JP2012131194A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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【課題】高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れたガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】
基材の少なくとも一方の面に蒸着法で形成された第1のバリア層を有し、該第1のバリア層上に、ポリシラザン含有液を塗布してポリシラザン層を形成した後、該ポリシラザン層を真空紫外光により第2のバリア層を形成したガスバリア性フィルムにおいて、該第1バリア層はXRD解析においてハロー図形を示し、そのピークのθ値から算出される原子間距離の平均値が6.5Å以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムと、その製造方法に関し、より詳しくは、主に電子デバイス等のパッケージ、太陽電池や有機EL素子、液晶等のプラスチック基板といったディスプレイ材料に用いられるガスバリア性フィルム、その製造方法に関するものである。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装用途や、食品、工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途で広く用いられている。また、上記包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。
このようなガスバリア性フィルムを製造する方法としては、主には、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法、化学蒸着法)によりガスバリア層を形成する方法や、ポリシラザンを主成分とする塗布液を塗布した後、表面処理を施す方法、あるいはそれらを併用する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1に記載の発明では、化学気相成長法により成膜開始温度が50℃以上で成膜された窒化珪素を主成分とする第1のSiN層上へ成膜開始温度が170℃以下で形成された窒化珪素を主成分とする第2のSiN層を積層する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、高いバリア性能を得るためには膜厚が100nm以上必要であり、応力集中による屈曲性および断裁加工性が十分ではない。
特許文献2に記載の発明では、高いガスバリア性のための厚膜化とクラックの抑制の両立を、250nm以下の膜厚のポリシラザン膜を湿式法で形成し、次いで真空紫外光を照射することを2回以上繰り返すことによる積層形成方法により達成することが開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、より高いガスバリア性を得ようと単に積層を繰り返していくと、屈曲性については必ずしも十分とはいえないという課題が残った。
特許文献3に記載の発明では、樹脂基材上に真空プラズマCVD法で形成されたガスバリア層にポリシラザンを積層塗布し、熱処理によりガスバリア層を補修することにより、更にバリア性能を高める方法が開示されている。しかしながら、有機光電変換素子等のガスバリア層としての機能は不十分であり、水蒸気透過率としても、1×10−2g/m・dayを大きく下回る様なレベルのガスバリア性を備えたガスバリア層の開発が求められていた。
また、特許文献4に記載の発明では、大気圧プラズマCVD法で得られるガスバリア層にポリシラザンを塗布して平滑化したのちに、導電膜を製膜する製造方法が開示されている。この方式に関しては、高いバリア性と表面の平滑性を両立は達成できるものの、屈曲時に加わる応力がガスバリア層に集中し断裁加工適性に問題であり、応力によりバリア層が破壊されてしまう。即ち、十分なガスバリア性を得ようとすると屈曲性に劣るという、難点を抱えているのが現状である。
特開2009−31612号公報 特開2009−255040号公報 特許第3511325号公報 特開2008−235165号公報
しかしながら、従来のガスバリアフィルムでは、十分なガスバリア性を示し、屈曲性および断裁加工適正が十分なものがないのが現状である。本発明者は、第1のバリア層として蒸着法により緻密なバリア層を形成して、さらに第2のバリア層として液体塗布によるセラミック膜を形成することによりガスバリア性、屈曲性および断裁加工適正に優れたフィルムが得られることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れたガスバリア性フィルムを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
本発明において、第1のバリア層は蒸着法で形成されたアモルファスのバリア層であり、そのガスバリア性を向上させるには、バリア表面のクラックを第2のバリア層により補修しつつ第2バリア層が形成されることで向上すると推定される。本発明では、第1のバリアの構成原子の原子間距離がこの補修効果に大きく関係していると考えられる。
(1)
基材の少なくとも一方の面に蒸着法で形成された第1のバリア層を有し、該第1のバリア層上に、ポリシラザン含有液を塗布してポリシラザン層を形成した後、該ポリシラザン層を真空紫外光により第2のバリア層を形成したガスバリア性フィルムにおいて、該第1バリア層はXRD解析においてハロー図形を示し、そのピークのθ値から算出される原子間距離の平均値が6.5Å以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
尚、Åとは0.1nmである。
(2)
基材の少なくとも一方の面に蒸着法で形成された第1のバリア層を有し、該第1のバリア層上に、有機金属化合物の加水分解物を含有する液を塗布してセラミック化し、第2のバリア層を形成したガスバリア性フィルムにおいて、該第1バリア層はXRD解析においてハロー図形を示し、そのピークのθ値から算出される原子間距離の平均値が6.5Å以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
(3)
前記第1のバリア層の膜厚が200〜500nmであり、前記第2のバリア層の膜厚が50〜500nmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のガスバリア性フィルム。
(4)
前記第1のバリア層が化学蒸着法で形成され、かつ、酸化珪素または酸窒化珪素から構成されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のガスバリア性フィルム。
(5)
前記化学蒸着法が真空プラズマCVD法であることを特徴とする(4)に記載のガスバリア性フィルム。
(6)
前記真空紫外光が、180nm以下の波長成分を有する真空紫外線であることを特徴とする(2)に記載のガスバリア性フィルム。
本発明により、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れたガスバリア性フィルムを提供することができる。
本発明で使用できるプラズマCVD装置の一例を示す模式図。 本発明のガスバリア性フィルムの層構成の一例を示す概略断面図。 非晶質構造でアモルファスハローを示すX線回折(XRD)の一例の図。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、本発明のガスバリア性フィルムの層構成について図2を用いて説明する。
図2において、本発明のガスバリア性フィルム11は、基材12上に蒸着法で形成された第1のバリア層13と、その上にポリシラザン含有液を塗布し、もしくは有機金属化合物の加水分解物を含有する液を塗布してセラミック化して形成された第2のバリア層14から構成されるガスバリア層ユニット15を有する構成からなる。
該第2のバリア層14は、第1のバリア層13上に形成した後、上部より改質処理手段L、例えば、180nm以下の波長成分を有する真空紫外線の照射等を用いて改質処理が施される。
本発明に係る蒸着法には化学蒸着法と物理蒸着法があるが化学蒸着法が好ましい。本発明に係る化学蒸着法とは、大気圧プラズマCVD法でも良く、真空プラズマCVD法や触媒化学気相堆積法でも良く、適宜選択できる。
更に、本発明に係る化学蒸着法で形成された第1のバリア層13は、酸化珪素、酸窒化珪素、又は窒化珪素から構成される。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの構成要素の詳細について説明する。
[ガスバリア性フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムでは、基材の少なくとも一方の面に、ガスバリア層ユニットを有することを特徴とする。
なお、本発明でいうガスバリア層ユニットとは、蒸着法で形成された第1のバリア層と、該第1のバリア層上にポリシラザン含有液を塗布し、もしくは有機金属化合物の加水分解物を含有する液を塗布してセラミック化した第2のバリア層から構成され、該ガスバリア層ユニットを複数のユニットで構成することによりガスバリア性を更に向上させることもできる。また、基材の両面に、ガスバリア層ユニットを配置させた構成であっても良い。
また、本発明でいうガスバリア性とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(60±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下(1atmとは、1.01325×10Paである)であると定義する。
〔第1のバリア層〕
本発明においては、第1のバリア層が化学蒸着法で形成されたことが好ましい。一般に、基材上に機能性薄膜を形成する方法としては、大別して、物理気相成長法及び化学気相成長法(化学蒸着法)が挙げられ、物理的気相成長法は、気相中で物質の表面に物理的手法により目的とする物質(例えば、炭素膜等)の薄膜を堆積する方法であり、これらの方法としては、蒸着(抵抗加熱法、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー)法、また、イオンプレーティング法、スパッタリング法等がある。一方、化学気相成長法(化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面或いは気相での化学反応により膜を堆積する方法であり、また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられ、特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点からプラズマCVD法を好ましく用いることができる。
(プラズマCVD装置)
本発明で使用できるプラズマCVD装置について、図1を用いて説明する。
プラズマCVD装置1は、真空槽2を有しており、真空槽2の内部の底面側には、サセプタ5が配置されている。
真空槽2の内部の天井側には、サセプタ5と対向する位置にカソード電極3が配置されている。
真空槽2の外部には、熱媒体循環系6と、真空排気系7と、ガス導入系8と、高周波電源9が配置されている。
熱媒体循環系6内には熱媒体が配置されている。
熱媒体循環系6には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置10が設けられている。
加熱冷却装置10は、熱媒体の温度を測定し、熱媒体を記憶された設定温度まで加熱又は冷却し、サセプタ5に供給するように構成されている。供給された熱媒体はサセプタ5の内部を流れ、サセプタ5を加熱又は冷却して加熱冷却装置10に戻る。このとき、熱媒体の温度は、設定温度よりも高温又は低温になっており、加熱冷却装置10は熱媒体を設定温度まで加熱又は冷却し、サセプタ5に供給する。かくて冷却媒体はサセプタと加熱冷却装置10の間を循環し、サセプタ5は、供給された設定温度の熱媒体によって加熱又は冷却される。
真空槽2は真空排気系7に接続されており、このプラズマCVD装置1によって成膜処理を開始する前に、予め真空槽2の内部を真空排気すると共に、熱媒体を加熱して室温から設定温度まで昇温させておき、設定温度の熱媒体をサセプタ5に供給する。サセプタ5は使用開始時には室温であり、設定温度の熱媒体が供給されると、サセプタ5は昇温される。
一定時間、設定温度の熱媒体を循環させた後、真空槽2内の真空雰囲気を維持しながら真空槽2内に成膜対象の基材12を搬入し、サセプタ5上に配置する。
カソード電極3のサセプタ5に対面する面には多数のノズル(孔)が形成されている。カソード電極3はガス導入系8に接続されており、ガス導入系8からカソード電極3にCVDガスを導入すると、カソード電極3のノズルから真空雰囲気の真空槽2内にCVDガスが噴出される。
カソード電極3は高周波電源9に接続されており、サセプタ5と真空槽2を接地電位に接続されている。
ガス導入系8から真空槽2内にCVDガスを供給し、加熱冷却装置10から一定温度の熱媒体をサセプタ5に供給しながら高周波電源9を起動し、カソード電極3に高周波電圧を印加すると、導入されたCVDガスのプラズマが形成される。
プラズマ中で活性化されたCVDガスがサセプタ5上の基材12の表面に到達すると、基材12の表面に薄膜が成長する。
薄膜成長中は、加熱冷却装置10から一定温度の熱媒体がサセプタ5に供給されており、サセプタ5は、熱媒体によって加熱又は冷却され、一定温度に維持された状態で薄膜が形成される。
一般に、薄膜を形成する際の成長温度の下限温度は、薄膜の膜質から決まっており、上限温度は基材12上に既に形成されている薄膜のダメージの許容範囲で決まっている。
下限温度や上限温度は形成する薄膜の材質や、既に形成されている薄膜の材質等によって異なるが、ハイバリアフィルム等に用いられるSiN膜やSiON膜を形成する場合は、膜質を確保するために下限温度が50℃であり、上限温度は基材の耐熱温度以下である。
本発明のプラズマCVD方法で形成される薄膜の膜質と成膜温度の相関関係と、成膜対象物(基材12)が受けるダメージと成膜温度の相関関係とは予め求められており、プラズマCVDプロセス中の基材12の下限温度と上限温度が分かっている(プロセス中の基材12の下限温度は50℃、上限温度は250℃)。
更に、カソード電極3に13.56MHz以上の高周波電圧を印加してプラズマを形成した場合の、サセプタ5に供給する熱媒体の温度と基材12温度の関係が予め測定されており、プラズマCVDプロセス中に基材12温度を、下限温度以上、上限温度以下に維持するために、サセプタ5に供給する熱媒体の温度が求められている。
その温度は下限温度(ここでは50℃)であり、下限温度が記憶され、下限温度以上の温度に温度制御された熱媒体がサセプタ5に供給されるように設定されている。サセプタ5から還流された熱媒体は、加熱又は冷却され、50℃の設定温度の熱媒体がサセプタ5に供給される。
ここではCVDガスとして、シランガスとアンモニアガスと窒素ガスの混合ガスが供給されており、基材12は、下限温度以上上限温度以下の温度に維持された状態でSiN膜が形成される。
プラズマCVD装置1の起動直後は、サセプタ5は室温であり、サセプタ5から加熱冷却装置10に還流された熱媒体の温度は設定温度よりも低い。従って、起動直後は、加熱冷却装置10は還流された熱媒体を加熱して設定温度に昇温させ、サセプタ5に供給することになる。この場合、サセプタ5及び基材12は熱媒体によって加熱、昇温され、基材12は下限温度以上上限温度以下の範囲に維持される。
複数枚の基材12に連続して薄膜を形成すると、プラズマから流入する熱によってサセプタ5が昇温する。この場合、サセプタ5から加熱冷却装置10に還流される熱媒体は下限温度(50℃)よりも高温になっているため、加熱冷却装置10は熱媒体を冷却し、設定温度の熱媒体をサセプタ5に供給する。これにより、基材12を下限温度以上上限温度以下の範囲に維持しながら薄膜を形成することができる。
このように、加熱冷却装置10は、還流された熱媒体の温度が設定温度よりも低温の場合には熱媒体を加熱し、設定温度よりも高温の場合は熱媒体を冷却し、いずれの場合も設定温度の熱媒体をサセプタに供給しており、その結果、基材12は下限温度以上、上限温度以下の温度範囲が維持される。
薄膜が所定膜厚に形成されたら、基材12を真空槽2の外部に搬出し、未成膜の基材12を真空槽2内に搬入し、上記と同様に、設定温度の熱媒体を供給しながら薄膜を形成する。
(X線回折(XRD)による測定)
本発明の平均原子間距離は、薄膜をX線回折(XRD)により測定し、アモルファスハローを示し、非晶質構造であることがわかる(図3に一例を示す)。このピークの値から平均原子間距離を求めた。このように非昌質の場合、通常はこのピーク値より平均原子間距離を求め、他の特性との相関性を検討することは、一般的とはいえない。しかし、本発明者が行った検討結果により、本発明の目的・効果との関係が明らかになり、本発明に至った。平均原子間距離6.5Å以上では、ガスバリア性が著しく劣化する。また、より好ましい範囲としては4〜5.5Åである。なお、具体的な測定方法・条件については後記する。
〔第2のバリア層〕
ゾルゲルコート層
本発明に用いられるゾルゲルコート層は、後述するガスバリア層上に形成され、有機金属化合物の加水分解物を含有する膜からなるものである。
本発明において、「有機金属化合物の加水分解物」とは、有機金属化合物または有機金属化合物の加水分解物をいい、有機金属化合物も含まれる。
本発明に用いられる有機金属化合物の加水分解物は、特に限定されるものではないが、例えば、一般式AM(OR)n−m(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、または上記有機金属化合物の重合体からなることが好ましい。上記一般式で示される有機金属化合物の置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基、アミノ基を有してもよく、それらの有機金属化合物を1種類または、2種類以上添加することにより、各種機能、特に耐水性、耐湿性を付与することが可能となる。
上記一般式で示される金属元素Mは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)とすることが好ましい。
本発明においては、ゾルゲルコート層が、添加剤としてイソシアネート化合物を含有していてもよい。イソシアネート化合物は、耐湿性を付与させることができるからである。このようなゾルゲルコート層の膜厚は、50nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記ゾルゲルコート層成膜時の乾燥による硬化収縮の際、クラック等が発生することを防止することができ、ガスバリア性の低下を抑制することができる。また、ゾルゲルコート層の膜厚が上記範囲内であることにより、上記ゾルゲルコート層の速乾性を高めることができ、製造工程上有利となる。さらに、上記ガスバリア層の膜厚が上記範囲内であれば、上記ガスバリア層のピンホールやクラック等を埋めて欠陥を補うことは十分に可能であるからである。本発明においては、ゾルゲルコート層にシリカ粒子を含有させることにより、成膜性が良好となるため、上述したようにゾルゲルコート層の膜厚が比較的薄い場合であっても、均一な膜とすることが可能である。
上記ゾルゲルコート層の形成方法としては、例えば、上述した材料によりゾルゲルコート層形成用塗工液(ゾル液)を調製し、このゾルゲルコート層形成用塗工液を上記ガスバリア層上に塗布し、加熱乾燥させる方法等を用いることができる。このような方法では、塗布されたゾルゲルコート層形成用塗工液(ゾル液)が、溶媒が揮発するとともに、ゾルゲル反応による脱水重縮合によって硬化(ゲル化)し、ゾルゲルコート層が成膜されるのである。
ゾルゲルコート層形成用塗工液を調製する際には、例えばコロイダルシリカとアルカリシリケート水溶液とを混合したり、コロイダルシリカと有機金属化合物とを混合したり、コロイダルシリカと有機金属化合物をあらかじめ加水分解させたものとを混合したりすることができる。
また、上記ゾルゲルコート層形成用塗工液を調製する際には、有機金属化合物もしくは有機金属化合物の加水分解物、あるいはアルカリシリケート水溶液と、コロイダルシリカとを、ガスバリア層上に塗布する直前に混合することが好ましい。コロイダルシリカには、ゾルゲル反応を促進させる作用があるため、これらを予め混合させたものを保存しておくと、保存中にゾルゲル反応が進行しすぎてしまうおそれがあるからである。
ゾルゲルコート層形成用塗工液の塗布方法としては、ガスバリア層上に塗布可能であれば特に限定されないが、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法、バーコート等を用いることができる。これらの中でも、例えばフィルム状の基材に塗布する場合においては、グラビアコート、ダイコート、グラビアオフセット法、バーコートが好適に用いられ、特に生産効率およびコスト面を考慮すると、グラビアコートが好適に用いられる。
また、加熱乾燥方法としては、例えば熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射などを挙げることができ、特に限定されるものではない。
(ポリシラザン含有塗布液による第2のバリア層の形成)
本発明に係る第2のバリア層は、蒸着法で形成した第1のバリア層上にポリシラザン化合物を含有する塗布液を積層塗布することにより形成される。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜100μm程度、さらに好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは10nm〜1μm程度となるように設定され得る。
本発明で用いられる「ポリシラザン」とは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
フィルム基材を損なわないように塗布するためには、比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物がよく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物が好ましい。
Figure 2012131194
上記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリア膜としての緻密性の観点からは、R、R、及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。従って、具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒や、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。詳しくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。
ポリシラザン含有の塗布液中におけるポリシラザン濃度は、目的とする第2のバリア層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度であることが好ましい。
ポリシラザン含有の塗布液中には、酸化珪素化合物への転化を促進するため、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のアクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
(第2のバリア層の有機溶媒、水分除去操作)
本発明に係るポリシラザン含有の塗布液により形成された第2のバリア層は、改質処理前または改質処理中に水分が除去されていることが好ましい。そのために、第2のバリア層中の有機溶媒の除去を目的とする第一工程と、それに続く第2のバリア層中の水分の除去を目的とする第二工程とに分かれていることが好ましい。
第一工程においては、主に有機溶媒を取り除くため、乾燥条件を熱処理等の方法で適宜決めることができ、このときに水分が除去される条件にあってもよい。熱処理温度は迅速処理の観点から高い温度であることが好ましいが、樹脂フィルム基材に対する熱ダメージを考慮し、温度と処理時間を適宜決定することが好ましい。例えば、樹脂基材として、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、熱処理温度は200℃以下を設定することができる。処理時間は溶媒が除去され、かつ基材への熱ダメージが少なくなるように短時間に設定することが好ましく、熱処理温度が200℃以下であれば30分以内に設定することができる。
第二工程は、第2のバリア層中の水分を取り除くための工程で、水分を除去する方法としては低湿度環境に維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下であり、維持される時間は第2のバリア層の膜厚によって適宜設定することが好ましい。第2のバリア層の膜厚が1.0μm以下の条件においては、露点温度は−8℃以下で、維持される時間は5分以上であることが好ましい。また、水分を取り除きやすくするため、減圧乾燥してもよい。減圧乾燥における圧力は常圧〜0.1MPaを選ぶことができる。
第一工程の条件に対する第二工程の好ましい条件としては、例えば、第一工程において温度60〜150℃、処理時間1分〜30分間で溶媒を除去したときには、第二工程の露点は4℃以下で、処理時間は5分〜120分により水分を除去する条件を選ぶことができる。第一工程と第二工程の区分は露点の変化で区別することができ、工程環境の露点の差が10℃以上変わることで区分ができる。
本発明に係る第2のバリア層は、第二工程により水分が取り除かれた後も、その状態を維持しながら改質処理を施すことが好ましい。
(第2のバリア層の含水量)
本発明に係る第2のバリア層の含水率は、以下に示す分析方法に従って測定することができる。
ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ/質量分析法
装置:HP6890GC/HP5973MSD
オーブン:40℃(2min)、その後、10℃/minの速度で150℃まで昇温
カラム:DB−624(0.25mmid×30m)
注入口:230℃
検出器:SIM m/z=18
HS条件:190℃・30min
本発明における第2のバリア層中の含水率は、上記の分析方法により得られる含水量から、第2のバリア層の体積で除した値として定義され、第二工程により水分が取り除かれた状態においては、好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましい含水率は、0.01%以下(検出限界以下)である。
本発明においては、改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することが、シラノールに転化した第2のバリア層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
〔第2のバリア層の改質処理〕
本発明における改質処理とは、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素または酸化窒化珪素への転化反応をいう。
本発明における改質処理は、第2のバリア層の転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができる。ポリシラザン化合物の置換反応による酸化ケイ素膜または酸化窒化珪素層の形成には450℃以上の高温が必要であり、プラスチック等のフレキシブル基板においては、適応が難しい。
従って、本発明のガスバリア性フィルムを作製するに際しては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。
(紫外線照射処理)
本発明において、改質処理の方法の1つとして、紫外線照射による処理も好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜または酸化窒化珪素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られるセラミックス膜が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
本発明に係る方法では、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することが可能である。
なお、本発明でいう紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜350nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射される第2のバリア層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行うことができる。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムや、金属等の基板の場合には、より高温での改質処理が可能である。従って、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機(株)製)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を第2のバリア層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから第2のバリア層に当てることが望ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、第2のバリア層を表面に有する基材(例、シリコンウェハー)を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス(株)製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、第2のバリア層を表面に有する基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や第2のバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光のエネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、酸化珪素膜の形成を行う方法である。
これに必要な真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。誘電体バリア放電とは、両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でも分る光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外には無電極電界放電でも可能である。
容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は、基本的には誘電体バリア放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリア放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾン等により損傷しやすい。
これを防ぐためにはランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素等の不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。従って仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には、通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリア放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。従って、非常に安価な光源を提供できる。
二重円筒型ランプは、内外管の両端を接続して閉じる加工をしているため、細管ランプに比べ取り扱いや輸送で破損しやすい。細管ランプの管の外径は6〜12mm程度で、あまり太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリア放電でも無電極電界放電のいずれでも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であってもよいが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。従って、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板等への照射を可能としている。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長のエネルギーを照射するため、照射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を有する。このため、熱の影響を受けやすいとされるポリエチレンテレフタレート等のフレシキブルフィルム材料に適している。
改質処理条件としては、限定されるわけではないが、例えば、第2のバリア層の膜厚が50〜1000nmにおいては、真空紫外照度10〜200mJ/cm、照射距離0.1〜10mm、酸素濃度0〜5%、露点温度10〜−50℃、温度25〜200℃、処理時間0.1〜150secから選択できる。
〔ガスバリア性フィルムの構成〕
(基材)
本発明のガスバリア性フィルムの基材としては、ガスバリア性を有するガスバリア層(第1のバリア層+第2のバリア層)を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、さらには前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、第1のバリア層、ガスバリア層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。基材の厚さは5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、本発明に係る基材は、透明であることが好ましい。基材が透明であり、基材上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリア性フィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る基材においては、第1のバリア層を形成する前にコロナ処理してもよい。
さらに、本発明に係る基材表面には、第1のバリア層との密着性の向上を目的としてアンカーコート層を形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
(平滑層)
本発明のガスバリア性フィルムは、平滑層を有してもよい。平滑層は突起等が存在する透明樹脂フィルム基材の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム基材に存在する突起により、透明の第1のバリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
平滑層の形成に用いる感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて平滑層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。10nmよりも小さい場合には、後述のケイ素化合物を塗布する段階で、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれる場合がある。また、30nmよりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
〈平滑層への添加剤〉
好ましい態様のひとつは、感光性樹脂中に表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いることによって、本発明の効果である防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。なお、このような効果をより得易くする観点からは、さらに平均粒子径として0.001〜0.01μmのものを用いることがより好ましい。本発明に用いられる平滑層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが好ましい。20%以上添加することで、ガスバリア層との密着性が向上する。また60%を超えると、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合にクラックが生じたり、ガスバリア性フィルムの透明性や屈折率等の光学的物性に影響を及ぼすことがある。
本発明では、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
本発明において、平滑層の厚さとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、平滑層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面にのみ設けた場合における平滑フィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
(ブリードアウト防止層)
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、ブリードアウト防止層を設けることができる。ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、フィルム基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例え、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また、ブリードアウト防止層には、ハードコート剤及びマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤、及び必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、塗布液を基材フィルム表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
本発明におけるブリードアウト防止層の厚さとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、フィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面に設けた場合におけるバリアフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
[ガスバリア性フィルムの包装形態]
本発明のガスバリア性フィルムは、連続生産しロール形態に巻き取ることができる(いわゆるロール・トゥ・ロール生産)。その際、ガスバリア層を形成した面に保護シートを貼合して巻き取ることが好ましい。特に、本発明のガスバリア性フィルムを有機薄膜デバイスの封止材として用いる場合、表面に付着したゴミ(パーティクル)が原因で欠陥となる場合が多く、クリーン度の高い場所で保護シートを貼合してゴミの付着を防止することは非常に有効である。併せて、巻取り時に入るガスバリア層表面への傷の防止に有効である。
保護シートとしては、特に限定するものではないが、膜厚100μm程度の樹脂基板に弱粘着性の接着層を付与した構成の一般的な「保護シート」、「剥離シート」を用いることができる。
[ガスバリア性フィルムの特性値の測定方法]
本発明のガスバリア性フィルムの各特性値は、下記の方法に従って測定することができる。
〔水蒸気透過率の測定〕
前述のJIS K 7129B法に従って水蒸気透過率を測定には、種々の方法が提案されている。例えば、カップ法、乾湿センサー法(Lassy法)、赤外線センサー法(mocon法)が代表として挙げられるが、ガスバリア性が向上するに伴って、これらの方法では測定限界に達する場合があり、以下に示す方法も提案されている。
〈前記以外の水蒸気透過率測定方法〉
1.Ca法
ガスバリア性フィルムに金属Caを蒸着し、該フィルムを透過した水分で金属Caが腐食される現象を利用する方法。腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出する。
2.(株)MORESCOの提案する方法(平成21年12月8日NewsRelease)
大気圧下の試料空間と超高真空中の質量分析計の間で水蒸気の冷却トラップを介して受け渡す方法。
3.HTO法(米General Atomics社)
三重水素を用いて水蒸気透過率を算出する方法。
4.A−Star(シンガポール)の提案する方法(国際公開第005/95924号)
水蒸気または酸素により電気抵抗が変化する材料(例えば、Ca、Mg)をセンサーに用いて、電気抵抗変化とそれに内在する1/f揺らぎ成分から水蒸気透過率を算出する方法。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、水蒸気透過率の測定方法は特に限定するところではないが、本発明においては水蒸気透過率測定方法として、下記Ca法による測定を行った。
〈本発明で用いたCa法〉
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
水蒸気バリア性評価用セルの作製
バリアフィルム試料のガスバリア層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のバリアフィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製、)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。また、屈曲前後のガスバリア性の変化を確認するために、上記屈曲の処理を行わなかったバリアフィルムについても同様に、水蒸気バリア性評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、バリアフィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐蝕が発生しないことを確認した。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
[第1のバリア層を有するガスバリア性フィルムの作製]
〔第1のバリア層1の形成〕(SiN膜(単層タイプ)の場合)
図1に示す真空プラズマCVD装置を用いて、SiN膜をハードコート付き熱膨張係数が10×10−4/℃のPENフィルム上へ成膜を行った。この時使用した高周波電源は、27.12MHzの高周波電源で、電極間距離は20mmとした。原料ガスとしては、シランガス流量を7.5sccm、アンモニアガス流量を50sccm、水素ガス流量を200sccmとして真空チャンバー内へ導入。成膜開始時にフィルム基板温度を100℃、成膜時のガス圧を30Paに設定して窒化珪素を主成分とする窒化珪素薄膜層(SiN層)を膜厚350nmの第1のバリア層1を形成した。
尚、シランガス、アンモニアガスの流量を変えて、成膜速度を調整して表1に示すように原子間距離が異なるサンプルを作製した。
〔第1のバリア層2の形成〕(SiN膜(2層積層タイプ)の場合)
図1に示す真空プラズマCVD装置を用いて、SiN膜をハードコート付き熱膨張係数が10×10−4/℃のPENフィルム上へ成膜を行った。この時使用した高周波電源は、27.12MHzの高周波電源で、電極間距離は20mmとした。原料ガスとしては、シランガス流量を7.5sccm、アンモニアガス流量を50sccm、水素ガス流量を200sccm(sccmは、133.322Paにおける、cm/minである)として真空チャンバー内へ導入。成膜開始時にフィルム基板温度を100℃、成膜時のガス圧を4Paに設定して窒化珪素を主成分とする窒化珪素薄膜層(SiN層)を膜厚150nm形成した後、フィルム基板温度はそのままに、ガス圧を30Paに設定し連続して膜厚200nmの2層目の窒化珪素薄膜層(SiN層)を形成し、全膜厚350nmの第1のバリア層2を形成した。
尚、シランガス、アンモニアガスおよび水素ガスの流量を変えて、成膜速度を調整して表1に示すように原子間距離が異なるサンプルを作製した。
〔第1のバリア層3の形成〕(SiON膜(単層タイプ)の場合)
図1に示す真空プラズマCVD装置を用いて、SiON膜をハードコート付き熱膨張係数が10×10−4/℃のPENフィルム上へ成膜を行った。この時使用した高周波電源は、27.12MHzの高周波電源で、電極間距離は20mmとした。原料ガスとしては、シランガス流量を7.5sccm、アンモニアガス流量を100sccm、亜酸化窒素ガス流量を50sccmとして真空チャンバー内へ導入。成膜開始時にフィルム基板温度を100℃、成膜時のガス圧を100Paに設定して窒化珪素を主成分とする酸窒化珪素薄膜層(SiON層)を膜厚350nmの第3のバリア層1を形成した。
尚、シランガス、アンモニアガスおよび亜酸化窒素ガスの流量を変えて、成膜速度を調整して表1に示すように原子間距離が異なるサンプルを作製した。
〔第1のバリア層4の形成〕(SiO膜(単層タイプ)の場合)
図1に示す真空プラズマCVD装置を用いて、SiO膜をハードコート付き熱膨張係数が10×10−4/℃のPENフィルム上へ成膜を行った。この時使用した高周波電源は、27.12MHzの高周波電源で、電極間距離は20mmとした。原料ガスとしては、アルゴンガス流量を150sccm、シランガス流量を7.5sccm、亜酸化窒素ガス流量を130sccmとして真空チャンバー内へ導入。成膜開始時にフィルム基板温度を100℃、成膜時のガス圧を200Paに設定して窒化珪素を主成分とする酸化珪素薄膜層(SiO層)を膜厚350nmの第4のバリア層1を形成した。
尚、シランガス、アルゴンガスおよび亜酸化窒素ガスの流量を変えて成膜速度を調整して、表1に示すように原子間距離が異なるサンプルを作製した。
Figure 2012131194
実際の原子間距離に当たっては、第1のバリア層1−1〜4−5の試料をX線回折(XRD)((株)島津製作所製、XD−610)および薄膜X線回折装置(GXRD)(日本電子(株)製、JX−3530)を用いた。それぞれの測定条件を下記に示す。XRD測定においてθ−2θモードで使用して平均原子間距離を求めた。
Figure 2012131194
(ガスバリア性フィルム1の作製)
〔第2のバリア層(ポリシラザン層)の形成〕
上記方法で形成した第1のバリア層1上に、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液をワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が、150nmとなるように塗布し、表2に示した塗布試料を得た。
〔第一工程:乾燥処理〕
得られた塗布試料を、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理し、乾燥試料を得た。
〔第二工程:除湿処理〕
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
〔改質処理A〕
除湿処理を行った試料に対し、下記の条件で改質処理を施した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
稼動ステージ上に固定した試料を、以下の条件で改質処理を行って、第2のバリア層を形成した。
エキシマ光強度 :130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 :1mm
ステージ加熱温度 :70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマ照射時間 :5秒
以上により、ガスバリア性フィルムを作製した。

[性能評価]
得られたガスバリア性フィルム試料1−1〜4−5について以下の評価行い、結果を表2に示す。
〔水蒸気バリア性の評価〕
以下の測定方法に従って、各ガスバリア性フィルムの水蒸気バリア性を評価した。
(装置)
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
(水蒸気バリア性評価用セルの作製)
試料のガスバリア層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のガスバリア性フィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。また、屈曲前後のガスバリア性の変化を確認するために、上記屈曲の処理を行わなかったガスバリア性フィルムについても同様に、水蒸気バリア性評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、バリアフィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてガスバリア性フィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
以上により測定された各ガスバリア性フィルムの水分量を下記の5段階に分類し、水蒸気バリア性を評価した。
5:水分量が1×10−4g/m/day未満
4:水分量が1×10−4g/m/day以上、1×10−3g/m/day未満
3:水分量が1×10−3g/m/day以上、1×10−2g/m/day未満
2:水分量が1×10−2g/m/day以上、1×10−1g/m/day未満
1:水分量が1×10−1g/m/day以上
〔折り曲げ耐性の評価〕
各ガスバリア性フィルムを、半径が10mmの曲率になるように、180度の角度で100回の屈曲を繰り返した後、上記と同様の方法で水蒸気透過率を測定し、屈曲処理前後での水蒸気透過率の変化より、下式に従って耐劣化度を測定し、下記の基準に従って折り曲げ耐性を評価した。
耐劣化度=(屈曲試験後の水蒸気透過度/屈曲試験前の水蒸気透過度)×100(%)
5:耐劣化度が、90%以上である
4:耐劣化度が、80%以上、90%未満である
3:耐劣化度が、60%以上、80%未満である
2:耐劣化度が、30%以上、60%未満である
1:耐劣化度が、30%未満である
〔断裁加工適性の評価〕
各ガスバリア性フィルムを、ディスクカッターDC−230(CADL社)を用いてB5サイズに断裁した後、断裁した各端部をルーペ観察し、四辺のクラックの総発生数を確認し、下記の基準に従って断裁加工適性を評価した。
5:クラック発生が全く認められなかった
4:クラックの発生数が、1本以上、2本以下である
3:クラックの発生数が、3本以上、5本以下である
2:クラックの発生数が、6本以上、10本以下である
1:クラックの発生数が、10本以上である
Figure 2012131194
表3から本発明の製造方法で作製したバリアは、水蒸気透過率、折り曲げ耐性及び断裁加工適性が優れていることがわかる。
実施例2
実施例1の第2バリア層(有機金属化合物の加水分解物を含有する液を塗布した層)を下記の如くして調製した以外は同評価を行った。
(ゾルゲルコート溶液の調製)
固形分10質量%に調整したリチウムシリケート水溶液(LiO・nSiO、n=約5mol比)10gに、テトラエチルオルソシリケート(Si(OC:TEOSと略記)8.3g(0.04mol)と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ製 サイラーエースS530)9.9g(0.04mol)と0.1モル/リットルの塩酸18gとを加え18時間撹拌し、ゾルゲルコート溶液を調製した。
(コロイダルシリカ溶液の調製)
コロイダルシリカとして、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10nm〜20nm)」を用い、固形分濃度が10質量%になるように、イソプロピルアルコールで調製し、コロイダルシリカ溶液を得た。
(ゾルゲルコート層(第2のバリア層2−1及び2の形成)
ゾルゲルコート溶液およびコロイダルシリカ溶液を用いて、ゾルゲルコート溶液:コロイダルシリカ溶液=5:5(質量比)の割合となるように調製し、ゾルゲルコート層形成用塗工液を得た。このゾルゲルコート層形成用塗工液を上記ガスバリア層上に、乾燥後の膜の厚みが表3で示した値となるようにバーコーティングした。
〔第一工程:乾燥処理〕
得られた塗布試料を、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で30分間処理し、乾燥試料を得た。
〔第二工程:除湿処理〕
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
〔改質処理A〕
除湿処理を行った試料に対し、下記の条件で改質処理を施した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
稼動ステージ上に固定した試料を、以下の条件で改質処理を行って、第2のバリア層を形成した。
エキシマ光強度 :130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 :1mm
ステージ加熱温度 :70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマ照射時間 :5秒
以上により、ガスバリア性フィルムを作製した。
Figure 2012131194
実施例3
実施例1において第1のバリア層3および第2のバリア層の膜厚を変えて同様の評価を行った。結果を表5に示した。
Figure 2012131194
実施例4
実施例の第1バリア層5をスパッタリング装置を用い以下のようにして作製した。
〔第1のバリア層5の形成〕
(プラスチックフィルム基材)
プラスチックフィルム基材として、厚み100μmの二軸延伸PENフィルム(帝人デュポン社製テオネックスQ65)を使用した。このPENフィルムのJIS−K7122に従って測定したガラス転移温度は150℃、JIS−K6714に従って測定した光線透過率は86.3%であった。
(バリア層の成膜)
市販のロールトゥーロール方式のスパッタ装置を用いた。この装置は真空槽を有しており、その中央部にはプラスチックフィルム基材を表面に接触させて加熱もしくは冷却するためのドラムが配置されている。また、上記真空槽にはプラスチックフィルム基材を巻くための巻き取りロールが配置されている。ロールに巻かれたプラスチックフィルム基材はガイドを介してドラムに巻かれ、さらに別のガイドを介して巻き取りロールに巻かれる。真空排気系としては排気口から真空ポンプによって真空槽内の排気が常に行われている。
成膜系としてはパルス電力を印加できるDC方式の放電電源に接続されたカソードを2カ所有し、それら2つのカソードA,B上にそれぞれターゲット金属Aとターゲット金属Bが装着されている。カソードA、Bへのパルス電力の印加が交互に行われるように、放電電圧制御を行っている。さらにこの制御器は真空槽へ配管を介して反応ガス導入量を調整しつつ供給する圧電素子バルブユニットに接続されている。また、真空槽には一定流量の放電ガスが供給されるよう構成されている。所望する膜厚、膜質が得られるような反応ガス導入量を設定し、遷移領域において放電を持続させる。
ターゲットAとしてSi、ターゲットBとしてAlをセットし、放電電源としてパルス印加方式のDC電源を用意した。真空ポンプを起動し、真空槽内を10−4Pa台まで真空引きし、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素を導入した。雰囲気圧力が安定したところで放電電源を入れ、各々の放電電力5kWで各ターゲット上にプラズマを発生させ、成膜圧力を0.03Paまで下げてからスパッタリングプロセスを開始した。ターゲットAとターゲットBのパルス電圧とガスフローを調節することで、SiOx/AlOxの比率が50/50、厚み200nmの混合無機バリア層をプラスチックフィルム基材上に形成させた。
第2のバリア層は、実施例1と同様に作製した結果を表6に示す。
Figure 2012131194
1 プラズマCVD装置
2 真空槽
3 カソード電極
5 サセプタ
6 熱媒体循環系
7 真空排気系
8 ガス導入系
10 加熱冷却装置
11 ガスバリア性フィルム
12 基材
13 第1のバリア層
14 第2のバリア層
15 バリア層

Claims (6)

  1. 基材の少なくとも一方の面に蒸着法で形成された第1のバリア層を有し、該第1のバリア層上に、ポリシラザン含有液を塗布してポリシラザン層を形成した後、該ポリシラザン層を真空紫外光により第2のバリア層を形成したガスバリア性フィルムにおいて、該第1バリア層はXRD解析においてハロー図形を示し、そのピークのθ値から算出される原子間距離の平均値が6.5Å以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 基材の少なくとも一方の面に蒸着法で形成された第1のバリア層を有し、該第1のバリア層上に、有機金属化合物の加水分解物を含有する液を塗布してセラミック化し、第2のバリア層を形成したガスバリア性フィルムにおいて、該第1バリア層はXRD解析においてハロー図形を示し、そのピークのθ値から算出される原子間距離の平均値が6.5Å以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  3. 前記第1のバリア層の膜厚が200〜500nmであり、前記第2のバリア層の膜厚が50〜500nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記第1のバリア層が化学蒸着法で形成され、かつ、酸化珪素または酸窒化珪素から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記化学蒸着法が真空プラズマCVD法であることを特徴とする請求項4に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記真空紫外光が、180nm以下の波長成分を有する真空紫外線であることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
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