JP2008194647A - 中空糸膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワインおよびビール等の発酵液を中空糸膜モジュールで処理し発酵液を清浄化する際、中空糸膜の単位面積当たり濾過性能が高く、濾過中の目詰まりが少ない、すなわち性能の経時劣化の少ない液体処理用の中空糸膜を提供する。
【解決手段】本発明は、内径が500〜1500μm、膜厚が100〜500μmの中空糸膜であって、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が下記式を満たすことを特徴とする中空糸膜である。
5≦(A−B)/膜厚×100≦20
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、内径が500〜1500μm、膜厚が100〜500μmの中空糸膜であって、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が下記式を満たすことを特徴とする中空糸膜である。
5≦(A−B)/膜厚×100≦20
【選択図】図1
Description
本発明は、食品分野、医薬分野、半導体分野、エネルギー分野および水処理分野における液体の処理に使用される高分子多孔性中空糸膜に関する。詳しくはワイン酵母液の濾過性能が高く、濾過中の目詰まりの少ない中空糸膜に関する。
食品分野、医薬分野、半導体分野、エネルギー分野および水処理分野における液体の処理に使用される中空糸膜は、精密濾過、限外濾過などの工業用途や、血液透析、血液濾過、血液透析濾過などの医療用途に広く利用されており、その素材としてはセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルなどが用いられている。
特に、食品分野における発酵液の処理においては、従来、発酵後のワイン、ビール中の酵母、固形物、コロイド等を除去するために珪藻土が利用されていたが、珪藻土自体の安全性や使用済みの珪藻土は焼却処分できず、また、大量に使用するため廃棄にかかるコスト高の問題があった。そこで、近年、装置の小型化に優れている中空糸形状の限外濾過膜や精密濾過膜による発酵液の処理が注目され始めている。
ワインおよびビール等の発酵液を中空糸膜モジュールで処理する際には、一般的に中空糸膜の中空部に発酵液を高流量で流しながら1〜1.5bar程度の高い圧力をかけて行うクロスフロー濾過により、中空糸膜の内側から外側へ濾過することで発酵液を清浄化する。この際、中空糸膜の単位面積当たりの濾過性能が高く、濾過中の目詰まりが少ない、即ち経時劣化の少ない中空糸膜が必要となる。
中空糸膜による発酵液の処理方法として、濾過システムおよび濾過方法を改善することで発酵液の処理量を上げる方法がある。(特許文献1参照)。しかし、この方法は濾過システムおよび濾過方法に関するもので、発酵液の濾過性能に最も影響を及ぼす中空糸膜の性能や特性についての記載は全く無い。
また、ワインなどのアルコール飲料発酵液の濾過に起因する着香を防止する技術が開示されている。(特許文献2参照)。該技術は、膜濾過モジュールにアルコール飲料を通液する前に、膜濾過モジュールをアルコール水溶液で洗浄することにより、シール材やポッティング材、膜素材等に起因する風味の変化を抑制するというものである。しかし、この方法は発酵液を濾過する際の膜の前処理方法に関する技術が主体であって、中空糸膜の性能や特性については言及されていない。
ビール、ワイン、酒、醤油、ジュース等の食品濾過膜について、ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(以下PTFEと略記する)の多孔質空間に水不溶化した水溶性高分子を設けた多孔質複合構造物を濾過に使用して目詰まりを抑制する方法がある。(特許文献3参照)。しかし、この方法ではPTFE多孔質空間に一旦水溶性ポリマーを浸透させたのち水不溶化させるために架橋処理する必要があり、作業が煩雑であり、さらにPTFEは高価なため膜の製造コストが高くなってしまう問題があった。
さらに、ジュースやワインなどの飲料を濾過する膜として、紡糸原液に炭素原子を2〜12個有する酸無水物を添加することでシャープな細孔径分布と耐久性を付与し、生産性を向上させる技術が開示されている。(特許文献4参照)。しかし、この技術では、紡糸原液に酸無水物を含むため膜を保存している間に膜素材が酸化劣化する問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決することを目的とするものであって、詳しくはワイン発酵液の濾過性能が高く、濾過中の目詰まりの少ない中空糸膜を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、次のような中空糸膜を見出した。
(1)内径が500〜1500μm、膜厚が100〜500μmの中空糸膜であって、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が下記式を満たすことを特徴とする中空糸膜。
5≦(A−B)/膜厚×100≦20
(2)22℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側への純水の透過速度が500〜2500L/m2/h/barであることを特徴とする(1)記載の中空糸膜。
(3)バブルポイント法によって得られる最大孔径が0.05〜0.5μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の中空糸膜。
(4)中空糸膜が疎水性高分子と親水性高分子とから成ることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の中空糸膜。
(5)疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の中空糸膜。
(6)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載の中空糸膜。
(7)(1)〜(6)いずれか記載のアルコール飲料発酵液のろ過に用いる中空糸膜。
(8)該アルコール飲料発酵液がワイン酵母液である(7)に記載の中空糸膜。
(1)内径が500〜1500μm、膜厚が100〜500μmの中空糸膜であって、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が下記式を満たすことを特徴とする中空糸膜。
5≦(A−B)/膜厚×100≦20
(2)22℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側への純水の透過速度が500〜2500L/m2/h/barであることを特徴とする(1)記載の中空糸膜。
(3)バブルポイント法によって得られる最大孔径が0.05〜0.5μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の中空糸膜。
(4)中空糸膜が疎水性高分子と親水性高分子とから成ることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の中空糸膜。
(5)疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の中空糸膜。
(6)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載の中空糸膜。
(7)(1)〜(6)いずれか記載のアルコール飲料発酵液のろ過に用いる中空糸膜。
(8)該アルコール飲料発酵液がワイン酵母液である(7)に記載の中空糸膜。
本発明の中空糸膜は、中空糸膜内面側に適度な柔軟性を持たせているので、懸濁物質が含まれる液体を濾過した際にもケーク層の形成が効果的に抑制されるという特性を有する。したがって、本発明の中空糸膜は、血液やワイン、ビール等の懸濁物質を多く含む液体の透析、濾過に使用した際にも、高い濾過安定性を有するとともに洗浄回復性に優れるという効果を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の中空糸膜の内径は、好ましくは500〜1500μmである。発酵液中には、最大で500μm程度の直径を有する微粒子が存在することがあり、内径が小さすぎると中空糸膜中空部を閉塞させるおそれがあるため、中空糸膜の内径は600μm以上がより好ましい。700μm以上がさらに好ましく、800μm以上がさらにより好ましい。また、内径が大きすぎる場合には、耐圧性を保つために膜厚も大きくして中空率を維持する必要があるが、膜厚を厚くすると発酵液を濾過する際に十分な濾過流量を得られなくなる可能性がある。また、紡糸口金から紡糸原液と内液とを一緒に吐出して、凝固浴槽で凝固させる際に、紡糸原液量が多いために凝固が不十分となってしまい、中空糸膜形状を維持できなくなってしまうことがある。さらに、内径が大きすぎるとクロスフロー濾過に必要な線速度を得るために発酵液を流すポンプの電気エネルギーが大きくなるためランニングコストが高くなる可能性がある。したがって、中空糸膜内径は1400μm以下がより好ましく、1300μm以下がさらに好ましい。
本発明の中空糸膜の内径は、好ましくは500〜1500μmである。発酵液中には、最大で500μm程度の直径を有する微粒子が存在することがあり、内径が小さすぎると中空糸膜中空部を閉塞させるおそれがあるため、中空糸膜の内径は600μm以上がより好ましい。700μm以上がさらに好ましく、800μm以上がさらにより好ましい。また、内径が大きすぎる場合には、耐圧性を保つために膜厚も大きくして中空率を維持する必要があるが、膜厚を厚くすると発酵液を濾過する際に十分な濾過流量を得られなくなる可能性がある。また、紡糸口金から紡糸原液と内液とを一緒に吐出して、凝固浴槽で凝固させる際に、紡糸原液量が多いために凝固が不十分となってしまい、中空糸膜形状を維持できなくなってしまうことがある。さらに、内径が大きすぎるとクロスフロー濾過に必要な線速度を得るために発酵液を流すポンプの電気エネルギーが大きくなるためランニングコストが高くなる可能性がある。したがって、中空糸膜内径は1400μm以下がより好ましく、1300μm以下がさらに好ましい。
中空糸膜の膜厚は、好ましくは100〜500μm、より好ましくは200〜400μmである。膜厚が薄すぎると、発酵液を濾過する際に1.0〜1.5bar程度の圧力をかけた際に膜が破損する可能性がある。膜厚が厚すぎると、発酵液を濾過する際に十分な濾過流量を得られなくなる可能性がある。
本発明の中空糸膜は、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が5≦(A−B)/膜厚×100≦20を満たすことが好ましい。
本発明の熱機械分析計の中空糸膜内面に荷重を加えた際の内表面の凹み量について説明する。熱機械分析とは、試料の温度変化にともなう形状変化を非振動的な荷重下で測定するものである。本発明では、温度25℃の状態で試料である中空糸膜の内表面に垂直にプローブ(探針)を押し当てて荷重を与えることにより、中空糸膜の内表面に凹みが生じ、その凹みによる変位量がプローブの位置変化量として計測される。つまり、膜の内表面の柔らかさを測定することができる。
我々は鋭意研究を重ねた結果、熱機械分析計によって測定したプローブを内表面に押し当てた際の凹み量を膜厚に対する変化率と規定し、これを特定の範囲とすることでワイン発酵液の透過性に優れ、濾過中の目詰まりが少なくなることを見出した。
発酵液等の懸濁液を濾過する際には、通常濾過材の表面に濾過開始後すぐにケーク層が形成され、さらに濾過時の操作圧力が高くなるに従って、ケーク層が厚くなり十分な濾過流量が得られなくなる。特に、デッドエンド濾過の場合は、濾過の進行とともにケーク層が成長するため、濾過流量が急激に低下してしまう。これに対し、通常、ワインやビール等の発酵液を中空糸膜で濾過処理する際には、中空糸膜の内側から外側に向かって濾過圧1〜1.5barで濾過処理するが、ケーク層が厚くなるのを防ぐために中空糸膜モジュールの入口側から出口側へ線速度1m/秒以上の高い速度で発酵液を流しながら濾過処理するクロスフロー濾過によりケーク層の成長を抑制している。
しかし、クロスフローにおいてもケーク層の成長を完全に抑制することはできない。濾過時間の経過とともに処理量が次第に低下してしまうが、本発明の中空糸膜は内側に適度な柔らかさを持たせることで、中空糸膜の単位面積当たりの濾過性能が高く濾過中の目詰まりが少ない、即ち性能の経時劣化を極限まで抑えている。詳細な理由は不明だが、中空糸膜の内側を適度な柔らかさとすることで、膜の内側がクッションの役割を果たし、ケーク層が堆積しようとすると跳ね返してしまうものと考えている。
つまり、本発明の中空糸膜は、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が5≦(A−B)/膜厚×100≦20を満たすのが好ましい。より好ましくは7≦(A−B)/膜厚×100≦15である。ここで、荷重を0.6Nおよび1.0Nとしているのは、荷重が0.6Nより小さいと素材や膜構造の違いによる凹み量に差が生じ難いためである。(図1参照)。また、1.0Nよりも荷重を大きくすると素材や膜構造の違いを超えて凹み量が大きくなってしまうためである。さらに、例えば、ワイン濾過においては、通常1〜1.5barの圧力をかけるが、その数倍の荷重で膜の柔らかさを評価することによって、濾過安定性の高さを担保している。凹み量が小さすぎると膜の内側が硬いことを示し、ケーク層の成長を十分抑えることができず、経時的なワイン濾過流量の低下を抑え切れないことがある。一方、凹み量が大きすぎると膜の強度が弱くなり、使用中に膜がリークする可能性がある。
本発明の中空糸膜は、温度22℃、操作圧1barにおける中空糸膜の内側から中空糸膜の外側への純水の透過速度が好ましくは500〜2500L/m2/h/bar、より好ましくは800〜2000L/m2/h/barである。純水の透過速度が小さすぎると、単位膜面積当たりの十分な発酵液の濾過流量を得ることができないことがある。純水の透過速度が大きすぎると、膜が弱くなり耐圧性が低下する可能性がある。
本発明の中空糸膜は、バブルポイント法によって得られる最大孔径が、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。最大孔径が小さすぎると、風味成分や香り成分まで除去されてしまうことがある。最大孔径が大きすぎると、本来除去すべき固形物やコロイド等の物質も膜を通過(透過)してしまうことがある。
本発明の中空糸膜の素材は特に限定されず、セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられるが、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)等により容易に親水性を付与することができ、可紡性および十分な透過性能を得ることができるため特に好ましい。
本発明における親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(以下PVPと略記する)、カルボキシメチルセルロース、デンプンなどの高分子炭水化物などが例示される。中でも、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性、水性流体処理膜としての使用実績から、PVPが好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。PVPの分子量としては重量平均分子量10,000〜1,500,000のものが好ましく用いられる。具体的には、BASF社より市販されている分子量9000のもの(K17)、以下同様に45000(K30)、450000(K60)、900000(K80)、1200000(K90)のものを用いるのが好ましい。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の製造方法はなんら限定されるものではないが、疎水性高分子、親水性高分子、溶媒、必要であれば非溶媒を混合溶解して脱泡したものを製膜原液とし、芯液とともに二重管ノズルの環状部、中心部からそれぞれ同時に吐出し、空走部(エアギャップ部)を経て凝固浴中に導いて中空糸膜を形成し(乾湿式紡糸法)、水洗後巻き取り、乾燥する方法が例示される。
製膜原液に使用される溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記する)、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略記する)、ε−カプロラクタムなど、使用される疎水性高分子、親水性高分子の良溶媒であれば広く使用することが可能であるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子を使用する場合には、NMP、DMF、DMAcなどの溶媒が好ましく、NMPがより好ましい。
また、製膜原液には必要により高分子に対する非溶媒を添加することも可能である。使用される非溶媒としては、例えば、エチレングリコール(以下EGと略記する)、プロピレングリコール(以下PGと略記する)、ジエチレングリコール(以下DEGと略記する)、トリエチレングリコール(以下TEGと略記する)、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記する)、グリセリン、水などが例示されるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子、親水性高分子としてPVPを使用する場合には、DEG、TEG,PEGなどのエーテルポリオールが好ましく、TEGがより好ましい。
製膜原液における疎水性高分子の濃度は、該原液を用いて製膜が可能であれば特に制限されないが、10〜35重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。高い透過性を得るには疎水性高分子の濃度は低いほうが好ましいが、過度に低いと強度の低下や、分画特性の悪化を招く可能性があるので、10〜25重量%が好ましい。
親水性高分子の添加量は、中空糸膜に親水性を付与し、水性流体処理時の非特異吸着を抑制するのに十分な量であれば特に制限されないが、疎水性高分子に対する親水性高分子の比率として10〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。親水性高分子の添加量が少なすぎると、膜への親水性付与が不十分となり、膜特性の保持性が低下する可能性がある。また、親水性高分子の添加量が多すぎると、親水性付与効果が飽和してしまい効率がよくなく、また、製膜原液の相分離(凝固)が過度に進行しやすくなり、本発明の好ましい膜構造を形成するのに不利となることがある。
親水性高分子の添加量は、中空糸膜に親水性を付与し、水性流体処理時の非特異吸着を抑制するのに十分な量であれば特に制限されないが、疎水性高分子に対する親水性高分子の比率として10〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。親水性高分子の添加量が少なすぎると、膜への親水性付与が不十分となり、膜特性の保持性が低下する可能性がある。また、親水性高分子の添加量が多すぎると、親水性付与効果が飽和してしまい効率がよくなく、また、製膜原液の相分離(凝固)が過度に進行しやすくなり、本発明の好ましい膜構造を形成するのに不利となることがある。
製膜原液中における溶媒/非溶媒の比は、紡糸工程における相分離(凝固)の制御に重要な要因の1つである。具体的には、溶媒/非溶媒の含有量が重量比で30/70〜70/30であることが好ましく、35/65〜60/40であることがより好ましく、35/65〜55/45であることがさらに好ましい。溶媒の含有量が少なすぎると、凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下することがある。また、溶媒含有量が多すぎると、相分離の進行が過度に抑制され、孔径が大きくなりすぎて、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。
中空糸膜の製膜時に使用される芯液の組成は、製膜原液に使用するのと同じ溶媒、非溶媒、水との混合液を使用することが好ましい。この際、芯液中に含まれる該溶媒と該非溶媒の比率は、製膜原液の溶媒/非溶媒比率と同一とするのが好ましい。製膜原液に使用されるのと同一の溶媒および非溶媒を、製膜原液中の比率と同一にして混合し、これに水を添加して希釈したものが好ましく用いられる。製膜原液と芯液の溶媒/非溶媒組成を同一とすることにより、原料調達や製造コスト、取り扱いの煩雑さを低減することができる。
芯液中の水の含量は、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。水の含有量が多すぎると、凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下する可能性がある。また、水含有量が少なすぎると、相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。
芯液中の水の含量は、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。水の含有量が多すぎると、凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下する可能性がある。また、水含有量が少なすぎると、相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。
外部凝固液の組成は、製膜原液に使用するのと同じ溶媒、非溶媒、水の混合液を使用するのが好ましい。この際、芯液中に含まれる該溶媒と該非溶媒の比率は、製膜原液の溶媒/非溶媒比率と同一とするのが好ましい。製膜原液に使用されるのと同一の溶媒および非溶媒を、製膜原液中の比率と同一にして混合し、これに水を添加して希釈したものが好ましく用いられる。製膜原液、芯液、外部凝固液の溶媒/非溶媒組成を同一とすることにより、外部凝固液の組成変化を抑制することができ、製造コスト、管理の面より好ましい。
外部凝固液中の水の含量は、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%である。水の含有量が多すぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して透過性が低下することがある。また、水含有量が少なすぎると相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。
また、外部凝固液の温度が低すぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して透過性が低下する可能性がある。一方、高すぎると相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。したがって、外部凝固液の温度は30〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜70℃である。
外部凝固液中の水の含量は、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%である。水の含有量が多すぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して透過性が低下することがある。また、水含有量が少なすぎると相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。
また、外部凝固液の温度が低すぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化して透過性が低下する可能性がある。一方、高すぎると相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。したがって、外部凝固液の温度は30〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜70℃である。
本発明において、膜構造を制御する因子のひとつとして、ノズル温度が挙げられる。ノズル温度は、低すぎると凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下することがある。また、高すぎると相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性がある。したがって、ノズル温度は30〜90℃が好ましく、より好ましくは40〜80℃である。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の製造において、完全に中空糸膜構造が固定される以前に実質的に延伸をかけないことが好ましい。実質的に延伸を掛けないとは、ノズルから吐出された紡糸溶液に弛みや過度の緊張が生じないように、紡糸工程中のローラー速度をコントロールすることを意味する。吐出線速度/凝固浴第一ローラー速度比(ドラフト比)は0.7〜1.8が好ましい範囲である。前記比が小さすぎると走行する中空糸膜に弛みが生じ生産性の低下に繋がることがあるので、ドラフト比は0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましく、0.95以上がさらにより好ましい。ドラフト比が大きすぎると中空糸膜の緻密層が裂けるなど膜構造が破壊されることがある。そのため、ドラフト比は、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、さらにより好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。ドラフト比をこの範囲に調整することにより細孔の変形や破壊を防ぐことができ、膜性能の保持性やシャープな分画特性を発現することが可能となる。
紡糸速度については、欠陥のない中空糸膜が得られ、生産性が確保できれば特に制限されないが、好ましくは5〜30m/min、より好ましくは7〜20m/minである。紡速が低すぎると、生産性が低下することがある。紡速が高すぎると凝固を完了させるために凝固浴の大型化が必要になるとか、凝固浴からの外部行固液の持ち出しが多くなるなど、コスト面で不利になることがある。
中空糸膜は凝固浴を通過した後、引き続き洗浄工程に導かれる。中空糸膜の洗浄方法は特に制限されないが、洗浄効果、安全性、簡便性から、温水を用いるのが好ましい。この際、使用される温水の温度は、常温〜100℃が好ましく、30℃〜90℃がより好ましい。温水の温度が低すぎると洗浄効果が不十分になることがあり、温度が高すぎると洗浄水が沸騰してしまうだけでなく、中空糸膜構成材料であるPVPが劣化するなどの悪影響を及ぼすことがある。
洗浄工程を経た中空糸膜はカセ巻取機によって束に巻き取った後、所定の長さに切断して中空糸膜束を得る。さらに、次の加熱処理工程での洗浄効果を高めるために切断後の中空糸膜束を数十秒垂直に立てて、自然落下のみで除去される中空部に残存する芯液を除去するのが好ましい。この際、中空糸膜が乾燥してしまわないように配慮することが必要である。
洗浄後の中空糸膜は、使用中や洗浄操作による膜特性の変化を抑制し、膜特性の保持性・安定性、膜特性の回復性を確保するために、加熱処理を施すのが好ましい。この加熱処理を熱水への浸漬処理とすることで、仮に中空糸膜に溶媒や非溶媒などが残存していた場合に洗浄・除去する効果も期待できる。さらに、中空糸膜外表面に存在する過剰のPVPを除去できるため、その後の乾燥工程において中空糸膜同士の固着を抑制できるという副次効果もある。熱水の温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃、処理時間は30〜120min、より好ましくは40〜90min、さらに好ましくは50〜80minである。温度が低すぎるとか処理時間が短かすぎると、中空糸膜にかかる熱履歴が不十分になるため膜特性の保持性・安定性が低下する可能性がある。また、洗浄効果が不十分となり溶出物が増加する可能性が高くなる。温度が高すぎたり、処理時間が長すぎると、水が沸騰してしまったり、処理に長時間を要するため生産性が低下することがある。熱水に対する中空糸膜の浴比は、中空糸膜が十分に浸る量の熱水を使用すれば特に制限されないが、あまり多量の熱水を使用するのは、生産性が低下することがある。
本発明において、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が5≦(A−B)/膜厚×100≦20になるように制御する手段として、前述の熱水による加熱処理工程の前にカセ巻取後の切断前の中空糸膜束の状態若しくは切断後の中空膜束の状態の何れかにおいて、少なくとも中空糸膜の細孔部にポリマーに対する良溶媒を濃度10〜35重量%で10〜120分間接触させるのが好ましい。これにより、中空糸膜のポリマー粒子同士の結合が緩むことで適度に膜が柔らかくなり、例えばワインのクロスフロー濾過の際に内表面が柔らかいために微振動を起こしケーク層の形成を抑制するものと推測される。つまり、ケーク層を形成する微粒子が膜面に堆積する際に、膜面のクッション効果により微粒子を跳ね返してしまうものと考えられる。
良溶媒の濃度は10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%、処理時間は20〜120分、好ましくは30〜60分である。これよりも濃度が低すぎたり時間が短すぎると、膜の内表面に適度な弾力を有する構造を与えることができず、効果的にケーク層の形成を抑えることができない可能性がある。一方、良溶媒の濃度が高すぎたり時間が長すぎると、膜構造が破壊されてしまい、柔軟な構造を与えることができない可能性がある。
良溶媒の濃度は10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%、処理時間は20〜120分、好ましくは30〜60分である。これよりも濃度が低すぎたり時間が短すぎると、膜の内表面に適度な弾力を有する構造を与えることができず、効果的にケーク層の形成を抑えることができない可能性がある。一方、良溶媒の濃度が高すぎたり時間が長すぎると、膜構造が破壊されてしまい、柔軟な構造を与えることができない可能性がある。
中空糸膜の細孔部にポリマーに対する良溶媒を濃度10〜35重量%で10〜120分間接触させる方法としては、熱水による加熱処理工程の前に中空糸膜を10〜35重量%の良溶媒の水溶液に浸漬する方法、凝固浴および水洗工程において液温度や走行時間および液の流量等の条件をコントロールし中空糸膜中の良溶媒の濃度を10〜35重量%の範囲になるように調製する方法がある。また、凝固工程および水洗工程で中空糸膜を少なくとも中空糸膜の細孔部に良溶媒を濃度10〜35重量%の状態で10〜120分間走行させて処理しても良いが、製造設備が大型になってしまうため凝固工程および水洗工程は短くし、水洗後に中空糸膜中の良溶媒を濃度10〜35重量%で巻き取ってバンドル化した後に10〜120分間そのまま放置する方が生産が容易であるため好ましい。この場合の良溶媒とは、例えばポリスルホン系高分子としてPSf、PESおよび親水性高分子としてPVPの両方に相溶性のある溶媒であり、例えばNMP、DMF、DMAcなどの溶媒などがあげられる。EG、PG、DEG、TEG、PEG、グリセリン、水などの非溶媒は含まない。また、良溶媒は少なくとも中空糸膜の細孔部に含まれていれば良く、中空部に良溶媒を含有する必要は無い。
加熱処理を完了した中空糸膜は、乾燥することによって、最終的に完成する。乾燥方法は、風乾、減圧乾燥、熱風乾燥など通常利用される乾燥方法が広く利用できる。最近、血液処理膜の乾燥などで利用されているマイクロ波乾燥なども利用可能であるが、簡便な装置で効率的に大量の中空糸膜を乾燥できる点で、熱風乾燥が好ましく利用され得る。乾燥に先立って、上記の加熱処理を施しておくことで、熱風乾燥による膜特性の変化も抑制することができる。熱風乾燥時の熱風温度は、特に制限されないが、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。乾燥温度が低すぎると乾燥までに長時間を要すことがあり、乾燥温度が高すぎると熱風生成のためのエネルギーコストが高くなる。
図2は、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたときの(A−B)/膜厚×100とワインFluxとの関係における一般的傾向を示す模式図である。
ここで、例えば、分離膜を用いたワイン発酵液の処理工程を簡単に説明する。ワイン発酵液を分離膜に通液し濾過を開始すると、経時的にFluxが低下していくことは避けられない現象である。経時的なFlux低下は、発酵液中の酵母、微粒子やタンパク質等の有機物が膜面近傍に濃縮することに起因し、低下したFluxを回復するために、通常、逆洗処理を行う。しかし、逆洗処理の回数を増やすことは、作業効率の低下やコストアップに繋がるので、ワインメーカーや市場からは、逆洗処理は2〜5時間に1回程度が許容できる頻度とされている。本発明者らは、このような市場の要求に対して、経時的なFlux低下を極力抑えること、および逆先によるFlux回復性の向上を課題として膜の改良を進めてきた。
すなわち、ろ過開始30分後のワインFluxに対するろ過開始120分後のワインFluxで表すワインFlux保持率が40%程度以上あれば、ワイン酵母液の種類や逆洗方法にもよるが、ワイン処理量を確保しつつ、逆洗回数を減らし、かつFluxの回復性に優れることを見出した。そして、前記(A−B)/膜厚×100が5〜20%である特性を有する中空糸膜が、このような性能を発現できるということである。なお、(A−B)/膜厚×100が大きすぎると、膜が柔らかくなりすぎることを示し、先述したように膜の強度が弱くなり、使用中に膜がリークする危険性が高まる。
ここで、例えば、分離膜を用いたワイン発酵液の処理工程を簡単に説明する。ワイン発酵液を分離膜に通液し濾過を開始すると、経時的にFluxが低下していくことは避けられない現象である。経時的なFlux低下は、発酵液中の酵母、微粒子やタンパク質等の有機物が膜面近傍に濃縮することに起因し、低下したFluxを回復するために、通常、逆洗処理を行う。しかし、逆洗処理の回数を増やすことは、作業効率の低下やコストアップに繋がるので、ワインメーカーや市場からは、逆洗処理は2〜5時間に1回程度が許容できる頻度とされている。本発明者らは、このような市場の要求に対して、経時的なFlux低下を極力抑えること、および逆先によるFlux回復性の向上を課題として膜の改良を進めてきた。
すなわち、ろ過開始30分後のワインFluxに対するろ過開始120分後のワインFluxで表すワインFlux保持率が40%程度以上あれば、ワイン酵母液の種類や逆洗方法にもよるが、ワイン処理量を確保しつつ、逆洗回数を減らし、かつFluxの回復性に優れることを見出した。そして、前記(A−B)/膜厚×100が5〜20%である特性を有する中空糸膜が、このような性能を発現できるということである。なお、(A−B)/膜厚×100が大きすぎると、膜が柔らかくなりすぎることを示し、先述したように膜の強度が弱くなり、使用中に膜がリークする危険性が高まる。
本発明において、ろ過開始30分後のワインFlux(30)は、30L/m2/h/bar以上が好ましく、35L/m2/h/bar以上がより好ましく、40L/m2/h/bar以上がさらに好ましい。また、ろ過開始120分後のワインFlux(120)は、15L/m2/h/bar以上が好ましく、18L/m2/h/bar以上がより好ましく、20L/m2/h/bar以上がさらに好ましい。ワインFlux(30)は、膜面にケーク層が顕著に形成され始める時点を示し、ワインFlux(120)はFluxがほぼ安定状態に達した状態を示す。ワインFlux(120)が15L/m2/h/bar以上確保されていれば、市場の要求をおおよそ満たすことができるといえる。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価方法は以下の通りである。
1.ミニモジュールの作製
中空糸膜を約40cmの長さに切断し、両末端をビニールテープで束ねて中空糸膜束を作製した後、接着後に中空糸膜端部が開口するように予めペンチで端部を潰して中空部を閉塞させた。この中空糸膜束の両端をそれぞれパイプ(スリーブ)に挿入し、パイプにエポキシ接着剤を流し込んだ。エポキシ樹脂が固化した後に端部を切断して両末端が開口したミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が50〜100cm2になるよう適宜設定した。
中空糸膜を約40cmの長さに切断し、両末端をビニールテープで束ねて中空糸膜束を作製した後、接着後に中空糸膜端部が開口するように予めペンチで端部を潰して中空部を閉塞させた。この中空糸膜束の両端をそれぞれパイプ(スリーブ)に挿入し、パイプにエポキシ接着剤を流し込んだ。エポキシ樹脂が固化した後に端部を切断して両末端が開口したミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が50〜100cm2になるよう適宜設定した。
2.ループ型ミニモジュールの作製
中空糸膜を約40cmの長さに切断し、ループ状にした後、末端をビニールテープで束ねて中空糸膜束を作製した。接着後に中空糸膜端部が開口するように予めペンチで端部を潰した後、ループ型中空糸膜束の端部をパイプ(スリーブ)に挿入し、エポキシ樹脂剤をパイプに流し込んだ。エポキシ樹脂が固化した後に端部を切断して、端部が開口したループ型ミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が20〜50cm2になるよう適宜設定した。
中空糸膜を約40cmの長さに切断し、ループ状にした後、末端をビニールテープで束ねて中空糸膜束を作製した。接着後に中空糸膜端部が開口するように予めペンチで端部を潰した後、ループ型中空糸膜束の端部をパイプ(スリーブ)に挿入し、エポキシ樹脂剤をパイプに流し込んだ。エポキシ樹脂が固化した後に端部を切断して、端部が開口したループ型ミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が20〜50cm2になるよう適宜設定した。
3.膜面積の計算
モジュールの膜面積は中空糸膜の内面側の径を基準として求めた。次式[1]によってモジュールの膜面積が計算する。
A=n×π×d×L [1]
ここで、nは中空糸膜の本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径[m]、Lはモジュールにおける中空糸膜の有効長[m]である。
モジュールの膜面積は中空糸膜の内面側の径を基準として求めた。次式[1]によってモジュールの膜面積が計算する。
A=n×π×d×L [1]
ここで、nは中空糸膜の本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径[m]、Lはモジュールにおける中空糸膜の有効長[m]である。
4.バブルポイントの測定・最大孔径の算出
ループ型ミニモジュール全体を十分な量の2−プロパノール(以下iPAと略記する)に1時間以上浸漬して、中空部、膜内部にiPAを充填、浸透させた。ループ型ミニモジュールの中空糸膜部分全体がiPAに浸った状態で、スリーブに圧力計を装着して加圧圧力がモニターできるようにした窒素ラインに接続し、1分間に1barの割合で圧力を上げて加圧した。中空糸膜の膜壁部分からコンスタントに気泡が出始めた圧力をバブルポイントP[bar]として記録した。1種のサンプルにつき、3回の測定を実施し、バブルポイントの測定値の平均をそのサンプルのバブルポイントとした。さらに、次式[2]により、iPAで測定したバブルポイント(P[bar])から算出される最大孔径dを得た。
d[μm]=0.0286×22.9/P [2]
ループ型ミニモジュール全体を十分な量の2−プロパノール(以下iPAと略記する)に1時間以上浸漬して、中空部、膜内部にiPAを充填、浸透させた。ループ型ミニモジュールの中空糸膜部分全体がiPAに浸った状態で、スリーブに圧力計を装着して加圧圧力がモニターできるようにした窒素ラインに接続し、1分間に1barの割合で圧力を上げて加圧した。中空糸膜の膜壁部分からコンスタントに気泡が出始めた圧力をバブルポイントP[bar]として記録した。1種のサンプルにつき、3回の測定を実施し、バブルポイントの測定値の平均をそのサンプルのバブルポイントとした。さらに、次式[2]により、iPAで測定したバブルポイント(P[bar])から算出される最大孔径dを得た。
d[μm]=0.0286×22.9/P [2]
5.純水の透過速度(純水Fluxと略記する)の測定
ミニモジュールの両端のパイプ2箇所(それぞれ内面流入口、内面流出口と呼称する)に回路を接続し、モジュールへの純水の流入圧とモジュールからの純水の流出圧を測定できるようにした。内面流入口から純水をモジュールに導入し、内面流出口に接続した回路(圧力測定点よりも下流)を閉じて流れを止め、モジュールの内面流入口から入った純水を全濾過するようにした。22℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、ミニモジュールへ純水を送り、透析液流出口から流出した一定時間の濾液量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とした。ここで、Piはモジュールの内面流入口側圧力、Poはモジュールの内面流出口側圧力である。中空糸膜の純水Fluxは膜面積とモジュールの透水率から算出した。
純水Flux[L/m2/h/bar]
=(1分あたりの純水の濾過量[L/min]×60/A/TMP[bar] [3]
ここで純水Fluxは中空糸膜の透水率[L/m2/h/bar]、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
ミニモジュールの両端のパイプ2箇所(それぞれ内面流入口、内面流出口と呼称する)に回路を接続し、モジュールへの純水の流入圧とモジュールからの純水の流出圧を測定できるようにした。内面流入口から純水をモジュールに導入し、内面流出口に接続した回路(圧力測定点よりも下流)を閉じて流れを止め、モジュールの内面流入口から入った純水を全濾過するようにした。22℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、ミニモジュールへ純水を送り、透析液流出口から流出した一定時間の濾液量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とした。ここで、Piはモジュールの内面流入口側圧力、Poはモジュールの内面流出口側圧力である。中空糸膜の純水Fluxは膜面積とモジュールの透水率から算出した。
純水Flux[L/m2/h/bar]
=(1分あたりの純水の濾過量[L/min]×60/A/TMP[bar] [3]
ここで純水Fluxは中空糸膜の透水率[L/m2/h/bar]、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
6.ワイン透過率(ワインFluxと略記する)の測定
丹波ワイン社から市販されている酵母を含有した濁りワイン「丹波新酒にごり2005」を1日以上静置後に採取した上澄みにメルシャン社から市販されている「ワインライフ[赤]」で希釈し、濁度が20NTUになるよう調整した。(以下評価用ワインと呼称する)。モジュールはRO水に1時間以上浸漬した後、評価用ワインで置換し、内外両面に評価用ワインを満たした。容器内に評価用ワインを満たし、22℃になるよう温度を制御した。この容器からポンプを介して評価用ワインがミニモジュールの内面を灌流して容器に戻ると同時に、中空糸膜によって濾過された評価用ワインも容器に戻るよう回路を組んだ。その際、モジュールへの評価用ワインの流入圧とモジュールからの評価用ワインの流出圧を測定できるようにした。中空糸膜の内腔を、評価用ワインが1.5m/secの流速で流れるように、内面流入口から評価用ワインを導入した。この際、TMPは約1.5barになるよう調整した。この状態で、中空糸膜内腔に評価用ワインを灌流、一部を濾過するクロスフロー濾過を継続して実施した。所定の時間が経過した時点で、一定時間に濾過されるワインの量を測定した。(例えば、灌流開始後10〜11minの時点における濾過量、20〜21minの時点における濾過量)。ワインFluxを次式[14]により算出した。
ワインFlux [L/m2/h/bar]
=(1分あたりのワイン濾過量[L/min]×60/A/TMP[bar] [4]
ただし、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
丹波ワイン社から市販されている酵母を含有した濁りワイン「丹波新酒にごり2005」を1日以上静置後に採取した上澄みにメルシャン社から市販されている「ワインライフ[赤]」で希釈し、濁度が20NTUになるよう調整した。(以下評価用ワインと呼称する)。モジュールはRO水に1時間以上浸漬した後、評価用ワインで置換し、内外両面に評価用ワインを満たした。容器内に評価用ワインを満たし、22℃になるよう温度を制御した。この容器からポンプを介して評価用ワインがミニモジュールの内面を灌流して容器に戻ると同時に、中空糸膜によって濾過された評価用ワインも容器に戻るよう回路を組んだ。その際、モジュールへの評価用ワインの流入圧とモジュールからの評価用ワインの流出圧を測定できるようにした。中空糸膜の内腔を、評価用ワインが1.5m/secの流速で流れるように、内面流入口から評価用ワインを導入した。この際、TMPは約1.5barになるよう調整した。この状態で、中空糸膜内腔に評価用ワインを灌流、一部を濾過するクロスフロー濾過を継続して実施した。所定の時間が経過した時点で、一定時間に濾過されるワインの量を測定した。(例えば、灌流開始後10〜11minの時点における濾過量、20〜21minの時点における濾過量)。ワインFluxを次式[14]により算出した。
ワインFlux [L/m2/h/bar]
=(1分あたりのワイン濾過量[L/min]×60/A/TMP[bar] [4]
ただし、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
7.中空糸膜の内径、膜厚の測定
中空糸膜を長さ方向に対して垂直に鋭利な剃刀でカットし、断面を20倍の顕微鏡で観察する、内径値と外径値をそれぞれn=10で測定し、平均値を算出する。
膜厚[μm]={(外径)−(内径)}/2
中空糸膜を長さ方向に対して垂直に鋭利な剃刀でカットし、断面を20倍の顕微鏡で観察する、内径値と外径値をそれぞれn=10で測定し、平均値を算出する。
膜厚[μm]={(外径)−(内径)}/2
8.熱機械分析計測定用サンプルの測定
中空糸膜を剃刀で割腹しピンセットで広げ、膜内表面が露出するように両面テープを用いてTMA試料台に直接貼り付け、固定した。40%アルコール水溶液を試料表面に滴下し、1分経過した後にキムワイプで表面を軽くふき取った。その後、純水を滴下し、3分間放置した後、熱機械分析測定用試料として使用した。
熱機械分析計は、TA instruments社製Q400を用いた。メーカから供給される針入プローブ(直径0.89mm)を室温25℃、荷重0.005Nで試料表面に接触させ、測定を実施した。測定はプローブの接触荷重を0.1N/minで1.2Nまで印加し、印加荷重に対する中空糸膜内表面の膜厚に対する凹み量を評価した。
中空糸膜を剃刀で割腹しピンセットで広げ、膜内表面が露出するように両面テープを用いてTMA試料台に直接貼り付け、固定した。40%アルコール水溶液を試料表面に滴下し、1分経過した後にキムワイプで表面を軽くふき取った。その後、純水を滴下し、3分間放置した後、熱機械分析測定用試料として使用した。
熱機械分析計は、TA instruments社製Q400を用いた。メーカから供給される針入プローブ(直径0.89mm)を室温25℃、荷重0.005Nで試料表面に接触させ、測定を実施した。測定はプローブの接触荷重を0.1N/minで1.2Nまで印加し、印加荷重に対する中空糸膜内表面の膜厚に対する凹み量を評価した。
9.中空糸膜内表面の凹み率の算出
図1に熱機械分析計の測定結果を示す。横軸にプローブにかかる荷重、縦軸に中空糸膜内表面の凹み量を示す。0.6Nの凹み量の値をA、1.0Nの凹み量の値をB、膜厚をΔDすると、0.6N〜1.0Nの荷重をかけた際の膜厚に対する凹み量(A−B)/ΔD×100%を求める。
図1に熱機械分析計の測定結果を示す。横軸にプローブにかかる荷重、縦軸に中空糸膜内表面の凹み量を示す。0.6Nの凹み量の値をA、1.0Nの凹み量の値をB、膜厚をΔDすると、0.6N〜1.0Nの荷重をかけた際の膜厚に対する凹み量(A−B)/ΔD×100%を求める。
(実施例1)
PES(住友ケムテック社製スミカエクセル(登録商標)4800P)19.0重量部、BASF社製PVP(コリドン(登録商標)K30)3.0重量部、三菱化学社製NMP35.1重量部、三井化学社製TEG42.9重量部を80℃で4時間混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた溶液を3時間放置して脱泡を行い、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP34.875重量部、TEG42.625重量部、RO水22.5重量部の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から前記製膜原液を、中心部から前記芯液を吐出し、20mmのエアギャップを経て、NMP13.5重量部、TEG16.5重量部、RO水70.0重量部の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は72℃、外部凝固液温度は55℃に設定した。さらに、凝固浴内から中空糸膜を引き出し、水洗槽を45秒間通過させ、過剰の溶媒を除去した後、8.2m/minの紡速で綛に捲き上げた。綛に捲き上げた中空糸膜束は、そのまま40分間放置した後、所定の長さになるように切断してバンドルとした。その後、バンドルを縦にして中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、一方、非溶媒であるTEGは25.8重量%であった。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1208μm、膜厚は352μmであった。
PES(住友ケムテック社製スミカエクセル(登録商標)4800P)19.0重量部、BASF社製PVP(コリドン(登録商標)K30)3.0重量部、三菱化学社製NMP35.1重量部、三井化学社製TEG42.9重量部を80℃で4時間混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた溶液を3時間放置して脱泡を行い、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP34.875重量部、TEG42.625重量部、RO水22.5重量部の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から前記製膜原液を、中心部から前記芯液を吐出し、20mmのエアギャップを経て、NMP13.5重量部、TEG16.5重量部、RO水70.0重量部の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は72℃、外部凝固液温度は55℃に設定した。さらに、凝固浴内から中空糸膜を引き出し、水洗槽を45秒間通過させ、過剰の溶媒を除去した後、8.2m/minの紡速で綛に捲き上げた。綛に捲き上げた中空糸膜束は、そのまま40分間放置した後、所定の長さになるように切断してバンドルとした。その後、バンドルを縦にして中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、一方、非溶媒であるTEGは25.8重量%であった。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1208μm、膜厚は352μmであった。
得られた中空糸膜から熱機械分析計測定用のサンプルを作製し、先述した方法で中空糸膜内表面の凹み量を測定したところ、荷重0.6Nの凹み量は−50.3μm、1.0N時の凹み量は−87.3μmであり、(A−B)/膜厚×100は10.6%であった。
得られた中空糸膜からミニモジュールを作製し、ワインFluxを測定した。30分後に測定したワインFlux(30)、120分後に測定したワインFlux(120)からワインFlux(30)/ワインFlux(120)×100=保持率(%)を求めた。結果を表1にまとめる。
(実施例2)
PES20.0重量部、BASF社製PVP(K30)5.0重量部、NMP33.75重量部、TEG41.25重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP36.0重量部、TEG44.0重量部、RO水20.0重量部の混合液を用いた以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を製造し巻き取った。綛に捲き上げた中空糸膜束は、所定の長さになるように切断後、バンドルを縦にして中空糸膜の内側に含まれる液を除去し、60分間放置した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、非溶媒であるTEGは25.8重量%であった。中空糸膜束は、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜は、内径1180μm、膜厚330μmであり、熱機械分析測定における湿潤状態の中空糸膜の(A−B)/膜厚×100は7.2%であった。結果を表1にまとめる。
PES20.0重量部、BASF社製PVP(K30)5.0重量部、NMP33.75重量部、TEG41.25重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP36.0重量部、TEG44.0重量部、RO水20.0重量部の混合液を用いた以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を製造し巻き取った。綛に捲き上げた中空糸膜束は、所定の長さになるように切断後、バンドルを縦にして中空糸膜の内側に含まれる液を除去し、60分間放置した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、非溶媒であるTEGは25.8重量%であった。中空糸膜束は、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜は、内径1180μm、膜厚330μmであり、熱機械分析測定における湿潤状態の中空糸膜の(A−B)/膜厚×100は7.2%であった。結果を表1にまとめる。
(比較例1)
PES19.0重量部、BASF社製PVP(K30)3.0重量部、NMP39.0重量部、TEG39.0重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP36.0重量部、TEG44.0重量部、RO水20.0重量部の混合液を用いた以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を巻き取った。綛に捲き上げた中空糸膜束は放置時間を置かず、所定の長さになるように切断後、バンドルを縦にして中空糸膜の内側に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、非溶媒のTEGは25.8重量%であった。液を除去し即座に中空糸膜束を80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1185μm、膜厚は375μmであり、(A−B)/膜厚×100=4.3%であった。結果を表1にまとめる。
PES19.0重量部、BASF社製PVP(K30)3.0重量部、NMP39.0重量部、TEG39.0重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP36.0重量部、TEG44.0重量部、RO水20.0重量部の混合液を用いた以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を巻き取った。綛に捲き上げた中空糸膜束は放置時間を置かず、所定の長さになるように切断後、バンドルを縦にして中空糸膜の内側に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMPは20.5重量%、非溶媒のTEGは25.8重量%であった。液を除去し即座に中空糸膜束を80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1185μm、膜厚は375μmであり、(A−B)/膜厚×100=4.3%であった。結果を表1にまとめる。
(比較例2)
PES15.0重量部、BASF社製PVP(K30)3.0重量部、NMP36.9重量部、TEG45.1重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP38.25重量部、TEG46.75重量部、RO水15.0重量部の混合液を用い、水洗槽を通過させずに中空糸膜を巻き取った以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を紡糸した。綛に捲き上げた中空糸膜束は、そのまま60分間放置した後、所定の長さになるように切断してバンドルとした。その後、バンドルを縦にして中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMP37.5重量%、一方、非溶媒であるTEGは47.2重量%であった。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1175μm、膜厚は345μmであり、(A−B)/膜厚×100=22.0%であった。しかし、ワインFluxを測定したところ途中で膜が破損してしまった。また、純水のFluxおよびバブルポイントも圧力をかけると膜が破損してしまい測定できなかった。結果を表1にまとめる。
PES15.0重量部、BASF社製PVP(K30)3.0重量部、NMP36.9重量部、TEG45.1重量部から製膜原液を作製し、芯液としてNMP38.25重量部、TEG46.75重量部、RO水15.0重量部の混合液を用い、水洗槽を通過させずに中空糸膜を巻き取った以外は、実施例1と同じ様にして中空糸膜を紡糸した。綛に捲き上げた中空糸膜束は、そのまま60分間放置した後、所定の長さになるように切断してバンドルとした。その後、バンドルを縦にして中空糸膜の中空部に含まれる液を除去した。この時、中空糸膜に含まれる良溶媒であるNMP37.5重量%、一方、非溶媒であるTEGは47.2重量%であった。バンドルは、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施した。得られた乾燥中空糸膜の内径は1175μm、膜厚は345μmであり、(A−B)/膜厚×100=22.0%であった。しかし、ワインFluxを測定したところ途中で膜が破損してしまった。また、純水のFluxおよびバブルポイントも圧力をかけると膜が破損してしまい測定できなかった。結果を表1にまとめる。
(比較例3)
市販のポリフッ化ビニリデン製精密濾過膜(以下PVDF-MF膜と呼称する)を使用し、実施例1と同様に測定したところ、中空糸膜の熱機械分析測定における(A−B)/膜厚×100は3.2%であった。結果を表1にまとめる。
市販のポリフッ化ビニリデン製精密濾過膜(以下PVDF-MF膜と呼称する)を使用し、実施例1と同様に測定したところ、中空糸膜の熱機械分析測定における(A−B)/膜厚×100は3.2%であった。結果を表1にまとめる。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、食品分野、医薬分野、半導体分野、エネルギー分野および水処理分野における液体の処理に使用される中空糸膜は、精密濾過、限外濾過などの工業用途や、血液透析、血液濾過、血液透析濾過などの医療用途に広く利用可能である。特に、食品分野において発酵液に使用される液体処理用の中空糸膜としてワイン、ビール中の酵母、固形物、コロイド等の除去に好適である。
Claims (8)
- 内径が500〜1500μm、膜厚が100〜500μmの中空糸膜であって、熱機械分析計により該中空糸膜の内面に0.6Nの荷重を加えた際の凹み量をA、1.0Nの荷重を加えた際の凹み量をBとしたとき、A、B、膜厚の関係が下記式を満たすことを特徴とする中空糸膜。
5≦(A−B)/膜厚×100≦20 - 22℃における中空糸膜の内側から中空糸膜の外側への純水の透過速度が500〜2500L/m2/h/barであることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜。
- バブルポイント法によって得られる最大孔径が0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜。
- 該中空糸膜が疎水性高分子と親水性高分子とから成ることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の中空糸膜。
- 該疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の中空糸膜。
- 該親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の中空糸膜。
- 請求項1〜6いずれか記載のアルコール飲料発酵液のろ過に用いる中空糸膜。
- 該アルコール飲料発酵液がワイン酵母液である請求項7に記載の中空糸膜。
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