JP2015168238A - 複合積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いガスバリア性を有するガスバリア層を形成することができる複合積層フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】基材の一方の面にマット層を形成し支持体を製造する工程と、前記マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付し、蒸着用フィルムを製造する工程と、前記支持体の前記マット層を有する面とは反対側の面に蒸着法によりガスバリア層を形成する工程と、を含む、複合積層フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、複合積層フィルムの製造方法に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。包装用途以外にも、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。
最近、電子デバイスの風合いを出す目的や、基材の機械的強度を高める目的で、マット層を備える基材を用いたガスバリア性フィルムの検討がなされている。
特許文献1には、基材となる樹脂と、マット層を形成する樹脂とを共押出した後延伸して積層フィルムを得、さらに該積層フィルムのマット層とは反対側の面に塗膜層を形成するマット調ガスバリア性積層フィルムの製造方法が開示されている。
特開2003−326651号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、電子デバイス用途において必要とされる高いガスバリア性を有するガスバリア層が製造できないという問題があった。
そこで本発明は、高いガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、基材の一方の面にマット層を形成し支持体を形成した後、前記マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付し、その後蒸着法によりガスバリア層を形成することによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基材の一方の面にマット層を形成し支持体を得る工程と、前記マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付する工程と、前記支持体の前記マット層を有する面とは反対側の面に蒸着法によりガスバリア層を形成する工程と、を含む、複合積層フィルムの製造方法である。
本発明によれば、高いガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる手段が提供されうる。
本発明に係るガスバリア層の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。 本発明に係るガスバリア層の形成に用いられる他の製造装置の一例を示す模式図である。
本発明は、基材の一方の面にマット層を形成し支持体を製造する工程と、前記マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付し、蒸着用フィルムを製造する工程と、前記支持体の前記マット層を有する面とは反対側の面に蒸着法によりガスバリア層を形成する工程と、を含む、複合積層フィルムの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、基材が備えるマット層を保護フィルムにより保護した後、蒸着法によりガスバリア層を形成する。したがって、マット層とガスバリア層とが直接接触することを避けることができ、ガスバリア性の低下やダークスポット等の発生を抑制することができ、高いガスバリア性を有するガスバリア層を形成することができる。
また、プラズマ化学蒸着法(PE−CVD)のように、成膜ローラー上で成膜するという構成を有する成膜ローラーを備える蒸着装置によりガスバリア層を形成する場合、真空中では大気への放熱が無いため基材に熱が蓄積するが、基材上に形成されたマット層と成膜ローラーとが直接接触していると、マット層と成膜ローラーとが十分に密着しないため、基材の放熱が十分にできず、基材に巻きシワやツレが発生する。これに対し、本発明の製造方法によれば、ガスバリア層形成の際、保護フィルムと成膜ローラーとが密着するため、基材の放熱を十分に行うことができ、基材変形に伴う巻きシワやツレの発生を抑制または防止することができる。
なお、上記のメカニズムは推定によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
以下、本発明の好ましい実施形態を、工程順に説明するが、本発明は以下の実施形態のみには限定されない。なお、本明細書において、支持体とガスバリア層とを有し、保護フィルムを有さないフィルムを「ガスバリア性フィルム」とも称する。また、支持体と保護フィルムとを有し、ガスバリア層を有さないフィルムを「蒸着用フィルム」とも称する。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[基材の一方の面にマット層を形成し支持体を製造する工程]
本工程では、基材の一方の面にマット層を形成し、支持体を製造する。ここで、支持体とは、基材およびマット層のみを含む形態に限らず、必要に応じて、基材のマット層を形成した側とは反対側の面にアンダーコート層、接着層、平滑化層等を有していてもよい。
〔基材〕
本発明に係る基材としては、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートが好ましく用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートがより好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、マット層およびガスバリア層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムを有機EL素子等の電子デバイスの基板として使用する場合は、前記基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の基材が使用される。
本発明に係るガスバリア性フィルムを例えば偏光板と組み合わせて使用する場合、ガスバリア性フィルムのガスバリア層がセルの内側に向くように配置することが好ましい。より好ましくは、ガスバリア性フィルムのガスバリア層がセルの最も内側に(素子に隣接して)配置する。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機EL素子等の電子デバイスとして利用されることから、基材は透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ただし、本発明に係るガスバリア性フィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、基材として不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムに用いられる基材の厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層、クリアハードコート層等の機能層を有していても良い。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特に制限されないが、実用上、0.01nm以上である。必要に応じて、基材の両面、少なくともバリア層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておいてもよい。
また、上記に挙げた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸処理されたフィルムでもよい。ただし、後述する支持体の熱線膨張係数αと、保護フィルムの熱線膨張係数βとの差の絶対値を50ppm/K以下とするために、延伸処理されたフィルムであることが好ましい。
さらに、後述する支持体の熱線膨張係数αと、保護フィルムの熱線膨張係数βとの差の絶対値を50ppm/K以下とするために、基材を熱処理することもまた好ましい。熱処理の条件は特に制限されないが、例えば、80〜150℃で1〜5時間熱処理する。
本発明で用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。未延伸の基材を製造した後は、必要に応じて、上記のような従来公知の方法により、延伸処理や熱処理を行うことが好ましい。
基材の少なくともガスバリア層を設ける側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理や、後述する平滑層の積層等を行ってもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことが好ましい。
〔マット層〕
上記のようにして準備した基材の一方の面に、マット層を形成する。マット層は基材の機械的強度を高める役割を果たし、また、電子デバイスの風合いを出す役割も果たし得る。
マット層に含ませることが可能な化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例え、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、例えば、アクリレート化合物を含有する組成物、アクリレート化合物とチオール基を含有するメルカプト化合物とを含有する組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する組成物等もマット層の形成材料として挙げられる。マット層の形成材料として用いることができる市販品の具体的な例としては、JSR株式会社製の紫外線硬化性材料である有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)、アイカ工業株式会社製のアクリレート系コーティング剤等が挙げられる。また、上記のような組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している活性エネルギー線硬化性材料であれば特に制限はない。
その他、マット層は、樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子の例としては、例えば、ポリスチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、エチレン−プロピレンターポリマー粒子、オレフィン系アイオノマー粒子等の1種または2種以上が挙げられる。中でも、隣接するフィルムシートなどに擦れによるダメージを与えないといった観点から、有機系の樹脂粒子が好ましく、さらにはアクリル樹脂粒子が好ましく、平均粒径0.3〜5μmのアクリル樹脂粒子がより好ましい。
また、マット層は、支持体の熱線膨張係数αを低減させるという観点から無機微粒子を含有することが好ましい。このような無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
マット層には、必要に応じて、その他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなマット層は、上記の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、塗布液を基材フィルム表面に従来公知の塗布方法、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ、UV光レーザー等から発せられる好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
電離放射線として紫外線を用いた場合の照射エネルギー量(照射量)は、特に制限されないが、0.1〜10J/cmであることが好ましく、0.5〜5J/cmであることがより好ましい。
マット層の厚さとしては、1〜10μmが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。1μm以上にすることにより、十分な機械的強度が得られ、傷つきや耐性が向上するという利点が得られ、10μm以下にすることにより、保護フィルムのプロセス中での剥離を抑制できるという利点が得られる。
〔アンダーコート層(平滑層)〕
本発明に係る支持体は、基材のガスバリア層を有する面、好ましくは基材とガスバリア層との間にアンダーコート層(平滑層)を有していてもよい。アンダーコート層(平滑層)は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、基材に存在する突起により、ガスバリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。また、基材とガスバリア層との接着性(密着性)の向上を目的として設けられる。
このようなアンダーコート層は、いずれの材料で形成されてもよいが、炭素含有ポリマーを含むことが好ましく、炭素含有ポリマーから構成されることがより好ましい。すなわち、本発明に係るガスバリア性フィルムは、支持体とガスバリア層との間に、炭素含有ポリマーを含むアンダーコート層をさらに有することが好ましい。
また、アンダーコート層は、炭素含有ポリマー、好ましくは硬化性樹脂を含む。前記硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
アンダーコート層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性材料としては、例えば、アクリレート化合物を含有する組成物、アクリレート化合物とチオール基を含有するメルカプト化合物とを含有する組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製の紫外線硬化性材料である有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)を用いることができる。また、上記のような組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している活性エネルギー線硬化性材料であれば特に制限はない。
アンダーコート層の形成方法は、特に制限はないが、硬化性材料を含む塗布液をスピンコート法、スプレー法、ブレードコート法、ダイコート法、ディップコート法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、または蒸着法等のドライコーティング法により塗布し塗膜を形成した後、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射および/または加熱により、前記塗膜を硬化させて形成する方法が好ましい。活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い、好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する方法が挙げられる。
アンダーコート層の平滑性は、JIS B0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上30nm以下であることが好ましい。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
アンダーコート層の膜厚としては、特に制限されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましい。
[マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付する工程]
本工程では、上記で得られた支持体に含まれるマット層上に、粘着層を有する保護フィルムを貼付する。
本発明に係る粘着層を有する保護フィルムは、基材フィルム上に粘着層を備えるものであるが、その他必要に応じて、基材フィルムと粘着層との間に、アンダーコート層等を有していてもよい。
(基材フィルム)
基材フィルムを構成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、延伸ポリプロピレンなどが挙げられる。腰強度や該保護フィルムを剥離する際のフィルムの変形の有無等、取扱いの面を考慮すると、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。その厚みは、取扱いの面から10〜200μmのものが好ましい。
(粘着剤)
粘着層に含まれる粘着剤は特に限定されないが、アクリル系粘着剤は耐久性、透明性、粘着特性の調整の容易さなどの観点から好ましい。アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたものである。上記アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルであって、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
該アクリル系粘着剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、東洋インキ株式会社製のオリバイン(登録商標)シリーズが挙げられる。
上記のアクリル系粘着剤は、架橋剤と配合してアクリルポリマーを架橋し得る組成として用いることができる。架橋剤としては、例えば、アジリジン系、金属キレート系、エポキシ系等の各種架橋剤や、さらには、脂肪族系ジイソシアネート、芳香族系ジイソシアネート、芳香族系トリイソシアネートのようなイソシアネート系化合物等が用いられる。架橋剤の配合量は架橋剤の種類、用途に応じて適宜調整することができるが、粘着剤の樹脂に対し、0.1〜10質量%の範囲で用いることができる。
該硬化剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、東洋インキ株式会社製のオリバイン(登録商標)シリーズが挙げられる。
粘着剤を基材フィルムに塗工する方法は特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等を適用することができる。塗工された粘着層の厚みは、乾燥後の厚みで1〜100μmとすることが好ましい。
乾燥後、粘着層を安定化させるために、例えば23℃、50%RH条件下で、3〜7日間放置してもよい。
また、市販の粘着層(易接着層)付き樹脂フィルムを、そのまま本発明に係る保護フィルムとして用いてもよい。そのような市販品の例としては、例えば、藤森工業株式会社製マスタック(登録商標)TFBシリーズ、同NBOシリーズ、株式会社サンエー化研製サニテクト(登録商標)SATシリーズ、株式会社きもと製プロセーブTHSシリーズ、同SHRシリーズ等が挙げられる。
本工程においては、上記のようにして得られる保護フィルムと支持体と貼付する。貼付の方法は特に制限されず、例えばラミネーターを用いる方法が挙げられる。また、後述の成膜ローラーを備えるプラズマCVD装置において、送り出しロールの手前に、保護フィルムと支持体とを貼付する装置を設けて貼付する方法も挙げられる。
このようにして得られる保護フィルムと支持体とを貼付した積層フィルムは、上述のように、蒸着法により形成されるガスバリア層において、ガスバリア性の低下やダークスポット等の発生を抑制または防止することができ、また、蒸着後基材の巻きシワやツレの発生を抑制または防止することができる等、蒸着法において好適に用いられるフィルムと言える。すなわち、本発明は、基材およびマット層を含む支持体と、前記支持体の前記マット層上に備えられる、粘着層を有する保護フィルムと、を含む、蒸着用フィルムを提供する。
該支持体の熱線膨張係数αと該保護フィルムの熱線膨張係数βとの差の絶対値は、50ppm/K以下であることが好ましく、30ppm/K以下であることがより好ましく、10ppm/K以下であることがさらに好ましい。この範囲であれば、支持体と保護フィルムとの界面にせん断応力が加わることを抑制または防止することができ、支持体と保護フィルムとの剥離を防止することができる。
なお、支持体の熱線膨張係数αは、10〜100ppm/Kの範囲であることが好ましい。また、該保護フィルムの熱線膨張係数βは、10〜100ppm/Kの範囲であることが好ましい。
支持体の熱線膨張係数αは、基材の種類、基材の処理方法(延伸処理、熱処理等)、マット層の材料等を適宜選択により制御することができる。また、保護フィルムの熱線膨張係数βは、基材フィルムの種類、粘着層の種類等を適宜選択することにより制御することができる。支持体の熱線膨張係数αおよび保護フィルムの熱線膨張係数βは、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、支持体が有するマット層と保護フィルムが有する粘着層との粘着力は、0.05〜0.20N/25mmであることが好ましく、0.08〜0.16N/25mmであることがより好ましい。この範囲であれば、真空プラズマ装置などで蒸着用フィルム(支持体+保護フィルム)を搬送する際、支持体と保護フィルムとが剥離しにくくなる。該粘着力は、粘着層に含まれる粘着剤の種類を適宜選択することにより制御することができる。また、該粘着力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[蒸着法によりガスバリア層を形成する工程]
本工程では、上記で得られた蒸着フィルムにおいて、支持体のマット層を有する面とは反対側の面に蒸着法によりガスバリア層を形成する。
ここで、該ガスバリア層のガスバリア性は、支持体上にガスバリア層を形成させた積層体(ガスバリア性フィルム)で測定した際、水蒸気透過度(WVTR)が5×10−2g/m/day以下であることが好ましく、5×10−3g/m/day以下であることがより好ましい。
ガスバリア層の形成方法のさらに具体的な例としては、物理気相成長法(PVD法)、スパッタ法、化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。
以下、これらの方法について説明する。
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。このとき、チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。
真空プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるガスバリア層は、原材料(原料ともいう)である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できるため好ましい。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
原料化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、またはアルミニウム化合物を用いることが好ましい。これら原料化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらのうち、ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。また、後述の好適な形態である(i)〜(iii)の要件を満たすバリア層の形成の際に用いられる原料化合物であるケイ素化合物が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気などが挙げられる。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと混合してもよい。
原料化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望のガスバリア層を得ることができる。CVD法により形成されるガスバリア層は、酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物を含む層である。
以下、CVD法のうち、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。
図1は、本発明に係るガスバリア層の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図1において、真空プラズマCVD装置101は、真空槽102を有しており、真空槽102の内部の底面側には、サセプタ105が配置されている。また、真空槽102の内部の天井側には、サセプタ105と対向する位置にカソード電極103が配置されている。真空槽102の外部には、熱媒体循環系106と、真空排気系107と、ガス導入系108と、高周波電源109が配置されている。熱媒体循環系106内には熱媒体が配置されている。熱媒体循環系106には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置160が設けられている。
加熱冷却装置160は、熱媒体の温度を測定し、熱媒体を記憶された設定温度まで加熱または冷却し、サセプタ105に供給するように構成されている。供給された熱媒体はサセプタ105の内部を流れ、サセプタ105を加熱または冷却して加熱冷却装置160に戻る。このとき、熱媒体の温度は、設定温度よりも高温または低温になっており、加熱冷却装置160は熱媒体を設定温度まで加熱または冷却し、サセプタ105に供給する。かくて冷却媒体はサセプタと加熱冷却装置160の間を循環し、サセプタ105は、供給された設定温度の熱媒体によって加熱または冷却される。
真空槽102は真空排気系107に接続されており、この真空プラズマCVD装置101によって成膜処理を開始する前に、予め真空槽102の内部を真空排気すると共に、熱媒体を加熱して室温から設定温度まで昇温させておき、設定温度の熱媒体をサセプタ105に供給する。サセプタ105は使用開始時には室温であり、設定温度の熱媒体が供給されると、サセプタ105は昇温される。
一定時間、設定温度の熱媒体を循環させた後、真空槽102内の真空雰囲気を維持しながら真空槽102内に成膜対象である蒸着用フィルム(支持体+保護フィルム)110を搬入し、サセプタ105上に配置する。
カソード電極103のサセプタ105に対向する面には多数のノズル(孔)が形成されている。
カソード電極103はガス導入系108に接続されており、ガス導入系108からカソード電極103にCVDガスを導入すると、カソード電極103のノズルから真空雰囲気の真空槽102内にCVDガスが噴出される。
カソード電極103は高周波電源109に接続されており、サセプタ105および真空槽102は接地電位に接続されている。
ガス導入系108から真空槽102内にCVDガスを供給し、加熱冷却装置160から一定温度の熱媒体をサセプタ105に供給しながら高周波電源109を起動し、カソード電極103に高周波電圧を印加すると、導入されたCVDガスのプラズマが形成される。プラズマ中で活性化されたCVDガスがサセプタ105上の蒸着用フィルム110の表面に到達すると、蒸着用フィルム110の表面に薄膜であるガスバリア層が成長する。
この際のサセプタ105とカソード電極103との距離は、適宜設定される。
また、原料ガスおよび分解ガスの流量は、原料ガスおよび分解ガス種等を考慮して適宜設定される。一実施形態として、原料ガスの流量は、30〜300sccmであり、分解ガスの流量は100〜1000sccmである。
薄膜成長中は、加熱冷却装置160から一定温度の熱媒体がサセプタ105に供給されており、サセプタ105は、熱媒体によって加熱または冷却され、一定温度に維持された状態で薄膜が形成される。一般に、薄膜を形成する際の成長温度の下限温度は、薄膜の膜質により決まっており、上限温度は、蒸着用フィルム110上に既に形成されている薄膜のダメージの許容範囲により決まっている。下限温度や上限温度は形成する薄膜の材質や、既に形成されている薄膜の材質等によって異なるが、ガスバリア性の高い膜質を確保するために下限温度は50℃以上であり、上限温度は基材の耐熱温度以下であることが好ましい。
真空プラズマCVD法で形成される薄膜の膜質と成膜温度の相関関係と、成膜対象物(蒸着用フィルム110)が受けるダメージと成膜温度の相関関係とを予め求め、下限温度・上限温度が決定される。例えば、真空プラズマCVDプロセス中の蒸着用フィルム110の温度は50〜250℃であることが好ましい。
さらに、カソード電極103に13.56MHz以上の高周波電圧を印加してプラズマを形成した場合の、サセプタ105に供給する熱媒体の温度と蒸着用フィルム110の温度との関係が予め測定されており、真空プラズマCVDプロセス中に蒸着用フィルム110の温度を、下限温度以上、上限温度以下に維持するために、サセプタ105に供給する熱媒体の温度が求められる。
例えば、下限温度(ここでは50℃)が記憶され、下限温度以上の温度に温度制御された熱媒体がサセプタ105に供給されるように設定されている。サセプタ105から還流された熱媒体は、加熱または冷却され、50℃の設定温度の熱媒体がサセプタ105に供給される。例えば、CVDガスとして、シランガスとアンモニアガスと窒素ガスの混合ガスが供給され、蒸着用フィルム110が、下限温度以上、上限温度以下の温度条件に維持された状態で、SiN膜が形成される。
真空プラズマCVD装置101の起動直後は、サセプタ105は室温であり、サセプタ105から加熱冷却装置160に還流された熱媒体の温度は設定温度よりも低い。したがって、起動直後は、加熱冷却装置160は還流された熱媒体を加熱して設定温度に昇温させ、サセプタ105に供給することになる。この場合、サセプタ105および蒸着用フィルム110は熱媒体によって加熱、昇温され、蒸着用フィルム110は、下限温度以上、上限温度以下の範囲に維持される。
複数枚の蒸着用フィルム110に連続して薄膜を形成すると、プラズマから流入する熱によってサセプタ105が昇温する。この場合、サセプタ105から加熱冷却装置160に還流される熱媒体は下限温度(50℃)よりも高温になっているため、加熱冷却装置160は熱媒体を冷却し、設定温度の熱媒体をサセプタ105に供給する。これにより、蒸着用フィルム110を下限温度以上、上限温度以下の範囲に維持しながら薄膜を形成することができる。
このように、加熱冷却装置160は、還流された熱媒体の温度が設定温度よりも低温の場合には熱媒体を加熱し、設定温度よりも高温の場合は熱媒体を冷却し、いずれの場合も設定温度の熱媒体をサセプタに供給しており、その結果、蒸着用フィルム110は下限温度以上、上限温度以下の温度範囲が維持される。
薄膜が所定膜厚に形成されたら、蒸着用フィルム110を真空槽102の外部に搬出し、未成膜の蒸着用フィルム110を真空槽102内に搬入し、上記と同様に、設定温度の熱媒体を供給しながら薄膜を形成する。
また、本発明に係るCVD法により形成されるガスバリア層の好適な一実施形態として、ガスバリア層は構成元素に炭素、ケイ素、および酸素を含むことが好ましい。より好適な形態は、以下の(i)〜(iii)の要件を満たす層である。
(i)ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記ガスバリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C);
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する;
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上である。
以下、(i)〜(iii)の要件について説明する。
該ガスバリア層は、(i)前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記ガスバリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C)ことが好ましい。前記の条件(i)を満たさない場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性や屈曲性が不十分となる場合がある。ここで、上記炭素分布曲線において、上記(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)および(炭素の原子比)の関係は、ガスバリア層の膜厚の、少なくとも90%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましく、少なくとも93%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましい。ここで、該ガスバリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、ガスバリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記した関係を満たしていればよい。
また、該ガスバリア層は、(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することが好ましい。該ガスバリア層は、前記炭素分布曲線が少なくとも3つの極値を有することがより好ましく、少なくとも4つの極値を有することがさらに好ましいが、5つ以上有していてもよい。前記炭素分布曲線の極値が1つ以下である場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる場合がある。なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30以下、より好ましくは25以下であるが、極値の数は、ガスバリア層の膜厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
ここで、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値(以下、単に「極値間の距離」とも称する)が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。このような極値間の距離であれば、ガスバリア層中に炭素原子比が多い部位(極大値)が適度な周期で存在するため、ガスバリア層に適度な屈曲性を付与し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において「極値」とは、前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比の極大値または極小値のことをいう。また、本明細書において「極大値」とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少していればよい。同様にして、本明細書において「極小値」とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上増加していればよい。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、極値間の距離が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、ガスバリア層の屈曲性、クラックの抑制/防止効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
さらに、該ガスバリア層は、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましい。前記絶対値が3at%未満では、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合に、ガスバリア性が不十分となる場合がある。Cmax−Cmin差は5at%以上であることが好ましく、7at%以上であることがより好ましく、10at%以上であることが特に好ましい。上記Cmax−Cmin差とすることによって、ガスバリア性をより向上することができる。なお、本明細書において、「最大値」とは、各元素の分布曲線において最大となる各元素の原子比であり、極大値の中で最も高い値である。同様にして、本明細書において、「最小値」とは、各元素の分布曲線において最小となる各元素の原子比であり、極小値の中で最も低い値である。ここで、Cmax−Cmin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記ガスバリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。前記酸素分布曲線が極値を少なくとも1つ有する場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が極値を有さないガスバリア性フィルムと比較してより向上する。なお、酸素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。酸素分布曲線の極値の数においても、ガスバリア層の膜厚に起因する部分があり一概に規定できない。また、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における上記ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような極値間の距離の距離であれば、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
加えて、ガスバリア層の前記酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Omax−Omin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましい。絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。ここで、Omax−Omin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
前記ガスバリア層の前記ケイ素分布曲線におけるケイ素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Simax−Simin差」とも称する)が10at%以下であることが好ましく、7at%以下であることがより好ましく、3at%以下であることがさらに好ましい。絶対値が10at%以下である場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。ここで、Simax−Simin差の下限は、Simax−Simin差が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、ガスバリア性などを考慮すると、1at%以上であることが好ましく、2at%以上であることがより好ましい。
ガスバリア層の膜厚方向に対する炭素および酸素原子の合計量はほぼ一定であることが好ましい。これにより、ガスバリア層は適度な屈曲性を発揮し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生がより有効に抑制・防止される。より具体的には、ガスバリア層の膜厚方向における該ガスバリア層の表面からの距離(L)とケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する、酸素原子および炭素原子の合計量の比率(酸素および炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素および炭素の原子比の合計の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「OCmax−OCmin差」とも称する)が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることがさらに好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。なお、OCmax−OCmin差の下限は、OCmax−OCmin差が小さいほど好ましいため、0at%であるが、0.1at%以上であれば十分である。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリア層の表面からの距離を採用することができる。なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線は、下記測定条件にて作成することができる。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
上記のプラズマCVD法により形成されるガスバリア層の膜厚(乾燥膜厚)は、前記(i)〜(iii)を満たす限り、特に制限されない。例えば、該ガスバリア層の1層当たりの膜厚は、20〜3000nmであることが好ましく、50〜2500nmであることがより好ましく、100〜1000nmであることが特に好ましい。このような膜厚であれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。なお、上記のプラズマCVD法により形成されるガスバリア層が2層以上から構成される場合には、各ガスバリア層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
本発明において、膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成するという観点から、前記ガスバリア層が膜面方向(ガスバリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、ガスバリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線および前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記ガスバリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該ガスバリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式1で表される条件を満たすことをいう。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層は、1層のみを備えていてもよいし2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなガスバリア層を2層以上備える場合には、複数のガスバリア層の材質は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、および前記炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比、および炭素の原子比が、該ガスバリア層の膜厚の90%以上の領域において前記(i)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、20〜45at%であることが好ましく、25〜40at%であることがより好ましい。また、上記ガスバリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、45〜75at%であることが好ましく、50〜70at%であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、0.5〜25at%であることが好ましく、1〜20at%であることがより好ましい。
本発明では、ガスバリア層の形成方法は特に制限されず、従来と方法を同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。ガスバリア層は、好ましくは化学気相成長(CVD)法、特に、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成され、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成されることがより好ましい。
以下では、蒸着用フィルムを一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により、蒸着用フィルム上にガスバリア層を形成する方法を以下に説明する。
≪プラズマCVD法によるガスバリア層の形成方法≫
本発明に係るガスバリア層を基材の表面上に形成させる方法としては、ガスバリア性の観点から、プラズマCVD法を採用することが好ましい。なお、前記プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
また、プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに基材を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にでき、なおかつ、略同一である構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たす層を形成することが可能となる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、本発明に係るガスバリア性フィルムにおいては、前記ガスバリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で前記支持体の表面上に前記ガスバリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法によりガスバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図2を参照しながら、蒸着用フィルムを一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法によるガスバリア層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図2は、本製造方法によりガスバリア層を形成するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生装置43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生装置43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により蒸着用フィルム(支持体+保護フィルム)2の表面上にガスバリア層3を形成することが可能であり、成膜ローラー39上において蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においても蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層成分を堆積させることもできるため、蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層を効率よく形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生装置43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生装置44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43、44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置43と他方の磁場発生装置44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生装置43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の蒸着用フィルム2を用いて効率的に蒸着膜であるガスバリア層3を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が蒸着用フィルム2にかかることを回避できることから、蒸着用フィルム2へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、蒸着用フィルム2の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、蒸着用フィルム2が配置されている。このようにして蒸着用フィルム2を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する蒸着用フィルム2のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にてガスバリア層成分を堆積させることができるため、蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、蒸着用フィルム2上にガスバリア層3を形成した複合積層フィルム1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置43、44としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
このような図2に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(基材)の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係るガスバリア層を製造することができる。すなわち、図2に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の蒸着用フィルム2の表面上および成膜ローラー40上の蒸着用フィルム2の表面上に、ガスバリア層3がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、蒸着用フィルム2が、図2中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、ガスバリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、蒸着用フィルム2が、図2中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、ガスバリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、ガスバリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値におけるガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、蒸着用フィルム2が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより蒸着用フィルム2の表面上にガスバリア層3が形成される。
前記ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。ガスバリア層3の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するガスバリア層3の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られるガスバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンを例示することができる。これら有機ケイ素化合物ガスや有機化合物ガスは、ガスバリア層3の種類に応じて適切な原料ガスが選択される。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成されるガスバリア層3によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物、HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)を含有するものとを用い、ケイ素−酸素系の薄膜を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの好適な比率等について、より詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)と、を含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式1で表されるような反応が起こり、二酸化ケイ素が生成する。
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう(炭素分布曲線が存在しない)ため、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を形成することができなくなってしまう。そのため、本発明において、ガスバリア層を形成する際には、上記反応式1の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくすることが好ましい。なお、実際のプラズマCVDチャンバ内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサンおよび酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がガスバリア層中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を形成することが可能となって、得られるガスバリア性フィルムにおいて優れたガスバリア性および耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、有機EL素子や太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板への利用の観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電するために、プラズマ発生用電源42に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー39および40に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が0.1kW(100W)以上であれば、パーティクルの発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の基材表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
蒸着用フィルム2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が0.25m/min以上であれば、基材に熱に起因する皺の発生を効果的に抑制することができる。他方、100m/min以下であれば、生産性を損なうことなく、ガスバリア層として十分な膜厚を確保することができる点で優れている。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、本発明に係るガスバリア層を、図2に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、ガスバリア性とが両立するガスバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
ガスバリア層の膜組成は、XPS表面分析装置を用いて、原子組成比を測定することで測定できる。また、ガスバリア層を切断して、切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することでも膜組成を測定することができる。
該ガスバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該ガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、各ガスバリア層は同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
[用途]
本発明の製造方法により得られる複合積層フィルムに含まれるガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機EL素子または太陽電池に好ましく用いられ、有機EL素子に特に好ましく用いられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。膜封止をする前に、デバイスを保護層で覆ってもよい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「重量部」あるいは「重量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
[比較例1:ガスバリア性フィルム101の作製]
<マット層1の形成>
アイカ工業株式会社製、アクリレート系コーティング剤 Z731−1L(粒子フリータイプ)の樹脂固形分20質量%と、綜研化学株式会社製の架橋アクリル粒子(MX−3μm)を3質量%、レオロジーコントロール剤であるBYK−410(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を1質量%とを、PGME(1−メトキシ−2−プロパノール)で希釈し、塗布液1を調製した。
基材(易接着加工されたPETフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、型番:KEL86W、膜厚50μm)の裏面側に、上記で調製した塗布液1を乾燥後の膜厚が4μmになるようダイコーターを用いて塗布した後、乾燥ラインを通し乾燥し、さらに高圧水銀ランプにより1.0J/cmの条件で硬化を行い、マット層1を形成した。
<アンダーコート層の形成>
マット層1を形成した基材のマット層1とは反対側の面に、JSR株式会社製UV硬化型有機/無機ハイブリッドコーティング剤 OPSTAR(登録商標)Z7527を乾燥後の膜厚が8μmになるようにダイコーターを用いて塗布した後、80℃の乾燥ラインに2分間通し、さらに空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件:1.0J/cmで硬化を行い、アンダーコート層を形成し蒸着用基板とした。
<ガスバリア層の形成(プラズマCVD条件1)>
上記のマット層およびアンダーコート層を形成した基材(支持体)を、図2に示されるような製造装置(株式会社神戸製鋼所製、ロールツーロールCVD製膜装置)にセットして、搬送させた。次いで、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に磁場を印加すると共に、成膜ローラー39と成膜ローラー40にそれぞれ電力を供給して、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電してプラズマを発生させた。次いで、形成された放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとして酸素ガス(放電ガスとしても機能する)との混合ガスを供給し、前記基材上に、プラズマCVD法にてガスバリア性の薄膜(ガスバリア層)を形成し、ガスバリア性フィルムを得た。ガスバリア層の厚みは、150nmであった。成膜条件は、以下のプラズマCVD条件1とした。
(プラズマCVD条件1)
原料ガスの供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:500sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバ内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.5kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:1.0m/min。
製膜後の外観検査評価から、強い基材変形が発生しガスバリア性の評価が困難なものとなった。
[比較例2:ガスバリア性フィルム102の作製]
<ガスバリア層の形成(プラズマCVD条件2)>
ガスバリア層の成膜条件を以下のプラズマCVD条件2に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム102を作製した。
(プラズマCVD条件2)
原料ガスの供給量:50sccm(0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:500sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバ内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:1.0m/min。
製膜後の外観検査評価から、製膜面に基材変形が確認された。ガスバリア性の評価は、変形が小さい箇所を切り出して行った。
[実施例1:ガスバリア性フィルム103の作製]
基材のマット層1を形成した面上に、下記のようにして準備した保護フィルム1を、ラミネーターを用いてラミネートし蒸着用基板としたこと以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム103を作製した。
製膜後の外観検査評価から、製膜面に基材変形および保護フィルムの剥離が確認された。ガスバリア性評価は、剥離していない箇所を切り出して行った。
<保護フィルム1>
膜厚が50μmのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)の片面に、シリカ系アンダーコートを行った後、アクリル系粘着剤として、東洋インキ株式会社製、オリバイン(登録商標)BPS5978の樹脂に対し、硬化剤として東洋インキ株式会社製、オリバイン(登録商標)BXX5134(アジリジン系硬化剤)を5質量%混合した粘着剤液を、ダイコーターを用いて塗布した。100℃で1分間乾燥ラインに通した後、膜厚が20μmになるよう調整した。さらに、23℃50%RH条件で3日間放置し安定化を行い、保護フィルム1を得た。
[実施例2:ガスバリア性フィルム104の作製]
ガスバリア層の成膜条件を上記のプラズマCVD条件2としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム104を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあり。製膜面は変形がないが、基材変形の前兆としてガスバリア層の光学色ムラ、変色が確認された。
[実施例3:ガスバリア性フィルム105の作製]
保護フィルム1に替えて下記のような保護フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム105を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあり。製膜面は変形がないが、基材変形の前兆としてガスバリア層の光学色ムラ、変色が確認された。
<保護フィルム2>
保護フィルム1において、熱処理温度:120℃、熱処理時間:2時間の条件で熱処理を行い、線膨張係数を低減させたポリエステルフィルム(膜厚50μm、帝人デュポンフィルム株式会社製)に変更したこと以外は、保護フィルム1と同様にして、保護フィルム2を作製した。
[実施例4:ガスバリア性フィルム106の作製]
ガスバリア層の成膜条件を、上記のプラズマCVD条件2としたこと以外は、実施例3と同様にして、ガスバリア性フィルム106を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあるが、製膜面は問題なく、保護フィルムの剥離も確認されなかった。
[実施例5:ガスバリア性フィルム107の作製]
ガスバリア層の成膜条件を、下記に示すプラズマCVD条件3としたこと以外は、実施例3と同様にして、ガスバリア性フィルム107を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあり。製膜面は変形がないが、基材変形の前兆としてガスバリア層の光学色ムラ、変色が確認された。
(プラズマCVD条件3)
原料ガスの供給量:50sccm(0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:500sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバ内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:2.0kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:1.0m/min。
[実施例6:ガスバリア性フィルム108の作製]
保護フィルム2に替えて、下記のような保護フィルム3を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、ガスバリア性フィルム108を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあるが、製膜面は変形無く、保護フィルムの剥離も確認されなかった。
<保護フィルム3>
アクリル系粘着剤として東洋インキ株式会社製、オリバイン(登録商標)BPS5227−1の樹脂に対し、硬化剤として東洋インキ株式会社製、オリバイン(登録商標)BXX5134(アジリジン系硬化剤)を1質量%混合した粘着剤液を用いたこと以外は、保護フィルム2と同様に塗布乾燥した。さらに、23℃、50%RH条件で3日間放置し安定化を行い、保護フィルム3とした。
[実施例7:ガスバリア性フィルム109の作製]
マット層1に替えて、下記マット層2を形成したこと以外は、実施例5と同様にして、ガスバリア性フィルム109を作製した。
製膜後の外観検査評価から、端部に若干の基材変形はあるが、製膜面は変形無く、保護フィルムの剥離も確認されなかった。
<マット層2の形成>
上記マット層1の形成において、樹脂成分を、JSR株式会社製、アクリレート系コーティング剤 OPSTAR(登録商標)Z7527(有機無機ハイブリッド材料、無機ナノ粒子配合タイプ)の樹脂固形分20質量%としたこと以外は、上記マット層1の形成と同様にして、塗布液2を調製した。
基材の裏面側に、上記塗布液2を乾燥後の膜厚が4μmになるようダイコーターを用いて塗布した後、乾燥ラインを通し乾燥し、さらに高圧水銀ランプにより1.0J/cmの条件で硬化を行い、マット層2を形成した。
<実施例8:ガスバリア性フィルム110の作製>
マット層1に替えて、上記マット層2を形成したこと以外は、実施例6と同様にして、ガスバリア性フィルム110を作製した。
製膜後の外観検査評価から、基材変形および保護フィルムの剥離は確認されなかった。
《熱線膨張係数の差(CTE差)の評価》
上記で作製したマット層およびアンダーコート層を形成した各基材、および保護フィルム1〜3について、セイコーインスツルメンツ株式会社製、TMA/SS−6000を用い、熱線膨張係数(CTE)を求めた。基材のCTEと保護フィルムのCTEとの差をCTE差(ppm/K)とし、表1に示した。なお、CTEは、MD方向およびTD方向の両方を測定し、大きい方を採用した。
《粘着力の評価》
上記で作製した基材のマット層面と保護フィルムとの粘着力を測定した。日本電産シンポ株式会社製ピールテスター(デジタルフォースゲージFGPX−0.5、FGS−50XB−L)を用い、25mm幅にカットしたラミネート品について、保護フィルム側を剥離側とし180°の方向に300mm/minの速度で剥離し、粘着力を求めた。
《水蒸気バリア性(水蒸気透過率(WVTR))の評価》
上記で作製したガスバリア性フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を実施した。
MOCON社製、AQUATRAN(登録商標)(型番:Model−1タイプ)を用い、38℃、90%RH条件において数値が安定するのを待って、水蒸気透過率WVTR(g/m/day)を測定した。WVTRの指標としては、ガスバリア性が十分に得られる5×10−2g/m/day以下を許容とした。
《外観検査(基材変形、保護フィルムの剥離有無)の評価)》
上記で作製したガスバリア性フィルムについて、以下の指標に従い外観検査の評価を実施した。
◎:基材変形および保護フィルムの剥離なし
○:端部に若干の基材変形はあるが、製膜面は変形なく、保護フィルムの剥離もなし
△:端部に若干の基材変形はあるが、基材変形の前兆としてバリア層の光学色ムラ、変色あり
×:製膜面に基材変形があるか、または保護フィルムの剥離あり
××:製膜面に基材変形があり、保護フィルムが剥離しガスバリア性の評価困難。
各実施例および各比較例のガスバリア性フィルムの構成および評価結果を、下記表1に示す。
上記表1から明らかなように、本発明の製造方法によれば、高いガスバリア性を有するガスバリア層を備えた複合積層フィルムを製造することができることがわかった。また、外観においても、変形や剥離が抑制されることが分かった。
1 複合積層フィルム、
2、110 蒸着用フィルム、
3 ガスバリア層、
21 装置チャンバ、
22 Xeエキシマランプ、
23 ホルダー、
24 試料ステージ、
25 試料、
26 遮光板、
31 製造装置、
32 送り出しローラー、
33、34、35、36 搬送ローラー、
39、40 成膜ローラー、
41 ガス供給管、
42 プラズマ発生用電源、
43、44 磁場発生装置、
45 巻取りローラー、
101 プラズマCVD装置、
102 真空槽、
103 カソード電極、
105 サセプタ、
106 熱媒体循環系、
107 真空排気系、
108 ガス導入系、
109 高周波電源、
160 加熱冷却装置。

Claims (6)

  1. 基材の一方の面にマット層を形成し支持体を製造する工程と、
    前記マット層上に粘着層を有する保護フィルムを貼付し、蒸着用フィルムを製造する工程と、
    前記支持体の前記マット層を有する面とは反対側の面に蒸着法によりガスバリア層を形成する工程と、
    を含む、複合積層フィルムの製造方法。
  2. 前記支持体の熱線膨張係数αと、前記保護フィルムの熱線膨張係数βとの差の絶対値が50ppm/K以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記マット層と前記粘着層との粘着力が0.08〜0.16N/25mmである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記マット層は平均粒径が0.3〜5μmのアクリル樹脂粒子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記マット層は無機微粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 基材およびマット層を含む支持体と、
    前記支持体の前記マット層上に備えられる、粘着層を有する保護フィルムと、
    を含む、蒸着用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018135216A1 (ja) * 2017-01-18 2018-07-26 コニカミノルタ株式会社 機能性フィルム積層体、及び、電子デバイスの製造方法

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