JP5126459B2 - セルロースエステル中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
高透水性と糸強度とを両立するためには、紡糸原液中のセルロースエステル分率を高くし、かつノズル温度を高めるのが有効である。しかし、ノズル温度を高めると、紡糸中の突発的な糸切れやノブの発生といった問題が生じやすくなることがわかり、この課題の解決が望まれていた。
(1)中空糸膜を製造するに際して、中空形成剤として−600mmHg以下の減圧下、130℃以上で処理された流動パラフィンを用いて製造された中空糸膜であって、膜厚が5μm以上30μm以下であり、透水率が25ml/m2/hr/mmHg以上300ml/m2/hr/mmHg以下であり、単糸の破断強力が40g以上であるセルロースエステルからなる中空糸膜であって、該中空糸膜を組み込んだ血液浄化器を37℃の純水に浸漬して測定した時のバースト圧が0.8MPa以上であるセルロースエステル中空糸膜。
(2)(1)記載のセルロースエステル中空糸膜の製造において、中空形成剤として沸点が130℃未満の低沸点成分が除去された流動パラフィンを用いることを特徴とするセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
(3)低沸点成分の含有率が0.15%以下とされた流動パラフィンを用いることを特徴とする(2)に記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
(4)含有水分率が50ppm以下とされた流動パラフィンを用いることを特徴とする(2)または(3)に記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
(5)炭素数が10〜15の流動パラフィンであることを特徴とする(2)〜(4)いずれかに記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
(6)紡糸溶液中のセルロースエステル分率を20重量%以上とし、ノズル温度を130℃以上とすることを特徴とする(2)〜(5)いずれかに記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
また、血液浄化用中空糸膜の製造において、中空形成剤として含有低沸点成分を除去した非水溶性液体を用いることで、透水率が高く、血液浄化器組立性に優れ、血液リークの可能性の少ない血液浄化用中空糸膜を、糸切れや糸欠点を生じることなく安定して紡糸することができる。
また、単糸の破断伸度は25%以上であることが好ましい。破断伸度が25%未満では中空糸膜が剛直になるため、血液浄化器容器への中空糸膜束挿入時に糸折れが発生することがある。したがって、破断伸度は27%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。逆に破断伸度が大きすぎると、中空糸膜が容易に曲がるため、血液浄化器容器への中空糸膜束挿入時、中空糸膜束外周部と容器内面との摩擦により中空糸膜の蛇行が生じやすくなり、端部接着不良や品質低下(外観不良)の原因になる。したがって、破断伸度は80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
前記範囲の破断強伸度を有する中空糸膜を得ることにより、血液浄化器の製造にかかる歩留まりを80%以上まで向上させることが可能となる。より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また本発明における中空糸膜を得る為には、ノズルの温度を130℃以上とすることが好ましい。ノズル温度が130℃未満であると紡糸溶液のセルロースエステル分率が20重量%以上の場合に十分な透水性を有する中空糸膜が得られないことがある。したがって、ノズル温度は135℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましい。
逆に、ノズル温度が高すぎると紡糸溶液の粘度が低くなりすぎて、偏肉や真円度の低下、異形糸の発生につながることがある。したがって、ノズル温度は190℃以下が好ましく、185℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
また、気泡混入を抑える方法としては、製膜用のポリマー溶液の脱泡を行うのが有効である。紡糸原液の粘度にもよるが、静置脱泡や減圧脱泡を用いることができる。具体的には、溶解タンク内を−100〜−750mmHgに減圧した後タンク内を密閉し5分〜30分間静置する。この操作を数回繰り返し脱泡処理を行う。減圧度が低すぎる場合には、脱泡の回数を増やす必要があるなど処理に長時間を要することがある。また減圧度が高すぎると、系の密閉度を上げるためのコストが高くなる可能性がある。
トータルの処理時間は5分〜5時間とするのが好ましい。処理時間が短すぎると脱泡の効果が不十分になることがある。
血液浄化器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子により流れを止め全濾過とする。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した血液浄化器へ純水を送り、透析液側から流出したろ液量をメスシリンダーで測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは血液浄化器入り口側圧力、Poは血液浄化器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と血液浄化器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は血液浄化器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは血液浄化器の膜面積(m2)である。
約10000本の中空糸膜よりなる血液浄化器の透析液側を水で満たして栓をする。血液側から空気を送り込み、1分間に0.5MPaの割合で昇圧していく。圧力を上昇させ、中空糸膜が内部圧に耐えきれずに破裂(バースト)したときの圧力をバースト圧とする。
(1)乾燥中空糸膜の場合
有効試料長10cmの中空糸膜試験片をクロスヘッドを10cm/分で引張試験を行った際の破断点を測定する。測定には、東洋ボールドウイン製テンシロンUTMIIを用いた。中空糸膜は1本のモジュールから30本をランダムにサンプリングし測定し、最低値を評価結果とする。
(2)湿潤中空糸膜の場合
引張特性の測定はインストロンエンジニアリングコーポレーション社製インストロン(モデルNo.TM)で、37℃の水中で行った。チャック間距離は5cm、引張速度は5cm/分である。中空糸膜は1本のモジュールから30本をランダムにサンプリングし測定し、最低値を評価結果とする。
非水溶性液体中の低沸点成分含有率の測定について、流動パラフィンを例として以下に説明する。低沸点成分含有率は、ガスクロマトグラフ法により求めた。保持時間5〜7分に現れるピークを流動パラフィン含有低沸点成分とし、ピーク面積比により含有率を求める。測定条件は次に示すとおりである。
測定装置:島津製作所製 GC−9A
充填カラム:内径3.2mmφ、長さ1.6m
カラム充填剤:Silicone OV−1 2% 80/100mesh(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:初期温度100℃で4分保持後、10℃/分で最終温度200℃まで昇温し、200℃で4分保持
注入部温度:260℃
検出器:FID
検出器温度:260℃
試料注入量:0.5μl
移動相:窒素、流量:50ml/min
非水溶性液体中の含有水分率は、カールフィッシャー法により求めた。非水溶性液体として流動パラフィンを用いる際の測定条件は次に示すとおりである。
測定装置:京都電子工業製 MKC−610
水分気化温度:120℃
試薬:発生液 ハイドラナール・クーロマットAG(シグマ社製)
対極液 ハイドラナール・クーロマットCG(シグマ社製)
流動パラフィンサンプル量:4ml
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)20.5重量%、N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学社製)50重量%、トリエチレングリコール(三井化学社製)29.5重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、150℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤である流動パラフィン(三光化学社製)と同時に吐出し、エアギャップを通過後、33℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=10.5/4.5/85からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、−700mmHgで減圧下、温度130℃で2.5時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均90μmであり、最大92μm、最小88μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.05であった。その後、水洗し溶媒を除去した後60重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたものを使用した。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は198.3μm、膜厚は14.8μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。
実施例1と同様の製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、145℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤として流動パラフィンを用いて製膜溶液を吐出、エアギャップを通過後、35℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=10.5/4.5/85からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは未処理のものをそのまま使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均95μmであり、最大97μm、最小93μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.04であった。水洗し溶媒を除去した後65重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始から12時間後に糸切れが発生した。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は糸切れするまでの間14回であった。得られた中空糸膜の内径は202.5μm、膜厚は14.7μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の分析結果を表1に示した。未処理の流動パラフィンを用いた為気泡を含む欠点糸が発生している。バースト圧は低くバースト部位は糸欠点部であった。
セルローストリアセテート25重量%、N−メチル−2−ピロリドン53重量%、トリエチレングリコール22重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、165℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤である流動パラフィンと同時に吐出し、エアギャップを通過後、25℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=21/9/70からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、-700mmHgで減圧下、温度150℃で5時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均94μmであり、最大96μm、最小93μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03であった。その後、水洗し溶媒を除去した後60重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は199.9μm、膜厚は15.0μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。
実施例2と同様の製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、170℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤として流動パラフィンを用いて製膜溶液を吐出、エアギャップを通過後、28℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=21/9/70からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、常圧下、温度70℃で2時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均98μmであり、最大99μm、最小96μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03であった。水洗し溶媒を除去した後60重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始から約3時間後に糸切れが発生した。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は糸切れするまでの間に4回であった。得られた中空糸膜の内径は199.6μm、膜厚は14.6μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。流動パラフィンの加温処理を行っているが、欠点糸が発生しており、紡糸開始から3時間後に糸切れが発生している。バースト圧は低くバースト部位は糸欠点部であった。ノズル温度を高く設定した為、流動パラフィン中の低沸点成分が気化したものと考えられた。
実施例2と同様の製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、実施例2と同じ90℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤として流動パラフィンを用いて製膜溶液を吐出、エアギャップを通過後、28℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=21/9/70からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、未処理のものをそのまま使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均93μmであり、最大94μm、最小91μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03であった。水洗し溶媒を除去した後55重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は199.3μm、膜厚は35.0μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。未処理の流動パラフィンを用いたが欠点糸は発生していない。しかし透水性が低い。ノズル温度が低すぎた為と考えられる。
セルローストリアセテート17重量%、N−メチル−2−ピロリドン58重量%、トリエチレングリコール25重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜液は120℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤として流動パラフィンを用いて製膜溶液を吐出、エアギャップを通過後、35℃の水中で凝固させた。流動パラフィンは、未処理のものをそのまま使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均80μmであり、最大82μm、最小78μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.05であった。水洗し溶媒を除去した後70重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始から12時間後に糸切れが発生した。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は糸切れするまでの間に3回であった。得られた中空糸膜の内径は202.1μm、膜厚は14.9μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。未処理の流動パラフィンを用いた為気泡を含む欠点糸が発生している。しかし紡糸開始12時間後に糸切れ発生。ポリマー溶液のポリマー分率が低いことと、未処理の流動パラフィンを用いたのが原因と考えられた。また、破断強力が低いため血液浄化器組立ての歩留まりが低下していた。
セルローストリアセテート20.2重量%、N−メチル−2−ピロリドン55.9重量%、トリエチレングリコール23.9重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、140℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤である流動パラフィンと同時に吐出し、エアギャップを通過後、33℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=10.5/4.5/85からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、−700mmHgで減圧下、温度130℃で3.5時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均90μmであり、最大91μm、最小89μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02であった。その後、水洗し溶媒を除去した後68重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は198.3μm、膜厚は10.3μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。
セルローストリアセテート24.0重量%、N−メチル−2−ピロリドン53.2重量%、トリエチレングリコール22.8重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、155℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤である流動パラフィンと同時に吐出し、エアギャップを通過後、25℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=21/9/70からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、−600mmHgで減圧下、温度150℃で4時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均94μmであり、最大95μm、最小92μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03であった。その後、水洗し溶媒を除去した後55重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は190.2μm、膜厚は29.3μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。
セルローストリアセテート20重量%、N−メチル−2−ピロリドン56重量%、トリエチレングリコール24重量%を170℃で均一溶解し製膜溶液を得た。得られた製膜溶液を5μmのフィルターに通した後、160℃に加温したチューブインオリフィス型ノズルから中空形成剤である流動パラフィンと同時に吐出し、エアギャップを通過後、38℃のN−メチル−2−ピロリドン/トリエチレングリコール/水=7/3/90からなる凝固浴中で凝固させた。流動パラフィンは、−700mmHgで減圧下、温度130℃で2.5時間加熱処理したものを使用した。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均90μmであり、最大92μm、最小88μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.05であった。その後、水洗し溶媒を除去した後70重量%のグリセリン水溶液中を通過させドライヤーで乾燥し巻き上げた。紡糸開始より96時間以内に糸切れは発生しなかった。また気泡を噛みこんだ欠点糸の発生回数は24hに1回以下であった。得られた中空糸膜の内径は199.3μm、膜厚は14.5μmであった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。この時、血液浄化器内の中空糸膜充填率は52〜55vol%となるようにケースのサイズを調整した。使用した血液浄化器は、モジュール組立後に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。得られた血液浄化器の試験結果を表1に示した。紡糸安定性は良好であったが、破断強力が低いため血液浄化器組立ての歩留まりが低くなった。
Claims (6)
- 中空糸膜を製造するに際して、中空形成剤として−600mmHg以下の減圧下、130℃以上で処理された流動パラフィンを用いて製造された中空糸膜であって、膜厚が5μm以上30μm以下であり、透水率が25ml/m2/hr/mmHg以上300ml/m2/hr/mmHg以下であり、単糸の破断強力が40g以上であるセルロースエステルからなる中空糸膜であって、該中空糸膜を組み込んだ血液浄化器を37℃の純水に浸漬して測定した時のバースト圧が0.8MPa以上であるセルロースエステル中空糸膜。
- 請求項1記載のセルロースエステル中空糸膜の製造において、中空形成剤として沸点が130℃未満の低沸点成分が除去された流動パラフィンを用いることを特徴とするセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
- 低沸点成分の含有率が0.15%以下とされた流動パラフィンを用いることを特徴とする請求項2に記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
- 含有水分率が50ppm以下とされた流動パラフィンを用いることを特徴とする請求項2または3に記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
- 炭素数が10〜15の流動パラフィンであることを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
- 紡糸溶液中のセルロースエステル分率を20重量%以上とし、ノズル温度を130℃以上とすることを特徴とする請求項2〜5いずれかに記載のセルロースエステル中空糸膜の製造方法。
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