JP5720936B2 - ポリオレフィン系樹脂多層フィルム - Google Patents
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Description
上記した課題は、本発明にかかるポリオレフィン系樹脂多層フィルムによって解決される。すなわち、A層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層およびC層は、密度が0.920〜0.938g/cm3の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなり、B層は、密度が0.920g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、リン−フェノール系化合物の酸化防止剤を0.01〜0.3wt%添加混合してなり、C層の厚さがA層の厚さの2/3以下であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムである。
密度はJIS K7112−1980に規定された密度勾配管法に従い、試料を各辺2mmの立方体にカットした。次に、25℃±0.5℃に温度管理された水槽中に、エチルアルコールと精製水用いて作製した密度勾配管中に、密度がわかっているガラスフロートを3個以上入れ、検量線を作製した。その後、密度勾配管中に試料を入れて24hr放置後に試料の位置を測定して、検量線から密度を求めた。
フィルム厚さは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを5枚分測定した。その平均値を10で除してフィルム厚さとした。また、積層フィルムの場合の各層の厚さは、積層フィルムをエポキシ樹脂に包埋しフィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を走査型電子顕微鏡で5,00倍の倍率で観察し、積層各層の厚さ比率を求めた。
分光光度計(日立製作所製 U−3410)に、φ60積分球(日立製作所製 130−0632)および10度傾斜スペーサーを取り付けた状態で、本発明のフィルムのA層面を場所を変えて3箇所測定し、波長560nmの光反射率の平均値をフィルムの光反射率とした。
JIS K7113(1995/05/01改訂版)に準拠してサンプルフィルムを、長手方向と幅方向にそれぞれ120mm×10mmの大きさに切り出した。このカットサンプルフィルムを、23℃の雰囲気下で(株)エー・アンド・アイ製の“テンシロン”RTG−1210を用いて、試長50mmとして、引っ張り速度300mm/分の速度で引って、ヤング率を求めた。n数を5として、その平均値を算出した。
サンプルフィルムを300mm四方に切り出し、このカットサンプルフィルムのカール内面を上側にして平板上において、フィルムの四方の辺で、平版から最も浮いている界面距離を、ノギスで測定した。測定はn数を5として、その平均値を算出した。
ラミネート加工時のシワや巻きずれが起きないで使用可能なカールの上限は6mmである。
サンプルフィルムを120mm×30mmに切り出し、このカットサンプルフィルム端部から40mm位置で、キャストドラム面と非ドラム面を重ねる。その重ね合わせた40mm×30mm面に、500gのおもりを乗せて、40℃・84%RHのオーブン中で24時間放置した後、23℃・55%RHの部屋に30分間放冷した。その後、引張圧縮試験機TG−500N(ミネベア(株)製)を用いて、重ねてあるフィルムの両端部を剥離速度300mm/分で引っ張り、重ねたフィルムが剥離した際の剪断剥離力の積分平均値をブロッキング剪断力(N/12cm2)とした。測定はn数を5として、その平均値を算出した。ブロッキング剪断力が5N/12cm2以上では、ロール状にフィルムを巻き取って巻き出す際に、表面に剥離痕ができ、太陽電池裏面シートとしたときに界面に気泡ができたり、表面の外観が悪くなる。
耐候性試験として、紫外線劣化促進試験機(アイスーパーUVテスター SUV−W131:岩崎電気(株)製)を用いて、下記の条件で実施した。紫外線照射(UV照度:100mW/cm2、温湿度:60℃×50%RH)を144時間実施し、フィルムの外観を目視観察し、下記の判定を行った。
++:樹脂の変色がなく、割れやクラックが認められない。
+:樹脂が若干変色しているが、割れやクラックが認められない。
−:樹脂の変色が大きく、クラックが生じ、一部に割れが確認される。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
フィルムの製膜工程において、キャストドラムから巻取り機までに使用している金属製ロールに白粉が付着していないか観察し、以下の基準で判定した。なお、判定は各フィルムの製膜実験を30分行った後で行った。
++:観察したロール全てで白粉の付着は認められない。
− :観察したロールの一部または全てのロールに白粉の付着が認められた。
上記評価で「−」評価のフィルムは、製膜工程を汚して製膜安定性に劣り、また、太陽電池用裏面保護シート作製時にフィルム表面に付着した削れの白粉によって、下記(9)のポリエステルフィルムとの積層の際に、ラミネート工程を汚したり、ポリエステルフィルムとの界面に気泡をかみ込む等の問題を生じる可能性が高い。
二軸延伸PETフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”X10S 125μm)に2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製 LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚さ6μmで塗布し、80℃で乾燥後に、ポリオレフィン系樹脂多層フィルムのコロナ処理面と重ね合わせて、1対の加圧ロール間に通して積層体を作成した。該積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池用裏面保護シートとした。
(9)で得た太陽電池用裏面保護シートの幅1m、長さ1650mを、(株)ヒューテック製の反射型欠点検知器を用いて、二軸延伸ポリエステルフィルム側から測定し、フィルム界面にある片側の長さ1mm以上の気泡数(個)を全面積で求めて、下記評価を行った。
++:気泡数が9個以下
+:気泡数が10〜29個
−:気泡数が30個以上
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として、部分放電電圧が低下したり、商品価値が下がるので、実用に耐えない。
(9)で作成した太陽電池用裏面保護シートのA層がEVAと接するように、ガラス(厚さ5mm、200mm×200mm四方)/EVA(サンビック(株)製 PV−45FR00S 450μm)/銅板(2mm幅×厚さ0.6mm)/EVA(450μm)/太陽電池用裏面保護シートの構成に重ねて、(株)エヌ・ピー・シー製 太陽電池モジュールラミネーター(LM−50X50−S)に設置後、真空時間4分、制御時間1分、プレス時間15分、温度140℃の条件にて加熱圧着した。圧着後、室温で冷却し、疑似モジュールを作成した。その後、温度85℃、湿度85%のオーブン中に1000時間保存した。該1000時間保存した疑似モジュールから、太陽電池用裏面保護シートを幅15mm、長さ50mmにEVAと積層フィルムを剥離して、ラミネート強度測定サンプル5本を準備した。その後、23℃の室温条件下にてORIENTEC社製“テンシロン”PTM−50を用いて、剥離角度180°、剥離スピード300mm/分で剥離して、太陽電池用裏面保護シートとEVA間のラミネート強度を求め、下記判定をした。
++:ラミネート強度が50N/10mm以上
+:ラミネート強度が40N/10mm以上、50N/10mm未満
−:ラミネート強度が40N/10mm未満。
上記評価で、「―」のフィルムは、太陽電池用途に用いたときに界面剥離が起こり、実用
に耐えない。
(9)の太陽電池裏面保護シートを下記の条件で測定して、下記の評価をした。
試験機 : KPD2050(菊水工業社製)
測定環境条件: 温度 23℃、湿度 50%
最大印加電圧: 1.10〜1.25kV
電圧印加時間: 22.0s
開始電圧 : 0.71〜0.98kV
消滅電圧 : 0.86〜1.07kV
++:部分放電電圧が、800V以上
+:部分放電電圧が、700V以上、800V未満
−:部分放電電圧が、700V未満。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
フィルムを100mm×50mmの大きさにカットし、A層とC層が重なるように2枚のフィルムをセットし、JISK7125プラスチックフィルムおよびシート摩擦係数試験方法(1999/08/20改訂)に準じて静摩擦係数を測定し、n数5の平均値を算出した。算出値から、下記の評価を行った。
++:静摩擦係数が1.0未満
+ :静摩擦係数が1.0以上1.5未満
− :静摩擦係数が1.5以上。
上記評価で「−」評価のフィルムは工程通過性および巻き取り性にシワや巻きずれが起こり、太陽電池用裏面保護シート作製時に問題を生じる可能性が高い。
(9)の太陽電池裏面シート作製時のラミネート加工において、シワの発生、巻きズレ、フィルム破断等を観察して、下記の評価を行った。
++:ラミ加工時に巻きズレ、シワの発生、フィルム破断がなく、巻き姿が綺麗であった。
+:ラミ加工時に巻き取った裏面シートの端部に、若干の巻きズレが見られた。
−:ラミ加工時に巻きズレ、シワの発生、フィルム破断のいずれか起こり、ラミネート加工性に劣った。
上記の太陽電池用裏面保護シートとしての評価結果を総合して、下記総合評価を行った。
++:全て評価で++の性能を示す場合。
−:−の評価が1個以上の場合。
上記評価で「−」評価のフィルムは、太陽電池用途として実用に耐えない。
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体90wt%と、リン−フェノール系酸化防止剤として、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(住友化学(株)製“スミライザー”GP)10wt%を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化防止剤マスタバッチAを製造した。
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体90wt%と、ヒンダードアミン系光安定剤10wt%(アデカ・アーガス化学(株)製の“MARK”LA−57)を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチBを製造した。
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体40wt%と、無機酸化物で表面処理された平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン60wt%(堺化学工業製“FTR”700)を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチCを製造した。
炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合した密度0.922g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体90wt%と、平均粒子径2μmのケイ酸アルミニウムからなる無機粒子(‘シルトン“JC30、水沢化学製)10wt%を二軸押出機にて溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチDを製造した。
A層に使用する樹脂として、炭素原子数4の1−ブテンを6モル%共重合した、密度0.935g/cm3、MFR5g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(LLDPE)100重量部に対し、密度0.900g/cm3、MFR7g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)3.5重量部と、プロピレン系樹脂として密度0.900g/cm3、MFR8g/10分のホモポリプロピレン(以下、H−PPと略称する)10.5重量部を混合して、220℃に加熱された二軸押出機に投入しコンパウンドした。
実施例1のB層組成成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを0.2重量部(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.02wt%である)混合した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
実施例1のB層樹脂成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを3重量部(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.29wt%である。)混合した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
B層組成として、実施例1の樹脂組成100重量部に対して、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチA0.1重量部を混合し(リン−フェノール系酸化防止剤のB層樹脂への添加量は0.01wt%である)、更にルチル型酸化チタンのマスタバッチCを33重量部混合し(B層への酸化チタンの添加量は14.9wt%である)、ヒンダードアミン系光安定剤のマスタバッチBを0.1重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
A層に使用する樹脂として、実施例1のLLDPE100重量部に対し、密度0.900g/cm3、MFR7g/10分のLDPE1.25重量部と、プロピレン系樹脂として、エチレン共重合量4モル%で、密度0.900g/cm3、MFR7g/10分のエチレン・プロピレンランダム共重合体3.75重量部の混合樹脂組成物を5重量部混合した樹脂組成とし、C層についても同じ混合樹脂組成物を5重量部とマスタバッチDを6重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。 本フィルムは、表1に示したように必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に、優れた特性を有していることがわかる。
A層に使用する樹脂として、実施例1のLLDPE100重量部に対して、実施例1のLDPE5重量部と実施例1のH−PP15重量部を混合し、C層についても同じ混合樹脂組成物を20重量部とマスタバッチDを6重量部混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
実施例1において、厚さ構成比をA層/B層/C層=20%/75%/5%とし、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
実施例1において、A層の炭素原子数6の1−ヘキセンを6モル%共重合したLLDPEの密度を0.925g/cm3とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面シートに用いた時に優れた特性を有していることがわかる。
実施例4において、B層の炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEの密度を0.912g/cm3とした以外は、実施例4と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしており、太陽電池用裏面保護シートに用いた時に優れた特性を有していることがわかる。
実施例1において、A層に密度が0.912g/cm3の炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEを用い、C層に密度が0.942g/cm3の炭素原子数6の1−ヘキセンを4モル%共重合したLLDPEを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚さが150μmのポリオレフィン樹脂系多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
実施例1において、A層を積層せずに、B層とC層の樹脂組成物を2種2層のマルチマニホールド型のTダイにて押出し、厚さ構成比率をA層/B層/C層=0%/90%/10%とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。各物性の評価結果を表2に示す。本フィルムは2層であるため、フィルムのカールが大きく、B層表面の滑り性も不十分であり、ラミネートの二次加工においてフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工性に劣っていた。また、ポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られた。
実施例1において、A層およびC層に密度が0.912g/cm3の炭素原子数8の1−オクテンを6モル%共重合したLLDPEを用いた以外は実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。各物性の評価結果を表2に示す。本フィルムは、A層およびC層の密度が低くて滑り性に劣り、耐ブロッキング性にも劣っていた。また、ヤング率が低いために巻き取り時の張力コントロールが難しくて巻きじわが発生し、ラミネート加工性に劣るものであった。さらに、結晶性が低いために部分放電電圧が低いものであった。
(比較例4)
実施例1において、A層およびC層の樹脂組成で、LDPEを1重量部とH−PPを3重量部とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分中のLDPEとH−PP成分が少ないために、結晶性が低く、滑り性が悪いためにフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。また、ポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られ、さらに、部分放電電圧も低いものであった。
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、LDPE9重量部とH−PP21重量部のトータル30重量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分中のLDPEとH−PPの混合樹脂量が多いために結晶性が高くなって、キャスト時のフィルムのカールが大きくなり、また、キャストドラムへの密着性が低下してフィルムの平面性が悪化した。さらに、製膜工程やラミネートの二次加工において金属ロールに削れ粉が付着した。削れ粉がフィルム表面に付着して、太陽電池用裏面シートを作製する際に、ポリエステルフィルムとの界面に気泡が見られた。また、結晶性が高いためにEVAとのラミネート強度が低下した。
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、LDPEを添加せず、H−PPのみを14重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分として、LDPEを添加しないために結晶性が低下してヤング率が低くなり、巻き取る際の張力でフィルムが伸びて平面性が悪化し、太陽電池用裏面保護シートを作製する際にフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。また、結晶性が低いために、部分放電電圧が低くなった。
実施例1において、A層およびC層の樹脂成分として、H−PPを添加せず、LDPEのみを14重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。本フィルムは、A層およびC層の樹脂成分として、H−PPを添加しないために、滑り性と耐ブロッキング性に劣ることから、太陽電池用裏面シートを作製する際にフィルムの巻きズレやしわが発生して、ラミネート加工に劣っていた。
実施例1において、B層の樹脂成分として、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAを4重量部添加した(リン−フェノール系酸化防止剤の添加量は0.4wt%である)以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを得た。
本フィルムは、リン−フェノール系酸化防止剤の添加量が多いために分散性が悪化し、ブリードアウトして口金スリット部に目ヤニ状に付着して、表面欠点となった。また、本フィルムを用いて作製した太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、表面欠点が起因でポリエステルフィルムとの界面に気泡のかみ込みが見られた。
実施例1において、B層の樹脂成分として添加された、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAの代わりに、フェノール系の酸化防止剤(チバガイギー(株)製“Irganox1010”)を添加した(B層の樹脂成分として、フェノール系の酸化防止剤を0.05wt%添加)以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、酸化防止剤の酸化防止効果と耐候性向上効果が低く、本フィルムを用いて作製した太陽電池用裏面保護シートのラミネート強度を測定する際に、フィルムが脆くて破断するため、ラミネート強度が低い値となった。
実施例3において、B層の酸化チタンのマスタバッチCの添加量を200重量部(酸化チタンの添加量は40wt%である)とし、リン−フェノール系酸化防止剤のマスタバッチAの添加量を0.2重量部とした(B層のリン−フェノール系酸化防止剤の添加量は、0.007wt%である)以外は、実施例3と同様にして、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、酸化チタン濃度が高すぎて分散性が低下し、フィルム中に微細なクラックができ、さらに、リン−フェノール系酸化防止剤の添加量が少なく耐候性に劣るためにフィルムが脆く、ラミネート強度とラミネート加工性が低下した。また、フィルム中にクラックがあるため、部分放電電圧が低くなった。
実施例1において、各層の厚さ構成比率をA層/B層/C層=10%/80%/10%とした以外は、フィルム厚さが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。また、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートとした。
本フィルムは、A層に比べC層が厚いためにカールが大きく、太陽電池用裏面保護シートを作製する際に、フィルムの巻きズレやしわが発生してラミネート加工性に劣っていた。
Claims (4)
- A層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層およびC層は、密度が0.920〜0.938g/cm3の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し、低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂の混合樹脂5〜20重量部を混合した樹脂組成物からなり、B層は、密度が0.920g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、リン−フェノール系化合物の酸化防止剤を0.01〜0.3重量%添加混合してなり、積層比は、A層が3〜30%、B層が60〜96%、C層が1〜10%であり、C層の厚さがA層の厚さの2/3以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
- 前記C層の樹脂成分として、平均粒子径1〜5μmの粒子を0.1〜5重量%含有する請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
- 前記B層の樹脂成分として、平均粒子径150〜500nmのルチル型の酸化チタン粒子を5〜30wt%含有する請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
- 太陽電池裏面シートとして用いられる請求項1〜3いずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
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