JPWO2016182015A1 - 多孔質中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

多孔質中空糸膜及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016182015A1
JPWO2016182015A1 JP2017517976A JP2017517976A JPWO2016182015A1 JP WO2016182015 A1 JPWO2016182015 A1 JP WO2016182015A1 JP 2017517976 A JP2017517976 A JP 2017517976A JP 2017517976 A JP2017517976 A JP 2017517976A JP WO2016182015 A1 JPWO2016182015 A1 JP WO2016182015A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
membrane
porous hollow
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017517976A
Other languages
English (en)
Inventor
崇嗣 田島
崇嗣 田島
浩文 小川
浩文 小川
加藤 典昭
典昭 加藤
横田 英之
英之 横田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Publication of JPWO2016182015A1 publication Critical patent/JPWO2016182015A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/44Polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, not provided for in a single one of groups B01D71/26-B01D71/42
    • B01D71/441Polyvinylpyrrolidone
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/02Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor characterised by their properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/08Hollow fibre membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/38Polyalkenylalcohols; Polyalkenylesters; Polyalkenylethers; Polyalkenylaldehydes; Polyalkenylketones; Polyalkenylacetals; Polyalkenylketals
    • B01D71/381Polyvinylalcohol
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/66Polymers having sulfur in the main chain, with or without nitrogen, oxygen or carbon only
    • B01D71/68Polysulfones; Polyethersulfones

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

【課題】ビール発酵液のろ過性能が高く、ろ過処理中の目詰まりが少なく、さらに洗浄による膜性能の回復性に優れた液体処理用の多孔質中空糸膜を提供するものである。【解決手段】本発明は、限外ろ過用または精密ろ過用の多孔質中空糸膜であって、内表面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が円状であり、外表面を倍率1,000倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が不定形状であり、膜断面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に内表面近傍の気孔が外表面近傍の気孔よりも大きく、25℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側へ向けての純水FLUXが10,000〜30,000L/m2/h/barである多孔質中空糸膜である。【選択図】なし

Description

本発明は、食品分野、医薬分野、半導体分野、エネルギー分野および水処理分野における液体の処理に使用される限外ろ過用または精密ろ過用中空糸膜に関する。詳しくは、ビール酵母液のろ過性能が高く、ろ過中の目詰まりが少なく、さらに洗浄による膜性能の回復性に優れる液体処理用の中空糸膜に関するものである。
食品分野における発酵液の処理においては従来、発酵後のワイン、ビール中の酵母、固形物、コロイド等を除去するために珪藻土が利用されていたが、珪藻土自体の安全性や使用済みの珪藻土は焼却処分できず、大量に使用するため廃棄にかかるコスト高の問題があった。そこで近年、装置の小型化に優れ中空糸型の限外ろ過膜や精密ろ過膜による発酵液の処理が注目されている。
ワインおよびビール等の発酵液を中空糸膜で処理する際には、一般的に中空糸膜の中空部に発酵液を高流量で流しながらクロスフローろ過により中空糸膜の内表面側から外表面側へろ過することで発酵液を清浄化する。この際、中空糸膜の単位面積当たりのろ過性能が高く、ろ過中の目詰まりが少ない、即ち経時劣化が少なく、さらに洗浄による膜性能の回復性に優れた中空糸膜が必要となる。
中空糸膜の透過性を向上させるには、孔径を大きくする方法が一般的であるが、これは同時に分画性能と強度が低下する方向にある。中空糸膜は、膜断面において孔径が実質的に変化しない対称膜と、孔径が連続的または不連続的に変化する非対称膜に大別される。このうち対称膜は、ろ過にあたって膜厚全体が流体の流れに対し抵抗になるため大きな流量を得ることが困難である上、溶質(被除去物質)の目詰まりが生じやすいという欠点がある。一方、少なくとも膜表面の一方に緻密層を有する非対称構造膜は、膜厚部分の孔径を大きくしているため透過抵抗を下げることができ、高い流量を達成することができる特徴がある(特許文献1、2、3)。
特開2004−98027号公報 国際公開第2010/035754号 国際公開第2009/104705号
本発明は、ビール酵母液のろ過性能が高く、ろ過処理中の目詰まりが少なく、さらに洗浄による膜性能の回復性に優れた液体処理用の中空糸膜を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構成により上記課題を解決することができ、本発明に至った。
(1)限外ろ過用または精密ろ過用の多孔質中空糸膜であって、内表面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が円状であり、外表面を倍率1,000倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が不定形状であり、膜断面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に内表面近傍の気孔が外表面近傍の気孔よりも大きく、25℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側へ向けての純水FLUXが10,000〜30,000L/m/h/barである多孔質中空糸膜。
(2)内径が500〜2,000μm、膜厚が100〜500μmである(1)に記載の多孔質中空糸膜。
(3)内表面近傍および外表面近傍が、内表面および外表面から膜厚のそれぞれ30%までの領域であることを特徴とする(1)または(2)に記載の多孔質中空糸膜。
(4)前記中空糸膜が疎水性高分子と親水性高分子を含むことを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(5)前記疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする(4)に記載の多孔質中空糸膜。
(6)前記親水性高分子がポリビニルピロリドンおよび/または酢酸ビニル/ポリビニルピロリドンコポリマーであることを特徴とする(4)または(5)に記載の多孔質中空糸膜。
(7)疎水性高分子、親水性高分子、溶媒および非溶媒を含む製膜溶液を二重管ノズルの環状部から吐出し、同時に中心部から芯液を吐出し、空走部を経て外部凝固液に導いて中空糸膜を得る多孔質中空糸膜の製造方法であって、外部凝固液の温度をノズル温度よりも15〜30℃高くすることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(8)前記ノズルの温度が60〜75℃であることを特徴とする(7)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(9)前記外部凝固液の温度が75〜90℃であることを特徴とする(7)または(8)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
本発明の中空糸膜は、内表面に円状の開孔を有するので、ビール等の発酵液(被処理液)中の比較的大きなサイズの夾雑物質(酵母等)を膜表面上で確実にトラップすることが出来るだけでなく、内表面近傍部から膜中間部に至る部分における深層ろ過により中サイズ物質をろ過し、外表面近傍部においてより小サイズの物質をろ過する、いわゆる多段階ろ過を行うことにより、高い分画性能や、ろ過速度、ろ過安定性を発揮することが可能である。一方、外表面の開孔が不定形状を有することにより、逆洗時に逆洗水が膜孔と目詰まり物質との隙間を流れやすくなるため、目詰まり物質の除去性を高めることができ、ひいては逆洗後の性能回復性に優れるという特徴を有する。
実施例1の中空糸膜における内表面の電子顕微鏡写真(200倍)である。 実施例1の中空糸膜における外表面の電子顕微鏡写真(1,000倍)である。 実施例1の中空糸膜における断面の電子顕微鏡写真(300倍)である。 比較例1の中空糸膜における内表面の電子顕微鏡写真(200倍)である。 比較例1の中空糸膜における外表面の電子顕微鏡写真(1,000倍)である。 比較例1の中空糸膜における断面の電子顕微鏡写真(300倍)である。 実施例1の中空糸膜について、ビール発酵液のろ過性能と洗浄回復性をみた結果である。 本発明の中空糸膜の断面構造を模式的に表した図である。 本発明の中空糸膜を用いたろ過の原理を表す概念図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の中空糸膜において、内表面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔が円状であり、外表面を倍率1,000倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔が不定形状であるのが好ましい。ここで、円状とは、円形に加え、卵形、長円形、楕円形に開孔した表面構造のことである。一方、不定形状とは、凸多角形や凹多角形に開孔した表面構造のことである。
本発明の中空糸膜は、中空部に被処理液を流し、中空糸膜の外側に向かってろ過を行う、いわゆる内圧ろ過に好適に用いられるものであって、内表面に円状孔を有するため、膜の表面でビール発酵液中の比較的大きな懸濁物質(酵母等)をトラップすることができ、膜内部(膜厚部分)に侵入するのを防ぐ、いわゆるプレフィルター効果を有するため、膜の目詰まりによる経時的な透過性の低下を抑制することができる。
また、本発明の中空糸膜は、外表面に不定形状の孔を有するため、膜内表面の開孔部より浸入した小サイズの物質が外表面近傍の細孔に目詰まりした際にも、細孔と目詰まり物質との間に流路を確保することができるためろ過流量を維持しやすい。一方、逆洗時においても、細孔と目詰まり物質との間に逆洗水の流路が確保されるため、目詰まり物質の除去性が高まり、逆洗後の膜性能の回復性に優れる。
本発明において、温度25℃、操作圧1barにおける中空糸膜の内側(中空部)から中空糸膜の外側へ向けての純水FLUXは、好ましくは10,000〜30,000L/m/h/bar(以下、LMH/barと表記することがある)、より好ましくは12,000〜28,000L/m/h/barである。純水FLUXが小さすぎると、単位膜面積当たりの十分な発酵液のろ過流量を得ることができない。また、純水FLUXが大きすぎると、膜が弱くなり耐圧性が低下する可能性がある。
本発明の中空糸膜の内径は、好ましくは500〜2,000μmである。発酵液中には、最大で0.5mm程度の粒径を有する微粒子が存在するため、内径が小さすぎると中空糸膜中空部を閉塞させるおそれがある。内径が大きすぎる場合には、耐圧性を保つために膜厚も大きくして中空率を維持する必要があるが、膜厚を厚くすると発酵液をろ過する際に十分なろ過流量を得られなくなる可能性がある。
本発明の中空糸膜の膜厚は、好ましくは100〜500μm、より好ましくは130〜450μmである。膜厚が薄すぎると、発酵液をろ過する際に圧力を高める必要が生じるため膜が破損する可能性がある。膜厚が厚すぎると、ろ過抵抗が大きくなるため発酵液をろ過する際に十分なろ過流量を得られなくなる可能性がある。
本発明の中空糸膜はまた、膜断面の内表面近傍の気孔が外表面近傍の気孔よりも大きい。このような構造を有することにより、被処理液に含まれるさまざまな大きさの被除去物質を膜全体で分離することができるため目詰まりが生じ難くなる。気孔の大小は、膜断面を走査型電子顕微鏡にて300倍で撮影した写真を目視により判断する。内表面近傍とは、図8に示されるような中空糸膜の内表面から膜厚の30%までの範囲である。一方、外表面近傍とは、図8に示されるような中空糸膜の外表面から膜厚の30%までの範囲である。例えば、膜厚が300μmである場合、内表面近傍は内表面から外表面に向かって90μmまでの範囲、外表面近傍は外表面から内表面に向かって90μmまでの範囲となる。
夾雑物を多く含む被処理液を処理する場合、中空糸膜性能を維持するために、プレフィルターを用いて前処理を行うのが通常である。しかし、そうすると1つの処理に対して孔径の異なる2種類のフィルターが必要になり、さらにろ過装置やろ過工程が煩雑になり高コストとなってしまう。これに対して、本発明の中空糸膜は、図9に示すように、中空糸膜の中空部にビール発酵液等の被処理液を送液した際、初めに内表面の円状の孔で酵母等の特に大きな球状物質を除去し、次に膜の内表面近傍から膜中間部にかけての深層ろ過により中サイズ物質をトラップし、外表面近傍から外表面にかけて小サイズの物質をトラップすることにより、目的ろ過物質が抵抗無く通過させることができる、いわゆる多段のプレフィルター効果を得ることができる。このような膜断面方向における多段階のろ過により、膜のろ過負荷が軽減されて、非常に高いビールろ過処理を可能としている。
本発明の中空糸膜は、疎水性高分子と親水性高分子を含んでなることが好ましい。疎水性高分子としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホン(以下、PSfと略記する)、ポリエーテルスルホン(以下、PESと略記する)、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVDFなどが例示される。中でも、下記の化1、化2で示される繰返し単位を有するPSf、PESなどのポリスルホン系高分子は高い透水性の膜を得るのに有利であり、好ましい。ここで言うポリスルホン系高分子は、官能基やアルキル基などの置換基を含んでいてもよく、炭化水素骨格の水素原子はハロゲンなど他の原子や置換基で置換されていてもよい。また、これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略記する)、酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン共重合体(以下、VA64と略記する)、カルボキシメチルセルロース、デンプンなどの高分子炭水化物などが例示される。中でも、ポリスルホン系高分子との相溶性、水性流体処理膜としての使用実績から、PVPまたはVA64が好ましい。親水性高分子の分子量としては、K値として17〜120のものが好ましく用いられ得る。具体的には、例えば、BASF社より市販されているLuvitec(商品名)K17、K30、K60、K80、K85、K90、VA64などが好ましい。
また、親水性高分子は、平均分子量の異なる2種以上を混合して使用するのが好ましい。この場合、比較的低分子量の親水性高分子(以下、LMWと略記することがある)であるK17、K30またはVA64のいずれかと、比較的高分子量の親水性高分子(以下、HMWと略記することがある)であるK60、K80、K85またはK90のいずれかとの組み合わせが好ましい。分子量の異なる2種以上を混合することで、製膜溶液の粘度を好適な範囲にすることができ、可紡性とろ過性能を両立することができる。
本発明において、分子量の異なる2種以上を混合する場合は、LMWとHMWの比であるLMW/HMWは、5超が好ましく、10以上がより好ましい。LMW/HMWが小さくなると、高分子量成分が過剰に多くなり、膜の親水性が低下する。つまり、膜の濡れ性が不足するため使用前に親水化処理する必要が生じる。一方、LMW/HMWは、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法はなんら限定されるものではないが、疎水性高分子、親水性高分子、溶媒、非溶媒を混合溶解し、脱泡したものを製膜溶液として二重管ノズルの環状部から吐出し、同時に中心部から芯液を吐出し、空走部(エアギャップ部)を経て外部凝固液中に導いて中空糸膜を形成し(乾湿式紡糸法)、水洗後巻き取り、乾燥する方法が例示される。
製膜溶液に使用される溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略記する)、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記する)、ε−カプロラクタムなど、使用される疎水性高分子、親水性高分子の良溶媒であれば広く使用することができるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子を使用する場合には、NMP、DMF、DMAcなどが好ましく、NMPがより好ましい。
また、製膜溶液には、疎水性高分子に対する非溶媒を添加するのが好ましい。使用される非溶媒としては、例えば、エチレングリコール(以下、EGと略記する)、プロピレングリコール(以下、PGと略記する)、ジエチレングリコール(以下、DEGと略記する)、トリエチレングリコール(以下、TEGと略記する)、ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記する)、グリセリン、水などが例示されるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子、親水性高分子としてPVP、VA64を使用する場合には、DEG、TEG、PEGなどが好ましく、TEGがより好ましい。
製膜溶液、芯液および外部凝固液における溶媒/非溶媒の比は、中空糸膜構造の制御に重要な要因となる。溶媒に対して非溶媒が同量かやや過剰気味であることが好ましく、具体的には、溶媒/非溶媒比が重量比で35/65〜50/50であることが好ましい。溶媒の含有量が少なすぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密になり過ぎて透過性が低下してしまう。また、溶媒含有量が多すぎると、相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分離特性や強度の低下を招く可能性が大きくなり好ましくない。
製膜溶液における疎水性高分子の濃度は、製膜が可能であれば特に制限されないが、10〜20重量%程度が好ましく、12〜16重量%がより好ましい。高い透過性を得るには疎水性高分子の濃度は低いほうが好ましいが、過度に低いと強度の低下や、分離特性の悪化を招く可能性がある。
親水性高分子の添加量は、製膜に支障をきたすことなく、中空糸膜に親水性を付与し、被処理液ろ過時の非特異吸着を抑制するのに十分な量であれば特に制限されないが、製膜溶液における親水性高分子の濃度として5〜8重量%程度が好ましい。親水性高分子の添加量が少ないと、膜への親水性付与が不十分となり、膜特性の保持性が低下する可能性がある。逆に、多いと、親水性付与効果が飽和してしまい効率が良くなく、また、製膜溶液の相分離(凝固)が過度に進行しやすくなり、操業性が悪化するのに加え、本発明の好ましい膜構造を形成するのに不利となる。
中空糸膜の製膜時に使用される芯液の組成は、製膜溶液に含まれる溶媒および/または非溶媒を主成分とした液体を使用するのが好ましい。ただし、製膜溶液に含まれる溶媒のみでは、中空部(内腔)壁面での凝固が過度に抑制されるため好ましい表面構造を得ることができない。従って、溶媒と非溶媒の混合液、溶媒と水の混合液、溶媒と非溶媒と水の混合液のいずれかを使用するのが好ましい。内表面の開孔形状を円状とするためには、芯液に含まれる溶媒の量を30〜42重量%程度とするのが好ましい。また、溶媒の量が少ないと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密になり過ぎてしまう。このため、円状にはならず、夾雑物が膜表面に堆積してしまい、ろ過性能の低下を招く可能性が大きくなる。
外部凝固液は、溶媒、非溶媒、および水との混合液を使用するのが好ましい。この際、外部凝固液中に含まれる溶媒と非溶媒の重量比率は、製膜溶液の溶媒/非溶媒比率と同一であることが好ましい。製膜溶液に使用されるのと同一の溶媒および非溶媒を、製膜溶液中の比率と同一にして混合し、これに水を添加して希釈したものが好ましく用いられる。製膜溶液、芯液、外部凝固液の溶媒/非溶媒比率を同一とすることにより、外部凝固液の組成変化を抑制することができ、製造コスト、管理の面より好ましい。
本発明において、外表面の開孔形状を不定形状とするためには、外部凝固液中の水の含有率を、20〜40重量%程度とするのが好ましい。水の含有率が多いと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して、ろ過特性が低下してしまう。また、膜を逆洗する際の効率が低下するため透水性等の性能の洗浄回復率が低下する。水の含有率が少ないと、外部凝固液中で製膜原液の凝固が不十分となり、中空糸膜を凝固液中より引き出せなくなる。また、外部凝固液の温度は、好ましくは75〜90℃程度である。温度が低いと凝固が進行しやすくなり、網目構造になる傾向がある。
本発明において、膜構造を制御する他の因子として、ノズル温度が挙げられる。ノズル温度が低いと、凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して透過性が低下してしまう。また、高いと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分離特性や強度の低下を招く可能性が大きくなってしまう。したがって、ノズル温度は、好ましくは60〜75℃程度である。
また、本発明の中空糸膜を得るには、内外両表面からの凝固および相分離を微妙に制御する必要があるが、その際に注意しなければならない点として、ノズル温度と外部凝固液温度との差を15〜30℃とすることが重要である。ノズル温度と外部凝固液温度との差が15℃より小さいと、外表面が緻密化して透過性が低下してしまう。当然、中空糸膜の内外表面の孔形状や膜断面の構造は、製膜溶液の組成や、芯液の組成、ノズル温度、外部凝固液の組成や温度にも影響を受けるが、それらの組成や温度を前記した範囲に凡そ調整した上で、ノズル温度と外部凝固液温度との関係を前記範囲にコントロールすることが重要である。
本発明の中空糸膜の製造において、前記したようにノズル温度よりも外部凝固液の温度が高いので、徐々にノズルブロック下面に結露した水滴が成長し、ノズルより吐出された製膜溶液と接触し、糸切れを発生させる。そこで、ノズルブロック下面とエアギャップ管上部との間に隙間を設けることで、外部凝固液からの余分な蒸気を前記隙間から外に排出することが必要である。エアギャップ隙間長は2〜5mm程度あれば足りる。また、外部凝固液からの蒸気を強制的に排気するための設備を設けても良い。
紡糸速度については、欠陥のない中空糸膜が得られ、生産性が確保できれば特に制限されないが、好ましくは、3〜30m/min程度である。紡速が低すぎると、生産性が低下することがある。紡速が高すぎると凝固を完了させるために外部凝固浴の大型化が必要になるとか、外部凝固浴からの外部凝固液の持ち出しが多くなるなど、コスト面で不利になることがある。
中空糸膜は、外部凝固浴を通過した後、引き続き洗浄工程に導かれ、30〜80℃程度の温水で洗浄される。
洗浄工程を経た中空糸膜は、カセ巻取機によって束に巻き取った後、所定の長さに切断して中空糸膜束を得る。さらに、次の加熱処理工程での洗浄効果を高めるために切断後の中空糸膜束を垂直に立てて、自然落下のみで除去される中空部に残存する芯液を除去するのが好ましい。
芯液をある程度除去した中空糸膜は、膜特性の保持性・安定性、膜特性の回復性を確保するために、加熱処理(熱水への浸漬処理)を施すのが好ましい。熱水の温度は、好ましくは60〜95℃程度、処理時間は30〜120分程度である。
加熱処理を完了した中空糸膜は、乾燥することによって最終的に完成する。乾燥方法は、風乾、減圧乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥など通常利用される乾燥方法が広く利用できる。乾燥に先立って、上記の加熱処理を施しておくことで、乾燥による膜特性の変化も抑制することができる。熱風乾燥時の熱風温度は、特に制限されないが、好ましくは40〜90℃程度である。このようにして得られた中空糸膜を所定量ハウジングに挿入し、両端を樹脂で接着した後、樹脂の一部を切削して中空糸膜の両端が開口したモジュールを製造する。
ビールろ過処理において、ビールろ過処理量(以下、ビール処理量と略記することがある)および洗浄後のビールろ過処理量回復率(以下、ビール処理量回復率と略記することがある)はともに高い方が好ましい。ビールろ過処理の際、初回(1回目)のビールろ過処理後(圧力がほぼ1.2barに到達した後)に膜の外側から内側に向けて短時間の逆洗を行い膜を洗浄する。その後、再びビールろ過処理を行う。前記ビールろ過処理と逆洗を交互に実施して使用する。しかし、逆洗のみでは次第にビールろ過処理能が低下していくので、アルカリ、酸および過硫酸等の薬液に浸漬および逆洗を実施して、膜の細孔や表面に吸着および詰まっている物質を除去して、ビールろ過処理能力を回復させる必要がある。この際、1回目や薬液洗浄後の膜面積当たりのビールろ過処理量が100(L/m)以上あることが好ましい。より好ましくは120(L/m)以上、さらに好ましくは140(L/m)以上であることが、洗浄頻度や洗浄時間を低減できるため、操業性およびコストの面から好ましい。
ビール処理量回復率は、薬液による逆ろ過洗浄を行うことによりろ過性能の回復性に関わる。すなわち、回復率の高い膜は、洗浄を実施することにより長期間にわたって使用することができ、製品寿命が長い膜であるということになる。具体的には、回復率は80%を下回ると実際のろ過操作時には経時的な膜性能の低下が大きくなり、実用的でない。好ましくは90%超であることが好ましい。
以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価方法は以下の通りである。
1.中空糸膜の電子顕微鏡による構造観察
内表面、外表面、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、倍率200倍、1,000倍、3,000倍または10,000倍で撮影した。観察用の中空糸膜は、以下の手順に従い、調製した。乾燥後の中空糸膜を液体窒素中に浸漬して凍結させた後、液体窒素から取り出す。断面観察用のサンプルは凍結状態で折り曲げて切断する。表面観察用のサンプルは、内外表面を観察できるように剃刀で斜めに切断する。得られた各サンプルを試料台に固定し、カーボン蒸着を行う。蒸着後のサンプルを走査型電子顕微鏡(キーエンスVE−9800)を用いて加速電圧20kVにて観察を行う。
2.ミニモジュールの作製
複数本の中空糸膜を約40cmの長さに切断し、両末端をビニールテープで束ねて中空糸膜束を作製した後、接着時に樹脂が中空糸膜の中空部に入らないように予めペンチで端部を潰した。この中空糸膜束の両端をそれぞれパイプ(スリーブ)に挿入し、パイプにエポキシ接着剤を流し込んだ。エポキシ樹脂が固化した後に端部を切断して両末端が開口したミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、中空糸膜内径基準の膜面積が10〜50cmになるよう適宜設定した。
3.モジュールの作製
複数本の中空糸膜を約30cmの長さに切断し、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸膜束とした。この中空糸膜束を円筒型のポリカーボネート製モジュールケースに挿入し、両末端をウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、両末端が開口したモジュールを得た。中空糸膜の本数は、中空糸膜内径基準の膜面積が100〜200cmとなるよう適宜設定した。なお、円筒状のモジュールケースには両端部付近の2箇所にポートを設け、中空糸膜の外面を流体が灌流できるようにし、両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを装着して、中空糸膜の中空部を流体が灌流できるようにした。
4.中空糸膜の内径、膜厚の測定
中空糸膜を長さ方向に対して垂直に鋭利な剃刀でカットし、断面を20倍の顕微鏡で観察する、内径値と外径値をそれぞれn=10で測定し、平均値を算出する。一方、膜厚は、以下の式により算出する。
膜厚[μm]=(外径−内径)/2
5.膜面積の計算
ミニモジュールおよびモジュールの膜面積は中空糸膜の内径を基準として求めた。次式によってモジュールの膜面積が計算できる。
A=n×π×d×L
ここで、nは中空糸膜の本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径[m]、Lはミニモジュールおよびモジュールにおける中空糸膜の有効長[m]である。
6.純水FLUXの測定
ミニモジュールの両端に回路を接続し、ミニモジュールへの純水の流入圧とミニモジュールからの純水の流出圧を測定できるようにした。一方の流入口から純水をミニモジュールに導入し、流出口に接続した回路(圧力測定点よりも下流)を閉じて流れを止め、ミニモジュールの流入口から入った純水(RO水)を全ろ過するようにした。25℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、ミニモジュールへ純水を送り、中空糸膜の内側から外側に透過した濾液を一定時間サンプリングした。膜間圧力差(TMP)は、
TMP=(Pi+Po)/2
とした。ここで、Piは流入側圧力、Poは流出側圧力である。
中空糸膜の純水FLUXは、以下の式により算出した。
純水FLUX[LMH/bar]
=(1分あたりの純水のろ過量[L/min]×60/A/TMP[bar]
ここで、Aはミニモジュールの膜面積[m]である。
7.ビールの定速ろ過測定
ビール酵母を含有した「富士宮ビール上面発酵未ろ過ビール」を(以下、評価用ビールと呼称する)使用した。モジュール内にRO水を充填し1時間以上放置した後、中空糸膜の外側のRO水を排出した後、中空部に存在する水を評価用ビールで置換した。容器内に0℃を維持した評価用ビール2Lを用意し、この容器からポンプを介して評価用ビールが中空糸膜の中空部を灌流して容器に戻ると同時に、中空糸膜によってろ過された濾液も容器に戻るよう回路を組んだ。その際、モジュールへの評価用ビールの入口圧と出口圧およびろ過側の圧を測定できるようにした。中空糸膜の中空部入口を、評価用ビールが1.5m/secの流速で流れるように、評価用ビールを導入した。また、ろ過速度は、60[L/m/h]になるように調整した。この状態で、中空糸膜中空部に評価用ビールを灌流、一部をろ過するクロスフローろ過を継続して実施した。所定の時間毎に入口圧、出口圧およびろ過側の圧力を測定し、膜間圧力差(TMP)が1.2barまで上昇する時間[min]を測定して、ビール処理量を算出した。
TMP=(Pi+Po)/2−Pf
とした。ここで、Piは入口圧、Poは出口圧およびPfはろ過側の圧である。
ビール処理量[L/m]=ろ過速度60[L/m/h]×圧力1.2barまで上昇する時間[min]/60
8.ビール処理量回復率の算出
ビールの定速ろ過を実施し、この時のビール処理量をビール処理量(1)とした。ろ過後のモジュールを0.6%NaOH水溶液に20分浸漬後、引き続き0.6%NaOH水溶液で中空糸膜の外側から内側に向かって逆ろ過を12L/mかけた後、水に置換し、再度ビールの定速ろ過測定を行った。前記操作を繰り返し、合計で5回のビールの定速ろ過測定を行った。その後、0.6%NaOHに20分浸漬後に、引き続き0.6%NaOH水溶液で逆ろ過を12L/mかけた後、アルカリ(2%水酸化Na)で75℃、20分浸漬処理後に0.5%過硫酸Na水溶液(アルカリ共存系)で70℃、20分浸漬処理した。最後に、酸(0.5%硝酸)水溶液に室温で10分浸漬処理し、中空糸膜の内側と外側を水に置換後にビールの定速ろ過を実施し、この時のビール処理量をビール処理量(2)とし、下記の方法でビール処理量回復率を求めた。
ビール処理量回復率(%)=ビール処理量(2)/ビール処理量(1)×100
(実施例1)
PES(BASF社製ULTRASON 6020P(登録商標))14.0重量%、BASF社製PVP(Luvitec K30powder(登録商標))6.0重量%、BASF社製PVP(Luvitec K90PHpowder(登録商標))0.5重量%、三菱化学社製NMP31.8重量%、大阪油化工業社製TEG47.7重量%を混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた溶液を脱泡し、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP39.2重量%、TEG58.8重量%、RO水2.0重量%の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から前記製膜原液を、中心部から前記芯液を吐出し、エアギャップ長20mm(エアギャップ上部隙間2mm)を経て、NMP30.0重量%、TEG45.0重量%、RO水25.0重量%の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は60℃、外部凝固液温度は88℃に設定した。凝固浴から中空糸膜を引き出し、水洗槽を通過させて過剰の溶媒を除去した後、綛に捲き上げた。綛より中空糸膜束(バンドル)を切り出し、中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、65℃で熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1183μm、膜厚は282μmであった。SEM観察の結果、内表面(倍率200倍)の開孔は円状であった。外表面(倍率1,000倍)の開孔は不定形状であった。ミニモジュールを作成し、純水FLUXを測定したところ、21,000LMH/barであった。その他の結果を表1にまとめた。
また、本実施例1で得られた中空糸膜のビールFLUXの洗浄回復率を測定した結果を図7に示す。ビールFLUXは、洗浄によりほぼ初期状態に回復した。
(実施例2)
実施例1において、製膜原液組成をPES15.0重量%、NMP31.4重量%、TEG47.1重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例3)
実施例1において、製膜原液組成をPES13.0重量%、NMP32.2重量%、TEG48.3重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例4)
内径を1920μm、膜厚を430μmにした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例5)
内径を576μm、膜厚を141μmにした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例6)
実施例1において、ノズル温度を70℃にした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例7)
実施例1において、外部凝固液温度を75℃にした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例8)
実施例1において、ノズル温度を65℃、外部凝固液温度を92℃にした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例9)
実施例1において、芯液中溶媒濃度を33重量%にした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例10)
実施例1において、外部凝固液の水含有率を42重量%にした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例11)
実施例1において、製膜原液組成をPVP(K90)1重量%、NMP31.6重量%、TEG47.4重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(実施例12)
実施例1において、製膜原液組成をPVP(K30)をBASF社製VA64(Luvitec VA64powder(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表1にまとめた。
(比較例1)
PSf(Amoco社製P−1700)18.0重量%、PVP(K30)25.0重量%、NMP52.0重量%、グリセリン5.0重量%を混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた溶液を脱泡し、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP90.0重量%、RO水10.0重量%の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から前記製膜原液を、中心部から前記芯液を吐出し、エアギャップ長50mmを経て、水からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は70℃、外部凝固液温度は80℃に設定した。さらに、凝固浴から中空糸膜を引き出し、水洗槽を通過させて過剰の溶媒を除去した後、綛に捲き上げた。綛より中空糸膜束(バンドル)を切り出し、中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、65℃で熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1310μm、膜厚は333μmであった。SEM観察の結果、内表面(倍率200倍)の開孔は円状であり、外表面(倍率1,000倍)の開孔も円状であった。以上の結果を表2にまとめた。
(比較例2)
PSf(Amoco社製P−1700)20.0重量%、PVP(K90)4.4重量%、NMP75.6重量%を混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた溶液を脱泡し、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP54.0重量%、RO水46.0重量%の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から前記製膜原液を、中心部から前記芯液を吐出し、エアギャップ長960mmを経て、水からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は60℃、外部凝固液温度は92℃に設定した。さらに、凝固浴から中空糸膜を引き出し、水洗槽を通過させて過剰の溶媒を除去した後、綛に捲き上げた。綛より中空糸膜束(バンドル)を切り出し、中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、65℃で熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1180μm、膜厚は325μmであった。SEM観察の結果、内表面(倍率200倍)の開孔は円状であり、外表面(倍率1,000倍)の開孔も円状であった。以上の結果を表2にまとめた。
(比較例3)
PES(住友化学工業株式会社製4800P)21重量%、PVP(株式会社日本触媒製K30)2.5重量%、PVP(株式会社日本触媒製K90)0.5重量%、NMP34.2重量%、TEG41.8重量%を70℃で混合溶解し均一な溶液を得た。一方、NMP33.8重量%、TEG41.2重量%、水25.0重量%の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの管状部から上記の製膜原液を中心部から上記芯液を吐出し50mmのエアギャップを経て、NMP13.5重量%、TEG16.5重量%、水70.0重量%の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固槽に導いた。この際、ノズル温度は75℃、外部凝固液温度は60℃であった。続いて、水洗工程を経て12m/分の紡速で綛に巻き上げた。中空糸膜束は中空糸本数300本×長さ1.3mに両端をカッターで切りそろえて中空部を開口させ、30秒間垂直に把持して中空部の残液を液切りした後、中空糸膜束1束に対し5L/分の流量で30秒間中空部を通水洗浄した。通水洗浄後の中空糸膜束を98℃の水に60分間浸漬し、ついで50℃で15時間にわたり熱風乾燥を実施し、内径1237μm、膜厚281μmの乾燥中空糸膜を得た。以上の結果を表2にまとめた。
(比較例4)
実施例1において、芯液をNMP25.0重量%、TEG37.5重量%、RO水37.5重量%の混合液に変更し、ノズル温度を57℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表2にまとめた。
(比較例5)
実施例1において、外部凝固液の水含有率を50.0重量%に変更し、外部凝固液の温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表2にまとめた。
(比較例6)
実施例1において、外部凝固液の水含有率を15.0重量%に変更し、外部凝固液の温度を92℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により製膜し、中空糸膜を得た。以上の結果を表2にまとめた。
表1、2の結果から明らかなように、実施例1〜12は、高い純水FLUXを有する膜が得られている。膜構造の面では、実使用に耐える細孔構造を実現できている。これらの特性によって、ビール発酵液のろ過テストで優れた結果が得られている。一方で、比較例1は、製膜溶液中の親水性高分子の濃度が高すぎることで、純水FLUXが低く、かつ初回ビール処理量も低い問題がある。また、外表面孔径が円形状であり、膜断面気孔が内表面近傍に比して外表面近傍で大きいため、ビール処理量回復率が低い問題がある。比較例2は、製膜溶液中の疎水性高分子および親水性高分子の濃度が高く、親水性高分子として比較的分子量が大きいものを使用しているため、膜全体が緻密な構造になっているものと思われ、純水FLUXが低い問題がある。また、膜構造に起因してビール処理量回復率も低い問題がある。比較例3は、純水FLUXは高いが、内表面の孔形状が網目構造であるし、膜断面気孔が内表面近傍に比して外表面近傍で大きいため、被処理液中の夾雑物が膜表面に堆積し、初回ビール処理量が低い問題がある。また、膜構造が適正化されていないため、ビール処理量回復率が低い問題がある。比較例4も同様に、内表面の孔形状および膜断面構造が適正化されていないためか、初回ビール処理量およびビール処理量回復率が低い問題がある。比較例5、6は、膜表面の孔形状は適正だが、膜断面気孔が適正化されていないため、初回ビール処理量が低い問題がある。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、食品分野、医薬分野、半導体分野、エネルギー分野および水処理分野における液体の処理に使用される中空糸膜は、精密ろ過、限外ろ過などの工業用途や、血液透析、血液ろ過、血液透析ろ過などの医療用途に広く利用可能である。特に、液体処理用の中空糸膜として細胞濃縮、除菌、アルコール飲料処理に好適である。

Claims (9)

  1. 限外ろ過用または精密ろ過用の多孔質中空糸膜であって、内表面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が円状であり、外表面を倍率1,000倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に開孔形状が不定形状であり、膜断面を倍率200倍の走査型電子顕微鏡で観察した際に内表面近傍の気孔が外表面近傍の気孔よりも大きく、25℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側へ向けての純水FLUXが10,000〜30,000L/m/h/barである多孔質中空糸膜。
  2. 内径が500〜2,000μm、膜厚が100〜500μmである請求項1に記載の多孔質中空糸膜。
  3. 内表面近傍および外表面近傍が、内表面および外表面から膜厚のそれぞれ30%までの領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質中空糸膜。
  4. 前記中空糸膜が疎水性高分子と親水性高分子を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  5. 前記疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質中空糸膜。
  6. 前記親水性高分子がポリビニルピロリドンおよび/または酢酸ビニル/ポリビニルピロリドンコポリマーであることを特徴とする請求項4または5に記載の多孔質中空糸膜。
  7. 疎水性高分子、親水性高分子、溶媒および非溶媒を含む製膜溶液を二重管ノズルの環状部から吐出し、同時に中心部から芯液を吐出し、空走部を経て外部凝固液に導いて中空糸膜を得る多孔質中空糸膜の製造方法であって、外部凝固液の温度をノズル温度よりも15〜30℃高くすることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  8. 前記ノズルの温度が60〜75℃程度であることを特徴とする請求項7に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  9. 前記外部凝固液の温度が75〜90℃程度であることを特徴とする請求項7または8に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
JP2017517976A 2015-05-13 2016-05-12 多孔質中空糸膜及びその製造方法 Pending JPWO2016182015A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015097889 2015-05-13
JP2015097889 2015-05-13
PCT/JP2016/064118 WO2016182015A1 (ja) 2015-05-13 2016-05-12 多孔質中空糸膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016182015A1 true JPWO2016182015A1 (ja) 2018-03-01

Family

ID=57249521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017517976A Pending JPWO2016182015A1 (ja) 2015-05-13 2016-05-12 多孔質中空糸膜及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2016182015A1 (ja)
WO (1) WO2016182015A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019130522A (ja) * 2018-02-02 2019-08-08 東レ株式会社 中空糸膜、中空糸膜の製造方法、および中空糸膜を用いたビール、ワインまたは日本酒の製造方法
WO2021020571A1 (ja) 2019-07-31 2021-02-04 東レ株式会社 分離膜

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2736992B2 (ja) * 1989-03-22 1998-04-08 旭化成工業株式会社 ポリスルホン系中空糸膜及びその製造方法
JP3232117B2 (ja) * 1991-11-19 2001-11-26 鐘淵化学工業株式会社 ポリスルホン多孔質中空糸
JP3217842B2 (ja) * 1992-03-03 2001-10-15 旭化成株式会社 中空糸状高性能精密濾過膜
JPH07258915A (ja) * 1994-03-14 1995-10-09 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 多孔質ポリスルホン中空糸
KR100650330B1 (ko) * 2004-09-20 2006-11-27 주식회사 파라 수투과성이 우수한 중공사 분리막
EP1875956B1 (en) * 2006-07-07 2010-03-17 Gambro Lundia AB Plasma separation membrane
KR20090088099A (ko) * 2008-02-14 2009-08-19 (주)필코아 수투과성이 우수한 폴리술폰 중공사막 및 이의 제조방법
AU2009297565B2 (en) * 2008-09-26 2013-10-31 Asahi Kasei Chemicals Corporation Porous membrane, process for producing porous membrane, process for producing clarified liquid, and porous-membrane module
JP2011020071A (ja) * 2009-07-17 2011-02-03 Toyobo Co Ltd ポリスルホン系中空糸膜の製造方法
CN103608052B (zh) * 2011-06-09 2016-06-22 旭化成医疗株式会社 血液处理用中空纤维膜和中空纤维膜型血液处理装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016182015A1 (ja) 2016-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5504560B2 (ja) 液体処理用の中空糸膜
JP5433921B2 (ja) 高分子多孔質中空糸膜
CN106573203B (zh) 多孔膜
JP5754654B2 (ja) タンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜
WO2007125943A1 (ja) 高分子多孔質中空糸膜
US10188991B2 (en) Permselective asymmetric membranes
JP5207150B2 (ja) 多孔質中空糸膜およびタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜
EP3216515B1 (en) Hollow fiber filtration membrane
JP6024660B2 (ja) 多孔質中空糸膜
JP6694326B2 (ja) 複合膜
WO1997022405A1 (fr) Membrane de filtration du type a fibre creuse
JP5835659B2 (ja) タンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜
JP2008284471A (ja) 高分子多孔質中空糸膜
WO2009125598A1 (ja) ポリエーテルスルホン製の親水性ろ過膜、その製造方法及び製膜原液
JP6374291B2 (ja) 中空糸膜モジュール
WO2016182015A1 (ja) 多孔質中空糸膜及びその製造方法
WO1996035504A1 (fr) Membrane fibre creuse a base de polymere de polysulfone et son procede de production
JP2008194647A (ja) 中空糸膜
JP7095072B2 (ja) 中空糸膜、及び中空糸膜の製造方法
JP6155908B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP2688564B2 (ja) 酢酸セルロース中空糸分離膜
JP3594946B2 (ja) 高性能精密濾過膜
JP6707880B2 (ja) 中空糸膜および中空糸膜モジュール
JP3464000B1 (ja) 高性能中空糸状精密濾過膜の製造方法
WO2024128243A1 (ja) 多孔質膜および精製方法