JP5103982B2 - 有機半導体素子の製造方法 - Google Patents
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このようなことから、本発明によれば有機半導体層を必要最小限の面積で形成することができ、オフ電流の小さい有機半導体素子を製造することが可能な有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
このようなことから、本発明によれば有機半導体層を必要最小限の面積で形成することができ、オフ電流の小さい有機半導体素子を製造することが可能な有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。
まず、第1態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様の有機半導体素子の製造方法は、ボトムゲート型構造の有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を製造することが可能なものである。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように、上記ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性を有する遮光性材料が含まれるパッシベーション層形成用塗工液を塗工することにより、パターン状にパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程と、真空紫外光を上記パッシベーション層および上記有機半導体層上に照射することにより、上記パッシベーション層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と、有するものあって、上記有機半導体層の表面が、上記パッシベーション層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、上記ソース電極および上記ドレイン電極の表面の上記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角が、上記有機半導体層の表面の上記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とするものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子の製造方法は、上記有機半導体層6の表面が上記パッシベーション層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、上記ソース電極4および上記ドレイン電極5の表面の上記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角が、上記有機半導体層6の表面の上記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とするものである。
このようなことから、本態様によれば有機半導体層を必要最小限の面積で形成することができ、オフ電流の小さい有機半導体素子を製造することが可能な有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
図2は、本態様におけるパッシベーション層形成工程の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本態様に用いられるパッシベーション層形成工程は、有機半導体素子用基板が用いられ、上記有機半導体層6の表面に露出されたソース電極4およびドレイン電極5の双方を覆うように、パッシベーション層形成用塗工液7’を塗布することによってパッシベーション層を形成するものである(図2(a))。ここで、上記有機半導体層6は、表面に上記パッシベーション層形成用塗工液7’に対する撥液性を有するため、上記パッシベーション層形成用塗工液7’は乾燥過程において表面積が減少するように有機半導体層6の表面上を移動すると考えられる(図2(b))。そして、本態様においては上記ソース電極4および上記ドレイン電極5の表面の上記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角が、上記有機半導体層6の表面のそれに比べて小さくなっているため、上記パッシベーション層形成用塗工液の移動をソース電極4およびドレイン電極6上で停止させることができる(図2(c))。このため、上記チャネル領域のみにパッシベーション層を形成することができると考えられる。
以下、本態様に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本態様に用いられるパッシベーション層形成工程について説明する。本工程は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ゲート絶縁層上に、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性を有する遮光性材料を含有するパッシベーション層形成用塗工液を塗工することによりパターン状にパッシベーション層を形成する工程である。
以下、このようなパッシベーション層形成工程について詳細に説明する。
最初に、本工程に用いられる有機半導体素子用基板について説明する。上述したように本工程に用いられる有機半導体素子用基板は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように、上記ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層とを有するものである。
本工程に用いられる有機半導体素子用基板が備える有機半導体層は、有機半導体材料を含むものであり、本態様により製造される有機半導体素子において有機半導体トランジスタに半導体特性を付与するものである。また、本工程に用いられる有機半導体層は、表面に後述するパッシベーション層形成用塗工液に対する撥液性を有するものである。
なお、上記接触角は、協和界面科学社製 Drop Master 700を用い、室温(23℃)で測定した値を用いるものとする。
一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスによって形成することができる。
本工程に用いられるソース電極およびドレイン電極は、後述するゲート絶縁層上に配置され、その表面が上述した有機半導体層の表面に露出するように形成されたものである。
ここで、ソース電極とドレイン電極との厚みが異なる場合、上記厚みの差は厚みが小さい方の電極と有機半導体層の厚みとの差を指すものとする。
ここで、本工程に用いられるソース電極およびドレイン電極を後述するような多孔質体とすることにより、上記接触角を実質的に0°にすることができる。
本工程に用いられるゲート絶縁層は、後述するゲート電極を覆うように形成され、上記ソース電極およびドレイン電極と、ゲート電極とを絶縁する機能を有するものである。
次に、本工程に用いられるゲート電極について説明する。本工程に用いられるゲート電極は、所望の導電性を有する導電性材料からなるものであれば特に限定されるものではない。このような導電性材料としては、例えば、上記「b.ソース・ドレイン電極」の項において、ソース電極およびドレイン電極に用いられる導電性材料として説明したものと同様の材料を用いることができる。
次に、本工程に用いられる基板について説明する。本工程に用いられる基板としては所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本態様によって製造される有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。このような基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板、および、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板を挙げることができる。ここで、上記プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
ここで、本工程に用いられる基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みの総和を意味するものとする。
次に、本工程に用いられるパッシベーション層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられるパッシベーション層形成用塗工液は、真空紫外光に対する遮光性を有する遮光性材料を含有するものである。
本工程においては、上記パッシベーション層形成用塗工液を、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように塗工することにより、パターン状のパッシベーション層を形成するが、本工程に用いられる塗布方法としては、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うようにパッシベーション層形成用塗工液を塗布できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、およびグラビア・オフセット印刷法等を挙げることができる。なかでも本工程においてはスクリーン印刷法を用いることが好ましい。
本工程により形成されるパッシベーション層は、有機半導体層の経時劣化を防止する保護機能と、後述する有機半導体パターニング工程に用いられる真空紫外光に対する遮光性を有するものとなるが、ここで、上記遮光性の程度としては本工程においてパッシベーション層が形成された部位の有機半導体層が、後述する有機半導体層パターニング工程において劣化されない程度であれば特に限定されるものではない。したがって、上記遮光性の程度については、後述する有機半導体層パターニング工程において用いられる真空紫外光の波長に応じて適宜決定すればよい。なかでも本工程によって形成されるパッシベーション層は、後述する有機半導体層パターニング工程に用いられる真空紫外光の透過率が10%以下であることが好ましく、特に3%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。上記真空紫外光に対する透過率が上記範囲内であることにより、後述する有機半導体層パターニング工程に用いられる真空紫外光の波長に関わらず、後述する有機半導体層パターニング工程において有機半導体層が劣化することを防止できるからである。
次に本態様に用いられる有機半導体層パターニング工程について説明する。本工程は、真空紫外光を上記パッシベーション層および上記有機半導体層上に照射することにより、上記パッシベーション層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする工程である。
また、本工程においては、上記パッシベーション層をマスクとして用いてパターニングするため、本工程においてパターニングされる有機半導体層のパターンは、上記パッシベーション層が形成されているパターンと同一になる。さらに、上述したように上記パッシベーション層形成工程においては、チャネル領域のみにパッシベーション層を形成することができるため、本工程においてはチャネル領域のみに有機半導体層が残存するように、有機半導体層をパターニングすることができる。
すなわち、真空紫外光は指向性のない分散光であるため、上記パッシベーション層および上記有機半導体層の全面を同時に照射する方法では、例えば、大面積の上記パッシベーション層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射する場合に、中央部と端部とで真空紫外光の照射量に差が生じてしまう可能性がある。しかしながら、上記パッシベーション層および上記有機半導体層の全面を順次に照射する方法によれば、たとえ大面積の上記パッシベーション層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射する場合であっても、全面に対して均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
次に、本発明の第2態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様はトップゲート型構造の有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を製造することが可能な態様である。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板と、上記基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上に、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性と、絶縁性とを有する遮光性絶縁材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を塗工することにより、パターン状にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、真空紫外光を上記ゲート絶縁層および上記有機半導体層上に照射することにより、上記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と有するものであって、上記有機半導体層の表面が、上記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、上記ソース電極および上記ドレイン電極の表面の上記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角が、上記有機半導体層の表面の上記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とするものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子の製造方法は上記有機半導体層6の表面が、上記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、上記ソース電4極および上記ドレイン電極5の表面の上記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角が、上記有機半導体層6の表面の上記ゲート絶縁層層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とするものである。
このようなことから、本態様によれば有機半導体層を必要最小限の面積で形成することができ、オフ電流の小さい有機半導体素子を製造することが可能な有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
以下、本態様に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、基板と、上記基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上に、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層とを、有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性と、絶縁性とを有する遮光性絶縁材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を塗工することにより、パターン状にゲート絶縁層を形成する工程である。
以下、このようなゲート絶縁層形成工程について順に説明する。
まず、本工程に用いられる有機半導体素子用基板について説明する。上述したように本工程に用いられる有機半導体素子用基板は、基板と、上記基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上に、上記ソース電極および上記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層とを、有するものである。
本工程に用いられる有機半導体素子用基板が備える有機半導体層は、有機半導体材料を含むものであり、本態様により形成される有機半導体素子において有機半導体トランジスタに半導体特性を付与するものである。また、本工程に用いられる有機半導体層は、表面に後述するゲート絶縁層形成用塗工液に対する撥液性を有するものである。
なお、上記接触角は、協和界面科学社製 Drop Master 700を用い、室温(23℃)で測定した値を用いるものとする。
本工程に用いられるソース電極およびドレイン電極は、後述する基材上に形成され、その表面が上述した有機半導体層の表面に露出するように形成されたものである。
ここで、本工程に用いられるソース電極およびドレイン電極が形成されている態様としては、基板上に形成されていること以外は、上記「A.第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明した態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、本工程に用いられるソース電極およびドレイン電極を多孔質体とすることにより、上記接触角を実質的に0°にすることができる。
本工程に用いられる基板としては、所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本態様によって製造される有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。
ここで、本工程に用いられる基材については、上記「A.第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本工程に用いられるゲート絶縁層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられるパッシベーション層形成用塗工液は、真空紫外光に対する遮光性と、絶縁性とを有する遮光性絶縁材料を含有するものである。
1)大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板20の表面に、パターニングされたITO電極21(1mm×1mm、厚み1200Å:以下、当該ITO電極21を下部電極と称する場合がある)を形成する(図5(a))。
2)耐電圧の評価対象となる遮光性絶縁材料を溶媒に溶解した塗工液(固形分13質量%)用い、スクリーン印刷法により上記基板20上に当該塗工液をパターン塗工し、絶縁層22を形成する。このとき、上記絶縁層22が下部電極21を覆うように、スクリーン版のパターンを1.2mm×1.2mmに設計し、アライメントを合わせて印刷する(図5(b))。また、スクリーン版は500メッシュ、乳剤3μmのものを使用し、スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いる。さらに、印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.1mm、スキージスピード100mm/secとする。
3)上記絶縁層22を100℃のホットプレートで30分乾燥させる。
4)1mm×1mmの開口部を有するメタルマスクを上記絶縁層22上に配置し、膜厚50nmのAu膜を蒸着することにより、上部電極23を形成する(図5(c))。このとき、蒸着の際の真空度は1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとする。
5)上記上部電極21および下部電極23の間に0〜300Vの電圧を印加し、上部電極21−下部電極23間を流れる電流値Iを計測する。そして、得られたデータを元に横軸を電界強度E(印加電圧Vを絶縁層22の膜厚dで除した値)、縦軸を絶縁層22の抵抗値R(印加電圧を電流値で除した値)としてプロットする。このようにして作製したグラフを元に、抵抗値Rが急激に低下する電界強度の値E0を絶縁破壊強さ(耐電圧)とする。
ここで、上記誘電率は、JIS K 6911に準じて測定した値を示すものとする。
ここで、上記体積固有抵抗は、JIS K 6911に準じて測定した値を示すものとする。
本工程においては、上記ゲート絶縁層形成用塗工液を、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うように塗工することにより、パターン状のゲート絶縁層を形成するが、本工程に用いられる塗布方法としては、上記有機半導体層の表面に露出された上記ソース電極および上記ドレイン電極の間を覆うようにゲート絶縁層形成用塗工液を塗布できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、上記「A.第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において、パッシベーション層形成用塗工液を塗布する方法として記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成されるゲート絶縁層は、後述する有機半導体パターニング工程に用いられる真空紫外光に対する遮光性を有するものとなるが、ここで、上記遮光性の程度としては本工程においてゲート絶縁層が形成された部位の有機半導体層が、後述する有機半導体層パターニング工程において劣化されない程度であれば特に限定されるものではない。したがって、上記遮光性の程度については、後述する有機半導体層パターニング工程において用いられる真空紫外光の波長に応じて適宜決定すればよい。なかでも本工程によって形成されるゲート絶縁層は、後述する有機半導体層パターニング工程に用いられる真空紫外光の透過率が、10%以下であることが好ましく、特に3%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。上記真空紫外光に対する透過率が上記範囲内であることにより、後述する有機半導体層パターニング工程に用いられる真空紫外光の波長に関わらず、後述する有機半導体層パターニング工程において有機半導体層が劣化することを防止できるからである。
次に本態様に用いられる有機半導体層パターニング工程について説明する。本工程は、真空紫外光を上記ゲート絶縁層および上記有機半導体層上に照射することにより、上記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする工程である。
ここで、本態様に用いられる有機半導体層パターニング工程は、上記ゲート絶縁層と上記有機半導体層上に真空紫外光を照射すること以外は、上記「A.第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも上記ゲート絶縁層形成工程と、上記有機半導体層パターニング工程とを有するものであるが、必要に応じて他の任意の工程を有するものであってもよい。本態様に用いられる任意の工程としては、本態様によって製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、上記ゲート絶縁層形成工程後に実施され、上記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程が用いられる。
(ゲート電極形成工程)
まず、大きさ100mm×100mm×0.7mmのCr付きガラス基板(Cr膜厚300nm)表面に、ゲート電極形状の開口部を有するスクリーンマスクを配置した後、エッチングペースト(関西ペイント社製)をスクリーン印刷した。次いで、100℃、5minのホットプレート上に上記印刷基板を置きレジストを硬化させた。次いで、Crエッチング液にてパターン部以外のCrをエッチングし、その後5%NaOH溶液にてレジストを剥離した。次いで、超音波洗浄機を用い純水で上記基板を洗浄した。
次に、上記基板にゲート絶縁層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。
次に、ゲート電極以外の部分を除去するために現像工程を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。
上記ゲート絶縁層形成後、ゲート絶縁層を形成した基板表面上に、ソース・ドレイン電極形状の開口部を有するスクリーンマスクを用い、Agナノペースト(藤倉化成製)をスクリーン印刷し、ソース・ドレイン電極を形成した。このときスクリーン版は500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いた。また印刷条件は、印圧0.185MPa、クリアランス2.6mm、ステージスピード200mm/secで行った。その後、上記基板を200℃で30min焼成した。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は100μmであった。またソース・ドレイン電極の膜厚は1.8μmであった。
次に、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された基板にスピンコート法を用い高分子有機半導体をコーティングした。高分子有機半導体は固形分0.4wt%、溶剤ジクロロベンゼンを含む溶液を用いた。その後、上記基板を200℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、200℃で10min保持した後、6℃/minのレートで室温まで徐冷を行った。有機半導体層の厚みは約200nmであった。
次に、遮光性樹脂材料としてポリスチレンを用い、エチルジグリコールアセテート溶媒に固形分25質量%で溶解したパッシベーション層形成用塗工液を作製した。次いでスクリーン印刷法によりパターン状のパッシベーション層を形成した。このときスクリーン版は、500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いた。また印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.6mm、スキージスピード100mm/secで行った。その後、150℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、150℃で20min保持した。
なお、パッシベーション層形成用塗工液の上記有機半導体層に対する接触角は50°であった。
次に、真空紫外光(172nm、照度11mw/cm2)を基板全面に照射した。このときGapを0.7mm、照射時間を60sとした。照射後はパッシベーション層が真空紫外光を吸収する為、パッシベーション層がパターニングされていない部分にある有機半導体層は除去され、パッシベーション層がパターニングされた部分にのみ有機半導体層が残っていることが確認された。
得られた有機トランジスタを観察したところ、パッシベーション材料の凝集力によりチャネル部分にのみパッシベーション層が形成されていることが確認された。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は1×10−5A、OFF電流は3.5×10−12Aであった。ON/OFF比7桁であり、閾値電圧は10Vであった。測定条件はゲート電圧を100V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。なお、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
遮光性樹脂材料としてPVPを用い、当該PVPに架橋剤を混合し、ヘキサノール溶媒に固形分25質量%で溶解したパッシベーション層形成用塗工液を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を作製した。
ここで、上記パッシベーション層形成用塗工液の有機半導体層に対する接触角は27°であった。
得られた有機トランジスタを観察したところ、PVPをパッシベーション材料として用いた場合はチャネルよりも広くパターニングされていることが確認された。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は8.7×10−6A、OFF電流は3.5×10−11Aであった。ON/OFF比6桁であり、閾値電圧は10Vであった。測定条件はゲート電圧を100V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。なお、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
2 … ゲート電極
3 … ゲート絶縁層
4 … ソース電極
5 … ドレイン伝教
6 … 有機半導体層
7 … パッシベーション層
10a,10b … 有機半導体素子用基板
10A,10B … 有機半導体素子
Claims (5)
- 基板と、前記基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記ゲート絶縁層上に、前記ソース電極および前記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層と、を有する有機半導体素子用基板を用い、
前記有機半導体層の表面に露出された前記ソース電極および前記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性を有する遮光性材料が含まれるパッシベーション層形成用塗工液を塗工することにより、パターン状にパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程と、
真空紫外光を前記パッシベーション層および前記有機半導体層上に照射することにより、前記パッシベーション層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と、を有する有機半導体素子の製造方法であって、
前記有機半導体層の表面が、前記パッシベーション層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極の表面の前記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角が、前記有機半導体層の表面の前記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。 - 前記有機半導体層の表面の撥液性が、前記パッシベーション層形成用塗工液に対する接触角で45°以上であることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 基板と、前記基板上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記基板上に、前記ソース電極および前記ドレイン電極が表面に露出するように形成された有機半導体層と、を有する有機半導体素子用基板を用い、
前記有機半導体層の表面に露出された前記ソース電極および前記ドレイン電極の間を覆うように、真空紫外光に対する遮光性と、絶縁性とを有する遮光性絶縁材料とが含まれるゲート絶縁層形成用塗工液を塗工することにより、パターン状にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
真空紫外光を前記ゲート絶縁層および前記有機半導体層上に照射することにより、前記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と、を有する有機半導体素子の製造方法であって、
前記有機半導体層の表面が、前記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであり、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極の表面の前記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角が、前記有機半導体層の表面の前記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角よりも小さいことを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。 - 前記有機半導体層の表面の撥液性が、前記ゲート絶縁層形成用塗工液に対する接触角で45°以上であることを特徴とする、請求項3に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記ソース電極および前記ドレイン電極が多孔質体であることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の有機半導体素子の製造方法。
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