JP2006278534A - 有機トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板と、基板とゲート電極間に位置する基板絶縁層と、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース・ドレイン電極と、有機半導体層によって構成される複数の絶縁層を有するボトムゲート構造の有機トランジスタにおいて、ゲート絶縁層が、ソース・ドレイン電極に近接する部分で表面エネルギーが低く、ゲート電極に近接する部分で相対的に表面エネルギーが高く、膜厚方向に組成が異なることを特徴とし、かつ、基板絶縁層の表面自由エネルギーが前記ゲート絶縁層のゲート電極に近接する部分の表面自由エネルギーより相対的に低い有機トランジスタ。
【選択図】 図1
Description
"Science"280、2123、2000年 "Tech Digest of IEDM"p.623、2000年 "Extended Abstracts of the 2003 International Conference on Solid State Devices and Materials"p.222〜223、2003年 "Digest of technical papers AM−LCD 04 OLED−4"p.37〜40
なお、表面自由エネルギーは、拡張フォーケスの式から、分散成分、極性成分、水素結合成分の3成分に規定されている。
(実験1)
絶縁層A〜Fにおけるアルキル基の密度、表面自由エネルギー(表面E)、表面自由エネルギー水素結合項、撥水性、リーク電流の関係を表1に示す。
◎:非常によく水をはじく。
○:比較的水をはじく。
×:水をはじかない。
◎:リーク電流が非常に小さく絶縁層として全く問題ない。
○:リーク電流が比較的小さく絶縁層として問題ない。
△:リーク電流が比較的大きいがかろうじて絶縁層として用いることができる。
×:リーク電流が大きく絶縁層に用いることができない。
側鎖にアルキル基を有する絶縁層の表面自由エネルギーを部分的に変化させて、インクジェット法を用いて水の液滴の打ち分けの実験を行った。表面自由エネルギーが十分に低く初期の接触角95°を示す絶縁層に対して、UV光を照射し表面自由エネルギーを部分的に上昇させて接触角が減少した部分に水の液滴をインクジェット法で滴下して、着弾後の液滴が表面自由エネルギーの低い部分を乗り越えないかどうかを判断した。表2にその結果を示す。
実験1,2の結果から表面自由エネルギーが40mN/m以下の基板絶縁層上にUVでパターニングして表面自由エネルギーが50mN/m以上のゲート電極となる部分を形成し、どの程度のゲート電極幅まで打ち分け可能か検討を行った。溶媒は水で検討を行った。図13のようにゲート電極部分と同時にゲート電極両側にゲート電極幅より十分に大きい部分を表面自由エネルギーが高くなるようにUV露光してパターニングを行い、ゲート電極両側の部分にインクジェットで水を滴下した。水はゲート電極となる部分の表面自由エネルギーが周辺より十分に高いためにゲート電極部分に濡れ広がる。ゲート電極幅が20μm程度では十分にパターニング可能であったが、ゲート電極幅が細くなるほど、よくパターニングできなくなった。実験においては3μm程度までは滴下した水は塗れ広がったが、1μmでは上手く濡れ広げることが出来なかった。
図7に示すように、側鎖にアルキル基を有する絶縁層は濃度を減少させると共に膜厚は減少するが、2nmまで薄膜化が可能であった。また図8に示すように、膜厚を変化させた絶縁層に254nmで30J/cmのUV光を照射したところ2nmでも十分な水の接触角変化を観測できた。このことから、側鎖にアルキル基を有する絶縁層の厚さは薄膜化の可能な2nm以上と規定している。
上層の側鎖にアルキル基を有する絶縁層と、下層のアルキル基を有しない絶縁層の膜厚を変えてTFTの電気特性を評価した。半導体層はP3HTを用いた。絶縁膜はトータルの膜厚を500nmとして、上層と下層の絶縁層の比率を変えた。図10は、それぞれの絶縁層の膜厚とVthの関係を示したものである。上層の側鎖にアルキル基を有する絶縁層が200nmを超えるとVthが急激に大きくなっていることが分かる。
本発明は、基板と、基板絶縁層と、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース・ドレイン電極と、有機半導体層を含み、その基板絶縁層としてアルキル基を持った絶縁層を有し、ゲート絶縁層として側鎖にアルキル基を持った絶縁層とアルキル基を持たない絶縁層の積層体を有する、優れた機能を持った有機トランジスタを作製するものである。このゲート絶縁層の積層体は、膜厚方向に連続的に組成が変化しても良いし、分離された多層構造であっても良い。
実施例1
基板絶縁層として側鎖にアルキル基を有する絶縁層を設け、ゲート絶縁層として側鎖にアルキル基を有する絶縁層とアルキル基を有しない二層構造の絶縁層を設けたボトムゲート型の有機トランジスタを、ゲート電極、ソース・ドレイン電極、及び有機半導体層の形成方法としてインクジェット描画法を用いて作製した例を挙げる。
ゲート配線上の下層の絶縁膜をポリイミドからプラズマCVDのSiO2 に変えた以外は、実施例1と同様にボトムゲート型の有機トランジスタ作製を行った。SiO2 の成膜条件は、TEOS/He/O2 =185sccm/100sccm/3500sccm、反応圧力800mtorr、基板温度330℃、膜厚300nmとした。
本実施例においてはガラス基板を用いているが、Si基板などの他のあらゆる無機系材料を用いることが可能である。また、高分子系の材料を用いることも可能であり、特に液晶性ポリマーなどはその低熱膨張性と高耐熱性から、本発明の有機トランジスタに適している。
基板上に基板絶縁層としてアルキル基を有する絶縁層を設けない以外は、実施例1と同様にボトムゲート型の有機トランジスタ作製を行った。ガラス基板上にゲートとなるAuインクを直接インクジェットで描画し、ゲート電極を形成した。アルキル基を有する基板絶縁層が無く表面自由エネルギーのパターニングがされていない為、Auインクは塗れ広がらず、30μm程度のドット形状が繋がったものになり、高さも大きくばらつき一定にはならなかった。この状態で210℃のオーブンで120分焼成を行い、ゲート電極となる金ナノ粒子を粒子同士融着して金属化して電極化した。
11 基板絶縁層
12 ゲート電極
13 アルキル基を有しないゲート絶縁層
14 側鎖にアルキル基を有するゲート絶縁層
15 ソース・ドレイン電極
16 有機半導体層
17 ラビングローラー
18 UV光偏光
19 偏光フィルター
20 UV光ランプ
21 ガラス基板
22 基板絶縁層塗布部
23 ゲート絶縁層
Claims (12)
- 基板と、基板とゲート電極間に位置する基板絶縁層と、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース・ドレイン電極と、有機半導体層によって構成される複数の絶縁層を有するボトムゲート構造の有機トランジスタにおいて、前記ゲート絶縁層が、ソース・ドレイン電極に近接する部分で表面エネルギーが低く、ゲート電極に近接する部分で表面エネルギーが高く、膜厚方向に組成が異り、かつ前記基板絶縁層の表面自由エネルギーが前記ゲート絶縁層のゲート電極に近接する部分の表面自由エネルギーより低いことを特徴とする有機トランジスタ。
- 基板と、基板とゲート電極間に位置する基板絶縁層と、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース・ドレイン電極と、有機半導体層によって構成されるボトムゲート構造の有機トランジスタにおいて、前記ゲート絶縁層が、表面エネルギーの低い上層と、表面エネルギーの高い下層の二層構造からなり、かつ前記基板絶縁層の表面自由エネルギーが前記ゲート絶縁層の表面自由エネルギーが高い下層より低いことを特徴とする請求項1記載の有機トランジスタ。
- 前記ゲート絶縁層が、上層の表面自由エネルギーが40mN/m以下、下層の表面自由エネルギーが45mN/m以上、前記基板絶縁層の表面自由エネルギーが45mN/m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機トランジスタ。
- 前記ゲート絶縁層の上層がソース・ドレイン電極の一部または全てと隣接した部分の表面自由エネルギーが50mN/m以上の絶縁層であり、かつ前記基板絶縁層がゲート電極の一部または全てと隣接した部分の表面自由エネルギーが50mN/m以上の絶縁層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 前記ゲート絶縁層において、前記上層の絶縁層の表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下、前記下層の絶縁層の表面自由エネルギーの水素結合成分が2.0mN/m以上であり、かつ前記上層の絶縁層と連続し、前記ソース・ドレイン電極の一部または全てと隣接した絶縁層部分の表面自由エネルギーの水素結合成分が5.0mN/m以上であり、かつ前記基板絶縁層において、表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下であり、かつ前記基板絶縁層と連続し、前記ゲート電極の一部または全てと隣接した絶縁層部分の表面自由エネルギーの水素結合成分が5.0mN/m以上あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 前記基板絶縁層と前記ゲート絶縁層において、前記基板絶縁層と前記上層のゲート絶縁層が側鎖にアルキル基を有するポリイミドであり、かつ前記下層のゲート絶縁層が側鎖にアルキル基を有しないポリイミドであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 前記基板絶縁層と前記ゲート絶縁層において、前記基板絶縁層と前記上層のゲート絶縁層が側鎖にアルキル基を有するポリイミドであり、かつ前記下層のゲート絶縁層が無機材料絶縁層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 前記基板絶縁層と前記ゲート絶縁層において、前記基板絶縁層の膜厚と前記上層のゲート絶縁層の膜厚が、前記下層のゲート絶縁層の膜厚より薄いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 前記基板絶縁層と前記ゲート絶縁層において、前記基板絶縁層の膜厚と前記上層のゲート絶縁層の膜厚が2nm以上200nm以下であり、かつ前記下層のゲート絶縁層の膜厚が100nm以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかの項に記載の有機トランジスタ。
- 基板と、基板とゲート電極間に位置する基板絶縁層と、ゲート電極と、二層以上の積層ゲート絶縁層と、ソース・ドレイン電極と、有機半導体層によって構成される複数の絶縁層を有する有機トランジスタの製造方法において、前記基板絶縁層と前記ゲート絶縁層に200nm以上300nm以下の波長帯の紫外線(UV光)でマスク露光を行う工程、前記基板絶縁層のマスク露光された部分の一部分又は全てにはゲートとなる電極材料をインクジェット法で吐出し、マスク露光された部分に電極材料が広がりゲート電極を形成する工程、かつ前記ゲート絶縁層のマスク露光された部分にはソース・ドレイン電極となる電極材料をインクジェット法で吐出し、マスク露光された部分と露光されない部分の表面自由エネルギー差で電極材料が分離され、チャネルを形成する工程を有することを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
- 前記二層以上の積層ゲート絶縁層に200nm以上300nm以下の波長帯の紫外線でマスク露光を行う前に、前記二層以上の積層ゲート絶縁層にラビング処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の有機トランジスタの製造方法。
- 前記二層以上の積層ゲート絶縁層に200nm以上300nm以下の波長帯の紫外線でマスク露光を行う前または後に、前記二層以上の積層ゲート絶縁層に偏向紫外光を照射することを特徴とする請求項10または11に記載の有機トランジスタの製造方法。
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