JP4725524B2 - セルロースアセテート系非対称中空糸膜 - Google Patents

セルロースアセテート系非対称中空糸膜 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースアセテート系ポリマーからなる選択透過性中空糸膜に関するものである。詳しくは、セルロースアセテート系ポリマーを用いて、内面に緻密層を有し、外面に向かって孔径が拡大するような非対称の粗密構造を形成し、且つ、生産性、血液浄化用としての安全性を高める技術に関するものである。
選択透過性中空糸膜は、逆浸透から精密濾過に至る分野において従来より広く使用されている。特に腎不全患者の血液を浄化するために、現在では中空糸型血液透析器がよく使用されている。これは筐体の中に透析膜、例えば、中空糸膜を多数本収納し、その中空部に患者の血液を流し、外部、即ち中空糸膜間隙部に透析液を流して、中空糸膜壁を介して透析することによって、血液中の老廃物を除去したり、電解質濃度を是正するとともに、中空糸膜内外に圧力差を与えて濾過によって血液中の中分子量物質や余剰水分を除去するものである。更に、血液中から血漿のみを分離し、あるいは、その血漿の中から特定成分を除去して自己免疫疾患などを治療するために、中空糸膜が使用されることもある。また、最近になってタンパク透過性血液透析やタンパク透過性血液濾過透析に中空糸膜を用いることによって治療効果が得られることが確認されるようになってきている。
ところで、近年、透析患者の長期合併症と関連し、透析アミロイドーシスの原因物質と考えられるβ2-マイクログロブリン(β2-MG、分子量:11,800)、掻痒感、高脂血症と関係すると考えられる副甲状腺ホルモン(分子量:約9,500)、貧血に関与する赤芽球抑制因子、関節痛、骨痛に係わると考えられる分子量2〜4万の物質など、比較的中高分子量領域の有害物質の除去の必要性が叫ばれている。一方、人体にとって有用なアルブミン(分子量:66,000)の損失は極力避けなければならない。すなわち、分子量4〜5万以下の物質の透過性に優れ、分子量6万以上の物質の阻止性のよい分画分子量のシャープカット性の良好な選択透過性膜が望まれている。
このように血液処理用の中空糸膜は、目的に応じて特定の物質を選択的に透過させなければならない。その性能は、中空糸膜の素材、膜構造、ポロシティ(孔の大きさ、数など)、膜厚などによって決定される。
前述の膜性能を得るには、出来るだけ高い透水率(UFR)を有する中空糸膜が必要であり、従来から、ポリスルホンなどの合成高分子では、例えば特許文献1、2に見られるように、比較的前記要求を満たしたものが得られている。しかし、該合成高分子の膜はポリビニルピロリドンに代表されるような親水化剤を使用している為か、又膜構造に起因するかどうかは不明であるが、中空糸膜の寸法安定性が低く、取扱いが大変難しいものであった。また、該親水化剤は親水性であるため、血液中に溶出し、体内に徐々に蓄積される可能性があり、そうすると元々異物である親水化剤が生体に悪影響を及ぼす可能性も懸念される。このような悪影響の懸念を払拭するために、膜の洗浄強化や架橋等の溶出を抑える処理を施す必要があり、取扱いが煩雑で生産が難しいものであった。
特公平2−18695号公報 特公平5−54373号公報
また、セルロースアセテート系ポリマーでは、例えば特許文献3に見られるように、中空糸膜を湿式紡糸するときの芯液に流動パラフィン、高級アルコール、イソプロピルミリステートなど、セルロースアセテート系ポリマーに対し凝固性のない(低い)ものを使用するために、前述のような非対称構造を得ることができなかった。
特公昭58−24165号公報
内面に緻密層を有する非対称構造を有するセルローストリアセテート膜が、例えば、特許文献4、5に開示されている。内液に凝固性のある水溶液を使用し、従来、合成高分子で実現されていた2層または多層構造の膜構造を得ることができている。しかし、内液の水溶液濃度を下げると曳糸性が低下するため、中空糸膜製造の安定化が大変難しいことが記載されている。このように、血液透析器として使用するためには中空糸膜の生産性を確保するだけでなく、モジュールの組立て性も合わせて確保しないとトータルの生産性は向上しない。したがって、全体の生産性を向上させるためには改良の余地がある。
特開平10−263375号公報 特開平10−165775号公報
ポリスルホン系ポリマーおよびポリビニルピロリドンからなる中空糸膜を用いてモジュールを作製する際、ポリビニルピロリドンが粘稠なため中空糸膜同士の固着が発生し易く、端部封止のための樹脂が中空糸膜間に入り込まない部分が生じ、接着不良が発生するという課題があった。この課題に対して、例えば特許文献6、7に1つの解決方法が提案されている。中空糸膜外表面の開孔率を適正化し、中空糸膜同士の接触面積を小さくして固着を回避する手法である。しかしながら、これら支持層のポロシティを高めることにより糸強度が低下する側面に関しては何ら言及されておらず、取扱い性の改善の余地が残されている。
特開2000−140589号公報 特開2001−38170号公報
本発明は、このような従来技術の問題点を解決することを目的とするものであり、具体的にはセルロースアセテート系ポリマーを使用して、中空糸膜の膜厚方向に粗密構造を与え、高い透水性および分子量分画特性、溶質透過性を付与するものである。特に、血液透析や血液濾過透析において、β2-MG〜分子量3万程度の有害物質の除去性とアルブミンなどの有用物質の流出阻止性を高めることが可能な選択透過性中空糸膜を提供するものである。また、取扱い性の困難な中空糸膜の生産性を向上するとともにモジュール生産性を向上し、膜からの溶出物の無い安全性の向上した選択透過性中空糸膜を提供することを目的とするものである。
本発明は以下の構成を有する。
本発明は、セルロースアセテート系ポリマーを主原料とし、少なくとも中空糸膜内表面に緻密層を有する非対称構造の中空糸膜であって、該中空糸膜の内径が150μm以上250μm以下、膜厚が10μm以上30μm未満、該中空糸膜の外表面の開孔率が15%以上30%以下で、その平均開孔面積が孔1個あたり0.01μm2以上0.05μm2未満であることを特徴とするセルロースアセテート系非対称中空糸膜である。
また、本発明において、該中空糸膜の単糸あたりのヤング率が5000kg/cm2以上、降伏強度が25g以上であることが好ましい。
また、該セルロースアセテート系ポリマーを塩化メチレン/メタノール=91/9に6重量%になるように溶解し、温度25℃で測定したときの粘度が140mPa・s超200mPa・s未満であることが好ましい。
また、該セルロースアセテート系ポリマーがセルロースジアセテートおよび/またはセルローストリアセテートであることが好ましい。
セルロースアセテート系ポリマーからなる選択透過性中空糸膜に粗密構造を与え、高い分子量分画特性を付与できた。また、特に血液透析や血液濾過透析において、β2-MG〜分子量3万程度の有害物質の除去性とアルブミンなどの有用物質の流出阻止性を高めることが可能な選択透過性中空糸膜を得ることができた。また、取扱い性の困難な中空糸膜の生産性およびモジュール組立性を向上し、膜からの溶出物の無い安全性の向上した選択透過性中空糸膜を得ることができた。
本発明の非対称中空糸膜を得るためには、セルロースアセテート系ポリマー、溶媒、非溶媒からなる紡糸原液および芯液に凝固性のある液体を使用して、ノズルから同時に吐出し、空走部を通過させた後、凝固浴に導き、中空糸膜形状を固定する。得られた中空糸膜を洗浄浴にて過剰の溶媒、非溶媒を除去し、膜孔保持剤を中空部および細孔内に含浸させた後、乾燥して巻き取る。
本発明において、非対称中空糸膜を構成する材料として、主としてセルロースアセテート系ポリマーを使用するのが好ましい。セルロースアセテート系ポリマーとしては、疎水性と親水性のバランス、補体活性の抑制や血液のクロッティングの無い返血性の良さといった血液適合性の面から水酸基がある程度キャップされたセルロースジアセテートやセルローストリアセテートが入手が容易であり、特に好ましい。
従来のセルロースアセテート系非対称膜を得る方法では、紡糸原液の流動性を確保し、所望の性能を得るために、紡糸原液中のポリマー濃度を15%以下とする必要があった。しかしながら、紡糸原液中のポリマー濃度を下げることは、結果的に製膜された中空糸膜中のポリマー密度が低くなるため、中空糸膜強度の低下に繋がる。特に、モジュール作製等で重要となる破断強度が不足しやすい問題がある。このような破断強度の低い中空糸膜を使用してモジュールを作製すると、中空糸膜束をモジュールケースに装填する際に中空糸膜が摩擦に耐えられずに切れたり、モジュール端部に樹脂を充填したり中空部の芯液を除去する際に中空糸膜が遠心力に耐えられずに折れたり切れたりするといったモジュール生産性の低下を引き起こす問題が生ずる。
そこで、人工腎臓用中空糸膜に求められる性能を発現しつつモジュール生産性を確保するために、紡糸原液中のポリマー濃度を15%以上30%未満と比較的高く設定して、得られる中空糸膜の強度を確保した。さらに、透水率(UFR)が200ml/(hr・mmHg・m2)以上で、β2MGのクリアランスが50ml/min.(1.5m2)以上、且つアルブミンなどの有用タンパクの漏れ量が3g/(3L除水時)以下という性能を発現させることについて検討した。
一般的に、ポリマー濃度を高くすると、紡糸原液の粘度が高まり流動性が低下するため、ノズル温度を比較的高く設定し、紡糸原液の流動性を確保する必要がある。特に、セルロースアセテート系ポリマーの場合、ポリスルホン系ポリマーなどに比較すると同じポリマー濃度でも紡糸原液粘度が遥かに高くなる。ポリスルホン系ポリマーを使用した紡糸原液の場合は、比較的紡糸原液粘度が低いため、ポリマー濃度を高めても十分ノズルから吐出することが可能であるが、セルロースアセテート系ポリマーの場合は、高々ポリマー濃度が15%程度でもノズル温度を100℃以上に上げる必要がある。ノズル温度を100℃以上にすること自体は特に困難性はないが、中空糸膜内表面に緻密層を形成するためには芯液として水溶液を用いる必要があり、該水溶液の沸騰を防ぐためにノズル温度を少なくとも90℃以下にする必要がある。
高強度のセルロースアセテート系非対称中空糸膜を得るためには、上記したような技術的課題を解決しなければならない。そこで、本発明者らは、紡糸原液の流動性を確保しつつ、芯液の沸騰を防ぐために鋭意検討を行った結果、紡糸原液と芯液とをノズルより吐出する直前まで別々に温度コントロールする手段を見出した。具体的には後述するような手段を用いることで芯液の沸騰を防ぎながら紡糸原液の流動性を確保することに成功し、ついに本発明を完成した。
例えば、血液浄化用の中空糸膜を製造するためには、一般的にスリット外径300〜1000μm、スリット内径200〜900μm、芯液吐出口径100〜600μmの二重管ノズルをノズルブロックに複数本セットし使用する。このように紡糸原液吐出孔の幅および芯液吐出孔径が数百μmしかないので、紡糸原液と芯液とをノズルから吐出される直前まで精密に温度コントロールしておくことは非常に難しい。本発明者らは、吐出直前まで紡糸原液と芯液とを別々に温度コントロールできるよう、ノズルブロック内を熱媒(冷媒)が循環可能な構造に加工したものを用いることにより、該課題を解決した。1つのノズルブロックには、通常数十のノズルが組み込まれており、それらを均一に温度コントロールする配慮が必要であり、このような技術的困難性をクリアし本発明に至った。
また、従来セルロースアセテート系ポリマーとしては、ダイセル化学工業社よりL-20、30、40、50、70、LT-35、55、105など酢化度、重合度の異なる種々のセルロースアセテート系ポリマーが市販されており、セルローストリアセテートとしては従来6%粘度が250mPa・s以上300mPa・s以下のものを使用していた。前記ノズルブロックの加工により、このような高粘度のポリマーを用いて、ポリマー濃度15%超でも紡糸が可能となり、中空糸膜強度を確保することは可能となった。しかし、さらなる中空糸膜性能の向上と紡糸安定性、モジュール生産性の向上とを両立するために、6%粘度が140mPa・s超200mPa・s未満という比較的低粘度のセルロースアセテート系ポリマーを用いることを検討した。そして、ついに比較的低粘度のポリマーを用い、紡糸原液中のポリマー濃度をさらに高めることにより、中空糸膜強度の確保および膜性能の向上、それらのバランスの最適化を図ることが可能となった。
本発明において、セルロースアセテート系ポリマーの酢化度は53〜62であることが好ましい。ここで、酢化度はセルロース中の水酸基の酢酸基置換度を表す。酢化度が低すぎると、ポリマー鎖中に水酸基が多くなるため、ポリマーと血液とが接触した際に補体が活性化しやすくなるなど生体適合性の面で不利になることがある。また、酢化度の理論上限は62.5%であるが、酢化度が高すぎると溶解性や成型性が低下する可能性がある。したがって、セルロースアセテート系ポリマーの酢化度は61.5%以下がより好ましい。
酢化度が低いほどポリマーの溶解性や成形性はよくなるが、水酸基が増えるに従い補体活性に代表される血液適合性は低下する傾向にある。したがって、酢化度は55%以上がより好ましく、58%以上がさらに好ましい。
内表面側に薄い緻密層を有し、外側に向かって細孔径が拡大するような非対称構造の中空糸膜は、薄い緻密層が分画特性(β2ミクログロブリンは透過し、アルブミンは透過しない)に寄与し、緻密層以外の部分(支持層)は細孔径が大きいために物質透過の抵抗にならず、β2ミクログロブリンに代表される低分子量タンパクの除去性を高めることが可能となる。また、支持層は主に膜の強度を保持する役割を担うものである。通常、紡糸原液中のポリマー濃度を低くしたり紡糸原液の粘度を低くすると、得られる中空糸膜の細孔径は大きくなる傾向にあるので、薄い緻密層の細孔径を厳密にコントロールするためには、ポリマー濃度や紡糸原液粘度はある程度高い方が細孔径や粗密構造のコントロールがしやすくなり好ましい。
中空糸膜の性能と膜の強度をバランスさせるためには、紡糸原液中のセルロースアセテート系ポリマー濃度を16質量%以上25質量%以下に設定するのがより好ましく、17質量%以上23質量%以下がさらに好ましい。
また、ノズルより吐出する際の紡糸原液の粘度としては、溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)、非溶媒としてトリエチレングリコール(TEG)を用い、セルロースアセテート系ポリマー/NMP/TEG=16〜25/49〜77/7〜26で測定したときの粘度が50〜9000mPa・s(50℃)であるのが好ましい。
先述したように、中空糸膜の構造は、物質の分離透過特性を支配する極薄緻密層と、機械的強度を保持し、かつ物質の透過には殆んど影響しない支持層からなる2層又は多層構造が好ましい。特に、中空糸膜の中空部に血液を流し、中空糸膜内側から外側に向かって物質を透過させる場合には、少なくとも中空糸膜内表面側に緻密層があるのが望ましい。内表面側に緻密層がないと、その部分に血中タンパクが付着しやすくなったり、細孔中に侵入しやすくなり、物質透過の障害になる懸念がある。
本発明において、血液の流動安定性を確保するためには中空糸膜の内径を150μm以上300μm以下とするのが好ましい。中空糸膜の内径が小さすぎると血流の線速度が高くなるため、血球成分がダメージを受ける可能性がある。中空糸膜の内径が大きすぎると血液の剪断速度や圧力損失が高まらず、中高分子量物質の透過に寄与するろ過の効果が小さくなり、また不足する膜性能を補うためにモジュール(血液浄化器)のサイズを大きくしなければならないなど使用の利便性を損なう可能性がある。したがって、中空糸膜の内径は160μm以上280μm以下がより好ましく、170μm以上260μm以下がさらに好ましい。
本発明において、中空糸膜の膜厚は10μm以上30μm未満が好ましい。中空糸膜の膜厚が薄すぎると、透過性能は高まるが必要な強度を維持することが困難な場合がある。また膜厚が大きすぎると、物質の透過抵抗が大きくなり、除去物質の透過性が不充分となる可能性がある。また、モジュールのサイズを大きくする必要があるなど、使用の利便性を損なう可能性がある。したがって、中空糸膜の膜厚は12μm以上28μm以下がより好ましく、13μm以上26μm以下がさらに好ましい。
本発明において、セルロースアセテート系ポリマーの溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを使用するのが好ましい。これらの溶媒は水と良好な相溶性を有し、セルロースアセテート系ポリマーに対して凝固性を示す。また、非溶媒としてはエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、アルコール類などがある。
本発明において、芯液としては前記溶媒、非溶媒および水からなる水溶液が一般に使用できるが、その他に膨潤剤、その他の添加物を含む場合もあり得る。膨潤剤としてはホルムアミド、尿素、リン酸トリエチル、グリオキサール、ブタノール、イソプロパノール等がある。
比較的高粘度のセルロースアセテート系ポリマーを原料として使用する場合、前記芯液の水分含量が低すぎると、ポリマーに対する凝固性が低下するため、紡糸原液中のポリマー濃度を高めても分画特性を決定する極薄緻密層の形成やポロシティが不均一になりやすい。したがって、前記芯液中の水分含量は10質量%以上が好ましい。30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がさらにより好ましく、水単独で用いるのが特に好ましい。一方、該芯液の水分含量が高くなりすぎるとノズルから吐出された紡糸原液の凝固が急激に進行するために曳糸性が低下し、糸切れや中空糸膜の変形が発生するなどの障害が発生しやすくなる。ここで、前述した低粘度セルロースアセテート系ポリマーを使用すると、理由はよくわからないが、該芯液の水分含量を高めても糸切れの発生のない、良好な紡糸安定性を得ることができることがわかった。
特筆すべきは、芯液を水とした場合でも、なんら曳糸性に影響を与えず、良好な生産性が確保されたことである。芯液の水分含量を高くすることができるということは、芯液と紡糸原液との間で溶媒濃度に差を持たせ易いということであり、すなわち中空糸膜内表面の緻密層の厚みや構造を制御できる幅が広がることに繋がる。また、中空糸膜製造後に芯液を洗浄除去しやすくなるため、作業工数の低減や洗浄処理、排水処理にかかるコスト削減といった副次効果もある。
上記したように、紡糸原液と芯液とを別個に温度コントロールすることにより紡糸原液の吐出温度を高めることが可能となり、また比較的低粘度のポリマーを使用することにより紡糸原液中のポリマー濃度を高めることができるようになった効果として、得られる中空糸膜の強度が向上した。また、比較的低粘度のポリマーを使用することによる別の効果として、中空糸膜の単位体積あたりのポリマー密度(パッキング性)が向上し、硬さの指標でもあるヤング率の高い中空糸膜を得ることが可能となった。
低粘度セルロースアセテート系ポリマーからなる紡糸原液を用いることにより、さらなる効果が確認できた。紡糸原液の流動性が向上したことにより、中空糸膜の性能調整手段の1つであるノズル温度の設定範囲の幅が広がり、紡糸原液の凝固と相分離のバランスを制御し易くなった。凝固と相分離のバランスを制御するとは、すなわち中空糸膜の緻密層の孔径と厚み、および支持層のポロシティとのバランスをとることであり、具体的にはβ2ミクログロブリンの除去性を高めながらアルブミンに代表される有用タンパクの漏洩を極力抑えるということに繋がる。また、後述する中空糸膜製造における溶媒、非溶媒の洗浄除去性の向上やモジュール組立性に寄与する中空糸膜の強度確保にも繋がる。従来の高粘度ポリマーからなる紡糸原液ではノズル温度を後述の工夫を施しても100℃付近までしか下げることができなかったが、低粘度ポリマーを使用することにより、ノズル温度を40℃程度に下げても紡糸原液を均一に安定して吐出することが可能となった。
本発明において、中空糸膜の外表面開孔率は15%以上30%以下が好ましい。また、中空糸膜外表面の孔1個あたりの平均孔面積は0.01μm2以上0.05μm2以下であることが好ましい。外表面開孔率や平均孔面積が大きすぎると、総じて支持層全体の空隙率が高くなるため、中空糸膜に必要な強度を確保できないとか、膜孔保持剤の保持性が低下する可能性がある。一方、中空糸膜の外表面開孔率や平均孔面積が小さすぎると、細孔の非対称性が失われ均質構造に近づいていくことになるので、物質の透過性やろ過安定性が低下することがある。また、中空糸膜の透過拡散特性が低下するためオンラインでの洗浄効率が低下することがある。したがって、中空糸膜の外表面開孔率は16%以上28%以下がより好ましく、17%以上26%以下がさらに好ましい。また、平均孔面積は0.01μm2以上0.04μm2以下がより好ましく、0.02μm2以上0.04μm2以下がさらに好ましい。
ここで、膜孔保持剤とは、中空糸膜の乾燥時に細孔の収縮を防ぐとか、血液浄化器等のモジュールの完全性を試験するためにエアリークテストを実施する際、一時的に細孔を塞いでおく役割を担うものである。膜孔保持剤の具体例としては、グリセリンやグリセリン誘導体やポリエチレングリコールなどが挙げられ、本発明においてはグリセリンを用いるのが好ましい。
従来、均一構造を有する中空糸膜においては、細孔の収縮を防ぐために細孔内に膜孔保持剤を充填しているものがあった。しかし、いわゆる非対称構造を有する中空糸膜においては、細孔径や空隙率が高すぎるために膜孔保持剤が細孔から漏出してしまう問題があり、膜孔保持剤を使用することができなかった。特に、セルロースアセテート系ポリマーからなる中空糸膜は乾燥時や保管時の熱により収縮が起こりやすく、予め収縮を想定した膜設計が必要であった。本願発明の中空糸膜においては、比較的低粘度のポリマーを用いて比較的高濃度の紡糸原液を調製することにより、従来膜に比較して高強度の中空糸膜を得ることができるので、収縮による膜孔保持剤の細孔からの漏出を抑制している。また、開孔率、平均孔面積を小さくすると物質の透過抵抗が大きくなるため、特に低分子タンパク領域の物質の透過性が低下するが、本発明の中空糸膜は膜厚を薄くすることができるので、その分透過性能を向上させることが可能である。
外表面開孔率や平均孔面積を本発明の範囲にするためには、紡糸原液中のポリマー濃度やノズル温度などが影響するが、加えてノズルから吐出された紡糸原液が凝固浴に浸漬されるまでの間の空中走行部の長さを10mm以上600mm以下とするのが好ましい。また、空中走行部を外気と遮断し、内部を0℃以上50℃以下に設定することが好ましい。空中走行部の長さと温度を前記範囲とすることにより、ノズルから吐出された紡糸原液の外表面側のポリマー核の成長を促進することができる。一方、紡糸原液の内表面側では外表面側からの脱溶媒の影響を受けるより前に、芯液によるポリマーの凝固を完了させ緻密層を形成させることが可能となる。
紡糸製膜の安定性を高めるためには空中走行部の長さは10mm以上300mm以下がより好ましく、紡糸口金からの紡糸原液の吐出斑の影響を相殺するには10mm以上150mm以下がさらに好ましい。空中走行部の温度はコントロールが容易な点で3℃以上45℃以下が好ましく、性能面で有用タンパクの漏れ量を抑制するには5℃以上40℃以下がより好ましい。
空中走行部の長さと温度は、ノズルドラフトや紡糸速度により適正範囲が変わるものであって、本発明の範囲はノズルドラフトが1〜5程度、紡糸速度が30〜90m/min.の場合を想定している。
本発明において、適正な中空糸膜外表面を得るためには凝固浴の条件を適正化することも重要な要件の1つである。外表面の開孔率を高めるためには凝固浴中の溶媒濃度を高め、温度を高めることが有効である。溶媒濃度や温度を高めることにより空中走行部で生成したポリマー核を成長させることができ、開孔率、開孔径を拡大することが可能となる。開孔率を15%以上30%以下とするためには、凝固浴中の溶媒濃度が50重量%以上80重量%以下、凝固浴温度が20℃以上70℃以下が好ましい。凝固浴からの中空糸膜の曳きだし性および空中走行部の温度コントロールの容易性を確保する面から、溶媒濃度は55重量%以上77重量%以下、凝固浴温度は30℃以上50℃以下がより好ましく、溶媒濃度が60重量%以上75重量%以下、凝固浴温度が35℃以上45℃以下がさらに好ましい。
本発明において、中空糸膜の単糸あたりのヤング率は5000kg/cm2以上かつ降伏強度が25g以上であることが好ましい。ヤング率および降伏強度が高いということは、中空糸膜を構成するポリマーの密度が高いとかポリマー鎖の絡み合いが強いことを意味する。血液浄化器などのモジュール組立てにおいて、中空糸膜端部とモジュールケース端部とを接着樹脂により接着するが、その際に遠心力を利用して接着樹脂を充填する。このとき、中空糸膜のヤング率が低いと、遠心力により中空糸膜に曲がりや折れが発生することがある。このような現象が発生したモジュールは、中空糸膜に血液を流した際に不通過や残血の原因となり得るので、もはや製品として出荷することができない。接着樹脂の充填に利用される遠心力(RCF)は40×g程度であるため、中空糸膜のヤング率および降伏強度は安全係数を見越して、それぞれ5000kg/cm2以上、25g以上としている。以上のような理由から、ヤング率および降伏強度は高い方が好ましいが、血液浄化用の中空糸膜の場合は、性能や空隙率との関係などにより、それぞれ単糸あたり7000kg/cm2程度、40g程度が上限と思われる。
本発明において、中空糸膜のヤング率や降伏強度を前記範囲にするためには、紡糸原液中のポリマー濃度やノズル温度を適正にすることに加え、凝固条件を適正化することも重要である。
凝固浴の組成としては、溶媒、非溶媒、水からなる混合液を用いるのが好ましい。溶媒としては、紡糸原液の調製に用いたのと同じ溶媒を用いるのが好ましい。非溶媒としては、紡糸原液の調製に用いたのと同じ溶媒を用いるのが好ましい。
凝固浴中の溶媒濃度および温度は、中空糸膜外表面側の構造に最も顕著な影響を与える。中空糸膜の外表面開孔率や平均孔面積を本件発明範囲にするためには、凝固浴中の溶媒濃度を40〜80重量%、温度を20〜60℃とするのが好ましい。
なお、凝固浴への非溶媒の添加は特に必要ないが、凝固浴組成の変化を抑制する意味から紡糸原液中の溶媒/非溶媒比に合わせるのが好ましい。
中空糸膜のヤング率や降伏強度を向上させることにより、通常の血液透析よりも操作圧力の高い血液濾過透析に対しても十分適用が可能となる。従来の非対称膜よりもヤング率や強度が高いので血液浄化開始初期から血流が安定し、膜厚方向の形状変化を極力抑制することで膜間圧力差(TMP)を安定させることが可能となった。
例えば、牛血液を使用した実験において、初期TMPが100mmHgとなる地点の濾過流束を測定した際に、均一膜では濾過流束がおよそ30mL/min.でTMPが100mmHgに到達するのに対し、本発明の非対称膜ではおよそ60mL/min.の濾過流束でもTMPはほぼ100mmHg以下である。この試験は透析操作の初期圧に関するものであり、初期の性能と膜のファウリング状況を反映する。TMPの絶対値は操作条件により個々に設定可能であるが、ろ過流束に比して初期TMPが高いものは経時的にTMPが上昇し、性能の低下やファウリングにより透析の継続が困難になる可能性を有しているため、別途、透析条件で経時的にTMPの推移が安定していることを確認する必要がある。
本願発明の中空糸膜を用いた、血液濾過透析の一般的な条件である後希釈型の10L除水(濾過流束(Qf=45mL/min.)、4時間)の血液還流試験において、還流開始5分後のTMPと4時間経過時点のTMPの差異が10mmHg以下となることが確認された。通常、性能の低下や膜のファウリングによりTMPの経時変化が生じる場合には、TMPの差異上昇がリニアではなく、指数関数的に変化するため、4時間での変化量が10mmHg以下であれば十分に低く、ろ過安定性が高いと考えられる。また、それぞれの時間の実測のろ過流束/TMPを算出した場合、4時間後の値が5分値の80%以上を維持していれば、十分に透過性能も維持できていると考えられる。より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。これらの知見は長時間にわたり、膜中に血液成分の目詰まり等が無く、安定した血液濾過透析処方が適用できることを示していると考えられる。
また、本発明の非対称膜は、外表面の細孔や膜の強度が最適化されているので、従来の均一構造のセルロースアセテート系膜と同様に緻密層部分の孔径保持剤としてグリセリンを使用することができる。孔径保持剤が細孔に充填されているのでエアリーク試験が可能となり、製品検査での欠点の発見が容易となる。さらに、グリセリンとモジュールの封止部材であるウレタン樹脂との反応による副生成物(ウレタンオリゴマー)の生成が懸念されるが、ヤング率が高く、寸法安定性が高いことから中空糸膜外表面へのグリセリンの染み出しが抑制され、ウレタンオリゴマー試験で0.02以下と検出感度以下に近い領域まで抑制することが可能となった。
以下、本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(中空糸膜の膜厚測定)
倍率200倍の投影機で中空糸膜の断面を投影し、各視野内で最大、最小、中程度の大きさの中空糸の内径(A)および外径(B)を測定し、各中空糸の膜厚を次式で求め、
膜厚=(B−A)/2
1視野15個の中空糸膜の平均を算出する。
(膜面積の計算)
透析器の膜面積は中空糸膜の内径基準として求める。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸膜本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径(m)、Lは透析器内の中空糸膜の有効長(m)である。
(中空糸膜外表面の開孔率)
中空糸膜外表面を10,000倍の電子顕微鏡で観察し、写真(SEM写真)を撮影する。その画像を画像解析ソフトで処理して、中空糸膜外表面の開孔率を求める。画像解析ソフトは、例えばImage Pro Plus(Media Cybernetics,Inc.)を使用して測定する。取り込んだ画像を孔部と閉塞部が識別されるように強調・フィルタ操作を実施する。その後、孔部をカウントし、孔内部に下層のポリマー鎖が見て取れる場合には、孔を結合して一孔とみなしてカウントする。測定範囲の面積(A)、および測定範囲内の孔の面積の累計(B)を求めて開孔率(%)=B/A×100を求める。これを10視野実施してその平均を求める。初期操作としてスケール設定を実施するものとし、また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外しないものとする。
(中空糸膜外表面の開孔部の平均孔面積)
前項と同様にカウントし、各孔の面積を求める。また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外する。これを10視野実施してすべての孔面積の平均を求める。
(ヤング率(kg/cm2))
破断強力および降伏強力は、糸引っ張り試験機(インストロンエンジニアリングコーポレーション社製インストロン(モデルNo.TM))を用いて測定する。全長約15cmの単糸をチャック(チャック間10cm)に固定し、20mm/分の速度でチャックに連結したフルスケール100gのセルを上昇させる。チャート紙から中空糸が切れた破断伸度と破断強力を読み取り、S−Sカーブとする。極大点を持たない場合は、初期勾配を延長させた補助線を設ける。二つの補助線が交差した点を降伏点と定義し、その点における強力を降伏強力、伸度を降伏伸度とする。また、極大点を持つ場合、初期勾配を延長させた補助線と、極大点における傾きゼロの補助線が交わる点を降伏点と定義し、その点における強力を降伏強力、伸度を降伏伸度とする。これらの値を用いてヤング率は
ヤング率=降伏強度/糸断面積/降伏伸度
の式で算出する。
(透水率(UFR)の測定)
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止する。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器へ純水を送り、透析液側から流出した濾液流量を測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水率(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水率は膜面積と透析器の透水率から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水率(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水率(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
(β2ミクログロブリンの透過性能の測定)
日本透析医学会が定める「血液浄化器の性能評価法と機能分類」における、血液浄化器の評価法に準じて実施する。透過性能は、β2ミクログロブリンのクリアランスをもって評価する。(非特許文献1参照)。
日本透析学会誌 29(8)1231〜1245(1996)
(アルブミン漏出量)
クエン酸を添加し、凝固を抑制した37℃の牛血液を用いる。牛血漿で希釈し、ヘマトクリットを30%に調整する。該血液を血液浄化器に200mL/min.で送液し、15mL/min.の割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。溶血を防止する目的で血液浄化器は予め生理食塩水で十分に置換しておく。循環開始5分後に所定のろ過流量を得ていることを確認し、開始15分後から15分おきにろ液を約1ccサンプリングする。また、開始15分後、60分後、120分後に血液浄化器入り口側と出口側の血液をサンプリングし、遠心分離により血漿を得て、これを試験液とする。採取したサンプルをA/G B−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いてブロムクレゾールグリーン(BCG法)により、ろ液及び血液・血漿中のアルブミン濃度を算出する。3L除水換算のアルブミンリーク量は次のように求めることができる。30分、45分、60分、75分、90分、105分、120分でサンプリングし、ろ液中のアルブミン濃度を算出する。これらのデータを用い、縦軸にアルブミンリーク(TAL[mg/dl])、横軸にln(時間[min.])(lnT)をとり、表計算ソフト(ex.マイクロソフト社製Excel−XP)を用いて一次近似によりフィッティングカーブを描き、その関係式TAL=a×lnT+bにおける定数aおよびbを求める(相関係数は0.95以上が好ましく、0.97以上がさらに好ましく、0.99以上がより好ましい)。この式TAL=a×lnT+bを用いてT=0からT=240で積分し、これを240[min.]で除することにより、平均のアルブミンリーク濃度[mg/dl]を算出する。求めた平均のアルブミンリーク濃度に30dlを乗ずることにより、本願での3L除水換算でのアルブミンリーク量を得ることができる。ただし、アルブミンリークの経時変化が小さい場合には、単純にTALと時間の1次フィッティングを実施し、その積算面積を240[min.]で除することにより、平均のアルブミンリーク濃度[mg/dl]を算出し、求めた平均のアルブミンリーク濃度に30dlを乗ずることにより、本願での3L除水換算でのアルブミンリーク量を得ることができる。
(ろ過安定性評価)
クエン酸を添加し、凝固を抑制した37℃の牛血液を用いる。牛血漿で希釈し、ヘマトクリットを30%に調整する。該血液を血液浄化器に200mL/min.で送液し、45mL/min.の割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。溶血を防止する目的で血液浄化器は予め生理食塩水で十分に置換しておく。循環開始後5分後に所定のろ過流量を得ていることをメスシリンダーにろ液を採取して確認し、同時に透析回路の圧力チャンバー部位でそれぞれ血液入口(Pi)、血液出口(Po)、濾液導出部(Pf)の圧力を測定し、
TMP=Pf −(Pi + Po)/ 2
で算出する。同様に240分経過後のTMPを測定し、
△TMP=│TMP240 − TMP5│
により算出する。
また、Qfmax(TMP=100mmHg)は同様にクエン酸を添加し、凝固を抑制した37℃の牛血液を用いる。牛血漿で希釈し、ヘマトクリットを30%に調整する。該血液を血液浄化器に200mL/min.で送液し、30分毎に15mL/min.の割合でろ過速度を上昇させる。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。溶血を防止する目的で血液浄化器は予め生理食塩水で十分に置換しておく。ろ過速度変更20分後に、上述の式でTMPをそれぞれ求め、QfとTMPをプロットする。この関係を例えば2次関数といった適当なフィッティングを実施し、TMP=100mmHg時のQfをQfmaxとして算出する。
(モジュール生産性)
モジュール生産性は膜面積1.5m2のモジュールを1000本製作し、950本以上の良品を得た場合を○、900本以上949本以下の良品を得た場合を△、それ以下を×とする。不良要因としては、中空糸膜の切れ、折れ、曲がり(中空糸長さ方向に対して15度以上の傾斜曲がりを認めた場合)、つぶれ、リーク、封止剤の充填不良を含む。
(ポリマー粘度の測定)
それぞれの所望の紡糸原液を窒素雰囲気下、180℃にて4時間溶解し、目視で均一溶解していることを確認したのち、サンプルを採取し、B型粘度計(B-8H-HH)[東京計器製]にて温度50℃での粘度を測定する。
(ウレタンオリゴマーの測定)
中空糸膜の両端を樹脂で固定化した有効膜面積1.5m2(被処理液接触面基準)モジュールから取り出した両端の端部接着部を約1cm角の大きさに細断する。得られた試料を40℃、200ccの温水中に2時間浸漬して端部接着部からの溶出物を抽出する。得られた抽出液を50倍に希釈した希釈液の245nmにおける吸光度を測定する。
(実施例1)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に5℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は50mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は200μm、膜厚は20μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(実施例2)
セルローストリアセテート(6%粘度=154mPa・s、ダイセル化学工業社)18重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に0℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は80mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で72重量%となるように希釈した45℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は200μm、膜厚は20μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(実施例3)
セルローストリアセテート(6%粘度=172mPa・s、ダイセル化学工業社)23重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に10℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は20mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で60重量%となるように希釈した35℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は200μm、膜厚は20μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(比較例1)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を循環し保温した。芯液は保冷しなかった。
ノズルから吐出された紡糸原液は50mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は200μm、膜厚は20μmであった。得られた中空糸膜を束状にして容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(比較例2)
セルローストリアセテート(6%粘度=154mPa・s、ダイセル化学工業社)18重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に水を芯液として吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に0℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は80mm、30℃の空気中を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で希釈し72重量%とした75℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は195μm、膜厚は25μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化用容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(比較例3)
セルローストリアセテート(6%粘度=266mPa・s、ダイセル化学工業社)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に20℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で110℃の熱媒を循環し保温した。ノズルから吐出された紡糸原液は50mm、35℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は200μm、膜厚は20μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化容器に挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2 の血液透析器を作製して種々の評価に供した。評価結果を表1にまとめた。
(参考例1)
セルローストリアセテート(6%粘度=266mPa・s、ダイセル化学工業社)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルより、水を芯液として製膜した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に5℃の冷媒を周りに流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を周りに流し保温した。これらをブロック中で断熱し、吐出直前まで保温した。
セルローストリアセテートの粘度が高すぎるためか、ノズル内に紡糸原液が詰まり吐出することができなかった。
(参考例2)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社)13重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)の比が8対2の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として、ニ重管ノズルより、水を芯液として製膜した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に5℃の冷媒を周りに流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で80℃の熱媒を周りに流し保温した。これらをブロック中で断熱し、吐出直前まで保温した。
ノズルから50mm、30℃の空気中に吐出させた後、NMP/TEG=8/2の混合溶液を水で70重量%とした凝固液、40℃の中に導いて固化させ、水洗、グリセリン付着処理後、乾燥して巻き取る予定であった。しかしながら、凝固浴中で形成された膜の強度が非常に弱いため、凝固浴中から次の工程に中空糸膜を曳き出すことができなかった。
Figure 0004725524
本発明は、セルロースアセテート系ポリマーを使用して、従来の合成ポリマーの構造に近い粗密構造を与え、高い分子量分画特性を付与することができた。特に血液透析や血液濾過透析において、β2-MGなどの中高分子量領域の有害物質の除去とアルブミンなどの有用物質の流出阻止性を高めることが可能な選択透過性中空糸膜を提供可能となった。また、取扱い性の困難な中空糸膜の生産性を向上し、膜からの溶出物の無い安全性の向上した選択透過性中空糸膜を提供可能となった。

Claims (4)

  1. 主としてセルロースアセテート系ポリマーからなり、少なくとも内表面に緻密層を有する非対称構造の中空糸膜において、該中空糸膜の内径が150μm以上250μm以下、膜厚が10μm以上30μm未満であり、該中空糸膜の外表面の開孔率が15%以上30%以下かつ平均開孔面積が孔1個あたり0.01μm2以上0.05μm2未満であることを特徴とするセルロースアセテート系非対称中空糸膜。
  2. 該中空糸膜の単糸あたりのヤング率が5000kg/cm2以上、降伏強度が25g以上であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアセテート系非対称中空糸膜。
  3. 該セルロースアセテート系ポリマーを塩化メチレン/メタノール=91/9に6重量%になるように溶解し、温度25℃で測定したときの粘度が140mPa・s超200mPa・s未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアセテート系非対称中空糸膜。
  4. 該セルロースアセテート系ポリマーがセルロースジアセテートおよび/またはセルローストリアセテートであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のセルロースアセテート系非対称中空糸膜。
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