JP2007081165A - 有機トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チャネル界面の絶縁層が、高移動度の低分子系材料を溶解しうる強い有機溶剤を塗布しても破壊されないようにすることによって、高い電気的特性を有する有機トランジスタを提供する。
【解決手段】 ゲート電極と、少なくとも第一層と第二層とからなるゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記ゲート電極の上に第一層を形成する工程と、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は有機半導体層を有する有機トランジスタの製造方法に関するものであり、特にインクジェット法を用いた有機トランジスタの製造方法に関するものである。
近年有機材料を使った有機電子デバイス研究が盛んである。有機材料を薄膜化しデバイスに応用することによって、低温、低コストプロセスで製造でき、携帯性に優れ、安価な有機電子デバイスの実現が期待されている。
そのような有機電子デバイスの一種である有機トランジスタは、チャネルに用いられる半導体材料が有機分子の集合体(有機半導体材料)であり、分子内でのみ共有結合している。したがって、全体としてみれば結晶系シリコンと比べて比較的弱い結合体である。そのため、製造プロセス(特に結晶化工程)の低温化が期待できる。また、有機半導体材料はフレキシブル性に富み、軽量化が可能である。したがって、有機トランジスタを用いることにより携帯性に優れた装置を提供できる可能性がある。具体的には、有機トランジスタは、ペーパーライクディスプレイや液晶ディスプレイの構成要素として好適である可能性がある。
また、低温製造プロセスを実現する1つの有力な方法として、インクジェット法(インクジェット描画プロセス)を利用した有機トランジスタの製造方法があげられる。
また、トランジスタを製造するにあたっては、何らかのパターニング技術が必要となる。
このような、インクジェット描画プロセスとパターニング技術についての例として、Science 280、2123(2000)(非特許文献1)やTech Digest of IEDM、p.623(2000)(非特許文献2)などが挙げられる。これらの文献には、ピエゾインクジェット描画プロセスと表面自由エネルギー制御による表面マッピングを用いた有機トランジスタの作製方法が記載されている。
一方、他のパターニング技術として、the 2003 International Conference on Solid State Devices and Materials(非特許文献3)が挙げられる。本文献において、Masahiko Andoらは、以下のようなプロセスを開示している。すなわち、まず、自己組織化単分子層(=self−assembled monolayer(SAM))に、UV光を基板背面から露光する。それによって、UV光の当たった部分の表面自由エネルギーを高くし、未露光部の低い表面自由エネルギーとのコントラストを付け、自己組織化単分子層(SAM)表面をマッピングしている。その後、表面自由エネルギーの高い部分にAgインクを滴下してソース電極・ドレイン電極を描画し、短チャネルの有機トランジスタを作製している。
また、AM−LCD 04 OLED−4(非特許文献4)において、Takanori Tanoらは、以下のプロセスを開示している。まず、ポリイミドをゲート絶縁膜に用いて、UV光をマスクを用いて照射することによって、光の当たった部分の表面自由エネルギーを上昇させている。それにより、光の当たった部分の表面自由エネルギーと未露光部の低い表面自由エネルギーとのコントラストを付けることによって、ポリイミド表面をマッピングしている。その後、表面自由エネルギーの高い部分にインクジェットでソース電極・ドレイン電極を描画し、短チャネルのトランジスタを作製している。
さらに、本発明者らは、2005年春季第52回応用物理学関連連合講演会において、DeepUV光を用いてポリイミド絶縁膜の表面自由エネルギーを部分的に変化させるプロセスを用いた有機TFT微細チャネルの形成方法について発表している。(2005年春季第52回応用物理学関連連合講演会講演予稿集No.3、1510ページ、31p−YY−5(非特許文献5)参照。)
非特許文献3に記載されている自己組織化単分子層(SAM)をUV光によってマッピングする方法では、波長が200nm未満の真空紫外光でなければSAMの表面自由エネルギーを変化させることは出来ない。したがって、高精細な表面自由エネルギーのパターニングを行うためには、波長が200nm未満の真空UV光を狭い領域に照射できる非常に高価なステッパーを用いなければならない。低コストプロセスの実現を目指している有機トランジスタの製造にこのような高価なステッパーを用いるのは、非現実的である。また、非特許文献3に示されているような背面露光を用いて高精細なパターニングを行うためには、ゲート電極は高コストプロセスであるフォトリソグラフィを用いて形成しなければならない。加えて、背面露光を行うためには光吸収率の小さな基板を用いなければならず、基板材料が制限される。また、ゲート電極をマスクとして露光を行うため、高精細なパターニングはやや困難であると考えられる。
一方、非特許文献4、5に記載されているような、ポリイミド絶縁膜をUV光によってマッピングする方法では、DeepUV光で表面自由エネルギーのパターニングを行うようにポリイミドを設計することが可能である。ここで、DeepUV光とは、200〜280nmの波長を有する紫外光(深紫外光)である。DeepUV光によって表面自由エネルギーが変化するということは、光が照射される膜を構成する分子の結合エネルギー自体が低いことが推測される。このような結合エネルギーの弱い分子からなる材料は溶解性の強い有機溶剤によっても容易に破壊される場合もありうる。一方、近年の研究結果から、高移動度の有機半導体材料はペンタセンやルブレンなどの低分子系材料に集中しているといえる。これらの低分子系材料を低コストな塗布プロセスを用いて成膜する為には、溶解性の強い有機溶剤が必要である。このような塗布プロセスを用いて十分な特性を有するトランジスタを得るためには、溶解性の強い有機溶剤にも侵されないような、耐溶剤性に優れた絶縁層をチャネル部分の下地(チャネルに接する部分及びその近傍)に用いる必要がある。
Science 280、2123(2000) Tech Digest of IEDM、p.623(2000) the 2003 International Conference on Solid State Devices and Materials AM−LCD 04 OLED−4 2005年春季第52回応用物理学関連連合講演会講演予稿集No.3、1510ページ、31p−YY−5
以上の背景技術を踏まえて、本発明は、有機トランジスタの製造方法を改良するにあたり、以下のような目的の達成を課題とする。まず、200nm〜280nmの波長を有するDeepUV光でのゲート絶縁層の表面自由エネルギーのパターニングを可能とすることを目的とする。それにより、安価なアライナーで高精細な表面自由エネルギーのパターニングを行い、短チャネル構造を実現することを目的とする。また、高移動度の低分子系材料を溶解しうる強い有機溶剤を塗布してもチャネル界面の絶縁層が破壊されないようにすることによって、高い電気的特性を有する有機トランジスタを得ることを目的としている。
本発明は、ゲート電極と、少なくとも第一層と第二層とからなる層からなるゲート絶縁層(以下、「積層ゲート絶縁層」という場合がある)と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記ゲート電極の上に第一層を形成する工程と、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極を形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする有機トランジスタの製造方法である。
また、本発明は、少なくとも第一層と第二層とからなる絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、ゲート電極と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする有機トランジスタの製造方法である。
本発明によれば、以下の効果の少なくとも一部が達成される。200nm〜280nmの波長を有するDeepUV光でのゲート絶縁層の表面自由エネルギーのパターニングが可能となる。それにより、安価なアライナーで高精細な表面自由エネルギーのパターニングを行い、短チャネル構造を実現することが可能となる。また、チャネル(有機半導体層のうち、電界効果が発生する部分)に隣接する絶縁層が、有機半導体材料を溶解しうる強い有機溶剤を塗布しても破壊されないようにすることによって、高い電気的特性を有する有機トランジスタを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明における好ましい形態として、以下のようなものが挙げられる。
まず、各層の形成には、塗布法、印刷法を用いることができる。塗布法や印刷法は、真空プロセスを用いる必要がなく、低コストプロセスを実現する上で有効な手段である。塗布法としては、スピンコート法、ディッピング法、ディスペンス法などが挙げられる。また、印刷法としては、インクジェット法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法などが挙げられる。なお、本明細書では、いくつかの層の形成法としてインクジェット法を用いた場合を例にとって説明している。
また、前記第一層に照射する紫外線として、200nm以上の波長帯の紫外線を照射することが好ましい。さらに、200nm〜280nmの波長を有する紫外線(DeepUV光)を照射することがより好ましい。なお、一般に市販されている光源の波長としては、254nmが挙げられる。このような波長帯に限らず、紫外線を照射する際には、マスク露光の手法を用いることができる。DeepUV光を用いることにより、装置コストを小さくすることができる。またDeepUV光は比較的低エネルギーなので、被照射物である有機化合物を完全に破壊したり蒸発させたりする可能性が小さい。
また、前記第一層の前記紫外線の照射前の表面自由エネルギーを40mN/m以下とし、前記紫外線を照射することによって、前記第一層の紫外線照射部の表面自由エネルギーを50mN/m以上とすることが好ましい。これによって、ソース電極、ドレイン電極の塗布あるいは印刷による形成を容易にすることができる。
また、前記第一層の前記紫外線の照射前の表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下であり、前記紫外線を照射することによって、前記第一層の紫外線照射部の表面自由エネルギーの水素結合成分を5.0mN/m以上とすることが好ましい。これによって、ソース電極、ドレイン電極の塗布あるいは印刷による形成を容易とすることができる。
また、前記ソース電極と前記ドレイン電極とをインクジェット法を用いて形成することが好ましい。
また、前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成した後に、前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射し、その後に前記第二層を形成することが好ましい。これにより、第二層の塗布形成を塗布あるいは印刷による形成を容易とすることができる。この場合も、前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に照射する紫外線として、200nm以上の波長帯の紫外線を照射することが好ましい。さらに、200nm〜280nmの波長の紫外線(DeepUV光)を照射することがより好ましい。
前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射することによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分の表面自由エネルギーを50mN/m以上にすることが好ましい。それにより、第二層を塗布あるいは印刷によって形成することが容易となる。
前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射することによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分の表面自由エネルギーの水素結合成分を5.0mN/m以上にすることが好ましい。それにより、第二層を塗布あるいは印刷によって形成することが容易となる。
前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成した後に、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の前記第一層の上に、前記第二層の材料を含む溶液をインクジェット法を用いて滴下することによって、前記第二層の絶縁層を形成することが好ましい。なお、ここで、ソース電極とドレイン電極との間とは、ソース電極の端部やドレイン電極の端部も含む概念である。また、前記第二層は、ソース電極とドレイン電極との間以外の部分にも存在しても良い。例えば、全面にわたって形成することも可能である。
前記第二層として、無機材料を含む層を形成することができる。代表的な無機材料として、SiO2やTa25などの様々な無機材料が挙げられる。
また、前記第二層として、無機と有機の複合材料を含む層を形成することが好ましい。ここで無機と有機の複合材料としては、例えば、無機化合物骨格に有機基(炭素原子を有する基)が結合した分子からなる材料が挙げられる。そのような材料からなる層としては、ポリシロキサン骨格を有する化合物などを含む層が挙げられる。より好ましい材料としては、メチルシルセスキオキサン(MSQ)などのシルセスキオキサン骨格を有する化合物が挙げられる。なお、ここで、ポリシロキサン骨格を有する化合物としては、ポリマーが好適である。そして、本明細書中でメチルシルセスキオキサン(MSQ)とは、ポリ(メチルシルセスキオキサン)や、メチルシルセスキオキサン骨格を有するポリマー(共重合体など)も包含する概念である。
前記第一層として、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる層を形成することが好ましい。かかるポリイミドは、DeepUVによる表面自由エネルギー制御が容易である。
また、前記第一層を形成する工程が、前記ゲート電極上に下層を形成する工程と、該下層の上に、該下層よりも低い表面自由エネルギーを有する上層を形成する工程と、からなることが好ましい。この場合、下層にゲート絶縁層として好ましい特性(絶縁性など)を有する材料を用い、上層にDeepUVによる表面自由エネルギー制御が容易である材料を用いることができる。
このように第一層を下層と上層との2層構造とした場合、前記下層として、表面自由エネルギーが45mN/m以上の層を形成し、前記上層として、表面自由エネルギーが40mN/m以下の層を形成することが好ましい。また、前記下層として、表面自由エネルギーの水素結合成分が2.0mN/m以上の層を形成し、前記上層として、表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下の層を形成することが好ましい。また、前記下層として、側鎖にアルキル基を有しないポリイミドからなる層を形成し、前記上層として、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる層を形成することが好ましい。また、前記下層として、無機材料からなる層を形成し、前記上層として、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる層を形成することが好ましい。また、前記上層の厚さが前記下層の厚さよりも薄くなるように形成することが好ましい。これは、ゲート絶縁層として優れた下層を厚くする趣旨である。同様の観点から、前記下層の厚さを100nm以上とし、前記上層の厚さを3nm以上200nm以下とすることが好ましい。
なお、ゲート絶縁層は、第一層、第二層以外の層を有していても良い。
また、ゲート電極は基板上に形成していることが好ましい。
さらに、第一層が形成された直後に露出している表面及びその近傍の材料としては、その表面自由エネルギーがDeepUV光の照射によって変化する材料を用いることが好ましい。別の考え方をすれば、第一層が形成された直後に表れている面の近傍の材料の表面自由エネルギーを変化させるようなDeepUV光を選択しても良い。
また、第二層が形成された直後に露出している面の近傍の材料としては、有機半導体層の形成時に破壊されない材料を用いることが好ましい。特に、有機半導体層を塗布あるいは印刷によって形成する際に用いる溶媒によっては破壊されない材料を用いることが好ましい。
なお、ここまでは、ゲート電極上に各層を形成していく、いわゆるボトムゲート型のトランジスタについての述べてきた。もっとも、本発明は、トップゲート型のトランジスタにも適用可能である。その場合、本発明は、少なくとも第一層と第二層とからなる絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、ゲート電極と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする有機トランジスタの製造方法となる。
かかるトップゲート型の場合には、前記第二層上に有機半導体層を形成することすることが好ましい。また、その有機半導体層上の少なくとも一部にゲート絶縁層とゲート電極とを順次形成することが好ましい。また、前記第一層として、絶縁性材料からなる基板を用いても良い。
以上の好ましい形態は、互いに矛盾しない限り、併用することができる。
有機トランジスタのチャネル形成の手法として、本発明者は、200nm〜280nmの波長を有するDeepUV光で分解可能な低表面自由エネルギーの有機化合物に着目した。これは、紫外線で分解する前の表面自由エネルギーは低く、分解した後には表面自由エネルギーが高くなるものである。
以下、このような有機化合物をゲート絶縁層に用いた有機トランジスタの製法の一例について述べる。
まず、ゲート電極上に有機化合物からなるゲート絶縁層を設ける。その後、ゲート上のチャネルを構成する部分に対応する有機化合物はマスクで保護して低表面自由エネルギーのままとし、その近傍の部分の有機化合物はDeepUV光で分解して表面自由エネルギーを高くする。それにより、導電性インクを用いて、ソース電極、ドレイン電極をインクジェット法等を用いて描画するときに、インクが低表面自由エネルギーの部分でせき止められる。言い換えると、低表面自由エネルギーの部分をインクが乗り越えることがない。したがって、非常に高精度にチャネル長を規定することが可能となる。なお、表面自由エネルギーを変化させる際に用いられる紫外線の波長は、照射対象となる有機化合物を分解できる波長であればよい。もっとも、細かいパターンを作成できる点や装置コスト的な面から、DeepUV光が好適に用いられる。市販品を採用するのであれば、254nm程度の波長のDeepUV光が好適に用いられる。
一方で、これらのDeepUV光の波長領域で分解可能な低表面自由エネルギーの有機化合物は、クロロホルムやクロロベンゼン等の溶解力の非常に強い有機溶媒に十分な耐性を持たないと考えられる。これらの強い有機溶媒は、高移動度の低分子有機半導体であるペンタセンやルブレンなどの化合物やその前駆体の溶媒としてしばしば用いられるものである。したがって、これらの化合物の下地となる有機化合物が、これらの溶媒に十分な耐性を持たないのは、問題であるといえる。具体的には、高移動度の低分子有機半導体を塗布によって形成する場合、その溶媒によってチャネル界面が溶解し、移動度を低下させる恐れがある。
したがって、少なくともソース電極とドレイン電極との間の半導体層(チャネル)の下地として、耐溶剤性に非常に優れた無機材料や無機と有機の複合材料を用いることが好ましい。それによって、溶解力の非常に強い有機溶媒による絶縁層(チャネルの下地)の侵食を防ぐことができる。その結果、チャネルでのキャリアの移動が妨げられないことになり、高い移動度を実現することができる。
チャネルの下地として設けられる絶縁層の例としては、SiO2やTa25などの様々な無機材料や様々な無機と有機の複合材料が挙げられる。中でも無機と有機の複合材料であるMSQ(メチルシルセスキオキサン:前述したとおり、MSQ骨格を有するポリマーを含む)は有機半導体との密着性や有機半導体を配向させる能力に優れているため、好適であるといえる。
(実験)
本発明者らは、以下のような実験検討を行ったので、その詳細について説明する。なお、以下の実験や実施例は、本発明を限定するものではない。
(実験1)
種々のポリイミドからなる絶縁膜A〜Fを形成して、その諸特性を評価した。成膜にあたっては、まず、N−メチルピロリドンとn−ブチルセロソルブの混合溶媒(混合比1:1)を用いてポリアミック酸の溶液を6種類作成した。かかる溶液を、基板上にスピンコートで塗布した。塗布時の回転数は2000rpm、回転時間は25秒とした。その後、200〜300℃で1時間焼成し、ポリイミドからなる絶縁膜を作成した。
絶縁膜A〜Fにおけるアルキル基の密度、表面自由エネルギー、表面自由エネルギーの水素結合項、撥水性、リーク電流の関係を表1に示す。
リーク電流はI−V測定により行い、トランジスタのゲート絶縁層として好適なものを◎、許容できるものを○、許容できる場合もあるといえるものを△、許容できないものを×とした。表1に示すように、表面自由エネルギーが小さくなるとリーク電流が大きくなる傾向がある。300nm程度の膜厚においては、表面自由エネルギー45mN/m程度が、リーク電流が問題とならない限界値であった。表面自由エネルギーが45mN/m未満の場合、リーク電流を抑える為には膜厚をかなり大きくする必要があった。また同様に、表面自由エネルギーの水素結合成分(水素結合項)が小さいほどリーク電流が大きくなる傾向がある。300nm程度の膜厚において、水素結合項2.0mN/m程度が、リーク電流が問題とならない限界値であった。水素結合項が2.0mN/m未満の場合、リーク電流を抑える為にはやはり膜厚をかなり大きくする必要があった。また、リーク電流が問題とならなかった絶縁膜はすべてアルキル基を有しないポリイミドからなるものであった。一方、表面自由エネルギーが低い絶縁膜はリーク電流の大きなものであった。
一方、かかる絶縁膜を有機トランジスタの絶縁層として用いることを考えると、膜の表面自由エネルギーを部分的に変化させることによって(表面自由エネルギーのパターニングによって)電極の打ち分けができることが好ましいといえる。ここで、表面自由エネルギーのパターニングを行うためには、膜が本来有する表面自由エネルギーが十分低い必要がある。紫外線によるパターニングを行うためには、具体的には、膜本来の表面自由エネルギーが40mN/m以下である必要があった。また、水素結合項は表面自由エネルギーが低いほど減少する。表面自由エネルギーのパターニングによって電極の打ち分けを行うためには、膜本来の表面自由エネルギーの水素結合項が1.0mN/m以下であることが望ましかった。表面自由エネルギーが低いポリイミドにはアルキル基が含まれており、アルキル基の密度の増加とともに表面自由エネルギーが下がり、水素結合項も減少する傾向にあった。アルキル基の密度が最も少ないポリイミドは、表面自由エネルギーが40mN/m、水素結合項が1.0mN/mであった。
以上のことから、有機トランジスタにおいては、チャネル部の下地となる絶縁層は、UV光照射前(表面自由エネルギーのパターニング前)には、表面自由エネルギーが40mN/m以下の上層と45mN/m以上の下層の二重構造とすることが好ましいといえる。また、表面自由エネルギーの水素結合項が1.0mN/m以下の上層と2.0mN/m以上の下層の二重構造とすることが好ましいといえる。更に側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる上層とアルキル基を有しないポリイミドからなる絶縁層の二重構造とすることが好ましいといえる。
(実験2)
側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる絶縁膜の表面自由エネルギーを部分的に変化させて、インクジェット法を用いて水の液滴の打ち分けの実験を行った。
まず、表面自由エネルギーが十分に低く初期の水の接触角が95°である絶縁膜の表面の一部に種々の条件で254nmの波長のUV光(DeepUV光)を照射した。隣り合うUV光照射領域の隙間は5〜20μm幅のいずれかとなるようにして、複数のパターンを形成した。次に、UV光によって表面自由エネルギーを部分的に上昇させて接触角を減少させた部分に、水の液滴(30pl程度)をインクジェット法で滴下して、着弾後の液滴が表面自由エネルギーの低い部分(水の接触角が大きい部分)の上に至らないかどうかを判断した。表2にその結果を示す。
表2に示すように、UV光照射部の水の接触角が30°以下の場合は、表面自由エネルギーが高い部分と低い部分との境界(以下、単に「境界」という)で液滴の広がりが完全に停止し、打ち分けが十分に可能であった。UV光照射部の水の接触角が40°、50°であっても打ち分けは可能であったが、着弾後に液滴が境界を乗り越えるケースも発生した。UV光照射部の水の接触角が60°の場合は、着弾後に液滴が境界を乗り越えるケースが増加したが、かろうじて打ち分けられる場合もあった。UV光照射部の水の接触角が70°以上の場合は、ほぼ全ての液滴が境界を乗り越えてしまった。また、以上の各場合において、液滴が境界を乗り越えた際には、液滴同士が繋がってしまうこともあった。したがって、着弾後の液滴の広がりを防止するためには、水の接触角を60°以下とすることが好ましい。なお、図2から明らかなように、水の接触角を60°以下とするための254nmの波長を有するUV光の照射量はおおよそ10J/cm2以上である。また、図3から明らかなように、この時の表面自由エネルギーはおおよそ50mN/m以上である。また、図4から明らかなように、この時の水素結合項はおおよそ5mN/m以上である。
以上のことから、有機トランジスタ上のソース電極、ドレイン電極に接する絶縁層の表面自由エネルギーは、50mN/m以上であることが好ましく、その水素結合項は、5mN/m以上であることが好ましい。
(実験3)
次に、側鎖にアルキル基を有するポリイミドの原液(ポリアミック酸溶液)及びそれを希釈した溶液を用いて膜形成を行った。そして、原液に対する溶液の濃度(希釈した溶液の濃度/原液の濃度)と、得られたアルキル基を側鎖に持つポリイミドからなる絶縁膜の厚さと、の関係について検討する実験を行った。図5に示すように、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる絶縁膜の厚さは、原液に対する溶液の濃度を減少させるとともに減少する。もっとも、3nmまでの薄膜化が可能であった。また図6に示すように、厚さを異ならせたそれぞれの絶縁膜に波長254nmで30J/cmのUV光を照射したところ、3nmの膜厚でも十分な水の接触角変化を観測できた。このことから、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる絶縁膜の厚さは3nm以上とすることができる。
また、側鎖にアルキル基を有しないポリイミドからなる絶縁膜に十分な絶縁耐圧を持たせるためには、その厚さを100nm以上とすることが好ましい(表3参照)。表3に絶縁膜の厚さと絶縁耐圧の関係を示す。
(実験4)
側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる絶縁膜を上層とし、アルキル基を有しないポリイミドからなる絶縁膜を下層としてゲート絶縁層とした。そして、それぞれの厚さを異ならせて製造した複数のFET(電界効果型トランジスタ)の電気特性を評価した。半導体層にはP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))を用いた。なお、絶縁層のトータルの厚さは500nmとして、上層と下層の厚さの比を変えた。図7は、上層の厚さと下層の厚さの比とVthの関係を示したものである。図7から、上層の厚さが200nmを超えるとVthが急激に大きくなっていることがわかる。
なお、Vthの測定条件は以下のとおりである。すなわち、Vd(ドレイン電圧)を0〜−50Vの範囲で変化させたときのId(ドレイン電流)を、Vg(ゲート電圧)が10〜−35Vの範囲で測定した。その結果から、Vgに対するVd−Id特性をプロットし、それに基づいて、Vthを算出した。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、さらに説明する。本形態で製造される有機トランジスタは以下の構成を有する。すなわち、かかる有機トランジスタは、有機半導体層とゲート絶縁層と複数の電極を含む。そして、そのゲート絶縁層は、第一層と第二層の少なくとも二つの層からなる。第一層は、ゲート電極とソース電極・ドレイン電極との間に少なくとも設けられており、DeepUVで表面自由エネルギー制御が可能な層である。また、第二層はソース電極とドレイン電極との間の有機半導体が付与されるべき部分に少なくとも設けられており、第一層とは組成が異なる耐溶剤性に優れた層である。
後述する実施例においては、第一層としてポリイミド系の材料を、第二層として無機と有機の複合材料を用いた、積層ゲート絶縁層を有する、優れた有機トランジスタの作製を行った例を示す。
耐溶剤性に優れた第二層には、無機化合物からなる材料又は無機と有機の複合材料であって、絶縁性を示し耐溶剤性に優れたあらゆる材料を用いることが出来る。無機化合物としては、SiO2などが塗布によって耐圧性と耐溶剤性とに優れた絶縁層を形成することが可能である点で好ましい。無機と有機の複合材料であれば、MSQ(メチルシルセスキオキサン:(CH3−SiO3/2)n)も、塗布可能で、焼成後は耐溶剤性に優れ、ソース電極とドレイン電極との間の下地表面に用いる層として望ましい。
第二層の材料として、有機半導体を配向させる能力あるいは有機半導体の結晶化を促進する能力を有している材料を用いることがさらに好ましい。かかる観点からもMSQは優れているといえる。
また、第一層には、絶縁性を有し、紫外線(好ましくはDeepUV)照射で構造が変化する、あらゆる材料を用いることができる。これらの材料の中でも、表面自由エネルギーが低く、紫外線照射によって破壊されやすい結合を有する、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、PVP(ポリビニルフェノール)などの有機系高分子材料を用いるのが望ましい。これらの材料内に紫外線によって破壊されやすい結合を存在させるという観点からは、アルキル基などの側鎖を含有する有機系高分子材料も好適であるといえる。なお、本明細書中で、「紫外線」という場合、特に断らない限り、「DeepUV」が好ましい態様である。
さらに、第一層は、紫外線照射による表面自由エネルギー制御と耐絶縁性との機能分離の観点から、ゲート電極側(成膜時に下地となる側)を下として上下二層構造にするのが望ましい。この場合、ゲート電極側が下層、第二層側が上層となる。第一層の上層(第二層に接する層)には、絶縁性を示し、紫外線で構造が変化するあらゆる材料を用いることができる。これらの材料の中でも、表面自由エネルギーが低く、紫外線によって破壊されやすい結合を有する、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、PVP(ポリビニルフェノール)などの有機系高分子材料を用いるのが望ましい。これらの材料内に紫外線によって破壊されやすい結合を存在させるという観点からは、アルキル基などの側鎖を含有する有機系高分子材料も好適であるといえる。
第一層の下層(ゲート電極に接する層)には、有機化合物であるか無機化合物であるかを問わず、絶縁性を示すあらゆる材料を用いることができる。有機化合物としては、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、側鎖にアルキル基を持たないポリイミドなどを用いることができる。一方、無機化合物としては、SiO2やTa25などの絶縁性に優れた材料を用いることができる。なお、下層の材料としてSiO2を用いる場合、ハイドープシリコン基板をゲート電極とし、その表面を酸化することによって、下層を形成しても良い。
積層ゲート絶縁層を構成する各層の形成には、気相法、塗布法、印刷法などの、種々の公知の方法を採用し得る。低コストかつ簡易なプロセスの実現という観点からは、塗布法、印刷法のいずれかを採用することが好ましい。例えば、スピンコート法やインクジェット法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、マイクロコンタクトプリンティング法、などが採用できる。第二層を形成する方法としては、特にインクジェット法が好適である。
このような積層ゲート絶縁層を構成する各層の形成方法についての考え方は、他の層(電極や有機半導体層)の形成方法についても妥当する。例えば、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極も、種々の公知の形成方法によって形成可能である。チャネル長を小さくするという観点からは、ソース電極、ドレイン電極の形成方法としては、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法が好適である。
積層ゲート絶縁層を構成する各層は、絶縁性を十分に保持できる範囲内でそれぞれできるだけ薄く形成されることが望ましい。ゲート駆動電圧を低電圧に抑えるという観点から、第一層の厚さは、1μm以下とすることが望ましい。一方、第二層は、有機半導体あるいはその前駆体を付与する際の強い溶媒によってダメージを受けない程度の厚さがあれば良い。塗布法で形成可能であるという観点もあわせて考えると、第二層の厚さは3nm以上が望ましい。また、電界効果や材料コスト等もあわせて考えると、第二層の厚さは、ソース電極、ドレイン電極の厚さを超えない厚さであって200nm以下とすることが望ましい。
さらに、第一層を上下二層構造にする場合には、主として下層にゲート絶縁層としての役割を担わせ、上層には紫外線による表面自由エネルギー制御を容易にするという役割を担わせる、という設計思想を採用することが好ましい。その場合、下層には、高い絶縁性を有するための厚さが求められる。一方、上層は、表面自由エネルギーを制御するために必要な厚さを有していれば良い。したがって、下層が上層よりも厚いことが望ましい。
本発明における有機半導体層の材料としては、公知のあらゆる材料を用いることができる。構造上の分類をすれば、高分子材料、低分子材料、オリゴマー、デンドリマーが挙げられる。これらの混合物や積層体を有機半導体層に用いても良い。中では、分子間ホッピング伝導が主体で、分子がチャネル方向に垂直に並んだ場合に高移動度を示す低分子化合物、具体的にはペンタセンやルブレン、ポルフィリンなど、あるいはそれらの誘導体が好適である。これらの低分子化合物は、その前駆体を溶解力の強い有機溶媒に溶解させたり、これらの低分子化合物そのものを溶解力の強い有機溶媒を用いて特殊な処理をすることで溶解させたりすることによって、塗布形成することが可能である。
以下、図1を用いて、本発明で製造される有機トランジスタの一例について説明する。図1に示す有機トランジスタは、ゲート電極とソース電極・ドレイン電極との間に設けられた第一層13と、ソース電極とドレイン電極との間に設けられた第二層15と、を有するものである。第二層15は第一層13とは組成が異なる。また、第二層15は有機半導体層16のチャネルの下地となる。なお、図1中では、第一層13を「第一層絶縁層」と表記しており、第二層15を「第二絶縁層」と表記している。また、図1に示しているのは、ボトムゲート型であってボトムコンタクト型の有機トランジスタの一例である。図1に示されるように、基板11上の一部にゲート電極12が形成される。その上に第一層13が形成される。なお、第一層13はゲート電極側の層(下層)と第二層側の層(上層)との二層構造にすることも可能である。第一層の絶縁層13上にソース電極・ドレイン電極(図中では、まとめて「ソース&ドレイン電極」と表記している)14がチャネルを隔てて部分的に形成される。ソース電極とドレイン電極との間に第二層15が形成されてチャネル部の下地となり、さらに少なくとも第二層15を覆うように有機半導体層16が形成される。第二層15はソース電極とドレイン電極との間のチャネルとなる部分全体の下地となるように(第一層と有機半導体層のチャネルとが接しないように)設けることが好ましい。また、第二層がソース電極やドレイン電極の一部や全部を覆っていても良い。さらに、第二層が全面にわたって形成されていても構わない。
なお、トップゲート型であってボトムコンタクト型の有機トランジスタを製造する場合、第一層と第二層とからなる絶縁層に、ゲート絶縁層としての役割を担わせる必要は無い。この場合、絶縁層には、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層の下地層としての役割のみを担わせることもできる。
本発明に係る製造方法の最良の形態によれば、第一層表面の上の少なくともチャネルの下地となる部分をマスクしてDeepUV光を照射する。それによれば、チャネルの下地となる部分の表面自由エネルギーは低く、ソース電極、ドレイン電極の下地となる部分は表面自由エネルギーを高くコントロールすることが出来る。このような表面自由エネルギーの分布を用いてインクジェット法などを用いて電極を作成するので、チャネルの精密制御が可能になる。また、第一層とは組成が異なる第二層を形成することによって、有機半導体や有機半導体前駆体を溶解している有機溶媒がゲート絶縁層にダメージを与えることを防ぐことができる。それにより、チャネルと隣接しているゲート絶縁層表面近傍領域の分子の分解と不純物の発生を防ぐとともに、かかる不純物が有機半導体層(特にチャネル)に悪影響を与えることを防ぐことができる。そして、高移動度・高耐圧・低リーク電流・高性能、かつ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
以下、実施例を用いて、詳細な具体例を示す。
(実施例1)
本実施例は、本発明の製造方法を用いてボトムゲート型有機トランジスタを製造した例である。ガラス基板上にゲートとなるAlを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングしてゲート電極12を形成した。この上に、絶縁層の一部である第一層として、側鎖にアルキル基を有する低表面自由エネルギーのポリイミド(試作サンプル)原液(ポリアミック酸溶液)をオフセット印刷で形成し、210℃のオーブンで60分焼成を行った。これにより、厚さ約1μmの第一層13を形成した。次に、第一層の表面の一部をメタルマスクでマスクし、図10に示すようにソース電極、ドレイン電極を形成したい部分のみに波長が254nmのDeep UV光を照射した。ソース電極とドレイン電極との間隔(チャネル長)は20μmとした。用いた装置アライナーは、ウシオ電機製UX3000である。
波長が254nmのUV光を露光することにより、ポリイミドは大きく表面自由エネルギーが変化する。特に側鎖にアルキル基をもった表面自由エネルギーの低いポリイミドはその変化が大きい。図3、4に、波長が254nmのUV光の照射量と本実施例で用いたアルキル基を側鎖に持つポリイミドの表面自由エネルギーの変化との関係を示す。UV光照射によって特に水素結合項が大きく上昇することがわかる(図4参照)。図2に同じポリイミド材料に波長が254nmのUV光を照射した場合の、UV光の照射量と水の接触角との関係を示す。図2から明らかなように、波長が254nmのUV光照射によって水の接触角を約95°〜約10°の範囲で変化させることができる。
本実施例においては、波長が254nmでエネルギー密度が約25J/cm2のUV光照射によって、照射前は95°であった水の接触角を10°に変化させた。
上記UV光照射の後、インクジェット法を用いてソース電極・ドレイン電極14を形成した。電極材料としてはAgナノ粒子を水系の溶媒に分散した溶液(以下「Agナノインク」と呼ぶ場合もある)を用いた。この溶液を、第一層の、チャネルの下地となる低表面自由エネルギー(撥水性)の領域の両側の領域(UV光を照射した領域=親水性の領域)に、インクジェット法で塗布した。チャネルの下地となる領域は表面自由エネルギーが38mN/mと非常に低い為、AgナノインクはUV光照射領域・非照射領域の境界で堰き止められ、UV光照射領域内では塗れ広がって安定化した。図8に実際にAgナノインクをインクジェット法で描画した後の写真を示す。図8に示すように、チャネル長を20μmとした場合でも、ソース電極、ドレイン電極となるAgナノインクがチャネルの両側に広がり、チャネルがきれいに形成されているのがわかる。この状態で210℃のオーブンで120分焼成を行い、Agナノ粒子を粒子同士融着させることによって金属化してソース電極、ドレイン電極14とした。
次に、MSQをアルコール系の溶媒に溶解させた溶液を、インクジェット法を用いてソース電極とドレイン電極との間の第一層上に直接描画した。ソース電極とドレイン電極との間隔が20μmであるため、1pl程度の液滴を吐出するIJヘッドでの直接描画が可能であった。その後、溶媒を蒸発させてMSQを薄膜化し、第二層15とした。ソース電極及びドレイン電極の厚さは800nmであり、MSQ層(第二層)の厚さは100nmであった。
次に、このように電極及び絶縁層を形成した基板上に、ポルフィリン前駆体(テトラビシクロテトラベンゾポルフィリン)をクロロホルム溶媒に溶かした溶液をスピンコート法で塗布し、200℃のオーブンで60分焼成を行って結晶化させた。それにより、テトラベンゾポルフィリンからなる有機半導体層16を形成した。このようにして得られた有機半導体層の配向状態を偏向顕微鏡で確認したところ、垂直配向していた。これは、MSQ層の表面自由エネルギーが低い為であると考えられる。またチャネル長は20μmであった。さらに半導体層上に、ポリイミド系材料をスピンコートにて500nmの厚さで形成し、250℃のオーブンで60分焼成を行うことにより、保護膜を形成した。
このようにして形成したボトムゲート型の有機トランジスタ上のゲート電極、ソース電極、ドレイン電極に配線を行った。真空中で半導体パラメーターアナライザーを用いて本実施例の有機トランジスタの特性を測定したところ、ややリーク電流が大きいものの、1.0cm2/Vs程度の高い移動度が得られた。また、ゲート電圧に対し良好な飽和特性を示した。
(実施例2)
第二層の形成前にソース電極とドレイン電極との間の第一層にDeepUV光を照射して表面自由エネルギーを高めに制御した後に第二層を形成した点、チャネル長を5μmとした点以外は、実施例1と同様に有機トランジスタを作製した例を挙げる。
まず、マスク露光の際にソース電極とドレイン電極との間隔(チャネル長)を20μmとしたことを除いては、実施例1と同様にして、ソース電極、ドレイン電極の形成までの工程を行った。
図9に示すようにチャネル長を5μmとした場合のチャネル長でも、Agナノインクがチャネルの両側に広がり、チャネルがきれいに形成されているのがわかる。
次に、MSQをアルコール系の溶媒に溶解した溶液を、インクジェット法を用いてソース電極とドレイン電極との間の第一層上に付与した。ただし、本実施例では、ソース電極とドレイン電極との間隔が5μmしかないため、IJヘッドで直接描画は困難である。そこで、溶液の付与に先立って、ソース電極とドレイン電極との間の第一層表面にDeepUV光を照射し、表面自由エネルギーを高めることにより、濡れ性を向上させた。具体的には、上記同様のアライナーでのパターン露光を行った。そして、DeepUV光の照射後に、ソース電極とドレイン電極との間隙の両端部にMSQ溶液をインクジェットで打ち込んだ。
図2に示すように、DeepUV光の照射によって側鎖にアルキル基を有するポリイミドの水の接触角は大きく減少する。そのため、DeepUV光の照射により、ソース電極とドレイン電極との間の第一層表面の濡れ性を大きくすることができる。そして、上記のように間隙の両端部に溶液を打ち込んでも、MSQ溶液は濡れ性の良いソース電極とドレイン電極との間を伝って濡れ広がる。それにより、5μmの電極間隔でも均一に絶縁層を形成することが可能になる。
その後の工程は実施例1と同様として、有機トランジスタを形成し、実施例1同様に特性評価を行った。
なお、MSQ層(第二層)の厚さは30nmとなったが、その他の点は実施例1と同様である。
得られた有機トランジスタの特性も実施例1同様であった。すなわち、ややリーク電流が大きいものの、1.0cm2/Vs程度の高い移動度を持ち、ゲート電圧に対し良好な飽和特性を示した。
(実施例3)
第一層を上層と下層との二層構造にした以外は、実施例2と同様にボトムゲート型の有機トランジスタ作成を行った。
第一層中の下層の材料としては、側鎖にアルキル基を持たないポリイミド(SE−812(商品名:日産化学社製)を用いた。このポリイミドは層を形成した際にリーク電流が小さいという点で優れている。そして、SE−812の溶液をオフセット印刷で300nm程度の厚さになるように成膜し、250℃のオーブンで60分焼成することにより下層を形成した。また、第一層中の上層の材料しては側鎖にアルキル基を持つポリイミド(試作品)の原液(ポリアミック酸溶液)を用いた。そして、かかるポリイミドの原液をオフセット印刷で形成し、210℃のオーブンで60分焼成を行った。それにより、厚さ30nm程度の上層を形成した。
その他の点は、実施例2と同様にした。また、実施例1、2同様の手法で、得られた有機トランジスタの特性を測定したところ、リーク電流は非常に小さく、移動度も1.0cm2/Vs程度と良好であった。
(実施例4)
第一層中の下層をプラズマCVD法で形成したSiO2膜に変えた以外は、実施例3と同様にボトムゲート型の有機トランジスタを作成した。SiO2膜の成膜条件は、原料ガス組成及び流量をTEOS/He/O2=185sccm/100sccm/3500sccmとし、反応圧力を800mtorr、基板温度を330℃とした。また、SiO2膜の厚さは300nmとした。
その他の点は、実施例2と同様にした。また、実施例1、2同様の手法で、得られた有機トランジスタの特性を測定したところ、リーク電流が非常に小さく、移動度も1.0cm2/Vs程度と良好であった。
以上の実施例においては基板として、ガラス基板を用いているが、Si基板などの他のあらゆる無機系材料からなる基板を用いることが可能である。また、基板材料として高分子系の材料を用いることも可能である。特に液晶性ポリマーなどは、その低熱膨張性と高耐熱性から、本発明の有機トランジスタの基板材料に適している。
以上の実施例においては、ゲート電極材料としてAlを用い、フォトリソグラフィでゲート電極を形成しているが、その他の方法でゲート電極を形成しても良い。例えば、導電性金属材料をインクジェット法やスクリーン印刷法などを用いて、必要な場所に印刷することにより、ゲート電極を形成することも可能である。その際の導電性金属材料としては、Agナノ粒子を用いた低温焼成型Agナノインクやナノペースト、Agが150℃で酸化還元反応を起こすことを利用した酸化銀と有機銀化合物を組み合わせた低温焼成型Agインクやペーストが挙げられる。これらの材料は150℃、60分程度の焼成で金属Agに近い十分な低抵抗を示し、ゲート電極をインクジェット法やスクリーン印刷法などの印刷プロセスで形成する際に材料として望ましい。またAg以外にも、AuやPtなどナノ粒子化による低温焼成化が可能な導電性材料を用いた低温焼成型導電性インクやペーストを用いることが可能である。AuやPtを用いたほうがAgを用いるよりも優れたトランジスタが得られる場合もある。いかなる電極材料を選択するかは、仕事関数などのパラメータも考慮した上で決定することができる。
またインクジェット法で印刷可能なPEDOT・PSS溶液(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とを含有する溶液)などの有機系導電性材料も使用可能である。
また、シリコン基板を用いる場合には、ハイドープシリコンをゲート電極として用いても良い。この場合、ゲート電極が基板を兼ねていても良い。
また、上述した実施例においては、第二層の絶縁層に無機と有機の複合系材料であるMSQを用いているが、MSQ以外にも、無機系の構造部分を有する様々な材料を用いることが可能である。特にSiO2やAl23、Ta25などは耐溶剤性に優れた無機材料であり、第二層(ゲート絶縁層のチャネル側界面近傍層)に用いるのに好ましい。またこれらの材料は溶液化して塗布することも可能である。
上記実施例3,4においては、第一層中の下層にポリイミドあるいはSiO2を用いているが、Al23やTa25などの無機系絶縁材料も使用可能である。また上記実施例4においては、真空成膜の一種であるプラズマCVD法を用いてSiO2の成膜を行っているが、その他の成膜法を用いることも可能である。たとえば、無機系の塗布型絶縁膜をスピンコートやオフセット印刷などで塗布し、焼成する方法も可能である。また、下層に用いる有機系絶縁材料としては、ポリイミド以外にも、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの種々の有機材料を用いることができる。ここに挙げた材料は、スピンコートやオフセット印刷などで塗布が可能であり、絶縁性が高くかつリーク電流が低いので、好ましい。
また、上記実施例においては、半導体層にポルフィリンの一種であるテトラベンゾポルフィリンのビシクロ前駆体を用いているが、ペンタセンやルブレンの低分子半導体材料の可溶性前駆体を用いることも可能である。また、材料そのものが可溶性の低分子半導体材料を用いることも可能である。低分子半導体材料の場合はホッピング伝導が主体であり、分子を基板に対して垂直に配向させると、π電子の重なりによって電子ホッピングの確率が高まり、より伝導度が高くなる傾向がある。また、現時点での各種の研究結果からは、低分子有機半導体は高分子有機半導体と比べて、移動度が高い傾向がある。一方で、高分子系の有機半導体材料としてP3HTやF8T2(Fluorene−bithiophene)などを用いることも可能である。
(比較例)
ソース電極とドレイン電極との間に耐溶剤性の第二層を設けない点以外は、実施 例1と同様に、ボトムゲート型の有機トランジスタを作成した。
実施例1と同様の手法で、得られた有機トランジスタの特性を測定したところ、飽和特性が得られたものの、移動度は0.01cm2/Vs程度と小さくなった。これは、チャネル界面がクロロホルムによってダメージを受けたからであると考えられる。
本発明により製造される有機トランジスタは、ペーパーライクディスプレイ、有機IDタグ、有機EL等様々な電子デバイスへの応用が期待できる。
本発明により製造されるボトムゲートタイプの有機トランジスタの一例を示す模式的な概略断面図である。 254nmの波長を有するUV光照射量に対する、アルキル基を側鎖に持つポリイミドの水の接触角の変化の例を示すグラフである。 254nmの波長を有するUV光照射量に対する、アルキル基を側鎖に持つポリイミドの表面自由エネルギーの変化の例を示すグラフである。 254nmの波長を有するUV光照射量に対する、アルキル基を側鎖に持つポリイミドの表面自由エネルギー各成分の変化の例を示すグラフである。 アルキル基を側鎖に持つポリイミドの原液濃度と膜厚との関係の例を示すグラフである。 254nmの波長を有するUV光照射に対するアルキル基を側鎖に持つポリイミドの水の接触角変化の膜厚依存性の例を示すグラフである。 本発明にともなう実験で、トランジスタの絶縁層を側鎖にアルキル基を有するポリイミド膜とアルキル基を持たないポリイミド膜との積層構造とし、それぞれの膜厚を変化させた場合にVthがどのように変化するか、を調べた一つの実験の結果を示すグラフである。 254nmの波長を有するUV光照射でチャネル長=20μmになるように表面自由エネルギーがマッピングされたポリイミド上にAgナノインクをインクジェット法で描画した後の状態の例を示す写真及びイメージ図である。 254nmの波長を有するUV光照射でチャネル長=5μmになるように表面自由エネルギーがマッピングされたポリイミド上にAgナノインクをインクジェット法で描画した後の状態の例を示す写真及びイメージ図である。 ソース電極、ドレイン電極をインクジェット法で形成する方法の例を示すイメージ図である。
符号の説明
11 基板
12 ゲート電極
13 第一層絶縁層(第一層)
14 ソースおよびドレイン電極(ソース電極、ドレイン電極)
15 第二層絶縁層(第二層)
16 有機半導体層

Claims (27)

  1. ゲート電極と、少なくとも第一層と第二層とからなるゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記ゲート電極の上に第一層を形成する工程と、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
  2. 前記第一層に照射する紫外線として、200nm以上の波長帯の紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の有機トランジスタの製造方法。
  3. 前記第一層の前記紫外線の照射前の表面自由エネルギーを40mN/m以下とし、前記紫外線を照射することによって、前記第一層の紫外線照射部の表面自由エネルギーを50mN/m以上とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機トランジスタの製造方法。
  4. 前記第一層の前記紫外線の照射前の表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下であり、前記紫外線を照射することによって、前記第一層の紫外線照射部の表面自由エネルギーの水素結合成分を5.0mN/m以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  5. 前記ソース電極と前記ドレイン電極とをインクジェット法を用いて形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  6. 前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成した後に、前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射し、その後に前記第二層を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  7. 前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に照射する紫外線として、200nm以上の波長帯の紫外線を照射することを特徴とする、請求項6に記載の有機トランジスタの製造方法。
  8. 前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射することによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分の表面自由エネルギーを50mN/m以上にすることを特徴とする請求項6または7に記載の有機トランジスタ形成方法。
  9. 前記第一層の少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分に紫外線を照射することによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分の表面自由エネルギーの水素結合成分を5.0mN/m以上にすることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  10. 前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成した後に、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に、前記第二層の材料を含む溶液をインクジェット法を用いて滴下することによって、前記第二層を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  11. 前記第二層として、無機材料を含む層を形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  12. 前記第二層として、無機と有機の複合材料を含む層を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  13. 前記第二層として、シロキサン化合物を含有する層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機トランジスタの製造方法。
  14. 前記第二層がメチルシルセスキオキサンを含有する層であることを特徴とする請求項13に記載の有機トランジスタの製造方法。
  15. 前記第一層として、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる層を形成することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  16. 前記第一層を形成する工程が、前記ゲート電極上に下層を形成する工程と、該下層の上に、該下層よりも低い表面自由エネルギーを有する上層を形成する工程と、からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  17. 前記下層として、表面自由エネルギーが45mN/m以上の層を形成し、前記上層として、表面自由エネルギーが40mN/m以下の層を形成することを特徴とする請求項16に記載の有機トランジスタの製造方法。
  18. 前記下層として、表面自由エネルギーの水素結合成分が2.0mN/m以上の層を形成し、前記上層として、表面自由エネルギーの水素結合成分が1.0mN/m以下の層を形成することを特徴とする請求項16または17に記載の有機トランジスタの製造方法。
  19. 前記上層として、側鎖にアルキル基を有するポリイミドからなる層を形成することを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  20. 前記下層として、側鎖にアルキル基を有しないポリイミドからなる層を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  21. 前記下層として、無機材料からなる層を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  22. 前記上層の厚さが前記下層の厚さよりも薄くなるように形成することを特徴とする、請求項16〜21のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  23. 前記下層の厚さを100nm以上とし、前記上層の厚さを3nm以上200nm以下とすることを特徴とする請求項16〜22のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
  24. 少なくとも第一層と第二層とからなる絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層と、ゲート電極と、を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法において、前記第一層の表面の一部に紫外線を照射する工程と、前記紫外線を照射した部分に前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成する工程と、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第一層とは異なる材料からなる第二層を形成する工程とを含むことを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
  25. 前記第二層上に有機半導体層を形成することを特徴とする請求項24に記載の有機トランジスタの製造方法。
  26. 前記有機半導体層上の少なくとも一部にゲート絶縁層とゲート電極とを順次形成することを特徴とする請求項25に記載の有機トランジスタの製造方法。
  27. 前記第一層として、絶縁性材料からなる基板を用いることを特徴とする請求項24〜25のいずれかに記載の有機トランジスタの製造方法。
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JP2009283667A (ja) * 2008-05-22 2009-12-03 Kuraray Co Ltd 導電性回路基板の製造方法

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