JP2007134629A - 半導体層の成膜方法、半導体層を成膜する製造装置 - Google Patents

半導体層の成膜方法、半導体層を成膜する製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体材料の塗布膜に気体を吹き付けて乾燥時間を短縮し、乾燥むらを低減することにより、大きな面積の半導体層を、均一に、低コストで成膜する半導体の成膜方法、および半導体層を成膜する製造装置を提供する。
【解決手段】基板上に半導体層を成膜する成膜方法において、溶媒を含む半導体材料を基板上に塗布する工程の後に、基板の前記溶媒を含む半導体材料の塗布面に対して、溶媒を蒸発させるために気体を吹き付ける工程を有する、ことを特徴とする半導体層の成膜方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、成膜を行って半導体層を形成する半導体層の成膜方法、及び、半導体層を成膜する製造装置に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。このような背景から平板型のディスプレイ装置の開発が進められるようになってきた。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(以下TFTと呼ぶ)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。
従来は、基板上にバスラインや電極パターン、半導体層を形成するために、フォトリソグラフィ技術(以下、フォトリソグラフィ法ともいう)で回路形状にパターニングするのが一般的である。フォトリソグラフィ技術とは、パターニングしたい薄膜上に感光性レジストを塗布し、フォトマスクを介して露光、現像した後、露出した薄膜部分をドライエッチングあるいはウエットエッチングしてパターニングを行う方法である。そして、パターニングを行った後、不要となったレジストを剥離し、さらにその上に材料の成膜を繰り返し行って半導体材料を作製する。
このように、フォトリソグラフィ法がTFT素子の作製に用いられてきたが、製造工程が複雑であるとともに、クリーンルームなどの大規模な施設が必要になるという問題があった。近年、従来のフォトリソグラフィ工程を用いたTFT素子の製造工程のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。
有機TFTの製造方法は素子構造にもよるが、例えば、ゲート電極を基板上に形成するボトムゲート−ボトムコンタクト構造の場合、基板上にゲート電極を、フォトリソグラフィ技術を用いて形成した後、ゲート電極上にゲート絶縁膜としてプラズマCVDでTEOSソースを用いて形成したり、塗布絶縁材料を印刷により形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いてソース電極とドレイン電極を形成し、この後、前処理を行ってソース電極とドレイン電極の間のチャネル部に有機半導体層を形成している。
有機半導体材料には高分子材料と低分子材料があり、有機半導体部分をチャネル部に成膜する方法が異なる。
高分子材料による有機半導体部分の形成方法としては、高分子材料を溶媒に分散させた分散液や、高分子材料を溶解させた溶解液を塗布して成膜する方法がある。
一方、低分子材料の有機半導体材料については、真空下での蒸着などの成膜方法が行われているが、一部、溶媒、溶解条件を選択することにより塗布による成膜も行われている。塗布にはスピンコート法、インクジェット法などが用いられており、その他、マイクロコンタクトプリント法なども検討されている。
高分子材料または低分子材料の有機半導体材料を塗布後、溶媒を除くため塗布した有機半導体材料を乾燥する。乾燥方法としては真空下で溶媒を揮発させる方法や、ホットプレート上にて加熱する方法が採られている。
TFTパネル組み立て工程においては、形成されたTFTを配置したTFT基板の面上に配向膜を形成してラビング処理を施すことで、電圧無印加時の液晶分子の配列を決定するのが一般的である。配向膜の形成工程では、ポリイミド溶液を基板上へ印刷、インクジェット及びスプレー等を用いて塗布し、乾燥工程で配向膜を乾燥している。
乾燥工程において、配向膜の乾燥に長時間を要すると、乾燥むらが生じ、配向膜厚が不均一になる問題がある。そのため、塗布工程の後、配向膜表面に向けて、配向膜の溶媒を蒸発させるのに必要な温度の気体を吹き付けるようにする方法が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。
特開平10−190001号公報 特開2003−57625号公報 特開平11−264978号公報 Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー)
塗布半導体材料の塗布後の乾燥に真空下での乾燥工程を採用する場合は、乾燥工程に多大な時間を要し、塗布半導体のメリットのひとつである、真空プロセスの必要なく、安価に製造できる点に相反してしまうという問題があった。また、基板をホットプレート上で加熱して乾燥させる場合は、ホットプレートからの熱の伝わり方が均一でなく、基板上の場所により乾燥むらが生じてしまい、そのため、アレイ基板上の素子間に特性のばらつきが生じるという問題があった。
一方、特許文献2、特許文献3では、TFTを形成した基板上に塗布した配向膜を、短時間で乾燥する方法は開示されているが、TFTを形成する半導体材料を乾燥する方法は開示されておらず、適用することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、半導体材料の塗布膜に気体を吹き付けて乾燥時間を短縮し、乾燥むらを低減することにより、半導体層を均一に、低コストで成膜する半導体の成膜方法、および半導体層を成膜する製造装置を提供することを目的とする。
1.
基板上に半導体層を成膜する成膜方法において、
前記基板上に溶媒を含む半導体材料を塗布した後、前記基板上の塗布面に気体を吹き付ける工程を有する、
ことを特徴とする半導体層の成膜方法。
2.
前記気体の温度が、前記溶媒の蒸発温度よりも高いことを特徴とする1.に記載の半導体層の成膜方法。
3.
予め定められた温度を有するテーブル上に載置された前記基板に、気体を吹き付けることを特徴とする1.または2.に記載の半導体層の成膜方法。
4.
前記基板上に少なくともソース電極とドレイン電極が設けられ、
前記気体を吹き付ける工程では、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に流れる電流の方向と平行方向に気体を吹き付けることを特徴とする1.乃至3.のいずれか1項に記載の半導体層の製膜方法。
5.
前記気体を吹き付ける工程では、
前記基板の基板面に対して気体を吹き付ける角度が45°以下である、
ことを特徴とする4.に記載の半導体層の成膜方法。
6.
前記半導体層に、チオフェンオリゴマー類、ポリチオフェン類、またはシリルエチニルペンタセン類のうちの少なくとも1つが含有されていることを特徴とする4.または5.に記載の半導体層の成膜方法。
7.
前記基板上に少なくともソース電極、ドレイン電極から構成される複数の半導体素子を形成する場合において、
前記基板上に形成された前記半導体素子の前記ソース電極、前記ドレイン電極は、前記ソース電極と前記ドレイン電極の間を電流が流れる方向が、同一方向になるように配置されている、
ことを特徴とする4.乃至6.の何れか1項に記載の半導体層の成膜方法。
8.
基板上に半導体層を成膜する製造装置において、
基板の表面に溶媒を含む半導体材料を塗布する塗布装置と、
前記基板上の前記溶媒を含む半導体材料の塗布面に対して、気体を吹き付ける気体吹き付け装置と、
を有することを特徴とする半導体層を成膜する製造装置。
9.
前記気体吹き付け装置は、
前記溶媒を蒸発させるために必要な温度に気体を加熱する加熱装置を備えることを特徴とする8.に記載の半導体層を成膜する製造装置。
10.
前記半導体層を成膜する製造装置は、
予め定められた温度に設定可能な、前記基板を載置するテーブルを有し、
前記気体吹き付け装置は、前記テーブルに載置された前記基板の前記溶媒を含む半導体材料の塗布面に対して気体を吹き付ける、
ことを特徴とする8.または9.に記載の半導体層を成膜する製造装置。
本発明によれば、塗布した半導体材料を短時間で乾燥できるので、半導体層を均一に、低コストで、形成することができる。
以下、実施形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明に係わる薄膜トランジスタ(以下TFTと記す。)の製造方法を説明する説明図である。図1を用いて、基板1上にゲート電極2bを設け、更にゲート絶縁層7b、半導体層10を形成してソース電極8とドレイン電極9を設けたボトムゲート型のTFTを形成する場合の製造方法について順を追って説明する。なお、本発明はボトムゲート型に適用を限定されるものではなく、トップゲート型、縦型、トップアンドボトム型など、どのような素子構成にも適用可能である。
図1(1−a)〜図1(7−a)は、基板1を上面から見た平面図であり、図1(1−b)〜図1(7−b)は基板1を図1(1−a)〜図1(7−a)の断面X−X’で切断した断面図である。
本発明に係る有機TFTの製造方法の一例として、次の工程S1〜S7を説明する。
S1・・・・・導電性薄膜2が形成された基板1上に、各電極パターンのレジスト層4を形成する工程。
S2・・・・・基板1をエッチングする工程。
S3・・・・・ゲート電極2b上のレジスト層4を除去する工程。
S4・・・・・ゲート絶縁層7を形成する工程。
S5・・・・・ソース電極8、ドレイン電極9を形成する工程。
S6・・・・・ソース電極8、ドレイン電極9の間に半導体層10を成膜する工程。
以下、各工程について順に説明する。
S1・・・・・導電性薄膜2が形成された基板1上に、各電極パターンのレジスト層4を形成する工程。
導電性薄膜2が形成された基板1上に感光性レジストを塗布後、各電極パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、各電極パターンのレジスト層4を形成する。工程S1では、図1(1−a)、図1(1−b)のようにレジスト層4bが、基板1上に形成される。
なお、本発明において、基板1は特に材料を限定されない。例えばガラスやフレキシブルな樹脂製シートを用いることができる。導電性薄膜2は、例えば、蒸着やスパッタリング、CVD法等の方法を用いて、基板1上に導電性薄膜としてAl、Cr、Ta、Mo、Agなどの低抵抗金属材料やこれら金属の積層構造、また、金属薄膜の耐熱性向上、支持基板への密着性向上、欠陥防止のために他の材料のドーピングしたものを用いることができる。また、ITO、IZO、Sno、Znoなどの透明電極を用いることもできる。
S2・・・・・基板1をエッチングする工程。
図1(2−a)、図1(2−b)に示すように、基板1をエッチングすることにより、導電性薄膜2上のレジスト層4が無い部分を除去する。
S3・・・・・ゲート電極2b上のレジスト層4を除去する工程。
図1(3−a)、図1(3−b)に示すように、ゲート電極2b上のレジスト層4bを除去する。
S4・・・・・ゲート絶縁層7を形成する工程。
図1(4−a)、図1(4−b)に示すように、ゲート絶縁層7を形成する。
ゲート絶縁層7は、例えば、蒸着、スパッタリング、CVD法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスで形成する。ゲート絶縁層7としては、特に材料を限定されず種々の絶縁膜を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンなどの比誘電率の高い無機酸化物皮膜が用いられる。または、塗布材料としてPVP、ポリイミド、ポリシロキサン系などの有機材料や塗布可能な無機膜材料を用いることもできる。
S5・・・・・ソース電極8、ドレイン電極9を形成する工程。
図1(6−a)、図1(6−b)に示すように、ソース電極8、ドレイン電極9を形成する。ソース電極8、ドレイン電極9は、例えば、金をスパッタにより成膜することにより形成する。なお、ここでは金を例示したが、特に金に材料を限定されることなく、白金、銀、銅、アルミニウム等種々の材料を用いることができる。または、塗布材料としてPEDOT/PSSに代表される導電性有機材料、金属ナノ粒子を分散させた塗布材料を用いることもできる。
S6・・・・・ソース電極8、ドレイン電極9の間に半導体層10を成膜する工程。
図1(7−a)、図1(7−b)に示すように、基板1上に形成されたソース電極8、ドレイン電極9と電気的に接合し、かつゲート絶縁層7bに接するように半導体層10を成膜する。
半導体材料は溶媒に溶解または分散させるものであれば、その材料については問わない。有機高分子材料はもちろんのこと、最近、低分子材料であるペンタセンも、加熱した溶媒に溶かし塗布されているが、それらについても同様であり、半導体材料は低分子材料でも高分子材料でも構わない。
また、有機無機ハイブリッド材料であっても、無機材料であっても、溶媒と同時に塗布し、溶媒を乾燥させることで半導体層を成膜するものであれば本発明を適用することができる。
塗布できる材料の代表例としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)などのポリチオフェン類、チオフェンの6量体を基本に側鎖を有するオリゴチオフェンなどの芳香族オリゴマー類、ペンタセンに置換基を持たせ溶解性を高めたペンタセン類、フルオレンとバイチオフェンとの共重合体(F8T2)、ポリチエニレンビニレンまたはフタロシアニンなどのいかなる可溶性の半導体でも使用できる。特にペンタセン類には6、13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセン、6、13−ビストリエチルシリルエチニルペンタセンを含むシリルエチニルペンタセンがある。これは特許文献として、米国特許6690029号明細書、非特許文献として、J.AM.CHEM.誌 2005年 127号 4986頁−4987頁に開示されている半導体材料であり、ペンタセンに2つの置換基を設け、分子間の相互作用を制御し、高移動度を実現している材料である。その構造式は以下のとおりであり、また、ベンゼン環の一部がチオフェン環などに置き換えられていても良い。
Figure 2007134629
例えば、半導体層10を形成する前処理として、OTS処理と呼ばれるオクタデシルトリクロロシランをトルエンに0.1mol/L溶かした溶液に浸漬する処理を行った後、半導体材料として、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)をジクロロベンゼンに0.3質量%の濃度で溶かした溶液を用いて、スピンコート法によりソース電極8、ドレイン電極9の間に塗布して半導体層10を形成する。半導体層10の成膜方法はスピンコート法だけでなく、インクジェット法、マイクロコンタクトプリント法を用いることも可能であり、成膜方法を問わない。
次に、S7で形成した半導体層10の溶媒を蒸発させるために気体を吹き付ける工程S8について、図2を用いて説明する。
図2は図1(7−a)、図1(7−b)で説明したソース電極8、ドレイン電極9の間に形成された半導体層10を乾燥する工程を説明する説明図である。図1と同じ構成要素には同番号を付し、説明を省略する。図2(a)、(c)は正面図、図2(b)、(d)は図2(a)、(c)を断面X−X’で切断した、断面図である。
図2のL1、L2で示す矢印は基板1上に形成されたTFTのソース電極8、ドレイン電極9間を流れる電流の方向を示している。ソース電極8、ドレイン電極9間を矢印L1、L2のいずれの方向にも電流を流すことができる。
図2のD1、D2で示す矢印は、基板1上に形成された半導体層10の溶媒を蒸発させるため、図示せぬエアーブロア31から気体を吹き付ける方向を示している。また、θ1、θ2は基板1に対して気体を吹き付ける角度である。エアーブロア31は本発明の気体吹き付け装置である。
気体を吹き付ける方向D1、D2は、図2の例ではソース電極8、ドレイン電極9間を流れる電流の方向L1、L2とそれぞれ同一方向になっている。
後に実施例2で説明するように、半導体材料として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を用いて半導体層10を形成した有機TFTの移動度とON/OFF電流比は、気体を吹き付ける方向D1、D2が電流の方向L1、L2とそれぞれ同一方向のとき、最も優れている。また、実施例4で説明するように、半導体材料として、6,13ビストリイロプロピルシリルエチニルペンタセンを用いて半導体層10を形成した有機TFTの場合も、同様の結果が得られた。
このように実施例2、実施例4では、L1、L2の方向が望ましい結果が得られたが、L1、L2の方向に限定されるものではなく、半導体材料によって最も良い電気的特性が得られる方向に、気体を吹き付けることが望ましい。また、気体を吹き付ける方向に関係なく、半導体層10の溶媒を蒸発させる効果は得られる。例えば、D1、D2に直交する方向に気体を吹き付けても良い。
以降図2の説明では、気体を吹き付ける方向D1、D2を、それぞれL1、L2方向と呼ぶ。また、以降、D1、D2に直交する方向を、L1、L2と直交する方向と呼ぶ。
基板1に対して気体を吹き付ける角度はθ1、θ2は90°、すなわち基板1に対し真上からでも良いし、基板1に対してθ1、θ2は0°すなわち平行でも溶媒を蒸発させる効果は得られるが、θ1、θ2が約30°のとき溶媒が蒸発するまでの時間を最も短縮できる。θ1、θ2は少なくとも45°以下で、より好ましくは約30°であることが望ましい。
乾燥に用いる気体の種類は窒素または不活性ガスが好ましい。また、気体の温度は、室温から200℃程度である。気体の温度は使用する溶媒、半導体材料の耐熱温度に依存する。揮発性の高い溶媒を用いる場合は低く、沸点の高い揮発性の低い溶媒を用いる場合には高くなる。
また、気体の温度は半導体材料の分解温度より低い温度でなければならない。他の部材への影響がなければ、半導体材料の軟化点を越える温度でもよい。気体の吹き出し口の形状は特に問わないが、ライン状に気体を吹き出せるものが好ましい。
気体の単位時間当たりの流量は揮発させる溶媒によるが、0.5L/(min・mm2)以上が好ましい。気体の送る速度をはじめはやや弱くしておき、乾燥が進むにつれ強めても良い。
気体を吹き付ける方法は、ライン状に気体を吹き出す部材が基板1に対して平行に動き全体に気体を送ってもよいし、ライン状に気体を吹き出す部材を固定し、基板を保持したテーブルが移動してもよいし、双方が移動していても良い。また、双方が固定されていても良い。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、基板1上に30×20の計600の有機TFTを形成する工程において、半導体層10の溶媒を蒸発させるために気体を吹き付ける工程S8の条件を変えて効果を確認した。
〔有機TFTの作製〕
図1で説明したS1〜S7の工程で作製したので、各工程の番号を付して順に説明し、共通する点は説明を省略する。
S1:基板1は、導電性薄膜2としてAlNd(アルミネオジウム)膜を表面に125nm形成した150mm×170mmの大きさのガラス基板を用いた。この基板1にレジストを約1μmの厚みで形成し、露光、現像を行う。
S2:ALNd膜のエッチングを行う。
S3:ゲート電極2b上のレジスト層4を除去する。
S4:ゲート絶縁層7として、プラズマCVD法でTEOS(テトラエトキシシラン)ガスを用いてSiO2膜を基板1上に500nm形成する。
S5:洗浄後、ゲート絶縁層7上にポジレジスト薄膜を約1μm程度形成し、ソース電極8、ドレイン電極9の形状を反転させたパターンを持つフォトマスクを用いて露光する。次に、現像を行い、ソース電極8、ドレイン電極9を設けたい箇所のみレジストを除去し、電極を設けたくない箇所にはレジストを残す。Auをスパッタにより約50nm成膜し、ソース電極8、ドレイン電極9を形成し、レジストを除去する。
S6:半導体層10を形成する前処理として、オクタデシルトリクロロシランをトルエンに0.1mol/L溶かした溶液に浸漬するOTS(オクタデシルトリクロロシラン)処理を行った後、半導体材料として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)をジクロロベンゼンに0.3質量%の濃度で溶かした溶液を用いて、スピンコートによりソース電極8、ドレイン電極9の間に塗布して半導体層10を成膜する。ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の構造式を下記に示す。
Figure 2007134629
このようにして作製した基板1上の半導体層10を乾燥する工程S8の条件を変えて実験を行った。
実施例1の工程S8の条件について説明する。
基板1を図示せぬテーブルに載せ、図2には図示せぬエアーブロア31から矢印D1の方向に気体を吹き付けて乾燥を行った。エアーブロア31は加熱装置を備え、気体を所定の温度に加熱して吹き付けることができる。気体の温度は25℃、または80℃に設定した。
エアーブロア31は固定し、テーブルを移動させることにより全体に風を送り、溶媒を蒸発させた。前述のように、矢印D1の方向はL1の方向と同一方向なので、以降L1方向と呼ぶ。
エアーブロア31から吹き付ける気体:窒素ガス
気体の流量:2.0L/(min.・mm2
気体の温度:25℃、または80℃
テーブル温度:25℃、または80℃
テーブルの移動速度:約2m/分
気体の吹き付け方向:L1方向(図2に図示)
気体の吹き付け角θ1:30°
〔実験結果〕
実験結果を表1に示す。本実験では乾燥条件を変えて作製したガラス基板上の有機TFT素子600個のうち、24個の有機TFT素子をランダムに選び、それぞれについて移動度とON/OFF電流比(TFTがON時のソースードレイン間の電流値/TFTがOFF時のソースードレイン間の電流値)を評価した。
Figure 2007134629
比較例1、2は気体の吹き付けによる効果を確認するため、実施例と同じ基板1を気体の吹き付けを行わずに乾燥させた実験例である。比較例1ではテーブルの温度を25℃、比較例2ではテーブルの温度を80℃に設定し、乾燥させている。測定は乾燥後、約24時間経ってから行った。また、比較例3は、実施例と同じ基板1を真空乾燥を10時間行って乾燥させた実験例である。
実施例1−1、1−2、1−3は、効果を確認するため吹き付ける気体の温度とテーブルの温度を変えている。
実施例1−1は気体の温度25℃、テーブルの温度25℃に設定している。比較例1の気体の吹き付けを行わずにテーブルの温度25℃で乾燥した場合と比べて、実施例1−1で制作した有機TFTは移動度、抵抗比ともに優れ、そのばらつきも少ないことが確認できた。
実施例1−2は気体の温度25℃、テーブルの温度80℃に設定している。実施例1−1より移動度、抵抗比ともに優れており、テーブルの温度を加熱する効果が確認できた。また、比較例2の気体の吹き付けを行わずにテーブルの温度80℃で乾燥した場合と比べて、実施例1−2で制作した有機TFTは移動度、抵抗比ともに優れ、そのばらつきも少ないことが確認できた。
実験例1−3では気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定している。実施例1−2より移動度、抵抗比ともに優れており、気体を加熱する効果が確認できた。また、比較例3の真空乾燥を10時間行って制作した有機TFTの移動度、抵抗比に近い優れた性能を有することが確認できた。
[実施例2]
以下に、本発明の効果を確認するために行った実施例2について説明する。
本実施例では、実施例1と同じ基板1に、S1〜S6の工程は実施例1と同じ工程で作製した。S7の工程では、実施例1と同じ半導体材料を、インクジェット法によりソース電極8、ドレイン電極9の間に塗布して半導体層10を成膜した。
本実施例では、半導体層10の溶媒を蒸発させるために気体を吹き付ける工程S8の気体を吹き付ける方向と吹き付け角θ1を変えて効果を確認した。
〔実験条件2〕
エアーブロア31から吹き付けられる気体:有り(窒素ガス)
気体の流量:2.0L/(min.・mm2
気体の温度:80℃
テーブル温度:80℃
テーブルの移動速度:約2m/分
気体の吹き付け方向:L1方向(図2に図示)、L1と直交する方向
気体の吹き付け角θ1:30°
〔実験結果〕
実験結果を表2に示す。本実験では気体の吹き付け方向を変えて作製した各ガラス基板上の有機TFT素子600個のうち、それぞれ24個の有機TFT素子をランダムに選び、それぞれについて移動度とONOFF電流比を評価した。
Figure 2007134629
実施例2−1では気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定し、L1方向に気体を吹き付けている。気体の吹き付け角θ1は約30°である。
実施例2−2では気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定し、L1方向に気体を吹き付けている。気体の吹き付け角θ1は約45°である。
気体の吹き付け角θ1を約45°にした実施例2−2では、約30°にした実施例2−1より移動度、抵抗比ともに多少劣る結果を得た。
実施例2−3では気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定し、L1と直交する方向に気体を吹き付けている。L1方向に気体を吹き付けた実施例2−1、実施例2−2の何れも実施例2−3より移動度、抵抗比ともに優れており、L1方向すなわち2つの電極間を電流が流れる方向に気体を吹き付ける効果が確認できた。
このように、2つの電極間を電流が流れる方向と平行方向に気体を吹き付け、順次乾燥させた実施例2−1、実施例2−2は、2つの電極間を電流が流れる方向と直交する方向に気体を吹き付けた実施例2−3に比べて、高い移動度が得られた。これは、ソース電極8、ドレイン電極9の間に塗布したポリ(3−ヘキシルチオフェン)の分子配列が、電流が流れる方向に気体を吹き付けることにより、電流が流れやすい方向に分子を規則正しく配列させ、大きな面積で高配向化されたものと考えられる。
また、実施例2−2より実施例2−1の方が高い移動度が得られたのは、吹き付け角θ1を30°にして気体を吹き付けた実施例2−1の方が、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の溶媒を早く乾燥させたためと考えられる。
図3は、今回半導体層10に用いたポリ(3−ヘキシルチオフェン)の分子構造を説明するための説明図である。
図3(a)はポリ(3−ヘキシルチオフェン)の分子構造を示す図である。この高分子はπ共役電子を持ち、キャリアの伝導を担うチオフェン環が並んだ部分と溶媒への溶解性を高めるために付与した長いアルキル基を有する。
図3(b)は理想的な分子配列を説明する図である。チオフェン環部分を平板、アルキル基部を細い円柱で簡易的に表している。乾燥工程後、図3(b)のような分子配列になることが望ましい。
図3(c)は図3(b)のチオフェン環部分だけを図示した図であり、理想的な分子配列を図示している。実施例2においては、図3(c)のように電流が流れやすい方向にチオフェン環部分が規則正しく配列されたものと考えられる。
図3(d)は分子配列が悪い例であり、チオフェン環部分の方向がばらばらになっている。このような状態では配列した分子領域間に境界が多くなり、キャリアの移動を阻害してしまっていると考えられる。
[実施例3]
以下に、本発明の効果を確認するために行った実施例3について説明する。
図4は実施例3の半導体層10を成膜、乾燥する工程を説明する説明図である。
本実施例では、あらかじめ前工程において、ゲート電極2b、ゲート絶縁膜7、ソース電極8、ドレイン電極9を形成したフィルム基板30を、ロールのまま工程を流すロールツウロールにて有機TFT素子を作製している。フィルム基板30の材料は、ガスバリア層を有したポリカーボネートである。フィルム基板30は図示せぬローラにより図4の矢印L3方向に搬送される。
〔有機TFT素子の作製〕
フィルム基板30は洗浄装置によりアルカリ性洗剤にて超音波洗浄し、ついで純水中での超音波洗浄により洗剤を除き、再びすすぎを行った後、温水からの引き上げて、除電ブロア後、図4には図示せぬエアーブロア31により150℃に加熱された温風を吹き付けて乾燥させ、水分を取り除いた。
毛細管現象を利用したスリットコートにより厚み約1μmのレジスト薄膜を形成後、再びエアーブロア31により150℃に加熱された温風を送り乾燥させ、ゲート電極2bと、ゲート電極2bに接続する配線部であるゲートバスのパターンに対応したフォトマスクを介して露光を行った。
露光後、現像装置にて現像を行い、ポストベーク後、Al電極のエッチング、レジスト剥離を行い、パターンを形成した。
次に、アニロックスロールからインキをフレキシブル凸版に転写し印刷を行うフレキソ印刷機にてポリイミドインキを基板上に転写し、ホットプレート上で図4には図示せぬエアーブロア31にて乾燥させた後、焼成し、ゲート絶縁膜7としてポリイミド薄膜を形成した。
ソース電極8とドレイン電極9はPEDOT/PSS(ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレン・スルフォン酸))を材料として、また、ソース電極8に接続する配線部であるソースバスは銀ペーストを材料として、インクジェット32を用いて形成した。
半導体材料は、実施例1と同じ材料を用い、インクジェット32を用いて塗布し、半導体層10を成膜した。
本実施例では、インクジェット32を用いて半導体層10を成膜後、半導体層10の溶媒を蒸発させるため、エアーブロア31aにより気体を吹き付けた。気体を吹き付ける方向は、図4の矢印D3の方向と矢印D4の方向の2通りで実験し、効果を確認した。(以下、D3方向、D4方向と記す。)矢印D3の方向はフィルム基板30上に形成された図示せぬ有機TFT素子のソース電極とドレイン電極間を電流が流れる方向(矢印L3の方向)と同一方向である。
〔実験条件3〕
エアーブロア31aから吹き付けられる気体:有り(窒素ガス)
気体の流量:2.0L/(min.・mm2
気体の温度:80℃
テーブル温度:80℃
テーブルの移動速度:約2m/分
気体の吹き付け方向:D3方向、D4方向(図4に図示)
気体の吹き付け角θ1:30°
最後に、図4に図示したフレキソ版を巻いた版胴33を用いたフレキソ印刷によりアクリル系の絶縁性保護薄膜を形成し、エアーブロア31bにより気体を吹き付け乾燥、その後、焼成することでアレイ基板を完成させた。
〔実験結果〕
実験結果を表3に示す。本実験では気体の吹き付け方向を変えて作製したフィルム基板30上の有機TFT素子のうち、24個の有機TFT素子をランダムに選び、それぞれについて移動度とONOFF電流比を評価した。
Figure 2007134629
実施例3−1では、気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定し、D3方向に気体を吹き付けている。有機TFT素子はフィルム基板30上に、ソース電極8、ドレイン電極9間を電流が流れる方向がD3方向と同一方向になるように配置されている。
実施例3−2では、気体の温度80℃、テーブルの温度80℃に設定し、D3方向と直交するD4方向に気体を吹き付けている。
実施例3−1、実施例3−2で作製した有機TFT素子は、同等の乾燥工程で乾燥した実施例2−1、実施例2−2で作製した有機TFT素子と、同等の移動度、抵抗比が得られることが確認できた。
D3方向に気体を吹き付けた実施例3−1は、実施例3−2より移動度、抵抗比ともに優れている。このように、フィルム基板30を用いた実施例3でも、実施例同様に2つの電極間を電流が流れる方向と平行方向に気体を吹き付けることによる効果が確認できた。
なお、本実施例ではフィルム基板30上に形成された有機TFT素子のソース電極とドレイン電極間を電流が流れる方向は全て矢印D3の方向に配置する例を説明したが、本発明を実施する上でこのような配置に限定されるものではない。基板配置上の都合で、一部の有機TFT素子が、例えば矢印D3の方向と異なる方向を向いていても、乾燥工程後のそれらの有機TFT素子の電気的特性が、D3方向に気体を吹き付けた実施例3−1で制作した有機TFT素子より若干劣るだけで、用途により利用することができる。
[実施例4]
以下に、本発明の効果を確認するために行った実施例4について説明する。
図5は実施例4で作製したTFTの構成とその作製手順を説明する説明図である。
図5は図1(7−a)、図1(7−b)で説明したソース電極8、ドレイン電極9の間に形成された半導体層10を乾燥する工程を説明する説明図である。図1と同じ構成要素には同番号を付し、説明を省略する。図5(1−a)〜(4−a)は正面図、図5(1−b)〜(4−b)は図5(1−a)〜(4−a)を断面A−A’で切断した、断面図である。
本実施例では、あらかじめ前工程において、ゲート電極2、ゲート絶縁膜7形成したガラス基板を用いて有機TFT素子を作製している。ゲート電極にはAlNd(アルミネオジウム)膜を表面に125nm、ゲート絶縁膜にはプラズマCVD法でTEOS(テトラエトキシシラン)ガスを用いてSiO2膜を基板1上に500nm形成する。
基板1上に半導体材料としてシリルエチニルペンタセン類の6,13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセンをトルエン溶媒に溶解させたものをディスペンサを用いて滴下し、図示しないエアーブロアにより乾燥させ乾燥方向を図中の矢印D5の方向とした。矢印D5の方向は、ソース電極8とドレイン電極9の間を電流が流れる方向と平行方向である。また、比較のためにエアーブロアによる乾燥のないものを比較例4として作製、評価した。
ここで用いた6,13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセンは、例えば、特許文献として、米国特許6690029号明細書、非特許文献として、J.AM.CHEM.誌 2005年 127号 4986頁−4987頁に開示されている半導体材料であり、ペンタセンに2つの置換基を設け、分子間の相互作用を制御し、高移動度を実現している。6,13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセンの構造式を下記に示す。
Figure 2007134629
〔実験条件4〕
エアーブロアから吹き付ける気体:窒素ガス
気体の流量:2.0L/(min.・mm2
気体の温度:80℃
テーブル温度:80℃
テーブルの移動速度:約2m/分
気体の吹き付け方向:D5方向(図5に図示)
気体の吹き付け角θ1:30°
〔実験結果〕
実験結果を表4に示す。本実験では気体の吹き付けの有無を変えて作製したガラス基板30上の有機TFT素子の移動度とONOFF電流比を評価した。
Figure 2007134629
実施例4−1では、気体の温度25℃、テーブルの温度80℃に設定し、気体を吹き付けている。半導体層形成後、ソース電極8、ドレイン電極9は風を送り、乾燥方向と同一方向になるように配置されている。
比較例4では、気体を吹き付けることなく、80℃のテーブル上で乾燥させている。
D5方向に気体を吹き付けた実施例4−1は、比較例4より移動度が優れている。また、ONOFF電流比については、実施例4−1、比較例4は同等の性能である。このように、6,13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセンを含有する半導体層10を成膜した後、ソース電極8、ドレイン電極9を形成する実施例4−1でも、他の実施例同様に2つの電極間を電流が流れる方向と平行方向に気体を吹き付けることによる効果が確認できた。
実施例4−1の移動度が高くなったのは、実施例2と同様に、気体を吹き付けることにより、乾燥時に結晶化の方向性を持たせることができたためと考えられる。一方、気体を吹き付けなかった比較例4は、ディスペンサから液滴が落下し、基板上で広がり周囲から順に乾燥したことにより結晶化の方向がランダムまたは同心円状となったためと考えられる。
[実施例5]
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例5について説明する。
本実施例は半導体材料にオリゴチオフェンを用いたことを除いて、図5を用いて説明した実施例4で作製したTFTの構成とその作製手順はほぼ同じである。
今回用いたオリゴチオフェンの構造式を下記に示す。チオフェンオリゴマー類はベンゼン環がおおよそ15〜20個以内であり、ベンゼン環がそれ以上のポリチオフェン類と区別している。
Figure 2007134629
以下、実施例4と同じ工程については説明を省略し、異なる点を図5を用いて説明する。
実施例と同じ手順で作製した基板1上に半導体材料として前記オリゴチオフェンをシクロヘキサンとTHFを質量比で8:2となるように混合したものを溶媒にして、溶液をディスペンサを用いて滴下し、エアーブロアにより乾燥させ、乾燥方向を図5の矢印D5の方向とした。矢印D5の方向は、ソース電極8とドレイン電極9の間を電流が流れる方向と平行方向である。
また、比較のためにエアーブロアによる乾燥のないものを比較例5として作製、評価した。
〔実験条件5〕
エアーブロアから吹き付ける気体:窒素ガス
気体の流量:2.0L/(min.・mm2
気体の温度:80℃
テーブル温度:80℃
テーブルの移動速度:約2m/分
気体の吹き付け方向:D5方向(図5に図示)
気体の吹き付け角θ1:30°
〔実験結果〕
実験結果を表5に示す。本実験では気体の吹き付けの有無を変えて作製したガラス基板30上の有機TFT素子の移動度とONOFF電流比を評価した。
Figure 2007134629
実施例5では、気体の温度25℃、テーブルの温度80℃に設定し、気体を吹き付けている。半導体層形成後、風を送り、ソース電極8、ドレイン電極9は乾燥方向と同一方向になるように配置されている。
比較例5では、気体を吹き付けることなく、80℃のテーブル上で乾燥させている。
D5方向に気体を吹き付けた実施例5は、比較例5より移動度が優れている。また、ONOFF電流比については、実施例5、比較例5は同等の性能である。このように、チオフェンオリゴマー類のオリゴチオフェンを含有する半導体層10を成膜した後、ソース電極8、ドレイン電極9を形成する実施例5でも、他の実施例同様に2つの電極間を電流が流れる方向と平行方向に気体を吹き付けることによる効果が確認できた。
以上、このように塗布した半導体層に気体を吹き付けることにより、乾燥時間を短縮し、乾燥むらを低減するので、半導体層を均一に、低コストで、成膜する半導体の成膜方法、および半導体層を成膜する製造装置を提供することができる。
なお、本発明の実施例における半導体材料では、ソース電極8とドレイン電極9間を電流が流れる方向と平行方向に気体を吹き付けることにより、有機TFTの電気的特性を向上させることができたが、気体を吹き付ける方向は、半導体材料によって最も有機TFTの電気的特性を向上させる方向にすれば良い。
本発明に係わる薄膜トランジスタ(以下TFTとする)の製造方法を説明する説明図である。 本実施形態における半導体層10を乾燥する工程を説明する説明図である。 ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の分子構造を説明するための説明図である。 実施例3の半導体層10を乾燥する工程を説明する説明図である。 実施例4で作製したTFTの構成とその作製手順を説明する説明図である。
符号の説明
1 基板
2b ゲート電極
4 レジスト層
7 ゲート絶縁層
8 ソース電極
9 ドレイン電極
10 半導体層

Claims (10)

  1. 基板上に半導体層を成膜する成膜方法において、
    前記基板上に溶媒を含む半導体材料を塗布した後、前記基板上の塗布面に気体を吹き付ける工程を有する、
    ことを特徴とする半導体層の成膜方法。
  2. 前記気体の温度が、前記溶媒の蒸発温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体層の成膜方法。
  3. 予め定められた温度を有するテーブル上に載置された前記基板に、気体を吹き付けることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体層の成膜方法。
  4. 前記基板上に少なくともソース電極とドレイン電極が設けられ、
    前記気体を吹き付ける工程では、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に流れる電流の方向と平行方向に気体を吹き付けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体層の成膜方法。
  5. 前記気体を吹き付ける工程では、
    前記基板の基板面に対して気体を吹き付ける角度が45°以下である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の半導体層の成膜方法。
  6. 前記半導体層に、チオフェンオリゴマー類、ポリチオフェン類、またはシリルエチニルペンタセン類のうちの少なくとも1つが含有されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体層の成膜方法。
  7. 前記基板上に少なくともソース電極、ドレイン電極から構成される複数の半導体素子を形成する場合において、
    前記基板上に形成された前記半導体素子の前記ソース電極、前記ドレイン電極は、前記ソース電極と前記ドレイン電極の間を電流が流れる方向が、同一方向になるように配置されている、
    ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の半導体層の成膜方法。
  8. 基板上に半導体層を成膜する製造装置において、
    基板の表面に溶媒を含む半導体材料を塗布する塗布装置と、
    前記基板上の前記溶媒を含む半導体材料の塗布面に対して、気体を吹き付ける気体吹き付け装置と、
    を有することを特徴とする半導体層を成膜する製造装置。
  9. 前記気体吹き付け装置は、
    前記溶媒を蒸発させるために必要な温度に気体を加熱する加熱装置を備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体層を成膜する製造装置。
  10. 前記半導体層を成膜する製造装置は、
    予め定められた温度に設定可能な、前記基板を載置するテーブルを有し、
    前記気体吹き付け装置は、前記テーブルに載置された前記基板の前記溶媒を含む半導体材料の塗布面に対して気体を吹き付ける、
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体層を成膜する製造装置。
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