JP2003275300A - 血液浄化用再生セルロース中空糸膜、その製造方法および血液浄化器 - Google Patents

血液浄化用再生セルロース中空糸膜、その製造方法および血液浄化器

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JP2003275300A
JP2003275300A JP2002085791A JP2002085791A JP2003275300A JP 2003275300 A JP2003275300 A JP 2003275300A JP 2002085791 A JP2002085791 A JP 2002085791A JP 2002085791 A JP2002085791 A JP 2002085791A JP 2003275300 A JP2003275300 A JP 2003275300A
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Yoshihiko Abe
吉彦 阿部
Haruki Aimi
陽樹 会見
Eiji Kato
栄二 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い透水性能と優れた分画分子量特性を併せ持
つ血液浄化用再生セルロース系中空糸膜を提供する。 【解決手段】緻密層と多孔層とが連続してなる膜断面構
造を有する再生セルロース中空糸膜であって、該膜断面
において該中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけて
ある緻密層が、下記(A)〜(E)を同時に満たす均質
構造であることを特徴とする血液浄化用再生セルロース
中空糸膜。 (A)緻密層厚が全膜厚の20〜60%、(B)緻密層
の数平均孔径が10〜50nm、(C)緻密層の最大孔
径が50〜150nm、(D)緻密層内の数平均孔径変
化率が±10%未満、かつ(E)緻密層内の最大孔径変
化率が±30%未満。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液透析療法に用
いる血液浄化用再生セルロース中空糸膜、その製造方法
および血液浄化器に関する。さらに詳しくは、緻密層と
多孔層とが連続してなる膜断面構造を有する、高い透水
性能と優れた分画分子量特性を有する血液浄化用再生セ
ルロース中空糸膜、その製造方法および血液浄化器に関
する。
【0002】
【従来の技術】血液透析療法において重要なことは、血
液中から所定量の除水をするとともに、尿素等の低分子
量物質、分子量が100から5,000の尿毒性中分子
量物質およびβ2−ミクログロブリン(分子量11,8
00)に代表される低分子量タンパク質等の不要物質を
効率的に除去し、かつ生体にとって有用な低分子量タン
パク質であるアルブミン(分子量66,000)は極力
除去しないことである。そのため、血液透析療法に用い
られる、血液透析や血液透析ろ過を行うダイアライザー
(血液透析器)には、透水性能と分画分子量特性が上記
の要求に応えるように設計された中空糸膜が使用されて
いる。
【0003】高い透水性能と優れた分画分子量特性を併
せ持つ中空糸膜としては、ポリスルホン/ポリビニルピ
ロリドン、ポリメチルメタクリレート等の合成ポリマー
系、セルローストリアセテート、セルロースジアセテー
ト等のセルロース誘導体等の半合成ポリマー系中空糸膜
が挙げられる。これら中空糸膜は、乾湿式紡糸法、いわ
ゆる溶媒相転換法を利用して製造される。
【0004】具体的には、ポリマー溶液(紡糸溶液)を
二重管状紡糸口金の管状スリットより吐出させ、同時に
ポリマーの非溶媒を含む凝固溶液(芯剤)を同口金中心
部より吐出し、内部が芯剤、外部がポリマー溶液である
吐出糸状物において、芯剤とポリマー溶液とが接する部
分を凝固させつつ(中空糸膜の膜内壁部近傍となる固体
構造を形成しつつ)、糸状物全体をポリマーの非溶媒を
含む凝固浴に誘導し凝固させて(中空糸膜の膜内壁側、
膜外壁部からぞれぞれ膜内部の方向へ固体構造を形成さ
せて)得られるものである。例えば、ポリスルホン/ポ
リビニルピロリドン中空糸膜は、膜厚が30〜50μ
m、膜内壁側に厚みが数十nmのスキン層(緻密層)
と、そのスキン層に連続して膜外壁側にかけてある支持
層(多孔層)とからなる膜断面構造、いわゆる非対称構
造を有している。中空糸内控に血液を循環させることか
ら、スキン層が主として血液中の除去物質の分離に係わ
る層であり、透水性能と分画分子量特性はその構造に大
きく依存する。よって、これまでの膜製造条件の改良に
より、高度に膜構造制御技術が進歩し、現在、高性能な
合成ポリマー系、半合成ポリマー系中空糸膜が提供され
て良好な臨床成績を納め、信頼性の高い中空糸膜として
広く使用されている。
【0005】一方、合成系あるいは半合成系ではない天
然ポリマーからなる中空糸膜、いわゆる再生セルロース
系中空糸膜は、血液浄化用中空糸膜としては初めて産業
化されたもので、これまでの長期にわたる臨床実績は多
い。しかしながら、血液透析療法の進歩とともに、除去
対象物質は、当初、主として尿素等の低分子量物質であ
ったが、近年、β2−ミクログロブリン(分子量11,
800)に代表される中分子量物質までの領域に広がっ
てきており、膜厚全体に渡って均質で密な構造を有す
る、従来の再生セルロース系中空糸膜の物質除去性能
(透水性能と分画分子量特性)では、十分な臨床効果を
得ることが困難になりつつある。
【0006】そこで、再生セルロース系中空糸膜の物質
除去性能を向上させるため、従来のものと比較して薄膜
のもの、およびその製造方法が提案されている(特開昭
55−90614号公報)。具体的には、従来は膜厚が
15〜25μmであったものを8μm以下と薄膜化する
ことにより、見かけの物質透過速度を向上させ得る薄膜
タイプの中空空糸膜、および薄膜化技術の提案である。
しかしながら、薄膜化により物質除去性能は向上するも
のの、血液浄化用中空糸膜として実用に耐え得る機械的
強度を有するものが得られない。
【0007】物質除去性能を向上させる別の方法とし
て、紡糸溶液組成を含む凝固条件を好適に設定して、従
来のものと比較して大孔径化した再生セルロース系中空
糸膜、およびその製造方法が幾つか提案されている。
【0008】例えば、好適条件のセルロース溶液(紡糸
溶液)の組成を見出したものが挙げられる(特開平2−
187133号公報および特開平4−11008号公
報)。また、凝固工程において、従来からの水酸化ナト
リウム水溶液を使用したノルマン化凝固ではなく、凝固
剤として硫酸または硫酸アンモニウムを使用した凝固を
採用したものが挙げられる(特開平2−135130号
公報)。
【0009】これら提案にもある薄膜化技術、さらには
膜構造制御技術の著しい進歩により、再生セルロース系
中空糸膜の物質除去性能は、合成ポリマー系および半合
成ポリマー系中空糸膜のそれに近づいては来ているもの
の、未だ十分な高い透水性能と優れた分画分子量特性を
併せ持つ血液浄化用再生セルロース中空糸膜は得られて
いない。また、上記性能を有しかつ水系の透水速度に対
する牛血系の透水速度の比率が高い目詰まりの少ない中
空糸膜は得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い透水性
能と優れた分子量分画特性をともに有する血液浄化用再
生セルロース中空糸膜および紡糸安定性を有するその製
造方法を提供することであり、詳しくは、緻密層と多孔
層とが連続してなる膜断面構造を有する再生セルロース
中空糸膜であって、膜断面において該中空糸膜の膜内壁
側から膜内部中央にかけてある緻密層が均質構造である
血液浄化用再生セルロース中空糸膜、その製造方法およ
び血液浄化器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】これらの目的および詳細
に述べられていないその他の目的は、下記の本発明によ
り達成される。
【0012】(1)緻密層と多孔層とが連続してなる膜
断面構造を有する再生セルロース中空糸膜であって、該
膜断面において該中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央に
かけてある緻密層が、下記(A)〜(E)を同時に満た
す均質構造であることを特徴とする血液浄化用再生セル
ロース中空糸膜。
【0013】(A)緻密層厚が全膜厚の20〜60%で
ある、(B)緻密層の数平均孔径が10〜50nmであ
る、(C)緻密層の最大孔径が50〜150nmであ
る、(D)緻密層内の数平均孔径変化率が±10%未満
であり、かつ(E)緻密層内の最大孔径変化率が±30
%未満である。
【0014】(2)該多孔層が、該緻密層に連続して膜
内部中央から膜外壁側にかけてあることを特徴とする前
記(1)に記載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜。
【0015】(3)水を用いて測定した膜面積1m2
りの透水速度が20〜100ml/(m2・hr・mm
Hg)であることを特徴とする前記(1)または(2)
に記載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜。
【0016】(4)β2−ミクログロブリンのクリアラ
ンスが、15〜30ml/minであることを特徴とす
る前記(1)ないし(3)のいずれか一つに記載の血液
浄化用再生セルロース中空糸膜。
【0017】(5)β2−ミクログロブリンの篩係数
が、0.6以上であることを特徴とする前記(1)ない
し(4)のいずれか一つに記載の血液浄化用再生セルロ
ース中空糸膜。
【0018】(6)セルロース溶液を二重管状紡糸口金
の管状スリットより吐出し、同時に芯剤を該口金中心部
より吐出し、内部に芯剤と外部にセルロース溶液とから
なる糸状物を凝固浴に浸漬する凝固工程と、該凝固工程
より得られた糸状物を洗浄する洗浄工程と、湿潤状態の
該糸状物に孔径維持剤を添着する添着工程と、該孔径維
持剤が添着された該糸状物を加熱乾燥する乾燥工程と、
該糸状物内部にある芯剤を除去洗浄する除去洗浄工程を
有する再生セルロース中空糸膜の製造方法であって、該
凝固工程がアンモニウム塩を溶解してなる水溶液浴槽と
それに続く水浴層とに浸漬する工程であることを特徴と
する血液浄化用再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0019】(7)該口金により吐出された糸状物が
0.1〜2.5秒間、該アンモニウム塩を溶解してなる
凝固浴中に浸漬されてなる前記(6)に記載の血液浄化
用再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0020】(8)前記アンモニウム塩が、硫酸アンモ
ニウムおよび塩化アンモニウムよりなる群から選ばれる
ことを特徴とする前記(6)または(7)に記載の血液
浄化用再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0021】(9)該アンモニウム塩を溶解してなる水
溶液のアンモニウム塩濃度が、8〜30質量%であるこ
とを特徴とする前記(6)ないし(8)のいずれか一つ
に記載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜の製造方
法。(10)前記(1)ないし(7)のいずれか一つに
記載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜を用いた血液
浄化器。
【0022】(11)膜厚が5〜50μm、内径が10
0〜300μmである中空糸膜を有する血液浄化器であ
って、水を用いて測定した膜面積1m2当りの透水速度
が20ml/(hr・mmHg・m2)以上であり、水
を用いて測定した透水速度に対する牛血液を用いて測定
した透水速度の比が45%以上であることを特徴とする
血液浄化器。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の血液浄化用再生セルロー
ス中空糸膜は、緻密層と多孔層とが連続してなる膜断面
構造を有し、該膜断面において該中空糸膜の膜内壁側か
ら膜内部中央にかけてある緻密層が均質構造であるもの
である。
【0024】本発明における均質構造の緻密層とは、緻
密層厚、緻密層の数平均孔径、緻密層の最大孔径、緻密
層内の数平均孔径変化率、緻密層内の最大孔径変化率か
らなる5つのパラメーターを同時に満たし得るものと規
定されるものである。
【0025】緻密層厚は、全膜厚の20〜60%、特に
30〜55%であることが好ましい。すなわち、本発明
における好適な全膜厚は5〜50μm、好ましくは20
〜40μmであることから、好適な緻密層厚は1〜30
μm、より好ましくは10〜20μmである。緻密層厚
が全膜厚の20%未満では、中空糸の機械的強度が著し
く低下し、実用に耐えられないものとなってしまうため
不適である。また、それが60%を超えると、全膜厚に
緻密構造が占める割合が多く、目的の透水性能が得られ
ないため不適である。
【0026】ここに、緻密層とは、例えば図1に示すよ
うに、5000倍の透過電子顕微鏡写真において、マク
ロボイドを有さず、実質的に均質に見える部分とする。
【0027】緻密層の数平均孔径は、10〜50nm、
特に25〜40nmであることが好ましい。数平均孔径
が10nm未満では、より透水性能が低下し、さらには
目的の分画分子量特性が得られないため不適である。ま
た、数平均孔径が50nmを超えると、透水性能は向上
するものの、目的の分画分子量特性が得られないため不
適である。
【0028】緻密層の最大孔径は、50〜150nm、
特に60〜90nmであることが好ましい。目的の分画
分子量特性を信頼性高く発現するために、予期しない設
計外である(偶発的に形成される)大きい孔径の孔が存
在することは好ましくない。よって、前記の通り、本発
明で好適な緻密層の数平均孔径は10〜50nmである
ことから、最大孔径が150nmより大きい孔が存在す
る場合は不適である。
【0029】緻密層内の数平均孔径変化率は、±10%
未満、特に±5%未満であることが好ましい。さらに、
緻密層内の最大孔径変化率が±30%未満であることが
好ましい。再生セルロース中空糸膜の緻密層は、数十〜
百数十nmのセルロース粒子が凝集、融合して連続化し
た粒子構造を有する。主として物質透過に係わる部分で
ある孔は、前記セルロース粒子間隙であると考えられ
る。よって、目的の分画分子量特性を信頼性高く発現す
るためには、緻密層を形成するセルロース粒子の粒径分
布が少ない様態で、緻密層が均質構造であることが重要
である。つまり、該層内に存在する孔の孔径分布がより
少ないことが好ましい。ただし、膜断面において全膜厚
部領域を10等分割して、最膜内壁側分割部の数平均孔
径(r1/10)、最大孔径(r1max/10)を基準として、
緻密層内での別の各分割部(n=2〜10)の数平均孔
径(rn/10)、最大孔径(rnmax/10)のそれぞれにつ
いて、緻密層内の各分割部の数平均孔径変化率は|(r
n/10−r1/10)r1|×100(%)、緻密層内の各分
割部の最大孔径変化率は|(rnmax/10−r1max/10)/
1max|×100(%)である。
【0030】本発明における多孔層は、膜断面において
前記緻密層に連続して膜内部中央から膜外壁側にかけて
あり、膜内壁側にある前記緻密層の支持体としての役割
を担う。よって、多孔層は、中空糸膜の分画分子量特性
を主として決定する層ではなく、中空糸膜の機械的強度
を向上させるための層である。ここに、多孔層とは、図
1の倍率5000倍の透過電子顕微鏡写真において、膜
下方略50%に見られるように、白色部分として明確に
確認できる孔を有する部分である。
【0031】本発明の再生セルロース中空糸膜の形状と
しては、これまで長期に渡り実績のある、公知の人工腎
臓用再生セルロース系中空糸膜のそれと同じで何ら問題
ない。具体的には、膜厚は5〜50μm、内径は100
〜300μmである。より好ましくは、膜厚は10〜3
0μm、内径は150〜250μmであることが好まし
い。
【0032】本発明の再生セルロース中空糸膜の物質除
去性能について、透水性としては、水を用いて測定した
膜面積1m2当りの透水速度が20〜100ml/(m2
・h・mmHg)、好ましくは20〜50ml/(m2
・h・mmHg)であること、分子量分画特性として
は、β2−ミクログロブリンのクリアランスが15〜3
0ml/min、好ましくは20〜30ml/minで
あり、かつβ2−ミクログロブリンの篩係数が0.6以
上、好ましくは0.6〜0.9、アルブミンの篩係数が
0.05以下、好ましくは0.03以下である。本発明
の再生セルロース中空糸膜は、前記性能パラメーター範
囲の透水性能と分画分子量特性を併せ持つことが好まし
い。ここで、透水速度の測定に用いる水は、イオン交換
水、逆浸透水系を用いることができる。
【0033】また、血液浄化に用いる中空糸膜は、純水
による水系の透水速度に比べ牛血を評価液とした血液系
の透水速度が小さく、中空糸膜が血液中の成分により目
詰まりしていると考えられているが、本発明の再生セル
ロース中空糸膜は、水を用いて測定した透水速度に対す
る牛血液を用いて測定した血液系の透水速度の比が45
%以上が好ましく、50%以上がさらに好ましい。これ
により、目詰まりの大変少ない膜を提供することができ
る。
【0034】本発明の血液浄化用再生セルロース中空糸
膜の製造方法は、セルロース溶液を二重管状紡糸口金の
管状スリットより吐出し、同時に芯剤を該口金中心部よ
り吐出し、内部に芯剤と外部にセルロース溶液とからな
る糸状物を凝固浴に浸漬する凝固工程と、該凝固工程よ
り得られた糸状物を洗浄する洗浄工程と、湿潤状態の該
糸状物に孔径維持剤を添着する添着工程と、該孔径維持
剤が添着された該糸状物を加熱乾燥する乾燥工程と、該
糸状物内部にある芯剤を除去洗浄する除去洗浄工程を有
することができる。
【0035】本発明に用いられるセルロース溶液を調製
する際に使用する溶液としては、一般に、人工腎臓用再
生セルロース中空糸膜の製造に使用されている、銅アン
モニウム溶液が使用可能である。また、銅アンモニウム
溶液を使用したセルロース溶液(紡糸溶液)は、特開平
2−187133号公報および特開平4−11008号
公報において提案されている組成のものが好ましい。
【0036】本発明に用いられるセルロースとしては、
一般に人工腎臓用再生セルロース膜の製造に使用されて
いる公知のものが使用可能である。好ましくは、長期に
わたる臨床実績により安全性が確認されている精製コッ
トンリンター(α−セルロースが97質量%以上)であ
り、特開平4−11008号公報において提案されてい
るTAPPI標準法T230に従って測定した粘度が5
〜20cP、好ましくは7〜10cP、粘度平均重合度
が500〜1,500、好ましくは1000〜1400
のものである。
【0037】本発明に用いられるセルロース溶液のセル
ロースの配合割合は、溶液総質量に対して4〜20質量
%、特に5〜8質量%であることが好ましい。セルロー
スの配合割合が4質量%未満では、実際の使用に耐えら
れる機械的強度を得ることが困難であり、また20質量
%を超えると、セルロース溶液(紡糸溶液)の粘度が非
常に高くなり、均一な紡糸溶液の調製および紡糸が困難
となるため不適である。
【0038】本発明に用いられる芯剤としては、一般に
人工腎臓用再生セルロース膜の製造に使用されている公
知の気体、液体の芯剤流体が使用可能である。例えば、
空気、窒素などの気体、ミリスチン酸イソプロピル、酢
酸イソアミルアルコール、パルミチン酸イソプロピル等
の脂肪族エステル、パラフィンなどの液体が挙げられ
る。
【0039】前記セルロース溶液を凝固再生浴に浸漬す
る凝固工程において、セルロース粒子が形成され、これ
が凝集、融合してなる粒子構造である中空糸状物が得ら
れる。本凝固工程では、口金中心部より吐出された内部
に芯剤と外部にセルロース溶液とからなる糸状物は、ま
ずアンモニウム塩を溶解してなる水溶液浴槽に導かれ、
それに続く水浴槽に連続的に導かれる。
【0040】本発明で重要な要素は、口金より吐出され
た糸状物が、アンモニウム塩を溶解してなる水溶液層に
浸漬される時間に関する。本発明の該浸漬時間は、0.
1秒から2.5秒であり、好ましくは0.5から2秒で
ある。下限値より短い場合、凝固が不完全となり、紡糸
することができないという問題があり、上限値より長い
場合、緻密層の形成が不充分となるという問題がある。
【0041】本発明に用いられるアンモニウム塩として
は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が産業上入
手し易い点より好ましい。また、水浴槽の水は、セルロ
ース溶液と凝固液との間での溶媒交換速度を高めて凝固
を促進するために、20℃から60℃の水を使用するこ
とが好ましい。
【0042】前記凝固工程により得られた糸状物を洗浄
する洗浄工程において、前記凝固により得られた糸状物
を、硫酸を使用した酸洗浄、水酸化ナトリウム水溶液を
使用したアルカリ洗浄、水洗浄を適宜組み合わせて洗浄
を行い、最終的には水洗浄で洗浄を終了することが好ま
しい。洗浄条件、洗浄装置は公知のものを使用すれば良
く、例えば、特公平8−29231号公報に提案されて
いる通り、糸状物をベルトコンベア等よりなる搬送装置
により搬送しながら、その上部よりシャワー洗浄を行う
洗浄装置が、洗浄効率が高く好適である。
【0043】前記洗浄工程を経た湿潤状態の糸状物に、
膜構造を保持する、いわゆる膜孔径を維持する目的であ
る、孔径維持剤を添着する添着工程において、孔径維持
剤を溶解させた水溶液を糸状物に添着する。本発明に用
いられる孔径維持剤としては、一般に、人工腎臓用再生
セルロース中空糸膜の製造に使用されている公知のもの
が使用可能である。例えば、グリセリン、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコー
ルが挙げられる。特に好ましくは、長期にわたる臨床成
績により安全性が確認されているグリセリンである。ま
た、孔径保持のために必要なグリセリンを添着させるた
めには、添着液であるグリセリン水溶液のグリセリン濃
度は5〜20質量%、特に8〜15質量%が好ましい。
【0044】該孔径維持剤が添着された糸状物を加熱乾
燥工程において、糸状物に含まれる余剰な水を加熱乾燥
により除去し、糸状物中の含水量を下記の所定量に調整
する。その好適な加熱温度は40〜150℃、より好ま
しくは100〜140℃である。さらに加熱時間は、前
記加熱温度において、紙・ダンボール水分計KG−40
型(サンコウ電子研究所製)を用いて測定した糸状物の
湿重量基準水分率が5〜20質量%、好ましくは10〜
14質量%になる様に任意に設定することができる。4
0℃未満では乾燥時間が長くかかり、また乾燥が不十分
なことが多く、150℃を超えると乾燥時間は短くなる
ものの、中空糸膜の物質除去性能が低下してしまう可能
性がある。
【0045】最終工程である、糸状物内部にある芯剤を
除去洗浄する除去洗浄工程において、前記芯剤をフッ素
系溶剤、ハロゲン系溶剤等の洗浄剤を用いて除去洗浄、
乾燥を行う。洗浄剤としては、例えば、代替フロン、塩
化メチレンが挙げられる。
【0046】以上により、本発明の中空糸膜が得られ
る。
【0047】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて更に具
体的に説明する。また、本発明の評価方法については以
下に従った。
【0048】(1)膜断面構造解析(TEM観察、画像
処理、孔径及び孔径変化率の算出) 十分な水洗浄により孔径維持剤を除去した中空糸膜につ
いて、まずはエタノール系列による脱水を行った。具体
的には、中空糸を30容量%、50容量%、80容量
%、90容量%および95容量%の各エタノール水溶液
に順次浸漬し、最終的にはエタノールに浸漬して中空糸
膜中の水をエタノール置換にした。なお、各エタノール
水溶液およびエタノールへの浸漬温度および時間は、そ
れぞれ25℃で30分間行った。
【0049】次に、エタノール置換した中空糸膜のRu
4染色を行った後、エポキシ樹脂に包埋して硬化させ
た。得られた硬化物のトリミングを行い、膜厚方向(中
空糸の長さ方向と直角方向)の膜断面を含む厚さ約70
nmの超薄切片を作製した。
【0050】透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100
FA型(株式会社日立製作所製)を用いて、加速電圧1
00kVの観察条件にて、前記超薄切片の膜断面部分の
観察を行い、図1に示すTEM写真(×5,000)を
得た。
【0051】まず、前記TEM写真の膜断面部分より、
全膜厚および中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけ
てある緻密層厚を測定した。次に、膜断面の全膜厚部領
域を10等分割して、各分割部をトレース像として、画
像解析装置Image−Pro Plus Ver.
4.0(MEDIA CYBERNETICS社製)を
用いた画像解析により、孔の円相当半径(孔部分の面積
と等しい真円の半径)19nmを測定限界として、数平
均孔径および最大孔径を算出した。なお、最膜内壁側分
割部の数平均孔径(r1/10)および最大孔径(r
1max/10)を基準として、緻密層内での別の各分割部
(n=2〜10)の数平均孔径(rn/10)および最大孔
径(rnmax/10)のそれぞれについて、緻密層内の各分
割部の数平均孔径変化率は|(rn/10−r1/10)/r
1/10|×100(%)、緻密層内の各分割部の最大孔径
変化率は|(rnmax/10−r1max/10)/r1max|×10
0(%)により、それぞれ算出した。
【0052】(2)透水速度(UFR) 透水速度は、透析会誌29(8)1231〜1245,
1996「各種の血液浄化法の機能と適応−血液浄化器
の性能評価法と機能分類」の「(付記)血液浄化器の評
価法」記載方法に従い測定した。また、後述する血液調
製、下記溶質のクリアランス、篩係数の測定についても
同様にその記載方法に従った。
【0053】本発明の「透水速度」は、上記文献に記載
されている「限外濾過率」を指し、牛血液を用いた評価
においては、上記文献の表6中の「血液透析」条件で行
った。 UFR=(60×Qf)/TMP、TMP=(Pb1
Pb0)/2−PfUFR:(ml/mmHg/h
r)、TMP:膜間圧力差(mmHg)、Pb1:血液
側入口圧(mmHg)、Pb0:血液側出口圧(mmH
g)、Pf:濾液側圧(mmHg)、Qf:濾液流量
(ml/min) (3)β2−ミクログロブリンのクリアランス測定 Ht30±3%、血漿総蛋白質6.5±0.5g/d
l、人由来β2−ミクログロブリンを0.1〜4.0m
g/dlに調整した牛血液を使用し、QB200±4m
l/min、QD500±15ml/min、Qf1
0.0±1.0ml/min/m2、血液温度37±1
℃の測定条件にて行い、サンプリングは実験開始後60
分とした。サンプル中のβ2−ミクログロブリン濃度
(C(mg/dl))測定はラッテックス凝集免疫法に
より測定した。
【0054】 CL=(Qb1・Cb1−Qb0・Cb0)/Cb1 CL:クリアランス(ml/min)、Qb1:血液入
口流量(ml/min)、Qb0:血液出口流量(ml
/min)、Cb1:血液側入口濃度(mg/dl)、
Cb0:血液側入口濃度(mg/dl) なお、マスバランスエラー(%MBS)が50%を超え
るデータは採用しないこととした。
【0055】(4)β2−ミクログロブリンの篩係数測
定 前記β2−ミクログロブリンのクリアランス測定と同じ
牛血液を、QB200±4ml/min、Qf10.0
±1.0ml/min/m2、血液温度37±1℃の測
定条件にて行った。サンプル中のβ2−ミクログロブリ
ン濃度(C(mg/dl))測定はラッテックス凝集免
疫法により測定した。
【0056】SC=2Cf/(Cbi+Cbo) SC:篩係数、Cf:濾液濃度、Cbi:血液側入口濃
度(mg/dl)、Cbo:血液側入口濃度(mg/d
l) なお、マスバランスエラー(%MBS)が20%を超え
るデータは採用しないこととした。
【0057】(5)アルブミンの篩係数測定 人由来β2−ミクログロブリンをアルブミンにした以外
は、β2−ミクログロブリンの篩係数測定と同様に測定
を行った。なお、サンプル中のアルブミン濃度測定はB
CG法により測定した。
【0058】実施例1 25質量%濃度のアンモニア水溶液2354gに塩基性
硫酸銅を540g懸濁させて銅アンモニア水溶液を調整
し、これに10容量%亜硫酸ナトリウム水溶液1690
gを添加した。この溶液に重合度約1200(±10
0)のコットンリンターパルプを湿式粉砕し、脱水した
含水リンター(含水率69.7%)2273gを投入
し、濃度調整用RO水を添加して攪拌溶解を行い、次い
で10容量%水酸化ナトリウム水溶液1233gを添加
し、さらにRO水を添加し、6.1質量%の紡糸原液で
ある銅アンモニウムセルロース溶液(粘度300P)を
調整した。
【0059】前記紡糸原液(20℃)を、吐出速度8.
2ml/minで吐出させた。また、芯剤として原液凝
固性の弱い溶剤である、エポキシ変性界面活性剤を含有
するミリスチン酸イソプロピル(比重0.854)を使
用し、吐出速度2.25ml/minで吐出させた。
【0060】なお、使用した二重管状紡糸口金につい
て、紡糸原液を吐出させる管状スリットの間隔は1.0
5mm、芯剤を吐出させる管の管径は0.7mmであっ
た。
【0061】次いで、吐出した内部に芯剤と外部にセル
ロース溶液とからなる糸状物を、まずは13質量%濃度
の硫酸アンモニウム水溶液(25±4℃)の凝固浴中に
エアーギャップを介して落下させ、変向棒により水平方
向に進行させ、紡糸速度78m/min、走行距離2m
で走行させ、それに続く水(30±5℃)の凝固浴中に
連続的に走行距離4mで走行させた。これら凝固浴か
ら、糸状物を引き取りローラにより引き上げた後、ベル
トコンベアよりなる搬送装置上に振り落とし堆積させ、
該搬送装置上で、芯剤中のエポキシ変性界面活性剤のエ
ポキシ開環反応をさせるために、シャワーにて、2.5
N水酸化ナトリウム水溶液を使用したアルカリ洗浄、続
いて水洗浄、5質量%硫酸を使用した酸洗浄、最終的に
は水洗浄を十分に行った。
【0062】洗浄した糸状物を100℃の水蒸気に2秒
間接触させてスチーム処理を行い、続いて12質量%濃
度のグリセリン水溶液(80℃)に1秒間浸漬して、糸
状物に孔径維持剤であるグリセリンを添着させた。続い
て、ローラを平行に配列した加熱乾燥機を用いて、乾燥
温度120℃で糸状物を乾燥した。得られた糸状物の湿
重量基準水分率は10質量%であった。
【0063】最後に、洗浄剤の塩化メチレンを使用し、
糸状物内部にある芯剤を除去洗浄、乾燥を行い、図2に
示す断面を有する中空糸膜を作製した。
【0064】得られた中空糸膜を十分な水洗浄を行い、
孔径維持剤を除去した後、膜断面構造解析を行った。
【0065】該中空糸膜は、緻密層と多孔層とが連続し
てなる膜断面構造を有し、緻密層は膜断面において該中
空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけてあるものであ
った。また、全膜厚は33μm、緻密層厚は18μmで
あった。よって、緻密層厚は全膜厚の54%であった。
【0066】最膜内壁側分割部の数平均孔径(r1/10
および最大孔径(r1max/10)、緻密層内での別の各分
割部(n=2〜5)の数平均孔径(rn/10)、最大孔径
(r nmax/10)は、次記の通りであった。 分割部n=1:r1/10=33nm、r1max/10=117
nm 分割部n=2:r2/10=32nm、r2max/10=112
nm 分割部n=3:r3/10=32nm、r3max/10=113
nm 分割部n=4:r4/10=34nm、r4max/10=108
nm 分割部n=5:r5/10=34nm、r5max/10=111
nm また、緻密層内の各分割部の数平均孔径変化率は|(r
n/10-r1/10)/r1/1 0|×100(%)、緻密層内の
各分割部の最大孔径変化率は|(rnmax/10
1max/10)/r1max/10|×100(%)は、次記の通
りであった。
【0067】 <数平均孔径変化率> 分割部n=2:3.0% 分割部n=3:3.4% 分割部n=4:3.0% 分割部n=5:3.0% <最大孔径変化率> 分割部n=2:4.3% 分割部n=3:3.4% 分割部n=4:7.7% 分割部n=5:5.1% 得られた中空糸膜について、周知の方法に従い有効膜面
積1.5m2の中空糸膜型血流透析器を作成し、透水速
度、β2−ミクログロブリンクリアランス、β2−ミクロ
グロブリン篩係数およびアルブミン篩係数を測定したと
ころ、表1に示す結果が得られた。
【0068】実施例2 実施例1における13質量%濃度の硫酸アンモニウム水
溶液を、10質量%濃度の塩化アンモニウム水溶液に変
更した以外は、実施例1と同様にして図3に示す断面を
有する中空糸膜を作製した。
【0069】得られた中空糸膜は、緻密層と多孔層とが
連続してなる膜断面構造を有し、緻密層は膜断面におい
て該中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけてあるも
のであった。また、全膜厚は27μm、緻密層厚は11
μmであった。よって、緻密層厚は全膜厚の41%であ
った。
【0070】最膜内壁側分割部の数平均孔径(r1/10
および最大孔径(r1max/10)、緻密層内での別の各分
割部(n=2〜4)の数平均孔径(rn/10)、最大孔径
(r nmax/10)は、次記の通りであった。 分割部n=1:r1/10=34nm、r1max/10=83n
m 分割部n=2:r2/10=33nm、r2max/10=80n
m 分割部n=3:r3/10=32nm、r3max/10=77n
m 分割部n=4:r4/10=33nm、r4max/10=81n
m また、緻密層内の各分割部の数平均孔径変化率は|(r
n/10−r1/10)/r1/ 10|×100(%)、緻密層内の
各分割部の最大孔径変化率は|(rnmax/10
1max/10)/r1max/10|×100(%)は、次記の通
りであった。
【0071】 <数平均孔径変化率> 分割部n=2:2.9% 分割部n=3:5.9% 分割部n=4:2.9% <最大孔径変化率> 分割部n=2:3.6% 分割部n=3:7.2% 分割部n=4:2.4% 得られた中空糸膜について、実施例1と同様な試験を行
なったところ、表1に示す結果が得られた。
【0072】比較例1 実施例1おける13質量%濃度の硫酸アンモニウム水溶
液の凝固浴、それに続く水の凝固浴を、2.5N水酸化
ナトリウム水溶液に変更した以外は、実施例1と同様に
して図4に示す断面を有する中空糸膜を作製した。
【0073】得られた中空糸膜は、緻密層のみの膜断面
構造であった。全膜厚は31μm、緻密層厚は31μm
であった。よって、緻密層厚は全膜厚の100%であっ
た。
【0074】最膜内壁側分割部の数平均孔径(r1/10
および最大孔径(r1max/10)、緻密層内での別の分割
部(n=2〜10)の数平均孔径(rn/10)、最大孔径
(r nmax/10)は、次記の通りであった。 分割部n=1:r1/10=32nm、r1max/10=76n
m 分割部n=2:r2/10=33nm、r2max/10=80n
m 分割部n=3:r3/10=32nm、r3max/10=78n
m 分割部n=4:r4/10=33nm、r4max/10=81n
m 分割部n=5:r5/10=33nm、r5max/10=82n
m 分割部n=6:r6/10=34nm、r6max/10=84n
m 分割部n=7:r7/10=33nm、r7max/10=83n
m 分割部n=8:r8/10=32nm、r8max/10=78n
m 分割部n=9:r9/10=33nm、r9max/10=81n
m 分割部n=10:r10/10=31nm、r10max/10=8
0nm また、緻密層内の各分割部の数平均孔径変化率は|(r
n/10−r1/10)/r1/ 10|×100(%)、緻密層内の
各分割部の最大孔径変化率は|(rnmax/10
1max/10)/r1max/10|×100(%)は、次記の通
りであった。
【0075】 <数平均孔径変化率> 分割部n=2:3.1% 分割部n=3:0% 分割部n=4:3.1% 分割部n=5:3.1% 分割部n=6:6.3% 分割部n=7:3.1% 分割部n=8:0% 分割部n=9:3.1% 分割部n=10:6.3% <最大孔径変化率> 分割部n=2:5.3% 分割部n=3:2.6% 分割部n=4:6.6% 分割部n=5:7.9% 分割部n=6:10.5% 分割部n=7:7.0% 分割部n=8:2.6% 分割部n=9:6.6% 分割部n=10:5.3% 得られた中空糸膜について、実施例1と同様な試験を行
なったところ、表1に示す結果が得られた。
【0076】比較例2 実施例1おける13質量%濃度の硫酸アンモニウム水溶
液の凝固浴、それに続く水の凝固浴を、10%硫酸の凝
固浴、それに続く2.5N水酸化ナトリウム水溶液に変
更した以外は、実施例1と同様にして図5に示す断面を
有する中空糸膜を作製した。
【0077】得られた中空糸膜は、緻密層と多孔層とが
連続してなる膜断面構造を有し、緻密層は膜断面におい
て該中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけてあるも
のであった。また、全膜厚は38μm、緻密層厚は17
μmであった。よって、緻密層厚は全膜厚の45%であ
った。
【0078】最膜内壁側分割部の数平均孔径(r1/10
および最大孔径(r1max/10)、緻密層内での別の分割
部(n=2〜4)の数平均孔径(rn/10)、最大孔径
(rnm ax/10)は、次記の通りであった。 分割部n=1:r1/10=32nm、r1max/10=89n
m 分割部n=2:r2/10=33nm、r2max/10=151
nm 分割部n=3:r3/10=36nm、r3max/10=133
nm 分割部n=4:r4/10=31nm、r4max/10=78n
m また、緻密層内の各分割部の数平均孔径変化率は|(r
n/10−r1/10)/r1/ 10|×100(%)、緻密層内の
各分割部の最大孔径変化率は|(rnmax/10
1max/10)/r1max/10|×100(%)は、次記の通
りであった。
【0079】 <数平均孔径変化率> 分割部n=2:3.1% 分割部n=3:12.5% 分割部n=4:3.1% <最大孔径変化率> 分割部n=2:69.7% 分割部n=3:49.4% 分割部n=4:12.4% 得られた中空糸膜について、実施例1と同様な試験を行
なったところ、表1に示す結果が得られた。
【0080】
【表1】
【0081】比較例3 実施例1における13質量%濃度の硫酸アンモニウム水
溶液の凝固浴、それに続く水の凝固浴を、13質量%濃
度の硫酸アンモニウム水溶液の凝固浴、それに続く2.
5N水酸化ナトリウム水溶液の凝固浴に変更した以外
は、実施例1と同様にして、中空糸膜の作製を試みた
が、2.5N水酸化ナトリウム水溶液の凝固浴におい
て、糸状物の固体構造形成が正常に起こらず、切糸が頻
繁に発生して紡糸が困難であり、中空糸膜を作製するこ
とができなかった。
【0082】
【発明の効果】上記の通り、本発明の構成を有すること
により、血液浄化用再生セルロース系中空糸膜におい
て、高い透水性能と優れた分画分子量特性を併せ持つこ
とができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による中空糸膜横断面の一実施例を示す
透過型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 2/00 D01F 2/00 A // D01F 2/04 2/04 A (72)発明者 加藤 栄二 静岡県富士宮市舞々木町150番地 テルモ 株式会社内 Fターム(参考) 4C077 AA05 AA12 BB01 EE01 EE03 KK12 LL05 LL13 LL17 PP03 PP15 4D006 GA13 HA01 JA09 KE03Q KE03R MA01 MA06 MA22 MA25 MA31 MA33 MB02 MB05 MB20 MC12 MC12X NA05 NA12 NA16 NA17 NA54 NA64 NA75 PA01 PB09 PC47 4L035 AA04 AA09 BB04 BB05 BB22 CC05 DD03 DD07 DD14 FF01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緻密層と多孔層とが連続してなる膜断面
    構造を有する再生セルロース中空糸膜であって、該膜断
    面において該中空糸膜の膜内壁側から膜内部中央にかけ
    てある緻密層が、下記(1)〜(5)を同時に満たす均
    質構造であることを特徴とする血液浄化用再生セルロー
    ス中空糸膜。 (1)緻密層厚が全膜厚の20〜60%である、 (2)緻密層の数平均孔径が10〜50nmである、 (3)緻密層の最大孔径が50〜150nmである、 (4)緻密層内の数平均孔径変化率が±10%未満であ
    り、かつ (5)緻密層内の最大孔径変化率が±30%未満であ
    る。
  2. 【請求項2】 該多孔層が、該緻密層に連続して膜内部
    中央から膜外壁側にかけてあることを特徴とする請求項
    1に記載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜。
  3. 【請求項3】 水を用いて測定した膜面積1m2当りの
    透水速度が20〜100ml/(m2・hr・mmH
    g)であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    血液浄化用再生セルロース中空糸膜。
  4. 【請求項4】 β2−ミクログロブリンのクリアランス
    が、15〜30ml/minであることを特徴とする請
    求項1ないし3のいずれか一つに記載の血液浄化用再生
    セルロース中空糸膜。
  5. 【請求項5】 β2−ミクログロブリンの篩係数が、
    0.6以上であることを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか一つに記載の血液浄化用再生セルロース中空糸
    膜。
  6. 【請求項6】 セルロース溶液を二重管状紡糸口金の管
    状スリットより吐出し、同時に芯剤を該口金中心部より
    吐出し、内部に芯剤と外部にセルロース溶液とからなる
    糸状物を凝固浴に浸漬する凝固工程と、該凝固工程より
    得られた糸状物を洗浄する洗浄工程と、湿潤状態の該糸
    状物に孔径維持剤を添着する添着工程と、該孔径維持剤
    が添着された該糸状物を加熱乾燥する乾燥工程と、該糸
    状物内部にある芯剤を除去洗浄する除去洗浄工程を有す
    る再生セルロース中空糸膜の製造方法であって、該凝固
    工程がアンモニウム塩を溶解してなる水溶液浴槽とそれ
    に続く水浴槽とに浸漬する工程であることを特徴とする
    血液浄化用再生セルロース中空糸膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 該口金により吐出された糸状物が0.1
    〜2.5秒間、該アンモニウム塩を溶解してなる凝固浴
    中に浸漬されてなる請求項6に記載の血液浄化用再生セ
    ルロース中空糸膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記アンモニウム塩が、硫酸アンモニウ
    ムおよび塩化アンモニウムよりなる群から選ばれること
    を特徴とする請求項6または7に記載の血液浄化用再生
    セルロース中空糸膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 該アンモニウム塩を溶解してなる水溶液
    のアンモニウム塩濃度が、8〜30質量%であることを
    特徴とする請求項6ないし8のいずれか一つに記載の血
    液浄化用再生セルロース中空糸膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし7のいずれか一つに記
    載の血液浄化用再生セルロース中空糸膜を用いた血液浄
    化器。
  11. 【請求項11】 膜厚が5〜50μm、内径が100〜
    300μmである中空糸膜を有する血液浄化器であっ
    て、水を用いて測定した膜面積1m2当りの透水速度が
    20ml/(hr・mmHg・m2)以上であり、水を
    用いて測定した透水速度に対する牛血液を用いて測定し
    た透水速度の比が45%以上であることを特徴とする血
    液浄化器。
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