JP2009026900A - 積層構造体、電子素子及びそれらの製造方法、表示装置 - Google Patents

積層構造体、電子素子及びそれらの製造方法、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層とその上に形成された導電層とが、高い密着性を有する積層構造体を、簡易な製造工程を用いて低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板31上のポリイミドからなる濡れ性変化層32に、配線パターン部分を開口したフォトマスクを通し紫外線を照射する。紫外線を照射されなかった部分は第1の表面エネルギー32bを持ち、紫外線が照射された部分は、第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高く、かつ表面に複数の微細なくぼみを有する第2の表面エネルギー部32aとなる。インクジェット法を用いて金属粒子分散液を紫外線照射部に吐出し、導電層33を形成する。紫外線照射部は濡れ性が高くなり、かつくぼみによる凹凸により導電層との密着性が向上している。この後、ベークをし、絶縁層34を形成する。
【選択図】図3(d)

Description

本発明は、積層構造体、積層構造体を用いた電子素子、電子素子アレイ及び表示装置に関する。
従来から、半導体素子や電子回路等に使われる配線パターンの形成にはフォトリソグラフィ法がよく用いられている。しかし、フォトリソグラフィ法は、高価な設備を必要とするほか、工程が複雑で、しかも工程が長く、製造コストを上昇させる原因となっている。製造コストを低減するために、近年、金属微粒子を含む金属微粒子分散液を直接基材に塗布して配線パターンを形成する技術が注目され、種々の提案がされている。
例えば、ナノメタルインクとも呼ばれる、粒径0.001〜0.1umの金属超微粒子を有機溶媒中に均一に高分散させて形成した金属ペーストを基材表面に塗布し、乾燥させ、焼成して、膜厚0.01〜1umの金属皮膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらのナノメタルインクとも呼ばれる金属微粒子を水や有機溶媒に分散させた金属微粒子分散液から形成された配線パターンは、従来の蒸着やスパッタ法により形成された配線パターンに比べ、下地基材との密着性が低いという課題がある。また、液滴吐出方式などの塗布可能な金属微粒子分散液から形成された電極も、薄膜トランジスタの微細化が進むにつれ、高いパターニング精度が要求され、密着性も重要な課題となっている。
このような液滴吐出方式によって、基板の表面に対して密着性を有し、且つ細線化された配線パターンを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この提案によれば、従来から半導体分野において良く知られている、ドライエッッチング法やフロスト法、サンドブラスト法などによって基板の表面に粗面化処理を施した凹凸形状を有する領域に配線パターンを形成する。しかしこのような場合、配線パターンの形成された被形成面のみでなく、被形成面の表面の凹凸形状をうつして形成される機能性薄膜にも凹凸があるため、薄膜トランジスタのボトムゲート構造の場合、ゲート電極表面に凹凸が残り、絶縁耐圧不良やその上層に形成されるゲート絶縁膜の表面性も低下するため、ペンタセンなどの有機結晶性の半導体材料を形成する場合、移動度が低下する恐れがある。
また、このような金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成される導電層と、下地との間に、密着性を改善するための中間層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかし、このような中間層を形成することは工程数が増加することなり、金属微粒子を含む金属微粒子分散液を直接基材に塗布して配線パターンを形成する技術の大きな特徴である低コスト、短工数に逆行するものである。
また、液体吐出手段を介して金属微粒子を含む第1の液体材料を基板上に配置し、基板上に所定パターンの導電膜配線を形成する際に、それに先立って、基板の表面を液体材料に対して撥液性に制御するとともに、液体吐出手段を介して第1の液体材料とは異なる第2の液体材料を基板上に配置し、基板に対する導電膜配線の密着力を向上させる中間層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、基板の撥液性に頼ったパターニング法であり、十分な密着性が得られるとはいえない。また、このような中間層を形成することは工程数が増加することなり、金属微粒子を含む金属微粒子分散液を直接基材に塗布して配線パターンを形成する技術の大きな特徴である低コスト、短工数に逆行するものである。
また、金属微粒子と、水と、分子量が2000〜30000の、室温で固体の分散剤とを含む金属微粒子分散液を、基材の表面に塗布した後、焼成して形成され、Agと、Au、Pt、Pd、Ru、Ir、Sn、Cu、Ni、Fe、Co、Ti及びInからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の合金からなる微粒子で、かつ合金中のAg含有割合が80〜99.9原子%で、かつ平均結晶粒径が、0.2~5umである金属被膜を形成し、材料の側からの密着性向上を図る技術が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、より細線化された配線を形成するためには、材料の面から密着性を向上する技術のみならず、構造の面から密着性を向上する技術を導入し、それらの相乗効果により、より高い密着性を確保することが望ましい。
特開平03−281783号公報 特開2005−159143号公報 特開2006−114579号公報 特開2007−043131号公報 特開2003−315813号公報 特開2007−012590号公報
しかるに、従来から、金属微粒子分散液を用いて配線パターン(導電層)を形成する技術が提案されていたが、基材との密着性が十分ではないという問題や半導体特性を低下させる問題などがあった。また、係る問題を解決するための技術も提案されているが、製造工程の追加を伴うものであり、製造コストが高くなる問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、下地層と下地層上に形成された導電層とが、高い密着性を有する積層構造体を、簡易な製造工程を用いて低コストで提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、第1の表面エネルギー部と、所定のエネルギーが付与されて前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高くなり、かつ、表面に複数のくぼみが形成された第2の表面エネルギー部とを有する濡れ性変化層と、前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に形成された導電層とを有する積層構造体であることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係るに積層構造体において、前記濡れ性変化層は、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドと、主鎖のみからなるポリイミドとを含むブレンド材料から形成されることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明に係るに積層構造体において、前記濡れ性変化層は、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と、主鎖のみからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とを含むブレンド材料から形成されることを特徴とする。
第4の発明は、基板上に、電極を構成する第1乃至第3のいずれか一に記載の発明に係る積層構造体、半導体層及び絶縁膜を有する電子素子であることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明に係るに電子素子において、複数の前記積層構造体が、前記絶縁膜を介して積層されることを特徴とする。
第6の発明は、第4又は第5の発明に係るに電子素子において、前記積層構造体の濡れ性変化層は、前記絶縁膜を兼ねることを特徴とする。
第7の発明は、第4乃至第6のいずれか一に記載の発明に係る電子素子が前記基板上に複数個配設された電子素子アレイであることを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明に係る電子素子アレイ、対向基板及び表示素子を有する表示装置であることを特徴とする。
第9の発明は、第1の表面エネルギー部からなる濡れ性変化層の、所定の領域にエネルギーが付与されて、前記濡れ性変化層の前記所定の領域に前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高く、かつ、複数のくぼみを有する第2の表面エネルギー部が形成される第1の工程と、前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に導電層を形成する第2の工程とを有する積層構造体の製造方法であることを特徴とする。
第10の発明は、第9の発明に係るに積層構造体の製造方法において、前記第1の工程において、前記複数のくぼみは、紫外線を照射されることにより形成されることを特徴とする。
第11の発明は、第9又は第10の発明に係るに積層構造体の製造方法において、前記第2の工程において、導電層を形成する方法はインクジェット法であることを特徴とする。
第12の発明は、第1の下地層上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極に接するゲート絶縁膜を形成する工程と、第2の下地層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接する半導体層を形成する工程とを有する電子素子の製造方法であって、前記各電極を形成する工程のうち、少なくとも1つの電極形成工程において、前記下地層は濡れ性変化層であり、前記電極形成工程は、第1の表面エネルギー部からなる前記濡れ性変化層の、所定の領域にエネルギーが付与され、前記濡れ性変化層の前記所定の領域に前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高く、かつ、複数のくぼみを有する第2の表面エネルギー部が形成される第1の工程と、前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に導電層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする。
第13の発明は、第12の発明に係るに電子素子の製造方法において、前記第1の工程において、前記複数のくぼみは、紫外線を照射されることにより形成されることを特徴とする。
本発明によれば、下地層と下地層上に形成された導電層とが、高い密着性を有する積層構造体を、簡易な製造工程を用いて低コストで提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は本発明の積層構造体の例を示す断面図である。
図1に示す積層構造体は、基板11、濡れ性変化層12、導電層13、絶縁層14から構成されている。また、濡れ性変化層12は、高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)12aと低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)12bとからなる。
図1に示す積層構造体において、基板11は、ガラス基板、フィルム基板など、配線、電子素子、電子素子アレイ、表示素子などを形成できるものであればよく、特に限定はされない。フィルム基板では、ポリイミド(PI)基板、ポリエーテルサルホン(PES)基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板などを用いることができる。
図1に示す積層構造体において、基板11上には、濡れ性変化層12が形成され、その上層には導電層13が形成され、さらに導電層13の上層には絶縁層14が形成されている。ここで、濡れ性変化層12は、熱、紫外線、電子線、プラズマ等のエネルギーを付与することにより臨界表面張力(表面自由エネルギーともいう)が変化する材料を含有し、少なくとも臨界表面張力が異なる2つの領域として、臨界表面張力が大きい高表面エネルギー部12aと、臨界表面張力が小さい低表面エネルギー部12bが形成されている。高表面エネルギー部12aを形成するためには、上述の熱、紫外線、電子線、プラズマ等によりエネルギーを付与する必要があるが、微細なパターンを作製するという観点からは、紫外線や電子線により、エネルギーを付与することが望ましい。但し、電子線の場合には、濡れ性変化層12に有機材料を使用している場合、有機材料にダメージを与えやすく、絶縁性が低下する可能性がある。またスループットが低く、真空装置が必要である。これに対して、紫外線の場合、絶縁性低下のダメージが低く、大気中の一括露光が可能であり、スループットが高いため、より望ましいプロセスを構築できる。2つの高表面エネルギー部12a間は、配線や半導体のチャネルなどに相当する電極分離に相当し、紫外線を用いた場合、1〜5um程度の微細化まで可能である。
図1では、導電層13が形成されている濡れ性変化層12の表面は、実施例1で後述するように、12a部に紫外線を照射することにより、12a部の導電層13を形成する表面は高表面エネルギー部に変化するとともに、表面に直径1、2um、深さ数〜数10nm程度の微細なくぼみ(凹凸)を生じさせることができる。この微細なくぼみ(凹凸)によって、導電層13を形成する面に凹凸が形成できることから、半導体分野でよく知られた表面粗面化によるアンカー効果が期待でき、導電層13の密着性が向上する。
紫外線照射によって、微細なくぼみ(凹凸)が形成された高表面エネルギー部12aに、金属微粒子を含む金属微粒子分散液を付与することによって導電層13を形成するため、アンカー効果により、従来例のバンプ構造を用いる基板の撥液性に頼ったパターニング法に比べて良好な密着性が得られた。
また、このような密着性を向上する微細なくぼみ(凹凸)は、膜はがれを防止したい導電層13を形成する領域にのみ自己整合的に形成できる。したがって、導電層13間の濡れ性変化層12の膜表面の平坦性は低下せず、この部分が有機半導体のチャネルとなるような構成においては、低表面エネルギーであることから、物理的な吸着水が少なく、極性基が少ないことと表面の平坦性が良好であることから、トランジスタ特性の低下がおこらず、非常に好ましい構造となる。
一方、一般にこのようなアンカー効果を期待するための表面処理は、酸素や窒素プラズマ処理やアルゴンスパッタなどによって行われるが、この場合は基板全面が処理されてしまう。したがって、有機半導体のチャネルを形成する部分も同様の表面処理がされ、表面の平坦性が低下するので、トランジスタ特性の低下が懸念される。レジストマスクやメタルマスクによるマスキングによって、部分的な表面改質も可能だが、工数が増加したり、レジスト除去の後工程で表面性が変化する、パターン精度が粗い、などの欠点がある。本発明においては、このような不具合はなく、膜はがれを防止したい導電層13を形成する領域にのみ自己整合的に微細なくぼみ(凹凸)を形成できることが特徴である。
また、この導電層13と密着する高表面エネルギー部12aの表面の凹凸は、密着性を改善できる表面粗さとすることで、縦方向の耐圧不良を引き起こすこともないため、積層配線や電子素子のゲート電極、ソース・ドレイン電極にも適用できる。
図1では、濡れ性変化層12は、複数の材料を混合して単層としたものでも、一種類の材料の単層としたものでもかまわない。また、複数層(2層以上)から形成されていてもかまわない。複数層から形成される場合、絶縁性を向上させる意味で相対的に電気絶縁性に優れた材料からなる第一の層と、紫外線のようなエネルギーの付与によって表面自由エネルギーの変化する割合が相対的に大きい第二の材料からなる第二の層というように、機能を分離することが可能となる。単層の場合は、相対的に電気絶縁性に優れた材料と紫外線のようなエネルギーの付与によって表面自由エネルギーの変化する割合が相対的に大きい第二の材料を混合し、両者材料の物性の違いを利用して膜厚方向に材料の分布のある構造をとってもかまわない。
材料は無機材料でも有機材料でもかまわないが、低コストのデバイス作製をする印刷手法に対しては、有機材料が望ましい。なお、絶縁性を向上させるために有機材料に無機材料を少量添加してもかまわない。
絶縁層上に濡れ性変化層を形成する場合は、紫外線照射により絶縁層が影響を受けることを防ぐため、濡れ性変化層は、絶縁層に用いられる絶縁材料よりも吸収係数が大きい材料からなることが望ましい。
絶縁性の大きな材料としては、有機材料では、ポリイミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、シルセスキオキサン、ポリビニルフェノール、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、ポリビニルブチラールなどが挙げられ、ポリビニルフェノールやポリビニルアルコールは適当な架橋剤によって、架橋して用いてもよい。無機材料では、TiO2、SiO2などが挙げられる。
紫外線のようなエネルギーの付与によって表面自由エネルギーの変化する割合が相対的に大きい材料は、低コストのデバイス作製をする印刷手法に対しては、高分子材料が望ましく、さらには、側鎖に疎水性基を有する高分子材料であることが望ましい。側鎖に疎水性基を有することで、紫外線未照射時は、膜の表面自由エネルギーは低いので、紫外線照射後の親液・撥液のコントランストを大きくとることが可能となる。
本発明において、臨界表面張力(表面自由エネルギー)が変化する材料は、紫外線により、ある程度切断されても、剛直な構造であるため、充填性が良好なポリイミドを主鎖に導入することによって、吸湿がそれほど高くなく、また絶縁性も良好なため、より信頼性の高い積層構造体を形成できる。ポリイミドとしては、ポリアミック酸を加熱することによる脱水縮合反応で生じる熱硬化型ポリイミドと、溶媒に可溶な可溶性ポリイミドがある。可溶性ポリイミドは、溶媒に溶解させた塗布液を塗布した後、200℃未満の低温で溶媒を揮発させることにより、成膜することができる。一方、熱硬化型ポリイミドは、脱水縮合反応が起こる程度まで加熱しないと反応が生じないため、一般に、200℃以上の高温にする必要がある。プロセスにあわせて、どちらのポリイミドも使用可能である。ポリイミドを用いることで、2%程度の吸湿性はあるものの、絶縁性が高く安定しており、信頼性の高い絶縁性を確保しながら、濡れ性制御も可能となる。
ここで、本発明のポリイミド構造の特徴を図11、12を用いて説明する。図11は本発明の高分子(エネルギー付与により表面にくぼみを形成できる材料)の模式図である。また、図12は比較例の高分子(エネルギー付与により表面にくぼみを形成できない材料)の模式図である。
本発明のポリイミド及びその前駆体であるポリアミック酸は、2種以上の材料のブレンド品である。ここでは、簡潔に説明するため2種の例を示す。図11に示すように、紫外線のようなエネルギーの付与によって、表面に微細なくぼみ(凹凸)を形成できる材料は、
濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖88bのみからなるポリイミドと、主鎖88aと、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖89からなるポリイミドとのブレンド材料、もしくは、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖88bのみからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と、主鎖88aと、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖89からなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とのブレンド材料である。
一方、比較例1のように、紫外線のようなエネルギーの付与によって、表面に微細なくぼみ(凹凸)を形成できない材料は、図12に示すように、主鎖88と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖89からなるポリイミドもしくはその前駆体であるポリアミック酸である。このような側鎖を含むポリイミドもしくはポリアミック酸だけの場合、図11に示すように、主鎖に対して側鎖の比が高い場合は良好な膜が形成できないため、共重合によって、主鎖に対する側鎖の比率を小さくする必要がある。
ポリイミドもしくはポリアミック酸合成時に、側鎖がある割合で導入されることによって、表面エネルギーを制御でき、濡れ性を制御できる。このようなブレンド材料において、紫外線のようなエネルギーの付与時に、微細なくぼみ(凹凸)が形成される詳しい機構はわからないが、成膜時に、側鎖を含むポリイミドと側鎖を含まないポリイミドに相分離し、特に側鎖を含むポリイミドが島状に分離するため、紫外線のようなエネルギーの付与によって、この島状に分離した側鎖をもつポリイミドが分解され、微細なくぼみ(凹凸)が形成されると考えられる。
このような相分離を生じさせるためには、側鎖を持つポリイミドもしくはポリアミック酸に対して、側鎖を持たないポリイミドもしくはポリアミック酸の方を、重量パーセント比で大きくする必要がある。また、この微細なくぼみ(凹凸)の密度や深さは、紫外線照射量によって変化させることができる。また、図11、12では、相分離がしやすい例として、おのおのの主鎖は異なる構造の場合を示したが、相分離が起こるのであれば、同じ骨格でも構わない。
表1には、実施例1などで用いたポリイミドAと、比較例1で用いたポリイミドBをSi基板上に、おのおのスピンコートで塗布し、全面にUV照射量を変えてUV照射し、表面粗さを計測した結果と、その後全面に粒径約30nm程度のAg粒子を水系溶媒に分散した金属微粒子分散液(ナノメタルインク)を成膜し、クロスカット剥離試験をした結果を示す。
スピンコートの回転数は、1500rpmである。窒素中、100℃のオーブンでプリベークしたのち、同じく窒素中200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、おのおの約100nmの膜厚の濡れ性変化層を形成した。ナノメタルインクの焼成条件は、大気中100℃のオーブンでプリベーク後、同じく大気中200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、約200nmのパターンのない金属膜を形成した。
表1に示すように、ポリイミドAを用いて形成された濡れ性変化層にUV照射を行って、表面粗さを変化させたものは、剥離が改善されている。ここでは、剥離の相対比較のため全面照射を行ったが、実施例1に示すように実際の積層構造体では、導電層形成部のみ、UV照射を行う。
本発明の濡れ性変化層を形成するのに好適な材料は、絶縁性や信頼性の観点からは、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなるポリイミドと、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなるポリイミドとのブレンド材料、もしくは、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とのブレンド材料であることが望ましいが、濡れ性制御で積層構造体を形成する濡れ性制御層として、膜はがれを防止する観点においては、上記島状に相分離がおこるような、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなる材料と、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなる材料とのブレンド材料であれば、エポキシ樹脂やフッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール、ポリビニルブチラールなどの樹脂であっても、同様の微細なくぼみ(凹凸)を紫外線のようなエネルギーの付与によって形成できる。
本発明において、濡れ性変化層は、厚さが30nm〜3umであることが好ましく、50nm〜1umがさらに好ましい。厚さが30nmより薄い場合は、バルク体としての特性(絶縁性、ガスバリア性、防湿性等)が損なわれることがあり、3umより厚い場合は、表面形状が悪化することがある。
金属微粒子分散液は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(TA)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、もしくはアルミニウム(Al)、これらからなる合金、又はハロゲン化銀の微粒子などを用いることができる。特に、低抵抗な銀、銅が好ましい。これらの微粒子は、材料の分散のため、微粒子となる導電体の表面を有機物、又は導電物によりコーティングしたものが用いられる。これら、表面コーティングを行う物質は、導電性を有することが好ましいが、絶縁性を有しても加熱処理により除去すればよい。また、Agと、Au、Pt、Pd、Ru、Ir、Sn、Cu、Ni、Fe、Co、Ti及びInからなる群より選ればれる少なくとも1種の金属の合金からなる微粒子で、かつ合金中のAg含有割合が80〜99.9原子%で、かつ平均結晶粒径が、0.2~5umであるなど材料からの密着性が期待できれば、本発明による構造からの密着性向上とあいまって、さらなる密着性向上が期待できる。
導電材料を含有する液体を濡れ性変化層の表面に塗布する方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法等が挙げられるが、濡れ性変化層の表面エネルギーの影響を受けやすくするためには、より小さな液滴を供給できるインクジェット法が好ましい。また、材料利用効率も、スピンコートなどに比べて格段に高く、低コストプロセスを形成できる。
尚、図1では、導電層13の上層に絶縁層14を形成した場合を示したが、電子素子、電子素子アレイおよびそれらを用いた表示装置の場合、絶縁層14の代わりに半導体材料を形成する場合もある。
紫外線の照射は、例えば、図10の装置を用いて行う。図10はUV照射装置の例を示す図である。図10に示すUV照射装置は、フォトマスクホルダー100、基板ステージ200、UV光源300から構成されている。400はUV照射装置にセットされるフォトマスク、500はUV照射装置にセットされる基板である。図10に示すUV照射装置は、フォトマスクホルダー100を開閉する機構(図示せず)を備えている。また、図10に示すUV照射装置は、フォトマスク400と基板500の角度および位置を調整する所定の駆動機構(図示せず)を備えている。
最初に、フォトマスク400をフォトマスクホルダー100にセットし、基板500を基板ステージ200にセットする。フォトマスク400および基板500は所定の吸着機構によりフォトマスクホルダー100および基板ステージ200に固定される。図10(a)はフォトマスク400および基板500がUV照射装置に固定される様子を例示する図である。
次に、フォトマスク400と基板500が対向するようにフォトマスクホルダー100を閉じる。図10(b)はUV照射装置のフォトマスクホルダー100が閉じられた様子を例示する図である。フォトマスクホルダー100が閉じられた後に、所定の駆動機構により基板ステージ200もしくはフォトマスクホルダー100を動かすことによってフォトマスク400と基板500の角度および位置を調整する。調整が終了した後に、UV光源300から一定量の紫外線を照射する。このときフォトマスク400と基板500は密着させた状態で紫外線を照射しても良いし、わずかなギャップを設けた状態で紫外線を照射しても良い(いわゆるプロキシミティ露光)。所定の量の紫外線を照射した後、フォトマスクホルダー100を開き基板500の吸着機構を解除して基板500を取り外す。
以下、図面を参照して、本発明の実施例の説明を行う。
〈実施例1〉
図3(a)〜(d)は実施例1の積層構造体の形成方法の例を示す模式図である。
図3に示す模式図において、31はガラス基板、32は濡れ性変化層、33は導電層、34は絶縁層、35はフォトマスクである。また、濡れ性変化層中32中の32aは高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)、32bは低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)である。
以下、図3に示す積層構造体の形成方法について説明する。
最初に、ウェット洗浄を行ったガラス基板31に、側鎖に疎水性基をもつ熱硬化型ポリイミド(ポリイミドA)のNMP溶液をスピンコートする。この熱硬化型ポリイミドは、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなるポリアミック酸と、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなるポリアミック酸とのブレンド材料である。この熱硬化型ポリイミドは、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなるポリアミック酸と、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなるポリアミック酸と共重合によってイミド化したポリイミド材料である。
回転数は、1500rpmで、窒素中、100℃のオーブンでプリベークしたのち、同じく窒素中、200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、イミド化してポリイミド膜を形成し、約100nmの膜厚の濡れ性変化層32を形成した。図3(a)はガラス基板31上に濡れ性変化層32が形成された様子を例示した図である。このとき、濡れ性変化層32の表面は、疎水性の側鎖を持つポリイミドにより、低表面エネルギーとなっている。濡れ性変化層32は、導電層33と接し、導電層33の下層に配置された絶縁性を有する下地層となる。
次に、配線パターンに相当する部分を開口したフォトマスク35ごしに、濡れ性変化層32に波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射し、同一膜面上に、紫外線を照射した部分と、紫外線を照射していない部分を作製した。図3(b)はフォトマスク35ごしに濡れ性変化層32に紫外線を照射する様子を例示した図である。紫外線照射部分は、高表面エネルギー部32aとして、紫外線を照射していない部分は、ポリイミドの疎水性側鎖による低表面エネルギー部32bとして形成される。紫外線照射量は、8J/cmとした。
ここで、オリンパスナノサーチ顕微鏡LEXT OLS3500を用いて、紫外線照射を行った濡れ性変化層32の表面を観察した。図2はポリイミドAを濡れ性変化層として用いた実施例1の濡れ性変化層の膜表面の原子間力顕微鏡写真の例を示す図である。紫外線照射を行った高表面エネルギー部32aには、直径約1、2umで、深さ数nmから10数nm程度の多数のくぼみ(凹凸)が形成される。このくぼみの密度や深さは、紫外線照射量によって、変化させることができる。実施例1の場合、紫外線照射を行った高表面エネルギー部32aの算術平均粗さRaは6.4nm程度であった。この多数の微小くぼみ(凹凸)によって、密着性が向上するものと考えられる。
ここでは、液晶やPDPで用いられる露光機を用い、密着露光もしくはプロキシミティ露光を行えばよい。密着露光の方が、パターン解像度は高いが、膜面に密着させることから、一定の使用回数後には、フォトマスク洗浄が必要となる。一方、プロキシミティ露光の場合は、フォトマスクと濡れ性変化層32にはギャップが形成されているため、多少解像度は低下するが、密着露光の場合のようなフォトマスクの汚れはなく、好ましい方法である。ここでは、1例として、配線幅80um、スペース40umのフォトマスクを用いた。
次に、インクジェットを用いて、粒径約30nm程度のAg粒子を水系溶媒に分散した金属微粒子分散液(ナノメタルインク)を吐出し、の高表面エネルギー部32a上に選択的に、付与した。インクジェットの場合、比較的高価なAg微粒子からなる金属微粒子分散液を導電層33を形成する部分に選択的に付与することができるため、スピンコートとエッチングによって形成する場合に比べて、材料の使用効率も高く、プロセス工数も削減でき、低コストな積層構造体を形成するのに適している。ここでは、水系の金属微粒子分散液を用いているため、高表面エネルギー部32aにわたって広がり、インクジェットの液滴サイズによらず、微細なパターンも形成可能である。また、撥液性部に導電層33を形成するのではないため、下地層である濡れ性変化層32と導電層33の密着性は比較的良好だが、下地層である濡れ性変化層32の表面の導電層33を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)が形成されているため、密着性はさらに向上する。
次に、大気中で、100℃のオーブンで、プリベークを行い、同じく大気中で、200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、配線幅80um、配線間スペース40um、150nm膜厚の導電層33を形成した。図3(c)は濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aに導電層33が形成された様子を例示した図である。ここで、導電層33の表面は、下地層である濡れ性変化層32に形成された複数の微小くぼみ(凹凸)の影響を受けることはなく、滑らかな表面を形成できる。テープ試験によっても、導電層33のはがれはみられなかった。
次に、導電層33の絶縁性を保つために、上層にエポキシ樹脂をスピンコートし、絶縁層34を形成した。図3(d)は導電層33の上層に絶縁層34が形成された様子を例示した図である。
このように、本発明によれば、濡れ性変化層32、導電層33、絶縁層34をスピンコートやインクジェットなどの印刷法により形成することができるため、低コストで積層構造体を形成できる。また、紫外線照射によって、下地層である濡れ性変化層32の導電層33を形成する高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)32aに複数のくぼみ(表面凹凸)を形成できるため、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層33と、導電層33の下層に配置された下地層である濡れ性変化層32の高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)32aとが高い密着性を有する積層構造体を、簡単な製造工程により低コストで提供することができる。
また、下地層を、エネルギーの付与により低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)32bから高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)32aに変化して金属微粒子を含む金属微粒子分散液に対する濡れ性が向上する濡れ性変化層32とし、高表面エネルギー部32aに導電層33を形成することによって、下地層である濡れ性変化層32と導電層33との密着性が向上した結果、微細パターンの形成が可能となる。
また、濡れ性変化層32を主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドと、主鎖のみからなるポリイミドとを含むブレンド材料、もしくは、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と、主鎖のみからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とを含むブレンド材料から形成し、主鎖と、濡れ性を制御することによって絶縁性、信頼性の高い積層構造体を提供できる。
また、エネルギーの付与によって濡れ性変化層32の臨界表面張力(表面エネルギー)が変化することにより、高表面エネルギー部32aと低表面エネルギー部32bが形成される工程と、高表面エネルギー部32aの表面に金属微粒子を含む金属微粒子分散液を付与することで高表面エネルギー部32aに導電層33を形成する工程とを有する積層構造体の製造方法において、導電層33を形成する濡れ性変化層32の表面の導電層33を形成する領域32aに選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)みを形成することで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層33と、導電層33の下層に配置された下地層である濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aとが高い密着性を有し、微細なパターンが形成可能な積層構造体の製造方法を提供できる。
また、下地層である濡れ性変化層32の導電層33を形成する高表面エネルギー部32aの複数の微小くぼみ(凹凸)の形成方法が紫外線照射であることで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層33と、導電層33の下層に配置された下地層である濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aとが高い密着性を有し、微細なパターンが形成可能な積層構造体を、より低コストでスループットが高い製造方法で提供できる。
また、金属微粒子を含む金属微粒子分散液を付与する方法がインクジェット法であることで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層33と、導電層33の下層に配置された下地層である濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aとが高い密着性を有し、微細なパターンが形成可能な積層構造体を、材料使用効率が高く、より低コストな製造方法で提供できる。
また、複数の微小くぼみ(凹凸)の形成方法が紫外線照射であることで、より低コストで信頼性の高い積層構造体の製造方法を提供できる。
〈比較例1〉
実施例1では、側鎖に疎水性基をもつ熱硬化型ポリイミド(ポリイミドA)を濡れ性変化層として用いたが、比較例1では、異なる構造の側鎖を持つ可溶性ポリイミド(ポリイミドB)を濡れ性変化層として用いた場合の例を示す。
図4はポリイミドBを濡れ性変化層として用いた比較例1の濡れ性変化層の膜表面の原子間力顕微鏡写真の例を示す図である。この可溶性ポリイミド(ポリイミドB)は、濡れ性を制御する側鎖をもたない、主鎖のみからなるポリアミック酸と、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖からなるポリアミック酸と共重合によってイミド化したポリイミド材料である。
ウェット洗浄を行ったガラス基板31に、異なる構造の側鎖を持つポリイミド(ポリイミドB)のNMP溶液を、実施例1と同様にスピンコートする。回転数は、1500rpmで、窒素中、100℃のオーブンでプリベークしたのち、同じく窒素中200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、可溶性ポリイミド材料の溶媒を除去しポリイミド膜を形成し、約100nmの膜厚の濡れ性変化層32を形成し、導電層パターンに相当する部分を開口したフォトマスク35ごしに、濡れ性変化層32に波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射し、同一膜面上に、紫外線を照射した部分と、紫外線を照射していない部分とを作製した。紫外線照射量は、12J/cmとした。比較例1では、実施例1とは異なり、紫外線照射部である高表面エネルギー部32aの表面の算術平均粗さRaは0.9nmと非常に小さく、滑らかな膜であった。次に、実施例1と同様に、インクジェットを用いて、Ag粒子を水系溶媒に分散した金属微粒子分散液を吐出し、高表面エネルギー部32a上に選択的に付与した。大気中、100℃のオーブンで、プリベークを行い、同じく大気中、200℃のオーブンで、1hrのポストベークを行い、配線幅80um配線間スペース40um、150nm膜厚の導電層33を形成した。
このような濡れ性変化層32上に形成され導電層33は、テープ試験を行うと一部に剥離が見られた。
紫外線照射によって、下地層である濡れ性変化層32の導電層33を形成する高表面エネルギー部32aに複数のくぼみ(表面凹凸)を形成できなかったため、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層33と、導電層33の下層に配置された下地層である濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aとが十分な密着性を確保できなかったためと考えられる。
〈実施例2〉
図5は本発明の実施例2の積層構造体の例を示す断面図である。
図5に示す積層構造体は、ガラス基板51、第一の濡れ性変化層52、第一の導電層53、第一の絶縁層54、第二の濡れ性変化層55、第二の導電層56、第二の絶縁層57から構成されている。また、第一の濡れ性変化層52は、高表面エネルギー部52aと低表面エネルギー部52bからなり、第二の濡れ性変化層55は、高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)55aと低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)55bからなる。
以下、図5に示す積層構造体の形成方法について説明する。
ガラス基板51上に、実施例1で用いた疎水性基を側鎖に持つポリイミドのNMP溶液をスピンコート塗布し、膜厚50nmの第一の濡れ性変化層52を形成した。次に、フォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が8J/cmとなるように照射し、第一の濡れ性変化層52に高表面エネルギー部52aを形成した。
次に、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部52aにAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、200℃で焼成して、電極幅80um、膜厚100nmの第一の導電層53を形成した。この上に実施例1同様、エポキシ樹脂をスピンコートし、第一の絶縁層54を形成した。ついで、この上層に、疎水性基を側鎖に持つポリイミドのNMP溶液をスピンコート塗布し、膜厚50nmの第二の濡れ性変化層55を形成した。先ほど同様、フォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が8J/cmとなるように照射し、第二の濡れ性変化層55に高表面エネルギー部55aを形成した。さらに、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部にAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、200℃で焼成して、電極幅100um、膜厚100nmの第二の導電層56を形成した。
次に、導電層の絶縁性を保つために、上層にエポキシ樹脂をスピンコートし、第二の絶縁層57を形成した。
このように、第一の濡れ性変化層52、第一の導電層53、第一の絶縁層54、第二の濡れ性変化層55、第二の導電層56、第二の絶縁層57をスピンコートやインクジェットなどの印刷法による形成することができるため、低コストで積層構造体を形成できる。また、紫外線照射によって、濡れ性変化層の導電層を形成する部分に選択的に複数のくぼみ(表面凹凸)を形成できるため、簡単な構成で、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層が絶縁層を介して複数積層された高い密着性を有する積層構造体を提供できる。
〈実施例3〉
図6は本発明の実施例3の有機トランジスタの例を示す断面図である。
図6に示す電子素子である有機トランジスタは、フィルム基板61、第一の濡れ性変化層62、ゲート電極63、ゲート絶縁膜を兼ねる第二の濡れ性変化層64、ソース・ドレイン電極65、有機半導体層66から構成されている。
以下、図6に示す電子素子である有機トランジスタの形成方法について説明する。
フィルム基板61上に、実施例1で用いた疎水性基を側鎖に持つポリイミドのNMP溶液をスピンコート塗布し、膜厚50nmの下地層である第一の濡れ性変化層62を形成した。
次に、フォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が8J/cmとなるように照射し、第一の濡れ性変化層62上に高表面エネルギー部を形成した。実施例1及び2と同様に、紫外線照射部分が、高表面エネルギー部として形成され、紫外線を照射していない部分は、低表面エネルギー部として形成される。
次に、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部にAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、180℃で焼成して、電極幅50um、膜厚100nmのゲート電極63を形成した。この上に、ポリイミド溶液PI100(丸善石油化学社製)と実施例1で用いた疎水性基を側鎖に持つポリイミドのNMP混合溶液をスピンコート塗布し、180℃にて焼成して、厚さ400nmのゲート絶縁膜を兼ねる第二の濡れ性変化層64を形成した。
次に、5um間隔のライン形状のフォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が10J/cmとなるように照射し、下地層である第二の濡れ性変化層64上に高表面エネルギー部を形成した。実施例1及び2と同様に、紫外線照射部分が、高表面エネルギー部として形成され、紫外線を照射していない部分は、低表面エネルギー部として形成される。
次に、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部にAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、180℃で焼成して、ソース・ドレイン電極65を形成した。次に、構造式[化1]で表されるトリアリールアミン(有機半導体材料)をキシレン/メシチレン混合溶媒に溶解させた塗布液を、インクジェット法により高表面エネルギー部チャネル部分に滴下し、120℃で乾燥させ、膜厚30nmの有機半導体層66を形成し、図6に示す有機トランジスタを作製した。このとき、下地層である第二の濡れ性変化層64は、ゲート絶縁膜として作用する。
トランジスタ特性を評価したところ、ゲート電極63ならびにソース・ドレイン電極65のパターニング性は良好であり、オンオフ比5桁、4×10−3cm/Vsの電界効果移動度を有する有機トランジスタが得られた。また、ゲート電極63やソース・ドレイン電極65の密着性は良好であった。このように、印刷技術を用いて、低コストで微細配線を用いた電子素子を提供できる。また、ゲート電極63やソース・ドレイン電極65を形成する面だけに微小くぼみ(凹凸)を形成できるため、有機半導体層66を形成する部分は、滑らかな表面にできる。この結果、電子伝導に与える悪影響はなく、また結晶性有機半導体の場合は結晶性の向上が期待できる。また、実施例3では、高分子材料を用いたが、チャネル界面が低表面エネルギーであるため、良好な特性が得られたものと思われる。
ここでは、半導体層として、構造式[化1]に示す高分子有機半導体材料を用いたが、CdSe、CdTe、Si等の無機半導体、ペンタセン、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン等の有機低分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフラン及びその誘導体等の複素環系導電性高分子、ポリアニリン及びその誘導体等のイオン性導電性高分子等の有機半導体を用いることができる。とくに、印刷による低コストプロセスを用いることができる有機半導体が好ましい。
このように、基板上に、下地層である濡れ性変化層と導電層との密着性が向上し微細パターンの形成が低コストで可能となった本発明の積層構造体、半導体層及び絶縁膜を有することで、信頼性の高い電子素子を低コストで提供できる。
また、半導体層に有機半導体材料を用いることで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層が高い密着性を有し、微細なパターンを有する積層構造体を用いた電子素子をより低コストで提供できる。
また、濡れ性変化層がゲート絶縁膜を兼ねることで、下地層である濡れ性変化層と導電層との密着性が向上し、微細パターンの形成が低コストで可能となった本発明の積層構造体を用いた電子素子をより低コストで提供できる。
また、ゲート電極を形成する工程と、ゲート絶縁膜を形成する工程と、ソース電極とドレイン電極を形成する工程と、半導体層を形成する工程からなる電子素子の製造方法において、少なくとも1つ以上の電極形成において、エネルギーの付与によって濡れ性変化層の臨界表面張力(表面エネルギー部)が変化することにより、高表面エネルギー部と低表面エネルギー部が形成される工程と、高表面エネルギー部表面に金属微粒子を含む金属微粒子分散液を付与することで高表面エネルギー部に導電層を形成する工程を有し、濡れ性変化層表面の導電層を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)みを形成することで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層と、導電層の下層に配置された下地層である濡れ性変化層の高表面エネルギー部とが高い密着性を有する、低コストで信頼性の高い電子素子の製造方法を提供できる。
また、複数の微小くぼみ(凹凸)の形成方法が紫外線照射であることで、より低コストで信頼性の高い電子素子の製造方法を提供できる。
〈実施例4〉
図7は本発明の実施例4の有機トランジスタの例を示す断面図である。
図7に示す電子素子である有機トランジスタは、フィルム基板71、第一の濡れ性変化層72、ゲート電極73、第二の濡れ性変化層74、ソース・ドレイン電極75、有機半導体層76、絶縁層77から構成されている。
以下、図7に示す電子素子である有機トランジスタの形成方法について説明する。
フィルム基板71上に実施例1で用いたポリイミドのNMP溶液をスピンコート塗布し、180℃で焼成して、厚さ50nmの第一の濡れ性変化層72を形成した。
次に、フォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が8J/cmとなるように照射し、第一の濡れ性変化層72上に高表面エネルギー部を形成した。実施例1乃至3と同様に、紫外線照射部分が、高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)として形成され、紫外線を照射していない部分は、低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)として形成される。
次に、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部にAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、180℃で焼成して、配線幅50um、厚さ100nmのゲート電極73を形成した。この上に、ポリイミド溶液PI213B(丸善石油化学社製)をスピンコート塗布し、180℃で焼成して、厚さ500nmの絶縁層77を形成した。次に、絶縁層77上に、上記と同様に、厚さ50nmのポリイミドからなる第二の濡れ性変化層74を形成した。さらに、5um間隔のライン形状のフォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線(超高圧水銀ランプ)を照射量が8J/cmとなるように照射し、第二の濡れ性変化層74上に高表面エネルギー部を形成した。実施例1乃至3と同様に、紫外線照射部分が、高表面エネルギー部として形成され、紫外線を照射していない部分は、低表面エネルギー部として形成される。
次に、インクジェット法を用いて、高表面エネルギー部にAg微粒子からなる金属微粒子分散液を吐出し、180℃で焼成して、厚さ100nmのソース・ドレイン電極75を形成した。さらに、実施例3と同様に有機半導体層76を形成し、図7に示す有機トランジスタを作製した。このとき、絶縁層77及び濡れ性変化層74は、ゲート絶縁膜として作用する。
トランジスタ特性を評価したところ、ゲート電極73ならびにソース・ドレイン電極75のパターニング性が良好であり、オンオフ比5桁、3×10−3cm/Vsの電界効果移動度を有する有機トランジスタが得られた。
このように、基板上に、下地層である濡れ性変化層と導電層との密着性が向上し微細パターンの形成が低コストで可能となった本発明の積層構造体、半導体層及び絶縁膜を有することで、信頼性の高い電子素子を低コストで提供できる。
また、半導体層に有機半導体材料を用いることで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層が高い密着性を有し、微細なパターンを有する積層構造体を用いた電子素子をより低コストで提供できる。
また、濡れ性変化層がゲート絶縁膜を兼ねることで、下地層である濡れ性変化層と導電層との密着性が向上し、微細パターンの形成が低コストで可能となった本発明の積層構造体を用いた電子素子をより低コストで提供できる。
また、第二の濡れ性変化層74と絶縁層77を図7に示す位置に形成することで、絶縁性と濡れ性制御の機能設計がしやすく、より高機能の特性を引き出すことができる。
また、ゲート電極を形成する工程と、ゲート絶縁膜を形成する工程と、ソース電極とドレイン電極を形成する工程と、半導体層を形成する工程からなる電子素子の製造方法において、少なくとも1つ以上の電極形成において、エネルギーの付与によって濡れ性変化層の臨界表面張力(表面エネルギー部)が変化することにより、高表面エネルギー部と低表面エネルギー部が形成される工程と、高表面エネルギー部表面に金属微粒子を含む金属微粒子分散液を付与することで高表面エネルギー部に導電層を形成する工程を有し、濡れ性変化層表面の導電層を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)みを形成することで、金属微粒子を含む金属微粒子分散液から形成された導電層と、導電層の下層に配置された下地層である濡れ性変化層の高表面エネルギー部とが高い密着性を有する、低コストで信頼性の高い電子素子の製造方法を提供できる。
また、複数の微小くぼみ(凹凸)の形成方法が紫外線照射であることで、より低コストで信頼性の高い電子素子の製造方法を提供できる。
〈実施例5〉
図8は本発明の実施例5の電子素子アレイの例を示す断面図である。ここで、図8(a)は断面図であり、図8(b)は平面図である。同図中、図6と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。
図8において、60は図6に示す電子素子、すなわち有機トランジスタである。また、65aはソース電極、65bはドレイン電極である。
実施例5では、実施例3の図6に示した電子素子と同様のトランジスタ構成を用いて、複数の電子素子を有する電子素子アレイを作製した。
具体的には、基板81上に200×200個(素子間ピッチ127um)の有機トランジスタ87を2次元アレイ状に有する電子素子アレイを作製した。形成方法は、実施例3に示した方法と同様である。
トランジスタ特性を評価したところ、複数の有機トランジスタ60の移動度の平均値は、1.3×10−3cm/Vsであった。金属微粒子を含む金属微粒子分散液により形成された導電層と下地層表面の導電層を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)が形成されていることによって、導電層はがれが生じにくく、低コストで信頼性のある電子素子アレイを形成できる。
このように、金属微粒子を含む金属微粒子分散液により形成された導電層と、下地層である濡れ性変化層の導電層を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)が形成された高表面エネルギー部とが高い密着性を有し、微細なパターンが形成可能な積層構造体を用いた電子素子が基板上に複数個配設されることで、低コストで信頼性のある電子素子アレイを提供できる。
〈実施例6〉
図9は本発明の実施例5の図8に示した電子素子アレイを利用した表示装置の例を示す断面図である。同図中、図6、図8と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。
図9に示す断面図において、90は対向基板であるポリエチレンナフタレート基板、97は表示素子であるマイクロカプセル、97aは酸化チタン粒子、97bはオイルブルーで着色したアイソパー、98はITOからなる透明電極、99はPVAバインダーである。
実施例6では、図8に示す電子素子アレイを用いて、表示装置を作製した。具体的には、酸化チタン粒子97aとオイルブルーで着色したアイソパー97bを内包するマイクロカプセル(表示素子)97と、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液を混合した塗布液を、ポリエチレンナフタレート基板90上に設けられたITOからなる透明電極98上に塗布して、マイクロカプセル97とPVAバインダー99からなる層を形成した。
次に、得られた基板と、図8に示す電子素子アレイを、基板91及び90が最外面となるように接着させた。
ゲート電極93に繋がるバスラインに走査信号用のドライバーICを、ソース電極95aに繋がるバスラインにデータ信号用のドライバーICを各々接続し、0.5秒毎に画面切り替えを行ったところ、良好な静止画表示を行うことができた。
このように、金属微粒子を含む金属微粒子分散液により形成された導電層と、下地層である濡れ性変化層の導電層を形成する領域に選択的に複数の微小くぼみ(凹凸)が形成された高表面エネルギー部とが高い密着性を有し、微細なパターンが形成可能な積層構造体を用いた電子素子が基板上に複数個配設された電子素子アレイを用いることで、低コストで信頼性のある表示装置を提供できる。
以上、本発明を実施するための最良の形態及び本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態や実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態や実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明の積層構造体の例を示す断面図である。 ポリイミドAを濡れ性変化層として用いた実施例1の濡れ性変化層の膜表面の原子間力顕微鏡写真の例を示す図である。 ガラス基板31上に濡れ性変化層32が形成された様子を例示した図である。 フォトマスク35ごしに濡れ性変化層32に紫外線を照射する様子を例示した図である。 濡れ性変化層32の高表面エネルギー部32aに導電層33が形成された様子を例示した図である。 導電層33の上層に絶縁層34が形成された様子を例示した図である。 ポリイミドBを濡れ性変化層として用いた比較例1の濡れ性変化層の膜表面の原子間力顕微鏡写真の例を示す図である。 本発明の実施例2の積層構造体の例を示す断面図である。 本発明の実施例3の有機トランジスタの例を示す断面図である。 本発明の実施例4の有機トランジスタの例を示す断面図である。 本発明の実施例5の電子素子アレイの例を示す断面図である。 本発明の実施例5の電子素子アレイの例を示す平面図である。 実施例5の図8に示した電子素子アレイを利用した表示装置の例を示す断面図である。 フォトマスク400および基板500がUV照射装置に固定される様子を例示する図である。 UV照射装置のフォトマスクホルダー100が閉じられた様子を例示する図である。 本発明の高分子(エネルギー付与により表面にくぼみを形成できる材料)の模式図である。 比較例の高分子(エネルギー付与により表面にくぼみを形成できない材料)の模式図である。
符号の説明
11 基板
12 濡れ性変化層
12a 高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)
12b 低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)
13 導電層
14 絶縁層
31 ガラス基板
32 濡れ性変化層
32a 高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)
32b 低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)
33 導電層
34 絶縁層
35 フォトマスク
51 ガラス基板
52 第一の濡れ性変化層
52a 高表面エネルギー部
52b 低表面エネルギー部
53 第一の導電層
54 第一の絶縁層
55 第二の濡れ性変化層
55a 高表面エネルギー部(第2の表面エネルギー部)
55b 低表面エネルギー部(第1の表面エネルギー部)
56 第二の導電層
57 第二の絶縁層
60 図6に示す電子素子(有機トランジスタ)
61 フィルム基板
62 第一の濡れ性変化層
63 ゲート電極
64 ゲート絶縁膜を兼ねる第二の濡れ性変化層
65 ソース・ドレイン電極
66 有機半導体層
71 フィルム基板
72 第一の濡れ性変化層
73 ゲート電極
74 第二の濡れ性変化層
75 ソース・ドレイン電極
76 有機半導体層
77 絶縁層
88 主鎖
88a 主鎖
88b 主鎖
89 側鎖
90 対向基板であるポリエチレンナフタレート基板
97 表示素子であるマイクロカプセル
97a 酸化チタン粒子
97b オイルブルーで着色したアイソパー
98 ITOからなる透明電極
99 PVAバインダー
100 フォトマスクホルダー
200 基板ステージ
300 UV光源
400 フォトマスク
500 基板

Claims (13)

  1. 第1の表面エネルギー部と、所定のエネルギーが付与されて前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高くなり、かつ、表面に複数のくぼみが形成された第2の表面エネルギー部とを有する濡れ性変化層と、
    前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に形成された導電層とを有する積層構造体。
  2. 前記濡れ性変化層は、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドと、主鎖のみからなるポリイミドとを含むブレンド材料から形成されることを特徴とする請求項1記載の積層構造体。
  3. 前記濡れ性変化層は、主鎖と、濡れ性を制御しエネルギーの付与前には低表面エネルギーをもたらす側鎖とからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と、主鎖のみからなるポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とを含むブレンド材料から形成されることを特徴とする請求項1記載の積層構造体。
  4. 基板上に、電極を構成する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層構造体、半導体層及び絶縁膜を有することを特徴とする電子素子。
  5. 複数の前記積層構造体が、前記絶縁膜を介して積層されることを特徴とする請求項4記載の電子素子。
  6. 前記積層構造体の濡れ性変化層は、前記絶縁膜を兼ねることを特徴とする請求項4又は5記載の電子素子。
  7. 前記請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電子素子が前記基板上に複数個配設されたことを特徴とする電子素子アレイ。
  8. 請求項7記載の電子素子アレイ、対向基板及び表示素子を有することを特徴とする表示装置。
  9. 第1の表面エネルギー部からなる濡れ性変化層の、所定の領域にエネルギーが付与されて、前記濡れ性変化層の前記所定の領域に前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高く、かつ、複数のくぼみを有する第2の表面エネルギー部が形成される第1の工程と、
    前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に導電層を形成する第2の工程とを有する積層構造体の製造方法。
  10. 前記第1の工程において、前記複数のくぼみは、紫外線を照射されることにより形成されることを特徴とする請求項9記載の積層構造体の製造方法。
  11. 前記第2の工程において、導電層を形成する方法はインクジェット法であることを特徴とする請求項9又は10記載の積層構造体の製造方法。
  12. 第1の下地層上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極に接するゲート絶縁膜を形成する工程と、
    第2の下地層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極に接する半導体層を形成する工程とを有する電子素子の製造方法であって、
    前記各電極を形成する工程のうち、少なくとも1つの電極形成工程において、前記下地層は濡れ性変化層であり、
    前記電極形成工程は、
    第1の表面エネルギー部からなる前記濡れ性変化層の、所定の領域にエネルギーが付与されて、前記濡れ性変化層の前記所定の領域に前記第1の表面エネルギー部よりも表面エネルギーが高く、かつ、複数のくぼみを有する第2の表面エネルギー部が形成される第1の工程と、
    前記濡れ性変化層の前記第2の表面エネルギー部に導電層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする電子素子の製造方法。
  13. 前記第1の工程において、前記複数のくぼみは、紫外線を照射されることにより形成されることを特徴とする請求項12記載の電子素子の製造方法。
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