JP6317032B2 - 有機半導体膜の製造方法、有機トランジスタ - Google Patents

有機半導体膜の製造方法、有機トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体膜の製造方法、および、有機トランジスタに関する。
軽量化、低コスト化、および、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイおよび有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、並びに、RFID(radio frequency identification)等に、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)が利用されている。
有機薄膜トランジスタの製造においては、有機半導体を有機溶媒等に高濃度に溶解させた溶液(インク)を用いる印刷技術により、省エネルギーかつ低コストで大面積の有機半導体膜を製造することができる可能性がある。
このような有機半導体膜の製造方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1では、薄膜のほぼ全領域が単一の単結晶からなる単結晶性有機半導体薄膜を作製する方法として、有機半導体に親和性の高い有機溶媒に有機半導体を高濃度に溶解して得た第1のインクと、有機半導体に親和性の低い有機溶媒からなる第2のインクとを混合する方法が開示されている。
特開2012−49291号公報
一方、特許文献1においては、所望の効果を得るために、インクを貯留する領域の一部に種結晶が高効率に発生する形状を付与する必要がある。より具体的には、特許文献1においては、小さな液溜部位、大きな液溜部位、および、これらの間の対流を抑制するためのくびれとなる部位を設けることにより、種結晶を高効率に発生させている。しかしながら、上記のような方法では、有機半導体膜の形成領域の形状が限定され、必ずしも汎用性の点では十分とはいえない。
また、本発明者は、種結晶が高効率に発生する形状が付与されていない、親液領域および撥液領域のパターンを有する基板を用いて、特許文献1に記載される手順に従い、基板上の親液領域に第2のインクを付与した後、さらに、親液領域に第1のインクを付与して有機半導体膜の作製を行ったところ、親液領域の一部にしか有機半導体膜が作製されないことを知見した。
本発明は、上記実情を鑑みて、汎用性が高く、所望の領域の略全域に渡って有機半導体膜を製造することができる有機半導体膜の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記製造方法より製造される有機半導体膜を含む有機トランジスタを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、2種のインク間の表面張力の関係、インクの供給時期、使用される有機溶媒の特性などを制御することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 有機半導体および有機半導体に対する親和性が高い第1有機溶媒を含む第1インクと、第1有機溶媒より有機半導体に対する親和性が低く、第1有機溶媒と混和する第2有機溶媒からなる第2インクとを混合して、有機半導体膜を製造する有機半導体膜の製造方法であって、
基板上に第2インクを供給する工程と、
基板上に供給された第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、第2インク上に第1インクを供給して、第1インクおよび第2インクを混合し、その後、第1有機溶媒および第2有機溶媒を除去して有機半導体膜を製造する工程とを有し、
第1有機溶媒の25℃における飽和蒸気圧をp、分子量をMとしたとき、以下の式(X)で求められるZが10より小さく、
同一温度における第1有機溶媒の表面張力γ1と第2有機溶媒の表面張力γ2とが式(Y)の関係を満たす、有機半導体膜の製造方法。なお、飽和蒸気圧の単位はkPaであり、分子量の単位はg/molである。
式(Y) 0<γ2−γ1<5
(2) 第1インク中の有機半導体の濃度が、第1有機溶媒と第2有機溶媒との体積比が3:1である混合溶媒中における有機半導体の溶解度よりも大きい、(1)に記載の有機半導体膜の製造方法。なお、濃度および溶解度のそれぞれの単位は、g/Lである。
(3) 第2インクの供給量に対する第1インクの供給量の体積比が0.3以下である、(1)または(2)に記載の有機半導体膜の製造方法。
(4) 第1インクの供給および第2インクの供給を、インクジェット法により実施する、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機半導体膜の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法より製造される有機半導体膜を含む有機トランジスタ。
本発明によれば、汎用性が高く、所望の領域の略全域に渡って有機半導体膜を製造することができる有機半導体膜の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記製造方法より製造される有機半導体膜を含む有機トランジスタを提供することもできる。
図1Aは、有機半導体膜の製造方法の一実施形態にて用いられる基板の断面図である。 図1Bは、図1Aに示される基板の上面図である。 図1Cは、有機半導体膜の製造方法の一実施形態にて用いられる基板の親液領域上に第2インクを供給した際の断面図である。 図1Dは、図1Cに示される基板の上面図である。 図1Eは、有機半導体膜の製造方法の一実施形態にて用いられる基板の親液領域上に第2インクおよび第1インクを供給した際の断面図である。 図1Fは、図1Eに示される基板の上面図である。 図1Gは、有機半導体膜の製造方法の一実施形態にて用いられる基板の親液領域上に有機半導体膜を作製した際の断面図である。 図1Hは、図1Gに示される基板の上面図である。 特許文献1に具体的に開示されているインクを用いた場合に得られる有機半導体膜を有する基板の断面図である。 図2Bは、図2Aに示される基板の上面図である。
以下に、本発明の有機半導体膜の製造方法(析出方法)について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の特徴点としては、主に、第1インクと第2インクとの表面張力差を調整している点、第1有機溶媒の蒸発速度を調整している点、および、第1インクを供給する時期を調整している点の3つが挙げられる。以下では、図1を参照しながら、上記の特徴点について詳述する。
図1A〜図1Hは、本発明の有機半導体膜の製造方法の一実施形態を工程順に示す図である。なお、図1Aは図1BのA−A線で切断した断面図であり、図1Cは図1DのB−B線で切断した断面図であり、図1Eは図1FのC−C線で切断した断面図であり、図1Gは図1HのD−D線で切断した断面図である。
まず、図1Aおよび図1Bに示すように、親液領域12および撥液領域14を表面に有する基板10を用意し、その後、図1Cおよび図1Dに示すように、親液領域12に第2インク16を供給(付与)する。
次に、図1Eおよび図1Fに示すように、第2インク16上に第1インク18を供給(付与)すると、第1インク18が第2インク16上に層流状に濡れ広がる。このように第1インク18が第2インク16上に濡れ広がるためには、第1インク18と第2インク16との表面張力差が所定の範囲内にあればよい。このように第2インク16上に層状の第1インク18が形成されることにより、親液領域12全域に渡って有機半導体膜が形成されやすくなる。
なお、第2インク16と第1インク18との界面では、第2インク16中の第2有機溶媒と第1インク18中の第1有機溶媒とが相互拡散することで、第1インク18の第2インク16側の領域において有機半導体の溶解度が低下して、有機半導体の結晶が析出し始める。この際、第2インク16と第1インク18との界面の全域に渡って、結晶が略同時に析出し始めるため、結晶が無い領域などの欠陥が生じにくい。
また、第2インク16上に第1インク18を供給する際には、基板10上の第2インク16の蒸発による体積の減少量が第2インク16の供給量に対して10体積%超となる前に、第1インク18の供給を実施する。仮に、第2インク16の減少量が10体積%超となると、第2インク16の蒸発量の増加と共に、第2インク16の液面での対流が大きくなり、第1インク18を第2インク16上に供給した際に、第1インク18の層流拡散が乱されてしまう。また、第2インク16の液面の対流が大きいと、第2インク16と第1インク18との界面も乱されてしまい、局所的に有機半導体の結晶が生じやすくなってしまい、結果として親液領域全域に渡って有機半導体膜が得られにくくなる。
さらに、上述したように、第1インク18は第2インク16上を濡れ広がるが、その際、第1インク18中の第1有機溶媒の蒸発速度が速すぎると、第2インク16との相互拡散の前に、第1有機溶媒の蒸発により局所的に有機半導体の結晶が生じやすくなってしまい、結果として親液領域全域に渡って有機半導体膜が得られにくくなる。そこで、本発明では、第1有機溶媒の蒸発速度を制御している。なお、特定の温度における物質の蒸発量は、その物質の飽和蒸気圧と分子量の平方根との積に比例することが、Langmuir−Knudsenの関係式として知られている。後述する式(X)の関係は、Langmuir−Knudsenの関係式を考慮して作成されたものである。
上記要件を満たすことにより、図1Gおよび図1Hに示すように、所定の親液領域12上の略全域に渡って有機半導体膜20を製造することができる。なお、略全域とは、親液領域12の約70%超の領域であることを意図する。
一方、特許文献1に具体的に開示されている、オルトジクロロベンゼンを含む第1インクおよびジメチルホルムアミド(DMF)を含む第2インクを使用した場合、図2Aおよび図2Bに示すように、親液領域12の約50%程度の領域のみにしか有機半導体膜20を製造することができない。
以下、本発明の有機半導体膜の製造方法(以後、単に「本発明の製造方法」とも称する)の手順の詳細について詳述する。
以下では、まず、本発明の製造方法で使用される第1インクおよび第2インクの成分について詳述する。
<第1インク>
第1インクは、有機半導体および有機半導体に対する親和性が高い第1有機溶媒を含むインクである。言い換えると、第1インクは、有機半導体に対する親和性が高い第1有機溶媒に有機半導体を溶解して得たインクである。
(有機半導体)
使用される有機半導体の種類は特に制限されず、公知の有機半導体を使用することができる。具体的には、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)、テトラメチルペンタセン、および、パーフルオロペンタセン等のペンタセン類、TES−ADT(5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)、および、diF−TES−ADT(2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)等のアントラジチオフェン類、DPh−BTBT(2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン)、および、Cn−BTBT(ベンゾチエノベンゾチオフェン)等のベンゾチエノベンゾチオフェン類、Cn−DNTT(dinaphtho[2,3-b:2',3'-f]thieno[3,2-b]thiophene)等のジナフトチエノチオフェン類、ペリキサンテノキサンテン等のジオキサアンタントレン類、ルブレン類、C60、および、PCBM([6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester)等のフラーレン類、銅フタロシアニン、および、フッ素化銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、P3RT(ポリ(3−アルキルチオフェン))、PQT(ポリ[5,5'−ビス(3−ドデシル−2−チエニル1)−2,2'−ビチオフェン])、および、P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))等のポリチオフェン類、並びに、ポリ[2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン](PBTTT)等のポリチエノチオフェン類等が例示される。
なお、後述するように、上記有機半導体のSP(Solubility Parameter)値(MPa)1/2は、第1有機溶媒のSP値(MPa)1/2および第2有機溶媒のSP値(MPa)1/2との間で所定の関係を満たしていることが好ましい。
なお、有機半導体のSP値(MPa)1/2の測定方法としては、Fedorsの計算方法(R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147−154(1974))を用いる。
(第1有機溶媒)
第1有機溶媒は、上記有機半導体に対する親和性が高い有機溶媒である。親和性が高いとは、有機半導体の溶解度が高いことを意図し、いわゆる有機半導体の良溶媒に該当する。
第1有機溶媒の25℃における飽和蒸気圧をp(kPa)、分子量をM(g/mol)としたとき、以下の式(X)で求められるZは10より小さい。なかでも、形成される有機半導体膜の面積がより大きい点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、Zは8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、0.1以上の場合が多く、取り扱い性の点で、0.5以上の場合が好ましい。
なお、上述したように、上記式(X)は、Langmuir−Knudsenの関係式と同様に、物質の飽和蒸気圧と分子量の平方根との積を表すもので、Zは物質の蒸発速度と関連する。このZが大きいほど、蒸発速度が大きいことを意図する。
第1有機溶媒の種類は特に制限されず、有機半導体の種類に応じて、適宜最適な有機溶媒が選択される。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、および、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;アニソール、および、メチルアニソール等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、および、ベンズアルデヒド等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、および、メトキシプロピルアセテート等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、テトラリン、および、ヘキサデカン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン、および、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、および、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、および、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、および、スルホラン等のスルホン酸系溶媒などが挙げられる。
第1有機溶媒の好適態様としては、有機半導体のSP値(MPa)1/2をAとした時、以下の式(1)の関係を満たすS1のSP値を示す有機溶媒Xが挙げられる。
式(1) A−1.5<S1<A+1.5
つまり、有機半導体のSP値であるAを基準として、上記有機溶媒XのSP値(S1)(MPa)1/2は(A−1.5)超(A+1.5)未満の範囲にあることが好ましい。第1有機溶媒のSP値が上記範囲内であれば、有機半導体に対する第1有機溶媒の親和性がより高く、第1有機溶媒中における有機半導体の溶解度がより高い。なかでも、有機半導体に対する親和性がより高く、高濃度のインクを調製できる点で、有機溶媒XのSP値(S1)の範囲は、式(2)の関係を満たすことが好ましい。
式(2) A−1.0<S1<A+1.0
例えば、有機半導体であるTIPSペンタセンのSP値は19.4(MPa)1/2と計算される。よって、この有機半導体に好適な第1有機溶媒としては、上記式(1)を参照して、SP値(MPa)1/2が17.9超20.9未満の有機溶媒を使用することが好ましい。上記範囲のSP値(MPa)1/2を示す有機溶媒としては、例えば、トルエン(18.2)、テトラリン(19.9)、クロロホルム(19.0)、クロロベンゼン(19.4)、o−ジクロロベンゼン(20.5)、アニソール(19.5)などが挙げられる。なお、上記溶媒記載のカッコ欄は、各溶媒のSP値(MPa)1/2を意図する。
第1有機溶媒のSP値については、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を本発明におけるSP値とする。また、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147−154(1974)に記載の方法で計算した値を本発明におけるSP値とする。
また、後述する第2有機溶媒のSP値に関しても、上記と同様の定義である。
第1有機溶媒の沸点は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、100〜250℃が好ましく、150〜210℃がより好ましい。
なお、沸点(℃)は、1気圧下でのものを意図する。
(第1インクの製造方法)
第1インクは、上述した、第1有機溶媒に有機半導体を溶解させて得られる。
第1インクの製造方法は特に制限されず、例えば、所定量の第1有機溶媒に有機半導体を添加して、必要に応じて、有機半導体が添加された第1有機溶媒に対して、撹拌および/または超音波処理などを施す方法が挙げられる。
第1インク中における有機半導体の濃度(g/L)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、第1有機溶媒と後述する第2有機溶媒との体積比(第1有機溶媒の体積:第2有機溶媒の体積)が3:1である混合溶媒中における有機半導体の溶解度(g/L)よりも大きいことが好ましい。上述したように、第2インク上に第1インクを供給すると、第1インク中の第1有機溶媒と第2インク中の第2有機溶媒とが相互拡散し始める。その際、第1インク中の第2インク側の領域では徐々に第2有機溶媒の濃度が高まっていき、いわゆる混合溶液の状態が形成される。上述したような、第1有機溶媒と第2有機溶媒との体積比が3:1である混合溶媒中における有機半導体の溶解度よりも第1インク中における有機半導体の濃度が大きい場合、第1インク中に拡散した第2有機溶媒の影響により有機半導体が析出しやすくなり、所望の効果が得られやすくなる。
なお、第1インク中における有機半導体の濃度(g/L)の具体的な範囲は使用される有機半導体の種類などによって異なるが、5.0〜50g/Lの場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、7.0〜30g/Lが好ましい。
<第2インク>
第2インクは、第1有機溶媒より有機半導体に対する親和性が低く、第1有機溶媒と混和する第2有機溶媒からなるインクである。
第2有機溶媒は、上記有機半導体に対する親和性が低い有機溶媒である。親和性が低いとは、有機半導体の溶解度が低いことを意図し、いわゆる有機半導体の貧溶媒に該当する。
第2有機溶媒の種類は特に制限されず、有機半導体の種類に応じて、適宜最適な有機溶媒が選択される。有機溶媒としては、例えば、上述した第1有機溶媒で列挙した溶媒が挙げられる。
第2有機溶媒の好適態様としては、有機半導体のSP値(MPa)1/2をAとした時、以下の式(3)または式(4)の関係を満たすS2のSP値を示す有機溶媒Yが挙げられる。
式(3) A−10.0<S2<A−4.0
式(4) A+4.0<S2<A+10.0
つまり、有機半導体のSP値であるAを基準として、上記有機溶媒YのSP値(S2)(MPa)1/2は(A−10.0)超(A−4.0)未満の範囲にあるか、または、(A+4.0)超(A+10.0)未満の範囲にあることが好ましい。第2有機溶媒のSP値が上記範囲内であれば、有機半導体に対する第2有機溶媒の親和性の低さと、第1有機溶媒と第2有機溶媒との混和性とのより良好な両立が可能となる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、有機溶媒YのSP値(S2)の範囲は、式(5)または式(6)の関係を満たすことが好ましい。
式(5) A−7.5<S2<A−4.3
式(6) A+4.3<S2<A+7.5
第2有機溶媒の沸点は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、120〜300℃が好ましく、150〜290℃がより好ましい。
なお、沸点(℃)は、1気圧下でのものを意図する。
上述した第1有機溶媒と第2有機溶媒とは、混和する。混和とは、常温常圧環境下において、いずれに比率においても第1有機溶媒と第2有機溶媒とが均一に混合することを意図する。
第1有機溶媒のSP値と第2有機溶媒のSP値との差(MPa)1/2の絶対値は特に制限されないが、両者がより均一に混和して、本発明の効果がより優れる点で、10未満であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、2.5以上の場合が多い。
<製造方法の手順>
本発明の製造方法は、基板上に第2インクを供給する工程(第2インク供給工程)と、基板上に供給された第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、第2インク上に第1インクを供給して、第1インクおよび第2インクを混合し、その後、第1有機溶媒および第2有機溶媒を除去して有機半導体膜を製造する工程(第1インク供給工程)とを有する。
以下では、それぞれの工程の手順について詳述する。
(第2インク供給工程)
本工程は、基板上に第2インクを供給する工程である。より具体的には、例えば、まず、図1Aおよび図1Bに示すように、親液領域12および撥液領域14を有する基板10を用意して、次に、図1Cおよび図1Dに示すように、親液領域12上に第2インク16を供給する。
本工程で使用される第2インクの態様は、上述の通りである。
基板の種類は特に制限されず、公知の基板(樹脂基板、ガラス基板、金属基板、および、シリコン基板など)を適宜使用できる。例えば、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機TFTを製造する際には、絶縁層上にソース電極およびドレイン電極が形成された基板上のソース電極およびドレイン電極の間に、第1インクおよび第2インクを吐出して、有機半導体結晶を析出させることもできる。
なかでも、所定の位置に有機半導体膜を析出させることができる点で、その表面上に親液領域(親インク領域)および撥液領域(撥インク領域)を有する基板を使用することが好ましい。つまり、いわゆる親液パターンおよび撥液パターンを有する基板が好ましい。このような基板を使用すると、インクジェット法により着滴させた液滴を一定の領域内に画定することができる。
ここで、親液領域とは、溶液が濡れ広がりやすい領域であり、撥液領域とは、溶液が濡れ広がり難い領域である。そのため、インクを基板上に付与した際には、撥液領域ではインクが弾かれやすく、親液領域においてインクが留まりやすい。
なお、基板表面上に親液領域および撥液領域があるとは、言い換えると、基板表面上にインクに対する接触角の大きさが異なる領域が2つあることを意図する。親液領域と撥液領域とのインクに対する接触角の差の絶対値は特に制限されないが、インクがより一方の領域内に留まりやすい点で、20°以上が好ましく、25°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
また、親液領域は、インクに対する接触角が15°以下の領域であることが好ましく、撥液領域は、インクに対する接触角が40°以上の領域であることが好ましい。
なお、上記接触角の測定方法としては、25℃で、親液領域(または、撥液領域)上にインクを滴下して、滴下後1秒時点での接触角を測定する。
親液領域および撥液領域の作製方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、親液化処理としては基板上に光照射(UV(紫外線)照射)を行う方法が挙げられ、撥液化処理としては公知の撥液剤(撥水剤)(例えば、ヘキサメチルジシラザン)を基板上に付与する方法が挙げられる。
親液領域と撥液領域とを作製する際には、基板表面の一部に上記親液化処理および/または上記撥液化処理を実施すればよく、両者の処理を所定の場所に実施してもよい。
基板上の親液領域の形状は特に制限されず、例えば、四角形状、角丸長方形状、円形状、楕円形状、および、三角形状などが挙げられる。
基板上の親液領域の数は特に制限されず、少なくとも1つあればよく、複数あってもよい。複数の親液領域がある場合、それぞれの親液領域の大きさ(面積)および/または形状は異なっていてもよい。
第2インクを基板上に供給(付与)する方法は特に制限されず、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、カーテンコート法、キャスト法、および、スクリーン転写法などの公知の方法が採用できる。なかでも、所定の位置に第2インクを付与しやすい点で、インクジェット法が好ましい。
インクジェット法にて第2インクを吐出する際の一滴あたりの体積量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1〜1000pLが好ましく、10〜100pLがより好ましい。
なお、インクジェット装置としては、インクジェットヘッドを備えた公知の装置を使用することができる。
(第1インク供給工程)
本工程は、第2インク上に第1インクを供給して、第1インクおよび第2インクを混合し、その後、第1有機溶媒および第2有機溶媒を除去して有機半導体膜を製造する工程である。より具体的には、図1Eおよび図1Fに示すように、第2インク16上に第1インク18を供給して、その後、図1Gおよび図1Hに示すように、第1インク18中の第1有機溶媒および第2インク16中の第2有機溶媒を除去することにより、有機半導体膜20を製造する。
本工程で使用される第2インクの態様は、上述の通りである。
なお、同一温度における第1有機溶媒の表面張力γ1と第2有機溶媒の表面張力γ2とが式(Y)の関係を満たす。つまり、所定の温度Tにおける第1有機溶媒の表面張力γ1と、所定の温度Tにおける第2有機溶媒の表面張力γ2とが、以下の式(Y)の関係を満たす。なお、所定の温度Tとしては25℃が好ましく、言い換えると、以下の関係は25℃において満たされることが好ましい。
式(Y) 0<γ2−γ1<5
上述したように、式(Y)の関係が満たされることにより、第1インクを第2インク上に供給した際に、第1インクが第2インク上に層流状に濡れ広がる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、以下の式(Z)の関係を満たすことが好ましい。
式(Z) 0<γ2−γ1<3
第2インク上に第1インクを供給する方法は特に制限されず、上記(第2インク供給工程)にて説明した第2インクを供給する方法が挙げられ、なかでも、インクジェット法が好ましい。
なお、本工程では、基板上に供給された第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、第2インク上に第1インクを供給する。上述したように、第2インクの蒸発による体積の減少量が10体積%超となると、第2インクの液面での対流が大きくなり、第1インクの層流拡散(濡れ広がり)が乱されてしまい、かつ、第1有機溶媒と第2有機溶媒との相互拡散が局所的に進行してしまうため、所望の効果が得られない。
なお、本発明の効果がより優れる点で、第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して8体積%超となる前に、第2インク上に第1インクを供給することが好ましい。上記減少量の下限は特に制限されないが、0体積%が挙げられる。なお、上記第2インクの供給量とは、上記第2インク供給工程にて基板上に供給された第2インクの量を意図する。
上記第1インクの供給時期の決定方法は特に制限されず、基板上の第2インクの量を直接測定しながら第1インクの供給時期を決定する方法(方法1)や、予め第2インクの単位時間当たりの蒸発量を算出しておき、第1インクの供給時期を決定する方法(方法2)が挙げられる。
なお、予め第2インクの単位時間当たりの蒸発量を算出する方法としては、例えば、基板上に所定量の第2インクを供給して第2インクが全て蒸発するまでの時間Tを算出し、上記と同量の第2インクが基板上に供給された場合には、第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%となる時期をT/10時間経過時とする方法が挙げられる。この場合、上記方法2の態様では、T/10時間経過前までに第1インクを第2インクに供給すればよい。
第2インク上に供給される第1インクの供給量は特に制限されず、使用される有機半導体の種類によって適宜最適な量が選択される。通常、第2インクの供給量に対する第1インクの供給量の体積比(第1インクの供給量/第2インクの供給量)が0.05〜1.0である場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、0.3以下であることが好ましく、0.05〜0.3であることがより好ましい。
第2インク上に第1インクを供給した後、両者の混合溶液から第1有機溶媒および第2有機溶媒を除去することにより、有機半導体膜が得られる。
第1有機溶媒および第2有機溶媒を除去する方法は特に制限されず公知の方法が採用され、第1有機溶媒および第2有機溶媒を蒸発(揮発)させて除去する方法が好ましい。第1有機溶媒および第2有機溶媒を蒸発させる方法は特に制限されず、室温下で静置する方法や、加熱条件下で静置する方法や、風乾する方法などが挙げられる。
上記手順により製造した有機半導体膜には、種々の用途に好適に使用することができる。特に、有機トランジスタの有機半導体膜に好適使用することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(親液領域および撥液領域を有する基板Aの作製)
200nmの酸化膜付きSiウェハにUV/O処理を行い、表面の清浄化処理、および、親液化処理を行った。その後、親液化処理が施されたSiウェハを、5質量%のオクタデシルトリメトキシシラン/トルエン溶液に一晩浸漬して表面を撥液化した。この撥液表面上に、600μm×100μmの開口を持つメタルマスクを磁石で吸着させ、その状態で再度UV/O処理を行うことで、メタルマスク開口部分に対応する親液領域と、メタルマスクで遮蔽された部分に対応する撥液領域を形成した。なお、後述する実施例および比較例で使用するインク(第1インクおよび第2インク)の接触角は、親液領域では15°未満であり、撥液領域では50°超であった。
<実施例1>
2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(C8−BTBT)(SP値:20.2(MPa)1/2)を所定量はかり取り、アニソール(SP値:19.5(MPa)1/2)に加えて、C8−BTBTの濃度が12g/Lの第1インクを作製した。
また、ジメチルホルムアミド(DMF)(SP値:24.9(MPa)1/2)からなる第2インクを用意した。
なお、アニソールとDMFとの体積比(アニソール:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は9.8g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、アニソールの25℃における飽和蒸気圧は0.47kPaであり分子量は108.1g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は4.9であり、10未満であった。
また、アニソールの25℃における表面張力(γ1)は34.2mN/m、DMFの25℃における表面張力(γ2)は35.8mN/mであり、両者の表面張力差(γ2−γ1)は1.6であり、上述した式(Y)の関係を満たしていた。
上述した第1インクおよび第2インクの組み合わせをそれぞれ別のインクジェットヘッドに充填した。第1インクおよび第2インクそれぞれの吐出体積量(1滴あたりの体積量)は、90pLおよび120pLとした。
まず、吐出の順番としては、第2インク(30滴)を親液領域内に打滴して親液領域全域を第2インクで満たした後、第2インクの体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、第2インク上に第1インク(4滴)(第1インクの供給量は、第2インクの供給量の1/10(体積比)に該当)を打滴して、第1インクおよび第2インクを混合した。なお、第1インクの供給時期としては、より具体的には、第2インクを親液領域に供給した後、0.9秒後であった。親液領域上に上記と同様の第2インクを供給した後、その全量が蒸発するまでの時間が11.4秒であったことから、上記第1インクの供給時期の際には、第2インクの体積の減少量としては、約7.9体積%と計算される。
第1インクおよび第2インクの混合後、数秒後に第1インクと第2インクとの界面にて有機半導体結晶が析出し、その後数分で溶媒が蒸発して乾燥し、有機半導体膜が得られた。得られた有機半導体膜に対して、以下の評価を実施した。結果は表1に示す。
(評価)
析出した有機半導体膜をクロスニコル顕微鏡で観察し、親液領域内における有機半導体膜の占有率{(有機半導体膜の面積/親液領域の面積)×100}を評価した。評価基準は以下の通りであり、A〜Cであることが好ましい。
「A」:占有率が90%超
「B」:占有率が80%超90%以下
「C」:占有率が70%超80%以下
「D」:占有率が70%以下
<実施例2>
第1有機溶媒をテトラリン(SP値:19.9(MPa)1/2)とし、C8−BTBTの濃度を18.0g/Lとし、第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して3/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、テトラリンとDMFとの体積比(テトラリン:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は16.5g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、テトラリンの25℃における飽和蒸気圧は0.050kPaであり分子量は132.2g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は0.6であり、10未満であった。
また、テトラリンの25℃における表面張力(γ1)は34.5mN/mであり、DMFの25℃における表面張力(γ2)とテトラリンの25℃における表面張力(γ1)との表面張力差(γ2−γ1)は1.3であり、上述した式(Y)の関係を満たしていた。
<実施例3>
第1有機溶媒をシクロヘキサノン(SP値:19.6(MPa)1/2)とし、C8−BTBTの濃度を7.0g/Lとし、第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して3/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、シクロヘキサノンとDMFとの体積比(シクロヘキサノン:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は6.4g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、シクロヘキサノンの25℃における飽和蒸気圧は0.670kPaであり分子量は98.2g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は6.6であり、10未満であった。
また、シクロヘキサノンの25℃における表面張力(γ1)は34.4mN/mであり、DMFの25℃における表面張力(γ2)とシクロヘキサノンの25℃における表面張力(γ1)との表面張力差(γ2−γ1)は1.4であり、上述した式(Y)の関係を満たしていた。
<実施例4>
C8−BTBTの濃度を6.3g/Lとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例5>
C8−BTBTの濃度を12.6g/Lとした以外は、実施例2と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例6>
C8−BTBTの濃度を4.7g/Lとした以外は、実施例3と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例7>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して5/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例8>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して5/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例2と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例9>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して4/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例3と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例10>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して5/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例4と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例11>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して5/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例5と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例12>
第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して4/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例6と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例1>
インクの供給方法として、第1インク(4滴)を親液領域内に打滴して親液領域全域を第1インクで満たした後、第1インク上に第2インク(20滴)を打滴した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、第2インクの供給時期としては、第1インクを親液領域に供給した後、0.9秒後であり、第1インク中の有機溶媒が残存している状態で第2インクを供給した。
<比較例2>
インクの供給方法として、第1インク(12滴)を親液領域内に打滴して親液領域全域を第1インクで満たした後、第1インク上に第2インク(20滴)を打滴した以外は、実施例2と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、第2インクの供給時期としては、第1インクを親液領域に供給した後、0.9秒後であり、第1インク中の有機溶媒が残存している状態で第2インクを供給した。
<比較例3>
インクの供給方法として、第1インク(12滴)を親液領域内に打滴して親液領域全域を第1インクで満たした後、第1インク上に第2インク(20滴)を打滴した以外は、実施例3と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、第2インクの供給時期としては、第1インクを親液領域に供給した後、0.9秒後であり、第1インク中の有機溶媒が残存している状態で第2インクを供給した。
<比較例4>
第1インクの供給時期を、第2インクを親液領域に供給した後、5秒後に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例5>
第1インクの供給時期を、第2インクを親液領域に供給した後、5秒後に変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例6>
第1インクの供給時期を、第2インクを親液領域に供給した後、5秒後に変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例7>
第1有機溶媒をクロロベンゼン(SP値:19.6(MPa)1/2)とし、C8−BTBTの濃度を30.0g/Lとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、クロロベンゼンとDMFとの体積比(クロロベンゼン:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は24.6g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、クロロベンゼンの25℃における飽和蒸気圧は1.599kPaであり分子量は112.6g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は17であり、10未満ではなかった。
また、クロロベンゼンの25℃における表面張力(γ1)は33.0mN/mであり、DMFの25℃における表面張力(γ2)とクロロベンゼンの25℃における表面張力(γ1)との表面張力差(γ2−γ1)は2.8であり、上述した式(Y)の関係を満たしていた。
<比較例8>
第1有機溶媒をジクロロベンゼン(SP値:20.5(MPa)1/2)とし、C8−BTBTの濃度を22.0g/Lとし、第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して3/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、ジクロロベンゼンとDMFとの体積比(ジクロロベンゼン:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は20.6g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、ジクロロベンゼンの25℃における飽和蒸気圧は0.20kPaであり分子量は147g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は2.4であり、10未満であった。
また、ジクロロベンゼンの25℃における表面張力(γ1)は36.5mN/mであり、DMFの25℃における表面張力(γ2)とジクロロベンゼンの25℃における表面張力(γ1)との表面張力差(γ2−γ1)は−0.7であり、上述した式(Y)の関係を満たしていなかった。
<比較例9>
第1有機溶媒をメシチレン(SP値:17.8(MPa)1/2)とし、C8−BTBTの濃度を30.0g/Lとし、第1インクの供給量を第2インクの供給量に対して3/10となるように打滴数を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機半導体膜を作製し、評価を実施した。結果を表1に示す。
なお、メシチレンとDMFとの体積比(メシチレン:DMF)3:1の混合液中におけるC8−BTBTの溶解度は27.3g/Lであり、第1インク中におけるC8−BTBTの濃度(g/L)のほうが大きかった。
また、メシチレンの25℃における飽和蒸気圧は0.330kPaであり分子量は120.2g/molであり、上述した式(X)にて求められるZ(=p×√M)は3.6であり、10未満であった。
また、メシチレンの25℃における表面張力(γ1)は27.6mN/mであり、DMFの25℃における表面張力(γ2)とメシチレンの25℃における表面張力(γ1)との表面張力差(γ2−γ1)は8.2であり、上述した式(Y)の関係を満たしていなかった。
表1中、「表面張力差」欄では、上記式(Y)の関係を満たす場合を「A」、式(Y)の関係を満たさない場合を「B」とする。
表1中、「蒸発速度」欄では、上記式(X)より求められるZ(=p×√M)が10未満の場合を「A」、10以上の場合を「B」とする。
表1中、「打滴順」欄では、「インク2→1」はインク2を基板上に供給した後、インク1をさらに供給したことを表し、「インク1→2」はインク1を基板上に供給した後、インク2をさらに供給したことを表す。
表1中、「打滴間隔」欄では、基板上に供給された第2インクの蒸発による体積の減少量が第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、第2インク上に第1インクを供給した場合を「A」、10体積%超となった後に、第2インク上に第1インクを供給した場合を「B」とする。
表1中、「第1インク濃度」欄では、第1インク中の有機半導体の濃度が、第1有機溶媒と第2有機溶媒との体積比が3:1である混合溶媒中における有機半導体の溶解度よりも大きい場合を「A」、小さい場合を「B」とする。
表1に示すように、本発明の有機半導体膜の製造方法によれば、所望の領域の略全域に有機半導体膜を作製できることが確認された。
なかでも、実施例1と4(または、2と5、もしくは、3と6)との比較より、第1インク中の有機半導体の濃度が、第1有機溶媒と第2有機溶媒との体積比が3:1である混合溶媒中における有機半導体の溶解度よりも大きい場合、より優れた効果が得られることが確認された。
また、実施例1と7(または、2と8、もしくは、3と9)との比較より、第2インクの供給量に対する第1インクの供給量の体積比が0.3以下である場合、より優れた効果が得られることが確認された。
一方、比較例に示すように、インク打滴順が所定の順番でない比較例1〜3、第1インクを供給する時期が所定の時期でない比較例4〜6、および、第1有機溶媒が所定の特性を満たさない比較例7〜9においては、親液領域の約半分程度の領域のみしか有機半導体膜が形成されず、所望の効果が得られなかった。
10 基板
12 親液領域
14 撥液領域
16 第2インク
18 第1インク
20 有機半導体膜

Claims (4)

  1. 有機半導体および前記有機半導体に対する親和性が高い第1有機溶媒を含む第1インクと、前記第1有機溶媒より前記有機半導体に対する親和性が低く、前記第1有機溶媒と混和する第2有機溶媒からなる第2インクとを混合して、有機半導体膜を製造する有機半導体膜の製造方法であって、
    基板上に前記第2インクを供給する工程と、
    前記基板上に供給された第2インクの蒸発による体積の減少量が前記第2インクの供給量に対して10体積%超となる前に、前記第2インク上に第1インクを供給して、前記第1インクおよび前記第2インクを混合し、その後、前記第1有機溶媒および前記第2有機溶媒を除去して前記有機半導体膜を製造する工程とを有し、
    前記第1有機溶媒の25℃における飽和蒸気圧をp、分子量をMとしたとき、以下の式(X)で求められるZが10より小さく、

    同一温度における前記第1有機溶媒の表面張力γ1と前記第2有機溶媒の表面張力γ2とが式(Y)の関係を満たす、有機半導体膜の製造方法。なお、前記飽和蒸気圧の単位はkPaであり、前記分子量の単位はg/molである。
    式(Y) 0<γ2−γ1<5
  2. 前記第1インク中の前記有機半導体の濃度が、前記第1有機溶媒と前記第2有機溶媒との体積比が3:1である混合溶媒中における前記有機半導体の溶解度よりも大きい、請求項1に記載の有機半導体膜の製造方法。なお、前記濃度および前記溶解度のそれぞれの単位は、g/Lである。
  3. 前記第2インクの供給量に対する前記第1インクの供給量の体積比が0.3以下である、請求項1または2に記載の有機半導体膜の製造方法。
  4. 前記第1インクの供給および前記第2インクの供給を、インクジェット法により実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
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