JP6259390B2 - 有機トランジスタの製造方法、有機トランジスタ - Google Patents

有機トランジスタの製造方法、有機トランジスタ Download PDF

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本発明は、有機トランジスタの製造方法、および、有機トランジスタに関する。
軽量化、低コスト化、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(RFタグ)等に、有機トランジスタ(有機TFT)が利用されている。
有機トランジスタの製造においては、有機半導体化合物を溶媒等に高濃度に溶解させた溶液(インク)を介する印刷技術により、省エネルギーかつ低コストで大面積の有機半導体層を製造することができる可能性がある。
このような有機半導体層の製造方法としては種々の方法が提案されており、例えば、特許文献1では、バンクと呼ばれる壁を用いて、有機トランジスタを製造する方法が開示されている。より具体的には、図11(A)に示すように、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12を覆うように基板10上に配置されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に配置されたソース電極16およびドレイン電極18と、ソース電極16およびドレイン電極18の一部を横切って配置された環状のバンク20とを備える積層体を用意し、環状のバンク20内に有機半導体化合物および溶媒を含むインク50を付与する。図12に示すように、バンク20は、ソース電極16およびドレイン電極18との間の電極間領域を囲うように配置される。なお、図11(A)は、図12中の断面A−Aで切断した断面図である。このように、特許文献1においては、ソース電極16上およびドレイン電極18上に環状のバンク20を形成して、形成されたバンク20内に有機半導体化合物を含むインクを吐出して、充填することにより、バンク20内に有機半導体層を形成している。
特開2007−273874号公報
昨今、有機トランジスタの小型化や高性能化が進められるなか、有機トランジスタに対して、より優れた移動度(特に、電界効果移動度)が求められている。
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にして、ソース電極上およびドレイン電極上を横切る環状のバンクを用いて、バンク内に有機半導体層を形成して有機トランジスタを作製し、その移動度を評価したところ、得られた移動度は昨今求められるレベルを満たしておらず、さらなる改良が必要であることを知見した。
特許文献1においては、図11(B)に示すように、環状のバンク20内にインク50を付与することにより、環状のバンク20の側面に接するインク層22が形成され、インク層22内に含まれる溶媒を揮発させることにより、図11(C)に示すように、有機半導体層24が形成される。その際、図11(B)の白抜き矢印で示すように、インク層22中の溶媒はインク層22の表面から様々な方向に揮発しやすく、有機半導体化合物の析出が至る場所で生じてしまい、結果として形成される有機半導体層24中の有機半導体化合物の結晶の配向が無秩序となりやすい。そのため、ソース電極16およびドレイン電極18間での移動度が低下したものと思われる。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、高い移動度を示す有機トランジスタを製造することができる有機トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、高い移動度を示す有機トランジスタを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、乾燥処理を施すことにより有機半導体層となるインク層の形状を制御して、インク層中の溶媒を揮発させることにより、高い移動度を示す有機トランジスタが得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 有機半導体化合物および溶媒を含むインクを用いて形成される有機半導体層を備える有機トランジスタの製造方法であって、
基板上にゲート電極を形成する工程と、
ゲート電極を覆うように、基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
ゲート絶縁膜上に、ゲート絶縁膜よりもインクに対する濡れ性が低い表面を有する、ソース電極およびドレイン電極を第1の方向に互いに対向するように形成する工程と、
ソース電極とドレイン電極との間に挟まれた電極間領域の外側で、ソース電極およびドレイン電極のうち一方の電極側に偏って配置され、かつ、ソース電極およびドレイン電極の表面よりもインクに対する濡れ性が低い障壁領域を形成する工程と、
障壁領域とソース電極およびドレイン電極のうち他方の電極との間にインクを供給して、障壁領域から他方の電極上にまで至り、一端部が障壁領域に接し、かつ、他端部が他方の電極上にて第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層を形成する工程と、
インク層を乾燥させることで、それぞれソース電極とドレイン電極とを互いに連結し、第1の方向に延びる複数の結晶粒を含む有機半導体層を形成する工程とを備える、有機トランジスタの製造方法。
(2) インク層を乾燥させることにより、インク層の固液界面が他方の電極側から障壁領域側に移動するように、インク層に含まれる溶媒が揮発し、有機半導体化合物が順次析出し、有機半導体層が形成される、(1)に記載の有機トランジスタの製造方法。
(3) インクの供給をインクジェット法にて実施する、(1)または(2)に記載の有機トランジスタの製造方法。
(4) インクを供給する際に、第2の方向に沿って複数のインクの液滴を供給する、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
(5) 障壁領域が、ソース電極およびドレイン電極よりも第2の方向に張り出すように第2の方向に延在する領域である、(1)〜(4)のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
(6) 障壁領域が、一方の電極上に重なって配置される、(1)〜(5)のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
(7) ソース電極およびドレイン電極の表面に撥液化処理が施されている、(1)〜(6)のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
(8) 基板と、
基板上に配置されたゲート電極と、
ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、
ゲート絶縁膜上に第1の方向に互いに対向して配置されたソース電極およびドレイン電極と、
ソース電極とドレイン電極との間に挟まれた電極間領域の外側で、かつ、ソース電極およびドレイン電極のうち一方の電極側に偏って配置された障壁領域と、
それぞれソース電極とドレイン電極とを互いに連結し、第1の方向に延びる複数の結晶粒を含み、かつ、一端部が障壁領域に接触し、他端部が他方の電極上にて第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状に延びる有機半導体層と、を備える、有機トランジスタ。
本発明によれば、高い移動度を示す有機トランジスタを製造することができる有機トランジスタの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、高い移動度を示す有機トランジスタを提供することもできる。
有機トランジスタの製造方法の第1実施形態を工程順に示す断面図である。 図1(D)に示される積層体の上面図である。 図1(E)に示される積層体の上面図である。 (A)は図1(F)に示される積層体の上面図であり、(B)は略直線状の概念を説明する図である。 図1(G)に示される積層体の上面図である。 (A)は有機トランジスタの第1実施形態の断面図であり、(B)は(A)に示される有機トランジスタの一部拡大上面図である。 (A)は有機トランジスタの製造方法の第2実施形態の障壁部を有する積層体の上面図であり、(B)は(A)中の断面F−Fで切断した断面図である。 図7で示した積層体にインクを付与してインク層を形成した際の断面図である。 有機トランジスタの製造方法の第3実施形態の撥液領域を有する積層体の断面図である。 図9で示した積層体にインクを付与してインク層を形成した際の断面図である。 従来の有機トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図である。 図11(A)に示される積層体の上面図である。
以下に、本発明の有機トランジスタの製造方法について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において「第1の方向」とは、ソース電極、ドレイン電極が形成するチャネルの長さ(電極間の距離)方向、また「第2の方向」とは第1の方向と直交する方向を該当する。
まず、本発明の特徴点としては、形成されるインク層の範囲を制御すると共に、電極上に位置するインク層の固液界面から溶媒を徐々に揮発させて、一定の方向に沿って有機半導体化合物を順次析出させることにより、移動度に優れる有機トランジスタを製造している点が挙げられる。
以下、本発明に係る有機トランジスタの製造方法についての好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
本発明の有機トランジスタの製造方法の第1実施形態は、基板上にゲート電極を形成する工程S1と、ゲート電極を覆うようにゲート絶縁膜を基板上に形成する工程S2と、ゲート絶縁膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程S3と、所定の障壁部を形成する工程S4と、有機半導体化合物および溶媒を含むインク(以後、単に「インク」とも称する)を用いてインク層を形成する工程S5と、インク層から有機半導体層を形成する工程S6とを備える。
図1は、本発明の有機トランジスタの製造方法の第1実施形態を工程順に示す図である。以下に、図面を参照しながら、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。
[工程S1:ゲート電極形成工程]
工程S1は、基板上にゲート電極を形成する工程である。具体的には、図1(A)に示すように、本工程S1を実施することにより、基板10上にゲート電極12が形成される。
基板10の種類は特に制限されず、主に、ガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルムが挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
ゲート電極12を構成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。なかでも、金属であることが好ましく、銀、アルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極12を形成する方法は特に制限されず、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて基板10上に形成した導電性薄膜に対して、公知のフォトリソグラフ法を用いてエッチング処理を施してゲート電極12を形成する方法や、基板10上に所定のパターンのマスクを配置して、蒸着やスパッタリング等を実施してゲート電極12を形成する方法がある。
また、導電性高分子の溶液または分散液を用いて直接インクジェット法により基板10上にパターニングしてゲート電極12を形成してもよいし、フォトリソグラフ法やレーザアブレーション法を用いて塗工膜からゲート電極12を形成してもよい。さらに導電性高分子や導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート電極12の厚みは特に制限されないが、20〜1000nmであることが好ましい。
ゲート電極12のパターン形状は特に制限されず、適宜最適な形状が選択される。
[工程S2:ゲート絶縁膜形成工程]
工程S2は、ゲート電極を覆うように、基板上にゲート絶縁膜を形成する工程である。具体的には、図1(B)に示すように、本工程S2を実施することにより、基板10上にゲート電極12を覆うようにゲート絶縁膜14が形成される。
ゲート絶縁膜14の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾキサゾール、ポリシルセスキオキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;窒化珪素等の窒化物などが挙げられる。これらの材料のうち、ゲート絶縁膜14の材料としては、取り扱い性の点から、有機絶縁材料を用いることが好ましい。
ゲート絶縁膜14の材料としてポリマーを用いる場合、架橋剤(例えば、メラミン)を併用するのが好ましい。架橋剤を併用することで、ポリマーが架橋されて、形成されるゲート絶縁膜14の耐久性が向上する。
ゲート絶縁膜14を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極12が形成された基板10上に、有機絶縁材料を含むゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜14を形成する方法、蒸着またはスパッタリングによりゲート絶縁膜14を形成する方法などが挙げられる。
なお、ゲート絶縁膜形成用組成物には、必要に応じて、溶媒(水、または、有機溶媒)が含まれていてもよい。また、ゲート絶縁膜形成用組成物には架橋成分が含まれてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含有する有機絶縁材料に対し、メラミン等の架橋成分を添加することで、ゲート絶縁膜14に架橋構造を導入することもできる。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、インクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが好ましい。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜14を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
ゲート絶縁膜14の膜厚は特に限定されず、50nm〜3μmが好ましく、200nm〜1μmがより好ましい。
[工程S3:ソース電極・ドレイン電極形成工程]
工程S3は、ゲート絶縁膜上に、ゲート絶縁膜よりもインクに対する濡れ性が低い表面を有するソース電極およびドレイン電極を第1の方向に互いに対向するように形成する工程である。具体的には、図1(C)に示すように、本工程S3を実施することにより、ゲート絶縁膜14上に、第1の方向に互いに対向するソース電極16およびドレイン電極18が形成される。
ソース電極16およびドレイン電極18は、互いに対向する方向(第1の方向)に直交する方向(第2の方向)に延在する、矩形状の電極である。
なお、本明細書において、直交とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。具体的には、90±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましい。
ソース電極16およびドレイン電極18を構成する材料としては、上述したゲート電極12を構成する材料が挙げられる。また、ソース電極16およびドレイン電極18の形成方法としては、上述したゲート電極12を形成する方法が挙げられる。
ソース電極16およびドレイン電極18の厚みは特に制限されないが、20〜1000nmであることが好ましい。
なお、本工程で形成されるソース電極16およびドレイン電極18の表面は、後述するインクに対する濡れ性が、上述したゲート絶縁膜14の表面よりも低い。つまり、インクは、ゲート絶縁膜14表面上よりも、ソース電極16表面上およびドレイン電極18表面上において濡れ広がりにくい。そのため、ゲート絶縁膜14表面上よりも、ソース電極16表面上およびドレイン電極18表面上にてインクの移動速度が落ちる。
上記のような濡れ性の関係を満足するためには、ゲート絶縁膜、ソース電極およびドレイン電極それぞれを構成する材料の組み合わせを適宜選択する方法や、ソース電極およびドレイン電極に対して撥液化処理を施す方法が挙げられる。撥液化処理としては、例えば、撥液材料をソース電極およびドレイン電極の表面に付与して、ソース電極表面およびドレイン電極表面を撥液化させる処理や、CFなどのフッ素含有ガスを用いたプラズマ処理をソース電極表面およびドレイン電極表面に施す処理などが挙げられる。
なお、上記撥液材料としては、例えば、フッ素原子含有化合物や、炭化水素化合物が挙げられる。なお、これらの化合物には、チオール基、ジスルフィド基、または、アルコキシシラン基などが含まれていてもよく、これらの基を介してソース電極およびドレイン電極に結合してもよい。撥液材料の具体例としては、フッ化アルキル系シランカップリング剤、アルキルチオール、または、パーフルオロアルキルチオールなどが挙げられる。
なお、本明細書における濡れ性の大小は、水、および、ヨウ化メチルの接触角から計算される表面エネルギーの値で決定している。一般に表面エネルギーが大きいほど濡れ性が大きく、表面エネルギーが小さいほど濡れ性が小さい。
[工程S4:障壁領域形成工程]
工程S4は、ソース電極とドレイン電極との間に挟まれた電極間領域の外側で、ソース電極およびドレイン電極のうち一方の電極側に偏って配置され、かつ、ソース電極およびドレイン電極よりもインクに対する濡れ性が低い障壁領域を形成する工程である。具体的には、図1(D)に示すように、本工程S4を実施することにより、ソース電極16とドレイン電極18との間の電極間領域30に重ならないように、電極間領域30の外側で、ソース電極16側に偏って配置された障壁部32が形成される。
なお、図2は図1(D)の障壁部32を有する積層体を上面から見た上面図(図1(D)中の上側から下側に向かって見た図)であり、図1(D)は図2の断面B−Bで切断した断面図である。
障壁部32は、後述するインク層の広がりを抑制する障壁領域であり、ソース電極16およびドレイン電極18が対向する第1の方向と直交する方向(第2の方向)に延在する矩形状のパターンである。障壁部32のパターン形状としては、図に示すような矩形状以外の形状であってもよいが、障壁部32(障壁領域)の電極間領域30側の端部が第2の方向に沿って略直線状になることが好ましい。このような態様であれば、ドレイン電極18上に位置するインク層の端部が第2の方向に沿って略直線状になりやすい。なお、略直線状の定義は、後段において詳述する。
また、障壁部32は、ソース電極16およびドレイン電極18よりも第2の方向に張り出すように、第2の方向に延在する。言い換えれば、障壁部32は、ソース電極16およびドレイン電極18よりも第2の方向においてより長い。
また、障壁部32は、ゲート絶縁膜14と接し、かつ、ソース電極16上の一部に重なるように配置される。より具体的には、障壁部32は、ソース電極16の外側(電極間領域30とは反対側)に位置するゲート絶縁膜14と接する。また、障壁部32は、ソース電極16表面上の外側(電極間領域30とは反対側)の領域と接する。
なお、図1(D)においては、ソース電極16上に障壁部32が形成されているが、この態様には限定されず、ドレイン電極18上に障壁部32が配置されていてもよい。
障壁部32を構成する材料は、ソース電極16およびドレイン電極18の表面よりもインクに対する濡れ性が低くなるような材料であれば特に制限されず、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン等の無機化合物材料、イミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、ノボラック樹脂、ビスアジド、キノンアジド、ポリスチレン等の有機化合物材料が挙げられる。
障壁部32は、無機化合物材料を利用する場合にはスパッタ法やCVD法によって、また、有機化合物材料を利用する場合はスピンコート、スプレーコート、ロールコート、ディップコート等の各種塗布法によって形成可能である。
障壁部32のパターンは、所定のマスクを使用する方法や、フォトリソグラフ法にて適宜調整される。
障壁部32の厚みは特に制限されず、例えば、0.1〜50μmに適宜調整することができる。
障壁部32は、インクに対する濡れ性が、ソース電極16およびドレイン電極18の表面よりも低い。つまり、所定のインクは、ソース電極16表面上およびドレイン電極18表面上よりも、障壁部32表面上において濡れ広がりにくい。そのため、ソース電極16表面上およびドレイン電極18表面上よりも、障壁部32表面上にてインクの移動速度が落ちる。
なお、上記のような濡れ性の関係を満足するためには、ソース電極、ドレイン電極、および、障壁部の材料を適宜選択する方法や、障壁部に対して撥液化処理を施す方法が挙げられる。障壁部に対して実施される撥液化処理の方法は、上記工程S3でソース電極またはドレイン電極に実施される撥液化処理の方法と同じである。
[工程S5:インク層形成工程]
工程S5は、障壁領域とソース電極およびドレイン電極のうち他方の電極との間にインクを供給して、障壁領域から他方の電極上にまで至り、一端部が障壁領域に接し、かつ、一端部と対向する他端部が他方の電極上にて第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層を形成する工程である。
より具体的には、まず、図1(E)に示すように、障壁部32とドレイン電極18との間であって、ソース電極16の近傍にインク50が供給される。
なお、図3は図1(E)のインク50が供給される積層体を上面から見た上面図であり、図1(E)は図3の断面C−Cで切断した断面図である。
インクの供給方法としては、図3に示すように、インクジェット法にて第2の方向に沿って複数のインク50の液滴を供給する。このような態様であれば、インク層22の広がりの調整がより容易となると共に、インク層22の端部の形状を制御しやすい。
なお、複数のインクの液滴を供給する方法としては、インクを吐出するノズルを第2の方向に走査しながらインクを吐出する方法や、第2の方向に沿って複数配置されたノズルからインクを吐出する方法などが挙げられる。
インクの供給方法としては、上述したインクジェット法に限定されず、ディスペンサー法、スクリーン印刷法なども適宜利用できる。
インクの供給位置は、所定のインク層22が形成されれば特に制限されないが、通常、図1(E)に示すように、障壁部32が配置されているソース電極16近傍に供給されればよく、言い換えれば、ソース電極16とドレイン電極18間の中間位置より障壁部32側にずらした位置に供給されればよい。
また、インクの供給量は、所定のインク層22が形成される量が適宜選択される。
上述した手順によって供給されたインク50は、ゲート絶縁膜14上、ソース電極16上、および、ドレイン電極18上に濡れ広がる。なお、ソース電極16側に濡れ広がったインク層22は、ソース電極16よりもインクに対する濡れ性が低い表面を有する障壁部32に接触すると濡れ広がりが止まる。つまり、インク層22の一端部34は障壁部32と接触する。また、ドレイン電極18側に濡れ広がったインク層22は、ゲート絶縁膜14よりもインクに対する濡れ性が低い表面を有するドレイン電極18上まで濡れ広がると、その濡れ広がりの速度が落ちる。結果として、ドレイン電極18上で他端部36が第2の方向に沿って略直線状となるように、インク層22の濡れ広がりが止まる。つまり、図1(F)および図4(A)に示すように、障壁部32からドレイン電極18上にまで至り、一端部34が障壁部32に接触し、かつ、他端部36がドレイン電極18上にて第1の方向に直交する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層22が形成される。
なお、略直線状とは、厳密な意味での直線を意味するものだけではなく、全体として実質的な直線であるものも含むことを意味しており、ある程度湾曲していたり、一部屈曲部や湾曲部を含んでいたりしてもよい。より具体的には、延在する方向に直交する方向にて多少の振れ幅(振幅)を有していてもよく、その振幅は20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。なお、振れ幅とは、図4(B)に示すように、延在する方向とは直交する方向における、他端部36の障壁部32に最も近い点と、他端部36の障壁部32に最も遠い点との間の距離を意図する。
図4(A)は図1(F)のインク層22を有する積層体を上面から見た上面図であり、図1(F)は図4(A)の断面D−Dで切断した断面図である。
図4(A)に示すように、インク層22の他端部36がドレイン電極18の第2の方向の全域にわたって位置するように、インク層22は形成される。このような態様であれば、ソース電極16とドレイン電極18との間の電極間領域30の全域にわたって有機半導体層が形成され、好ましい。
図1(F)に示すように、形成されるインク層22においては、ドレイン電極18表面よりも障壁部32表面のインクに対する濡れ性が低いために、ソース電極16表面上でのインク層22の厚みが厚く、ドレイン電極18表面上のインク層22の厚みが薄くなる。そのため、白抜き矢印で示すように、ドレイン電極18表面上の他端部36近傍から溶媒が揮発しやすくなる。
[工程S6:溶媒揮発工程]
工程S6は、インク層を乾燥させることで、それぞれソース電極とドレイン電極とを互いに連結し、第1の方向に延びる複数の結晶粒を含む有機半導体層を形成する工程である。
具体的には、図1(F)に示すように、上記工程S5にて得られたインク層22のドレイン電極18上の他端部36近傍は、障壁部32近傍と比較して、インク層22の厚みが薄く、溶媒が揮発しやすい状態にある。そのため、インク層22の他端部36近傍にて、優先的に溶媒の揮発が進行し、インクが飽和状態になり有機半導体化合物の結晶が析出し始め、いわゆる種結晶が生成する。一旦種結晶が生成すると、図1(G)に示すように、インク層22のドレイン電極18側の固液界面38が黒矢印の方向に向かって単調に移動するように、インク層22中の溶媒の揮発が進行する。結果として、溶媒の揮発と共に、有機半導体化合物の結晶化が進展し、有機半導体層40が成長していく。
すなわち、ドレイン電極18側からソース電極16側(言い換えれば、障壁部32側)に向かって有機半導体化合物の結晶の成長が進み、有機半導体層40が漸次形成されてゆく。このような、有機半導体化合物の結晶成長の異方性が生じることにより、結果として、図6(A)および(B)に示すように、ソース電極16とドレイン電極18とを互いに連結し、第1の方向に延びる複数の結晶粒42が含まれる有機半導体層40が形成され、所望の有機トランジスタ100が得られる。言い換えれば、それぞれドレイン電極18表面上から障壁部32まで延びる複数の結晶粒42からなる有機半導体層40が形成される。有機半導体層40中においては、結晶粒42は、第2の方向に沿って隣接して配列している。
なお、図6(B)は、図6(A)の有機トランジスタを上面から見た一部拡大上面図である。
上記工程を経て得られる有機トランジスタ100は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極12と、ゲート電極12を覆うように配置されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に第1の方向に互いに対向して配置されたソース電極16およびドレイン電極18と、ソース電極16とドレイン電極18との間に挟まれた電極間領域の外側で、かつ、ソース電極16側に偏って配置された障壁層32と、それぞれソース電極16とドレイン電極18とを互いに連結し、第1の方向に延びる複数の結晶粒42を含み、かつ、一端部が障壁層32に接触し、他端部がドレイン電極18上にて第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状の延びる有機半導体層40とを備える。
インク層22中の溶媒が揮発する際には、図5に示すように、インク層22の固液界面38が第2の方向に沿って略直線状に延びる形を維持したまま、ドレイン電極18側からソース電極16側に移動することが好ましい。このような形態であれば、有機半導体層40中に形成されるそれぞれの結晶粒が、第1の方向に沿って延びやすい。
なお、図5は図1(G)のインク層22を有する積層体を上面から見た上面図であり、図1(G)は図5の断面E−Eで切断した断面図である。
本工程S6においては、図1(F)に示す状態のインク層22を常温放置し、自然乾燥にて溶媒を揮発させることにより、上述した所望の有機半導体層40が形成される。
なお、必要に応じて、加熱処理などの乾燥処理を実施してもよい。
(インクの構成)
本工程S6で使用されるインクには、有機半導体化合物および溶媒が少なくとも含まれる。
有機半導体化合物の種類は特に制限されず、公知の有機半導体化合物を使用することができる。具体的には、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)、テトラメチルペンタセン、パーフルオロペンタセン等のペンタセン類、TES−ADT、diF−TES−ADT(2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)等のアントラジチオフェン類、DPh−BTBT、Cn−BTBT等のベンゾチエノベンゾチオフェン類、Cn−DNTT等のジナフトチエノチオフェン類、ペリキサンテノキサンテン等のジオキサアンタントレン類、ルブレン類、C60、PCBM等のフラーレン類、銅フタロシアニン、フッ素化銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、P3RT、PQT、P3HT、PQT等のポリチオフェン類、ポリ[2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン](PBTTT)等のポリチエノチオフェン類等が例示される。
溶媒としては、使用される有機半導体化合物の種類に応じて、適宜最適な溶媒が選択され、水または有機溶媒が適宜使用される。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテート等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン酸系溶媒などが挙げられる。
インクには、有機半導体化合物、および、溶媒以外の他の成分が含まれていてもよい。
例えば、高分子化合物が含まれていてもよい。高分子化合物の種類は特に制限されず、公知の高分子化合物が挙げられる。高分子化合物の好適態様としては、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する繰り返し単位を有する高分子)が好ましい。
上記高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)またはポリ(4−メチルスチレン)などが挙げられる。
インク中における有機半導体化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、インク全質量に対して、0.4〜10.0質量%が好ましく、0.6〜8.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%がさらに好ましい。
インク中における溶媒の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、インク全質量に対して、90〜99.6質量%が好ましく、95〜99.0質量%がより好ましい。
<第2実施形態>
本発明の有機トランジスタの製造方法の第2実施形態は、障壁部を配置する位置が異なる以外は、第1実施形態と同じ手順を実施する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に、第2実施形態について詳述する。
第2実施形態においては、図7(A)および(B)に示すように、障壁部32を、ソース電極16よりも外側(電極間領域とは反対側)で、ソース電極16と重ならないように、ゲート絶縁膜14上に配置する。この実施形態においてインク層を形成する場合、障壁部32とドレイン電極18との間にインクを供給して、図8に示すように、ソース電極16を覆うようにインク層22を形成する。インク層22の態様は、上述した第1実施形態と同じく、障壁部32からドレイン電極18上にまで至り、一端部34が障壁部32に接触し、かつ、他端部36がドレイン電極18上にて第1の方向に直交する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層22が形成される。
本実施形態においては、障壁部32とドレイン電極18間の距離が広がるため、インクを供給する位置の自由度が増え、使用できるインク供給装置の自由度が高まる。
なお、図7(A)は障壁部32を配置した状態の積層体の上面図であり、図7(B)は図7(A)の断面F−Fで切断した断面図である。
<第3実施形態>
本発明の有機トランジスタの製造方法の第3実施形態は、壁状の障壁部を使用する代わりに、撥液領域を使用する以外は、第1実施形態と同じ手順を実施する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に、第3実施形態について詳述する。
第3実施形態においては、図9に示すように、障壁部32の代わりに、ソース電極16上にインクに対して撥液性を示す撥液領域44を形成する。撥液領域44は、上述した障壁部32と同様に、インク層の広がりを抑制する障壁領域に該当する。
撥液領域44は、上述した第1実施形態および第2実施形態で説明した障壁部32と同様に、インクに対する濡れ性が、ソース電極16およびドレイン電極18の表面よりも低い。このような撥液領域44の形成方法は特に制限されず、上述した撥液化処理が挙げられ、より具体的には、上述した撥液材料を所定の位置に付与して、撥液領域44を形成する方法や、CFなどのフッ素系ガスを用いた撥液化処理を所定の位置に施して、撥液領域44を形成する方法が挙げられる。
なお、図9においては、撥液領域44はソース電極16上にのみ形成されているがこの態様には限定されず、例えば、第2実施形態で述べたように、ソース電極16よりも外側(電極間領域とは反対側)であって、ソース電極16と重ならないように、撥液領域をゲート絶縁膜14上に配置してもよい。
この実施形態においてインク層を形成する場合は、図10に示すように、撥液領域44とドレイン電極18との間にインクを供給して、ソース電極16を覆うようにインク層22を形成する。インク層22の態様は、上述した第1実施形態と同じく、撥液領域44からドレイン電極18上にまで至り、一端部34が撥液領域44に接触し、かつ、他端部36がドレイン電極18上にて第1の方向に直交する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層22が形成される。
本実施形態においては、撥液領域44を使用することにより障壁領域の高さを低く抑えることができ、その表面の凹凸形状を小さくすることができるため、ソース電極16およびドレイン電極18上に他の層(例えば、封止層)を配置しやすい。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
洗浄したガラス基板上にAl電極を真空蒸着法で30nmの厚みで形成し、図1(A)に示すような、ゲート電極とした。
次に、ポリビニルアルコール(PVA)を含むプロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(PVAの含有量は、溶液全質量に対して10質量%)と、メラミンを含むPGMEA溶液(メラミンの含有量は、溶液全質量に対して10質量%)とを質量比1:1で混合し、得られた溶液をゲート電極上にスピンコート法にて塗布して成膜したのち、ホットプレート上で150℃にて1時間アニール処理を施し、ゲート絶縁膜を形成した。
次に、Au電極を真空蒸着法で50nmの厚みで形成し、図1(C)に示すような、ソース電極およびドレイン電極を形成した。ソース電極およびドレイン電極間のチャネル長は50μmであり、チャネル幅は1mmであった。続いて、30mMに調製したペンタフルオロベンゼンチオールのイソプロパノール溶液にソース電極およびドレイン電極が配置されたガラス基板を10分間浸漬させ、ソース電極およびドレイン電極表面上にペンタフルオロベンゼンチオールの自己組織化単分子膜を形成した。なお、以上のようにして表面処理されたソース電極およびドレイン電極は、後述するインクに対する濡れ性がゲート絶縁膜よりも低かった。
次に、ディスペンサー装置を用いて、図1(D)に示すように、その一部分がソース電極の一部と重複し、他の部分がゲート絶縁膜と接するように、テフロン(登録商標)を塗布して、障壁部を形成した。障壁部は、ソース電極とドレイン電極とが対向する方向(上述した第1の方向)に直交する方向(上述した第2の方向)に沿って延在する矩形状のパターンであった。なお、障壁部は、後述するインクに対する濡れ性が表面処理されたソース電極およびドレイン電極よりも低かった。
次に、2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(diF−TES−ADT)とポリスチレン(重量平均分子量280,000)とを、メシチレンに溶解させ、インクを調製した。なお、インク中において、diF−TES−ADTの含有量はインク全質量に対して2質量%であり、ポリスチレンの含有量はインク全質量に対して0.5質量%であった。得られたインクをインクジェット用カートリッジに封入したのち、インクジェット装置を用いて、図1(E)に示すように、ソース電極とドレイン電極との中間よりもソース電極側の位置に、複数のインクを第2の方向に沿って吐出して、図1(F)に示すような、障壁部からソース電極および電極間領域上を経てドレイン電極上にまで至り、かつ、一端部が障壁部と接触し、他端部がドレイン電極上にて第2の方向に沿って略直線状になるインク層を形成した。
このインク層を自然乾燥させると、図1(G)に示すように、インク層のドレイン電極上の端部から乾燥が始まり、インク層の固液界面がドレイン電極側からソース電極側に移動しながら、徐々に溶媒が揮発して、diF−TES−ADTが析出して、有機半導体層が得られた。得られた有機半導体層を顕微鏡にて観察したところ、有機半導体層内にて、ソース電極とドレイン電極とを連結し、第1の方向に延びる複数の線状の結晶粒が確認された。これらの結晶粒は、第2の方向に沿って隣接して配置されていた。なお、有機半導体層は、チャネル幅の全域に形成された。
得られた有機トランジスタの移動度(キャリア移動度)を半導体特性評価装置4155C(アジレント社製)を用いて測定したところ、ドレイン電圧−40V印加時において1.5cm/Vsであった。
(比較例1)
障壁部の形状を図11および12に示すように環状にして、環状のバンク(障壁部)内にインクを供給した以外は、実施例1と同様の手順に従って、有機トランジスタを製造した。
なお、有機半導体層の形成時にインク液面から溶媒が四方に揮発したため、顕微鏡にて有機半導体層を確認したところ、有機半導体層中には異方性のある結晶粒は確認されなかった。
得られた有機トランジスタの移動度(キャリア移動度)を半導体特性評価装置4155C(アジレント社製)を用いて測定したところ、ドレイン電圧−40V印加時において0.4cm/Vsであった。
10 基板
12 ゲート電極
14 ゲート絶縁膜
16 ソース電極
18 ドレイン電極
20 環状のバンク
22 インク層
24,40 有機半導体層
30 電極間領域
32 障壁部
34 一端部
36 他端部
38 固液界面
42 結晶粒
44 撥液領域
50 インク
100 有機トランジスタ

Claims (8)

  1. 有機半導体化合物および溶媒を含むインクを用いて形成される有機半導体層を備える有機トランジスタの製造方法であって、
    基板上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極を覆うように、前記基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に、前記ゲート絶縁膜よりも前記インクに対する濡れ性が低い表面を有する、ソース電極およびドレイン電極を第1の方向に互いに対向するように形成する工程と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に挟まれた電極間領域の外側で、前記ソース電極および前記ドレイン電極のうち一方の電極側に偏って配置され、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極の表面よりも前記インクに対する濡れ性が低い障壁領域を形成する工程と、
    前記障壁領域と前記ソース電極および前記ドレイン電極のうち他方の電極との間に前記インクを供給して、前記障壁領域から前記他方の電極上にまで至り、一端部が前記障壁領域に接し、かつ、他端部が前記他方の電極上にて前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状に延びるインク層を形成する工程と、
    前記インク層を乾燥させることで、それぞれ前記ソース電極と前記ドレイン電極とを互いに連結し、前記第1の方向に延びる複数の結晶粒を含む前記有機半導体層を形成する工程とを備える、有機トランジスタの製造方法。
  2. 前記インク層を乾燥させることにより、前記インク層の固液界面が前記他方の電極側から前記障壁領域側に移動するように、前記インク層に含まれる前記溶媒が揮発し、前記有機半導体化合物が順次析出し、有機半導体層が形成される、請求項1に記載の有機トランジスタの製造方法。
  3. 前記インクの供給をインクジェット法にて実施する、請求項1または2に記載の有機トランジスタの製造方法。
  4. 前記インクを供給する際に、前記第2の方向に沿って複数のインクの液滴を供給する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機トランジスタの製造方法。
  5. 前記障壁領域が、前記ソース電極および前記ドレイン電極よりも前記第2の方向に張り出すように前記第2の方向に延在する領域である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機トランジスタの製造方法。
  6. 前記障壁領域が、前記一方の電極上に重なって配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機トランジスタの製造方法。
  7. 前記ソース電極および前記ドレイン電極の表面に撥液化処理が施されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機トランジスタの製造方法。
  8. 基板と、
    前記基板上に配置されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に第1の方向に互いに対向して配置されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に挟まれた電極間領域の外側で、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極のうち一方の電極側に偏って配置された障壁領域と、
    それぞれ前記ソース電極と前記ドレイン電極とを互いに連結し、前記第1の方向に延びる複数の結晶粒を含み、かつ、一端部が前記障壁領域に接触し、他端部が前記他方の電極上にて前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って略直線状に延びる有機半導体層と、を備える、有機トランジスタ。
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