JP2009200484A - 縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を基板上に積層することを含む新規有機半導体薄膜の製造方法、及び液状分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】以下のステップ:
有機半導体材料である縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を液状媒体に分散して分散体を形成し;
得られた分散体を基板上にトランスファした後、前記液状媒体を、80℃以下の温度で、前記縮合多環芳香族化合物の溶液の形成を経由せずに、前記分散体から除去して、前記基板上に、前記縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を積層する;
を含む、基板上への有機半導体薄膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
したがって、前記した従来の薄膜形成法が有する問題点を解決し、すなわち、常温ウエットプロセスによる、高いキャリア移動度を示す均一性の高い有機半導体薄膜の製造方法を提供する必要性が未だ在る。
また、本発明により、酸化に対し不安定な溶液を経由しないことによる雰囲気制御が容易な有機半導体薄膜製造方法が提供される。
具体的には、前記課題は、以下の手段[1]〜[18]により解決される。
有機半導体材料である縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を液状媒体に分散して分散体を形成し;
得られた分散体を基板上にトランスファした後、前記液状媒体を、80℃以下の温度で、前記縮合多環芳香族化合物の溶液の形成を経由せずに、前記分散体から除去して、前記基板上に、前記縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を積層する;
を含む、基板上への有機半導体薄膜の製造方法。
さらに、本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜は、電界効果トランジスタとして高いキャリア移動度とともに良好なスイッチング性を発現し、アレイにおいては素子間ばらつきが少なく性能均一性に優れており、有機半導体素子として優れた電子特性を有している。
本発明によれば、有機半導体薄膜は、有機半導体のシート状結晶を液状媒体に分散させた分散体から、ウェットプロセスによって製造される。
有機半導体結晶の製造方法としては、有機半導体材料が溶解した溶液を冷却することにより、前記溶液から有機半導体材料の微粒子を析出させる方法や、前記溶液を有機半導体材料の難溶性溶媒と混合することにより、前記溶液から有機半導体材料の微粒子を析出させる方法等が挙げられる。溶液の冷却は、容器等に入れた状態で行ってもよいが、溶液の噴霧によってもよい。噴霧により形成された液滴は急冷されるので、液滴内に有機半導体材料の微粒子が析出する。また、噴霧により形成された液滴を加熱乾燥して、有機半導体材料の微粒子を得ることもできる。さらに、本発明においては、有機半導体材料の蒸気を用い気相中又は気相固体界面で成長させた有機半導体材料の結晶を用いることもできる。
分散体の調製としては、例えば、可溶性溶媒に溶解した有機半導体溶液から有機半導体結晶を形成した後、有機半導体結晶を沈降、浮遊させて、可溶性溶媒を取り除き、有機半導体結晶の濃縮又は有機半導体結晶の分取を行い、次いで、分散媒を添加してこれを再分散させて、本発明の有機半導体結晶が分散された分散液を作製することが挙げられる。また、気相成長、粉砕などにより得た有機半導体結晶を用いる場合も、有機半導体結晶成分に分散媒を添加して分散液を調製することができる。ここで添加する分散媒の組成は、非可溶性溶媒、可溶性溶媒、界面活性剤などの添加物を適宜調整して行なうことが好ましい。また、有機半導体結晶粒子の分散体中の分散安定化を図るため、高濃度の有機半導体結晶と少量の分散媒で混合し、機械的な分散処理を施したミルベースを作製した後、分散媒をさらに添加して分散液を調製調整することもできる。
本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜を有する半導体素子がトランジスタである場合には、その素子構造は、例えば、基板/ゲート電極(シリコン基板)/絶縁体層(誘電体層、ゲート絶縁膜、シリコン酸化膜)/ソース電極及びドレイン電極/有機半導体層という構造;基板/有機半導体層/ソース電極及びドレイン電極/絶縁体層(誘電体層、ゲート絶縁膜、シリコン熱酸化膜)/ゲート電極(シリコン基板)という構造;基板/ソース電極(又はドレイン電極)/半導体層+絶縁体層(誘電体層)+ゲート電極/ドレイン電極(又はソース電極)という構造などが挙げられる。ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極は、それぞれ、複数設けてもよい。また、複数の半導体層を同一平面内に設けてもよいし、積層して設けてもよい。
また、本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜を有する半導体素子は、ICカード、スマートカード、及び電子タグにおける演算素子、記憶素子としても利用することができる。その場合、これらが接触型であっても非接触型であっても、問題なく適用可能である。このようなICカード、スマートカード、及び電子タグは、メモリ、パルスジェネレータ、信号分割器、コントローラ、キャパシタ等で構成されており、さらにアンテナ,バッテリを備えていてもよい。
なお、本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜を有する半導体素子においては、有機半導体薄膜の上に、保護層、配線、別素子等をさらに積層することもできる。
本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜は、シート状結晶から構成され、高いキャリア移動度を有するなど、半導体特性に優れている。このため、本発明に係る方法により得られる有機半導体素子は、高性能となり好ましい。本発明に係る有機半導体薄膜の製造方法により製造された有機半導体薄膜を用いることにより、エレクトロニクス、フォトニクス、バイオエレクトロニクス等の分野において有益な半導体素子を製造することができる。このような半導体素子の例としては、ダイオード、トランジスタ、薄膜トランジスタ、メモリ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、発光ダイオード、発光トランジスタ、センサ等が挙げられる。
実施例1:液体媒体(イソプロパノール97%以上トリクロロベンゼン1%以下)中ペンタセンの2重量%の分散体
ペンタセン粉末(東京化成工業製)30mgと1,2,4−トリクロロベンゼン30mlの混合物を、窒素雰囲気下で180℃に加熱して、赤紫色の均一溶液を調製した。この溶液を室温のイソプロパノール270mlに滴下してペンタセン結晶粒子を作製した。結晶粒子を放置して沈降させた後デカンテーションで濃縮、溶媒置換して2wt%の分散体(イソプロパノール97%以上トリクロロベンゼン1%以下)とした。なお、これら工程は窒素雰囲気中(酸素濃度50ppm以下)で行った。得られた結晶粒子は、光散乱により平均粒径1.3μm(長径)であり、別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面のペンタセン粒子の原子間力顕微鏡により、厚さ25nmの角板シート状粒子であることがわかった。
実施例1と同様に調製した均一溶液を徐冷してペンタセンの結晶を析出させた。室温冷却後、ペンタセン結晶はトリクロロベンゼン液の上面に浮遊した状態となり、トリクロロベンゼンを除去してイソプロパノールに置換した分散体(イソプロパノール95%、残存トリクロロベンゼン5%の混合溶媒中のペンタセン1重量%分散体)を調整した。得られた分散体(室温)を、実施例1と同様の電極パターンが表面に形成されたシリコン基板(室温)上に、室温で、展開(分散液をピペットで基板上に展開)した。その後、液体媒体又は可溶性溶媒(分散媒)を、室温で、蒸発させてペンタセン薄膜を形成した。基板上に形成したペンタセン薄膜は平均膜厚100nmであった。ペンタセン薄膜の表面を光学顕微鏡観察した結果、角板状ペンタセン粒子形状(平均径約35μm)が析出された構造であることが観察された。別途シリコン基板上に塗布した分散体を希釈後溶媒乾燥後光学顕微鏡観察した結果、平均粒径35μmからなるシート状結晶が部分的に析出しており、触診式膜厚計による表面ステップよりシート状結晶の厚さは約70nmであることが判明した。これより電極パターン形成基板上に塗布したペンタセン薄膜は、シート状結晶が1層ないし2層で形成されることが判明した。このシート状結晶が部分析出した基板表面を偏光顕微鏡観察した結果、シート状結晶は偏光子回転によって一斉に変化し、結晶ドメインは光学的に均一であり単結晶であることが判明した。
ソース及びドレイン電極パターンの上に作製したペンタセン薄膜を有するトランジスタを、シリコン基板をゲート電極として電界効果トランジスタの動作を測定したところ、飽和領域の電界効果キャリア移動度0.8cm2/v・s(20個のトランジスタの平均値)、on/off比6〜8桁、閾値電圧+2V(20個のトランジスタの平均値)であった。
実施例1と同様の方法で、ペンタセンのトリクロロベンゼン溶液(10ml)を160℃で調製後、200mlのイソプロパノールに攪拌しながら滴下してペンタセン結晶を析出させた。結晶粒子を放置して沈降させた後デカンテーションで濃縮、溶媒置換して1wt%の分散体(テトラリン98%以上トリクロロベンゼン1%以下)とした。得られた結晶粒子は光散乱により平均粒径85nm(長径)であり、別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面のペンタセン粒子の原子間力顕微鏡により厚さ約15nmの角板シート状結晶粒子であることが判明した。
ソース及びドレイン電極パターン上に形成したペンタセン薄膜トランジスタを、シリコン基板をゲート電極として電界効果トランジスタの動作を測定したところ、飽和領域の電界効果キャリア移動度0.16cm2/v・s(20個のトランジスタの平均値)、on/off比6桁、閾値電圧+5V(20個のトランジスタの平均値)であった。
実施例3において調製したペンタセン分散体を用い、ディスペンサにより電極パターンが形成されたシリコン基板(実施例1と同様)上の電極チャネルに、室温で、局所塗布して、ペンタセンの薄膜パターンを作製した。
ソース・ドレイン電極パターン上に形成したペンタセン薄膜トランジスタを、シリコン基板をゲート電極として電界効果トランジスタの動作を測定したところ、飽和領域の電界効果キャリア移動度0.18cm2/v・s(20個のトランジスタの平均値)、on/off比7桁から8桁、閾値電圧+3V(20個のトランジスタの平均値)であった。
4−ヘキシル−1,2−フタルアルデヒドと1,4−ジヒドロアントラセンのカップリングした2−ヘキシル−5,14−ペンタセンキノンを還元して、2−ヘキシルペンタセンを合成した。次いで、窒素雰囲気中2−ヘキシルペンタセン20mgをキシレン20mlに混合して120℃に加熱して均一溶液を調整した。該溶液を室温のジエチレングリコール−イソプロパノール混合液(体積比50%ジエチレングリコール)200mlに滴下して2−ヘキシルペンタセン結晶粒子を析出させた。これを静止放置後、沈降した2−ヘキシルペンタセン結晶粒子をデカンテーションして濃縮し、同様の操作により溶媒置換を行いジエチレングリコール−イソプロパノール(体積比50%−50%)の分散体(2−ヘキシルペンタセン固形分1重量%)を調製した。
別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面の2−ヘキシルペンタセン粒子の光学顕微鏡観察により平均粒径5〜20μmの板状結晶であり、偏光観察において偏光角回転時に粒子内のコントラスト反転が一斉に起こることから単一粒子は単結晶であることが判明した。また、触針式膜厚計により厚さ約55nmのシート状結晶であることが判明した。これにより、得られた膜厚150nmの薄膜は略3層のシート状結晶が積層された構造であることが判明した。
ソース及びドレイン電極パターン上に形成した2−ペンタセン薄膜トランジスタを、シリコン基板をゲート電極として電界効果トランジスタの動作を測定したところ、飽和領域の電界効果キャリア移動度0.35cm2/v・s(20個のトランジスタの平均値)、on/off比6桁、閾値電圧+5V(20個のトランジスタの平均値)であった。
SiO2薄膜で表面被覆したポリエチレンテレフタレート上にクロム(膜厚100nm)電極パターンを形成した後、アルミナ薄膜を300nmの厚さでスパッタリング成膜し、さらにこの表面にレジストパターン形成後、チタンを下敷きとして金薄膜を電子線蒸着により成膜(チタン3nm/金32nm)して、レジストのリフトオフでパターンを形成して、基板を作成した。ここで、クロム電極パターンは金電極のチャネル間の下面を埋める構造で形成した。該基板表面に実施例1で作製したペンタセン分散体を、室温で、大気中、ドクターブレード塗布した。その後、液体媒体又は可溶性溶媒(分散媒)を、室温で、乾燥除去して、平均膜厚250nmのペンタセン薄膜を得た。
4,5ジプロピル−1,2−フタルアルデヒドと1,4−ジヒドロアントラセンとをカップリングした2,3−ジプロピル−5,14−ペンタセンキノンを、還元して、2,3−ジプロピルペンタセンを合成した。次いで、窒素雰囲気中2,3−ジプロピルペンタセン20mgをキシレン20mlに混合し、100℃に加熱して均一溶液を調製した。該溶液を室温のイソプロパノール200mlに滴下して、2,3−ジプロピルペンタセン結晶粒子を析出させた。これを静止放置後、沈降した2,3−ジプロピルペンタセン結晶粒子をデカンテーションにより濃縮し、同様の操作により溶媒置換を行い、テトラデカン−イソプロパノール(体積比50%−50%)の分散体(2,3−ジプロピルペンタセン固形分1重量%)を調製した。
別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面の2,3−ジプロピルペンタセン粒子の光学顕微鏡観察により平均粒径約2μmの板状結晶であり、偏光観察において偏光角回転時に粒子内のコントラスト反転が一斉に起こることから、単一粒子は単結晶であることが判明した。また、触針式膜厚計により厚さ約25nmのシート状結晶であることが判明した。これにより、得られた膜厚100nmの薄膜は略4層のシート状結晶が積層された構造であることが判明した。
4,5ジメチル−1,2−フタルアルデヒドと1,4−ジヒドロアントラセンとをカップリングした2,3−ジメチル−5,14−ペンタセンキノンを還元して、2,3−ジメチルペンタセンを合成した。次いで、窒素雰囲気中2,3−ジメチルペンタセン20mgを2−メチルナフタレン20mlに混合して180℃に加熱して均一溶液を調製した。該溶液を室温のイソプロパノール200mlに滴下して、2,3−ジプロピルペンタセン結晶粒子を析出させた。これを静止放置後、沈降した2,3−ジメチルペンタセン結晶粒子をデカンテーションにより濃縮し、同様の操作により溶媒置換を行い、テトラデカン−シクロヘキサノール(体積比50%−50%)の分散体(2,3−ジメチルペンタセン固形分10重量%)を調製した。分散体の粘度を回転式粘度計で測定した結果、2.5ポイズであることがわかった。
さらに同様の操作によって2,3−ジメチルペンタセンの20重量%分散体(分散媒はテトラデカン50%−シクロヘキサノール)を調整した。この分散液の粘度は8ポイズであった。
また、同様にして20重量%の分散液で形成した20個の薄膜トランジスタの電界効果キャリア移動度の平均値は、0.66cm2/V・s、on/off比7桁、閾値電圧平均値は−9Vであった。
4−ヘキシル−1,2−フタルアルデヒドと1,4−ジヒドロナフタレンとをカップリングした2−へキシル−5,12−テトラセンキノンを還元して、2−ヘキシルテトラセンを合成した。次いで、窒素雰囲気中2−ヘキシルテトラセン20mgをトルエン20mlに混合して50℃に加熱して均一溶液を調製した。該溶液を室温のイソプロパノール200mlに滴下して、2−ヘキシルテトラセン結晶粒子を析出させた。これを静止放置後、沈降した2−ヘキシルテトラセン結晶粒子をデカンテーションにより濃縮し、同様の操作により溶媒置換を行い、テトラデカン−イソプロパノール(体積比66%−33%)の分散体(2−ヘキシルテトラセン固形分5重量%)を調製した。
別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面の2−ヘキシルテトラセン粒子は、光学顕微鏡観察により平均粒径約3μmの板状結晶であり、偏光観察において偏光角回転時に粒子内のコントラスト反転が一斉に起こることから、単一粒子は単結晶であることが判明した。また、触針式膜厚計により厚さ約45nmのシート状結晶であることが判明した。これにより、得られた膜厚250nmの薄膜は略5層のシート状結晶が積層された構造であることが判明した。
窒素雰囲気中、ジフェニルキンキチオフェン(5,5’’’’-Diphenyl-2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’-quinquethiophene)20mgを2−メチルナフタレン20mlに混合し、180℃に加熱して均一溶液を調製した。該溶液を室温のエタノール180mlに滴下して2,ジフェニルキンキチオフェン結晶粒子を析出させた。これを静止放置後、沈降したジフェニルキンキチオフェン結晶粒子をデカンテーションにより濃縮し、同様の操作により溶媒置換を行い、テトラデカン−イソプロパノール(体積比80%−20%)の分散体(ジフェニルキンキチオフェン固形分1重量%)を調製した。
別途シリコン基板上にイソプロパノールで希釈した分散体を塗布して作製した基板表面の2,3−ジプロピルペンタセン粒子は、光学顕微鏡観察により平均粒径約4μmの板状結晶であり、偏光観察において偏光角回転時に粒子内のコントラスト反転が一斉に起こることから単一粒子は単結晶であることが判明した。また、触針式膜厚計により厚さ約35nmのシート状結晶であることが判明した。これにより、得られた膜厚80nmの薄膜は略2層のシート状結晶が積層された構造であることが判明した。
ペンタセン粉末(東京化成工業製)30mgと2−メチルナフタレン50mlの混合物を、窒素雰囲気下で180℃に加熱して、赤紫色の均一溶液を調製した。この溶液を室温のイソプロパノール270mlに滴下してペンタセン結晶粒子を作製した。結晶粒子を放置して沈降させた後デカンテーションで濃縮、溶媒置換して2wt%の分散体(テトラデカン20%シクロヘキサノール80%)を調整した。得られた結晶粒子は光散乱により平均粒径0.8μm(長径)であり、別途分散体を塗布して作製した基板表面のペンタセン粒子の触針式膜厚計により厚さ約20nmのシート状粒子であることがわかった。
これら4種類の分散液の粘度を回転式粘度計で測定した結果、テトラデカン含量20%、40%、60%、80%の分散液の粘度は、それぞれ、35cps、28cps、22cps、13cpsであることがわかった。
実施例11と同様にしてペンタセン粉末30mgと2−メチルナフタレン50mlの混合物を、窒素雰囲気下で180℃に加熱して、赤紫色の均一溶液を調製後、室温のイソプロパノール270mlに滴下してペンタセン結晶粒子を作製した。この操作を繰り返し作製した3組の結晶粒子を沈降させた後、デカンテーションにより濃縮し、遠心分離して得たケーキをイソプロパノールで洗浄した後、減圧乾燥し、その後窒素中で溶媒置換して2wt%の分散体を調製した。ここで分散媒としてシクロヘキサノール30体積%に、それぞれ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピルをランスした分散媒を用いて分散液を調製した。
実施例12で調製した各分散液に、フッ素系界面活性剤(エフトップ351:エチレングリコール/プロピレングリコールアクリレート−パーフルオロアルキルアクリレート共重合体)を、各分散液の重量の0.05%で混合した分散液を調製した。
これらフッ素系界面活性剤を含有する分散液の表面張力を自動接触角計により評価した結果、分散媒にシクロヘキサノール30体積%にジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピルをそれぞれ混合した分散液の表面張力は、それぞれ、22mN/m、18mN/m、19mN/mであった。
ペンタセン粉末30mgと2−メチルナフタレン30mlの混合物を、窒素雰囲気下で180℃に加熱して、赤紫色の均一溶液を調製した。この溶液を冷却速度10℃/分及び1℃/分で冷却してペンタセン結晶を成長させた。室温冷却後200mlのイソプロパノール/テトラデカン(イソプロパノール50%)に混合放置した結果、ペンタセン結晶粒子は液の底部に沈降し、さらにデカンテーションによりペンタセン結晶を濃縮した分散液を調製した。ここで形成した分散液の固形分濃度を1%、分散媒組成をイソプロパノール49%、テトラデカン49%、メチルナフタレン2%に調製した。
実施例14で作製した3種類の粒径のペンタセン粒子を積層したチャネル長が異なる各薄膜トランジスタの線形領域(ゲート電圧―5V、ドレイン電圧−5V)の半導体薄膜抵抗値を、チャネル長に対してプロットし、チャネル長をゼロに外挿した点(2Rc)より界面抵抗Rcを求めた結果、冷却速度1℃/分、冷却速度10℃/分、溶液滴下で形成したペンタセン結晶を積層した各薄膜で、それぞれ、50kΩ/cm、100kΩ/cm、300kΩ/cmであった。なお電極との界面抵抗を含めた半導体薄膜の抵抗値は、界面抵抗より1桁以上大きいことから、界面抵抗が低く良好な半導体−電極接合が形成されていることがわかった。
実施例14で形成した3種類の粒径のペンタセン粒子を積層した薄膜トランジスタを大気中(25℃、湿度50%)に3ヶ月保存した後、薄膜トランジスタ特性を評価し、電界効果キャリア移動度の維持率を評価した。冷却速度1℃/分、10℃/分、溶液滴下で形成したペンタセン結晶が積層された薄膜トランジスタの電界効果キャリア移動度の維持率は、それぞれ、97%、88%、71%であった。
ペンタセン10mg(東京化成工業社製)と1,2,4−トリクロロベンゼン10mlとを混合した後、窒素中(酸素濃度1ppm以下)190℃で加熱して溶液を調製した。この溶液を、実施例1で用いた表面が電極パターン形成された表面熱酸化シリコン基板に、190℃で、塗布(基板温度190℃)してペンタセン薄膜を形成した(窒素雰囲気中、酸素濃度2ppm以下)。該薄膜のペンタセン薄膜トランジスタ特性を評価したところ、電界効果キャリア移動度は0.45cm2/V・s(20個の素子のうち動作不良5個を除く平均)、on/off比は6桁、閾値電圧は3V(20個の素子のうち動作不良5個を除く平均)であった。動作不良の素子は、ペンタセン薄膜中にクラックを有していた。
また、大気中で、ペンタセンとトリクロロベンゼンを混合・加熱して溶液の調製を試みたが、ペンタセンが変性(黄色)したため、薄膜を形成することができなかった。
Claims (18)
- 以下のステップ:
有機半導体材料である縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を液状媒体に分散して分散体を形成し;
得られた分散体を基板上にトランスファした後、前記液状媒体を、80℃以下の温度で、前記縮合多環芳香族化合物の溶液の形成を経由せずに、前記分散体から除去して、前記基板上に、前記縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を積層する;
を含む、基板上への有機半導体薄膜の製造方法。 - 前記分散体中の前記縮合多環芳香族化合物のシート状結晶の含有量が0.3重量%以上8重量%未満であり、前記分散体が前記縮合多環芳香族化合物を溶解することができる可溶性溶媒をさらに含有し、そして前記分散体中の前記可溶性溶媒の含有量が30重量%未満である、請求項1に記載の方法。
- 前記の縮合多環芳香族化合物のシート状結晶が分散された液状分散体において、前記液状分散媒が、30重量%未満の可溶性溶媒と、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、及び脂肪族炭化水素から選ばれる非可溶性液状媒体とから構成される、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記縮合多環芳香族化合物がアセン系化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記アセン系化合物がペンタセン又はペンタセン誘導体である、請求項4に記載の方法。
- 前記ペンタセン誘導体が、2−メチルペンタセン、2−ヘキシルペンタセン、2−エチルペンタセン、2−プロピルペンタセン、2−(ペンチルジメチルシリル)ペンタセン、2,3−ジメチルペンタセン、2,3−ジエチルペンタセン、2,3−ジプロピルペンタセン、及び2,3−ジヘキシルペンタセンから選ばれる一種以上である、請求項5に記載の方法。
- 前記アセン系化合物が、テトラセン又はテトラセン誘導体である、請求項4に記載の方法。
- 前記テトラセン誘導体が、2−メチルテトラセン、2−エチルテトラセン、2−プロピルテトラセン、2−ヘキシルペンタセン、2,3−ジメチルテトラセン、2,3−ジエチルテトラセン、2,3−ジプロピルテトラセン、及び2,3−ジヘキシルテトラセンから選ばれる一種以上である、請求項7に記載の方法。
- 縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を液状媒体に分散した液状分散体であって、該分散体は、該縮合多環芳香族化合物を溶解することができる可溶性溶媒をさらに含有し、ここで、該シート状結晶の含有量は、0.3重量%以上8重量%未満であり、該縮合多環芳香族化合物を溶解することができる可溶性溶媒は10重量%未満であり、そして該分散体の残部は、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、及び脂肪族炭化水素から選ばれる非可溶性液状媒体で構成されることを特徴とする前記分散体。
- 前記非可溶性液状媒体が、アルコール類又は脂肪族炭化水素である、請求項9に記載の分散体。
- 前記非可溶性液状媒体として、アルコール類を20重量%以上80%未満で含有する、請求項9又は10に記載の分散体。
- 前記分散体の室温における粘度が0.5センチポイズ以上10ポイズ以下である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の分散体。
- 前記分散体の表面張力が10mN/m以上45mN/m以下である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の分散体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造された有機半導体薄膜。
- 請求項14に記載の有機半導体薄膜を有する有機半導体素子。
- −20℃における電界効果移動度対30℃における電界効果移動度の比(R−20=μ−20/μ30)と、120℃における電界効果移動度対30℃における電界効果移動度の比(R120=μ120/μ30)はともに、0.2以上2以下である、請求項15に記載の有機半導体素子。
- 半導体/電極の界面抵抗が2MΩ/cm以下である、請求項15又は16に記載の有機半導体素子。
- 大気中、30℃、50%RHで3ヶ月間保存した後の電界効果移動度が、前記有機半導体薄膜を作製した直後の電解効果移動度に対し70%以上で保持される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の有機半導体素子。
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