JP2007287968A - 薄膜電界効果トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜電界効果トランジスタの製造方法 Download PDF

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伸行 関根
Haruo Kawakami
春雄 川上
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久人 加藤
Masahiko Maeda
賢彦 前田
Mariko Sato
まり子 佐藤
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Abstract

【課題】 チャネル部を含むソース及びドレイン電極上のみに、高い移動度を有する結晶性有機薄膜を形成することができる薄膜電界効果トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】 ゲート絶縁膜22と、チャネル部23を有するソース及びドレイン電極21とが形成された基板を、オクチルトリクロロシラン等の有機シアン化合物で表面処理し、この表面処理した基板上に、ペンタセン等のアセン系化合物とトリクロロベンゼン等の有機溶剤とが混合された溶液を配した後、有機溶剤を除去することによりアセン系化合物からなる結晶性有機薄膜30を形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機電子材料を用いた薄膜電界効果トランジスタの製造方法に関する。
近年、有機電子材料の特性は進展が目覚しい。例えば、有機ELディスプレイ(あるいは有機LEDディスプレイ)では、各画素が個々に発光する(すなわち、自発光する)ため視野角が広く、また、カラーフィルターが不要になるという利点があるばかりでなく、バックライトが不要であることから薄型化が可能になり、かつプラスチック等のフレキシブルな基板上に形成が可能である等、従来の液晶に比して多くの利点を持っている。また、これを駆動する回路系にも有機材料を用いることが検討されており、これらを用いることにより、ウェアラブルPCやフレキシブルディスプレイなど、基板の変形が可能な電子デバイスが実現すると期待されている。
これらの有機電子材料は基板上に薄膜として形成される。その膜厚はおおよそ数10〜数100nmの範囲であり、形成方法は真空蒸着や溶液塗布(スピンコート法、インクジェット法)等が用いられる。また、基板としてはガラス、シリコン、プラスチックが多く用いられ、その上に必要に応じて金属電極、酸化物(ITO等)電極、絶縁膜などが形成される。金属電極、酸化物(ITO等)電極、絶縁膜の形成方法は、真空蒸着、溶液塗布(スピンコート法、インクジェット法)の他、スパッタ、CVD、PVD等が用いられる。
上記において、特に電子材料として有機材料を用いるメリットは、溶液塗布(スピンコート法、インクジェット法)など低コストの製造方法が使用可能であること、プロセス温度が低温であるためプラスチック基板が使用可能であること、従って、それを用いてフレキシブルな電気機器が製造可能となることである。これらの有機電子材料には大別して、薄膜状態で結晶質の材料とアモルファスの材料とがある。例えば、有機電子材料のうち、電荷移動度の大きいことで知られるペンタセン、テトラセン等のアセン系化合物や、代表的双安定材料であるAIDCN(2−アミノ−4,5−イミダゾールジカルボニトリル)は結晶質であり、その結晶性が良好なほど移動度は高くなる。
即ち、例えばペンタセン薄膜を真空蒸着などの方法でガラス基板上に形成すると、薄膜は所謂多結晶状態となる。即ち、薄膜に多くの結晶粒界が存在する。電荷の移動はこれらの結晶粒界で妨げられるため、薄膜としての電荷移動度は小さく抑制されることとなる。従って電荷移動度を高くするには、薄膜の結晶粒の大きいことが望まれる。真空蒸着の場合は、基板温度を高く、成膜速度を低くすることにより結晶成長核密度が低くなり結晶粒が大きくなることが知られているが、例えば電界効果トランジスタの典型的なチャネル長さ(10μm以上)の結晶粒を得るのは困難であった。
これに対して、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等の塗布法により有機電子材料の薄膜を基板上に形成する場合は、真空蒸着に比して結晶粒を大きくすることが可能である。これは気相に比して液相中では塗布される有機電子材料と基板の相互作用が小さくなるため結晶成長核密度が低くなり、結晶粒が大きく成長するためである。このことから、有機電子材料を溶解させる有機溶剤の物性値を規定することで、膜の結晶性を制御する技術が開発されている(特許文献1)。また、特にペンタセンは有機電子材料のなかでも特に移動度が大きいが、有機溶剤への溶解度が低いため、塗布を行うには溶剤を加熱して溶液を作りそれを塗布するなどの方法が報告されている(非特許文献1、2及び特許文献2、3)。
特開2006−055722号公報 国際公開第03/016599号パンフレット 特開2005−294737号公報 南方尚,2004年春季応用物理学関係連合講演会講演予稿集No.3,p.1466 南方尚,有機半導体講習会予稿集,応用物理学会有機分子・バイオエレクトクス分科会,2004年6月14日,p.55
しかしながら、薄膜電界効果トランジスタでは、一般的にソース電極とドレイン電極の間のチャネル部の面積は1000μm2〜0.5mm2であるのに対して、塗布法によって得られる結晶性有機薄膜の面積は2桁以上大きい。即ち、チャネル部への選択的な薄膜形成は困難であり、チャネル部を含むソース及びドレイン電極上に選択的に形成することが望ましい。なお、ディスペンサ法では吐出量と有機電子材料と有機溶剤の混合溶液の温度、基板温度等の塗布条件を最適化することにより改善されつつあるが、さらなる改善が必要である(非特許文献1、2)。
塗布法による結晶性有機薄膜の形成過程は次の通りである。即ち、基板上に塗布された有機電子材料と有機溶剤の混合溶液から有機溶剤が蒸発し、これにより溶液中の有機電子材料が濃縮され、その濃度が溶解限度に達して基板上に結晶性有機薄膜が形成される。この方法は膜の均一性に優れるため好ましいが、薄膜形成過程である有機溶剤の除去と有機電子材料の結晶の析出にはある程度の時間が必要であり、その間は有機電子材料と有機溶剤の混合溶液の補給が必要である。しかし、ソース及びドレイン電極を備えた基板上では、結晶性有機薄膜が形成される前に、混合溶液は基板上の濡れ性が良い表面へ容易に移動してしまい、所望の位置への薄膜形成が困難である。特に、ペンタセン等のように有機溶剤への溶解度が低い材料では混合溶液の粘度が低いため、この問題は深刻である。
よって本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、基板に高い移動度を有する結晶性有機薄膜を形成する際に、チャネル部を含むソース及びドレイン電極上に選択的に結晶性有機薄膜を形成することができる薄膜電界効果トランジスタの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る薄膜電界効果トランジスタの製造方法は、チャネル部を介してソース電極とドレイン電極が形成された基板を有機シアン化合物で表面処理する工程と、前記表面処理した基板上に、以下の一般式(1)
(Rは水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、
又は上記アントラセン骨格と縮合して芳香環または複素環を形成する残基を表し、nは1〜10の整数を表す)
で表されるアセン系化合物と有機溶剤とを混合させた溶液を配した後、前記有機溶剤を除去することにより結晶性有機薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る薄膜電界効果トランジスタの製造方法は、前記ソース及びドレイン電極を前記基板に形成する前に、基板上にゲート電極とゲート絶縁膜を順に形成する工程をさらに含むことが好ましい。前記ソース及びドレイン電極としては金を用い、前記ゲート絶縁膜としては酸化タンタル又はシリコン酸化物を用いることが好ましい。前記有機シラン化合物としては、以下の一般式(2)
(Rは、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは塩素原子又はメトキシ基を表す)
で表される化合物を用いることが好ましい。特に、前記有機シラン化合物としては、オクチルトリクロロシラン又はオクタデシルトリクロロシランを用いることがより好ましい。
基板、ソース及びドレイン電極、並びに存在すればゲート絶縁膜の各表面は、有機溶剤に対する接触角が小さく濡れ性が良いが、これら表面を有機シラン化合物により表面処理することで、基板及び存在すればゲート絶縁膜の表面は、接触角が大きくなり有機溶剤を撥ねるようになる一方、ソース及びドレイン電極の表面は、接触角にほとんど変化がなく有機溶剤に対する濡れ性は良いままである。よって、基板、ソース及びドレイン電極、並びに存在すればゲート絶縁膜の各表面を有機シラン化合物により表面処理した後、結晶性有機薄膜を形成するようにすることで、アセン系化合物と有機溶剤の混合溶液が基板及び存在すればゲート絶縁膜の各表面に広がるのを防ぐことができ、アセン系化合物からなる結晶性有機薄膜がソース及びドレイン電極上に選択的に形成されることとなる。
したがって、本発明によれば、チャネル部を含むソース及びドレイン電極上に選択的に高い移動度を有する結晶性有機薄膜が形成される薄膜電界効果トランジスタの製造方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る薄膜電界効果トランジスタの製造方法の一実施の形態について説明する。
(基板の準備工程)
本発明により製造される薄膜電界効果トランジスタの構造としては、例えば、基板/ゲート電極/ゲート絶縁膜/ソース及びドレイン電極/結晶性有機薄膜という構造や、基板/ソース及びドレイン電極/結晶性有機薄膜/ゲート絶縁膜/ゲート電極という構造などのソース及びドレイン電極上に結晶性有機薄膜を形成する構造が採用される。なお、例えばシリコン基板等の無機半導体基板を用いることによって、基板をゲート電極として機能させる場合は、上記の構造例においてゲート電極を省略することができる。
基板としては、有機シラン化合物による表面処理後、有機溶剤に対する接触角が大きく、有機溶剤を撥ねる性質の材料の基板を用いる。このような材料としては、ガラス、シリコン等を用いることが好ましい。なお、基板が結晶性有機薄膜の形成の際に表面に出ない場合は、その他、通常の薄膜電界効果トランジスタの材料を用いることができる。
ゲート電極としては、タンタル等の金属またはシリコン等の半導体といった通常の薄膜電界効果トランジスタのゲート電極を用いることができる。なお、ゲート電極は、結晶性有機薄膜の形成前に基板に形成されていても、通常はゲート絶縁膜に覆われており、有機溶剤と接触することはない。ゲート電極は、真空蒸着やスパッタ等により成膜できる。また必要に応じてシャドウマスクやフォトプロセスによりパターニングすることができる。
ゲート絶縁膜としては、結晶性有機薄膜の形成前に基板に形成する場合、有機シラン化合物による表面処理後、有機溶剤に対する接触角が大きく、有機溶剤を撥ねる性質の材料からなるゲート絶縁膜を用いる。このような材料としては、酸化タンタルやシリコン酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜の形成およびパターニングは、ゲート電極と同様に、反応性蒸着やスパッタおよびフォトリソグラフにより行うことができる。また、ゲート電極の金属または半導体を熱酸化や陽極酸化などの方法で酸化することによっても形成できる。一方、結晶性有機薄膜の形成後に基板に形成する場合は、その他の金属酸化物や有機系絶縁膜といった通常の薄膜電界効果トランジスタのゲート絶縁膜を用いることができる。
ソース及びドレイン電極としては、有機シラン化合物による表面処理後、有機溶剤に対する接触角が小さく、有機溶剤に対する濡れ性が良い性質の材料からなるソース及びドレイン電極を用いる。このような材料としては、金を用いることが好ましい。ソース及びドレイン電極は、真空蒸着やスパッタ等により形成することができる。また、フォトリソグラフやシャドウマスク等を用いてパターニングすることができる。
ソース及びドレイン電極の厚さは10〜1000nmの範囲が好ましい。ソース電極とドレイン電極の間のチャネル部としては、チャネル長さ(ソース電極とドレイン電極との間の距離)を1〜100μm、チャネル幅(ソース及びドレイン電極の幅)を0.1〜10mmとすることが好ましい。
(表面処理工程)
基板に結晶性有機薄膜を形成する前に、有機シラン化合物による表面処理によって、基板、ソース及びドレイン電極、並びに存在すればゲート絶縁膜の各表面の有機溶剤に対する濡れ性を調整する。図2に例示する構造の基板を参照して説明すると、図2に平面図として示す基板10は、基板10上にゲート電極、ゲート絶縁膜22、ソース及びドレイン電極21が順に形成されている。
有機シラン化合物による表面処理を行う前は、基板10、ソース及びドレイン電極21、並びにゲート絶縁膜22の各表面は、有機溶剤に対する接触角が小さく濡れ性が良い。そのため、結晶性有機薄膜はこれら表面に均一に形成されてしまう。有機シラン化合物による表面処理後は、基板10及びゲート絶縁膜22の各表面は、接触角が大きくなり有機溶剤を撥ねるようになる一方、ソース及びドレイン電極21の表面は接触角にほとんど変化がなく、有機溶剤に対する濡れ性が良いままである。
このように、ソース及びドレイン電極の表面とその他の表面との間で、有機溶剤に対する接触角が大きく異なるようになるので、結晶性有機薄膜がソース及びドレイン電極上に選択的に形成されることになる。
表面処理に用いる有機シラン化合物としては、以下の一般式(2)
(Rは炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基を表す)
で表される化合物が好ましい。その中でも特に、炭素数が8で、Xが塩素原子であるオクチルトリクロロシラン、炭素数が18で、Xが塩素原子であるオクタデシルトリクロロシラン(OTS)がより好ましい。
表面処理の方法としては、例えば、有機シラン化合物をエタノール、トルエン等の有機溶媒に溶解し、この溶液を加熱(使用する有機溶媒の沸点以下、例えばエタノールでは室温〜60℃、トルエンでは室温〜80℃)して、この中に処理対象となる基板を浸漬する。そして溶液から基板を取り出した後、ヘキサン、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒で基板を洗浄することにより、表面処理を施した基板が得られる。この方法は浸漬法と呼ばれる。その他に蒸着法、キャスティング法、スピンコート法等の公知の表面処理方法を採用することができる。
(結晶性有機薄膜の形成工程)
表面処理を行った基板上に結晶性有機薄膜を形成するために、先ず、以下の一般式(1)で表されるアセン系化合物と有機溶剤との混合溶液を基板上に塗布する。
(Rは水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、
又は上記アントラセン骨格と縮合して芳香環または複素環を形成する残基を表し、nは1〜10の整数を表す。)
このようなアセン系化合物の具体例としては、以下の構造式(I−1)〜(I−26)が挙げられる。このうち、最も移動度が高いことから、構造式(I−18)で表されるペンタセンが最適である。
有機溶剤としては、アセン系化合物の種類によって適宜選択することが可能であるが、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、エーテル類、カーボネート、エステル類、ケトン類またはこれらの組み合わせを用いて、アセン系化合物を溶解して均一な混合溶液をつくることが好ましい。
ハロゲン化炭化水素の例としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、フルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジヨードベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、ジクロロトルエン、ジブロモトルエン、ジフルオロトルエン、クロロキシレン、ブロモキシレン、ヨードキシレン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼン、ヨードエチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ジクロロナフタレン、ジクロロアントラセン、テトラクロロベンゼン、トリブロモベンゼン、テトラブロモベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素や、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、テトラクロロエタン、テトラフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン、クロロシクロペンタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素が挙げられる。
炭化水素の例としては、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素や、デカヒドロナフタレン、オクタン、ノナン、デカン、アンデカン、ドデカン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。さらに、エーテル類としてジフェニルエーテル等、カーボネートとして炭酸プロピレン等、エステル類としてブチルラクトン、プロピオラクトン等、ケトン類としてシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
これらの有機溶剤の中では、アセン系化合物の溶解性と混合溶液の安定性、形成された薄膜の特性を考えると、芳香族ハロゲン化炭化水素が好ましい。特にアセン系化合物としてペンタセンを用いる場合はトリクロロベンゼンが好ましい。また、アセン系化合物の溶解度を高めるため、混合溶液を100℃以上に加熱することから、有機溶剤は沸点が100℃以上のものが好ましい。
アセン系化合物と有機溶剤との混合溶液におけるアセン系化合物の含有率は、0.1〜30重量%の範囲が好ましい。特に、高い移動度を発現するペンタセンでは0.1〜0.3重量%の範囲が好ましい。
このような混合溶液を基板上に塗布する方法としては、例えば、図1に示すディスペンサ型の塗布装置を用いて行うことができる。図1に示すように、塗布装置では、加熱が可能なステージ11上に基板10を固定するとともに、アセン系化合物と有機溶剤の混合溶液12を吐出容器13内に供給する。そして、吐出容器13の外周に設けられたヒータ15で混合溶液12を100〜250℃に加熱するとともに、基板10もステージ11により100〜250℃に加熱する。例えば、アセン系化合物がペンタセンの場合、溶解度を上げるために混合溶液12は180〜220℃に加熱し、基板10も160〜220℃に加熱することが好ましい。
そして、吐出容器12のニードル部14から混合溶液12を吐出して、基板10上に混合溶液12を塗布する。上述したように基板10は表面処理されていることから、図2を参照して説明すると、基板10上のソース及びドレイン電極21の表面にのみ混合溶液12が広がり、基板10の表面及び存在すればゲート絶縁膜22の表面には混合溶液12が流れない。そして、基板10上のソース及びドレイン電極21の表面に塗布された混合溶液12中の有機溶剤は、上記の加熱によって蒸発し、これにより混合溶液12中のアセン系化合物が濃縮され、その濃度が溶解限度に達してアセン系化合物からなる結晶性有機薄膜が形成される。
なお、ソース電極とドレイン電極との間のチャネル部23は、その底面がゲート絶縁膜または基板となり混合溶液を撥ねる性質を有するものであるが、本発明によればこのチャネル部23にも結晶性有機薄膜が形成される。したがって、チャネル部分23を含むソース及びドレイン電極21上に選択的に高い移動度を有する結晶性有機薄膜が形成された薄膜電界効果トランジスタを製造することができる。
なお、ペンタセンのような溶解性が低いアセン系化合物では、結晶性有機薄膜の形成過程において、所望の位置へ連続的に供給することが望ましい。また、アセン系化合物と有機溶剤の混合溶液の調整、加熱、基板上へ供給、および結晶性有機薄膜の形成過程は、酸素による分解を避けるために、またトランジスタ特性の低下を避けるために不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これ以外の塗布法としては、キャスト法、ディップコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
(接触角の測定)
有機シラン化合物による表面処理の前後での基板、ゲート絶縁膜、ソース及びドレイン電極の各接触角を測定した。表面処理としては、オクチルトリクロロシランの濃度が10mMであるエタノール溶液を60℃に加熱し、このエタノール溶液に基板を15分間浸漬した後、基板を取り出してヘキサン、エタノール、イソプロパノールで洗浄を行った。基板にはガラス基板を用い、このガラス基板に、ゲート絶縁膜として酸化タンタル、シリコン酸化物、ソース及びドレイン電極として金を成膜したものを使用した。また、評価溶媒としては、水とトリクロロベンゼンを用いた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、オクチルトリクロロシランで表面処理したことにより、基板(ガラス)、ゲート絶縁膜(酸化タンタル、シリコン酸化物)の各表面では、トリクロロベンゼンに対する接触角が大きくなったが、ソース及びドレイン電極(金)の表面では接触角に大きな変化はみられず小さいままであった。すなわち、この表面処理によって、これら表面の間の接触角の差は非常に大きくなった。なお、水に対する接触角では、この表面処理により基板(ガラス)、ゲート絶縁膜(酸化タンタル、シリコン酸化物)の各表面では大きくなり、ソース及びドレイン電極(金)の表面では大きな変化はみられなかったが、これら表面の間の接触角の差が大きくなるということにはならなかった。
(薄膜電界効果トランジスタの作製)
(実施例1)
基板として5cm径のガラス基板(コーニング社製1737フュージョンガラス)を用い、ガラス基板上に通常のフォトプロセスとスパッタによりタンタルよりなるゲート電極を形成した。厚さは150nmとした。次にゲート電極の上にゲート絶縁膜として陽極酸化膜を形成した。陽極酸化は1wt%ホウ酸アンモニウム溶液中で70V、120分の処理により形成し、膜厚80nmとした。さらにソース電極とドレイン電極を金の蒸着膜で形成した。膜厚は80nmとし、チャネル長さは3μm、チャネル幅は1mmとした。
この基板を、オクチルトリクロロシランの濃度が10mMであるエタノール溶液に60℃、15分間浸漬した後、これを取り出してヘキサン、エタノール、イソプロパノールで洗浄することにより、表面処理を行った。
次に、この基板上に、図1に示すディスペンサ型の塗布装置を用いて結晶性有機薄膜を形成した。アセン系化合物としてはペンタセン(Aldrich社製)を用い、3mgを1,2,4−トリクロロベンゼン3mlに添加し、これを200℃まで加熱して溶解した。この溶液を吐出容器内に入れ200℃に温度を保った。ガラス基板は180℃に温度を保った。なお、作業は窒素を満たしたグローブボックスの中で行った。グローブボックス内の雰囲気は酸素と水分を1ppm以下に保った。そして、ニードル部先端と基板と間の距離を0.2mmに保ち、吐出圧力0.5kPa、吐出時間0.1sで混合溶液の塗布を行った。
以上の試験により基板上に形成された結晶性有機薄膜を、電子顕微鏡で観察した。その電子顕微鏡写真を図3に示す。なお、基板10、ソース及びドレイン電極21、ゲート絶縁膜22、チャネル部23の位置は、図2とほぼ同様となっている。図3に示すように、チャネル部23を含むソース及びドレイン電極21の部分に結晶性有機薄膜30が均一に形成されていた。一方、基板10及びゲート絶縁膜22の部分には、結晶性有機薄膜が形成されていなかった。
また、以上により得られた薄膜電界効果トランジスタではpチャネル型のトランジスタ動作が確認され、移動度は0.18cm2/Vsecであった。その電気特性を図5に示す。
(実施例2)
基板として熱酸化膜100nmを付与したn型シリコン基板上に、二つの角型金電極(幅1mm、厚さ100nm)を50μm離して形成したものを用いたことと、有機シラン系化合物としてオクタデシルトリクロロシランを用いたこと以外は実施例1と同様にして薄膜電界効果トランジスタを作製した。その結果、実施例1と同様に、チャネル部を含むソース及びドレイン電極の部分のみに結晶性有機薄膜が形成された。また、pチャネル型のトランジスタ動作が確認された。
(比較例)
オクチルトリクロロシランの表面処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして薄膜電界効果トランジスタを作製した。これにより形成された結晶性有機薄膜の電子顕微鏡写真を図4に示す。図4に示すように、ソース及びドレイン電極21以外に、ゲート絶縁膜22や基板10の部分にも結晶性有機薄膜が形成されていた。
本発明に係る薄膜電界効果トランジスタの製造方法のうち結晶性有機薄膜の形成工程で用いる混合溶液の塗布装置の一例を模式的に示す断面図である。 結晶性有機薄膜を形成する前のトランジスタ基板の一例を模式的に示す平面図である。 実施例1により得られた結晶性有機薄膜の電子顕微鏡写真である。 比較例により得られた結晶性有機薄膜の電子顕微鏡写真である。 実施例1により得られた薄膜電界効果トランジスタの電気特性を示すグラフである。
符号の説明
10 基板
11 ステージ
12 アセン系化合物と有機溶剤の混合溶液
13 吐出容器
14 ニードル部
15 ヒータ
21 ソース及びドレイン電極
22 ゲート絶縁膜
23 チャネル部
30 結晶性有機薄膜

Claims (5)

  1. チャネル部を介してソース電極とドレイン電極が形成された基板を有機シラン化合物で表面処理する工程と、
    前記表面処理した基板上に、以下の一般式(1)
    (Rは水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、
    又は上記アントラセン骨格と縮合して芳香環または複素環を形成する残基を表し、nは1〜10の整数を表す)
    で表されるアセン系化合物と有機溶剤とが混合された溶液を配した後、前記有機溶剤を除去することにより結晶性有機薄膜を形成する工程と
    を含む薄膜電界効果トランジスタの製造方法。
  2. 前記ソース及びドレイン電極を前記基板に形成する前に、基板上にゲート電極とゲート絶縁膜を順に形成する工程をさらに含む請求項1に記載の薄膜電界効果トランジスタの製造方法。
  3. 前記ソース及びドレイン電極として金を用い、前記ゲート絶縁膜として酸化タンタル又はシリコン酸化物を用いる請求項2に記載の薄膜電界効果トランジスタの製造方法。
  4. 前記有機シラン化合物として、以下の一般式(2)
    (Rは、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは塩素原子又はメトキシ基を表す)
    で表される化合物を用いる請求項1に記載の薄膜電界効果トランジスタの製造方法。
  5. 前記有機シラン化合物としてオクチルトリクロロシラン又はオクタデシルトリクロロシランを用いる請求項1に記載の薄膜電界効果トランジスタの製造方法。
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JP2006114328A Pending JP2007287968A (ja) 2006-04-18 2006-04-18 薄膜電界効果トランジスタの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009200484A (ja) * 2008-01-25 2009-09-03 Asahi Kasei Corp 縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を基板上に積層することを含む新規有機半導体薄膜の製造方法、及び液状分散体

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JP2009200484A (ja) * 2008-01-25 2009-09-03 Asahi Kasei Corp 縮合多環芳香族化合物のシート状結晶を基板上に積層することを含む新規有機半導体薄膜の製造方法、及び液状分散体

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