JP2014237286A - ガスバリアーフィルム積層体、ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及びガスバリアーフィルム積層体の製造装置 - Google Patents

ガスバリアーフィルム積層体、ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及びガスバリアーフィルム積層体の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、十分なガスバリアー性を有し、ガスバリアー性の耐久性に優れたガスバリアーフィルム積層体、当該ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及び当該ガスバリアーフィルム積層体の製造装置を提供することである。【解決手段】本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、複数枚のガスバリアーフィルム10が接着層20を介して積層されてなるガスバリアーフィルム積層体であって、複数枚のガスバリアーフィルム10のうち少なくとも1枚が、基材11の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたポリシラザン改質フィルムであり、接着層20とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリアーフィルム積層体、ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及びガスバリアーフィルム積層体の製造装置に関する。より詳しくは、主に、電子デバイス等のパッケージ、太陽電池や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶等のプラスチック基板といったディスプレイ材料に用いられるガスバリアーフィルム積層体、当該ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及び当該ガスバリアーフィルム積層体の製造装置に関する。
従来、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装用途や、食品、工業用品、及び医薬品等の変質を防止するための包装用途、液晶表示素子、太陽電池、及び有機EL素子等の電子デバイスの封止用途に使用されるガスバリアーフィルムとしては、フィルム基材上に酸化ケイ素を蒸着してガスバリアー層を形成したものや、酸化アルミニウムを蒸着してガスバリアー層を形成したもの等が知られている。
しかしながら、蒸着法で形成したガスバリアー層を有するガスバリアーフィルムは、水蒸気透過度がせいぜい1g/(m・day)程度である。これに対し、電子デバイスの封止用途に使用されるガスバリアーフィルムは、より高いガスバリアー性が要求されており、液晶ディスプレイでは水蒸気透過度で0.1g/(m・day)程度、有機EL素子では水蒸気透過度で10−6g/(m・day)程度が要望されている。
ガスバリアー性の向上という課題に対して、透明なプラスチックフィルム基材上に、同一の成膜工程において、無機酸化物蒸着層として酸化アルミニウム蒸着層を形成直後に、ほぼ同時に、金属蒸着層として金属アルミニウム蒸着層を形成してなる透明導電蒸着層が透明性と導電性を有するガスバリアー層として機能するガスバリアーフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、基材層に、不飽和カルボン酸化合物多価金属塩の重合体を含有する層が積層されたガスバリアーフィルムの2枚以上を、それぞれの間に接着性樹脂からなる層を設けて積層してなる積層体や(例えば、特許文献2参照)、熱可塑性樹脂からなる外層(熱可塑性樹脂フィルム)とヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層(ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルム)との間に、高いガスバリアー性を有するポリウレタン樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤の層を設けて積層してなる積層体も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されている積層体には、電子デバイスの封止用途に使用し得る程度の十分なガスバリアー性を有さない、ガスバリアー性が劣化しやすいという問題がある。
また、特許文献1に記載されているガスバリアーフィルムは、電子デバイスの封止用途に使用し得る程度の十分なガスバリアー性を有さないという問題がある。そこで、特許文献1に記載のガスバリアーフィルムを複数枚用意し、その複数枚のガスバリアーフィルムを、特許文献2や特許文献3に記載の積層体のように接着層を介して積層すれば、ガスバリアー性が向上するように思われる。しかしながら、特許文献1に記載のガスバリアーフィルムが有するガスバリアー層は、蒸着法で形成された層であるため、表面の平滑性が悪い。よって、接着層をガスバリアー層に接する位置に配した場合、接着層とガスバリアーフィルム(具体的には、ガスバリアーフィルムのガスバリアー層)とが密着しないため、十分なガスバリアー性を有さない、ガスバリアー性が劣化しやすいという問題が生じる。
さらに、基材の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたガスバリアーフィルムも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4に記載されているガスバリアーフィルムにおいては、製造過程で照射する真空紫外光がポリシラザン層の表面にしか届かず、ポリシラザン層の表面部しか改質(ガラス化)されない場合がある。その場合、ポリシラザン層の表面部よりも深部は、製造後に徐々にガラス化あるいはシラノール化するため、収縮した部分と膨張した部分とが不均一に存在し、改質された部分に歪みが生じてしまう。その結果、マイクロクラックが形成されて、ガスバリアー性が劣化してしまうという問題がある。
特開2003−340956号公報 特開2007−130857号公報 特開2005−161691号公報 国際公開2011/007543号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、十分なガスバリアー性を有し、ガスバリアー性の耐久性に優れたガスバリアーフィルム積層体、当該ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及び当該ガスバリアーフィルム積層体の製造装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、接着層を介して積層される複数枚のガスバリアーフィルムのうち少なくとも1枚が、基材の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたポリシラザン改質フィルムであり、接着層とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有する場合に本発明の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.複数枚のガスバリアーフィルムが接着層を介して積層されてなるガスバリアーフィルム積層体であって、
前記複数枚のガスバリアーフィルムのうち少なくとも1枚が、基材の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたポリシラザン改質フィルムであり、
前記接着層と前記ポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有することを特徴とするガスバリアーフィルム積層体。
2.前記接着層と前記ポリシラザン改質層との層厚比(接着層の層厚/ポリシラザン改質層の層厚)の値が、7〜500の範囲内であることを特徴とする第1項に記載のガスバリアーフィルム積層体。
3.前記接着層を挟んで前記ポリシラザン改質層同士が対向するように配置された2枚のポリシラザン改質フィルムを備えることを特徴とする第1項又は第2項に記載のガスバリアーフィルム積層体。
4.前記接着層と前記ポリシラザン改質層とのラミネート強度が、450〜1500g/15mmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造方法であって、
前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製工程と、
前記ガスバリアーフィルム作製工程で作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層工程と、
を有することを特徴とするガスバリアーフィルム積層体の製造方法。
6.前記ガスバリアーフィルム積層工程における各ガスバリアーフィルムの張力が、3〜15kg/mの範囲内であることを特徴とする第5項に記載のガスバリアーフィルム積層体の製造方法。
7.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造装置であって、
前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製手段と、
前記ガスバリアーフィルム作製手段により作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層手段と、
を備えることを特徴とするガスバリアーフィルム積層体の製造装置。
本発明の上記手段により、十分なガスバリアー性を有し、ガスバリアー性の耐久性に優れたガスバリアーフィルム積層体、当該ガスバリアーフィルム積層体の製造方法、及び当該ガスバリアーフィルム積層体の製造装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射してなるポリシラザン改質層は、蒸着法で形成したガスバリアー層に比べて、表面の平滑性が良いため、接着層との密着性が高い。よって、接着層とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有することで、接着層とガスバリアーフィルム(具体的には、当該ポリシラザン改質層を有するポリシラザン改質フィルム)との接着性を向上させることができるとともに、これらの間へのガスの侵入を抑制することができるので、十分なガスバリアー性が得られるとともに、そのガスバリアー性を長期間維持できると推察している。
また、ポリシラザン改質層が未改質部分を含んでいる場合、その未改質部分は、徐々にガラス化あるいはシラノール化するため、収縮した部分と膨張した部分とが不均一に存在し、改質された部分に歪みが生じてしまう。しかし、ポリシラザン改質層が接着層と接することで、収縮又は膨張する力が接着層によって緩和され、改質された部分に歪みが生じにくくなるので、長期保存してもマイクロクラックの発生が抑制され、ガスバリアー性を長期間維持できると推察している。
本発明のガスバリアーフィルム積層体の構成の一例を示す図 本発明のガスバリアーフィルム積層体の構成の一例を示す図 本発明のガスバリアーフィルム積層体の製造装置の構成の一例を示す図
本発明のガスバリアーフィルム積層体は、複数枚のガスバリアーフィルムが接着層を介して積層されてなるガスバリアーフィルム積層体であって、前記複数枚のガスバリアーフィルムのうち少なくとも1枚が、基材の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたポリシラザン改質フィルムであり、前記接着層と前記ポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記接着層と前記ポリシラザン改質層との層厚比(接着層の層厚/ポリシラザン改質層の層厚)の値が、7〜500の範囲内であることが好ましい。
また、本発明においては、前記接着層を挟んで前記ポリシラザン改質層同士が対向するように配置された2枚のポリシラザン改質フィルムを備えることが好ましい。これにより、接着層と、その両側にあるポリシラザン改質フィルムと、の接着性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記接着層と前記ポリシラザン改質層とのラミネート強度が、450〜1500g/15mmの範囲内であることが好ましい。これにより、ガスバリアー性及びその耐久性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造方法としては、前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製工程と、前記ガスバリアーフィルム作製工程で作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層工程と、を有する態様の製造方法であることが、効率よくガスバリアーフィルム積層体を製造できる観点から、好ましい。
また、本発明においては、前記ガスバリアーフィルム積層工程における各ガスバリアーフィルムの張力が、3〜15kg/mの範囲内であることが好ましい。これにより、ガスバリアー性及びその耐久性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造装置としては、前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製手段と、前記ガスバリアーフィルム作製手段により作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層手段と、を備える態様の製造装置であることが、効率よくガスバリアーフィルム積層体を製造できる観点から、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<ガスバリアーフィルム積層体の構成>
図1及び図2に、本発明のガスバリアーフィルム積層体の構成の一例を示す。
図1及び図2に示すように、本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、複数のガスバリアーフィルム10が接着層20を介して積層されてなるフィルムである。このガスバリアーフィルム積層体1は、有機EL素子、有機薄膜太陽電池、液晶ディスプレイ等に好適に用いることができる。
ガスバリアーフィルム10は、基材11上に、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層を有する。
このポリシラザン改質層は、基材11上にポリシラザン含有液を塗布してポリシラザン層を形成した後、当該ポリシラザン層の上部から、例えば180nm以下の波長成分を有する真空紫外光を照射すること等により、当該ポリシラザン層に改質処理を施すことによって得られる。ポリシラザン層は、当該改質処理によって、表面部しか改質されない場合がある。したがって、本発明でいう「ポリシラザン改質層」は、改質処理が施された(改質処理後の)ポリシラザン層を指し、少なくとも表面部が改質(ガラス化)されていれば、未改質部分を含んでいてもよい。
図1及び図2に示すように、基材11とガスバリアー層13との間に平滑層12を設けることは、基材11表面の凹凸を薄層であるガスバリアー層13に影響させにくくするため好ましいが、平滑層12は必ずしも設けられていなくても良い。
また、基材11とガスバリアー層13との間に、第2のガスバリアー層を設けても良い。第2のガスバリアー層は、ポリシラザン改質層であってもよいし、ポリシラザン改質層以外のガスバリアー層であっても良い。ポリシラザン改質層以外のガスバリアー層としては、例えば、蒸着法で形成したガスバリアー層等を挙げることができる。蒸着法には化学蒸着法と物理蒸着法があるが、化学蒸着法が好ましい。化学蒸着法とは、大気圧プラズマCVD法でも良く、真空プラズマCVD法や触媒化学気相堆積法でも良く、適宜選択できる。化学蒸着法で形成された第2のガスバリアー層は、例えば、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は窒化ケイ素から構成される。
具体的には、図1に示すガスバリアーフィルム積層体1は、2枚のガスバリアーフィルム10と、2枚のガスバリアーフィルム10の間に設けられた接着層20と、を備え、一方のガスバリアーフィルム10のガスバリアー層13(ポリシラザン改質層)と、他方のガスバリアーフィルム10のガスバリアー層13(ポリシラザン改質層)と、が接着層20を介して対向している。
また、図2に示すガスバリアーフィルム積層体1は、2枚のガスバリアーフィルム10と、2枚のガスバリアーフィルム10の間に設けられた接着層20と、を備え、一方のガスバリアーフィルム10のガスバリアー層13(ポリシラザン改質層)と、他方のガスバリアーフィルム10の基材11と、が接着層20を介して対向している。
すなわち、本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、接着層20とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有する積層体である。
なお、本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、接着層20とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも一つ有するものであれば、その構成に特に制限はない。
例えば、図2において、ガスバリアー層13が接着層20に接するガスバリアーフィルム10(すなわち、図2における接着層20よりも下側のガスバリアーフィルム10)が、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層を備えるポリシラザン改質フィルムであれば、基材11が接着層20に接するガスバリアーフィルム10(すなわち、図2における接着層20よりも上側のガスバリアーフィルム10)は、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層以外のガスバリアー層を備えるガスバリアーフィルムであってもよい。
また、基材11が接着層20に接するガスバリアーフィルム10(すなわち、図2における接着層20よりも上側のガスバリアーフィルム10)は、ガスバリアー層13上にオーバーコート層が積層されていてもよい。これにより、ガスバリアー層13を保護することができる。
オーバーコート層に用いられる有機物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。これらの有機樹脂若しくは有機無機複合樹脂は重合性基や架橋性基を有することが好ましく、これらの有機樹脂若しくは有機無機複合樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤や架橋剤等を含有する有機樹脂組成物塗布液から塗布形成した層に、光照射処理や熱処理を加えて硬化させることが好ましい。
また、本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、接着層20とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも一つ有するものであれば、3枚以上のガスバリアーフィルム10が接着層20を介して積層されてなる積層体であってもよい。この場合、3枚以上のガスバリアーフィルム10のうち少なくとも1枚が、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層を備えるポリシラザン改質フィルムであり、2層以上の接着層20のうち少なくとも1層の片面又は両面が、ポリシラザン改質フィルムが有するガスバリアー層13(ポリシラザン改質層)と接していればよい。
また、本発明のガスバリアーフィルム積層体1が、接着層20とポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも一つ有するものであれば、ガスバリアーフィルム10は、基材11の両面に、ガスバリアー層13を有する構成であっても良い。
<ガスバリアーフィルム>
ここでは、ガスバリアーフィルム10の一例として、本発明のガスバリアーフィルム積層体1が必ず備えるポリシラザン改質フィルムについて説明する。
ポリシラザン改質フィルムは、基材11の少なくとも一方の面に、最外層として、ポリシラザン改質層を有する。このポリシラザン改質層は、ポリシラザン含有液を塗布して形成されたポリシラザン層に改質処理を施してなる層であり、ガスバリアー層13として機能する。
なお、ポリシラザン改質フィルムは、基材11の少なくとも一方の面に、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層を有しているのであれば、基材11の他方の面に、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層以外のガスバリアー層を有する構成であっても良い。
また、基材11とガスバリアー層との間に平滑層等の層を有する構成であっても良い。
ここで、本発明でいう「ガスバリアー性」とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(温度:60±0.5℃、相対湿度(RH):90±2%)が0.1g/(m・day)以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が0.1ml/(m・day・atm)以下(1atmとは、1.01325×10Paである)であると定義する。
≪ポリシラザン改質層≫
ポリシラザン改質層は、平滑層12等の上に、所定の塗布方法でポリシラザン化合物を含有する塗布液(ポリシラザン含有液)を積層塗布してポリシラザン層を形成した後、当該ポリシラザン層に改質処理を施すことによって形成される。
ポリシラザン含有液の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布厚さ(ポリシラザン層の厚さ)は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜100μm程度、さらに好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは10nm〜1μm程度となるように設定され得る。
本発明で用いられる「ポリシラザン」とは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のガラス前駆体無機ポリマーである。
基材11がフィルム基材である場合、当該フィルム基材を損なわないように塗布するためには、比較的低温でガラス化してシリカに変性する化合物がよく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物が好ましい。
Figure 2014237286
上記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層の膜としての緻密性の観点からは、R、R、及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材11との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるポリシラザン改質層に靭性を持たせることができ、より(平均)層厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液(ポリシラザン含有液)として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のアクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
低温でガラス化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する塗布液(ポリシラザン含有液)を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。したがって、具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒や、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。詳しくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。
ポリシラザン含有の塗布液(ポリシラザン含有液)中におけるポリシラザン濃度は、目的とするポリシラザン改質層の層厚(膜厚)や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度であることが好ましい。
ポリシラザン含有の塗布液(ポリシラザン含有液)中には、酸化ケイ素化合物への転化を促進するため、アミンや金属の触媒を添加することもできる。本発明においては、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザン改質層の層厚は、ガスバリアー性の向上、未改質部分の残存割合の低減等の観点から、10〜1000nmが好ましく、40〜750nmがより好ましい。
(ポリシラザン層からの有機溶媒、水分の除去)
ポリシラザン含有の塗布液(ポリシラザン含有液)を塗布することにより形成されたポリシラザン層は、改質処理前又は改質処理中に水分が除去されていることが好ましい。そのために、ポリシラザン層を形成する工程の後、ポリシラザン層中の有機溶媒の除去を目的とする第一工程と、それに続くポリシラザン層中の水分の除去を目的とする第二工程と、を行うことが好ましい。
第一工程においては、主にポリシラザン層中の有機溶媒を取り除くため、乾燥条件を熱処理等の方法で適宜決めることができ、このときに水分が除去される条件であってもよい。熱処理温度は迅速処理の観点から高い温度であることが好ましいが、基材11が樹脂フィルムである場合には、基材11に対する熱ダメージを考慮し、温度と処理時間を適宜決定することが好ましい。例えば、基材11として、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、熱処理温度は200℃以下を設定することができる。処理時間は溶媒が除去され、かつ基材11への熱ダメージが少なくなるように短時間に設定することが好ましく、熱処理温度が200℃以下であれば30分以内に設定することができる。
第二工程は、ポリシラザン層中の水分を取り除くための工程で、水分を除去する方法としては低湿度環境に維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下であり、維持される時間はポリシラザン層の層厚によって適宜設定することが好ましい。ポリシラザン層の層厚が1.0μm以下の条件においては、露点温度は−8℃以下で、維持される時間は5分以上であることが好ましい。また、水分を取り除きやすくするため、減圧乾燥してもよい。減圧乾燥における圧力は常圧〜0.1MPaを選ぶことができる。
第一工程の条件に対する第二工程の好ましい条件としては、例えば、第一工程において温度60〜150℃、処理時間1分〜30分間で溶媒を除去したときには、第二工程の露点は4℃以下で、処理時間は5分〜120分により水分を除去する条件を選ぶことができる。第一工程と第二工程の区分は露点の変化で区別することができ、工程環境の露点の差が10℃以上変わることで区分ができる。
ポリシラザン層は、第二工程により水分が取り除かれた後も、その状態を維持しながら改質処理を施すことが好ましい。
(ポリシラザン層の含水量)
ポリシラザン層の含水率は、以下に示す分析方法に従って測定することができる。
ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ/質量分析法
装置:HP6890GC/HP5973MSD
オーブン:40℃(2min)、その後、10℃/minの速度で150℃まで昇温
カラム:DB−624(0.25mmid×30m)
注入口:230℃
検出器:SIM m/z=18
HS条件:190℃・30min
ポリシラザン層中の含水率は、上記の分析方法により得られる含水量から、ポリシラザン層の体積で除した値として定義され、第二工程により水分が取り除かれた状態においては、好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましい含水率は、0.01%以下(検出限界以下)である。
本発明においては、改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することが、シラノールに転化したポリシラザン層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
(ポリシラザン層の改質処理)
本発明における「改質処理」とは、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素への転化反応をいう。改質処理としては、ポリシラザン化合物の転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができる。ポリシラザン化合物の転化反応による酸化ケイ素膜又は酸化窒化ケイ素膜の形成には450℃以上の高温が必要であり、基材11がプラスチック基板である場合には、適応が難しい。したがって、ポリシラザン改質フィルムを作製するに際しては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。
(紫外線照射処理)
本発明において、より好ましい改質処理方法は、紫外線照射による処理である。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜又は酸化窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材11が加熱され、ガラス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのガラス化が促進され、また得られるポリシラザン改質層が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜(ポリシラザン層)の形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
紫外線照射による改質処理には、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することが可能である。
なお、本発明でいう紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)照射処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜350nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射されるポリシラザン層を担持している基材11がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材11としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材11表面での強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材11と紫外線照射ランプと間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行うことができる。
一般に、紫外線照射処理時の基材11の温度が150℃以上になると、基材11がプラスチックフィルム等の場合には、基材11が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材11の特性が損なわれることになる。しかしながら、基材11が、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムや、金属等の基板の場合には、より高温での改質処理が可能である。したがって、この紫外線照射時の基材11の温度としては、一般的な上限はなく、基材11の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマーランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線をポリシラザン層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてからポリシラザン層に当てることが望ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材11の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、ポリシラザン層を表面に有する基材(例、シリコンウェハー)を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、ポリシラザン層を表面に有する基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりガラス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材11やポリシラザン層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマー照射処理)
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマー照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光のエネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。
これに必要な真空紫外光源としては、希ガスエキシマーランプが好ましく用いられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマー分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマー光を発光する。
エキシマーランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマー発光を得るには、誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。誘電体バリア放電とは、両電極間に誘電体(エキシマーランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でもわかる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマー発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外には無電極電界放電でも可能である。
容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は、基本的には誘電体バリア放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリア放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾン等により損傷しやすい。
これを防ぐためにはランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素等の不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって、仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には、通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリア放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマーランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマー発光を行うためのガスを封入しているだけである。したがって、非常に安価な光源を提供できる。
二重円筒型ランプは、内外管の両端を接続して閉じる加工をしているため、細管ランプに比べ取扱いや輸送で破損しやすい。細管ランプの管の外径は6〜12mm程度で、余り太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリア放電でも無電極電界放電のいずれでも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であってもよいが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマーランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板等への照射を可能としている。
エキシマーランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長のエネルギーを照射するため、照射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を有する。このため、熱の影響を受けやすいとされるポリエチレンテレフタレート等のフレシキブルフィルム材料に適している。
改質処理条件としては、限定されるわけではないが、例えば、ポリシラザン層の層厚が50〜1000nmにおいては、真空紫外照度10〜200mJ/cm、照射距離0.1〜10mm、酸素濃度0〜5%、露点温度10〜−50℃、温度25〜200℃、処理時間0.1〜150secから選択できる。
≪基材≫
基材11としては、ガスバリアー性を有するガスバリアー層13を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、さらには前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、平滑層12等との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。基材11の厚さは5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、本発明のガスバリアーフィルム積層体1を、有機EL素子等の透明基板とする場合には、基材11は、透明であることが好ましい。基材11が透明であり、基材11上に形成する層も透明であることにより、透明なガスバリアーフィルム10とすることが可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材11は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる基材11は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材11を製造することができる。また、未延伸の基材11を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材11の流れ(縦軸)方向、又は基材11の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸の基材11を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材11の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る基材11には、平滑層12等を形成する前にコロナ処理を施してもよい。
さらに、本発明に係る基材11の表面には、平滑層12等との密着性の向上を目的としてアンカーコート層を形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1又は2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材11上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
≪平滑層≫
本発明においては、突起等が存在する基材11の粗面を平坦化するために平滑層12を設けても良い。このような平滑層12は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
平滑層12の形成に用いる感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種又は2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノホリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノホリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑層12の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層12の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用いて平滑層12を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−若しくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑層12の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。Rtが、10nmよりも小さい場合には、ポリシラザン含有液を塗布する段階で、ワイヤーバーやワイヤレスバー等を用いる塗布方式で、平滑層12表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれる場合がある。また、30nmよりも大きい場合には、ポリシラザン含有液を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
(平滑層への添加剤)
平滑層12の形成に用いる感光性樹脂の好ましい態様の一つは、感光性樹脂中に表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで、光重合反応性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組み合わせて用いることによって、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層12を形成しやすくなる。なお、このような効果をより得やすくする観点からは、さらに平均粒子径として0.001〜0.01μmのものを用いることがより好ましい。本発明に用いられる平滑層12中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが、ガスバリアー層13との密着性が向上する、フィルムを湾曲させたり加熱処理を行ったりした場合にクラックが生じるのを抑制する、ガスバリアーフィルム10の透明性や屈折率等の光学的物性に影響が及ぶことを抑制する等の観点から、好ましい。
本発明では、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
本発明において、平滑層12の厚さとしては、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。1μm以上にすることにより、平滑層12を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにしやすくなり、10μm以下にすることにより、平滑層12を有するフィルムの光学特性のバランスを調整しやすくなるとともに、平滑層12を透明高分子フィルム(基材11)の一方の面にのみ設けた場合におけるガスバリアーフィルム10のカールを抑えやすくすることができるようになる。
≪ブリードアウト防止層≫
本発明のガスバリアーフィルム10においては、ブリードアウト防止層を設けることができる。ブリードアウト防止層は、平滑層12を有するフィルムを加熱した際に、フィルム基材(基材11)中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層12を有する基材11の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層12と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例え、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種又は2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また、ブリードアウト防止層には、ハードコート剤及びマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー等の1種又は2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線又は電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤、及び必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、塗布液を基材11表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、又は走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
本発明におけるブリードアウト防止層の厚さとしては、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。1μm以上にすることにより、フィルムとしての耐熱性を十分なものにしやすくなり、10μm以下にすることにより、ブリードアウト防止層を有するフィルムの光学特性のバランスを調整しやすくなるとともに、ブリードアウト防止層を透明高分子フィルム(基材11)の一方の面に設けた場合におけるガスバリアーフィルム10のカールを抑えやすくすることができるようになる。
<接着層>
本発明のガスバリアーフィルム積層体1における接着層20は、ガスバリアーフィルム10同士を貼り合わせる役割を有するとともに、ガスバリアーフィルム積層体1の端面からの水蒸気の侵入を防止する役割を有する。
接着層20自体の水蒸気バリアー性が低いと、ガスバリアーフィルム積層体1の端面から水蒸気が侵入するおそれがある。そこで、本発明のガスバリアーフィルム積層体1における接着層20には、層間強度に優れていることのみならず、層自体の水蒸気バリアー性が求められる。
水蒸気バリアー性の観点から、接着層20を構成する接着剤の25℃、10Hz、歪0.1%での貯蔵弾性率は、5MPa以上であり、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上である。貯蔵弾性率の上限は特に限定されないが、層間強度等の観点から、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下である。
なお、貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、アイティ計測株式会社製、商品名:粘弾性スペクトロメーターDVA−200)等を用いて測定することができる。
接着層20を構成する接着剤としては、特定の貯蔵弾性率を有するものであれば特に限定されない。接着剤の種類は特に限定されず、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤等の任意の接着剤を用いることができる。本発明では、接着剤としては、特定の貯蔵弾性率を有するとともに、十分な耐候性を有し、長期間の屋外使用で接着強度が維持され、かつ硬化後の構造変化が少なく安定であること等の観点から、ポリウレタン系接着剤が好ましい。
また、接着層20を構成する接着剤としては、貯蔵弾性率を特定の範囲に制御する観点から、2液型の接着剤であることが好ましい。2液型の接着剤の場合、特定の貯蔵弾性率を有する接着剤は、主剤及び硬化剤の種類及び配合比を適宜選択して調製することができる。
特定の貯蔵弾性率を有する接着剤を調製するためには、接着剤塗布、硬化によって架橋が十分に進行し、かつ残存する未架橋の官能基が少ないことが好ましい。ポリウレタン系接着剤の主剤としては、塗膜形成性と硬化時の反応性のバランスを考慮し、分子量400〜20000のポリオールを好ましく使用でき、更に分子量600〜10000のポリオールをより好ましく使用することができる。
接着剤硬化時に架橋反応が十分に進行するためには、主剤のポリオールの水酸基と硬化剤のイソシアナート基とが互いに十分接近しなくてはならない。すなわち、主剤ポリオールのポリマー鎖間に硬化剤が浸透する必要がある。そのためには硬化剤の分子量はポリオールより小さい方が好ましく、硬化剤に含まれるジイソシアナート又はポリイソシアナートの分子量は300〜10000が好ましく、より好ましくは分子量1000〜5000である。
十分な架橋密度を得、かつ残存する官能基数を抑えるために、異なる分子量の主剤と硬化剤を用いるという考え方に基づいて、例えば、主剤として分子量の異なるポリオールを複数種混合して用いる方法も好ましく用いることができる。また、逆に、主剤のポリオールの分子量を、硬化剤ポリイソシアナートの分子量より小さくすることも可能である。
以上のような設計に基づいた接着剤の物性としては、(主剤の粘度/硬化剤の粘度)若しくは(硬化剤の粘度/主剤の粘度)が5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。また主剤の粘度は、100〜1500mPa・s(25℃)が好ましく、より好ましくは400〜1300mPa・s(25℃)である。硬化剤の粘度としては30〜3000mPa・s(25℃)を好ましく使用できる。
接着剤の主剤として具体的には、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールあるいはポリエステルポリオールを含む組成物等が挙げられるが、熱安定性、湿度安定性等の観点から、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール及びポリエステルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものがより好ましい。また、エステル基ひとつ当たりの分子量が120以上であるポリエステルポリオールも好ましく使用できる。
上記組成物のうち、本発明においては、特に、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリウレタンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましくは30質量%以上、より好ましくは30〜70質量%含有するものが使用できる。
他の成分は0〜30質量%加えることが好ましく、当該他の成分として密着性を向上させるためのアクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン等が好ましい。また、高耐寒性、耐加水分解性に優れたスチレン−ブタジエンゴム等を好ましく使用できる。
ポリカーボネートポリオールの組成物は、例えばメチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート等、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(NPG)、シクロヘキサンジオール等のジオールを含むものを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールの組成物は、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを挙げることができる。これらをアルカリ触媒又は酸触媒を触媒として開環重合を行うことでポリエーテルポリオールを得ることができる。開環重合の出発物質となる活性水素含有化合物としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールを用いることができる。
アクリルポリオールの組成物は、アクリル酸誘導体モノマーを単独、また他のモノマーと共重合させて得ることができる。アクリル酸モノマーとしては、例えばヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等を挙げることができる。好ましくは、例えばメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、脂環式構造を有するシクロヘキシルメタクリレート等のモノマーと共重合させたアクリルポリオールが挙げられる。更に、共重合させるモノマーとして、イソシアナートや無水カルボン酸等と反応して架橋するエポキシ基を側鎖に有する、例えば4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルのような機能性モノマーから任意に選び設計することができる。
ポリウレタンポリオールの組成物は、ジオールとジイソシアナートを、イソシアナート基に対する水酸基の比が1以上の割合でウレタン化反応させることにより得ることができる。ポリウレタンポリオールの組成物として、ジオール成分、ジイソシアナート成分を任意に選ぶことができる。
ジオール成分、ジイソシアナート成分は、ポリウレタンポリオールの流動性や溶剤への溶解性等を考慮して選択することができる。ジオール成分として好ましくは、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の1級水酸基を有するジオールが挙げられる。また、イソシアナート成分としては、脂肪族ジイソシアナート、脂環系ジイソシアナート、芳香族イソシアナートが挙げられる。
ポリエステルポリオールの組成物は、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)等のジカルボン酸化合物、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等のジオール、又はポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールを含むものが挙げられる。
ポリエステルポリオールを原料とする接着剤は基材との密着性が高いという点で好ましいが、エステル結合の加水分解による熱劣下を抑制する観点から、加水分解点となり得るエステル結合基数が少ないポリエステルポリオールを選択することが好ましい。例えばネオペンチルグリコール(NPG)等のアルキル鎖の長いグリコール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環構造をもつグリコールの組成物とすることが好ましい。
更に、例えばポリテトラメチレングリコール(PTMG)のように主鎖構造にポリエーテル構造を含む、加水分解ポリエステルポリオールを選択することが好ましい。このようなポリエステルポリオールとしては、エステル基1個当たりの分子量が、好ましくは50〜8000、より好ましくは100〜5000、更に好ましくは120〜3000である。
硬化剤としてはジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族系、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族系、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等の脂環系がいずれも挙げられる。
硬化後に高い耐熱性をもたせる硬化剤として、例えば芳香族系ジイソシアネートであるXDI、又は脂環系ジイソシアネートであるIPDI等が好ましい。更に、接着剤の黄変を防ぐためには脂環系ジイソシアネートであるIPDI等がより好ましい。
主剤がポリカーボネートポリオールを含む場合は、高い耐熱性、高い防湿性という点で優れているが、硬化時においても十分な架橋密度が得られる観点から、柔軟なメチレン鎖を有するHDIを硬化剤として組み合わせることが好ましい。
また、より熱的に安定な接着剤層を得るために、主剤にエポキシ系化合物を含んだものを用いることが好ましい。
接着剤の主剤と硬化剤との好ましい配合比(質量比)は、主剤/硬化剤=5〜25、より好ましくは6〜12であり、(−OH基/−NCO基)=0.05〜1.2、より好ましくは0.1〜1である。
本発明における接着剤には、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、接着剤中、通常0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤として、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、接着剤中、通常、0.01〜0.5質量%程度であり、0.05〜0.3質量%添加することが好ましい。
接着層20は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他のコート法、あるいは、印刷法等によって設けることができる。接着剤の塗布量としては、0.1〜10g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、接着層20の層厚は、接着性の向上、接着層20端面からの水蒸気侵入防止等の観点から、0.4〜55μmが好ましく、0.55〜10μmがより好ましく、3〜8μmが最も好ましい。
また、接着層20とポリシラザン改質層との層厚比(接着層の層厚/ポリシラザン改質層の層厚)の値は、ガスバリアー性の向上、ポリシラザン未改質部分の残存割合の低減、接着性の向上、接着層20端面からの水蒸気侵入防止等の観点から、7〜500が好ましい。
また、ガスバリアーフィルム10同士の接着強度(ラミネート強度)は、ガスバリアーフィルム10同士の間への水蒸気侵入防止等の観点から、450〜1500g/15mmがよく、その中でも600g/15mm以上が好ましく、700g/15mm以上がより好ましく、800g/15mm以上が最も好ましい。
<ガスバリアーフィルム積層体の製造方法>
本発明のガスバリアーフィルム積層体1は、複数枚のガスバリアーフィルム10を同時に作製するガスバリアーフィルム作製工程と、ガスバリアーフィルム作製工程で作製された複数枚のガスバリアーフィルム10同士の間に接着層20を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルム10を貼り合わせるガスバリアーフィルム積層工程と、を有する製造方法によって製造することが好ましい。
ここで、ガスバリアーフィルム積層工程における各ガスバリアーフィルム10の張力は、シワ防止、寸法変化防止等の観点から、3〜15kg/mが好ましく、5〜8kg/mがより好ましい。
<ガスバリアーフィルム積層体の製造装置>
図3は、本発明のガスバリアーフィルム積層体1の製造に好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。
本発明のガスバリアーフィルム積層体1の製造装置100は、複数枚のガスバリアーフィルム10を同時に作製するガスバリアーフィルム作製手段110と、ガスバリアーフィルム作製手段110により作製された複数枚のガスバリアーフィルム10同士の間に接着層20を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルム10を貼り合わせるガスバリアーフィルム積層手段120と、を備えている。
製造装置100は、図3に示すように、ガスバリアーフィルム積層手段120により作製されたガスバリアーフィルム積層体1を巻き取る巻取りローラー130を備えていることが好ましい。これにより、本発明のガスバリアーフィルム積層体1を、いわゆるロールtoロール方式で製造することができる。
なお、図3では、ガスバリアーフィルム10を2枚備えるガスバリアーフィルム積層体1を製造するための製造装置について図示したが、製造装置100の構成は、ガスバリアーフィルム積層体1が備えるガスバリアーフィルム10の枚数に応じて適宜任意に変更可能である。
図3に示す製造装置100が備えるガスバリアーフィルム作製手段110は、主に、基材11を送り出す送り出しローラー111a,111bと、送り出された基材11にガスバリアー層13等の各種層を形成する層形成部112a,112bと、層形成部112a,112bから出てきたガスバリアーフィルム10をガスバリアーフィルム積層手段120へと搬送する搬送ローラー113a,113bと、を備えて構成される。
ここで、層形成部112a,112bから出てくるガスバリアーフィルム10のうち少なくとも一方は、ガスバリアー層13としてポリシラザン改質層を有するポリシラザン改質フィルムであり、ポリシラザン改質層が他方のガスバリアーフィルム10に対向した状態で、層形成部112a又は層形成部112bから出てくるようになっている。
図3に示す製造装置100が備えるガスバリアーフィルム積層手段120は、主に、ガスバリアーフィルム作製手段110から出てきたガスバリアーフィルム10の一方(あるいは、両方であっても良い)に接着層20を構成する接着剤を塗布する接着剤塗布部121と、一方のガスバリアーフィルム10の接着剤が塗布された面を他方のガスバリアーフィルム10に押し付ける一対の接着ローラー122a,122bと、接着剤を硬化させて接着層20を形成するラミネート部123と、ラミネート部123から出てきたガスバリアーフィルム積層体1を巻取りローラー130へと搬送する搬送ローラー124と、を備えて構成される。
前述したように、フィルム積層工程における各ガスバリアーフィルム10の張力は、3〜15kg/mであることが好ましいが、この張力は、少なくとも、一対の接着ローラー122a,122bと、ラミネート部123と、を通過する際に付与される搬送方向にかかる力である。
また、ラミネート部123は、少なくとも接着剤を硬化させるための手段、例えばヒーター等を備えている。
なお、製造装置100に用いる送り出しローラー111a,111b、搬送ローラー113a,113b,124、接着ローラー122a,122bとしては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー130は、作製されたガスバリアーフィルム積層体1を巻き取ることが可能なものであれば、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
最初に評価方法について説明する。
〔水蒸気バリアー性の評価〕
作製したガスバリアーフィルム、ガスバリアーフィルム積層体の水蒸気透過度測定方法として、下記Ca法による測定を行った。
(水蒸気バリアー性評価用セルの作製)
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)を用い、ガスバリアーフィルム試料、ガスバリアーフィルム積層体試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9か所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、ガスバリアーフィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてガスバリアーフィルム試料、ガスバリアーフィルム積層体試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
以上により、作製したガスバリアーフィルム、ガスバリアーフィルム積層体の水蒸気透過度(透過水分量)を測定した。
(使用した装置及び材料)
蒸着装置:日本電子株式会社製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〔屈曲性:屈曲試験後の水蒸気透過度の評価〕
作製したガスバリアーフィルム、ガスバリアーフィルム積層体を、半径が10mmの曲率になるように、180度の角度で100回の屈曲を繰り返した後、上記と同様の方法で水蒸気透過度を測定し、屈曲処理前後での水蒸気透過度の変化より、下式に従って耐劣化度を測定し、下記の基準に従って屈曲耐性を評価した。
耐劣化度=(屈曲試験前の水蒸気透過度/屈曲試験後の水蒸気透過度)×100(%)
5:耐劣化度が、90%以上である
4:耐劣化度が、80%以上、90%未満である
3:耐劣化度が、60%以上、80%未満である
2:耐劣化度が、30%以上、60%未満である
1:耐劣化度が、30%未満である
〔外観の評価〕
作製したガスバリアーフィルム、ガスバリアーフィルム積層体を縦10cm、横10cmの正方形の試料にロールカッターを用いて断裁し、下記の基準に従って外観を評価した。
5:クラック及び膜剥がれなし
4:膜剥がれが1%未満、クラックなし
3:膜剥がれが1%以上5%未満、クラックなし
2:膜剥がれが5%以上10%未満、全面にクラックあり
1:膜剥がれが10%以上、全面にクラックあり
<実施例1>
≪ガスバリアーフィルムの作製≫
(基材)
基材として、両面に易接着加工された厚さ125μmのポリエステルフィルムである極低熱収PET Q83(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
(ブリードアウト防止層の形成)
基材の一方の面に、感光性樹脂であるUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR(登録商標) Z7535(JSR株式会社製)を、乾燥後の層厚が4.0μmになるように塗布した。
次いで、得られた塗膜を高圧水銀ランプで照射して硬化させることにより、ブリードアウト防止層を形成した。なお、照射は、空気雰囲気下、照射エネルギー量1.0J/cm、80℃で3分間行った。
(平滑層の形成)
基材の他方の面に、感光性樹脂であるUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR(登録商標) Z7535(JSR株式会社製)を、乾燥後の層厚が4.0μmになるように塗布した。
次いで、得られた塗膜を高圧水銀ランプで照射して硬化させることにより、平滑層を形成した。なお、照射は、空気雰囲気下、照射エネルギー量1.0J/cm、80℃で3分間行った。
このようにして得られた平滑層について、10点平均表面粗さ(Rz)及び中心線平均粗さ(Ra)を、JIS B 0601:2001で規定される方法に準拠して測定した。具体的には、AFM(原子間力顕微鏡)SPI3800N DFM(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、1回の測定範囲を80μm×80μmと設定し、測定箇所を変えて3回測定を行った。その結果、Rzは20nmであり、Raは1nmであった。
(ポリシラザン改質層の形成)
まず、ポリシラザン含有液を作製した。
具体的には、20質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液(アクアミカ(登録商標) NN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)と、1質量%のアミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)及び19質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液(アクアミカ(登録商標) NAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)と、を4:1の比率で混合した後、ジブチルエーテルで希釈することによって、ポリシラザン含有液を作製した。
次いで、ポリシラザン層を形成した。
具体的には、基材に形成された平滑層上に、作製したポリシラザン含有液を、スピンコーター(10s、3000rpm)を用いて乾燥後の層厚が250nmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥させることによりポリシラザン層を形成した。なお、乾燥は、水蒸気濃度300ppm程度の雰囲気下で行った。
次いで、ポリシラザン改質層を形成した。
具体的には、ポリシラザン層に、下記の条件にて真空プラズマ処理を行い、改質処理を行った。
[改質処理装置]
株式会社 エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長:172nm
[改質処理条件]
積算光量:3J/cm
ステージ温度:100℃
装置内の酸素濃度:50ppm
装置内の水蒸気濃度:45ppm
エキシマー照射時間:15秒、30秒、60秒、100秒
このようにして、ガスバリアー層としてポリシラザン改質層を有するガスバリアーフィルムを作製した。すなわち、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムA」〜「フィルムD」を作製した。
以下、エキシマーランプ照射時間を15秒として作製したガスバリアーフィルムを「フィルムA」、エキシマーランプ照射時間を30秒として作製したガスバリアーフィルムを「フィルムB」、エキシマーランプ照射時間を60秒として作製したガスバリアーフィルムを「フィルムC」、エキシマーランプ照射時間を100秒として作製したガスバリアーフィルムを「フィルムD」と称する。
(接着剤の作製)
接着層を構成する接着剤として、「接着剤塗液a」〜「接着剤塗液f」の6種類の接着剤を作製した。
「接着剤塗液a」
ポリカーボネートポリオール成分を含む主剤としてA1102(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)を用い、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアナート成分を含む硬化剤としてA3070(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)を用いた。
上記の主剤A1102と上記の硬化剤A3070とを質量比で16:1となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液a」を作製した。
「接着剤塗液b」
ポリエステルポリオール成分を含む主剤としてIS801(商品名、東洋インキ製造株式会社製、エステル基一つあたりの分子量は105、粘度1700mPa・s)を用い、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアナート成分と脂環系のイソホロンジイソシアナートを含む硬化剤としてCR001(商品名、東洋インキ製造株式会社製)を用いた。
上記の主剤IS801と上記の硬化剤CR001とを質量比で10:0.5となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液b」を作製した。
「接着剤塗液c」
上記の主剤IS801と上記の硬化剤CR001とを質量比で10:1となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液c」を作製した。
「接着剤塗液d」
ポリウレタンポリオール成分を含む主剤としてHD1013(商品名、ロックペイント株式会社製)を用い、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアナート成分を含む硬化剤としてH62(商品名、ロックペイント株式会社製)を使用した。
上記の主剤HD1013と上記の硬化剤H62とを質量比で10:1.5となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液d」を作製した。
「接着剤塗液e」
上記の主剤HD1013と上記の硬化剤H62とを質量比で10:0.5となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液e」を作製した。
「接着剤塗液f」
ポリエステルポリオール成分を含む主剤としてA1143(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)を用い、脂環系のイソホロンジイソシアナートと芳香族系のキシリレンジイソシアナートとを含む硬化剤としてタケネートA−50(商品名、三井化学株式会社製)を使用した。
上記の主剤A1143と上記の硬化剤タケネートA−50とを質量比で9:1となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して「接着剤塗液f」を作製した。
(ガスバリアーフィルムの積層)
一方のガスバリアーフィルム(「フィルムA」〜「フィルムD」のいずれか)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液a」〜「接着剤塗液f」のいずれか)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が5μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムA」〜「フィルムD」のいずれか)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、60℃で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.1〜15)を作製した。
≪性能評価≫
得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.1〜15)について以下の評価行った。その結果を表1に示す。
また、比較のため「フィルムA」〜「フィルムD」(試料No.16〜19)についても同様の評価を行った。その結果も表1に示す。
また、比較のため、ポリシラザン改質層上に接着層が形成された「フィルムD」(試料No.20)についても同様の評価を行った。その結果も表1に示す。
評価(1):即性能 水蒸気バリアー性の評価
上述した評価方法に従って、各試料(試料No.1〜20)の水蒸気バリアー性を評価した。
評価(2):即性能 屈曲性の評価
上述した評価方法に従って、各試料(試料No.1〜20)の屈曲性を評価した。
評価(3):長期安定性 水蒸気バリアー性の評価
各試料(試料No.1〜20)を85℃、85%RHの条件下で60日間保存し、その後に上述した評価方法に従って、当該各試料の水蒸気バリアー性を評価した。
評価(4):長期安定性 屈曲性の評価
各試料(試料No.1〜20)を85℃、85%RHの条件下で60日間保存し、その後に上述した評価方法に従って、当該各試料の屈曲性を評価した。
評価(5):長期安定性 外観の評価
各試料(試料No.1〜20)を85℃、85%RHの条件下で60日間保存し、その後に上述した評価方法に従って、当該各試料の外観を評価した。
Figure 2014237286
表1に示す結果から、接着層とポリシラザン改質層とが接するようにしてガスバリアーフィルムを積層することで、ガスバリアー性及び屈曲性が向上するとともに、長期安定性も向上することがわかった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムB」を作製した。
そして、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が0.4〜55μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、60℃で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.21〜31)を作製した。
また、実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が8〜1050nmである「フィルムB」を作製した。
そして、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が5μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、60℃で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.32〜42)を作製した。
≪性能評価≫
得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.21〜42)について実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表2に示す。なお、表2の「層厚比」とは接着層とポリシラザン改質層との層厚比(接着層の層厚/ポリシラザン改質層の層厚)のことである。
Figure 2014237286
表2に示す結果から、層厚比の値が少なくとも1.6〜625の範囲内にある場合に、ガスバリアー性及び屈曲性の向上、長期安定性の向上が可能であることがわかった。さらに、層厚比1.6〜625の中でも、7〜455がより好ましいことがわかった。
また、表2に示す試料No.21〜31の結果から、接着層の層厚が少なくとも0.4〜55μmの範囲内にある場合に、ガスバリアー性及び屈曲性の向上、長期安定性の向上が可能であることがわかった。さらに、接着層の層厚0.4〜55μmの中でも、0.55〜10μmがより好ましく、3〜8μmが最も好ましいことがわかった。
また、表2に示す試料No.32〜42の結果から、ポリシラザン改質層の層厚が少なくとも8〜1005nmの範囲内にある場合に、ガスバリアー性及び屈曲性の向上、長期安定性の向上が可能であることがわかった。さらに、ポリシラザン改質層の層厚8〜1005nmの中でも、40〜750nmがより好ましいことがわかった。
<実施例3>
実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムC」を作製した。
そして、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムC」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が5μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムC」)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、所定の養生温度で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.43〜51)を作製した。この際、試料間でラミネート強度に差が生じるよう、養生温度を異ならせた。
≪性能評価≫
得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.43〜51)について実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表3に示す。
また、得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.43〜51)のラミネート強度を測定した。その結果も表3に示す。なお、ラミネート強度は、JISK−6854に指定されている方法を用い、ガスバリアーフィルム積層体のラミネート強度をT型剥離試験により100mm/minの剥離速度で測定した。
Figure 2014237286
表3に示す結果から、ラミネート強度が少なくとも450〜1000g/15mmの範囲内にある場合に、ガスバリアー性及び屈曲性の向上、長期安定性の向上が可能であることがわかった。さらに、ラミネート強度450〜1000g/15mmの中でも、600g/15mm以上が好ましく、700g/15mm以上がより好ましく、800g/15mm以上が最も好ましいことがわかった。
<実施例4>
基材として厚さ125μm、幅700mm、長さ1500mのロール状の基材を用いた点、その基材を2m/秒で搬送しながら乾燥後の膜厚が250nmとなるようにポリシラザン含有液を塗布し80℃で乾燥させた点を除いては、実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムC」を作製した。
次いで、搬送しながらガスバリアーフィルム積層工程を行った。具体的には、各ガスバリアーフィルムの張力を3〜12kg/mに設定して、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムC」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が5μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムC」)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.52〜57)を作製した。
≪性能評価≫
得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.52〜57)について実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2014237286
表4に示す結果から、ガスバリアーフィルム積層工程における各ガスバリアーフィルムの張力が少なくとも3〜12kg/mの範囲内にある場合に、ガスバリアー性及び屈曲性の向上、長期安定性の向上が可能であることがわかった。さらに、張力3〜12kg/mの中でも、5〜8kg/mが好ましいことがわかった。
<実施例5>
実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムB」を作製した。
そして、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が6μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層側とドライラミネートで貼り合わせて、60℃で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.58)を作製した。
また、実施例1と同様の方法で、ガスバリアーフィルムとして、ポリシラザン改質層の層厚が250nmである「フィルムB」を作製した。
そして、一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)のポリシラザン改質層上に、接着剤(「接着剤塗液c」)を当該接着剤により構成される接着層の層厚が6μmとなるように塗布乾燥し、もう一方のガスバリアーフィルム(「フィルムB」)の基材側とドライラミネートで貼り合わせて、60℃で3日間養生し、ガスバリアーフィルム積層体(試料No.59)を作製した。
すなわち、試料No.58のガスバリアーフィルム積層体は、図1に示す構成の積層体であり、試料No.59のガスバリアーフィルム積層体は、図2に示す構成の積層体である。
≪性能評価≫
得られたガスバリアーフィルム積層体(試料No.58、59)について実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2014237286
表5に示す結果から、試料No.58のガスバリアー積層体(すなわち、図1に示す構成の積層体であって、接着層を挟んでポリシラザン改質層同士が対向するように配置された2枚のポリシラザン改質フィルムを備える積層体)も、試料No.59のガスバリアー積層体(すなわち、図2に示す構成の積層体であって、接着層を挟んでポリシラザン改質層と基材とが対向するように配置された2枚のポリシラザン改質フィルムを備える積層体)も、同等の性能を有し、ガスバリアー性が高く、ガスバリアー性が劣化しにくいことがわかった。
1 ガスバリアーフィルム積層体
10 ガスバリアーフィルム
20 接着層
100 ガスバリアーフィルム積層体の製造装置
110 ガスバリアーフィルム作製手段
120 ガスバリアーフィルム積層手段

Claims (7)

  1. 複数枚のガスバリアーフィルムが接着層を介して積層されてなるガスバリアーフィルム積層体であって、
    前記複数枚のガスバリアーフィルムのうち少なくとも1枚が、基材の少なくとも一方の面に、ポリシラザン含有液を塗布して形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射する改質処理を施してなるポリシラザン改質層を備えたポリシラザン改質フィルムであり、
    前記接着層と前記ポリシラザン改質層とが接する構造を少なくとも有することを特徴とするガスバリアーフィルム積層体。
  2. 前記接着層と前記ポリシラザン改質層との層厚比(接着層の層厚/ポリシラザン改質層の層厚)の値が、7〜500の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルム積層体。
  3. 前記接着層を挟んで前記ポリシラザン改質層同士が対向するように配置された2枚のポリシラザン改質フィルムを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアーフィルム積層体。
  4. 前記接着層と前記ポリシラザン改質層とのラミネート強度が、450〜1500g/15mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造方法であって、
    前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製工程と、
    前記ガスバリアーフィルム作製工程で作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層工程と、
    を有することを特徴とするガスバリアーフィルム積層体の製造方法。
  6. 前記ガスバリアーフィルム積層工程における各ガスバリアーフィルムの張力が、3〜15kg/mの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のガスバリアーフィルム積層体の製造方法。
  7. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム積層体を製造するガスバリアーフィルム積層体の製造装置であって、
    前記複数枚のガスバリアーフィルムを同時に作製するガスバリアーフィルム作製手段と、
    前記ガスバリアーフィルム作製手段により作製された複数枚のガスバリアーフィルム同士の間に前記接着層を構成する接着剤を塗布して、当該複数枚のガスバリアーフィルムを貼り合わせるガスバリアーフィルム積層手段と、
    を備えることを特徴とするガスバリアーフィルム積層体の製造装置。
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