JP6617701B2 - ガスバリアーフィルム及びその作製方法 - Google Patents
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- C23C16/40—Oxides
Description
包装用途以外にも、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)素子、液晶表示(Liquid Crystal Display:LCD)素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。
一般に、クリアハードコート層には、アクリル樹脂等の有機ポリマーが用いられているが、それだけでは無機膜との界面密着力が不十分であることが多い。仮に、初期密着力が得られたとしても、高温高湿試験(85℃、相対湿度85%RH)では、密着性不良により界面に水分が入り込み、ガスバリアー性(水蒸気透過度)を劣化させてしまうという問題があった。
特許文献2には、有機層と無機層とを有し、該有機層の鉛筆硬度がHB以上であるガスバリアー性積層体について開示され、該有機層材料としては多官能アクリレート又は多官能ウレタンアクリレートが使用されている。しかし、当該特許文献2では、有機層が硬い層であることにより成膜時のダメージを受けにくくなってはいるが、有機膜と無機膜との密着性が不十分であった。
特許文献3には、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する積層体について開示しているが、柔軟性はあるものの、プラズマCVD法による成膜時のダメージが強く、ガスバリアー性を十分に発揮することはできなかった。
特許文献4には、基材上に、アンカー層、SiOxCyからなるガスバリアー層を有するガスバリアー性積層フィルムについて開示され、ガスバリアー層における熱膨張係数と、基材、アンカー層及びガスバリアー層の引張弾性率の関係を規定している。しかし、当該特許文献4に開示されている積層フィルムも上記特許文献3に開示されている積層体同様に、柔軟性はあるものの、プラズマCVD法による成膜時のダメージが強く、ガスバリアー性を十分に発揮することはできなかった。
前記クリアハードコート層が、ウレタン(メタ)アクリレートを70〜90質量部の範囲内で含有し、更に少なくとも、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートを10〜30質量部の範囲内で又はSiO 2 微粒子を10〜20質量部の範囲内で含有する塗布膜からなり、
前記ガスバリアー層が、ヘキサメチルジシロキサンの化学蒸着膜からなり、かつ、
前記クリアハードコート層及び前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記クリアハードコート層とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線、又は炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。
7.樹脂基材の少なくとも一方の面に、UV硬化樹脂からなるクリアハードコート層と、少なくとも1層の、ロール to ロールCVD装置により成膜された酸化炭化ケイ素を含有するガスバリアー層とが順次積層されたガスバリアーフィルムの作製方法であって、
ウレタン(メタ)アクリレートを70〜90質量部の範囲内で含有し、更に少なくとも、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートを10〜30質量部の範囲内で又はSiO 2 微粒子を10〜20質量部の範囲内で含有する塗布液を用いて前記クリアハードコート層を形成する工程と、
ヘキサメチルジシロキサンを用いて化学蒸着により前記ガスバリアー層を形成する工程を有し、かつ、
前記クリアハードコート層及び前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記クリアハードコート層とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線、又は炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内となるように制御することを特徴とするガスバリアーフィルムの作製方法。
8.前記酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内となるように制御する方法として、少なくとも前記クリアハードコート層を形成する際の前記塗布液におけるウレタンアクリレートの含有量の調整及び前記ヘキサメチルジシロキサンを用いて化学蒸着膜する際の、原料ガスの供給量の調整をすることを特徴とする第7項に記載のガスバリアーフィルムの作製方法。
組成傾斜領域の幅を上記範囲内とすることにより、過酷な条件下においても、ガスバリアー層とクリアハードコート層の層間剥離を防止し、また、ガスバリアー層の層厚を十分に確保することができるため、ガスバリアー性を保持することができるものと考えられる。
図1に示すとおり、本発明のガスバリアーフィルムFは、樹脂基材2上に、クリアハードコート層4、ガスバリアー層6が順次積層されて構成されている。
炭素分布曲線(ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層表面からの距離(L)と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す曲線)、ケイ素分布曲線(距離Lと、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対するケイ素原子数の比率(ケイ素原子比率)との関係を示す曲線)及び酸素分布曲線(距離Lと、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す曲線)は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。
このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比率(at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線において、エッチング時間は層厚方向におけるガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離(すなわち、SiO2換算層厚(nm)=(エッチング時間(sec)×エッチング速度(nm/sec))を採用することができる。
ガスバリアー層、クリアハードコート層及び組成傾斜領域の判別は、XPSデプスプロファイルにより得られるグラフから明らかであり、例えば、図2に示す本発明のガスバリアーフィルムでは、組成傾斜領域8の幅が略8nmとなっていることがわかる。これに対し、図3に示されるガスバリアーフィルムでは、組成傾斜領域10の幅が略6nmとなっており、本発明の範囲外であることがわかる。
なお、図2及び3において、符号Aは炭素分布曲線、符号Bはケイ素分布曲線、符号Cは酸素分布曲線を表している。
本発明のガスバリアーフィルムにおいては、ガスバリアー層とクリアハードコート層との界面には、組成が連続的又は段階的に、一定の勾配(傾き)で、増加又は減少する組成傾斜領域が存在することを特徴とする。
当該組成傾斜領域における組成は、ガスバリアー層側の端部では、当該ガスバリアー層自体の組成であり、クリアハードコート層に近づくにつれて、徐々に炭素原子及び酸素原子の比率が増加又は減少し、当該組成傾斜領域のクリアハードコート層側における端部では、クリアハードコート層自体の組成となる。
なお、上記組成傾斜領域の幅は、組成傾斜領域におけるガスバリアー層側の端部からクリアハードコート層側における端部との間の距離と定義される。
ここで、「組成傾斜領域の端部の組成変曲点」とは、ガスバリアー層自体又はクリアハードコート層自体の各層の各組成の変動よりも明らかに増減が認められる部分の、減少から増加に転じる変化点若しくは増加から減少に転じる変化点、又は、増加又は減少から一定となる変化点をいう。
ガスバリアー層成分由来の炭素原子比率とクリアハードコート層成分由来の炭素原子比率との組成傾斜領域(混合領域)の幅、又はガスバリアー層成分由来の酸素原子比率とクリアハードコート層成分由来の酸素原子比率との組成傾斜領域(混合領域)の幅は、下記のようにして求めた。
組成傾斜領域が終わるクリアハードコート層側の端部(変曲点)の表面からの距離(深さ)(nm)−組成傾斜領域が始まるガスバリアー層側の端部(変曲点)の表面からの距離(深さ)(nm)
(組成傾斜領域が終わるクリアハードコート層側の端部(変曲点)における酸素原子比率(at%)−組成傾斜領域が始まるガスバリアー層側の端部(変曲点)における酸素原子比率(at%))/組成傾斜領域の幅(nm)
(組成傾斜領域が終わるクリアハードコート層側の端部(変曲点)における炭素原子比率(at%)−組成傾斜領域が始まるガスバリアー層側の端部(変曲点)における炭素原子比率(at%))/組成傾斜領域の幅(nm)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar+)
エッチング速度(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO2換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800μm×400μmの楕円形
本発明のガスバリアーフィルムの樹脂基材としては、樹脂フィルムを用いる。用いられる樹脂フィルムは、ガスバリアー層を保持できるフィルムであれば材質、厚さ等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
すなわち、これらの用途にガスバリアーフィルムを用いる場合、ガスバリアーフィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリアーフィルムにおける基材の線膨張係数が15〜100ppm/Kの範囲内であることで、熱耐性に強く、またフレキシビリティがよいものとなる。基材の線膨張係数やTgは、添加剤などによって調整することができる。
光線透過率は、JIS K 7105:1981に記載された方法、すなわち、積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明に係るクリアハードコート層は、樹脂基材とガスバリアー層との密着性向上、高温高湿下での樹脂基材及びガスバリアー層の膨張・収縮の差から生じる内部応力の緩和、樹脂基材からのモノマー、オリゴマー等の低分子量成分のブリードアウト防止等の機能を有する。
クリアハードコート層における炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子比率は、25〜45at%の範囲内であることが好ましい。また、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対するケイ素原子数の比率(ケイ素原子比率)は、10〜30at%の範囲内であることが好ましい。
なお、クリアハードコート層内の酸素原子比率及びケイ素原子比率は、組成傾斜領域を除くクリアハードコート層内の平均値として求めた。
UV硬化樹脂は、UV硬化性樹脂に対してUVを照射し硬化したものを指す。
UV硬化樹脂を得るためのUV硬化性樹脂としては、例えば、UV硬化型ウレタンアクリレート樹脂、UV硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、UV硬化型エポキシアクリレート樹脂、UV硬化型ポリオールアクリレート樹脂、UV硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも、UV硬化型アクリレート樹脂が好ましい。
さらには、クリアハードコート層に、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートが含有されていることが好ましい。
形成したクリアハードコート層に紫外線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプなどから発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、公知の方法で行うことができる。
本発明に係るガスバリアー層は、少なくとも1層からなり、SiCxOyで表される酸化炭化ケイ素を含んで構成されている。例えば、クリアハードコート層上に、化学気相蒸着法(CVD法)によって第1のガスバリアー層を形成し、更にケイ素化合物を含有する溶液を塗布して第2のガスバリアー層を形成してもよい。
(ii)炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上である。
(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B)
(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
炭素分布曲線が少なくとも二つの極値を有することで、炭素原子比率が濃度勾配を有して連続的に変化し、屈曲時のガスバリアー性能が高まる。
なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30at%以下、より好ましくは25at%以下である。極値の数は、ガスバリアー層の層厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
なお、本発明において極値とは、ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比率の極大値又は極小値のことをいう。
これは、ガスバリアー層の層厚により変動する。例えば、ガスバリアー層の層厚が300nmである場合は、ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離を20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点が好ましい。
本発明に係るガスバリアー層は、プラズマCVD(PECVD)法により形成される。より詳しくは、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、当該一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成される。なお、プラズマCVD法は、ペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
本発明に係るガスバリアーフィルムは、上記ガスバリアー層(第1のガスバリアー層)上に、更に第2のガスバリアー層を有していてもよい。第2のガスバリアー層を形成させる方法としては、特に制限されず、例えば、ケイ素化合物を含む層を加熱して改質する方法、ケイ素化合物を含む層に対して活性エネルギー線を照射して改質する方法等が挙げられる。
ケイ素化合物を含む層は、ケイ素化合物を含有する塗布液を塗布して形成される。
ケイ素化合物としては、ケイ素化合物を含有する塗布液の調製が可能であれば特に限定はされない。中でも、成膜性、クラック等の欠陥が少ないこと、残留有機物の少なさの点で、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザン、シルセスキオキサン等のポリシロキサン等が好ましく、ガスバリアー性能が高く、屈曲時及び高温高湿条件下であってもガスバリアー性能が維持されることから、ポリシラザンがより好ましく、パーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
第2のガスバリアー層の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が適用できるが、有機溶剤中にケイ素化合物、添加元素を含む化合物、及び必要に応じて触媒を含むガスバリアー層形成用塗布液(以下、単に「塗布液」とも称する。)を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去し、次いで、改質処理を行う方法が好ましい。
以下、ポリシラザン化合物を用いた塗布液について説明する。
ポリシラザン化合物とは、その構造内にSi−N、Si−H、N−H等の結合を有するポリマーであり、SiO2、Si3N4、及びこれらの中間固溶体SiOxNy等の無機前駆体として機能する。
ポリシラザン化合物は、特に制限されないが、後述する改質処理を行うことを考慮すると、比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物であることが好ましく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物であることが好ましい。
アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。
アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。
(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。
塗布液は、更にアミン触媒、金属及び溶媒を含んでいてもよい。
アミン触媒及び金属は、後述する改質処理において、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素化合物への転化を促進し得る。
用いられるアミン触媒としては、特に制限されないが、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンが挙げられる。
また、用いられる金属としては、特に制限されないが、白金アセチルアセトナート等の白金化合物、プロピオン酸パラジウム等のパラジウム化合物、ロジウムアセチルアセトナート等のロジウム化合物が挙げられる。
塗布液に含有される溶媒としては、ポリシラザン化合物と反応するものでなければ特に制限はなく、公知の溶媒が用いられる。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。より詳細には、炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して用いられる。これらの溶媒は、ポリシラザン化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等を考慮し、目的に応じて適宜選択されうる。
塗布液の塗布方法としては、適宜公知の方法が採用される。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ワイヤレスバーコート法、グラビア印刷法が挙げられる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、20〜200℃の範囲内であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。
塗布法により形成された第2のガスバリアー層の改質処理とは、ケイ素化合物の酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応を指し、具体的には、ガスバリアーフィルムが全体としてガスバリアー性を発現するのに貢献できるレベルの無機薄膜を形成する処理をいう。
ケイ素化合物の酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、具体的には、プラズマ処理、紫外線照射処理、加熱処理が挙げられる。
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、改質を効率的に行う観点から使用する波長は200nm以下である必要があり、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用いればよく、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。ここで、ポリシラザン化合物の改質とは、ポリシラザン化合物が酸化ケイ素化合物及び/又は酸窒化ケイ素化合物へ転化することを意味する。
このようなエキシマ光(真空紫外光)の照射装置は、市販のランプ(例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製)を使用することが可能である。
エキシマランプは、エキシマ光が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されない点に特徴を有し、効率性が高い。また、余分な光が放射されないことから、対象物の温度を低く保つことができる。さらに、始動・再始動に時間を要さないことから、瞬時に点灯点滅が可能となる。特に、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの真空紫外光を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。当該Xeエキシマランプは、172nmと波長が短く、エネルギーが高いことから、有機化合物の結合の切断能が高いことが知られている。
このようなRaを有するガスバリアー層であれば、ガスバリアー層中の凹凸に良好に対応して当該第2のガスバリアー層上に更に別のガスバリアー層を形成することもできる。このため、ガスバリアー層に生じるクラックやダングリングボンド等の欠陥を別のガスバリアー層がより効率よく被覆して、密な表面を形成することができる。ゆえに、高温高湿条件下でのガスバリアー性(例えば、低酸素透過性、低水蒸気透過性)の低下をより有効に抑制・防止できる。なお、本発明において、ガスバリアー層の中心線平均粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡(AFM)を使用し、試料の表面を測定したAFMトポグラフィー像につき傾斜自動補正処理を行い、次いで3次元粗さ解析を行うことにより求めることができる。
本発明のガスバリアーフィルムは、基材のガスバリアー層を有する面、好ましくは基材又はクリアハードコート層とガスバリアー層との間に平滑層(下地層、プライマー層)を設けてもよい。平滑層は、突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、基材に存在する突起により、ガスバリアー層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。
また、平滑層は、炭素含有ポリマー、好ましくは硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、単独でも、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、アルキルチタネート等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。アンカーコート剤としては、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化型ポリマー溶液(信越化学工業株式会社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液)を用いることができる。
また、アンカーコート層の層厚は、特に制限されないが、0.5〜10.0μm程度が好ましい。
平滑層を有する基材は、加熱の際に基材中から表面に未反応のオリゴマー等が移行して、基材表面が汚染される場合がある。ブリードアウト防止層は、当該基材表面の汚染を抑制する機能を有する。
ブリードアウト防止層は、通常、平滑層を有する基材の平滑層とは反対の面に設けられる。
ブリードアウト防止層は、上記機能を有していれば、平滑層と同じ構成であってもよい。すなわち、ブリードアウト防止層は、UV硬化性樹脂を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成され得る。
以下、本実施例において使用される材料を示す。
樹脂フィルムからなるロール基材として、厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン製:KFL12W)を用いた。
・ウレタンアクリレートA:共栄社化学製 UA−306I(ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応物)
・ウレタンアクリレートB:共栄社化学製 UA−306H(ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの反応物)
・アクリレートモノマーC:共栄社化学製 ライトアクリレートPE−4A(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
・アクリレートモノマーD:新中村化学製 A−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)
・光重合開始剤:BASFジャパン製 イルガキュア819
・SiO2微粒子E:コロイダルシリカ(日産化学社製「スノーテックスO」)
・SiO2微粒子F:コロイダルシリカ(日産化学社製「スノーテックスO」)10質量部をペンタエリスリトールトリアクリレート50質量部とイソホロンジイソシアネート20質量部で処理したもの
・フッ素系活性剤:AGCセイミケミカル製 S651
<ガスバリアーフィルム用基材1の作製>
基材上に、下記組成のクリアハードコート層塗布液1を塗布し、乾燥させた後、紫外光による硬化処理を行ってクリアハードコート層を形成し、ガスバリアーフィルム用基材1を作製した。乾燥条件、乾燥層厚及び硬化条件を以下に示す。
・ウレタンアクリレートA:70質量部
・アクリレートモノマーD:20質量部
・光重合開始剤:1質量部
・SiO2微粒子F:10質量部
・フッ素系活性剤:0.03質量部
・希釈溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分35%に調整
乾燥層厚:3μm、
硬化条件:高圧水銀ランプ、500mJ/cm2
ガスバリアーフィルム用基材1の作製において、クリアハードコート層塗布液1のウレタンアクリレート、アクリレートモノマー及びSiO2微粒子を表1に記載の材料及び質量部(クリアハードコート層塗布液2〜12)に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム用基材2〜12を作製した。
<プラズマCVD法によるガスバリアー層の形成>
上記クリアハードコート層を形成したガスバリアーフィルム用基材1〜12を図4に示すプラズマCVD成膜装置31にセットし、搬送させた。次いで、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に磁場を印加するとともに、成膜ローラー39と成膜ローラー40とにそれぞれ電力を供給して、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電してプラズマを発生させた。その後、形成された放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとしての酸素ガス(放電ガスとしても機能する)との混合ガス)を供給し、クリアハードコート層を形成した面上に、下記条件にてプラズマCVD法により層厚120nmのガスバリアー層を形成し、ガスバリアーフィルム1〜12を作製した。
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン、HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
反応ガス(O2)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度:0.8m/min
<クリアハードコート層及びガスバリアー層における元素分布プロファイルの測定>
作製した各ガスバリアーフィルムについて、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、層厚方向のガスバリアー層の表面からの距離における、炭素原子分布、ケイ素原子分布及び酸素原子分布を得た。
その結果、全てのガスバリアーフィルムにおいて、炭素分布曲線が少なくとも二つの極値を有し、かつ、炭素原子比率の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上であった。
各ガスバリアーフィルムについて、組成傾斜領域の幅(nm)、組成傾斜領域における酸素分布曲線及び炭素分布曲線の変化率(傾き)、並びにクリアハードコート層内における酸素原子比率(at%)(平均値)及びケイ素原子比率(at%)(平均値)を表2に示す。
エッチングレート(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO2換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800μm×400μmの楕円形
作製した各ガスバリアーフィルムについて、初期、及び85℃、85%RHの環境下で100時間後の水蒸気バリアー性を評価した。水蒸気バリアー性の評価は、MOCON社製AQUATRANを用い、38℃、90%RH条件において数値が安定するのを待って水蒸気透過度(WVTR)(g/m2・day)を測定した。
測定結果を表2に示す。
作製した各ガスバリアーフィルムについて、初期、及び85℃、85%RHの環境下で100時間後、JIS K 5600−5−6に記載された試験方法に準じて密着性を評価した。具体的には、100個の升目状の切り傷を、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を升目上の切り傷面に貼り付け、2.0kgのローラーを20往復して完全に付着させた後、180度の剥離角度で急激に剥がした後の剥離面を観察し、以下の評価基準に従って、剥離面積でランク評価した。剥離箇所は、TEM観察により、いずれもクリアハードコート層とガスバリアー層との間で発生していることが確認できた。
評価結果を表2に示す。
○:剥離面積:3%以上10%未満
△:剥離面積:10%以上50%未満
×:剥離面積:50%以上
表2から明らかなように、本発明のガスバリアーフィルムは、比較例のガスバリアーフィルムと比較して、水蒸気バリアー性を保持しつつ、クリアハードコート層とガスバリアー層との密着性に優れていることが分かる。
以上から、クリアハードコート層及びガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、ガスバリアー層の層厚方向におけるクリアハードコート層とは反対側のガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線、又は炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す酸素分布曲線の組成傾斜領域を7〜20nmの範囲内とすることが有用であることがわかる。
4 クリアハードコート層
6 ガスバリアー層
8、10 組成傾斜領域
31 製造装置
32 送出しローラー
33、34、35、36 搬送ローラー
39、40 成膜ローラー
41 ガス供給管
42 プラズマ発生用電源
43、44 磁場発生装置
45 巻取りローラー
A 炭素分布曲線
B ケイ素分布曲線
C 酸素分布曲線
F ガスバリアーフィルム
Claims (8)
- 樹脂基材の少なくとも一方の面に、UV硬化樹脂からなるクリアハードコート層と、少なくとも1層の酸化炭化ケイ素を含有するガスバリアー層とが順次積層されたガスバリアーフィルムであって、
前記クリアハードコート層が、ウレタン(メタ)アクリレートを70〜90質量部の範囲内で含有し、更に少なくとも、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートを10〜30質量部の範囲内で又はSiO 2 微粒子を10〜20質量部の範囲内で含有する塗布膜からなり、
前記ガスバリアー層が、ヘキサメチルジシロキサンの化学蒸着膜からなり、かつ、
前記クリアハードコート層及び前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記クリアハードコート層とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線、又は炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。 - 前記クリアハードコート層における酸素原子比率が25〜45at%の範囲内であり、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対するケイ素原子数の比率(ケイ素原子比率)が10〜30at%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記クリアハードコート層には、SiO2微粒子が含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記SiO2微粒子が、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応物で表面修飾されていることを特徴とする請求項3に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記ウレタン(メタ)アクリレートが、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応物であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記ガスバリアー層における炭素分布曲線が少なくとも二つの極値を有し、かつ、炭素原子比率の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
- 樹脂基材の少なくとも一方の面に、UV硬化樹脂からなるクリアハードコート層と、少なくとも1層の、ロール to ロールCVD装置により成膜された酸化炭化ケイ素を含有するガスバリアー層とが順次積層されたガスバリアーフィルムの作製方法であって、
ウレタン(メタ)アクリレートを70〜90質量部の範囲内で含有し、更に少なくとも、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートを10〜30質量部の範囲内で又はSiO 2 微粒子を10〜20質量部の範囲内で含有する塗布液を用いて前記クリアハードコート層を形成する工程と、
ヘキサメチルジシロキサンを用いて化学蒸着により前記ガスバリアー層を形成する工程を有し、かつ、
前記クリアハードコート層及び前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記クリアハードコート層とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線、又は炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内となるように制御することを特徴とするガスバリアーフィルムの作製方法。 - 前記酸素分布曲線の組成傾斜領域の幅が、7〜20nmの範囲内となるように制御する方法として、少なくとも前記クリアハードコート層を形成する際の前記塗布液におけるウレタンアクリレートの含有量の調整及び前記ヘキサメチルジシロキサンを用いて化学蒸着膜する際の、原料ガスの供給量の調整をすることを特徴とする請求項7に記載のガスバリアーフィルムの作製方法。
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