し(B層への酸化チタンの添加量は14.9重量%である)、ヒンダードアミン系光安定剤のマスタバッチBを0.1重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、光反射性も高く、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に、優れた特性を有していることがわかる。
(実施例5)
A層に使用する樹脂として、実施例1のLLDPE100重量部に対し、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のLDPE1.25重量部と、プロピレン系樹脂として、エチレン共重合量4モル%で、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン・プロピレンランダム共重合体3.75重量部の混合樹脂組成物を5重量部混合した樹脂組成とし、C層についても同じ混合樹脂組成物を5重量部とマスタバッチDを6重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。 本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に、優れた特性を有していることがわかる。
(実施例6)
A層に使用する樹脂として、実施例1のLLDPE100重量部に対して、実施例1のLDPE5重量部と実施例1のH−PP15重量部を混合し、C層についても同じ混合樹脂組成物を20重量部とマスタバッチDを6重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に、優れた特性を有していることがわかる。
(実施例7)
実施例1において、厚さ構成比をA層/B層/C層=20%/75%/5%とし、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に、優れた特性を有していることが表1からわかる。
(実施例8)
実施例1において、A層の炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合したLLDPEの密度を0.925g/cmとした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面シートに用いた時に優れた特性を有していることがわかる。
(実施例9)
実施例4において、B層の炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEの密度を0.912g/cmとした以外は、実施例4と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に優れた特性を有していることがわかる。
(比較例1)
実施例1において、A層に密度が0.912g/cmの炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEを用い、C層に密度が0.942g/cmの炭素原子数6の1−ヘキセンを4モル%共重合したLLDPEを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚さが150μmのポリオレフィン樹脂系多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
各物性の評価結果を表2に示す。本フィルムは、A層のLLDPEの密度が0.920g/cmよりも低いために滑り性が不十分であり、A層/B層/C層の順に各層のエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の密度が高くなるために、フィルムのカールが大きく、ポリエステルフィルムとラミネートして太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、巻きズレやしわが発生してラミネート加工性に劣るものであった。また、C層のLLDPEの密度が高いために金属ロールとの摩擦で削れ粉の発生が見られ、ポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られた。さらに、C層のLLDPEの密度が高く、EVAとのラミネート強度も不十分であった。
(比較例2)
実施例1において、A層を積層せずに、B層とC層の樹脂組成物を2種2層のマルチマニホールド型のTダイにて押出し、厚さ構成比率をA層/B層/C層=0%/90%/10%とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。各物性の評価結果を表2に示す。本フィルムは2層であるため、フィルムのカールが大きく、B層表面の滑り性も不十分であり、ラミネートの二次加工においてフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工性に劣っていた。また、ポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られた。
(比較例3)
実施例1において、A層およびC層に密度が0.912g/cmの炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEを用いた以外は実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。各物性の評価結果を表2に示す。本フィルムは、A層およびC層の密度が低くて滑り性に劣り、耐ブロッキング性にも劣っていた。また、ヤング率が低いために巻き取り時の張力コントロールが難しくて巻きじわが発生し、ラミネート加工性に劣るものであった。さらに、結晶性が低いために部分放電電圧が低いものであった。
(比較例4)
実施例1において、A層およびC層の樹脂組成で、LDPEを1重量部とH−PPを3重量部とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分中のLDPEとH−PP成分が少ないために、結晶性が低く、滑り性が悪いためにフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。また、ポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られ、さらに、部分放電電圧も低いものであった。
(比較例5)
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、LDPE9重量部とH−PP21重量部のトータル30重量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分中のLDPEとH−PPの混合樹脂量が多いために結晶性が高くなって、キャスト時のフィルムのカールが大きくなり、また、キャストドラムへの密着性が低下してフィルムの平面性が悪化した。さらに、製膜工程やラミネートの二次加工において金属ロールに削れ粉が付着した。削れ粉がフィルム表面に付着して、太陽電池用裏面シートを作製する際に、ポリエステルフィルムとの界面に気泡が見られた。また、結晶性が高いためにEVAとのラミネート強度が低下した。
(比較例6)
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、LDPEを添加せず、H−PPのみを14重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分として、LDPEを添加しないために結晶性が低下してヤング率が低くなり、巻き取る際の張力でフィルムが伸びて平面性が悪化し、太陽電池用裏面保護シートを作製する際にフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。また、結晶性が低いために、部分放電電圧が低くなった。
(比較例7)
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、H−PPを添加せず、LDPEのみを14重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分として、H−PPを添加しないために、滑り性と耐ブロッキング性に劣ることから、太陽電池用裏面シートを作製する際にフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。
(比較例8)
実施例1において、B層の樹脂成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを4重量部添加した(リン−フェノール系酸化防止剤の添加量は0.4重量%である)以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。
本フィルムは、リン−フェノール系酸化防止剤の添加量が多いために分散性が悪化し、ブリードアウトして口金スリット部に目ヤニ状に付着して、表面欠点となった。また、本フィルムを用いて作製した太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、表面欠点が起因でポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られた。
(比較例9)
実施例1において、B層の樹脂成分として添加された、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAの代わりに、フェノール系の酸化防止剤(チバガイギー(株)製“Irganox1010”)を添加した(B層の樹脂成分として、フェノール系の酸化防止剤を0.05重量%添加)以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、酸化防止剤の酸化防止効果と耐候性向上効果が低く、本フィルムを用いて作製した太陽電池用裏面保護シートのラミネート強度を測定する際に、フィルムが脆くて破断するため、ラミネート強度が低い値となった。
(比較例10)
実施例3において、B層の酸化チタンのマスタバッチCの添加量を200重量部(酸化チタンの添加量は40重量%である)とし、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAの添加量を0.2重量部とした(B層のリン−フェノール系酸化防止剤の添加量は、0.007重量%である)以外は、実施例3と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、酸化チタン濃度が高すぎて分散性が低下し、フィルム中に微細なクラックができ、さらに、リン−フェノール系酸化防止剤の添加量が少なく耐候性に劣るためにフィルムが脆く、ラミネート強度とラミネート加工性が低下した。また、フィルム中にクラックがあるため、部分放電電圧が低くなった。
(比較例11)
実施例1において、各層の厚さ構成比率をA層/B層/C層=10%/80%/10%とした以外は、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層に比べC層が厚いためにカールが大きく、太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、フィルムの巻きズレやしわが発生してラミネート加工性に劣っていた。
Figure 0005896367
Figure 0005896367

Claims (6)

  1. A層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層およびC層は、密度が0.920〜0.938g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなり、B層は、密度が0.920g/cm未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、リン−フェノール系化合物の酸化防止剤を0.01〜0.3重量%添加混合してなり、積層比は、A層が3〜30%、B層が60〜96%、C層が1〜10%であり、A層とエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂シートとの140での密着強度が40N/10mm以上であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
  2. C層の厚さがA層の厚さの2/3以下である請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
  3. フィルムの長手方向および幅方向の各ヤング率が150〜400MPaの範囲である請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
  4. 前記C層の分として、平均粒子径1〜5μmの粒子を0.1〜5重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
  5. 前記B層の分として、平均粒子径150〜500nmのルチル型の酸化チタン粒子を5〜30重量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
  6. 太陽電池裏面シートとして用いられる請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
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