JPH0947645A - 中空糸分離膜及び血液浄化器 - Google Patents

中空糸分離膜及び血液浄化器

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Publication number
JPH0947645A
JPH0947645A JP20244795A JP20244795A JPH0947645A JP H0947645 A JPH0947645 A JP H0947645A JP 20244795 A JP20244795 A JP 20244795A JP 20244795 A JP20244795 A JP 20244795A JP H0947645 A JPH0947645 A JP H0947645A
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JP
Japan
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membrane
hollow fiber
pore diameter
molecular weight
present
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JP20244795A
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English (en)
Inventor
Makoto Fukuda
誠 福田
Makoto Miyazaki
誠 宮崎
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、β2 マイクログロブリンに
代表される高分子量物質の優れた除去性能を維持しつつ
膜厚部分への高分子量タンパク質の侵入を抑制し、同時
に透析液中から患者体内へのエンドトキシンフラグメン
トの侵入を抑制し得て、種々の生体反応あるいはそれに
よって引き起こされる合併症を抑制し得る中空糸分離膜
及び血液浄化器を提供することである。 【解決手段】 繊維軸方向に連続した中空部を有する中
空糸膜であって、膜内壁部表面近傍層における微細孔径
の孔径が500nm以下であり、膜厚方向断面に分布す
る微細孔の孔径分布において少なくとも1つ以上の極大
孔径を有し、その極大孔径が膜内壁部表面近傍層におけ
る孔径の1.2倍以上の大きさでありかつ膜外壁部表面
近傍層の孔径が膜内壁部表面近傍層の孔径の0.6倍以
上1.2倍未満の大きさであることを特徴とする中空糸
分離膜および中空糸分離膜が結束されて成る血液浄化
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な微細孔構造
を有する中空糸型分離膜に関する。より詳しくは、本発
明は血液浄化療法においてβ2 マイクログロブリン(分
子量11,800)に代表される高分子量物質の除去性
能が高く、高分子量タンパク質の膜厚部分への侵入を抑
制し得る生体適合性に優れた膜に関するのであり、かつ
透析液中から膜を介して患者体内へのエンドトキシンの
侵入がない中空糸分離膜及び血液浄化器に関する。
【0002】
【従来の技術】血液浄化療法においては、再生セルロー
ス膜、特に銅アンモニウム法再生セルロース膜が広く用
いられ、血液透析装置や透析技術の進歩と共に、腎不全
患者の延命、社会復帰に大きな役割を果たしている。こ
れは、再生セルロース膜が優れた透析性能や機械的強度
を有すると共に、長年の実績に裏付けされた高い安全性
を有しているからに他ならない。
【0003】これまで、再生セルロース膜に限らず、血
液浄化膜には大きく分けて2つの特性が求められてい
た。その1つはβ2 マイクログロブリン(分子量11,
800)に代表される高分子量物質の除去性能に優れる
ことであり、もう1つは生体適合性に優れることであ
る。前者について説明すると、例えば、慢性腎不全によ
り血液浄化療法を長期間にわたって継続的に受けている
患者には、高頻度で貧血、高血圧、色素沈着、骨・関節
痛障害等の合併症が認められる場合がある。そのような
場合の原因究明と対応策の研究が進められ前記合併症の
うち手根管症侯群の発症にはβ2 マイクログロブリンの
体内での蓄積が大きく関与しているとされるに至り、β
2 マイクログロブリンを除去できる大きな孔を有する血
液浄化膜が求められるようになった。
【0004】血液浄化膜に対するこのような要求に応じ
て、膜の孔径を拡大させる膜製造技術が確立され、β2
マイクログロブリンをはじめとする高分子量物質の除去
性能に優れた膜がすでに開発され提案されている(例え
ば特開平2−135130号公報、特開平2−2112
29号公報及び特開平3−8422号公報等)。しかし
ながら、これらの従来提案されている膜は孔径の拡大に
よりβ2 マイクログロブリンの除去性能は確かに向上し
たものの、膜内壁部表面の孔径が外壁部表面の孔径に比
べてより大きい膜構造、すなわち逆グラジエント構造、
の膜であるため高分子量タンパク質等の膜厚部分への蓄
積が多く、それ故にこれらの膜は生体適合性に関する問
題を有しているのである。すなわち、周知のように、高
分子量タンパク質の中には、膜素材との接触によって活
性化し、生理活性物質を放出するタンパク質があるので
あり、例えば血液凝固系のタンパク質のうち、血液凝固
第XII因子(分子量80,000)、プリカリクレイ
ン(分子量88,000)および高分子キニノーゲン
(分子量150,000)が活性化すると生理活性物質
として知られるブラジキニンが産生し、補体系のタンパ
ク質のうちC3(分子量185,000)、C5 (分子
量191,000)が活性化するとマスト細胞からのヒ
スタミン遊離作用などの生理活性を持ったアナフィラト
キシンが産生する。従って、血液浄化膜においてはブラ
ジキニンやアナフィラトキシンの産生を極力抑制するこ
とが望ましく、そのためには高分子量タンパク質の活性
化を抑制することすなわち高分子量タンパク質の膜厚部
分への侵入を抑制することおよび高分子量タンパク質と
膜の接触面積を抑制することが必要となるのである。
【0005】また、孔径の大きい血液浄化膜は、その実
用に際して、透析液中に含まれるエンドトキシンフラグ
メント(エンドトキシンの本体は、グラム陰性桿菌の細
胞壁成分の20%を占めるリポ多糖である。)が孔径の
大きい膜を介して透析液中から血液中へ侵入することが
問題とされている。このような患者体内へのエンドトキ
シンの侵入は、発熱や関節痛等の感冒様症状、症候性低
血圧等の合併症を起こすから問題となるのである。
【0006】血液浄化用の透析液は一般に濃縮液を水で
希釈して用いているが、欧米や日本では希釈水として通
常水道水を用いる。中空糸分離膜が血液浄化に用いられ
始めた当初は、グラム陰性桿菌汚染の問題は知られては
いたが、解決されておらず、また重要視されてもいなか
った。それは、グラム陰性桿菌の細胞壁構成成分である
エンドトキシンフラグメントの分子量が2,000〜3
0,000ダルトン程度であり、すべての血液浄化膜が
それらを拒絶するため、血液浄化膜を介してエンドトキ
シンフラグメントが血液中へ移行することはあり得ない
と考えられていたからである。しかし、高分子量物質除
去を目的とする孔径の大きい高性能膜の開発が進んだ結
果、これらの高性能膜を介してエンドトキシンフラグメ
ントが透析液中から血液中へ侵入することが明らかとな
り問題とされるようになったのである。また、患者体内
へ侵入するエンドトキシンがごく微量であるにも関わら
ず、主としてインターロイキン・ネットワークを通じ炎
症性サイトカインを誘導して種々の生理活性を示し、動
脈硬化ならびに骨・関節痛障害すなわち透析合併症を誘
発する因子であることが明確にされると、透析液中から
患者体内へのエンドトキシンの侵入を抑制する要求が一
段と高まるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、β2
マイクログロブリンに代表される高分子量物質の優れた
除去性能を維持しつつ膜厚部分への高分子量タンパク質
の侵入を抑制し、同時に透析液中から患者体内へのエン
ドトキシンフラグメントの侵入を抑制し得て、種々の生
体反応あるいはそれによって引き起こされる合併症を抑
制し得る中空糸分離膜及び血液浄化器の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記本発
明課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、本発明
課題を達成し得る微細孔構造を有する中空糸膜を見出
し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明
は、繊維軸方向に連続した中空部を有する中空糸膜であ
って、膜内壁部表面近傍層における微細孔径の孔径が5
00nm以下であり、膜厚方向断面に分布する微細孔の
孔径分布において少なくとも1つ以上の極大孔径を有
し、その極大孔径が膜内壁部表面近傍層における孔径の
1.2倍以上の大きさでありかつ膜外壁部表面近傍層の
孔径が膜内壁部表面近傍層の孔径の0.6倍以上1.2
倍未満の大きさであることを特徴とする中空糸分離膜で
ある。
【0009】また、本発明は、中空糸分離膜が結束され
て成り、透水速度が30ml/m2hrmmHg以上、
タンパクトラップ量が30μg/cm2 以下、エンドト
キシンフラグメントの物質移動速度比が1.0以下であ
ることを特徴とする血液浄化器である以下に本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0010】本発明による中空糸膜は、微細孔構造に特
徴を有する。本発明による中空糸膜の膜内壁部表面近傍
層における微細孔の孔径は500nm以下である必要が
ある。この孔径を500nm超にすると、血液浄化療法
における分離膜とした際に、高分子量タンパク質が膜厚
部分へ侵入する恐れがあるためである。より好ましい前
記微細孔の孔径は200nm以下である。 また、本発
明の中空糸膜は、膜厚方向断面の微細孔の孔径分布にお
いて少なくとも一つ以上の極大孔径を有する孔構造とす
ることが必要である。その上、その極大孔径を膜内壁部
表面近傍層における孔径の1.2倍以上の大きさとしか
つ膜外壁部表面近傍層の孔径が膜内壁部表面近傍層の孔
径の0.6倍以上1.2倍未満の大きさである孔構造と
する必要がある。本発明者らは、このような孔構造とす
ることによってのみ、血液透析に際して膜外壁部から内
壁部へのエンドトキシンフラグメントの侵入を抑制し得
ることを見出したのである。
【0011】本発明は、微細孔構造を上述のように精緻
に組織させた中空糸膜であるため、血液透析膜としての
対象とする物質の除去能力に優れ、その上膜厚部分への
高分子量タンパク質の侵入を抑制し得てかつ透析液中か
ら患者体内へのエンドトキシンフラグメントの侵入を抑
制し得る中空糸分離膜となせるのである。本発明による
中空糸膜の有する前記機能の全てを同時に満足する中空
糸膜は従来皆無であった。例えば、膜厚方向断面の孔径
がほぼ均一な構造である中空糸型分離膜では、膜の孔径
の拡大に伴い物質除去性能が増加するが、物質の移動と
は逆方向のエンドトキシンフラグメントの体内への侵入
も容易となることが懸念される。
【0012】一方、膜内壁面の平均孔径が小さく膜外壁
面に進むに従ってその孔径が連続的に拡大するグラジエ
ント構造の中空糸型分離膜では、孔径拡大の際膜内壁面
よりも外壁面の孔径の拡大率の方が大きいため、孔径拡
大によって物質除去性能は高まるが、同時に膜外壁部か
らの内壁部方向へ(すなわち、透析液中から血液中へ)
のエンドトキシンフラグメントの移動がより多くなるこ
とが危惧される。
【0013】また、膜内壁面の平均孔径が大きく、膜外
表面に進むに従ってその孔径が連続的に小さくなる逆グ
ラジエント構造の中空糸型分離膜では、孔径拡大によっ
て物質除去能力は高まるが、それに伴い膜厚部分におい
て高分子量タンパク質が蓄積され、生体適合性に関して
問題が起こる可能性がある。本発明の中空糸膜は、上記
した既知の中空糸分離膜の有する未解決の問題を全て解
消し得る優れた分離膜なのである。
【0014】ここで中空糸分離膜の膜厚方向断面におけ
る孔径の測定方法について説明する。水に湿潤させた中
空糸膜片を、30%、50%、70%、80%、90
%、95%、100%の各エタノール水溶液に各々25
℃、30分ずつ順次浸漬し、中空糸膜中の水分をエタノ
ールで置換する。次いで、この膜片をエポキシ樹脂に包
埋し、60℃、24時間の条件で硬化させる。その後
で、該膜片から厚さ70nm程度の膜厚方向の断面部分
を有する切片を作製し、この切片を0.2%クエン酸鉛
水溶液にて、40℃、15分の条件で染色する。得られ
る切片から断面部分の透過型電子顕微鏡(TEM)写真
を得る。膜厚方向の内表面から外表面に至る全断面に相
当する上記TEM写真を写真上で10個の断面部分に等
分割して、得られる夫々の断面部分について、画像解析
処理装置(本発明では、旭化成工業(株)製IP−10
00を使用した。)による孔解析を行い、夫々の面内の
孔の円相当半径(孔の面積と等しい真円の半径)を求
め、その平均値を孔径とした。なお、本発明では前記1
0個に等分割した断面の内表面に最も近い断面部分を膜
内壁部表面近傍層となし、また、外表面に最も近い断面
部分を膜外壁部表面近傍層とした。本発明では、上記の
ように断面を10個に等分割したが、これにこだわるこ
となく、孔径分布を知り得るように分割すればよいこと
は明らかである。
【0015】本発明による中空糸膜は、プラスチック製
の容器中で束の両端を接着剤で固定したモジュールとな
して、特に好ましくは血液浄化用途に用いられる。しか
し、他の用途に分離膜として用いても差支えない。本発
明による血液浄化器は、中空糸分離膜が結束されて形成
され、透水速度が30ml/m2 hrmmHg以上、タ
ンパクトラップ量が30μg/cm2以下、エンドトキシ
ンフラグメントの物質移動速度比が1.0以下である必
要がある。
【0016】透水速度が30ml/m2 hrmmHg未
満では、β2 ミクログロブリン(分子量:11,80
0)に代表される高分子量物質の透過速度が低い。より
好ましくは40ml/m2 hrmmHg以上である。ま
た、タンパクトラップ量が30μg/cm2 より大きい
と高分子量タンパク質が膜によって活性化され、生体適
合性に関して好ましくない。より好ましくは20μg/
cm2 以下である。
【0017】本発明における透水速度は、中空糸分離膜
の束の両端を接着剤で固定した中空糸がむき出しの簡易
モジュールを作り、膜の内部に水を満たした後、片端を
閉じ、開口端より200mmHgの圧力をかけることに
よって透過する水の量を測定して求めた値を言う。周知
のように、透水速度は血液浄化膜の物質除去性能を表す
代表的なパラメータであり、透水速度の高い方が物質除
去性能が高く、中空糸分離膜として優れている。
【0018】また、本発明におけるタンパクトラップ量
は、牛血漿を50mmHgの圧力をかけながら濾過した
際に、洗浄後も膜厚部分の空孔に保持されて残留し除去
されることのないタンパク質量を示す。この際膜厚部分
に捕捉されるタンパク質は、アルブミン(分子量66,
000)より分子量の大きな高分子量タンパク質が大部
分である。β2 マイクログロブリンに代表されるアルブ
ミンより分子量の小さなタンパク質及びアルブミンは、
洗浄時に膜から溶出し、膜厚部分に捕捉される可能性が
極めて少ない。したがって、タンパクトラップ量の小さ
い膜が、高分子量タンパク質の膜厚部分での捕捉を抑制
した生体適合性に優れた膜である。
【0019】本発明においては、タンパクトラップ量の
測定を以下のように行う。すなわち、中空糸分離膜の束
の両端を接着剤で固定したモジュールを作り、生理食塩
水に1時間以上浸漬させた後、中空内の生理食塩水をア
スピレータで吸引除去する。次に牛血漿を中空内に充填
し37℃、60minの条件下で反応させる。反応終了
後牛血漿をアスピレータで吸引除去し、膜の中空部を生
理食塩水で洗浄する。さらにBCAプロアテインアッセ
イ試薬を用いて、膜厚部分に捕捉されているタンパク質
を定量する。この際、ローター式撹拌機で充分撹拌させ
ながらタンパク質の定量を行う。
【0020】本発明による血液浄化器は、さらにエンド
トキシンフラグメントの物質移動速度比が1.0以下で
ある必要がある。本発明では、膜の内壁面側から外壁面
側への物質移動速度(Pm1 )に対する外壁面側から内
壁面側への物質移動速度(Pm2 )を物質移動速度比
(Pm2 /Pm1 と略称する。)と定義する。エンドト
キシンフラグメントのPm2 /Pm1 が1.0より大き
いと、透析に際して、透析液中から患者体内へエンドト
キシンフラグメントが侵入する。この侵入により、患者
は、発熱や関節痛の感冒様症状、症候性低血圧等の合併
症を引き起こす可能性がある。そのため本発明ではエン
ドトキシンフラグメントのPm 2 /Pm1 を1.0以下
とする必要があるのである。
【0021】本発明では、前記物質移動速度を次のよう
に測定する。すなわち、中空糸分離膜の束の両端を接着
剤で固定した簡易モジュールを作り膜の内部に水を満た
した後、該モジュールを純水が満たされた密閉容器に浸
し、中空内に溶液を通過させ膜を介して純水中へ透過し
た物質の量を測定する。周知のように、前記、透水速度
と同様に物質移動速度も血液浄化膜の物質除去性能を表
わす代表的なパラメータである。物質移動速度が高い方
が対象物質の除去性能が高く、中空糸分離膜として優れ
ていることを示す。ただし、通常の物質移動の方向とは
逆方向のエンドトキシンフラグメントの体内への侵入と
それに伴う種々の合併症を考慮すると、Pm2 /Pm1
が小さい膜の方が優れている。本発明においては、Pm
2 /Pm 1 の測定対象物質として、その分子量がエンド
トキシンフラグメントの分子量範囲(分子量2,000
〜30,000ダルトン程度)内に含まれるチトクロム
C(分子量12,400)を代替測定物質として用いる
こととする。
【0022】以上のような構成を有する本発明の血液浄
化器は、中空糸分離膜が結束されて成るのであるが、こ
の血液浄化器に特に好ましく用いられるのは、前記本発
明による中空糸分離膜である。しかしながら、必要があ
れば本発明以外の中空糸分離膜を用いても差支えない。
本発明によると、優れた物質除去性能を維持しつつ膜厚
部分への高分子量タンパク質の侵入を抑制し、さらに膜
外壁部から内壁部へのエンドトキシンフラグメントの侵
入を抑制し得る、生体適合性に極めて優れる血液浄化器
が得られる。
【0023】本発明の中空糸分離膜を構成する材質とし
ては湿式紡糸できる材質であることが好ましく、このよ
うな材質として、セルロース、セルロースアセテート、
ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリビニールアルコール、及びこ
れらのうち2種類以上のブレンドポリマーなどを例示す
ることができる。
【0024】本発明においては、セルロース、セルロー
スアセテート、ニトロセルロース等のセルロース系ポリ
マーをより好ましく用いることができる。本発明の中空
糸分離膜に特に好ましく用いられるのはセルロースであ
る。次に、本発明において特に好ましく用いられるセル
ロース中空糸分離膜の製造方法について例示すること
で、本発明の中空糸分離膜の製造方法について説明す
る。
【0025】本発明で用い得るセルロース紡糸液は、セ
ルロースを溶解する溶媒にセルロースを溶解させたセル
ロース溶液であればよく、所望する溶媒を用いて差支え
ない。本発明では、キュプラアンモニウムレーヨン紡糸
液を特に好ましく用いる。セルロース紡糸液のセルロー
ス濃度は、4〜12重量%であることが好ましい。セル
ロース濃度が4重量%未満のときは得られる中空糸膜の
力学的特性が不十分となる恐れがあり、12重量%超の
濃度では、紡糸液調整及び紡糸操作が困難になる可能性
が生じ易くなるからである。
【0026】セルロース溶液の調整は、従来公知の方法
によって差支えない。セルロース紡糸液は、気体もしく
は液体である非凝固性中空部形成剤の少なくとも1種を
含む水溶液もしくはこれらの混合液(紡糸液に対して微
凝固性を示す)とともに二重紡糸口金より吐出させ、非
凝固性雰囲気下を通過させる。吐出された紡糸液流は凝
固浴に導かれる前に延伸され、数100μmの外径を有
するようにするとともに、膜厚、内径が均一化される。
なお、ここにおける非凝固性雰囲気下とは、セルロース
溶液の流動性を維持し、均一な延伸をし得る雰囲気下を
意味する。
【0027】次いで、糸状体は2段階もしくは多段階と
した凝固浴へと導かれる。凝固浴液としては、酸、アル
カリ、または中性塩水溶液を含む溶液を用いるとよい。
これらのうち、カ性ソーダ、硫酸、塩酸、酢酸、硫酸ア
ンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化
ナトリウムなどの水溶液が好ましく、カ性ソーダ、硫酸
または硫酸アンモニウム水溶液が特に好ましく用いられ
る。
【0028】2段階もしくは多段階方式の凝固浴とな
し、凝固浴液種及びその濃度を選定し凝固条件を用途に
応じた中空糸膜の所望する仕様に合うように設定すると
よい。凝固した中空糸型分離膜は、水および無機塩にて
精練された後に、グリセリンあるいはポリエチレングリ
コール等の従来公知の膜孔径保持剤を付与され、さらに
乾燥される。このようにして目的とする中空糸型分離膜
を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明する。
【0030】
【実施例1,2及び3】セルロース濃度8重量%のキュ
プラアンモニウムレーヨン紡糸液および非凝固性中空部
形成剤としてテトラフルオロメタンを準備した。次に二
重紡糸口金より、紡糸液を18.3cc/分、中空部形
成剤を3.2cc/分の流量で吐出させ、吐出流体を空
気中を走行させた後、15重量%の硫酸水溶液から成り
45℃に保たれた凝固浴を用いて浸漬長を0.8mとし
て1段目の凝固を行った。続いて水洗浄後直ちに、11
重量%苛性ソーダ水溶液から成り60℃に保たれた凝固
浴を用いて、浸漬長を0.8mとして2段目の凝固を行
った。得られた中空糸状膜を精練工程であるベルトコン
ベア上に導いた。ベルトコンベア上で、50℃温水、5
0℃の2重量%硫酸水溶液、50℃温水の順にシャワー
方式の精練を行った後に、ポリエチレングリコール40
0(日本薬局方収載「マクロゴール400」)100%
液を付与し、170℃のトンネル型乾燥炉を走行させた
後、100m/分の速度で巻き取り、実施例1の中空糸
膜を得た。
【0031】また、セルロース濃度が5重量%である紡
糸液を用いた以外は実施例1と全く同様にして実施例2
の中空糸膜を得た。さらに、40℃に保たれた凝固浴を
用いて2段目の凝固を行った以外実施例2と全く同様に
して実施例3の中空糸膜を得た。各実施例の中空糸膜の
断面のTEM写真から、先に記載の方法で膜断面の微細
孔の孔径を測定し表1に示す結果を得た。
【0032】なお、因みに、実施例1の中空糸膜の膜厚
方向断面の孔径分布は、中空糸の内表面から外表面へ向
かって、順に、34、44、59、67、74、69、
64、77、69、40nmであり、これらのデータか
ら74nmと77nmの2つの極大孔径を有する中空糸
膜であることが判った。このうち77nmを用いて表1
に示す結果を得た。
【0033】また、各実施例の中空糸膜を夫々束ねて、
束の両端をポリウレタン系接着剤を用いて固定してモジ
ュールとなし、夫々のモジュールを用いて、タンパクト
ラップ量、透水速度及びPm2 /Pm1 を測定し、同様
に表1に示した。
【0034】
【比較例1】吐出流体を40℃、11重量%の苛性ソー
ダ水溶液を用いて浸漬長1.6mで凝固を行った以外
は、実施例1と全く同様にして、比較例1の中空糸膜を
得た。得られた中空糸膜の評価結果を同様に表1に示し
た。
【0035】
【比較例2】吐出流体を45℃、15重量%硫酸水溶液
を用いて浸漬長1.6mで凝固を行った以外は、実施例
1と全く同様にして比較例2の中空糸膜を得た。この膜
の評価結果を同様に表1に示した。なお、この比較例2
における中空糸膜の膜厚方向断面の孔径分布は、中空糸
の内表面から外表面へ向かって、順に、74、69、6
6、67、64、61、58、55、53、43nmで
あった。
【0036】
【比較例3】特開平06−238139号公報及び特開
平06−296686号公報の記載に基づいてポリスル
ホン中空糸型分離膜を製膜した。すなわちポリスルホン
樹脂(アモコ・パフォーマンス・プロダクツ、P−17
00)18部、ポリビニルピロリドン(アイ・エス・ピ
ー、プラスドンK−90、分子量360,000)5
部、N,N−ジメチルアセトアミド77部を均一溶解し
た。この原液の粘度は45℃で3,800センチポイズ
であった。チュープインオリフィス型の中空紡口を用い
て内部凝固液として50%の濃度のN,N−ジメチルア
セトアミド水溶液を吐出させながら、45℃に保温した
状態で上記の原液を同時に吐出させた。当該原液を40
cm下方に設けた50℃温水浴中に浸せきした後、50
m/minの速度で巻き取った。得られた中空糸分離膜
の評価結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、以上詳述したように、
β2 マイクログロブリン(分子量11,800)に代表
される血液中の高分子量物質の優れた除去性能を維持し
つつ、透析液中から患者体内へのエンドトキシンフラグ
メントの侵入を抑制し、種々の生体反応あるいはそれに
よって引き起こされる合併症を抑制し得る、生体適合性
に優れる中空糸分離膜及び血液浄化器を提供することが
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維軸方向に連続した中空部を有する中
    空糸膜であって、膜内壁部表面近傍層における微細孔の
    孔径が500nm以下であり、膜厚方向断面に分布する
    微細孔の孔径分布において少なくとも1つ以上の極大孔
    径を有し、その極大孔径が膜内壁部表面近傍層における
    孔径の1.2倍以上の大きさでありかつ膜外壁部表面近
    傍層の孔径が膜内壁部表面近傍層の孔径の0.6倍以上
    1.2倍未満の大きさであることを特徴とする中空糸分
    離膜。
  2. 【請求項2】 中空糸分離膜が結束されて成り、透水速
    度が30ml/m2hrmmHg以上、タンパクトラッ
    プ量が30μg/cm2 以下、エンドトキシンフラグメ
    ントの物質移動速度比が1.0以下であることを特徴と
    する血液浄化器。
JP20244795A 1995-08-08 1995-08-08 中空糸分離膜及び血液浄化器 Pending JPH0947645A (ja)

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