JP3427658B2 - セルロース中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

セルロース中空糸膜およびその製造方法

Info

Publication number
JP3427658B2
JP3427658B2 JP02694397A JP2694397A JP3427658B2 JP 3427658 B2 JP3427658 B2 JP 3427658B2 JP 02694397 A JP02694397 A JP 02694397A JP 2694397 A JP2694397 A JP 2694397A JP 3427658 B2 JP3427658 B2 JP 3427658B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
hemodialysis
hemodiafiltration
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP02694397A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10216489A (ja
Inventor
憲幸 玉村
秀彦 桜井
和▲たけ▼ 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP02694397A priority Critical patent/JP3427658B2/ja
Publication of JPH10216489A publication Critical patent/JPH10216489A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3427658B2 publication Critical patent/JP3427658B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾湿式紡糸法によ
り得られ、限外濾過、透析、透析濾過用に好適に使用さ
れるセルロース中空糸膜およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、長期透析患者の増加に伴う透析合
併症が注目されており、尿素、クレアチニンなどの低分
子量物質だけでなく、中高分子量物質(低分子タンパ
ク)まで除去対象が拡大してきている。これらの治療に
用いられる膜は High Performance 膜と呼ばれ、従来の
透析膜より孔径を拡大することにより、より大きな物質
の除去を可能にしている。 High Performance 膜に求め
られる性質として透水性が高くかつシャープなカットオ
フ性(手根管症候群の原因物質とされるβ2 −ミクログ
ロブリン(MW11600)の除去性に優れ、有用な血
中タンパクであるアルブミン(MW66000)を漏出
しない)を有することが必要である。このような特性を
有する中空糸膜を製造する方法として、例えば、特開昭
54−88881号公報に、セルロースエステル系ポリ
マー、N−メチルピロリドン、非溶剤からなる紡糸原液
を用いて乾湿式紡糸法で中空糸膜を製造する方法が提案
されている。このような方法では透水速度が高い中空糸
膜が得られるが、中空糸膜の孔径分布の幅を狭くできな
いので、溶質のカットオフ性がシャープな中空糸膜を得
ることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決しようとするものであり、その目的は、透水性が
高くかつ溶質のカットオフ性がシャープであるセルロー
ス中空糸膜およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の通りで
ある。 (1)アルブミンの篩い係数(A)が0.25以下であ
り、ミオグロビンの篩い係数(B)が0.35以上であ
って、B/Aの値が15以上であることを特徴とするセ
ルロース中空糸膜。 (2)37℃の純水を150mmHgの圧力で透過させた
時の透水速度が15ml/m2 ・hr・mmHg以上で
ある上記 (1)のセルロース中空糸膜。 (3)100mmHgの圧力で血液中での透水速度が、8
ml/m2 ・hr・mmHg以上である上記 (1)または
(2)のセルロース中空糸膜。 (4)セルロースエステルと、N−メチルピロリドンとγ
−ブチロラクトンの混合溶媒とを含有する紡糸原液を、
気体雰囲気中に中空状を形成するように吐出した後、凝
固浴に導いて凝固させることを特徴とするセルロース中
空糸膜の製造方法。 (5)混合溶媒中のN−メチルピロリドンとγ−ブチロラ
クトンの重量比が1:9〜9:1である上記 (4)のセル
ロース中空糸膜の製造方法。 (6)セルロースエステルが、紡糸原液中15〜30重量
%含有されている上記 (4)または (5)のセルロース中空
糸膜の製造方法。 (7)セルロースエステルがセルロースアセテートである
上記 (4)〜 (6)のいずれかのセルロース中空糸膜の製造
方法。 (8)紡糸原液が、さらに非溶媒を含有する上記 (4)〜
(7)のいずれかのセルロース中空糸膜の製造方法。 (9)混合溶媒と非溶媒の重量比が、6/4〜10/0で
ある上記 (8)のセルロース中空糸膜の製造方法。 (10)紡糸原液を中空状を形成するように吐出すると同時
に、その中心部に中空形成補助剤を吐出する上記 (4)〜
(9)のいずれかのセルロース中空糸膜の製造方法。 (11)中空形成補助剤が気体である上記 (10) のセルロー
ス中空糸膜の製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下の本発明を詳細に説明する。
本発明のセルロース中空糸膜は、乾湿式紡糸法、つま
り、紡糸原液を気体雰囲気中に中空状を形成するように
吐出した後、凝固浴に導いて凝固させることにより製造
される。
【0006】紡糸原液は、少なくともセルロースエステ
ルと溶媒とを含有する。本発明で使用されるセルロース
エステルは、セルロースの水酸基をアセチル基、プロピ
オニル基、ブチリル基等のアシル基や硝酸基で置換した
ものをいうが、その置換率は特に限定されるものではな
く、2置換したもの、3置換したものや、或いは、複数
のアシル基で置換したもの等が挙げられ、具体的には、
セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、
セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテ
ートブチレート、ニトロセルロース等が例示される。こ
れらは、単独でまたは2種以上混合して使用される。セ
ルロースエステルは紡糸原液中、好ましくは15〜30
重量%、より好ましくは17〜25重量%含有されてい
る。セルロースエステルの含有割合が15重量%未満の
場合、紡糸原液の粘度が低下して紡糸時の安定性が劣
り、また得られる中空糸膜の強度不足によりモジュール
化時の歩留まりが低下するおそれがあり、逆に30重量
%を超える場合、透水性が高い中空糸膜を得ることが困
難となる場合がある。
【0007】本発明で使用される溶媒は、N−メチルピ
ロリドンとγ−ブチロラクトンの混合溶媒である。N−
メチルピロリドンを使用すると、紡糸原液を吐出してセ
ルロースエステルを凝固させる際の凝固速度が大きく、
一方、γ−ブチロラクトンを使用するとその凝固速度が
小さくなるので、これらの混合溶媒を使用することによ
り、セルロースエステルの凝固速度をコントロールし
て、孔径の分布の幅を小さくする、つまり均一膜構造と
することができ、溶質のカットオフ性がシャープなセル
ロース中空糸膜が得ることができる。
【0008】上記混合溶媒において、N−メチルピロリ
ドンとγ−ブチロラクトンの重量比は、好ましくは1:
9〜9:1、より好ましくは3:7〜8:2である。N
−メチルピロリドンの重量比が大きすぎると、セルロー
スエステルの凝固速度が大きくなって、得られる中空糸
膜の孔径の分布の幅が大きくなり、溶質のカットオフ性
がシャープとならない場合があり、好ましくない。逆
に、N−メチルピロリドンの重量比が少なすぎると、紡
糸原液の粘度が著しく低下(曳糸性の低下)して紡糸安
定性が損なわれ、また得られる中空糸膜の強度が不足し
てモジュール化時の歩留まりが低下するので、好ましく
ない。また、この混合溶媒は、紡糸原液中、好ましくは
83〜45重量%、より好ましくは75〜50重量%含
有される。83重量%を超える場合、紡糸原液の粘度が
低下して紡糸時の安定性が劣り、また得られる中空糸膜
の強度不足によりモジュール化時の歩留まりが低下する
おそれがあり、逆に45重量%未満の場合、透水性が高
い中空糸膜を得ることが困難となる場合がある。
【0009】上記紡糸原液は、さらに非溶媒を含有して
もよい。非溶媒を配合することにより紡糸原液中のセル
ロースエステルの溶解性を調整して、凝固速度をさらに
コントロールし孔径の分布の幅をさらに小さくすること
ができる。本発明において、非溶媒とは、セルロースエ
ステルに対する溶解性が低い溶媒をいう。本発明で使用
される非溶媒としては、例えば、モノエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン等の多価アルコールあるいはそれらの低
級アルキルエーテル誘導体等が挙げられ、これらは単独
であるいは2種以上併用して使用することができる。
【0010】この非溶媒は、上記混合溶媒と非溶媒の重
量比が好ましくは6/4〜10/0、より好ましくは7
/3〜95/5となるように含有される。非溶媒の含有
比が大きすぎると、中空糸膜の孔径が大きくなりすぎ、
有用タンパクであるアルブミンのカットオフ性が低下し
好ましくない。
【0011】紡糸原液は、所定量のセロルースエステル
と非溶媒とを、N−メチルピロリドンとγ−ブチロラク
トンの混合溶媒に必要に応じて加熱して溶解することに
より調製される。この紡糸原液は、2重管の紡糸口金の
外側より気体雰囲気中に中空状を形成するようにに吐出
し、これを凝固浴に導き凝固させる。また、紡糸原液の
吐出と同時に紡糸口金の内側より中空形成補助剤を吐出
することが好ましく、これにより、中空が確実に形成さ
れる。
【0012】紡糸原液が吐出される気体雰囲気は、セル
ロースエステルや、N−メチルピロリドン、γ−ブチロ
ラクトン等に不活性であれば特に限定されず、具体的に
は、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウ
ムが挙げられるが、通常は空気である。
【0013】また、紡糸口金の内側より吐出する中空形
成補助剤は、セルロースエステルや、N−メチルピロリ
ドン、γ−ブチロラクトン等が不活性であれば特に限定
されず、具体的には、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、
アルゴン、ヘリウム等またはそれらの2種以上の混合ガ
ス等の気体や、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロ
ピル等の上記混合溶媒に非相溶である液体が挙げられ
る。これらの気体に加えて、中空糸膜の内表面の平滑化
や分画特性向上の目的で、水、溶媒、非溶媒等の蒸気を
使用しても差し支えない。
【0014】凝固浴には、通常は紡糸原液と同じ溶媒、
非溶媒を含有する水溶液が使用される。
【0015】凝固浴に導いた後、中空糸膜は水洗浴に導
き、ここで上記混合溶媒および非溶媒を洗浄除去する。
次いで、グリセリン浴に導き、これを乾燥させる。この
グリセリンは中空糸膜の膜構造保持剤であり、乾燥ある
いは放置により膜孔が収縮して潰れるのを防ぐ役割を果
たすものである。グリセリンの代わりに、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等も使用可能で
ある。
【0016】中空糸膜の内径は、好ましくは50〜30
0μm、より好ましくは100〜250μmであり、膜
厚は好ましくは10〜100μm、より好ましくは12
〜50μmである。内径および膜厚は、2重管の外径お
よび内径の大きさにより調整することができる。
【0017】本発明の製造方法により得られたセルロー
ス中空糸膜は、0.25以下、好ましくは0.20以
下、より好ましくは0.10以下のアルブミンの篩い係
数(A)を有し、かつ0.35以上、好ましくは0.3
7以上、より好ましくは0.40以上のミオグロビンの
篩い係数(B)を有する。これらの篩い係数SCは次式
のように定義される。 SC=(2×濾液濃度)/(入口濃度+出口濃度) 中空糸膜の入口における測定原液の濃度、出口における
測定原液の濃度および濾液濃度を測定して篩い係数SC
を算出する。測定原液として、0.01%ミオグロビン
−リン酸緩衝液(pH7.2)または0.2%アルブミ
ン−リン酸緩衝液(pH7.2)を使用する。
【0018】また、本発明の製造方法により得られたセ
ルロース中空糸膜は、シャープなカットオフ性を有する
ものであり、具体的には、15以上、好ましくは18以
上、より好ましくは20以上のB/A(即ち、ミオグロ
ビンの篩い係数/アルブミンの篩い係数)を有する。こ
のようなシャープなカットオフ性を有する中空糸膜を得
るには、紡糸原液中の溶媒として、N−メチルピロリド
ンとγ−ブチロラクトンの混合溶媒を使用する方法が採
用される。
【0019】本発明のセルロース中空糸膜のカットオフ
性の評価は、血液中のβ2 −ミクログロブリン(MW1
1600)とアルブミン(MW66000)の篩い係数
を用いる代わりに、リン酸緩衝液中のミオグロビン(M
W17800)とアルブミンの篩い係数を用いて行っ
た。つまり、血液中でのβ2 −ミクログロブリン分子の
広がり(分子サイズ)は、リン酸緩衝液中でのミオグロ
ビン分子の広がり(分子サイズ)と同等と考えられ、リ
ン酸緩衝液中のミオグロビンの篩い係数は、血液中のβ
2 −ミクログロブリンの篩い係数を代替するものとして
広く利用されている。即ち、本発明におけるB/A(ミ
オグロビンの篩い係数/アルブミンの篩い係数)が15
以上であるということは、本発明のセルロース中空糸膜
がシャープなカットオフ性を有し、β2 −ミクログロブ
リンの除去性に優れていることを意味するものである。
【0020】また、中空糸膜の破断強度は、好ましくは
20g以上、より好ましくは25g以上であり、破断伸
度は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以
上である。破断強度および破断伸度は、紡糸原液中のセ
ルロースエステルの含有量や、N−メチルピロリドンと
γ−ブチロラクトンの混合比等により調整することがで
きる。
【0021】このような製造方法により得られた中空糸
膜は、複数本、例えば8000〜15000本を束ねて
モジュール化されて、限外濾過、透析、透析濾過用とし
て使用され、特に血液浄化用として有用なものとなる。
【0022】本発明の製造方法により得られたセルロー
ス中空糸膜は、透水性が高いものであり、具体的には、
37℃の純水を150mmHgの圧力で透過させた時の
透水速度(UFR)が、好ましくは15ml/m2 ・h
r・mmHg以上、より好ましくは23ml/m2 ・h
r・mmHg以上であり、100mmHgの圧力で血液
中での透水速度(MFR)が、好ましくは8ml/m2
・hr・mmHg以上、より好ましくは10ml/m2
・hr・mmHg以上の性能を有する。このような高い
透水性を有する中空糸膜を得るには、紡糸原液中のセル
ロースエステルを所定の割合とする方法、グリセリン浴
中のグリセリン含有量を多くする方法等が採用される。
【0023】さらに、本発明の製造方法により得られた
セルロース中空糸膜は、好ましくは80以上、より好ま
しくは85以上の尿素の透過係数を有し、また、好まし
くは10以上、より好ましくは13以上のビタミンの透
過係数を有する。これらの透過係数Pは次式のように定
義される。 P=Qb×ln(C1 /C2 )/A ここでQbは測定原液の流速(ml/min)、Aは膜
面積(cm2 )、C1は入口溶質濃度(g/l)、C2
は出口溶質濃度(g/l)である。測定原液として、尿
素5g/純水1リットル、またはビタミン5mg/純水
1リットルを用い、透析液として37℃純水を用いて、
Qb、C1 およびC2 を測定し、透過係数Pを算出す
る。
【0024】このような方法により製造されたセルロー
ス中空糸膜は、透水性に優れ、かつ溶質のカットオフ性
がシャープであるので、限外濾過、透析、透析濾過用に
好適に使用され、具体的には、血液透析、血液透析濾過
等に使用される。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説
明するが、本発明は実施例により何ら限定されるもので
はない。
【0026】実施例1 セルローストリアセテート18重量部、N−メチル−2
−ピロリドン28.7重量部、γ−ブチロラクトン2
8.7重量部、トリエチレングリコール24.6重量部
を170℃にて加熱溶解し、さらに真空脱泡してセルロ
ーストリアセテートの紡糸原液を得た。これを孔径40
μmの焼結フィルターで濾過し不純物を除去した後、2
重管構造の口金の外側から吐出し、同時に口金の内側よ
りN2 ガスを吐出した。中空糸状の紡糸原液は空気中を
通過したのち、N−メチルピロリドン/γ−ブチロラク
トン/トリエチレングリコールを4/4/1の割合で含
有する水溶液からなる凝固浴に導き、次いで水洗浴、グ
リセリン浴、乾燥工程を経てワインダーにてチーズ状に
巻き取った。得られた中空糸膜の内径は201μm、膜
厚は19.8μmであり、破断強度は46g、破断伸度
は32%であった。
【0027】このようにして得られた中空糸膜を120
本あるいは800本の束にし、約20cmの長さが残る
ように両端をエポキシ樹脂で固めてから中空糸の開口部
が出るように切断したものを性能評価用ミニモジュール
とした。これらのモジュールを用いて以下の評価を行っ
た。その結果を表1に示す。また中空糸膜の破断強度お
よび破断伸度の以下の方法に測定した。
【0028】測定方法 1.純水の透水速度(UFR)の測定 120本束のミニモジュールを純水で充分洗浄し、37
℃に調整した純水を150mmHgの圧力を保ちながら
中空糸膜に透過し、水の透過速度(UFR、ml/m2
・hr・mmHg)を測定した。
【0029】2.血液中での透水速度(MFR)の測定 クエン酸Naを添加した牛血液を、100mmHgの圧
力で800本束のモジュールに透過し、15min後の
透水速度(MFR、ml/m2 ・hr・mmHg)を測
定した。
【0030】3.尿素およびビタミンの透過係数の測定 溶質の透過係数Pは次式のように定義される。 P=Qb×ln(C1 /C2 )/A ここでQbは測定原液の流速(ml/min)、Aは膜
面積(cm2 )、C1は入口溶質濃度(g/l)、C2
は出口溶質濃度(g/l)である。クラインの方法によ
り800本束のミニモジュールを用い、測定原液とし
て、尿素5g/純水1リットル、またはビタミン5mg
/純水1リットルを用い、透析液として37℃純水を用
いて、Qb、C1 およびC2 を測定し、透過係数Pを算
出した。
【0031】4.ミオグロビン、アルブミンの篩い係数
およびβ2 −ミクログロブリンの篩い係数の測定 篩い係数SCは次式のように示される。 SC=(2×濾液濃度)/(入口濃度+出口濃度) 測定原液として、0.01%ミオグロビン−リン酸緩衝
液(pH7.2)または0.2%アルブミン−リン酸緩
衝液(pH7.2)を使用し、膜間圧力差100mmH
gで、800本束のモジュールの入口における測定原液
の濃度、出口における測定原液の濃度および濾液濃度を
測定し、篩い係数SCを算出した。
【0032】5.中空糸膜の破断強度および破断伸度の
測定 東洋ボールドウイン製テンシロンUTMIIを用いて、引
っ張り速度100mm/分、チャック間距離100mm
で測定した。
【0033】実施例2 実施例1において、紡糸原液の組成を、セルローストリ
アセテート23重量部、N−メチル−2−ピロリドン1
6.2重量部、γ−ブチロラクトン37.7重量部、ト
リエチレングリコール23.1重量部としたこと以外
は、実施例1と同様の方法により中空糸膜を得た。得ら
れた中空糸膜の内径は199μm、膜厚は16μmであ
り、破断強度は48g、破断伸度は46%であった。実
施例1と同様の方法によりミニモジュールを作製し性能
評価に供した。結果を表1に示す。
【0034】比較例1 実施例1において、紡糸原液の組成を、セルローストリ
アセテート18重量部、N−メチル−2−ピロリドン5
7.4重量部、トリエチレングリコール24.6重量部
としたこと以外は、実施例1と同様の方法により中空糸
膜を得た。得られた中空糸膜の内径は200μm、膜厚
は23μmであり、破断強度は51g、破断伸度は46
%であった。実施例1と同様の方法によりミニモジュー
ルを作製し性能評価に供した。結果を表1に示す。
【0035】比較例2 セルローストリアセテート20重量部、γ−ブチロラク
トン80重量部と170℃に加熱して均一溶解したの
ち、真空脱泡して紡糸原液を得た。これを実施例1と同
様の方法で中空糸膜を紡糸したが紡糸原液の粘度が低い
(曳糸性が低い)ため紡糸安定性が低下してしまった。
得られた中空糸からミニモジュールを作製したが糸強度
が弱く(破断強度41g、破断伸度7.8%)、性能測
定中に糸切れを起こし評価できなかった。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、実施例1および
実施例2で得られた中空糸膜は、透水速度が高く、かつ
ミオグロビンの篩い係数/アルブミンの篩い係数が高
く、カットオフ性がシャープであった。比較例1で得ら
れた中空糸膜は、透水速度が高かったが、ミオグロビン
の篩い係数/アルブミンの篩い係数が低く、カットオフ
性がシャープではなかった。
【0038】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、透水性が高く、かつ低分子タンパクの除去性に
優れかつ有用タンパク(アルブミン)の漏出の少ないシ
ャープなカットオフ性を有する血液浄化用中空糸膜を提
供することが可能である。また、破断強度、降伏強度に
優れたセルロース中空糸膜を得ることができるので、モ
ジュール化が容易であり、また歩留りよくモジュール化
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−63369(JP,A) 特開 平7−51362(JP,A) 特開 昭58−23837(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/16 B01D 69/02

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルブミンの篩い係数(A)が0.25
    以下であり、ミオグロビンの篩い係数(B)が0.35
    以上であって、B/Aの値が20以上であることを特徴
    とするセルローストリアセテート血液透析または血液透
    析濾過用中空糸膜。
  2. 【請求項2】 37℃の純水を150mmHgの圧力で
    透過させた時の透水速度が15ml/m2・hr・mm
    Hg以上であることを特徴とする請求項1に記載のセル
    ローストリアセテート血液透析または血液透析濾過用
    空糸膜。
  3. 【請求項3】 100mmHgの圧力で血液中での透水
    速度が、8ml/m2・hr・mmHg以上であること
    を特徴とする請求項1または2に記載のセルローストリ
    アセテート血液透析または血液透析濾過用中空糸膜。
  4. 【請求項4】 セルローストリアセテートと、N−メチ
    ルピロリドンとγ−ブチロラクトンの混合溶媒とを含有
    する紡糸原液を、気体雰囲気中に中空状を形成するよう
    に吐出した後、凝固浴に導いて凝固させることを特徴と
    する、アルブミンの篩い係数(A)が0.25以下であ
    り、ミオグロビンの篩い係数(B)が0.35以上であ
    って、B/Aの値が20以上であるセルローストリアセ
    テート血液透析または血液透析濾過用中空糸膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 混合溶媒中のN−メチルピロリドンとγ
    −ブチロラクトンの重量比が1:9〜9:1であること
    を特徴とする請求項4に記載のセルローストリアセテー
    ト血液透析または血液透析濾過用中空糸膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 混合溶媒中のN−メチルピロリドンとγ
    −ブチロラクトンの重量比が3:7〜8:2であること
    を特徴とする請求項4に記載のセルローストリアセテー
    ト血液透析または血液透析濾過用中空糸膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 セルローストリアセテートが、紡糸原液
    中15〜30重量%含有されていることを特徴とする請
    求項4〜6のいずれかに記載のセルローストリアセテー
    ト血液透析または血液透析濾過用中空糸膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 紡糸原液が、さらに非溶媒を含有するこ
    とを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のセルロ
    ーストリアセテート血液透析または血液透析濾過用中空
    糸膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 混合溶媒と非溶媒の重量比が、6/4〜
    10/0であることを特徴とする請求項8に記載のセル
    ローストリアセテート血液透析または血液透析濾過用
    空糸膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 混合溶媒と非溶媒の重量比が、7/3
    〜95/5であることを特徴とする請求項8に記載のセ
    ルローストリアセテート血液透析または血液透析濾過用
    中空糸膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 紡糸原液を中空状を形成するように吐
    出すると同時に、その中心部に中空形成補助剤を吐出す
    ることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の
    セルローストリアセテート血液透析または血液透析濾過
    中空糸膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 中空形成補助剤が気体であることを特
    徴とする請求項11に記載のセルローストリアセテート
    血液透析または血液透析濾過用中空糸膜の製造方法。
JP02694397A 1997-02-10 1997-02-10 セルロース中空糸膜およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3427658B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02694397A JP3427658B2 (ja) 1997-02-10 1997-02-10 セルロース中空糸膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02694397A JP3427658B2 (ja) 1997-02-10 1997-02-10 セルロース中空糸膜およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10216489A JPH10216489A (ja) 1998-08-18
JP3427658B2 true JP3427658B2 (ja) 2003-07-22

Family

ID=12207247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02694397A Expired - Lifetime JP3427658B2 (ja) 1997-02-10 1997-02-10 セルロース中空糸膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3427658B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104368246A (zh) * 2014-11-10 2015-02-25 苏州蔻美新材料有限公司 一种聚丙烯腈/醋酸纤维复合血液透析膜及其制备方法

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083292A (ja) 2004-09-16 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd 微細多孔性膜の安定製造方法および核酸分離精製方法におけるその使用
JP4760017B2 (ja) * 2005-01-11 2011-08-31 東レ株式会社 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュールの製造方法
JP5126459B2 (ja) * 2005-10-17 2013-01-23 東洋紡株式会社 セルロースエステル中空糸膜およびその製造方法
CN101400388B (zh) 2006-03-09 2011-12-14 东洋纺织株式会社 性能稳定性优良的中空纤维膜及其制造方法和血液净化器
JP5440332B2 (ja) * 2010-04-02 2014-03-12 東洋紡株式会社 中空糸膜
KR20120059755A (ko) * 2010-12-01 2012-06-11 엘지전자 주식회사 셀룰로오스계 수지를 이용한 수처리용 중공사막의 제조방법
JPWO2012105335A1 (ja) 2011-02-02 2014-07-03 Nok株式会社 炭素膜用製膜原液およびこれを用いた炭素中空糸膜の製造方法
CN115297954A (zh) * 2020-03-31 2022-11-04 东洋纺株式会社 中空纤维膜及中空纤维膜的制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104368246A (zh) * 2014-11-10 2015-02-25 苏州蔻美新材料有限公司 一种聚丙烯腈/醋酸纤维复合血液透析膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10216489A (ja) 1998-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1091409A (en) Dry phase inversion of exterior of cellulose acetate hollow fibre
JP4940576B2 (ja) 中空糸膜および血液浄化器
US6013182A (en) Selectively permeable hollow fiber membrane and process for producing same
JP3427658B2 (ja) セルロース中空糸膜およびその製造方法
EP0012630B1 (en) Process for producing a cellulose acetate-type permselective membrane, permselective membrane thus produced, and use of such membrane in artificial kidney
EP0598690B1 (en) High-flux hollow-fiber membrane with enhanced transport capability and process for making same
JP3253861B2 (ja) 選択透過性中空糸膜
JP3424807B2 (ja) 中空糸膜
US5849189A (en) Hollow fiber blood purifying membrane and process for its production
JP3211701B2 (ja) 中空糸型選択分離膜およびその製造方法
EP0824960A1 (en) Hollow-fiber membrane of polysulfone polymer and process for the production thereof
CN109890490B (zh) 醋酸纤维素系非对称中空纤维膜
JP3995228B2 (ja) 血液浄化用中空糸膜
JP2818366B2 (ja) セルロースエステル中空糸膜の製造方法
JPH0566169B2 (ja)
JPH0120245B2 (ja)
JP3236233B2 (ja) 選択透過性中空糸膜の製造方法
JP2005021510A (ja) 高透水性中空糸型血液浄化器
JP2000107577A (ja) 選択透過性中空糸膜の製造方法
JP3205268B2 (ja) 選択透過性中空糸膜の製造方法
JP2710711B2 (ja) セルロースジアセテート中空糸
JPS6411322B2 (ja)
JPS6229524B2 (ja)
JPH0362447B2 (ja)
JP2818355B2 (ja) 中空糸膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080516

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090516

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090516

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100516

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100516

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130516

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130516

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term