JP2017170763A - 太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム - Google Patents

太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】光線反射率が高く、滑り性が良くて耐ブロッキング性が良好で工程通過性が良好であり、また、真空下における熱圧着において樹脂はみ出しが少なくてラミ加工性に優れた太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムを提供する。【解決手段】A層/B層/C層の3層積層ポリエチレンフィルムであって、A層が直鎖状低密度ポリエチレン70〜95重量%と、ポリプロピレン系樹脂5〜30重量%の組成物からなり、B層が直鎖状低密度ポリエチレン30〜85重量%と、MFRが0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン10〜40重量%と、白色化剤5〜30重量%の組成物からなり、C層が直鎖状低密度ポリエチレン59.5〜89.8重量%と、MFRが0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン10〜40重量%と、無機粒子0.2〜0.5重量%の組成物からなり、フィルム全体の樹脂組成物の150℃におけるゼロ剪断粘度が1×104〜4×104Pa・sの範囲であることを特徴とする太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム、すなわち、他基材シートと積層されて太陽電池モジュールバックシートとされる3層積層のポリエチレンフィルムに関する。さらには、太陽電池モジュールの製造工程において、封止材のエチレン・酢酸ビニル共重合体シートとの接着強度に優れ、光線反射率が高く、ガラスラミ時の基材からの樹脂のはみ出しが少なくて工程汚染の少ない太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽光発電が注目され、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発されている。太陽電池モジュールはガラス基板、封止材、太陽電池セル、封止材、バックシートの順に構成されている。バックシートは太陽電池の裏側にある太陽電池モジュールの保護を重要な役割としている。
バックシートは、太陽電池モジュールを裏面から機械的に保護するとともに、水蒸気の浸入や紫外線による劣化を防ぐという機能を有するものであり、軽量化や割れ難さの点からポリマー材料によるものが用いられる。また、バックシートは、長期間にわたって上記の性能を維持するために封止材との接着性の良いフィルムが用いられる。
上記使用目的のため、特許文献1では封止材であるEVAとの接着性、およびコスト抑制に寄与するポリエステル系のバックシートを提案している。また特許文献2においては、電気絶縁性ポリエチレンテレフタレート(PETと略すことがある)フィルムの表面に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを装着した太陽電池保護シートが提案されている。しかしながら、特許文献1および2のポリエチレンフィルムはモジュール作製時のラミネート工程においてポリエチレンの融点より高い温度でラミネートを行うため、ポリエチレン樹脂がPETフィルム外にはみ出して工程を汚染する虞があるという問題がある。
特開2012−171310号公報 特開2009−224761号公報
太陽電池モジュールを作製する際、ポリエチレンフィルムを積層したバックシートを使用した場合、真空下で加熱・圧着した時にポリエチレンがはみ出して工程を汚染する問題がある。本発明が解決しようとする課題は、封止材のエチレン・酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略称する)との接着性に優れ、高温で加熱・圧着した時に、ポリエチレンのはみ出し量が抑制される太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムは、A層/B層/C層からなる3層積層のポリエチレンフィルムであって、A層が直鎖状低密度ポリエチレン70〜95重量%と、ポリプロピレン系樹脂5〜30重量%の組成物からなり、B層が直鎖状低密度ポリエチレン30〜85重量%と、高圧法低密度ポリエチレン10〜40重量%と、白色化剤5〜30重量%を混合した組成物からなり、C層が直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする組成物からなり、フィルム全体の樹脂組成物のゼロ剪断粘度が1×10〜4×10Pa・sの範囲であることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムは、太陽電池モジュールを作製する際の加熱・圧着した時の樹脂はみ出し量が少なく工程汚染性が少なくて生産性が向上し、封止材のEVAとの接着性が高く、反射率も高いことから、太陽電池モジュールバックシート用として優れた特性を有する。
本発明のポリエチレンフィルムにおいて、A層は封止材のEVAと熱接着される接着層であり、A層に用いる樹脂は、EVAとの密着性に優れるポリエチレン系樹脂を主体とすることが重要であり、特に本発明においては、直鎖状低密度ポリエチレン70〜95重量%と、ポリプロピレン系樹脂5〜30重量%の組成物からなることが必要である。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、加熱押し出し時での自己架橋起因のフィッシュアイ(以下、FEと略称することがある)が発生しにくく生産性に優れ、EVAとの接着力も高くなる。
該A層に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略称することがある)とは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜8のα−オレフィンの共重合体であることが好ましく、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどとの共重合体が挙げられる。
該LLDPEの温度190℃で荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFRと略すことがある)は、3〜7g/10分の範囲であることが好ましい。MFRが3g/10分未満では、Tダイでの製膜時に幅方向への均一な積層性が悪化し、7g/10分を超えると、150℃でのガラスラミネート時に樹脂のはみ出しが大きくなり、工程汚染を起こす場合がある。また、MFRが上記の範囲であることが、封止材のEVAの表面凹凸を埋めるように溶融することから好ましい。
本発明において、フィルムに滑り性を付与するためにA層を粗面化する目的として、ポリエチレンと非相溶なポリプロピレン系樹脂を添加混合することが必要である。滑り性付与のために無機粒子や有機滑剤を添加すると、EVAとの接着力が低下するので好ましくない。
該A層に処方するポリプロピレン系樹脂としては、エチレン・プロピレンランダム共重合体(以下、r−EPCと略称することがある)、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体(以下、r−EPBCと略称することがある)、エチレン・プロピレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂が好ましいが、中でも融点が低く、ポリプロピレン中にエチレン成分が共重合されているr−EPCまたはr−EPBCがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂の添加量としては5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%の範囲である。A層中のポリプロピレン系樹脂の添加量が5%未満であると粗面化による滑り性付与の効果が現れず、フィルムどうしがブロッキングしてラミネート加工時に破れや細波状の表面欠点が出る。一方、ポリプロピレン系樹脂の添加量が30重量%を超えると、封止材EVAとの接着強度が低下する。
A層のポリプロピレン系樹脂は、温度230℃で荷重21.18Nの条件で測定されるMFRが、3〜30g/10分の範囲であることが好ましい。MFRが3g/10分未満では、ポリエチレン系樹脂との混合性が悪化して均一な粗面化が得られず、30g/10分を超えると封止材のEVAとの接着強度を測定する際に、A層内で凝集破壊が起こって、接着強度が低下する場合がある。
本発明におけるB層は、直鎖状低密度ポリエチレン30〜85重量%と、MFRが0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン10〜40重量%と、白色化剤5〜30重量%を混合した組成物からなる。
B層の直鎖状低密度ポリエチレンは、温度190℃で荷重21.18Nの条件で測定されるMFRが3〜7g/10分の範囲であることが、Tダイにおける高速製膜においてのネックインが小さく、高温での自己架橋起因のFEが発生しにくいので好ましい。
また、B層のMFRが0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略称することがある)は、高圧法低密度ポリエチレン、または住友化学(株)製の易成形性低密度ポリエチレン(スミカセンEP、以下、EPPEと略称することがある)などが使用できる。該LDPEまたはEPPEを混合することで、ゼロ剪断の動的粘度を上昇させることが可能となり、太陽電池モジュール作製時の樹脂はみ出しが少なくなる。
該EPPEは、住友化学(株)の低密度ポリエチレンで、溶融押し出し時は溶融粘度が低くて押し出し負荷が小さく、フィルムとした後のラミネート時の膜減り(厚さ低減)や樹脂のはみ出しが少ないことを特徴とする樹脂である。
LLDPEおよびEPPEは、温度190で荷重21.18Nの条件で測定されるMFRが0.2〜2g/10分の範囲である。MFRが0.2g/10分未満では、LLDPEとの混合性が悪化して吐出変動が起こり、MFRが2g/10分を超えると、ゼロ剪断の動的粘度を上昇させる効果が低下する。
ここで、低密度ポリエチレンとは、JIS K7112−1980に規定された密度勾配管法で測定した値で、0.910g/cm以上0.930g/cm以下のものを言う。LLDPEおよびEPPEの密度が0.910g/cm未満ではゼロ剪断の動的粘度が上がらない場合があり、0.930g/cm越えるとLLDPEへの分散性が悪化して、均質な厚さのフィルムが得られないことがある。
本発明におけるB層のLLDPEへのLDPE又はEPPEの添加量は、ゼロ剪断の動的粘度を上げるために10〜40重量%の範囲とすることが重要である。添加量が10重量%未満ではゼロ剪断の動的粘度の上昇には寄与せずにはみ出し量抑制に効果がなく、40重量%を超えるとTダイで製膜するときにフィルムの吐出変動やネックインが大きくなり、製膜性が悪化する。
また、本発明におけるB層には光線反射率を高くする目的で、白色化剤を5〜30重量%混合する。白色化剤が5重量%未満では、他基材とラミネートしてバックシートとした際の光線反射率が低くなり、30重量%を超えると押出流動性が悪化して積層むらとなり製膜性が悪化する。
本発明のポリエチレンフィルムの光線反射率として、波長550nmにおける光線反射率を85%以上とすることで、太陽電池モジュールの発電効率が上がるために好ましい。白色化剤添加による製膜安定性と反射率の両立から、波長550nmの光線反射率の上限は97%である。
白色化剤は炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機系の微粒子であることが耐候性の点から好ましく、中でも酸化チタン粒子が最も好ましく、酸化チタンの結晶型としてはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などが知られているが、優れた白色度と耐候性および光反射性などの特性からルチル型が好ましい。また、酸化チタンの表面に、アルミナやシリカの被膜を形成することにより酸化チタンによる光触媒作用を抑えて、樹脂の劣化を抑制することができる。
白色化剤の平均粒子径は、200〜400nmの範囲であることが、樹脂への分散性がよく、優れた白色度と耐候性および光反射性などの特性を付与できるので好ましい。平均粒子径が200nm未満では、酸化チタン粒子などは活性度が高くなり樹脂劣化を招く要因となり好ましくない場合がある。また、平均粒子径が400nmを越えると樹脂への分散性が悪化して二次凝集体を作りやすくなり、フィルム製造時に用いるフィルターの目詰まりの原因となるため好ましくない場合がある。
B層に白色化剤を用いた場合、ポリエチレンフィルムをA層/B層/C層の3層構成として、白色化剤を含有するB層をA層とC層で挟むことにより、溶融押出時の口金へのB層の白色化剤の付着を抑制し、白色化剤が脱落することによる工程汚染やフィルムの傷といった問題を回避することができる。
本発明においてC層は、直鎖状低密度ポリエチレン59.5〜89.8重量%と、MFRが0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン10〜40重量%と、無機粒子0.2〜0.5重量%の組成物とすることがゼロ剪断の動的粘度を上昇させることが可能となり、ガラスラミ時の樹脂のはみ出しが少なくなり、滑り性もよくなるので好ましい。
C層の直鎖状低密度ポリエチレンは、温度190℃で荷重21.18Nの条件で測定されるMFRが3〜7g/10分の範囲であることが、Tダイにおける高速製膜においてのネックインが小さく、高温での自己架橋起因のFEが発生しにくいので好ましい。
また、C層のMFRが0.2〜2g/10分の範囲のLDPEは、高圧法低密度ポリエチレン、または住友化学(株)製のEPPEなどが使用できる。該LDPEまたはEPPEを混合することで、ゼロ剪断の動的粘度を上昇させることが可能となり、太陽電池モジュール作製時の樹脂はみ出しが少なくなる。
LDPEまたはEPPEは、温度190で荷重21.18Nの条件で測定されるMFRが0.2〜2g/10分の範囲である。MFRが0.2g/10分未満では、LLDPEとの混合性が悪化して吐出変動が起こり、MFRが2g/10分を超えると、ゼロ剪断付近の動的粘度を上昇させる効果が低下する。
本発明におけるC層のLLDPEへのLDPE又はEPPEの添加量は、ゼロ剪断の動的粘度を上げるために10〜40重量%の範囲が好ましい。添加量が10重量%未満ではゼロ剪断の動的粘度の上昇には寄与せずにはみ出し量抑制に効果がなく、40重量%を超えるとTダイで製膜するときにフィルムの吐出変動やネックインが大きくなり、製膜性が悪化する。
また、C層には、無機粒子を0.2〜0.5重量%で添加混合することで、フィルムの滑り性や巻き取り性向上が向上する。添加量が0.2重量%未満では滑り性の付与効果が低くて、巻き取り時にエア噛み等の欠点が出る。また、0.5重量%よりも多いと、製膜およびラミネート加工時に粒子が脱落して工程汚染が起こる。
C層に添加される無機粒子としては、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミノシリケートなどを使用することが出来る。中でも粒子径の分布が狭く、ポリエチレン系樹脂との親和性が良く、製膜中の凝集が少ないアルミノシリケートが好ましい。
上記、無機粒子は球状であり、粒子径は3〜10μmの範囲であり、中でも5〜8μmの範囲がより好ましい。粒子径が3μm未満の場合、フィルム表面への突起形成が不足して滑り性付与効果が得られないことがある。一方、10μmより大きいと製膜中にフィルムから粒子が脱落し、本フィルムを使用した太陽電池バックシートを作製する際に他基材とのラミネート間にエア噛みが起こり、外観不良の要因となることがある。
本発明のポリエチレンフィルムには各層の変色と強度保持の観点から、各層に酸化防止剤を処方することが好ましい。酸化防止剤としてはフェノール系、リン系、硫黄系などがあり、単独、もしくは2種類以上を併用することが出来る。また、リン・フェノールハイブリット系酸化防止剤を使用することが出来る。
上記の酸化防止剤以外にも光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤を処方することが出来る。
本発明のポリエチレンフィルムは、封止材のEVAと接着する方のA層とは反対面の、C層には、他基材シートをラミネートして太陽電池モジュールバックシートとするために、表面改質処理を施すことが好ましい。表面改質処理は具体的にプラズマ処理、大気中におけるコロナ処理、窒素雰囲気下中でのコロナ処理、炭酸ガス処理などが挙げられるが特に問わない。
また、封止材のEVAと接着する方のA層表面には、改質処理を施さない方が好ましい。A層に改質処理を施すと、フィルムどうしがブロッキングして破れや帯電が起こることがあり、巻き出し不良となり、スリットやラミネート不良等の加工性を低下させる要因にもなる。
本発明のポリエチレンフィルムは、フィルム全体の樹脂組成物の150℃におけるゼロ剪断の動的粘度が1×10〜4×10Pa・sの範囲であることが必要である。フィルム全体の樹脂組成物の150℃におけるゼロ剪断の動的粘度が1×10Pa・s未満では、太陽電池モジュール製造時に、基材の耐光性ポリエステルフィルムの端部からポリエチレン樹脂のはみ出しが大きくなり、工程汚れの問題が発生する。一方、4×10Pa・sを超えるような樹脂組成にすると、フィルムの製膜時の濾圧上昇が大きくなって吐出変動が起こり、連続製膜性に問題が生じる。
また、本発明のポリエチレンフィルムをラミネートした太陽電池モジュールバックシートは、太陽電池モジュール作成時の150℃でのラミネート時に、バックシートとするためにラミネートしたポリエステルフィルムなどの基材シートの端部からのポリエチレン樹脂のはみ出し長さが、1mm以下であることが好ましい。はみ出し長さが1mmを超えると、太陽電池モジュールの端部に樹脂が付着して工程を汚すため、太陽電池モジュール製造時の生産性が悪化するので好ましくない。
本発明のポリエチレンフィルムの厚さは、50〜150μmの範囲であることが好ましい。フィルムの厚さが150μmを超えると、太陽電池モジュール製造時に、他基材シートの端部からポリエチレン系樹脂のはみ出しが大きくなり、工程汚れを引き起す場合がある。一方、ポリエチレンフィルムの厚さが50μmを下回ると、封止材のEVAとの接着力が低くなり、特に長期信頼性評価の温度120℃で、湿度100RH%の96時間処理後のEVA接着強度の低下が大きくなる。
本発明のポリエチレンフィルムの製膜方法としては、インフレーション法、ダイ法、カレンダー法などがあり、例えば、1軸または2軸の溶融押出機でポリエチレン系樹脂ペレットを必要量溶融混練したのち、得られた混練物をフィルターで濾過して、フラットダイ(例えばTダイ)または環状のダイから3層積層のフィルム状に押し出すことによって製造できる。溶融押出機から押出す溶融ポリマーの温度は、通常160〜250℃が適用できるが、ポリマーの分解や架橋を防ぎ、良好な品質のフィルムを得るためには、180〜220℃が好ましい。Tダイから押出す場合は、押出されたフィルムは20〜65℃の一定温度に設定した冷却ロールに接触させて、冷却・固化させた後巻き取る。環状ダイから押出す場合は、一般にインフレーション法と呼ばれる方法でバブルを形成し、これを冷却・固化させた後、巻き取る。
本発明のポリエチレンフィルムは、A層/B層/C層の3層構成からなり、各層の積層割合はA層が5〜30%、B層が40〜90%、B層のもう一方の片面のC層が5〜30%であることが好ましい。A層の積層割合が5%未満では封止材のEVAとの接着力が低下し、30%よりも大きくなると押し出し時に積層むらが発生して生産性が悪化する要因となる。また、B層のもう一方の片面のC層の積層割合が5%未満ではフィルムの滑り性に劣り、30%を超えると積層むらが発生して生産性が悪化する要因となる。
本発明のポリエチレンフィルムを太陽電池モジュールバックシート用として使用するときにラミネートされる他基材シートとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、または、フッ素フィルムを用いることが出来る。これらの中で、機械的強度や耐熱性、経済性の点から、PETフィルムが好ましく用いられ、長期間の特性維持が求められることから耐加水分解性PETフィルムであることがより好ましい。
本発明のポリエチレンフィルムを用いて太陽電池モジュールバックシートとする製造方法は、例えば、厚さが50〜250μmの耐加水分解性PETフィルム(東レ(株):“ルミラー”(登録商標)X10S)にグラビア・ロールコート法、ロールコート法、リバースコート法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等を用いて接着剤を塗工するドライラミネートなどの公知手法を用いて、本発明のポリエチレンフィルムを積層することができる。
本発明のポリエチレンフィルムを用いた太陽電池モジュールバックシートと封止材のEVAとを150℃で熱接着させたときの初期接着強度は60N/cm以上、より好ましくは70N/cm以上であると、長時間での紫外線や熱がかかっても剥がれが起こらないので好ましい。封止材のEVAとの初期接着強度が60N/cm未満であると屋外に設置したときに、紫外線や熱によって封止材との接着強度が低下して剥がれ等の問題が起こる場合がある。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、各特性については以下の方法に測定、評価を行った。
(1)樹脂の密度
密度はJIS K7112−1980に規定された密度勾配管法に従い測定した。
(2)フィルム全体の樹脂組成物のゼロ剪断の動的粘度(Pa・s)
粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製 ARES)を使用して、150℃において下記測定条件でのフィルム全体の溶融粘度−角周波数曲線を作成し、得られた溶融粘度−角周波数曲線の角周波数が0.1rad/sのところをゼロ剪断の動的粘度(Pa・s)として読み取った。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:φ25mm
プレート間ギャップ:1.5〜2mm
角周波数:0.1rad/s〜100rad/s。
(3)ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)
ポリエチレン系樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件Dに準じて190℃、21.18Nで測定し、ポリプロピレン系樹脂は、230℃、21.18Nで測定した。
(4)封止材EVAとの熱圧着による接着強度(N/cm)
EVAシートとの熱圧着による接着強度測定用シートは、ポリエチレンフィルムに基材シートとしてPETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)X10)を接着剤でドライラミネートしてバックシートを作成した後、EVAシートとしてフースートゥー社製EVA(F806)を使用し、ガラス/EVAシート/EVAシート/接着強度測定用バックシートの順に積層し、(株)エヌ・ピー・シー製、太陽電池モジュールラミネーター(LM−50×50−S)に設置後、真空時間5分、制御時間1分、プレス時間10分、温度150℃の条件にて加熱圧着した。圧着後、室温冷却し、密着強度評価用サンプルを作製した。評価用サンプルは1cm幅に切開した後、接着強度測定用シート/EVAシート層間にて剥離し、室温雰囲気下においてテンシロンを使用して剥離角度が180°、剥離速度を100mm/minで剥離し、接着強度(N/cm)を測定した。
(5)フィルム厚さおよび厚さ構成比率
フィルム厚さ(μm)は、ダイヤルゲージ(ピーコック製、RIGHTUP DIAL GAUGE)を用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを測定した。その10ヶ所の平均値をフィルム厚みとした。また、積層フィルムの場合の各層の厚さは、積層フィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を偏光顕微鏡(ニコン製、ECLIPSE(エクリプス)E400 POL)で200倍の倍率で観察し、積層各層の厚さ比率を求めた。
(6)樹脂はみ出し長さ
150℃の雰囲気下、10N/cmで加圧された場合の樹脂のはみ出し長さは、以下の手順で測定した。上記(4)で作成したバックシートを10cm角にカットし、上下から“テフロン”(登録商標)シートで挟んだ状態で、(株)エヌ・ピー・シー製、太陽電池モジュールラミネーター(LM−50×50−S)に設置後、真空時間5分、制御時間1分、プレス時間9分、温度150℃の条件にて加熱プレス処理を行った。その後、室温冷却してサンプルの4辺それぞれの1cm地点、5cm地点、9cm地点において、基材のポリエステルフィルムの端部からの樹脂のはみ出し量を目盛り付きルーペで読み取り、その12点の平均値を算出した。
(7)550nmでの光線反射率(%)
ポリエチレンフィルムのA層側からの光線反射率を測定するため、測定機器は島津社製UV−3100PCを用いて、硫酸バリウムの標準板の550nmの相対反射率を100%として、試験片フィルムの相対反射率を測定した。
(8)ブロッキング剪断力
フィルムを120mm×30mmに切り出し、このカットサンプルフィルム2枚を端部から40mmの部分のみで、キャストドラム面と非ドラム面を重ねる。その重ね合わせた40mm×30mm面に、500gのおもりを乗せて、40℃・84%RHのオーブン中で24時間放置した後、23℃・55%RHの部屋に30分間放冷した。その後、引張圧縮試験機TG−500N(ミネベア(株)製)を用いて、重ねてあるフィルムの両端部を剥離速度300mm/分で引っ張り、重ねたフィルムが剥離した際の剪断剥離力の積分平均値をブロッキング剪断力(N/12cm)とした。測定はn数を5として、その平均値を算出した。ブロッキング剪断力が1N/12cm未満では巻きずれが起こることがあり、10N/12cm以上ではロール状にフィルムを巻き取ったときに、ツブ状の気泡の噛み込みによる表面欠点や、巻き出す際に剥離痕ができ表面の欠点となる。
以下、実施例及び比較例について説明する。なお、実施例及び比較例に使用した樹脂は以下の通りである。
(使用した各種樹脂特性)
・直鎖状低密度ポリエチレン−1(以下、LLDPE−1と略称する):融点125℃、MFR5.0g/10分。
・直鎖状低密度ポリエチレン−2(以下、LLDPE−2と略称する):融点125℃、MFR3.0g/10分。
・高圧法低密度ポリエチレン−1(以下、LDPE−1と略称する):融点110℃、MFR0.3g/10分。
・易加工性高圧法低密度ポリエチレン−1(以下、EPPE−1と略称する):融点125℃、MFR0.4g/10分。
・易加工性高圧法低密度ポリエチレン−2(以下、EPPE−2と略称する):融点106℃、MFR1.1g/10分。
・易加工性高圧法低密度ポリエチレン−2(以下、EPPE−3と略称する):融点109℃、MFR2.0g/10分。
・エチレン・プロピレンランダム共重合体(以下、r−EPCと略称する):融点140℃、MFR30g/10分。
・無機粒子マスター:ベース樹脂は、LLDPE−2を90重量%と、平均粒子径4μmのアルミノシリケート粒子10重量%を 溶融混合して作成した。
・酸化チタンマスター:ベース樹脂はLLDPE−1を40重量%と、表面をアルミナとシリカで被覆した平均粒子径300nmのルチル型酸化チタン粒子60重量%を溶融混合して作成した。
(実施例1)
本発明のポリエチレンフィルムのA層として、LLDPE−1を80重量%と、粗面化目的としてr−EPCを20重量%の混合処方を用いた。B層に使用する樹脂として、LLDPE−1を40重量%と、EPPE−1を40重量%と、酸化チタンマスター20重量%の混合処方とした。C層に使用する樹脂は、LLDPE−2を55重量%と、EPPE−1を40重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方とした。このようにA層、B層、C層の処方樹脂をそれぞれ単軸の押出機に供給し、それぞれ230℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチ・マニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から冷風を当てて、キャスティングドラムに密着させた。積層むらはなく、製膜は安定して厚さが均一で、積層比がA層/B層/C層=20%/70%/10%の100μmのポリエチレンフィルムを得た。該ポリエチレンフィルムのC層側にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。得られたポリエチレンフィルムの150℃でのゼロ剪断の動的粘度3.2×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は90%であり、ブロッキング剪断力は5N/12cmであった。
次に、上記ポリエチレンフィルムのコロナ処理面と、二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ社製 “ルミラー”(登録商標)X10S厚み125μm)に2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製 LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚6μmで塗布、乾燥した面とを重ねてラミネート加工して、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池モジュールバックシートとした。
上記の得られたバックシートの樹脂はみ出しを評価するため、バックシートを10cm角にカットし、上下から“テフロン”(登録商標)シートで挟んだ状態で、(株)エヌ・ピー・シー製、太陽電池モジュールラミネーター(LM−50×50−S)に設置後、真空時間5分、制御時間1分、プレス時間9分、温度150℃の条件にて加熱プレス処理を行った。その後、室温冷却してサンプルの4辺それぞれの1cm地点、5cm地点、9cm地点において、基材のポリエステルフィルムの端部からのポリエチレン系樹脂のはみ出し量を目盛り付きルーペで読み取り、その12点の平均値を算出した。その結果、樹脂のはみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.2mmであり、封止材のEVAとの接着力は100N/cmであり、フィルムの要求特性を満たしていた。
(実施例2)
A層として、LLDPE−1を70重量%と、粗面化目的としてr−EPCを30重量%の混合処方とし、C層をLLDPE−2を85重量%と、EPPE−1を10重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして3層積層のポリエチレンフィルムとバックシートを得て、実施例1と同様にしてフィルム特性およびバックシート特性を評価した。
本フィルムは、A層のr−EPCの量が多いことから、ブロッキング剪断力は2N/12cmと低く、封止材のEVAとの接着力は60N/cmとなり、C層のEPPEの添加量が少ないことからゼロ剪断の動的粘度が3×10Pa・sに下がったが、フィルムの要求特性を満たしていた。
(実施例3)
A層として、LLDPE−1を95重量%と、粗面化目的としてr−EPCを5重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして3層積層のポリエチレンフィルムとバックシートを得て、実施例1と同様にしてフィルム特性およびバックシート特性を評価した。
本フィルムは、ゼロ剪断の動的粘度、樹脂はみ出し長さ、反射率は実施例1と同等であるが、A層のr−EPCの量が少ないことから、ブロッキング剪断力は8N/12cmと高く、封止材のEVAとの接着力は120N/cmと高くなり、フィルムの要求特性を満たしていた。
(実施例4)
B層に使用する樹脂として、LLDPE−2を20重量%と、EPPE−1を30重量%と、酸化チタンマスターを50重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして3層積層のポリエチレンフィルムとバックシートを得て、実施例1と同様にしてフィルム特性を評価した。得られたポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は2.5×10Pa・sであった。また、酸化チタン濃度が高いことからポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は97%と高く、ブロッキング剪断力は5N/12cmであった。
本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールバックシートを作成して、実施例と同様に樹脂のはみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.4mmであり、封止材のEVAとの接着力は100N/cmであった。
(実施例5)
B層としてLLDPE−2を50重量%と、EPPE−2を40重量%と、酸化チタンマスター10重量%の混合処方とし、C層として、LLDPE−1を55重量%と、EPPE−2を40重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして3層積層のポリエチレンフィルムを得た。
得られた上記ポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は3×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は、チタン量が少ないため85%であり、ブロッキング剪断力は5N/12cmであった。本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールバックシートを作成して、実施例1と同様にして樹脂のはみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.2mmであり、A層のr−EPCの混合量が多いが、封止材のEVAとの接着力は100N/cmであった。
(実施例6)
B層として、LLDPE−2を70重量%に対して、LDPE−1を10重量%と、酸化チタンマスターバッチを20重量%の混合処方とし、C層は、LLDPE−1を85重量%と、LDPE−1を10重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方として、実施例と同様にして厚さ100μmの3層積層フィルムを得た。
得られたポリエチレンフィルムは、B層の150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は1.1×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は90%であり、A層のr−EPCの混合量が下限であるため、ブロッキング剪断力は5N/12cmと高くなった。
また、本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールバックシートを作成して、実施例1と同様にして樹脂のはみ出し長さを測定した結果、B層のLDPEの混合量が少ないため、はみ出し長さは0.8mmとなり、封止材のEVAとの接着力は100N/cmであった。
(実施例7)
A層に使用する樹脂としてLLDPE−2を80重量%と、粗面化目的としてr−EPCを20重量%の混合処方とした。B層として、LLDPE−1を40重量%と、EPPE−1を40重量%と、酸化チタンマスターバッチ20重量%の混合処方とした。C層は、LLDPE−2を55重量%と、EPPE−1を40重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方として、実施例1と同様にして、厚さ150μmの3層積層のポリエチレンフィルムを得た。
得られたポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は3.2×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は、フィルム厚さの効果で90%となり、ブロッキング剪断力は5/12cmであった。
本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールバックシートを作成して、実施例1と同様にして樹脂のはみ出し長さを測定した結果、フィルムが厚くなったため樹脂のはみ出し長さは0.8mmとなり、封止材のEVAとの接着力は100N/cmであった。
(実施例8)
全体のフィルム厚さを50μmとした以外は、実施例7と同様にして3層積層ポリエチレンフィルムを得た。得られた3積層ポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は3.2×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率はフィルム厚さが薄いために86%となり、ブロッキング剪断力は5N/12cmであった。
本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして作成した太陽電池モジュールバックシートの樹脂はみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.1mmであり、封止材のEVAとの接着力は60N/cmであった。
(実施例9)
A層に処方する樹脂は実施例1と同じ処方とし、B層として、LLDPE−2と40重量%と、EPPE−2を40重量%と、酸化チタンマスターバッチと20重量%の混合処方とした。C層は、LLDPE−2を55重量%と、EPPE−2と40重量%と、無機粒子マスターを5重量%処方し、積層比をA層/B層/C層=5%/90%/5%として、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを得た。
得られた3積層ポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断の動的粘度は3.8×10Pa・sであった。また、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は、フィルム厚さの効果で93%となり、ブロッキング剪断力は4N/12cmであった。
本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして作成した太陽電池モジュールバックシートの樹脂はみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.1mmであり、封止材のEVAとの接着力は65N/cmであった。
(実施例10)
A層に処方する樹脂は実施例1と同じ処方とし、B層として、LLDPE−2と40重量%と、EPPE−3を40重量%と、酸化チタンマスターバッチと20重量%の混合処方とした。C層は、LLDPE−2を55重量%と、EPPE−3と40重量%と、無機粒子マスターを5重量%の処方し、積層比をA層/B層/C層=30%/40%/30%として、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを得た。
実施例2と同様にして得られた3層積層ポリエチレンフィルムの150℃におけるゼロ剪断付近の動的粘度は、B層の積層比が低いため1.2×10Pa・sであり、ポリエチレンフィルムのA層側からの550nmでの反射率は87%となり、ブロッキング剪断力は3N/12cmであった。
本ポリエチレンフィルムを用いて実施例1と同様にして作成した太陽電池モジュールバックシートの樹脂のはみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.7mmであり、封止材のEVAとの接着力は130N/cmであった。
(比較例1)
A層として、LLDPE−1を100重量%とした以外は、実施例1と同様にして厚さ100μmの3層積層のフィルムを得た。実施例1と同様にして得られた3積層ポリエチレンフィルムは、A層にPP系樹脂を添加していないためブロッキング剪断力が13N/12cmと高くなり、工程通過性が悪かった。
(比較例2)
A層として、LLDPE−1を60重量%と、r−EPCを40重量%の組成とし、B層として、LLDPE−1を75重量%と、EPPE−1を5重量%と、酸化チタンマスターバッチを20重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして厚さ100μmの3層積層のフィルムを得た。このようにして得られたポリエチレンフィルムを実施例1と同じ方法で150℃におけるゼロ剪断の動的粘度を測定したところ、B層のEPPE−1の混合量が少ないために、0.65×10Pa・sと低いものであり、EVAとの接着力も低いものであった。また、本ポリエチレンフィルムを実施例1と同様にして作成した太陽電池モジュールバックシートの樹脂のはみ出し長さを測定した結果、ポリエチレンフィルムの動的粘度が低いために、はみ出し長さは2mmと大きく、ラミ工程での汚染が確認された。
(比較例3)
B層をLLDPE−1を20重量%と、EPPE−1を60重量%と、酸化チタンマスターバッチを20重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして押出しを行ったが、B層のEPPE−1の添加量が多いためにメルトフラクチャーが起こり、均一な厚みのフィルムが安定して得られず、実用に適さないものであった。
(比較例4)
C層をLLDPE−2を45重量%と、EPPE−1を50重量%と、無機粒子マスターを5重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして押出しを行ったが、C層のEPPE−1の添加量が多いためにC層でメルトフラクチャーが起こり、均一な厚みのフィルムが安定して得られず、実用に適さないものであった。
(比較例5)
実施例1において、A層を積層せずに−/B層/C層の2層積層として、厚み構成を0%/80%/20%とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレンフィルムを得た。このように積層したポリエチレンフィルムを実施例1と同じ方法で150℃におけるゼロ剪断の動的粘度測定したところ、3.3×10Pa・sであった。また、本ポリエチレンフィルムを実施例1と同様にして、太陽電池モジュールバックシートとして、樹脂のはみ出し長さを測定した結果、はみ出し長さは0.2mmであった。しかしながら、A層が積層されていないために、B層に添加した酸化チタン粒子が製膜工程中に脱落して工程汚染が発生し、封止材のEVAとの接着力も低くなり、実用に適さないものであった。
(比較例6)
B層として、LLDPE−1を55重量%と、EPPE−1を40重量%と、酸化チタンマスターバッチを5重量%の混合処方とした以外は、実施例1と同様にして厚さ100μmの3層積層のフィルムを得た。このようにして得られたポリエチレンフィルムを実施例1と同じ方法で150℃におけるゼロ剪断の動的粘度を測定したところ、EPPE−1の混合量が少ないために、3.2×10Pa・sであり、EVAとの接着力も高かったが、酸化チタンの量が少ないために光線反射率が低く、本ポリエチレンフィルムの要求特性を満たすことができなかった。
(比較例7)
B層として、LLDPE−1を10重量%と、EPPE−1を30重量%と、酸化チタンマスターバッチを60重量%の混合処方とした以外は実施例1と同様にして押出しを行ったが、B層の酸化チタンの混合量が多いためにメルトフラクチャーが起こり、均一な厚さのフィルムが安定して得られず、実用に適さないものであった。
(比較例8)
C層として、無機粒子マスターを添加せずに、LLDPE−2を60重量%と、EPPE−1を40重量%の混合処方とした以外は実施例1と同様にして押出しを行ったが、C層に無機粒子がないためにフィルムの滑りが悪く、ブロッキング剪断力が12mN/mと高くなり、巻き取り時に皺が入って実用に適さないものであった。
Figure 2017170763
Figure 2017170763
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本発明は、高温・高湿度下に使用される太陽電池モジュールの封止材シートであるエチレン・酢酸ビニル共重合体との接着性に優れた太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルムであり、それを用いた太陽電池モジュールバックシートとすることにより、光線反射率が高くて発電効率に寄与し、太陽電池モジュールの製造時の樹脂はみ出しが少なくてラミネート時の工程安定性が向上する。

Claims (6)

  1. A層/B層/C層の3層積層ポリエチレンフィルムであり、A層が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂70〜95重量%と、ポリプロピレン系樹脂5〜30重量%の組成物からなり、B層が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂30〜85重量%と、メルトフローレート(MFR)が0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン樹脂10〜40重量%と、白色化剤5〜30重量%の組成物からなり、C層が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂59.5〜89.8重量%と、メルトフローレート(MFR)が0.2〜2g/10分の範囲の低密度ポリエチレン樹脂10〜40重量%と、無機粒子0.2〜0.5重量%の組成物からなり、フィルム全体の樹脂組成物の150℃におけるゼロ剪断の動的粘度が1×10〜4×10Pa・sの範囲であることを特徴とする太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
  2. 他基材シートとラミネートされ、150℃の雰囲気下、10N/cmで加圧された場合の該他基材シートの端部からの樹脂のはみ出し長さが1mm以下である請求項1に記載の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
  3. 前記各層に用いるいずれの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂も、メルトフローレートが3〜7g/10分の範囲である請求項1および2に記載の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
  4. A層/B層/C層の各層の積層割合が、A層が5〜30%、B層が40〜90%、C層が5〜30%であり、全フィルム厚さが50〜150μmである請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
  5. ポリエチレンフィルムのA層側から測定した波長550nmでの光線反射率が、85%以上97%以下である請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
  6. 封止材のエチレン・酢酸ビニル共重合体シートとの初期接着強度が、60N/cm以上である請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池モジュールバックシート用ポリエチレンフィルム。
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