JPWO2007102528A1 - 性能安定性に優れた中空糸膜および血液浄化器および中空糸膜の製造方法 - Google Patents

性能安定性に優れた中空糸膜および血液浄化器および中空糸膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する血液浄化器であって、治療における性能が患者の状態によって変動しないことを特徴とする血液浄化器を提供する。【解決手段】本発明は、平均膜厚が10μm以上50μm以下、平均細孔半径が150Å以上300Å以下である中空糸膜であって、37℃における純水の透水性が150mL/m2/hr/mmHg以上1500mL/m2/hr/mmHg以下、ミオグロビン水溶液の総括物質移動係数(Komyo)とβ2-ミクログロブリンの血漿溶液の総括物質移動係数(Koβ2)の比(Koβ2/Komyo)が0.7以上1.0以下であることを特徴とする性能安定性に優れた中空糸膜である。【選択図】なし

Description

本発明は高透水性能を有し、性能安定性に優れた中空糸膜および血液浄化器に関する。
腎不全治療などにおける血液浄化法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的で、天然素材であるセルロース、またその誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、合成高分子としてはポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの高分子を用いた透析膜や限外濾過膜を分離材として用いた血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器などの血液浄化器が広く使用されている。特に中空糸型の膜を分離材として用いた血液浄化器は体外循環にかかわる循環血液量の低減、血中の物質除去効率の高さ、さらに血液浄化器組立ての生産性などの利点から血液浄化分野での重要度が高い。
中空糸膜を用いた血液浄化器は、通常中空糸膜中空部に血液を流し、外側部に透析液を向流に流し、血液から透析液への拡散に基づく物質移動により尿素、クレアチニンなどの低分子量物質を血中から除くことを主眼としている。さらに、長期透析患者の増加に伴い、透析合併症が問題となり、近年では透析による除去対象物質は尿素、クレアチニンなどの低分子量物質のみでなく、分子量数千の中分子量から分子量1〜2万の高分子量の物質まで拡大し、これらの物質も除去できることが血液浄化膜に要求されている。特に分子量11700のβ2ミクログロブリンは手根管症候群の原因物質であることがわかっており除去ターゲットとなっている。このような高分子量物質除去の治療に用いられる膜はハイパフォーマンス膜と呼ばれ、従来の透析膜より膜の細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたり、空孔率を上げたり、膜厚を薄くすることなどにより、高分子量物質の除去効率の向上を可能としている。
ところが、上記のような高性能を追求した膜は、β2ミクログロブリンの除去性能に優れるものの、有用な血中タンパク質であるアルブミン(分子量66000)をも漏出してしまう欠点があった。この欠点を補う方法として、膜の分画特性をシャープにすることが考えられる。シャープな分画特性を有する中空糸膜を製造する方法として、中空糸膜を二層または多層構造にし、少なくとも中空糸膜内面に緻密層を持たせ、水溶液系での篩係数と比較して、血漿系の中大分子の篩係数の低下率をある一定値以下にすると、中大分子の拡散による透過が低下することなく、濾過による透過を減少させることができ、分画特性がシャープである膜が製造できることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、中空糸膜製造工程において、原料の組成を変えて紡糸原液を凝固させる際の凝固速度をコントロールすることで孔径分布の幅を小さくしたり、均一構造をもたせたりした膜を作製する方法が開示されており、孔径分布の幅を小さくすることでシャープな分画特性を得ようとした発明が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
さらに、中空糸膜に粗密構造を持たせ、空孔率とアルブミンとミオグロビンの篩係数の比を一定の範囲にコントロールすることでシャープな分画特性が得られることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
これらの発明は、共通して中空糸膜の内表面に緻密な層をもたせることで、血中タンパク質の中空糸膜への吸着による目詰まりを防ぎシャープな分画特性やその特性の維持が達成されるというものである。
また、膜の内表面の構造については、平滑性を向上することが開示されており、この技術により目詰まりを抑制したり、分画性能や経時安定性も向上すると記載されている。平滑性を向上するための手段としては、中空糸膜紡糸工程において、中空形成材として気体を用いる乾湿式紡糸とするとされている(例えば、特許文献5参照)。
中空糸膜の孔径と膜を構成する非晶領域と結晶領域とが適度なバランスをとることで、血漿と膜とが接触した時に膜の内表面に血漿タンパクが特定の吸着形態を持つので分離効率がよい膜が開示されている。(例えば、特許文献6参照)。
また中空糸膜の活性層の構造として、細孔径を除去対象物質にあわせた特定の大きさにし、さらに細孔数を特定の範囲にすることにより、タンパク透過を抑制しつつ、β2ミクログロブリンなどの物質を効率よく除去できることが開示されている(例えば、特許文献7参照)。
中空糸膜の経時安定性を改善する目的で、中空糸膜の表面を滑らかな構造にし、血流の流速を向上させるために内径を小さくすることが開示されている(例えば、特許文献8参照)。
以上のように、膜の内表面を緻密にしたり、平滑性を向上させたり、細孔径を除去対象物質にあわせた一定の範囲にしたりすることは、分画特性をシャープにしたり、血中タンパクの吸着を抑制したり、膜の経時変化を抑制したりする効果があるとされる。ところが、このような構造を特徴とする膜でも臨床において性能安定性を求めることが困難である。例えば、内表面の平滑性を向上させ血中蛋白の吸着抑制を期待しても、血液浄化療法を受ける患者の血液状態は各々違いがあり、患者間、または同じ患者でも治療を受ける時の体調に応じて、その治療効果もしくは除去性能には差があり、厳密な意味での治療効果の再現性は必ずしも高くはなかった。また、細孔径を除去対象物質にあわせた一定の範囲にしたりすることについても同様であり、治療中における膜のみかけの細孔径の変化を考慮していない設計では、血液と接触することによる膜表面の状態変化により目的の性能が得られない可能性がある。さらに、性能の経時変化についても同様のことが言え、患者の血液の状態に応じて、血液浄化器の経時安定性は変化することから治療効果の再現性には問題があった。このような現象は、同じ中空糸膜を用いた膜面積の異なる血液浄化膜の製造においても問題となり、開発においては膨大な血液実験を実施し検証していく必要があった。本発明者らは、前記課題を解決するために血液浄化器に用いられる中空糸膜について鋭意検討した結果、水系と血液系の性能の比を一定にコントロールすることで、性能の血液依存性を低減し、臨床における性能安定性に優れた血液浄化器に適した中空糸膜が得られることを突き止めた。
特開平10−127763号公報 特開平10−165774号公報 特開2000−153134号公報 特開平10−216489号公報 特開平10−108907号公報 特開2000−300973号公報 特公平6−42905号公報 特開平8−970号公報
本発明の中空糸膜の断面構造の一例を示す模式図である。 Koβ/Komyoと保持率との関係における一般的傾向を示す模式図。 細孔体積空孔率とKoβ2/Komyoとの関係における一般的傾向を示す模式図。
符号の説明
1:内表面緻密層
2:外表面層
3:支持層
4:β2-ミクログロブリン
5:アルブミン
6:保護層
本発明は、高透水性能を有し、血液系の性能安定性に優れた血液浄化器を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ついに本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)平均膜厚が10μm以上50μm以下、平均細孔半径が150Å以上300Å以下である中空糸膜であって、37℃における純水の透水性が150mL/m2/hr/mmHg以上1500mL/m2/hr/mmHg以下、ミオグロビン水溶液の総括物質移動係数(Komyo)とβ2-ミクログロブリンの血漿溶液の総括物質移動係数(Koβ2)の比(Koβ2/Komyo)が0.7以上1.0以下であることを特徴とする性能安定性に優れた中空糸膜。
(2)細孔体積空孔率が10〜50%であることを特徴とする(1)に記載の性能安定性に優れた中空糸膜。
(3)該中空糸膜において、内外表面に緻密層を有し、それらをつなぐ中間層は実質的にボイドがない支持層であることを特徴とする(1)または(2)に記載の性能安定性に優れた中空糸膜。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の中空糸膜を組み込んだ血液浄化器において、該血液浄化器の血液流路側に血漿を1時間循環後に測定したミオグロビンクリアランスが血漿循環前に測定したミオグロビンクリアランスに対して60%以上である目詰まりの少ない性能安定性に優れた血液浄化器。
(5)該血液浄化器において、血漿を1時間循環した後に測定したβ2-ミクログロブリンクリアランスのバラツキが8%以下である(4)に記載の性能安定性に優れた血液浄化器。
(6)乾湿式紡糸法により中空糸膜を製造する方法において、中空状にノズルより吐出された紡糸原液を凝固浴に浸漬して凝固させた後、引き続き水洗槽にて中空糸膜を洗浄する際、洗浄液と中空糸膜とを同一方向に走行させることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の中空糸膜の製造方法。
本発明の血液浄化器は高透水性能を有し、血液系性能において安定性を有する特性を持つ。そのため、患者の血液状態に関わらず、再現性のよい治療効果が期待できるという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、前記課題を解決するために、血液浄化器に用いられる中空糸膜の製造工程と性能について検討した。高透水性を目指した中空糸膜は、先に記載したように膜の孔径を大きくするなど、膜全体の空孔部分を多くしたり、膜厚を薄くしたりする方向で開発されている。このような高い透水性能のみに着目した中空糸膜は血液透析や血液濾過透析をおこなった際に血液中のタンパクが膜の表面に吸着して目詰まりを起こしやすくなり、時間とともに透析効率や濾過効率が悪くなる。目詰まりを起こしやすい膜は膜間圧力の変動も大きく、タンパクリーク量の経時変化も大きい。そのため、臨床においては患者の血液の状態によって、その性能が変動するという欠点があった。
また、膜全体の空孔部分を多くしたり、膜厚を薄くしたりする方向で開発された中空糸膜は、糸の強度が従来の中空糸膜よりも弱くなり、製造加工工程、輸送工程などにおいて重大な弱点となる。接触する血液の状態に依存しない性能を再現できる中空糸膜を得るためには、血液循環開始直後から血液循環終了時までのタンパクによる性能への影響を一定の状態に保つことが重要であり、その性質を判断する指標として、水系性能と血液系性能の比や、血液接触後の水系性能の保持率が有効であることを見出した。このような指標を満足し、またハンドリング性に支障の無い十分な強度の中空糸膜を得るためには、製膜工程におけるゲル化速度と紡糸工程中の中空糸膜にかかる張力とが密接に関係していることを見いだし本発明に至った。
本発明において、中空糸膜の37℃における純水の透水性は150mL/m2/hr/mmHg以上1500mL/m2/hr/mmHg以下の範囲が好ましい。透水性が150mL/m2/hr/mmHg未満では本発明の目的とする高透水性とは言えず、一般に血液系における中分子量物質の透過性能も低い。透水性が大きすぎると、細孔径が大きくなり、タンパクリーク量が多くなることがある。したがって、透水性のより好ましい範囲は150mL/m2/hr/mmHg以上1200mL/m2/hr/mmHg以下、さらに好ましくは150mL/m2/hr/mmHg以上1000mL/m2/hr/mmHg以下である。
本発明において、中空糸膜の平均膜厚は10μm以上50μm以下が好ましい。平均膜厚が大きすぎると、透水性は高くても、中〜高分子量物質の透過性が不足することがある。また、血液浄化器の設計上、膜面積を大きくする際に膜厚が大きいと、血液浄化器の大きさが大きくなってしまい適切ではない。膜厚は薄い方が物質透過性が高まるため好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。平均膜厚が薄すぎると、血液浄化器に必要な最低限の膜強度を維持するのが困難になることがある。したがって、平均膜厚は12μm以上がより好ましく、14μm以上がさらに好ましい。ここでいう平均膜厚とは、ランダムにサンプリングした中空糸膜5本を測定したときの平均値である。この時、それぞれの値と平均値との差が、平均値の2割を超えないこととする。
また、中空糸膜の内径は100〜300μmであることが好ましい。内径が小さすぎると、中空糸膜の中空部を流れる流体の圧力損失が大きくなるため、溶血の恐れがある。また、内径が大きすぎると、中空糸膜の中空部を流れる血液のせん断速度が小さくなるため、血液中のタンパク質が経時的に膜の内面に堆積しやすくなる。中空糸膜内部を流れる血液の圧力損失やせん断速度が適度な範囲となる内径は150〜250μmである。
本発明における総括物質移動係数の測定は、透析医学会の定めた方法に準じ実施する。具体的には次の通りである。
(1)ミオグロビン水溶液の総括物質移動係数(Komyo)
生理食塩液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(中空糸膜内径基準の膜面積(A’)15000cm2)に、0.01%ミオグロビン(キシダ化学社製)含有透析液を血液側流量(Qbin)200ml/minで濾過をかけずにシングルパスで流しつつ、透析液を透析液側流量(Qd)500ml/minで流す。最初のミオグロビン原液のミオグロビン濃度(Cbin)と血液浄化器出口で採取した液のミオグロビン濃度(Cbout)、流量から、血液浄化器のクリアランス(CLmyo、ml/min)、総括物質移動係数(Komyo、cm/min)を算出する。測定は37℃で実施する。
CLmyo=(Cbin−Cbout)/Cbin×Qbin
Komyo=Qbin/((A’×(1−Qbin/Qd))×LN((1−CL/Qd)/(1−CL/Qb))
(2)β2-ミクログロブリン(β2-MG)の血漿溶液の総括物質移動係数(Koβ2)
ACD加牛血液から、遠心分離にてタンパク濃度6〜7g/dlの血漿を分離する。透析実験に用いる血漿には、ヘパリンナトリウム2000〜4000unit/L、β2-ミクログロブリン(遺伝子組み換え品、和光純薬社製)を約0.01mg/dlとなるように添加する。循環用血漿には、ヘパリンナトリウムのみを添加する。循環用血漿は測定する血液浄化器1本あたりに少なくとも2L準備する。透析液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積(A’)15000cm2)に循環用血漿を200ml/minの流量で流す。この時、Qf15ml/minで濾過をかけながら透析液側にろ液を充填する。ろ液が透析液側流路に充填された後、栓をして血液側のみに血漿を1時間循環させる。循環後、透析実験用血漿に切り替え、Qbinが200ml/min、Qboutが185ml/minとなるよう濾過をかけながらシングルパスで血漿を流しつつ、透析液をQdin 500ml/minで流す。透析開始4分後にQboutをサンプリングする。血漿原液のβ2-MG濃度(Cbin)と血液浄化器出口で採取した液のβ2-MG濃度(Cbout)、流量(Qbout)から、血液浄化器のクリアランス(CLβ2、ml/min)、総括物質移動係数(Koβ2、cm/min)を算出する。全ての操作は37℃で実施する。
CLβ2=(Cbin×Qbin−Cbout×Qbout)/Cbin
Koβ2=Qbin/((A’×(1−Qbin/Qd))×LN((1−CL/Qd)/(1−CL/Qb))
このようにして算出された総括物質移動係数について、Koβ2/Komyoを算出する。
本発明においては、水系と血漿系での総括物質移動係数の比であるKoβ2/Komyoが1以下であることが好ましい。β2-MGの分子量はおよそ11700、一方、ミオグロビンの分子量はおよそ17000であり、通常、総括物質移動係数(Ko)は分子量の小さいβ2-MGの方が大きな値をとるはずであり、総括物質移動係数の比であるKoβ2/Komyoが1より小さくなることはないと考えられる。ところが、血漿成分存在下での測定であるKoβ2はβ2-MG分子量がミオグロビン分子量より小さいにも関わらず、Koβ2値がKomyo値よりも小さくなる場合がある。このような挙動は経時的に起こり、血漿成分が中空糸膜の細孔に詰まって起こる性能低下、いわゆる目詰まりとして問題視されているが、本発明では膜表面に速やかに可逆的なタンパク層を形成させることで、その層が保護層として作用し、目詰まりによる性能低下や性能のばらつきを抑制することを見出した。すなわち、血漿系では、水系では形成されない中空糸膜内面への可逆的な保護層のようなものが形成される場合には、その保護層が物質移動の抵抗となるので、分子量の小さいβ2-MGの総括物質移動係数(Koβ2値(血漿系))が分子量の大きいミオグロビンの総括物質移動係数(Komyo値(水系))より小さくなる現象が起こると考えられる。しかしながら、ここで形成される保護層は、本発明における血液浄化器のタンパクリークの経時変化が少ないことから、中空糸膜内表面と血漿成分が接触した際に瞬時に形成されると考えられるものであり、中空糸膜内表面に形成される保護層として作用することにより、性能の経時変化や目詰まりが抑制される。以上の理由から、このような特性を持つ血液浄化器は、血液性能の再現性が高いことを見出した。
本発明の中空糸膜において、水系と血漿系での総括物質移動係数の比であるKoβ2/Komyoは1以下が好ましく、0.98以下がより好ましく、0.95以下がさらに好ましい。1超では、血漿成分による保護層の効果は充分でない可能性があり、血液性能において経時変化がみられたり、性能発現の再現性に乏しいことがある。通常、血液透析治療は3〜5時間程度行われるが、初期性能と治療修了前の性能との差が大きくなったり、患者の血液の状態によって経時変化の程度が変わったりする可能性が考えられ、当初予定したとおりの治療効果が得られない可能性がある。水系と血漿系での総括物質移動係数の比であるKoβ2/Komyoの下限は0.7以上が好ましく、0.8以上がさらに好ましい。
図2に示すようにKoβ2/Komyoが0.7より小さい場合には、血液成分が中空糸膜と接触した後に形成されるタンパク層は保護層というよりも、抵抗層として作用することになる。このような場合、経時変化やばらつきは抑制されるにせよ、臨床において性能が十分に発現しない可能性がある。(領域A)。
一方、Koβ2/Komyoが1を超える場合には、一見、血液系と水系の乖離がなく、理想の膜であるように思われるが、血漿タンパクが保護層として作用していないことであり、時間とともに膜表面に目詰まりなどが発生し、性能が経時変化すると考えられる。(領域B)。本発明でいうところの保持率は、血漿と接触後の水系性能(ミオグロビンクリアランス)であり、血液と接触した際に膜がどの程度目詰まりをしたかを示す。タンパクの吸着による膜抵抗があるので保持率100%はありえないが、65%以上の際は実質的に目詰まりによる膜性能の劣化は無く、60%未満の場合、不可逆的な目詰まりが起こったと推測される。
本発明において、中空糸膜の平均細孔半径は150Å以上300Å以下であることが好ましい。より好ましくは150Å以上290Å以下、さらに好ましくは150Å以上270Å以下である。この範囲に設定することで、血液と接触した後の見かけの細孔径ダウンが起きてもβ2-MGなどの除去対象物質の透過性能への影響は小さいと考えられる。平均細孔半径が小さすぎると、血液成分による性能低下が顕著になったり、経時変化が大きくなる可能性がある。また、平均細孔半径が大きすぎると、タンパクリーク量が多くなり過ぎることがある。ここで、本発明において、中空糸膜の平均細孔半径は後述する熱分析(DSC)を用いて測定された細孔半径を平均細孔半径と定義したものであり、たとえば、アルブミン(ストークス半径35Å)の篩係数などから求めたものとは別のものであり、膜内での細孔の大きさを膜内の水の状態から定義、算出したものである。
DSCで求める孔径は、LaplaceとGibbs-Duhemの式の組み合わせである。
r=(2σiw×Vm ×To×cosθ)/(ΔT×ΔHm)
r:細孔半径
σiw:水と氷の界面エネルギー(0.01N/m)
Vm:水のモル体積
To:バルク水の融点
θ:接触角
ΔT:融点降下度
ΔHm:モル融解エンタルピー
であり、ここで、σiwには0.01N/mを用いた。また、本発明で取り扱うΔTは、DSC測定で観察された、凝固点降下した水のピークトップであり、厳密には平均値ではない。また、凝固点降下した水の量より細孔体積空孔率を求める。このようにDSC測定における細孔とは、膜内の水の状態から定義、算出したものである。
本発明における血漿循環後の水系クリアランスの保持率の測定は次の通りである。同じ種類で同じロットの血液浄化器(中空糸膜内径基準の膜面積1.5m2)を2本準備し、1本は先に記載した方法でCLmyoを測定する。残りの1本も、先に記載した方法でCLβ2を測定し、その後、測定と同じ流量で血液浄化器を水で5分間水洗する。水洗した血液浄化器についてCLmyoを測定し、1本目の値との比を算出する。血液循環による性能低下が全く無かった場合は、2本の血液浄化器のCLmyo値は等しくなり、保持率は100%となる。
本発明においては、血漿を1時間循環した後の水系クリアランスの保持率が60%以上であることが好ましい。64%以上がより好ましく、68%以上がさらに好ましい。血漿を1時間循環した後の水系クリアランスの保持率は、血液浄化器の中空糸膜内表面と血漿成分の相互作用の度合いを判断するのに有効なパラメータである。仮に、血漿成分が中空糸膜の空孔部分に入り込み、通常の血流では容易に外れないような目詰まり様状態となった場合には、その保持率は極端に低下すると考えられる。すなわち、血漿を1時間循環した後の水系クリアランスの保持率が60%未満では、血漿成分によって中空糸膜が目詰まり様状態になっていると考えられ、性能保持には逆効果となる。
本発明において、中空糸膜の空孔率は70%以上、かつ降伏強力は8g/filament以上であることが好ましい。より好ましくは、空孔率は72%以上、降伏強力は10g/filament以上、さらに好ましくは、空孔率は74%以上、降伏強力は12g/filament以上である。通常、空孔率は中空糸膜の透水性と相関関係にあり、高い透水性を得るためには空孔率を高くする。空孔率が低すぎると、本発明で目標とする高い透水性を得ることができない可能性がある。一方、空孔率が高すぎたり、降伏強力が低すぎたりすると、中空糸膜の強度が低下するためハンドリング性が悪くなったり、モジュール化工程に支障が出る可能性がある。したがって、中空糸膜の空孔率は90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらに好ましい。
本発明における中空糸膜の素材としては、再生セルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース系高分子、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられるが、透水性が150mL/m2/hr/mmHg以上の中空糸膜を得ることが容易なセルロース系やポリスルホン系が好ましい。特にセルロース系ではセルロースジアセテートやセルローストリアセテート、ポリスルホン系ではポリスルホン、ポリエーテルスルホンが膜厚を薄くすることが容易なため好ましい。
本発明の中空糸型血液浄化器は、血液透析や血液透析濾過、血液濾過など、腎不全の治療に用いる血液浄化器として好適である。さらに、血液浄化器のロット間差や経時的な除去性能、透水性能が安定していることから、患者の健康状態、症状に関わらず、安定した治療が期待できるという点で優れている。
このような血液浄化器に用いる中空糸膜の製造方法としては、以下に示す条件が好ましい。高い透水性を得るためには、紡糸溶液のポリマー濃度は、ポリマーの種類などにもよるが26質量%以下、より好ましくは25質量%以下とするのが好ましい。紡糸溶液は、紡糸溶液中の不溶成分やゲルを取り除く目的でノズル吐出直前にフィルターにかけるのが好ましい。フィルターの孔径は小さい方がよく、具体的には中空糸膜の膜厚以下のものが好ましく、中空糸膜の膜厚の1/2以下がより好ましい。フィルターが無い場合やフィルターの孔径が中空糸膜の膜厚を超える場合、ノズルスリットの一部に詰まりが生じ、偏肉糸の発生を招くことがある。さらに、フィルター無しやフィルター孔径が中空糸膜の膜厚を超えると、紡糸溶液中の不溶解成分やゲルなどの混入が原因で部分的なボイドや、数十μm単位での表面構造のきめの細かさが乱れる(ひきつれたり、部分的にシワがよるなどの)原因となりやすい。高い空孔率を有する中空糸膜において、部分的なボイドの発生は、膜の物理的強度を低下させる原因になり得る。また、数十μm単位での中空糸膜表面のきめの細かさを著しく乱すことは、血液を活性化させることにつながり、血栓、残血を招く可能性が高まる。血液を活性化させてしまうことは、性能安定性に影響を与えると考えられる。紡糸原液の濾過は、吐出するまでの間に複数回実施してもよく、フィルターの寿命を延ばすことができるので好ましい。
上記のように処理した紡糸原液を、外側に環状部、内側に中空形成材吐出孔を有するチューブインオリフィス型ノズルを用いて吐出する。ノズルのスリット幅(紡糸原液を吐出する環状部の幅)のばらつきを小さくすることで、紡糸された中空糸膜の偏肉を減らすことができる。具体的には、ノズルのスリット幅の最大値と最小値の差を10μm以下にすることが好ましい。スリット幅は用いる紡糸原液の粘度や、得られる中空糸膜の膜厚、中空形成材の種類によって異なるが、ノズルスリット幅のばらつきが大きいと、偏肉を招き、肉厚の薄い部分が裂けたり破裂したりしてリークの原因になる。また、偏肉が顕著である場合、血液浄化膜として適切な強度が得られない原因となる。
紡糸原液を吐出する際のノズルの温度は、次工程の空中走行部分での効果を十分に得るために一般的な中空糸膜製造条件よりは低い温度にすることが好ましい。具体的には、50℃以上130℃以下、55℃以上120℃以下がより好ましい。ノズル温度が低過ぎると、ドープの粘度が高くなるため、ノズルにかかる圧力が高くなり紡糸原液を安定に吐出できないことがある。また、ノズル温度が高過ぎると相分離による膜構成に影響し孔径が大きくなりすぎる可能性がある。
吐出した紡糸原液は、空中走行部を経て凝固液に浸漬させる。この時の空中走行部は、外気と遮断する部材(紡糸管)で囲み、低温にすることが好ましい。具体的には、実測で15℃以下にするのが好ましく、さらには13℃以下にするのが好ましい。空中走行部を比較的低温にコントロールする方法として、紡糸管に冷媒を循環させる方法や冷却した風を流し込む方法などがある。冷媒の冷却や風の冷却は液体窒素やドライアイスなどを用いて制御することが可能であるが、作業性を考慮した場合、空中走行部の温度は−20℃以上が好ましい。また、空中走行部の雰囲気は、紡糸原液の相分離に影響を与えるため均一に保たれることが望ましく、囲いなどで覆うことにより温度や風速にムラが生じないようにするのが好ましい。空中走行部分の雰囲気、温度や風速にムラがあると、ミクロな膜構造にばらつきができる原因となり、性能発現に問題が生じるため適切でない。
空中走行部分の温度や風速にムラが生じないようにする方法として、空中走行部の囲いに適度な大きさの穴をあけ、冷却した風が均一に流れるように工夫するのが有効である。空中走行部の囲いにあける穴の数は特に限定はしないが、紡糸される中空糸膜が揺れない程度に、全体に風が行き渡る状態になるよう調節することが重要である。また、ノズル出口部分を急激に冷却すると、ノズル出口付近でゲルが形成され易くなり、ノズルが閉塞したりして、中空糸膜の偏肉度が高くなることがある。このような現象を回避するためには、ノズルブロックと空中走行部の囲いとの間に断熱材を入れるのも有効な手段となり得る。断熱材の種類は熱伝導を遮断できるものであれば特に限定はなく、セラミックスやプラスチックなどが利用できる。
断熱材の厚さは5〜20mmが好ましい。断熱材の厚みが薄すぎると、熱の遮断が充分でなく、ノズルの断熱効果が十分でないことがある。また、断熱材の厚みが厚すぎると、空中走行部での冷却の効果が中空糸膜形成に反映されない可能性がある。この方法により、ノズルから吐出された直後のドープがノズル出口部分を閉塞する可能性は低下し、真円度の高い中空糸膜を安定に紡糸できるようになる。ノズル温度を適度に低くし、空中走行部の温度を低く保つことで、製膜工程におけるゲル化速度を一定にコントロールできる。また、空中走行部を通常より低温に設定することで、中空糸膜外表面で急激なゲル化が促進されるため、膜の断面構造は中空糸膜内面、外面がそれぞれ中間部と比較して密な層を有する三層構造を形成する。このような三層構造をとることは、中空糸膜の強度を向上させるうえで有効である。
また、ドラフト比は小さい方が好ましい。具体的には1以上10以下が好ましく、さらには8以下が好ましい。ここで言うドラフト比は、中空糸膜引取り速度に対するノズルから吐出される紡糸原液の吐出線速度の比である。ドラフト比が大きすぎると、膜の細孔形成時に張力がかかり、細孔の形状が歪み、透過性能が低下することがある。
ノズルから紡糸原液とともに吐出された中空形成材は、中空糸膜の内表面の構造形成に重要な影響を与える。血液適合性を良くするには、特に中空糸膜の血液接触面の構造が重要である。本発明の中空糸膜は、血液性能の安定性が良いことが特徴であり、それを達成するために、血液成分による適度な保護層を中空糸膜内表面近傍に形成させることができるような膜を設計すればよいと考えた。血液性能の安定性は、すなわち、中空糸膜が血液成分による目詰まりを起こさないこと、または、少なくとも目詰まりによる性能への影響を低く抑えることである。中空糸膜内表面の細孔の目詰まりは、濾過流速の経時的な、或いは部分的な変化につながり、タンパクリーク量に差異を生じる原因となり、本発明の目指すところの血液性能の安定性に対して不利である。
血液成分による適度な保護層を中空糸膜内表面近傍に形成させることができるような膜を製造するには、中空形成材の組成とノズル温度、ドラフト比、紡糸工程における低延伸が重要であることを見出した。これらの条件を整えることで、内表面の相分離がコントロールでき、凹凸度を適度な範囲に調節できる効果が得られるものと考える。
中空形成材は使用する紡糸原液にもよるが、不活性な液体や気体を用いるのが好ましい。このような中空形成材の具体例としては、流動パラフィンやミリスチン酸イソプロピル、窒素、アルゴンなどが挙げられる。また、緻密層を形成するためには、紡糸原液の調製に用いた溶媒の水溶液や水などを用いることができる。これらの中空形成材には、必要に応じてグリセリンやエチレングリール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの非溶媒または水などを加えることもできる。
また、細孔への血中タンパク質の目詰まりによる性能への影響を低く抑える手段として、空中走行部の冷却が有効である。ノズルから吐出したドープが空中走行部で急激に冷却されることにより、膜外表面に緻密層が形成される。血液と接触し膜に目詰まりが起こる場合、膜の最外層に緻密層を設けることで、膜の目詰まり可能領域を大きくとることができ、目詰まりによる性能への影響を低く抑えることができる。
空中走行部を経て、ゲル化した膜は、凝固浴中を通過させることにより凝固させる。凝固浴は紡糸原液を調製する際に使用した溶媒の水溶液が好ましい。凝固浴が水である場合には、急激に凝固し中空糸膜外表面に緻密な層が形成される。急激に凝固した表面は開孔率が低い反面、表面粗さのコントロールが困難である。凝固浴を溶媒と水との混合液にすることで、凝固時間のコントロールや中空糸膜の表面粗さを適度に調節しやすくなるので好ましい。凝固浴の溶媒濃度は70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。ただし、1%以下では紡糸時の濃度コントロールが困難であるため、溶媒濃度の下限は1質量%以上が好ましい。凝固浴の温度は凝固速度のコントロールのため4℃以上50℃以下が好ましい。さらには10℃以上45℃以下が好ましい。このように空中走行部と凝固浴で緩やかに中空糸膜を形成することで、細孔の大きさや分布、細孔数が適度な中空糸膜が得られる。凝固浴には、必要に応じてグリセリンやエチレングリール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの非溶媒、また酸化防止剤や潤滑剤などの添加剤を加えることもできる。
凝固浴を経た中空糸膜は洗浄工程を経て溶媒などの不要な成分を洗い流す。このときに用いる洗浄液は水が好ましく、温度は20℃〜80℃が洗浄効果が高くなるため好ましい。20℃未満では洗浄効率が悪く、80℃超では熱効率が悪いことと、中空糸膜への負担が大きく、保存安定性や性能に影響を与えることがある。また、膜は凝固浴工程後も活きており、洗浄浴中で外部から力を加えると膜構造や表面形状、孔形状が変形してしまうことがあるので、洗浄浴を走行する中空糸膜になるべく抵抗がかからないような工夫を施すのが好ましい。中空糸膜から溶媒や添加剤等の不要な成分を除去するためには、液更新を高めるのが好ましく、従来は、例えば洗浄液のシャワーの中を中空糸膜を走行させるとか、洗浄液の流れと中空糸膜の走行を向流にするなどして洗浄効率を高めていた。しかし、このような洗浄方法を採用すると中空糸膜の走行抵抗が大きくなるため、中空糸膜に延伸をかけて弛んだり縺れたりすることを防ぐ必要があった。
本発明者等は、中空糸膜の変形抑制と洗浄性の両立をはかるため鋭意検討した結果、洗浄液と中空糸膜を並流で流すことが有効であることを見出した。洗浄工程の具体的な態様としては、例えば、洗浄浴に傾きをつけ中空糸膜がその傾斜を下っていくような設備がよい。具体的には、浴の傾斜は1〜3度が好ましい。3度以上では洗浄液の流速が早くなりすぎ中空糸膜の走行抵抗を抑えることができないことがある。1度未満では、洗浄液の滞留による中空糸膜の洗浄不良が発生することがある。このように洗浄浴での中空糸膜への抵抗を抑制することで、洗浄浴入り口の中空糸膜の走行速度と出口の走行速度をほぼ同じにすることができる。具体的には洗浄浴中での延伸比は1以上1.2未満が好ましい。また、洗浄効率をより高めるために、洗浄浴は多段に配置されるのが好ましい。段数については洗浄性との兼合いにより適宜設定する必要があり、例えば、本発明に使用される溶媒、非溶媒、親水化剤等の除去を目的とするのであれば、3〜30段程度あれば足りるといえる。
洗浄工程を経た中空糸膜は必要に応じてグリセリン処理を行なう。たとえば、セルロース系高分子からなる中空糸膜の場合はグリセリン浴を通過させた後、乾燥工程を経て巻き取る。この場合グリセリン濃度は30〜80質量%が好ましい。グリセリン濃度が低すぎると、乾燥時に中空糸膜が縮み易く、保存安定性が悪くなることがある。また、グリセリン濃度が高すぎると、中空糸膜に余分なグリセリンが付着しやすく、血液浄化器に組み立てる時に中空糸膜端部の接着性が悪くなることがある。グリセリン浴の温度は、40℃以上80℃以下が好ましい。グリセリン浴の温度が低すぎると、グリセリン水溶液の粘度が高く、中空糸膜の細孔の隅々までグリセリン水溶液が行き渡らない可能性がある。グリセリン浴の温度が高すぎると、中空糸膜が熱で変性、変質してしまう可能性がある。
紡糸工程全般において、中空糸膜にかかる張力は膜の構造に影響を及ぼすため、膜構造を変化させないために、極力延伸しないことが好ましい。膜は凝固浴工程後も活きており、洗浄浴中で外部からの力をかけると膜構造や表面構造、孔形状が変形してしまうからである。特に延伸は膜の細孔の形状を真円から楕円に変形させてしまうことから、透過性能への影響も大きいため、低い方が好ましい。具体的には、凝固浴出口の中空糸膜走行速度と、紡糸工程最後の巻き取り速度との比は、1以上1.2未満が好ましい。
このようにして得られた中空糸膜の構造は、平均細孔径が150Å以上300Å以下であり、かつ分離を行う孔である細孔の占める割合、細孔体積空孔率が好ましくは50%以下に抑制された構造をもち、かつ図1に示すようなゆるやかな三層構造になっており、その構造ゆえに血液と接触した場合に血液成分の膜内への侵入をブロックしつつ、内表面近傍に保護層を形成すると考えられる。この点は従来技術が求めていたシャープなカットオフ=内表面緻密層とは異なる技術思想による。形成された保護層は、膜への不可逆的な吸着ではなく、その構成成分が順次置き換わっていくような層であると考えられる。つまり、膜内表面の細孔にタンパクが押し込まれたような目詰まり様の現象ではない。そのため、目詰まりが原因と考えられる従来の血液浄化膜でみられたような時間とともに性能が低下するなどの経時変化は見られないので、本発明の特徴とする血液性能の安定性を達成できると考えられる。
同様に、このような条件で得られた中空糸膜が、総括物質移動係数の比であるKoβ2/Komyo≦1である特性を持つ理由として、公知の製造方法で得られた同程度のクリアランス性能を有する中空糸膜と比較した場合に、細孔体積空孔率が低いことが挙げられる。細孔体積空孔率とは、中空糸膜の体積に対して、細孔体積が閉める割合を意味する。測定方法としては、例えば、セルロースアセテート素材の中空糸膜では熱分析によって算出することができる。同程度のクリアランス性能を有する中空糸膜の細孔の大きさは同程度であると考えられるが、本報の方法により作製した中空糸膜の細孔体積空孔率は公知の方法で作製した中空糸膜よりも小さな値を示す。このことは、本願発明の中空糸膜が、公知の中空糸膜に対して細孔の数が比較的少ないことを意味する。細孔体積空孔率が小さいことは、本願発明の中空糸膜の製造において空中走行部を冷却した効果である。すなわち、膜の外表面に従来の紡糸方法では形成されなかった緻密な層が形成されたことによる結果に加え、膜全体として目詰まりの抑制に適した保護層形成に有利な構造であると考えられる。
本願発明において、中空糸膜の細孔体積空孔率は10%以上50%以下が好ましい。細孔体積空孔率は20%以上50%以下がより好ましく、30%以上48%以下がさらに好ましく、35%以上45%以下がさらにより好ましい。
図3に細孔体積空孔率とKoβ2/Komyoとの関係における一般的傾向を示した。細孔体積空孔率が大きくなるに従い、Koβ2/Komyo比が大きくなる傾向がみられる。細孔体積空孔率が大きすぎると、保護層の形成に不利であるだけでなく、目詰まりを起こしやすくなる。(領域D)。また、細孔体積空孔率が小さすぎると、孔の数が少なすぎることになり、β2-MGの除去性能が不足する可能性がある。(領域C)。
本発明において、中空糸膜の構造は、内外表面に緻密層を有し、それらをつなぐ中間層は実質的にボイドがない支持層を有するのが好ましい。例えば、本願発明の中空糸膜を血液浄化用に使用する場合、血液を中空糸膜の中空部に流し、中空糸膜の外側部には透析を流す。このとき、中空糸膜内表面に緻密層を有することにより、血液中の巨大成分の細孔への目詰まりを抑制することができるため好ましい。また、中空糸膜の外表面にも緻密層を設けることで、膜の目詰まり可能領域を大きくとることができ、目詰まりによる性能への影響を低く抑えることができる。さらに、中間層に実質的にボイドがないとは、膜断面を走査型電子顕微鏡により1000倍で観察したときに、直径が0.5μm以上の大きさのボイドやスポンジ構造に由来する空隙が観察されない構造をいう。
本発明において、製膜時、製膜溶液をノズルから吐出した段階で低温の均一な乾式部を通過させることにより相分離の初期過程が進行し、凝固浴で中空糸膜の最外層に緻密な層が形成される。そのため、膜全体の相分離が緩やかになり細孔体積が比較的、低値に抑えられると考える。そのため、膜表層ではタンパクのもぐりこみ、いわゆる目詰まりを抑制できる保護層の形成に適した構造をとると考える。(図1参照)。しかしながら、膜形成時にドラフトを大きくして引っ張ったり、膜が形成されて間もない水洗時に通常行われるように向流で洗浄水を流したりすると、膜表面が変形し保護層の形成に適した均一な構造が破壊されると考える。保護層は血漿中のタンパクによって不可逆的に形成されるバリア層であり、若干抵抗を示すことにより、水溶液系での場合よりも抵抗が大きいため血漿中での総括物質移動係数であるKoβ2は水系での総括物質移動係数よりも低値となるが、目詰まりによる性能変化や性能のばらつきを抑制する効果がある。以上述べたことは仮説であり、細孔分布などの影響も考慮しなくてはならないであろうし、さらに、現在の科学技術では分析できないが、記載した種々の達成手段の組み合わせをとることにより、構造面では理想に近づけることができたはずであると考える。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.透水性
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止した。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出した濾液量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出した。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.99以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と透析器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
2.膜面積の計算
透析器の膜面積は中空糸膜の内径基準として求める。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸膜本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径(m)、Lは透析器内の中空糸膜の有効長(m)である。
3.総括物質移動係数
(1)ミオグロビン水溶液の総括物質移動係数(Komyo)
生理食塩液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積(A’)15000cm2)に、0.01%ミオグロビン(キシダ化学社製)透析液水溶液を血液側流量(Qbin)200ml/minで濾過をかけずにシングルパスで流しつつ、透析液を透析液側流量(Qd)500ml/minで流す。最初のミオグロビン原液のミオグロビン濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のミオグロビン濃度(Cbout)から、血液浄化器のクリアランス(CLmyo、ml/min)、総括物質移動係数(Komyo、cm/min)を算出する。測定は37℃で実施する。
CLmyo=(Cbin−Cbout)/Cbin ×Qbin
Komyo=Qbin/((A’×(1−Qbin/Qd))×LN((1−CL/Qd)/(1−CL/Qb))
(2)β2-ミクログロブリン(β2-MG)の血漿溶液の総括物質移動係数(Koβ2)
ACD加牛血液から、遠心分離にてタンパク濃度6〜7g/dlの血漿を分離する。透析実験に用いる血漿には、ヘパリンナトリウム(2000〜4000unit/L)、β2-ミクログロブリン(遺伝子組み換え品 和光純薬社製)を約0.01mg/dl添加する。循環用血漿には、ヘパリンナトリウムのみを添加する。循環用血漿は測定する血液浄化器1本あたりに少なくとも2L準備する。透析液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積(A’)15000cm2)に循環用血漿を200ml/minの流量で流す。この時Qf15ml/minで濾過をかけながら透析液側にろ液を充填する。ろ液が充填された後、栓をして血液側のみに血漿を1時間循環させる。循環後、透析実験用血漿に切り替え、Qbin200ml/min、Qbout185ml/minとなるよう濾過をかけながらシングルパスで血漿を流しつつ、透析液をQdin500ml/minで流す。透析開始4分後にQboutをサンプリングする。血漿原液のβ2-MG濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のβ2-MG濃度(Cbout)、流量から、血液浄化器のクリアランス(CLβ2、ml/min)、総括物質移動係数(Koβ2、cm/min)を算出する。全ての操作は37℃で実施する。
CLβ2=(Cbin×Qbin−Cbout×Qbout)/Cbin
Koβ2=Qbin/((A’×(1−Qbin/Qd))×LN((1−CL/Qd)/(1−CL/Qb))
4.保持率
同種類、同ロットの血液浄化器(中空糸膜内径基準の膜面積1.5m2)を2本準備し、1本は先に記載した方法でCLmyoを測定する。残りの1本も、先に記載した方法でCLβ2を測定し、その後、測定と同じ流量で血液浄化器を水で5分間水洗する。水洗した血液浄化器についてCLmyo測定し、1本目の値との比を算出する。血液循環による性能変化が全く無かった場合は、2本の血液浄化器のCLmyo値は等しく、保持率は100%となる。
保持率(%)=血漿循環後のCLmyo/通常のCLmyo×100
5.空孔率
1時間以上純水に浸漬した中空糸膜束を900rpmの回転数で5分間遠心脱液し、重量を測定する。その後、乾燥機中で絶乾し重量を測定する(Mp)。
Wt(空孔に詰まっている水の重量)=遠心後の糸束の重量−Mp
体積空孔率(Vt)%=Wt/(Wt+Mp/ポリマー密度)×100
6.降伏強力
東洋ボールドウイン社製テンシロンUTMIIを用いて、引っ張り速度100mm/min、チャック間距離100mmで測定した。
7.偏肉度
中空糸膜100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定する。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
8.タンパクリーク量の計算
クエン酸を添加し、凝固を抑制した牛血液をヘマトクリット25〜30%、タンパク濃度6〜7g/dlに調製し、37℃で血液浄化器に200mL/minで送液し、一定の流速(Qf:ml/min)で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。15分毎に濾過流速を測定し、血液浄化器のろ液を採取する。ろ液に含有するタンパクの濃度を測定する。血漿中のタンパク濃度の測定は、体外診断用のキット(マイクロTP−テストワコー、和光純薬工業社製)を用いて行う。2時間までのデータをもとに、下式より平均タンパクリーク量を求め、3L除水換算時のタンパクリーク量(TPL)を算出する。
積算濾過量(ml)=t1(min)×Ct1(ml/min)+(t2-t1)(min)×Ct2(ml/min)+(t3-t2)(min)×Ct3(ml/min)・・・・(t120-tn)(min)×C120min(ml/min)
t:測定時間(min)
C:濾過流速(ml/min)
ろ液のタンパク濃度=a×Ln(積算濾過量)+b
各測定点におけるろ液のタンパク濃度とLn(積算濾過量)からa、bを求める。
TPL(平均)=-a+b+a×Ln(積算濾過量×2)
TPL(3L除水換算)(g)=TPL(平均)×30/1000
血液性能の再現性や性能安定性の評価には3L除水換算のTPL値を指標とした。
9.中空糸膜の内径、外径、膜厚の測定
中空糸膜断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥方法は問わないが、乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon-V-12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
10.中空糸膜の細孔体積空孔率と平均細孔半径の測定
純水で充分に湿潤状態にした中空糸膜数十本を約5mmにカットし、ろ紙で余分な水分を取り除き、密閉パンにつめ、DSC(示差走査熱量計 Perkin-Elmer社製 DSC-7 もしくは Pyris1)で融解曲線を測定する。測定は、-45℃〜15℃の範囲を昇温速度 2.5℃/minで実施する。細孔に存在する水は基材の影響を受けて凝固点降下し、自由水(0℃付近で融解)とは異なるところ(自由水よりも低い温度領域)でピークを示す。凝固点降下している部分のピークとベースラインとで囲まれる領域の融解熱量(ΔHp)を求め、水の単位重量あたりの融解熱量(ΔHm)から細孔水量(Wp)を算出する。DSC測定したサンプルを絶乾し、蒸発した水分の重量(全水分量 Wt)を求める。これらの値からVp(細孔体積空孔率)を次式によって算出する。
Wp=ΔHp/ΔHm
Vp(%)=Wp/(Wt+Mp/ρp)×100
Mp:ポリマー重量 = サンプル重量 −全水分量(Wt)
ρp:ポリマー比重
上記のようにして得られた融解曲線から、凝固点降下した方のピークのピークトップを読み取り、細孔中の水の毛管凝縮による凝固点(氷点)降下度から次式を用いて簡易的に細孔半径(r)を算出することができる。本発明においては、本測定方法により得られた値を平均細孔半径と定義する。
r(Å)=氷点降下度(℃)/164
(実施例1)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)56.7質量%およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)24.3質量%を加熱して均一に溶解し、ついで得られた製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を10μm、5μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、102℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに吐出し、紡糸管により外気と遮断され、12℃に調整された70mmの乾式部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し、紡糸速度30m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は7であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。ノズルブロックと紡糸管との間には厚さ5mmのセラミックス製の断熱材を入れた。また、水洗浴は、傾きを2.5度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが同じ方向に流れる並流とした。水洗浴は5段とした。水洗浴トータルでの延伸比は1.0001であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.04であった。
得られた中空糸膜の内径は200.5μm、膜厚は15.8μm、偏肉度は0.7、空孔率は75.8%、降伏強力は12.5g、平均細孔半径は180Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に厚さ0.1μm程度の緻密層が観察された。
得られた中空糸膜を用いて膜面積が1.5mとなるように血液浄化器を組み立てた。モジュールに充填された中空糸膜の有効長は、22.5cmであった。この血液浄化器について、透水性、総括物質移動係数比(Koβ2/Komyo)、性能保持率を測定した。また、血液性能の評価としてタンパクリーク試験を5本のモジュールについて実施した。結果を表2に示した。ねらいとするβ2-MGの除去性能も平均でCLβ2=61.7と高く、またバラツキも小さかった。かつ性能保持率は高く、タンパクリーク試験の再現性も良好であり、かつ低く抑えられていた。
(実施例2)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)18質量%、NMP57.4質量%およびTEG24.6質量%を均一に溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を10μm、5μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、5℃の均一な雰囲気に調整された50mmの乾式部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し、紡糸速度85m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は7であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は8μmであった。ノズルブロックと紡糸管との間には厚さ8mmのセラミックス製の断熱材を入れた。また、水洗浴は、傾きを1度とし、中空糸膜が緩やかに下っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが同じ方向に流れる並流とした。水洗浴は7段とした。水洗浴トータルでの延伸比は1.005であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.03であった。
得られた中空糸膜の内径は199.8μm、膜厚は15.4μm、偏肉度は0.8、空孔率は78.5%、降伏強力は12.3g、平均細孔半径は260Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に0.1μm程度の緻密層が観察された。
得られた中空糸膜を用いて実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。ねらいとするβ2-MGの除去性能も平均でCLβ2=68.7と高く、またバラツキも小さかった。かつ性能保持率は高く、タンパクリーク試験の再現性も良好であり、かつ低く抑えられていた。
(実施例3)
ポリエーテルスルホン(住友化学社製 高重合度ポリエーテルスルホン7300P)23質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製 PVP K-90)2質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)45質量%およびポリエチレングリコール(PEG200、第一工業製薬社製)30質量%を均一に溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を10μm、5μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、128℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として窒素ガスとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、10℃に調整された8mmの乾式部を通過後、40℃の40質量%NMP/PEG200(6/4)水溶液中で凝固させ、50℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は4.8であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2.5度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが同じ方向に流れる並流とした。水洗浴は5段とした。水洗浴トータルでの延伸比は1.001であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.03であった。
得られた中空糸膜の内径は200μm、膜厚は29.8μm、偏肉度は0.7、空孔率は74.8%、降伏強力は23.5g、平均細孔半径は160Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に厚さ0.1μm程度の緻密層が観察された。
得られた中空糸膜を用いて膜面積が1.5mとなるように血液浄化器を組み立てた。モジュールに充填された中空糸膜の有効長は、22.5cmであった。この血液浄化器について、透水性、総括物質移動係数比(Koβ2/Komyo)、性能保持率を測定した。また、血液性能の評価としてタンパクリーク試験を5本のモジュールについて実施した。結果を表2に示した。ねらいとするβ2-MGの除去性能も平均でCLβ2=58.7と高く、またバラツキも小さかった。かつ性能保持率は高く、タンパクリーク試験の再現性も良好であり、かつ低く抑えられていた。
(比較例1)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、NMP56.7質量%、TEG24.3質量%を均一に溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を20μm、20μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、12℃の均一な雰囲気に調整された70mmの乾式部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し紡糸速度85m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は11であった。ノズルブロックと空中走行部の囲いは直接接触させた。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを0.5度とし、中空糸膜が緩やかに上っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが逆方向に流れる向流とした。水洗浴は7段とした。洗浄浴トータルでの延伸比は1.12であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.2であった。
得られた中空糸膜の内径は199.8μm、膜厚は15.0μm、偏肉度は0.6、空孔率は82.3%、降伏強力は12.6g、平均細孔半径は150Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に緻密層は観察されなかった。
得られた中空糸膜を用いて実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。紡糸工程で延伸をかけたため、ねらいとするβ2-MGの除去性能は平均でCLβ2=60と高いものの52〜65と大きくばらついていた。また性能保持率は低く、タンパクリーク試験の再現性も低かった。
(比較例2)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)17.5質量%、NMP57.75質量%、TEG24.75質量%を均一に溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、30℃の均一な雰囲気に調整された50mmの乾式部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し紡糸速度30m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は11であった。ノズルブロックと空中走行部の囲いは直接接触させた。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は10μmであった。また、水洗浴は、傾きを3度とし、中空糸膜が緩やかに下っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが同じ方向に流れる並流とした。水洗浴は5段とした。水洗浴トータルでの延伸比は1.2であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.3であった。
得られた中空糸膜の内径は198.5μm、膜厚は14.7μm、偏肉度は0.7、空孔率は81.4%、降伏強力は7.9g、平均細孔半径は320Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に緻密層は観察されなかった。
得られた中空糸膜を用いて実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。紡糸工程において、ノズル吐出後の空中走行部の温度が高かったことから、糸強度が弱かった。
ねらいとするβ2-MGの除去性能も平均でCLβ2=72と高いものの65〜79と大きくばらついていた。また性能保持率は低く、タンパクリーク試験の再現性も低く、かつ細孔半径は大きく、高タンパクリークであった。
(比較例3)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、NMP56.7質量%、TEG24.3質量%を均一に溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、30℃の均一な雰囲気に調整された50mmの乾式部を通過後、50℃の30質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、30℃の水洗浴を経た後、55℃、65質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライアーで乾燥し紡糸速度75m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は11であった。ノズルブロックと空中走行部の囲いは直接接触させた。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は10μmであった。また、水洗浴は、傾きを3度とし、中空糸膜が緩やかに上っていくように調整し、洗浄水と中空糸膜とが逆方向に流れる向流とした。水洗浴は5段とした。水洗浴トータルでの延伸比は1.14であった。凝固浴出口から巻き上げまでの延伸比は1.2であった。
得られた中空糸膜の内径は199.2μm、膜厚は15.8μm、偏肉度は0.7、空孔率は85.6%、降伏強力は8.5g、平均細孔半径は350Åであった(表1)。またFE-SEM(5000倍)で断面構造を観察したところ、外表面に緻密層は観察されなかった。
得られた中空糸膜を用いて実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。紡糸工程において、ノズル吐出後の空中走行部の温度が高かったことから、糸強度はやや弱く、ねらいとするβ2-MGの除去性能は平均でCLβ2=56.7と高いものの52〜63まで大きくばらついていた。また性能保持率は低く、タンパクリーク試験の再現性も低くかつ、細孔半径は大きく、高タンパクリークレベルであった。
Figure 2007102528
Figure 2007102528
本発明の中空糸型血液浄化器は高透水性能を有し、血液中での性能と水溶液中での性能を一定条件にすることにより血液性能の安定性を有する特性を持つ。そのため、患者の状態によらず、性能のバラツキが少ないことより一定の治療効果が期待できるという利点がある。したがって、産業の発展に大きく寄与できる。

Claims (6)

  1. 平均膜厚が10μm以上50μm以下、平均細孔半径が150Å以上300Å以下である中空糸膜であって、37℃における純水の透水性が150mL/m2/hr/mmHg以上1500mL/m2/hr/mmHg以下、ミオグロビン水溶液の総括物質移動係数(Komyo)とβ2-ミクログロブリンの血漿溶液の総括物質移動係数(Koβ2)の比(Koβ2/Komyo)が0.7以上1.0以下であることを特徴とする性能安定性に優れた中空糸膜。
  2. 細孔体積空孔率が10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の性能安定性に優れた中空糸膜。
  3. 該中空糸膜において、内外表面に緻密層を有し、それらをつなぐ中間層は実質的にボイドがない支持層であることを特徴とする請求項1または2に記載の性能安定性に優れた中空糸膜。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の中空糸膜を組み込んだ血液浄化器において、該血液浄化器の血液流路側に血漿を1時間循環後に測定したミオグロビンクリアランスが血漿循環前に測定したミオグロビンクリアランスに対して60%以上である目詰まりの少ない性能安定性に優れた血液浄化器。
  5. 該血液浄化器において、血漿を1時間循環した後に測定したβ2-ミクログロブリンクリアランスのバラツキが8%以下である請求項4に記載の性能安定性に優れた血液浄化器。
  6. 乾湿式紡糸法により中空糸膜を製造する方法において、中空状にノズルより吐出された紡糸原液を凝固浴に浸漬して凝固させた後、引き続き水洗槽にて中空糸膜を洗浄する際、洗浄液と中空糸膜とを同一方向に走行させることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の中空糸膜の製造方法。
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