JPWO2013002406A1 - 耐候性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
耐候性フィルムとしては、フィルム状の樹脂(PET)にハードコート層を積層し、当該ハードコート層に紫外線吸収剤を含有させたものが開発されている。
さらには、紫外線により基材とハードコート層の界面が劣化し、ハードコート層と基材の密着性が悪くなる問題がある。また、紫外線の影響により基材であるPETが黄変してしまう問題がある。
そこで本発明は、硬化不良を回避でき、ブリードアウトが抑制され、なおかつ基材との密着性が良好で黄変が低減され、耐候性を向上させた、多層構造の耐候性積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明の構成は、耐候性積層フィルムにおいて、透明なフィルム状の基材と;前記基材に積層された、紫外線吸収剤が添加された紫外線吸収樹脂層と;前記紫外線吸収樹脂層に積層された第1の硬化樹脂層とを備え;前記第1の硬化樹脂層は、1.0〜10μmの膜厚を有し;前記紫外線吸収樹脂層は、0.5〜5μmの膜厚を有し;前記紫外線吸収樹脂層の吸収波長は、200〜500nmである;というものである。
すなわち、前記紫外線吸収樹脂層と前記第1の硬化樹脂層との組み合わせにより、第1の硬化樹脂層の硬化不良を回避でき、紫外線吸収樹脂層に生ずるブリードアウトが抑制され、基材との密着性が良好な、耐候性を向上させた耐候性積層フィルムを得ることができた。
また、紫外線吸収剤の量を増やすことにより、紫外線吸収能力が上がり基材と基材の上に積層された層との界面の劣化を抑えることが可能となり、密着性が保たれる。さらに、基材への紫外線の暴露量が減少し、結果として基材の黄変を抑えることができ、耐候性を向上させることができる。
また、上記膜厚により、紫外線吸収樹脂層および第1の硬化樹脂層が薄すぎて硬度不足になるということがなく、かつ耐候性積層フィルム全体の膜厚が厚くなりすぎることがない。さらに、紫外線吸収樹脂層の吸収波長が200〜500nmであり、耐候性積層フィルムを備えた物品を、特に紫外線から効果的に保護することができる。
ここで、「紫外線硬化性樹脂を含む」とは、実質的に紫外線硬化性樹脂からなる(consisting essentially of〜)の意味であり、紫外線硬化性樹脂と、第3の態様に係る耐候性積層フィルムの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものとに限定することを意図する。さらに具体的には、第1の硬化樹脂層Aおよび/または第2の硬化樹脂層Dは、この層が保護層として十分に機能する限りにおいて、紫外線硬化性樹脂以外のものを含んでいてもよい。
ここで、「熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂を含む」とは、実質的に当該樹脂からなる(consisting essentially of〜)の意味であり、当該樹脂と、第4の態様に係る耐候性積層フィルムの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものとに限定することを意図する。さらに具体的には、紫外線吸収樹脂層Bは、当該樹脂が層として十分に機能する限りにおいて、当該樹脂以外のものを含んでいてもよい。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る耐候性積層フィルム10について説明する。なお、図1は多層に構成された耐候性積層フィルム10の層構成を説明するものであり、各層の厚みは誇張されている。耐候性積層フィルム10は、基材としてのフィルム状の基材C、紫外線吸収樹脂層B、第1の硬化樹脂層A(ハードコート層)、さらに基材Cの紫外線吸収樹脂層Bが積層された側とは反対側に第2の硬化樹脂層Dを備える。
基材Cは、耐候性積層フィルム10製造時の支持体として機能する。基材Cには、フィルム状の高分子樹脂として各種のプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標):日本ゼオン製、アートン(登録商標):JSR製、アペル(登録商標):三井化学製、トパス(登録商標):ポリプラスチックス製などの環状ポリオレフィン系樹脂等が好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレートは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等、およびフィルム表面の平滑性やハンドリング性に優れているためより好ましい。ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、燃焼性に優れているためより好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂は、高透明性、低複屈折率などの優れた光学特性、および高い耐熱性、低吸水性に優れているためより好ましい。価格・入手の容易さをも考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
紫外線吸収樹脂層Bは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂等)の少なくとも1種類の樹脂で形成され、当該樹脂に紫外線吸収剤を添加した層である。紫外線吸収樹脂層Bを備えた耐候性積層フィルム10により、物品が紫外線に曝され劣化するのを防ぐ。
なお、本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種(active species)を発生させることのできるエネルギー線をいう。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線などのエネルギー線が挙げられる。
前記不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物とフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、前記不飽和ポリエステルと同様である。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バーノックD−750、クリスボンNK(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名:住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名:三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名:三菱化学(株)製)などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
フェノール、クレゾール、メチル−t−ブチルフェノール等のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類との縮合により得られたトリチル骨格含有ポリフェノール類のポリグリシジルエーテル;
トリチル骨格含有ポリフェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物であるトリメチル骨格含有ポリフェノール系ノボラック類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類とキシリレンジクロリドや(ヒドロキシメチル)ベンゼン等類との反応生成物であるポリアラキルフェノール樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類、またはヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ジシクロペンタジエンやリモネン等の不飽和脂環式炭化水素類との反応生成物のグリシジルエーテルである脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂型エポキシ樹脂またはポリナフトール樹脂型エポキシ樹脂;
脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂類またはポリナフトール樹脂類とホルムアルデヒド類との反応生成物である脂環式水素含有ポリフェノールノボラック樹脂類またはポリナフトールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多価フェノールのグリシジルエーテル化合物類;
フロログリシン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン等を基本骨格とする三価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル;
カリックスアレーン等の環状フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物等;
p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノメタクレゾール、6−アミノメタクレゾール、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N−ジグリシジルアニリン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;
p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;
5,5−ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ化合物;
2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;
ポリブタジエン等の不飽和炭化水素化合物中の二重結合を酸化して得られる脂肪族エポキシ樹脂等が含まれる。
例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,2:8,9ジエポキシリモネン(商品名:CEL3000、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(商品名:エポリードGT301、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(商品名:エポリードGT401、ダイセル化学株式会社)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(商品名:EHPE3150、ダイセル化学株式会社)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物(商品名:EHPE3150CE、ダイセル化学株式会社)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA400、ダイセル化学株式会社)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(商品名:サイクロマーM100、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化ポリブタジエン(商品名:エポリードPB3600、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化熱可塑性エラストマー(商品名:エポフレンド、ダイセル化学株式会社)などに代表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
上記ポリグリシジルエーテルの具体例には、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテルなどが含まれる。
また上記ポリグリシジルエステルの具体例には、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに、1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが含まれる。
硬化反応開始剤に制限はなく、活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物であればよい。硬化反応開始剤の例には、カルボン酸、アミン、酸無水物化合物や酸発生剤などが含まれ、好ましくはルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である。
[A]m+[B]m−
[(α)aQ]m+
αは炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。
QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。
また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
[LXb]m−
Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。
また、陰イオン[B]m−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
上記一般式で示される陰イオン[LXb]m−の具体例には、テトラフルオロボレート(BF4)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)などが含まれる。
[LXb−1(OH)]m−
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩
鉄アレーン錯体の例には、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェートなどが含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウムなどが含まれる。
硬化反応開始剤(好ましくは酸発生剤)の含有量は、エポキシ樹脂が含有するエポキシ基10〜300モルに対して、1モルであることが好ましい。
一例として、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線を照射させて用いる場合を説明する。活性エネルギー線硬化性樹脂は、光重合開始剤の存在下で紫外線を照射して重合させることにより硬化するものが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、金属塩カチオン光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜在性スルホン酸、酸化ホスフィンなどが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、1〜5重量部とすることが好ましい。
なお、硬化性樹脂は、塗布液として用いることから、硬化前が液状であることが好ましい。
積層は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。さらに、ウェットコーティング法を用いることにより、毎分数十メートルのライン速度(例えば約20m/分)で積層できるため、大量に製造でき、生産効率を上げることができる。
多層式ダイコーターを用いることで、より生産効率をあげることができる。具体的には、バキューム式多層ダイコーターを用いて、紫外線吸収樹脂層と第1の硬化樹脂層を基材上に同時に塗布し、熱、紫外線等のエネルギーを照射することで、1回の塗工工程で、紫外線吸収樹脂層と硬化樹脂層を積層したフィルムを生産できる。多層式ダイコーターを用いると、一回の塗工工程で複数層を積層することができるため、生産効率を上げることができる。また、同時に塗布するため、紫外線吸収樹脂層と硬化樹脂層が界面で混じり合い、両層の密着を向上することができる。
第1の硬化樹脂層Aは、紫外線吸収樹脂層Bに積層される層であり、1層以上が積層される層であって、耐候性積層フィルム10の最表面に配置され、表面保護層として機能する。第1の硬化樹脂層Aは、紫外線吸収樹脂層Bで説明した活性エネルギー線硬化性樹脂を含んで構成される。
積層には、塗布液を均一にコーティングするウェットコーティング法を用いることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させるための方法としては、例えばUV照射による硬化法では、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200〜400nmの波長のUVを層に短時間(数秒〜数十秒の範囲内)照射すればよい。また、電子線照射による硬化法では、300keV以下の自己遮蔽型の低エネルギー電子加速器から低エネルギー電子線を層に照射すればよい。
高屈折率特性を付与された硬化樹脂層上にITOや銀ナノワイヤーに代表される透明電極材料を塗布し、エッチングによりパターニングすることによって、静電容量方式のタッチパネルに組み込まれる透明電極フィルムに使用することができる。高屈折率特性を付与された硬化樹脂層を用いることで、ITOや銀ナノワイヤーなど透明電極材料の導電パターンを見えにくくすることができる。
また、高屈折率特性を付与された硬化樹脂層に前記低屈折率特性を有する層を積層することにより、反射防止特性を有する第1の硬化樹脂層を得ることができる。
なお、粒子径(メジアン径)の測定は、堀場製作所製レーザー回折散乱式粒度分布測定装置LA−950V2を用いて測定した。すなわち、フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法にて測定を行い、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。測定は湿式法、純水中に測定試料少量(耳かき一杯程度)を加えた後、超音波バス中で3分間処理し、試料が分散した溶液を用いた。測定時のスラリーの濃度はレーザーの透過率が80%になるように調製した。
シリコーン化合物としては、BYK−UV3500、BYK−UV−3570(いずれもビックケミー社製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(何れもデグサ社製)、X−22−2445、X−22−2455、X−22−2457、X−22−2458、X−22−2459、X−22−1602、X−22−1603、X−22−1615、X−22−1616、X−22−1618、X−22−1619、X−22−2404、X−22−2474、X−22−174DX、X−22−8201、X−22−2426、X−22−164A、X−22−164C(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
フッ素化合物としては、ダイキン工業(株)製のオプツールDAC、オプツールDAC−HP、R−1110、R−1210、R−1240、R−1620、R−1820、R−2020、R−5210、R−5410、R−5610、R−5810、R−7210、R−7310、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K、メガファックRS−76−E、メガファックRS−76−NS、メガファックRS−77、メガファックRS−903−3、メガファックRS−914−2、メガファックRS−761−3等を挙げることができる。
第2の硬化樹脂層Dは、基材Cの紫外線吸収樹脂層B側とは反対の側に積層される層であり、デコレーション、ITOのスパッタ等、印刷可能層として機能する。第2の硬化樹脂層Dは、紫外線吸収樹脂層Bで説明した活性エネルギー線硬化性樹脂を含んで構成される。なお、第2の硬化樹脂層Dは、基材Cの下に、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布し、得られた塗膜を硬化させることで形成される。
なお、第2の硬化樹脂層Dの表面自由エネルギーは、2種類以上のアクリル系化合物をブレンドすることにより調整してもよい。このようにすると、所望の数値の表面自由エネルギーをより容易に得ることができる。また、第2の硬化樹脂層Dに界面活性剤等を含有させることにより、表面自由エネルギーを調整してもよい。
高屈折率特性を付与された硬化樹脂層上にITOや銀ナノワイヤーに代表される透明電極材料を塗布し、エッチングによりパターニングすることによって、静電容量方式のタッチパネルに組み込まれる透明電極フィルムに使用することができる。高屈折率特性を付与された硬化樹脂層を用いることで、ITOや銀ナノワイヤーなど透明電極材料の導電パターンを見えにくくすることができる。
また、高屈折率特性を付与された硬化樹脂層に前記低屈折率特性を有する層を積層することにより、反射防止特性を有する第1の硬化樹脂層を得ることができる。
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る耐候性積層フィルムの製造方法の一例を説明する。しかし、本発明の耐候性積層フィルムの製造方法は、これに限定されるものではない。なお、紫外線吸収樹脂層Bに活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合を例として説明する。まず、基材Cの一方の面に紫外線吸収樹脂層Bの塗布液をウェットコーティング法により塗布し、加熱・乾燥する(S01)。次に、紫外線吸収樹脂層B上に第1の硬化樹脂層Aの塗布液をウェットコーティング法により塗布し、加熱・乾燥する(S02)。次に、第1の硬化樹脂層Aに活性エネルギー線を照射して、第1の硬化樹脂層Aを硬化させる(S03)。第1の硬化樹脂層Aが硬化する際、同時に紫外線吸収樹脂層Bも硬化する。さらに、基材Cの裏側(紫外線吸収樹脂層B/第1の硬化樹脂層Aの反対側)に第2の硬化樹脂層Dの塗布液を塗布する(S04)。次に、第2の硬化樹脂層Dに活性エネルギー線を照射して、第2の硬化樹脂層Dを硬化させる(S05)。塗布(積層)は、ウェットコーティング法により行われるため、毎分数十メートルのライン速度(例えば約20m/分)で積層でき、生産効率を上げることができる。工程S01では、加熱・乾燥により、紫外線吸収樹脂層Bをある程度固めることができ、工程S02での塗布の際に、塗布液の混合を避けることができる。なお、S02、S03の工程は、S04、S05の工程の後に行ってもよい。
また、紫外線吸収樹脂層Bが熱硬化性樹脂を含有する場合は、工程S01での加熱・乾燥により、紫外線吸収樹脂層Bが硬化する。紫外線吸収樹脂層Bが熱可塑性樹脂を含有する場合は、工程S01での加熱・乾燥により、紫外線吸収樹脂層Bが製膜される。
また、耐候性積層フィルムの製造方法では、紫外線吸収剤を含有した層(紫外線吸収樹脂層B)を別に設けているので、最上位に積層された層(第1の硬化樹脂層A)の活性エネルギー線硬化に硬化不良が生じることがない。
<コーティング剤aの調製>
アクリレート(商品名:ユニディック17−824−9、DIC(株)製、40g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、60g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤aとした。
<コーティング剤bの調製>
紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASF社製0.7g)とアクリル系ポリマー溶液(重量平均分子量50万(カタログ値)のポリメチルメタクリレート溶液、商品名:MA830−M50、(株)三羽研究所製、52.8g)、および、メチルエチルケトン(MEK、23.2g)、トルエン(23.2g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤bとした。
<コーティング剤dの調製>
アクリレート(商品名:ユニディック17−824−9、DIC(株)製、20g)、多官能アクリレート(商品名:A−GLY−9E、新中村化学(株)製、15g)、MIBK(65g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤dとした。
<耐候性積層フィルム11の作成>
コーティング剤aで第1の硬化樹脂層Aを、コーティング剤bで紫外線吸収樹脂層Bを、コーティング剤dで第2の硬化樹脂層Dを形成し、耐候性積層フィルム11を作成した。以下に、層A、B、Dの形成方法を示す。
<紫外線吸収樹脂層Bの形成>
基材CとしてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、188μmであった。コーティング剤bを、乾燥膜厚が2μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、130℃で30秒間乾燥させた後、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む紫外線吸収樹脂層Bを形成した。すなわち、紫外線吸収樹脂層B/基材Cとした。
<第1の硬化樹脂層Aの形成>
形成した紫外線吸収樹脂層Bの片面に、コーティング剤aを、乾燥膜厚が5μmになるようにバーコーターで塗布し、130℃で30秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、第1の硬化樹脂層Aを形成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層B/基材Cとした。
<第2の硬化樹脂層Dの形成>
コーティング剤dを、PETフィルムの第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層Bとは反対側の面に、乾燥膜厚が5μmになるように、バーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、第2の硬化樹脂層Cを形成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層B/基材C/第2の硬化樹脂層Dの耐候性積層フィルム11を作成した。なお、第2の硬化樹脂層Dの表面自由エネルギーは、接触角計(協和界面化学社(株)製 Drop master)を用いて20℃における水およびジヨードメタンの接触角を測定し、算出した。その結果、表面自由エネルギーは、45mN/mであった。
<コーティング剤b−1の調製>
紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASF社製、0.3g)、エポキシ樹脂(商品名:セロキサイド3150CE、ダイセル工業(株)製、26.7g)、硬化剤としてサンエイドSI−60(三新化学工業株式会社製、0.3g)、および、メチルエチルケトン(MEK、35g)、トルエン(35g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤b−1とした。
<耐候性積層フィルム12の作成>
実施例1に記載のコーティング剤aで第1の硬化樹脂層Aを、コーティング剤b−1で紫外線吸収樹脂層B−1を、実施例1に記載のコーティング剤dで第2の硬化樹脂層Dを形成し、耐候性積層フィルム12を作成した。以下に、層A、B−1、Dの形成方法を示す。
<紫外線吸収樹脂層B−1の形成>
基材CとしてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、188μmであった。コーティング剤b−1を、乾燥膜厚が2μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、150℃で30秒間乾燥させた後、熱硬化性樹脂を含む紫外線吸収樹脂層B−1を形成した。すなわち、紫外線吸収樹脂層B−1/基材Cとした。
<第1の硬化樹脂層Aの形成>
形成した紫外線吸収樹脂層B−1の片面に、コーティング剤aを、乾燥膜厚が5μmになるようにバーコーターで塗布し、130℃で30秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、第1の硬化樹脂層Aを形成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層B−1/基材Cとした。
<第2の硬化樹脂層Dの形成>
コーティング剤dを、PETフィルムの第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層B−1とは反対側の面に、乾燥膜厚が5μmになるように、バーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、第2の硬化樹脂層Cを形成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/紫外線吸収樹脂層B−1/基材C/第2の硬化樹脂層Dの耐候性積層フィルム12を作成した。なお、第2の硬化樹脂層Dの表面自由エネルギーは、接触角計(協和界面化学社(株)製 Drop master)を用いて20℃における水およびジヨードメタンの接触角を測定し、算出した。その結果、表面自由エネルギーは、45mN/mであった。
<コーティング剤eの調製>
コーティング剤bの製造方法において紫外線吸収剤を添加しないこと以外は同様の操作を行いコーティング剤eを調製した。すなわち、アクリル系ポリマー溶液(商品名:MA830−M50、(株)三羽研究所製、52.8g)、およびMEK(23.2g)、トルエン(23.2g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合し透明な溶液になったのを確認後、コーティング剤eとした。
<積層フィルム21の作成>
耐候性積層フィルム11の作成においてコーティング剤bの代わりにコーティング剤eを用いたこと以外は同様の方法を用いて積層フィルム21を作成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/樹脂層E/基材C/第2の硬化樹脂層Dの積層フィルム21を作成した。
<コーティング剤fの調製>
アクリレート(商品名:ユニディック17−824−9、DIC(株)製、40.0g)、紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASF製4.4g)MIBK(69.3g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤fとした。
<積層フィルム22の作成>
コーティング剤fで硬化樹脂層Fを、コーティング剤dで第2の硬化樹脂層Dを形成し、積層フィルム22を作成した。以下に、層F、Dの形成方法を示す。
<紫外線吸収剤添加硬化樹脂層Fの作成>
基材CとしてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、188μmであった。コーティング剤fを、乾燥膜厚が5μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、硬化樹脂層Fを形成した。すなわち、紫外線吸収剤添加硬化樹脂層F/基材Cとした。
<硬化樹脂層Dの作成>
コーティング剤dを、基材Cの硬化樹脂層F側とは反対側に、乾燥膜厚が5μmになるように、バーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光照射条件で塗膜を光硬化させ、印刷層としての第2の硬化樹脂層Dを形成した。すなわち、硬化樹脂層F/基材C/第2の硬化樹脂層Dの積層フィルム22を作成した。
<積層フィルム23の作成>
積層フィルム21の作成において耐UV処理されたPET基材(東洋紡績(株)製、厚さ100μm)を用いたこと以外は同様の方法を用いて積層フィルム23を作成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/樹脂層E/耐UVPET基材/第2の硬化樹脂層Dの積層フィルム23を作成した。
<コーティング剤gの調製>
コーティング剤b−1の製造方法において紫外線吸収剤を添加しないこと以外は同様の操作を行いコーティング剤gを調製した。すなわち、エポキシ樹脂(商品名:セロキサイド3150CE、ダイセル工業(株)製、27.7g)と硬化剤としてサンエイドSI−60(三新化学工業株式会社製、0.3g)および、メチルエチルケトン(MEK、35g)、トルエン(35g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。透明な溶液になったのを確認し、コーティング剤gとした。
<積層フィルム24の作成>
耐候性積層フィルム12の作成においてコーティング剤b−1の代わりにコーティング剤gを用いたこと以外は同様の方法を用いて積層フィルム24を作成した。すなわち、第1の硬化樹脂層A/樹脂層G/基材C/第2の硬化樹脂層Dの積層フィルム24を作成した。
以下に示す条件にて、耐候性積層フィルム11、耐候性積層フィルム12、積層フィルム21、積層フィルム22、積層フィルム23、および積層フィルム24について耐候性試験を行った。
○1サイクル(8hr):UV照射(4hr)+暗黒(4hr)
・UV照射:UV−A340nm、0.63W/m2/nm、60℃、4hr
・暗黒:耐湿 50℃、4hr
・サイクル回数:12回
[フィルムの評価]
図3に、実施例1〜2、比較例1〜4のフィルムの層構成を示す。
実施例1〜2、比較例1〜4のフィルムの密着性試験、色彩、全光線透過率、ヘイズ、グロスを測定した。紫外線吸収剤を添加した系の耐候性積層フィルム11(実施例1)の結果を表1に示す。未添加の系の積層フィルム21(比較例1)の結果を表2に示す。さらに、ハードコート層に紫外線吸収剤を添加した耐候性を有する積層フィルム22(比較例2)の結果を表3に示す。耐UVPETを使用した耐候性を有する積層フィルム23(比較例3)の結果を表4に示す。紫外線吸収剤を添加した系の耐候性積層フィルム12(実施例2)の結果を表5に示す。未添加の系の積層フィルム24(比較例4)の結果を表6に示す。
B、B−1 紫外線吸収樹脂層
C 基材
D 第2の硬化樹脂層、ハードコート層(印刷可能層)
E 樹脂層
F 硬化樹脂層
G 樹脂層
a、b、b−1、d、e、f、g コーティング液
10、11、12 耐候性積層フィルム
21、22、23、24 積層フィルム
Claims (5)
- 透明なフィルム状の基材と;
前記基材に積層された、紫外線吸収剤が添加された紫外線吸収樹脂層と;
前記紫外線吸収樹脂層に積層された第1の硬化樹脂層とを備え;
前記第1の硬化樹脂層は、1.0〜10μmの膜厚を有し;
前記紫外線吸収樹脂層は、0.5〜5μmの膜厚を有し;
前記紫外線吸収樹脂層の吸収波長は、200〜500nmである;
耐候性積層フィルム。 - 前記基材の、前記紫外線吸収樹脂層とは反対の側に積層された第2の硬化樹脂層を備え;
前記第2の硬化樹脂層は、30〜50mN/mの表面自由エネルギーを有する、
請求項1に記載の耐候性積層フィルム。 - 前記第1および/または第2の硬化樹脂層は、紫外線硬化性樹脂を含む、
請求項1または請求項2に記載の耐候性積層フィルム。 - 前記紫外線吸収樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂を含み、
当該樹脂の重量平均分子量は、1000〜100万である、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の耐候性積層フィルム。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の耐候性積層フィルムと;
前記耐候性積層フィルムを画面上に設置した画像パネルを備えた;
画像表示装置。
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