JP5640553B2 - 有機薄膜の形成方法および有機デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、溶媒に有機材料が溶解された有機溶液を用いる有機薄膜の形成方法およびそれを用いた有機デバイスの製造方法に関する。
近年、各種用途の次世代デバイスに用いる薄膜として、無機薄膜の代わりに有機薄膜に関する研究開発が盛んに行われている。塗布法または印刷法などの簡便かつ安価な方法を用いて有機薄膜を形成可能であるため、その有機薄膜を用いた有機デバイスの製造容易化および低コスト化を実現できるからである。また、有機薄膜のフレキシブル性を利用して、折り曲げ可能な有機デバイスも実現できるからである。
ただし、有機薄膜を用いた有機デバイスを実用化するためには、当然ながら、上記した製造容易化および低コスト化などだけでなく、そのデバイス本来の性能を確保することも要求される。そこで、有機デバイスの性能に影響を及ぼす有機薄膜の膜特性に着目して、単結晶の有機薄膜を形成する方法が検討されている。
具体的には、有機材料が溶解された有機溶液を塗布して、溶液成長により有機薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、シリコン基板の上に設けられた構造物に隣接するように有機溶液を滴下して大気乾燥し、その構造物を利用して結晶の成長方向を制御している。
また、気相成長により有機薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。この方法では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のスタンプを用いてオクタデシルトリエトキシシラン(OTS)の薄膜を酸化ケイ素膜に転写したのち、その薄膜の上において結晶を成長させている。
さらに、ラジエータにより支持された基板を有機溶液に浸漬させて、溶液成長により有機薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。この方法では、ラジエータを用いて基板の温度を調整し、その基板の表面において有機溶液中の溶質(有機材料)を結晶化させている。
Very High Mobility in Solution-Processed Organic Thin-Film Transistors of Highly Ordered [1] Benzothieno [3,2-b] benzothiophene Derivatives,Applied Physics Express ,2 ,2009,p.111501-1〜3 ,Jun Takeya 等
Patterning organic single-crystal transistor arrays ,nature,Vol.444 ,14 December 2006,Alejandro L.Briseno 等
Direct Formation of Thin Single Crystal of Organic Semiconductors onto a Substrate,CHEMISTRY OF MATERIALS,19(15),2007,p.3748-3753,Takeshi Yamao等
ディスプレイなどに代表される最近の電子機器は、ますます多機能化および高性能化する傾向にあるため、上記したように、単結晶の有機薄膜を形成することが要望されており、その形成方法に関する提案もなされている。しかしながら、従来の有機薄膜の形成方法では、結晶核の形成位置および結晶の成長方向が十分に制御されないため、単結晶の有機薄膜を形成することが実質的に困難である。
特に、シリコン基板の上に設けられた構造物を利用する従来の方法では、構造物ごとに有機薄膜は形成されるが、有機溶液の滴下量および溶媒の蒸発速度などのばらつきに起因して結晶核の形成位置が変動しやすいため、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を厳密に制御することは困難である。
また、ラジエータを用いる従来の方法では、有機溶液中にランダムに生じた結晶核が基板の表面に付着するだけであるため、やはり結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御することは困難である。そもそも、この方法により形成される結晶はバルク状であり、薄膜ではないと考えられる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機薄膜を形成することが可能な有機薄膜の形成方法および有機デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の有機薄膜の形成方法は、以下の手順による。(1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備する。(2)有機溶液の温度TSが溶解度曲線よりも高温側に位置する温度T1になると共に、有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが温度T1における飽和蒸気圧になるようにして、溶液蓄積領域および溶液絞込領域に有機溶液を供給する。(3)温度TSを温度T1から溶解度曲線と過溶解度曲線との間に位置する温度T2まで低下させる。なお、本発明の有機デバイスの製造方法は、有機薄膜を用いた有機デバイスを製造するために、上記した本発明の有機薄膜の形成方法を用いるものである。
本発明の他の有機薄膜の形成方法は、以下の手順による。(1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備する。(2)有機溶液の温度TSが溶解度曲線と過溶解度曲線との間に位置する温度T2になると共に、有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが温度T2における飽和蒸気圧になるようにして、溶液蓄積領域および溶液絞込領域に有機溶液を供給する。(3)蒸気圧Pを低下させる。なお、本発明の他の有機デバイスの製造方法は、有機薄膜を用いた有機デバイスを製造するために、上記した本発明の他の有機薄膜の形成方法を用いるものである。
本発明の有機薄膜の形成方法によれば、有機溶液の温度TSが温度T1になると共に蒸気圧Pが温度T1における飽和蒸気圧になるようにして、幅広の溶液蓄積領域およびそれに連結された幅狭の溶液絞込領域に有機溶液を供給したのち、温度TSを温度T1から温度T2まで低下させている。この温度T1は、溶解度曲線よりも高温側に位置する温度であり、温度T2は、溶解度曲線と過溶度解度曲線との間に位置する温度である。この場合には、有機溶液の温度TSの低下に起因して、溶液蓄積領域と溶液絞込領域との連結位置の近傍において有機溶液の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液中における狭い範囲に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長するため、単結晶の有機薄膜が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機薄膜を形成できる。
本発明の他の有機薄膜の形成方法によれば、有機溶液の温度TSが温度T2になると共に蒸気圧Pが温度T2における飽和蒸気圧になるようにして、幅広の溶液蓄積領域およびそれに連結された幅狭の溶液絞込領域に有機溶液を供給したのち、蒸気圧Pを低下させている。この温度T2は、溶解度曲線と過溶度解度曲線との間に位置する温度である。この場合には、蒸気圧Pの低下に起因して、溶液蓄積領域と溶液絞込領域との連結位置の近傍において有機溶液の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液中における狭い範囲に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長するため、単結晶の有機薄膜が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機薄膜を形成できる。
また、本発明の有機デバイスの製造方法によれば、上記した本発明の有機薄膜の形成方法を用いているので、有機デバイスの性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.有機薄膜の形成方法
1−1.第1実施形態(溶液温度制御型)
1−2.第2実施形態(蒸気圧制御型)
2.有機デバイスの製造方法
1.有機薄膜の形成方法
1−1.第1実施形態(溶液温度制御型)
1−2.第2実施形態(蒸気圧制御型)
2.有機デバイスの製造方法
<1.有機薄膜の形成方法>
<1−1.第1実施形態(溶液温度制御型)>
図1〜図8は、本発明の第1実施形態における有機薄膜の形成方法を説明するためのものである。図1および図2は、それぞれ有機薄膜の形成方法に用いられる装置(製膜装置100)の断面構成および製膜用基体10の平面構成を表している。図3〜図7は、有機薄膜の形成工程を説明するために、図1および図2に対応する断面構成および平面構成を表している。図8は、有機薄膜の形成条件を説明するために、有機溶液20に関する溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2を表しており、横軸および縦軸はそれぞれ濃度Cおよび温度Tである。
<1−1.第1実施形態(溶液温度制御型)>
図1〜図8は、本発明の第1実施形態における有機薄膜の形成方法を説明するためのものである。図1および図2は、それぞれ有機薄膜の形成方法に用いられる装置(製膜装置100)の断面構成および製膜用基体10の平面構成を表している。図3〜図7は、有機薄膜の形成工程を説明するために、図1および図2に対応する断面構成および平面構成を表している。図8は、有機薄膜の形成条件を説明するために、有機溶液20に関する溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2を表しており、横軸および縦軸はそれぞれ濃度Cおよび温度Tである。
ここで説明する有機薄膜の形成方法は、有機溶液20を用いて溶液成長により単結晶の有機薄膜30を形成する方法である。なお、有機溶液20は、溶媒およびそれに溶解された有機材料を含んでおり、必要に応じて、それら以外の他の材料を含んでいてもよい。
以下では、有機薄膜の形成方法について説明する前に、その形成方法に用いられる製膜装置100および製膜用基体10の構成と、溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2の内容とについて説明する。
[製膜装置の構成]
製膜装置100は、例えば、図1および図3に示したように、排気管2が設けられたチャンバ1と、そのチャンバ1に連結管3を介して連結された溶媒タンク4とを備えている。
製膜装置100は、例えば、図1および図3に示したように、排気管2が設けられたチャンバ1と、そのチャンバ1に連結管3を介して連結された溶媒タンク4とを備えている。
チャンバ1は、基体ホルダ5を収容しており、溶媒タンク4と連通された状態において密閉可能になっている。基体ホルダ5は、製膜用基体10を支持するものであり、例えば、温度制御可能なサセプタなどである。これにより、製膜用基体10の温度に応じて、有機溶液20の温度TSが制御されるようになっている。
溶媒タンク4は、有機溶液20中の溶媒と同じ種類の溶媒(補助溶媒)6を蓄積しており、その補助溶媒6の温度は、図示しないオイルバスなどにより調整可能になっている。ここでは、溶媒タンク4に蓄積されている溶媒と有機溶液20中の溶媒とを区別するために、前者の溶媒を補助溶媒6と呼称している。この補助溶媒6には、溶媒タンク4の外部から内部に導入されたガス導入管7を通じてガスGを導入可能になっており、溶媒タンク4は、連結管3を通じてチャンバ1に補助溶媒6を含む蒸気Vを供給可能になっている。これにより、補助溶媒6の温度に応じて、有機溶液20の周辺環境(チャンバ1の内部)における蒸気Vの圧力(蒸気圧)Pが制御されるようになっている。なお、チャンバ1に供給された蒸気Vは、必要に応じて排気管2を通じて外部に排気可能である。
[製膜用基体の構成]
製膜用基体10は、有機溶液20が供給されると共に有機薄膜30が形成される基体であり、例えば、ガラス、プラスチック材料または金属材料などの基板でもよいし、プラスチック材料または金属材料などのフィルムでもよいし、それ以外でもよい。この製膜用基体10は、上記した基板またはフィルムなどの上に1層または2層以上の各種膜が設けられたものでもよい。
製膜用基体10は、有機溶液20が供給されると共に有機薄膜30が形成される基体であり、例えば、ガラス、プラスチック材料または金属材料などの基板でもよいし、プラスチック材料または金属材料などのフィルムでもよいし、それ以外でもよい。この製膜用基体10は、上記した基板またはフィルムなどの上に1層または2層以上の各種膜が設けられたものでもよい。
この製膜用基体10は、図2に示したように、有機薄膜30が形成される側の一面に、有機溶液20が供給される溶液蓄積領域11およびそれに連結された溶液絞込領域12を有している。
溶液蓄積領域11は、有機薄膜30を形成するために消費される有機溶液20を蓄積しておくための領域であり、その面積は、幅W1および長さL1により決定される。有機溶液20の量を確保するために、幅W1および長さL1は十分に大きいことが好ましく、例えば、幅W1=1000μm〜10000μmおよび長さL1=100μm〜800μmである。ただし、幅W1および長さL1は、任意に変更可能である。
溶液絞込領域12は、溶液蓄積領域11に供給された有機溶液20を絞り込むための領域であり、その面積は、幅W2および長さL2により決定される。この溶液絞込領域12の幅W2は、溶液蓄積領域11の幅W1よりも狭くなっており、溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12との連結位置Nには、内側に向かって凸状の角部Cが形成されている。溶液蓄積領域11から溶液絞込領域12に流入する有機溶液20を絞り込むために、幅W2は十分に小さいことが好ましく、例えば、幅W2=5μm〜30μmおよび長さL2=5μm〜200μmである。ただし、幅W2が幅W1よりも狭くなっていれば、幅W2および長さL2は任意に変更可能である。
製膜用基体10が幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12を有しているのは、気相(蒸気V)と接する液相(有機溶液20)の面積に差異を生じさせるためである。気相と接する面積が大きい(幅W1が幅W2よりも広い)溶液蓄積領域11では、有機溶液20中の溶媒が蒸発しやすくなるのに対して、気相と接する面積が小さい(幅W2が幅W1よりも狭い)溶液絞込領域12では、有機溶液20中の溶媒が蒸発しにくくなる。これにより、連結位置Nの近傍において溶媒の蒸発が局所的に速くなるため、有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する。本発明では、有機溶液20を用いた溶液成長により有機薄膜30を形成するために、上記した過飽和度の局所的上昇を利用して、有機溶液20中の溶質(有機材料)を結晶化させる。この有機薄膜30の形成メカニズムに関する詳細については、後述する。
角部Cの先端形状は、特に限定されないが、中でも、連結位置Nにおいて有機溶液20を確実に絞り込むために、尖鋭であることが好ましい。また、角部Cの角度θは、特に限定されないが、中でも、角部Cの先端形状と同様の理由により、直角であることが好ましい。
特に、製膜用基体10は、例えば、図2に示したように、親液性領域13および撥液性領域14を一面に有しており、上記した溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12は親液性領域13であることが好ましい。この場合には、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12が有機溶液20に対して親液性(親液性領域13)になるのに対して、それ以外の領域が有機溶液20に対して撥液性(撥液性領域14)になる。ここでは、親液性領域13の数(溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12の組数)は、例えば、1つ(1組)である。
親液性領域13は、有機溶液20に対して濡れやすい領域であり、製膜用基体10の一面において有機溶液20を定着させる性質を有している。一方、撥液性領域14は、有機溶液20に対して濡れにくい領域であり、製膜用基体10の一面において有機溶液20をはじく性質を有している。親液性領域13および撥液性領域14を有する製膜用基体10は、例えば、親液性の基板などの表面に撥液性の表面処理または膜形成処理が施されたものでもよいし、撥液性の基板などの表面に親液性の表面処理または膜形成処理が施されたものでもよい。前者の場合には、表面処理などが施された領域が撥液性領域14になり、それ以外の領域が親液性領域13になる。後者の場合には、表面処理などが施された領域が親液性領域13になり、それ以外の領域が撥液性領域14になる。
製膜用基体10が親液性領域13および撥液性領域14を有しているのは、濡れ性の違いを利用して有機溶液20を所望の領域(親液性領域13)に定着させるためである。これにより、有機溶液20の存在範囲が正確に制御される。なお、親液性領域13および撥液性領域14のそれぞれの濡れ性(表面エネルギー)は、親液性領域13に有機溶液20を定着させることができる程度に異なっていればよい。
[溶解度曲線および過溶解度曲線]
図8に示した溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2は、有機材料の溶解特性を表している。この溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2は、有機薄膜30を形成するために用いる有機材料およびそれを溶解させる溶媒について、有機薄膜30の形成作業を行う前にあらかじめ準備(測定)されていることが好ましい。
図8に示した溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2は、有機材料の溶解特性を表している。この溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2は、有機薄膜30を形成するために用いる有機材料およびそれを溶解させる溶媒について、有機薄膜30の形成作業を行う前にあらかじめ準備(測定)されていることが好ましい。
範囲R1〜R3は、有機溶液20の状態を表している。溶解度曲線Y1よりも高温側の範囲R3は、結晶が溶解する状態(溶液状態)である。溶解度曲線Y1と過溶解度曲線Y2との間の範囲R2は、結晶核を起点として結晶が成長する状態(結晶成長状態)である。過溶解度曲線Y2よりも低温側の範囲R1は、結晶核が形成される状態(結晶核形成状態)である。なお、点A〜点Cは、有機薄膜30を形成する際の温度条件の一例を表している。
[有機薄膜の形成工程]
有機薄膜30を形成する場合には、最初に、有機溶液20(任意の濃度C1:図8)と、その有機溶液20に関する溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2(図8)と、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を一面に有する製膜用基体10(図2)とを準備する。
有機薄膜30を形成する場合には、最初に、有機溶液20(任意の濃度C1:図8)と、その有機溶液20に関する溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2(図8)と、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を一面に有する製膜用基体10(図2)とを準備する。
有機溶液20を調製するために用いる溶媒の種類は、溶質である有機材料を溶解できる液体であれば特に限定されないが、中でも、多くの種類の有機材料を安定に溶解させやすいと共に優れた揮発性を有する有機溶剤が好ましい。また、有機材料の種類は、有機薄膜30の材質に応じて任意に選択可能である。一例を挙げると、有機材料は、例えば、結晶の成長方向(有機分子の配列方向)に応じて電気的特性(電子移動度など)が変化する有機半導体材料などである。
続いて、図3および図4に示したように、製膜装置100を用いて、チャンバ1の内部における基体ホルダ5の上に製膜用基体10を固定すると共に、溶媒タンク4に有機溶液20中の溶媒と同じ種類の補助溶媒6を蓄積する。
続いて、製膜用基体10の一面(親液性領域13である溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12)に有機溶液20を供給する。この場合には、例えば、溶液蓄積領域11に有機溶液20を供給して、その溶液蓄積領域11から溶液絞込領域12に有機溶液20を流入させる。溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12は有機溶液20に対して親液性(親液性領域13)であるため、その有機溶液20は溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を満たすように定着する。有機溶液20の供給量は、任意であり、少なくとも溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を満たすことができる量であればよい。
続いて、排気管2を閉じて製膜装置100(チャンバ1および溶媒タンク4)を密閉したのち、例えば、ガス導入管7から溶媒タンク4に窒素(N2 )などのガスGを導入する。これにより、補助溶媒6を含む蒸気Vが溶媒タンク4から連結管3を通じてチャンバ1に供給されるため、そのチャンバ1の内部は蒸気Vが満たされた環境となる。
この場合には、基体ホルダ5を用いて製膜用基体10の温度をT1に設定する。また、オイルバスなどを用いて補助溶媒6の温度もT1に設定することが好ましい。これにより、チャンバ1の内部の蒸気圧Pが温度T1における飽和蒸気圧になるため、液層(有機溶液20)と気相(蒸気V)とが平衡状態になる。このことは、溶液タンク4の内部における液相(補助溶媒6)と気相(蒸気V)とにおいても同様である。
ここで設定される温度T1は、図8に示したように、溶解度曲線Y1よりも高温側(範囲R3)に位置にする温度であり、より具体的には、例えば、点Aに対応する温度である。これにより、有機溶液20の温度TSもT1になるため、その有機溶液20は溶液状態になる。以降、有機溶液20の温度TSなどは、上記した基体ホルダ5などを用いて適宜設定される。
続いて、有機溶液20の温度TSをT1からT2まで低下させる。この場合には、補助溶媒6の温度もT1からT2まで低下させることが好ましい。有機溶液20の温度TSだけでなく補助溶媒6の温度も一緒に低下させるのは、液層と気相との平衡状態を維持して蒸気圧Pが溶媒の蒸発に影響を及ぼすことを抑制するためであり、以降においても同様である。
ここで設定される温度T2は、図8に示したように、溶解度曲線Y1と過溶解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度であり、より具体的には、例えば、点Bに対応する温度である。これにより、有機溶液20は、結晶成長状態になる。
ここで、有機溶液20中には未だ結晶核が形成されていないため、その有機溶液20が結晶成長状態になっても、本来であれば、結晶核の形成も結晶の成長も生じないはずである。ところが、温度TSがT2になると、以下の理由により、図5および図6に示したように、有機溶液20中に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長する。
有機溶液20は、幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に存在しているため、溶液蓄積領域11よりも溶液絞込領域12において絞り込まれている。これにより、上記したように、溶液蓄積領域11に存在している有機溶液20と溶液絞込領域12に存在している有機溶液20とでは、気相(蒸気V)と接する面積に差異が生じる。このため、気相と接する面積が大きい溶液蓄積領域11では、有機溶液20中の溶媒が蒸発しやすくなるのに対して、気相と接する面積が小さい溶液絞込領域12では、有機溶液20中の溶媒が蒸発しにくくなる。この気相と接する面積の違いに応じて蒸発速度に差異が生じ、有機溶液20中における連結位置Nの近傍において溶媒の蒸発が局所的に速くなるため、その有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、過飽和度が局所的に上昇した領域では、有機溶液20が過溶解度曲線Y2よりも低温側(範囲R1)の結晶核形成状態と同様の状態になるため、その有機溶液20中の溶質が結晶化する。この結果、有機溶液20中における狭い範囲(連結位置Nの近傍)に結晶核が形成される。また、有機溶液20中における溶質の拡散現象により、その有機溶液20から溶質を供給されながら結晶核を起点として結晶が成長する。これにより、単結晶の有機薄膜30が形成される。この場合には、溶液絞込領域12の幅W2が十分に狭いと、実質的に単一の結晶核が形成される。
こののち、必要に応じて、有機溶液20の温度TSをT2からそれよりも低い温度まで低下させてもよい。この場合には、補助溶媒6の温度も同様に低下させることが好ましい。この場合の目標温度は、温度T2よりも低い温度であれば特に限定されないが、例えば、図8に示したように、過溶解度曲線Y2よりも低温側(範囲R1)に位置する温度、より具体的には点Cに対応するT3である。温度TSをT2よりも低下させると、結晶成長を進行させるための強い駆動力が生じるため、有機薄膜30が大きく成長する。
最後に、必要に応じて吸引などして製膜用基体10の一面から有機溶液20を除去することにより、図7に示したように、有機薄膜30が得られる。
ここでは、例えば、図7に示したように、略三角形の平面形状を有する有機薄膜30が形成される。ただし、有機溶液20の滞留性(流れの有無および程度)などの条件によっては、矩形などの他の平面形状を有する有機薄膜30が形成される場合もある。この場合には、必要に応じて、エッチング法などを用いて所望の平面形状となるように有機薄膜30をパターニングしてもよい。
なお、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12の構成と有機薄膜30の構成とには、以下のような関係がある。
第1に、溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12との連結位置Nは、有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する位置を決定するため、結晶核が形成される位置を決定することになる。よって、連結位置Nに応じて、結晶の成長開始位置および有機薄膜30の形成位置を制御できる。
第2に、溶液蓄積領域11の長さL1は、結晶核を起点として結晶が成長する際に、その結晶成長を継続的に進行させるために溶質を供給し続けることができる有機溶液20の量を決定することになる。よって、長さL1に応じて、有機薄膜30の大きさ(平面サイズ)を制御できる。
第3に、溶液絞込領域12の幅W2は、結晶核の形成範囲および数に影響を及ぼす。幅W2が十分に狭いと、結晶核の形成範囲が極狭い範囲に絞られるため、単一の結晶核が形成されやすくなる。なお、幅W2が大きい場合には、角部Cごとに結晶核が形成されるため、各結晶核を起点として結晶が成長すると考えられる。よって、幅W2が大きくても、その幅W2が十分に狭い場合と同様に、角部Cごとに単結晶の有機薄膜30を形成できるはずである。ただし、角部Cごとに結晶核が形成される場合には、幅W2が狭すぎると、結晶の成長途中において有機薄膜30同士が衝突する可能性があるため、その衝突を回避するためには、むしろ幅W2を十分に大きくすることが好ましい。
第4に、結晶が厚さ方向に成長する量は、その結晶の成長過程において有機溶液20から供給される溶質の供給速度に依存する。すなわち、溶媒の蒸発速度が速くなると、単位時間当たりにおいて結晶成長に消費される溶質の量が多くなるため、有機薄膜30の厚さが厚くなる。一方、溶媒の蒸発速度が遅くなると、単位時間当たりにおいて結晶成長に消費される溶質の量が少なくなるため、有機薄膜30の厚さが薄くなる。この溶質の供給速度の違いは、溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12とにおける溶媒の蒸発速度(気相と接する面積)の違いにより決定されるはずである。よって、幅W1,W2に応じて、有機薄膜30の厚さを制御できる。
[有機薄膜の形成方法の作用および効果]
この有機薄膜の形成方法(溶液温度制御型)では、有機溶液20の温度TSがT1になると共に蒸気圧PがT1における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、温度TSをT1からT2まで低下させている。このT1は、溶解度曲線Y1よりも高温側(範囲R3)に位置する温度であり、T2は、溶解度曲線Y1と過溶度解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度である。
この有機薄膜の形成方法(溶液温度制御型)では、有機溶液20の温度TSがT1になると共に蒸気圧PがT1における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、温度TSをT1からT2まで低下させている。このT1は、溶解度曲線Y1よりも高温側(範囲R3)に位置する温度であり、T2は、溶解度曲線Y1と過溶度解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度である。
この場合には、図1〜図8を参照して説明したように、有機溶液20の温度TSの低下に起因して、溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12との連結位置Nの近傍において有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液20中における狭い範囲に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長するため、有機分子が規則的に配列された単結晶の有機薄膜30が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機薄膜30を形成できる。
特に、単結晶の有機薄膜30を形成するためには、蒸気圧Pが飽和蒸気圧である環境中において溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、その有機溶液20の温度TSを変化させるだけでよい。よって、減圧環境などの特別な環境を必要とせず、特殊な装置なども必要としないため、単結晶の有機薄膜30を容易に形成できる。
また、温度TSをさらにT2よりも低下させれば、結晶成長を進行させるための強い駆動力が生じるため、有機薄膜30の平面サイズを大きくできる。
また、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12が有機溶液20に対して親液性(親液性領域13)であると共にそれ以外の領域が有機溶液20に対して撥液性(撥液性領域14)であれば、濡れ性の違いを利用して有機溶液20が所望の範囲(親液性領域13)に定着しやすくなる。よって、上記した有機溶液20の過飽和度の上昇が確実に生じるため、有機薄膜30の形成位置を正確に制御できる。
[変形例]
なお、チャンバ1に連結管3を介して溶媒タンク4を連結させたが、必ずしもこれに限られない。チャンバ1内の空間が狭い場合には、上記したように、チャンバ1とは別個に溶媒タンク4を設けて、そのチャンバ1に外部から蒸気Vを供給してもよい。これに対して、チャンバ1内の空間が広い場合には、例えば、チャンバ1に溶媒タンク4を連結させる代わりに、補助溶媒6を入れたビーカーなどの容器を基体ホルダ5の上に製膜用基体10と一緒に置いてもよい。この場合には、基体ホルダ5を用いて、有機溶液20の温度TSと補助溶媒6の温度とを一緒に制御できる。
なお、チャンバ1に連結管3を介して溶媒タンク4を連結させたが、必ずしもこれに限られない。チャンバ1内の空間が狭い場合には、上記したように、チャンバ1とは別個に溶媒タンク4を設けて、そのチャンバ1に外部から蒸気Vを供給してもよい。これに対して、チャンバ1内の空間が広い場合には、例えば、チャンバ1に溶媒タンク4を連結させる代わりに、補助溶媒6を入れたビーカーなどの容器を基体ホルダ5の上に製膜用基体10と一緒に置いてもよい。この場合には、基体ホルダ5を用いて、有機溶液20の温度TSと補助溶媒6の温度とを一緒に制御できる。
また、図2では、製膜用基体10の一面に溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を1組だけ設けたが、複数組の溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を設けてもよい。この場合において、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12の組数および配列の仕方は、任意である。
一例を挙げると、図9に示したように、複数組の溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12のうち、隣り合う溶液蓄積領域11同士を連結させた連結領域を形成すると共に、その溶液蓄積領域11同士の連結方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に複数の連結領域を配列してもよい。この場合の連結数および配列数は、任意である。各連結領域では、1つの溶液蓄積領域11に複数の溶液絞込領域12が連結されることになる。ただし、連結領域を1つだけ用いてもよい。
または、図10に示したように、複数の連結領域を配列させた場合(図9)において、その配列方向において隣り合う溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12とを連結させると共に、同方向において溶液絞込領域12の位置をずらしてもよい。溶液絞込領域12の位置をずらしているのは、有機薄膜30同士がぶつかることを避けるためである。ただし、有機薄膜30同士がぶつからない程度まで溶液蓄積領域11の長さL1(図2参照)が十分に大きければ、溶液絞込領域12の位置をずらさなくてもよい。
図9および図10に示したいずれの場合においても、隣り合う溶液絞込領域12間の間隔Dは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜1mmである。複数組の溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12を設けた場合には、連結位置Nの近傍ごとに有機薄膜30が形成されるため、複数の有機薄膜30を一括形成できる。
<1−2.第2実施形態(蒸気圧制御型)>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
ここで説明する有機薄膜の形成方法は、結晶核を形成すると共にその結晶核を起点として結晶を成長させる手順が異なることを除いて、第1実施形態と同様の手順によるものである。以下では、本実施形態における有機薄膜の形成方法について、第1実施形態において説明した図面(図1〜図8)を随時引用しながら説明する。
[有機薄膜の形成工程]
有機薄膜を形成する場合には、第1実施形態と同様に、有機溶液20と、溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2(図8)と、製膜用基体10(図2)とを準備したのち、図3および図4に示したように、チャンバ1の内部に蒸気Vが満たされた環境中において、製膜用基体10の一面(溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12)に有機溶液20(任意の濃度C1:図8)を供給する。
有機薄膜を形成する場合には、第1実施形態と同様に、有機溶液20と、溶解度曲線Y1および過溶解度曲線Y2(図8)と、製膜用基体10(図2)とを準備したのち、図3および図4に示したように、チャンバ1の内部に蒸気Vが満たされた環境中において、製膜用基体10の一面(溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12)に有機溶液20(任意の濃度C1:図8)を供給する。
この場合には、製膜用基体10の温度および補助溶媒6の温度をT2に設定すると共に、蒸気圧Pを温度T2における飽和蒸気圧にして、液相と気相とを平衡状態にする。
ここで設定される温度T2は、図8に示したように、溶解度曲線Y1と過溶解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度であり、より具体的には、例えば、点Bに対応する温度である。これにより、有機溶液20は、結晶成長状態になる。
続いて、有機溶液20の温度TSをT2に維持したまま、蒸気圧Pを低下させる。この場合には、例えば、排気管2を僅かに開けて、チャンバ1内の蒸気Vを外部に排出すればよい。この場合における蒸気Vの排出量(目標蒸気圧)は、任意である。ただし、有機溶液20中において結晶核がランダムに形成されることを防止するために、蒸気圧Pを急激に低下させすぎないことが好ましい。
ここで、有機溶液20中には未だ結晶核が形成されていないため、蒸気圧Pを低下させても、本来であれば、結晶核の形成も結晶の成長も生じないはずである。ところが、蒸気圧Pが低下すると、以下の理由により、図5および図6に示したように、有機溶液20中に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長する。
蒸気圧Pが低下すると、液相と気相との平衡状態が崩れるため、有機溶液20中の溶媒が蒸発しやすくなる。この場合には、幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に有機溶液20が存在しているため、第1実施形態と同様に、連結位置Nの近傍において有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する。よって、有機溶液20中における狭い範囲に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶性が成長するため、単結晶の有機薄膜30が形成される。
最後に、第1実施形態と同様に、必要に応じて製膜用基体10の一面から有機溶液20を除去することにより、図7に示したように、有機薄膜30が得られる。
[有機薄膜の形成方法の作用および効果]
この有機薄膜の形成方法(蒸気圧制御型)では、有機溶液20の温度TSがT2になると共に蒸気圧PがT2における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、蒸気圧Pを低下させている。このT2は、溶解度曲線Y1と過溶度解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度である。
この有機薄膜の形成方法(蒸気圧制御型)では、有機溶液20の温度TSがT2になると共に蒸気圧PがT2における飽和蒸気圧になるようにして幅広の溶液蓄積領域11および幅狭の溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、蒸気圧Pを低下させている。このT2は、溶解度曲線Y1と過溶度解度曲線Y2との間(範囲R2)に位置する温度である。
この場合には、図1〜図8を参照して説明したように、蒸気圧Pの低下に起因して、第1実施形態と同様に、溶液蓄積領域11と溶液絞込領域12との連結位置Nの近傍において有機溶液20の過飽和度が局所的に上昇する。これにより、有機溶液20中における狭い範囲に結晶核が形成されると共に、その結晶核を起点として結晶が成長するため、単結晶の有機薄膜30が形成される。よって、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御して単結晶の有機薄膜30を形成できる。
特に、蒸気圧制御型では、溶液温度制御型よりも短時間で単結晶の有機薄膜30を形成できる。蒸気圧Pを低下させると、有機溶液20の温度TSを低下させる場合よりも溶媒が著しく蒸発しやすいため、その有機溶液20の過飽和度が短時間で上昇しやすいからである。なお、本実施形態に関する上記以外の作用、効果および変形例は、第1実施形態と同様である。
<2.有機デバイスの製造方法>
次に、上記した有機薄膜の形成方法の適用例について説明する。
次に、上記した有機薄膜の形成方法の適用例について説明する。
有機薄膜の形成方法は、有機薄膜を用いた多様な有機デバイスの製造方法に適用可能である。ここでは、有機薄膜の形成方法の適用例として、有機半導体材料を用いて形成された有機薄膜をチャネル層として利用する有機薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法について説明する。
[有機TFTの構成]
図11は、有機薄膜の形成方法を用いて製造される有機TFTの断面構成を表している。この有機TFTは、例えば、基体41の上に、ゲート電極42と、ゲート絶縁層43と、ソース電極44およびドレイン電極45と、チャネル層46とがこの順に積層されたものである。この有機TFTは、ゲート電極42がチャネル層46の下側(基体41に近い側)に位置すると共にソース電極44およびドレイン電極45がチャネル層46の下側に重なるボトムゲート・ボトムコンタクト型である。
図11は、有機薄膜の形成方法を用いて製造される有機TFTの断面構成を表している。この有機TFTは、例えば、基体41の上に、ゲート電極42と、ゲート絶縁層43と、ソース電極44およびドレイン電極45と、チャネル層46とがこの順に積層されたものである。この有機TFTは、ゲート電極42がチャネル層46の下側(基体41に近い側)に位置すると共にソース電極44およびドレイン電極45がチャネル層46の下側に重なるボトムゲート・ボトムコンタクト型である。
基体41は、例えば、上記した製膜用基体10と同様の基板またはフィルムなどである。
ゲート電極42は、基体41の上において、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル、それらの化合物、またはそれらの合金などにより形成されている。
ゲート絶縁層43は、ゲート電極42およびその周辺の基体41を覆っており、例えば、無機絶縁性材料または有機絶縁性高分子材料などにより形成されている。無機絶縁性材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2 )または窒化ケイ素(Si3 N4 )などである。有機絶縁性高分子材料は、例えば、ポリビニルフェノール、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミドまたはフッ素樹脂などである。
ソース電極44およびドレイン電極45は、ゲート絶縁層43の上において互いに分離されており、例えば、無機導電性材料または有機導電性材料などにより形成されている。無機導電性材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、錫(Sn)、マンガン(Mn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ルビジウム(Rb)、それらの化合物、またはそれらの合金などである。有機導電性材料は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)またはテトラチアフルバレン−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)などである。
チャネル層46は、有機薄膜の形成方法を用いて形成される有機薄膜であり、ゲート絶縁層42、ソース電極44およびドレイン電極45の上に形成されている。このチャネル層46は、例えば、以下の有機半導体材料により形成されている。(1)ポリピロールおよびその誘導体、(2)ポリチオフェンおよびその誘導体、(3)ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン類、(4)ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン類、(5)ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、(6)ポリアニリンおよびその誘導体、(7)ポリアセチレン類、(8)ポリジアセチレン類、(9)ポリアズレン類、または(10)ポリピレン類である。(11)ポリカルバゾール類、(12)ポリセレノフェン類、(13)ポリフラン類、(14)ポリ(p−フェニレン)類、(15)ポリインドール類、(16)ポリピリダジン類、(17)ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレンまたはサーカムアントラセンなどのアセン類、(18)アセン類のうちの炭素の一部が窒素(N)、硫黄(S)または酸素(O)などの原子、あるいはカルボニル基などの官能基により置換された誘導体、例えば、トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジンまたはヘキサセン−6,15−キノンなど、(19)ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィドまたはポリビニレンスルフィドなどの高分子材料および多環縮合体、または(20)これらの高分子材料と同じ繰り返し単位を有するオリゴマー類である。(21)金属フタロシアニン類、(22)テトラチアフルバレンおよびその誘導体、(23)テトラチアペンタレンおよびその誘導体、(24)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドと共に、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)およびN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、(25)ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、(26)アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類に代表される縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、(27)C60、C70、C76、C78またはC84などのフラーレン類、(28)単層ナノチューブ(SWNT)などのカーボンナノチューブ、(29)メロシアニン色素類またはヘミシアニン色素類などの色素である。
[有機TFTの製造方法]
有機TFTを製造する場合には、最初に、基体41の一面に、ゲート電極42をパターン形成する。この場合には、例えば、気相成長法などを用いて基体41の表面を覆うようにゲート電極42の形成材料を堆積させて電極層(図示せず)を形成したのち、フォトリソグラフィ法およびエッチング法などを用いて電極層をパターニングする。気相成長法は、例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長(CVD)法などである。エッチング法は、例えば、イオンミリング法または反応性イオンエッチング(RIE)法などのドライエッチング法、あるいはウェットエッチング法などである。なお、パターニング工程では、電極層の表面にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジスト膜をパターニングしたのち、そのフォトレジスト膜をマスクとして電極層をエッチングする。
有機TFTを製造する場合には、最初に、基体41の一面に、ゲート電極42をパターン形成する。この場合には、例えば、気相成長法などを用いて基体41の表面を覆うようにゲート電極42の形成材料を堆積させて電極層(図示せず)を形成したのち、フォトリソグラフィ法およびエッチング法などを用いて電極層をパターニングする。気相成長法は、例えば、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長(CVD)法などである。エッチング法は、例えば、イオンミリング法または反応性イオンエッチング(RIE)法などのドライエッチング法、あるいはウェットエッチング法などである。なお、パターニング工程では、電極層の表面にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジスト膜をパターニングしたのち、そのフォトレジスト膜をマスクとして電極層をエッチングする。
続いて、気相成長法などを用いて、ゲート電極42およびその周辺の基体41を覆うようにゲート絶縁層43を形成する。
続いて、ゲート絶縁層43の上に、ソース電極44およびドレイン電極45をパターン形成する。この場合には、例えば、ゲート絶縁層43の表面を覆うようにソース電極44およびドレイン電極45の形成材料を堆積させて電極層(図示せず)を形成したのち、その電極層をパターニングする。なお、電極層の形成方法およびパターニング方法は、例えば、ゲート電極42を形成した場合と同様である。
最後に、上記した有機薄膜の形成方法を用いて、ゲート絶縁層43、ソース電極44およびドレイン電極45の上に、有機薄膜であるチャネル層46を形成する。この場合には、必要に応じて、親液性領域13または撥液性領域14(図2)を形成するために表面処理(任意の膜形成処理など)を行ってもよい。この有機薄膜の形成方法により形成されるチャネル層46では、結晶の成長方向に応じて電気的特性(例えば電子移動度など)が変化する。このため、チャネル層46を形成する場合には、ソース電極44およびドレイン電極45の位置関係に応じて所望の電気的特性が得られるように、チャネル層46を形成する向きを調整することが好ましい。これにより、有機TFTが完成する。
[有機TFTの製造方法の作用および効果]
この有機TFTの製造方法では、上記した有機薄膜の形成方法を用いてチャネル層46を形成しているので、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御しながら単結晶のチャネル層46が形成される。よって、チャネル層46の電気的特性(電子移動度など)を向上させることができる。これ以外の作用および効果は、有機薄膜の形成方法と同様である。
この有機TFTの製造方法では、上記した有機薄膜の形成方法を用いてチャネル層46を形成しているので、結晶核の形成位置および結晶の成長方向を制御しながら単結晶のチャネル層46が形成される。よって、チャネル層46の電気的特性(電子移動度など)を向上させることができる。これ以外の作用および効果は、有機薄膜の形成方法と同様である。
[変形例]
有機TFTは、例えば、図11に対応する図12に示したように、ソース電極44およびドレイン電極45がチャネル層46の上側に重なるボトムゲート・トップコンタクト型でもよい。この場合には、有機TFTは、基体41の上に、ゲート電極42と、ゲート絶縁層43と、チャネル層46と、ソース電極44およびドレイン電極45とがこの順に積層されたものになる。このトップコンタクト型の有機TFTは、チャネル層46を形成してからソース電極44およびドレイン電極45を形成することを除いて、ボトムコンタクト型の有機TFTと同様の製造手順により製造される。この場合においても、単結晶のチャネル層46が形成されるため、有機TFTの性能を向上させることができる。特に、トップコンタクト型の有機TFTを製造する場合には、チャネル層46を形成する時点においてソース電極44およびドレイン電極45が未だ形成されていないため、ゲート絶縁層43の表面を平坦にすれば、その平坦なゲート絶縁層43の上にチャネル層46を容易かつ高精度に形成できる。
有機TFTは、例えば、図11に対応する図12に示したように、ソース電極44およびドレイン電極45がチャネル層46の上側に重なるボトムゲート・トップコンタクト型でもよい。この場合には、有機TFTは、基体41の上に、ゲート電極42と、ゲート絶縁層43と、チャネル層46と、ソース電極44およびドレイン電極45とがこの順に積層されたものになる。このトップコンタクト型の有機TFTは、チャネル層46を形成してからソース電極44およびドレイン電極45を形成することを除いて、ボトムコンタクト型の有機TFTと同様の製造手順により製造される。この場合においても、単結晶のチャネル層46が形成されるため、有機TFTの性能を向上させることができる。特に、トップコンタクト型の有機TFTを製造する場合には、チャネル層46を形成する時点においてソース電極44およびドレイン電極45が未だ形成されていないため、ゲート絶縁層43の表面を平坦にすれば、その平坦なゲート絶縁層43の上にチャネル層46を容易かつ高精度に形成できる。
また、有機TFTは、例えば、図11に対応する図13および図14に示したように、ゲート電極42がチャネル層46の上側(基体41から遠い側)に位置するトップゲート型でもよい。トップゲート・ボトムコンタクト型の有機TFTは、図13に示したように、基体41の上に、ソース電極44およびドレイン電極45と、チャネル層46と、ゲート絶縁層43と、ゲート電極42とがこの順に積層されたものになる。また、トップゲート・トップコンタクト型の有機TFTは、図14に示したように、基体41の上に、チャネル層46と、ソース電極44およびドレイン電極45と、ゲート絶縁層43と、ゲート電極42とがこの順に積層されたものになる。これらの場合においても、同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。
図1に示した製膜装置100および図9に示した製膜用基体10(溶液絞込領域12の数=3,連結領域の数=1)を用いて、第1実施形態において説明した溶液温度制御型の形成方法を用いて有機薄膜30の形成試験を行った。この製膜用基体10は、シリコン基板の一面を覆うように設けられた有機絶縁膜(ポリビニルピロリドンフィルム)の上にアモルファスフッ素樹脂膜(旭硝子株式会社製サイトップ)が部分的に形成されることにより、親液性領域13(溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12)および撥液性領域14が形成されたものである。製膜用基体10における各部の寸法は、溶液蓄積領域11の幅W1=6500μmおよび長さL1=400μm、溶液絞込領域12の幅W2=10μm、長さL2=100μmおよび間隔D=1mmである。有機溶液20を調製する場合には、溶質として式(1)で表される有機半導体材料、溶媒としてテトラリンを用いると共に、その溶質の濃度を0.5重量%とした。補助溶媒6は、有機溶媒20中の溶媒と同じテトラリンである。
第1実施形態において説明した手順により、補助溶媒6の蒸気V(窒素ガスを含む)が満たされたチャンバ1の内部において、溶液蓄積領域11および溶液絞込領域12に有機溶液20を供給したのち、その有機溶液20の温度TSを変化させた。この場合には、温度T1=25℃、温度T2=19℃、温度T3=17℃とした。
温度TSをT3まで低下させて放置したのち、光学顕微鏡を用いて製膜用基体10の表面を観察したところ、図15および図16に示した結果が得られた。図15および図16は、有機薄膜30の形成方法に関する実験結果を表す光学顕微鏡写真であり、図16(A)〜(C)では、それぞれ図15に示した範囲RA〜RCを拡大している。
図15および図16に示したように、連結位置Nの近傍に、その連結位置Nごとに略三角形の平面形状を有する有機薄膜30が形成された。X線回折法を用いて有機薄膜30を分析したところ、その有機薄膜30は単結晶であることが確認された。
以上、いくつかの実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は各実施形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の有機薄膜の形成方法において用いられる有機材料の種類は、有機半導体材料に限られず、他の種類の材料でもよい。また、本発明の有機薄膜の形成方法は、有機TFT以外の他の有機デバイスの製造方法に適用されてもよい。このような他の有機デバイスとしては、例えば、有機薄膜を偏光フィルタとして利用する光デバイスなどが挙げられる。この光デバイスでは、結晶の成長方向(配向方向)に応じて偏光方向が変化する。
10…製膜用基体、11…溶液蓄積領域、12…溶液絞込領域、13…親液性領域、14…撥液性領域、20…有機溶液、30…有機薄膜、C…角部、N…連結位置。
Claims (9)
- (1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、前記有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備し、
(2)前記有機溶液の温度TSが前記溶解度曲線よりも高温側に位置する温度T1になると共に、前記有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが前記温度T1における飽和蒸気圧になるようにして、前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域に前記有機溶液を供給し、
(3)前記温度TSを前記温度T1から前記溶解度曲線と前記過溶解度曲線との間に位置する温度T2まで低下させる、
有機薄膜の形成方法。 - (4)前記温度TSを前記温度T2から低下させる、請求項1記載の有機薄膜の形成方法。
- (1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、前記有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備し、
(2)前記有機溶液の温度TSが前記溶解度曲線と前記過溶解度曲線との間に位置する温度T2になると共に、前記有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが前記温度T2における飽和蒸気圧になるようにして、前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域に前記有機溶液を供給し、
(3)前記蒸気圧Pを低下させる、
有機薄膜の形成方法。 - 前記有機薄膜は単結晶である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜の形成方法。
- 前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域は前記有機溶液に対して親液性であり、それ以外の領域は前記有機溶液に対して撥液性である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜の形成方法。
- 前記製膜用基体は前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域を複数組有する、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜の形成方法。
- 前記有機材料は有機半導体材料である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜の形成方法。
- 有機薄膜を用いた有機デバイスを製造するために、
(1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、前記有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備し、
(2)前記有機溶液の温度TSが前記溶解度曲線よりも高温側に位置する温度T1になると共に、前記有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが前記温度T1における飽和蒸気圧になるようにして、前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域に前記有機溶液を供給し、
(3)前記温度TSを前記温度T1から前記溶解度曲線と前記過溶解度曲線との間に位置する温度T2まで低下させる、
有機デバイスの製造方法。 - 有機薄膜を用いた有機デバイスを製造するために、
(1)溶媒およびそれに溶解された有機材料を含む有機溶液と、前記有機溶液に関する溶解度曲線(濃度対温度)および過溶解度曲線(濃度対温度)と、互いに連結された溶液蓄積領域およびそれよりも幅が狭い溶液絞込領域を一面に有する製膜用基体とを準備し、
(2)前記有機溶液の温度TSが前記溶解度曲線と前記過溶解度曲線との間に位置する温度T2になると共に、前記有機溶液の周辺環境の蒸気圧Pが前記温度T2における飽和蒸気圧になるようにして、前記溶液蓄積領域および前記溶液絞込領域に前記有機溶液を供給し、
(3)前記蒸気圧Pを低下させる、
有機デバイスの製造方法。
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