JP5217238B2 - 透過性能安定性に優れた多孔質中空糸膜および血液浄化器 - Google Patents
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Description
また、細孔径を一定の範囲にすることについても同様であり、血液との接触による膜のみかけの細孔径の変化を考慮しない設計では、目的の性能が得られない可能性がある。特に治療の進行に伴う血液性状の変化は、膜性能の経時安定性にも影響を与えることから治療効果の再現性には問題があった。
このような現象は、同じ中空糸膜を用いた膜面積の異なる血液浄化器の製造においても問題となり、血液浄化用中空糸膜の開発においては膨大な血液実験を実施し検証する必要があった。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、空孔率が60%以上、37℃における純水の透水性が150〜1500mL/m2/hr/mmHgである多孔質中空糸膜であって、該多孔質中空糸膜の湿潤状態での引っ張り試験において得られるS−Sカーブに降伏点がみられないことを特徴とする。
乾燥状態での該中空糸膜の引っ張り試験において得られるS−Sカーブに明瞭な降伏点がみられることが好ましい。
乾燥状態で引っ張り試験を行った際に、降伏強力が8.0g/filament以上であることが好ましい。
前記多孔質中空糸膜において、乾燥状態と湿潤状態とを比較した際に、湿潤状態における破断強力、破断伸度の変化に対し、降伏強力の低下が著しいことが好ましい。
湿潤状態と乾燥状態の降伏強力の比(wet/dry)が0.7未満であり、かつ、破断強力の比(wet/dry)が0.7〜1.3であることが好ましい。
前記多孔質中空糸膜を用いて血液浄化器を作製するのが好ましい。
膜厚が薄すぎると、血液浄化器に必要な最低限の膜強力を維持するのが困難になることがある。したがって、平均膜厚は12μm以上がより好ましく、14μm以上がさらに好ましい。
ここでいう平均膜厚とは、ランダムにサンプリングした中空糸膜5本を測定した平均値である。この時、それぞれの値と平均値との差が、平均値の2割を超えないこととする。
一方、湿潤状態においても、明瞭な降伏点が存在する性質を有するものは、膜の大部分において基材ポリマーが湿潤化によって自由度を増すことができず、固定されたポリマーネットワーク構造を意味し、そのような構造では高分子量物質の通り抜ける細孔が小さく高性分子量物質の効率よい分離が期待できないし、性能の安定性の面からも好ましくない。
なお、乾燥状態とは、中空糸膜の水分率が30%未満の状態をいう。また湿潤状態とは、中空糸膜の水分率が60%以上の状態をいう。
本願発明においては、標準条件(6.5g/dl)に対して、総タンパク濃度が高い条件(8.0g/dl)で測定した際に、クリアランス(β2MG)低下率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
中空糸膜断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥方法は問わないが、乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon-V-12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
中空糸膜100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定する。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
透析器の膜面積は中空糸膜の内径基準として求める。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸膜本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径(m)、Lは透析器内の中空糸膜の有効長(m)である。
1時間以上純水に浸漬した中空糸膜束を900rpmの回転数で5分間遠心脱液し、重量を測定する。その後、乾燥機中で絶乾し重量を測定する(Mp)。
Wt(空孔に詰まっている水の重量)=遠心後の糸束の重量−Mp
体積空孔率(Vt)%=Wt/(Wt+Mp/ポリマー密度)×100
東洋ボールドウイン社製テンシロンUTMIIを用いて、引っ張り速度100mm/min、チャック間距離100mmで測定した。サンプルはn=5で測定し、平均値を用いた。
37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出した単位時間あたりの純水透水速度ml/hrを測定した。尚、この際、透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止しストップ法による透水性の測定とする。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(ml/hr/mmHg)を算出した。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.99以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は透析器の透水性を膜面積換算して算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(ml/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水性(ml/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
クエン酸とヘパリンナトリウムを添加して採血した(凝固を抑制した)牛血液から、遠心分離にて血漿を分離する。透析実験用血漿として、ヘパリンナトリウム、β2ミクログロブリン(遺伝子組み換え品 和光純薬製)を約0.01mg/dl添加する。循環用血漿には、ヘパリンナトリウムのみを添加する。尚、分離した血漿は総タンパク濃度をそれぞれ6.5g/dlと8.0g/dlになるように希釈ないし濃縮の操作を実施した。循環用血漿は測定する血液浄化器1本あたりに少なくとも2L準備する。1時間前にプライミングした血液浄化器(膜面積(A)1.5m2)に循環用血漿を200ml/minの流量で流す。この時、透析液側の片方には栓をし、片方からはQf15ml/minで濾過をかけながら透析液側にろ液を充填する。ろ液が充填した後、栓をして血液側のみに血漿を1時間循環させる。循環後、透析実験用血漿に切り替え、Qbin200ml/min、Qbout185ml/minとなるよう濾過をかけながらシングルパスで血漿を流しつつ、透析液をQdin500ml/minで流す。透析濾過開始4分後にQboutをサンプリングする。血漿原液のβ2MG濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のβ2MG濃度(Cbout)、流量から、血液浄化器のクリアランス(CLβ2)を算出する。全ての操作は37℃で実施する。
CLβ2=(Cbin×Qbin−Cbout×Qbout)/Cbin
尚、血液性能、透過性能の安定性の測定は、それぞれ総タンパク濃度6.5g/dlと8.0g/dlになるように調整した抗凝固剤添加血漿を用いて実施した。
透析医学会の評価基準では評価に用いる血漿の総タンパク濃度は6.5±0.5g/dlとなっているが、臨床における患者の栄養状態や透析中の総タンパク濃度の変化を想定して8.0g/dlの濃度についても評価を行った。
クエン酸を添加し、凝固を抑制した牛血液をヘマトクリット25〜30%、タンパク濃度6〜7g/dlに調製し、37℃で血液浄化器に200mL/minで送液し、一定の流速(Qf:ml/min)で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。15分毎に濾過流速を測定し、血液浄化器のろ液を採取する。ろ液に含有するタンパクの濃度を測定する。血漿中のタンパク濃度の測定は、体外診断用のキット(マイクロTP−テストワコー、和光純薬工業社製)を用いて行う。2時間までのデータをもとに、下の式から平均タンパクリーク量を求め、3L除水換算時のタンパクリーク量(TPL)を算出する。
積算濾過量(ml)=t1(min)×Ct1(ml/min)+(t2-t1)(min)×Ct2(ml/min)+(t3-t2)(min)×Ct3(ml/min)・・・・(t120-tn)(min)×C120min(ml/min)
t:測定時間(min)
C:濾過流速(ml/min)
ろ液のタンパク濃度=a×Ln(積算濾過量)+b
各測定点におけるろ液のタンパク濃度とLn(積算濾過量)からa、bを求める。
TPL(平均)=-a+b+a×Ln(積算濾過量×2)
TPL(3L除水換算)(g)=TPL(平均)×30/1000
血液性能の再現性や性能安定性の評価には3L除水換算のTPL値を指標とした。
TgはDSCにて測定もしくは、文献を参照した。
参照文献:セルロースの辞典((株)朝倉書店 2000年11月10日初版)
DSCは昇温速度10℃/minで測定した。
測定する中空糸膜の質量を測定後、105℃のオーブンで3時間乾燥させた後再び秤量する。
次式より算出する。
水分率(%)=(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥後の質量×100
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を75対25の割合で混合後、ニーダーにて175℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を溶解温度と比較して30℃低い、145℃の熱媒で保温したラインでエージングし、10μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、110℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、12℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(75/25)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し、この時の凝固浴内の水流は中空糸膜に負担を掛けないように膜の走行方向と同一方向に循環させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は6であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2.5度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は2.0%、水洗浴での延伸比は0.1%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は3.5%であった。得られた中空糸膜の内径は200.3μm、膜厚は15.8μm、偏肉度は0.7、空孔率は74.5%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。なお、用いたセルローストリアセテートのTgは174℃であった。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)17.5質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を70対30の割合で混合後、ニーダーにて180℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を溶解温度と比較して30℃低い、150℃の熱媒で保温したラインでエージングし、10μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、11℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、35℃の30質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し、この時の凝固浴内の水流は中空糸膜に負担を掛けないように膜の走行方向と同一方向に循環させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は7であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は1.5%、水洗浴での延伸比は1.5%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は2.0%であった。得られた中空糸膜の内径は200.7μm、膜厚は15.5μm、偏肉度は0.7、空孔率は83.5%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)20.0質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を70対30の割合で混合後、ニーダーにて180℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を溶解温度と比較して20℃低い、160℃の熱媒で保温したラインでエージングし、10μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、120℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、12℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し、この時の凝固浴内の水流は中空糸膜に負担を掛けないように膜の走行方向と同一方向に循環させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は6であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は2.0%、水洗浴での延伸比は2.0%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は4.0%であった。得られた中空糸膜の内径は200.5μm、膜厚は15.3μm、偏肉度は0.8、空孔率は68.0%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)16.5質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を80対20の割合で混合後、ニーダーにて175℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を溶解温度と比較して30℃低い、145℃の熱媒で保温したラインでエージングし、10μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、10℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、35℃の30質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し、この時の凝固浴内の水流は中空糸膜に負担を掛けないように膜の走行方向と同一方向に循環させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は6であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は1.5%、水洗浴での延伸比は1.5%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は2.0%であった。得られた中空糸膜の内径は200.8μm、膜厚は15.6μm、偏肉度は0.7、空孔率は86.2%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を70対30の割合で混合後、ニーダーにて175℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を145℃の熱媒で保温したライン並びに20μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、105℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、12℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し凝固浴内の循環と逆方向に走行させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度85m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は11であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを0.5度とし、洗浄水が緩やかに上っていくように調整し、水を中空糸膜と逆方向に流れる向流に流し、洗浄浴は7段とした。凝固浴での延伸比は12%、水洗浴での延伸比は12%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は20%であった。得られた中空糸膜の内径は198.9μm、膜厚は14.8μm、偏肉度は0.7、空孔率は75.7%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)19質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を70対30の割合で混合後、ニーダーにて175℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を145℃の熱媒で保温したライン並びに20μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、135℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、20℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し凝固浴内の循環と逆方向に走行させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度70m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は7であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2.0度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は1.5%、水洗浴での延伸比は1.5%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は2.0%であった。得られた中空糸膜の内径は200.4μm、膜厚は15.3μm、偏肉度は0.7、空孔率は76.4%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)17.5質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)を70対30の割合で混合後、ニーダーにて180℃に加温しながらに均一溶解し、ついで製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を180℃の熱媒で保温したライン並びに20μmの焼結フィルターに供給して濾過を実施した後、120℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成材として予め脱気処理した流動パラフィンとともに同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断され、13℃に調整された70mmのエアーギャップ部を通過後、40℃の20質量%NMP/TEG(70/30)の凝固液に供した。凝固浴中で50cm走行させた後、ガイドを介し凝固浴内の循環と同一方向に走行させ、次いで30℃の水洗浴を経た後、50℃、60質量%のグリセリン浴に通過させ、ドライヤーで乾燥し、紡糸速度75m/minで巻き上げた。製膜溶液のドラフト比は7であった。ノズルスリット幅の最大値と最小値の差は7μmであった。また、水洗浴は、傾きを2.0度とし、洗浄水が緩やかに下っていくように調整し、水を中空糸膜と同じ方向に流れる並流に流し、洗浄浴は5段とした。凝固浴での延伸比は2.0%、水洗浴での延伸比は1.5%であった。凝固浴入り口から巻き上げまでの延伸比は3.5%であった。得られた中空糸膜の内径は200.4μm、膜厚は14.9μm、偏肉度は0.7、空孔率は85.7%であった。中空糸膜の糸質を測定した結果を表1に示した。
Claims (5)
- 空孔率が60%以上、37℃における純水の透水性が150〜1500mL/m2/hr/mmHgである多孔質中空糸膜であって、
該多孔質中空糸膜の湿潤状態での引っ張り試験において得られるS−Sカーブに降伏点がみられず、
かつ乾燥状態での該中空糸膜の引っ張り試験において得られるS−Sカーブに明瞭な降伏点がみられ、
湿潤状態と乾燥状態の降伏強力の比(wet/dry)が0.3以上0.7未満である
ことを特徴とする透過性能安定性に優れた多孔質中空糸膜。 - 乾燥状態で引っ張り試験を行った際に、降伏強力が8.0g/filament以上であることを特徴とする請求項1に記載の透過性能安定性に優れた多孔質中空糸膜。
- 湿潤状態と乾燥状態の破断強力の比(wet/dry)が0.7〜1.3であることを特徴とする請求項1または2に記載の透過性能安定性に優れた多孔質中空糸膜。
- 請求項1〜3いずれかに記載の多孔質中空糸膜を用いて作製された血液浄化器。
- 総タンパク濃度が6.5g/dlの牛血漿を用いて測定したβ2ミクログロブリンのクリアランスに対して、総タンパク濃度が8.0g/dlの牛血漿を用いて測定したβ2ミクログロブリンのクリアランスの低下率が10%以下であることを特徴とする請求項4に記載の血液浄化器。
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