JP4432614B2 - 高透水性中空糸膜型血液浄化器 - Google Patents
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Description
(1)熱水洗浄の場合は、中空糸膜束を過剰の水に浸漬し70〜90℃で15〜60分処理した後、中空糸膜束を取り出し遠心脱水を行う。この操作を水を更新しながら3、4回繰り返して洗浄処理を行う。
(2)加圧容器内の過剰の水に浸漬した中空糸膜束を121℃で2時間程度処理する方法をとることもできる。
(3)エタノールまたはイソプロパノール水溶液を使用する場合も、(1)と同様の操作を繰り返すのが好ましい。
(4)遠心洗浄器に中空糸膜束を放射状に配列し、回転中心から40℃〜90℃の洗浄水をシャワー状に吹きつけながらトータル時間として30分〜5時間遠心洗浄することも好ましい洗浄方法である。
前記洗浄方法を2つ以上組み合わせて行ってもよい。いずれの方法においても、処理温度が低すぎる場合には、洗浄回数を増やす等が必要になりコストアップに繋がることがある。また、処理温度が高すぎると親水性高分子の分解が加速し、逆に洗浄効率が低下することがある。上記洗浄を行うことにより、外表面親水性高分子の存在率の適正化を行い、固着抑制や溶出物の量を減ずることが可能となる。
微弱な陰性荷電を持つ材料を原料として使用することで、得られる膜に電荷が導入され、本発明の意図する好ましい特性を付与するのに有用である。PSf系高分子の場合、末端のフェノール性水酸基の水素原子が一部脱離し、カリウム塩となって存在するものがある。このような材料では、カリウム含量は材料中の陰性荷電置換基の量と考えることができる。具体的にはカリウム含量が100mg/kg〜350mg/kg、好ましくは150mg/kg〜300mg/kgのPSf系材料を使用することが好ましい。カリウム含量がこれよりも少ないと材料の陰性荷電が少なすぎ、所期の特性を得られないことがある。また、これよりも多いと材料の陰性荷電が過剰となりブラジキニン産生亢進など問題が起こることがある。このような材料としては、住友化学社製のポリエーテルスルホン(商品名スミカエクセル)などが例示される。
中空糸型膜を製造する際には、ドープを内腔形成剤とともに二重管型のノズルから吐出し、空走部分を経て凝固浴に導き凝固させるのが一般的である。この際、ノズルから吐出された直後の内腔形成剤吐出線速度とドープ吐出線速度が、内腔形成剤吐出線速度>ドープ吐出線速度の関係にあると、中空糸型膜の内部、血液接触面ではドープと内腔形成剤の接触面で摩擦が生じる。この摩擦によって荷電が付与され、本発明の意図する好ましい特性を付与するのに有用である。吐出線速度の具体的な好ましい値としては、内腔形成剤は500〜30000cm/minが好ましく、800〜28000cm/minがより好ましい。ドープは200〜15000cm/minが好ましく、250〜10000cm/minがより好ましい。吐出線速度がこの範囲を外れると、操業性、紡糸効率が低下することがある。内腔形成剤およびドープの吐出直後の吐出線速度は、次の式で算出することができる。
(吐出直後の吐出線速度)[cm/min]=
(吐出量)[cc/min]÷(吐出孔面積)[cm2]
製膜工程において、走行する膜と不導体とを接触させることにより膜が静電気を帯びて、本発明の意図する好ましい特性を付与するのに有用である。走行中の膜と不導体の接触は、具体的には、製膜機台の膜接触部分に不導体を使用するのが好ましい。ここで言う膜接触部分とは、例えば、ガイド、ローラーなどが例示される。使用できる不導体は、例えば、エボナイト、テフロン(R)、セラミック、あるいはこれらをコーティングした金属材料などが例示される。なお、不導体とはほとんど電流を通さない物質のことであり、金属やカーボンなどの導体や、ケイ素、ゲルマニウム、セレンなどの元素半導体、ガリウム砒素、インジウム燐、などの化合物半導体以外の物質を意味する。
ミスト状の水は微弱に帯電しているので、製膜された血液浄化膜にミスト状の水を吹き付けることにより膜が静電気を帯びて、本発明の意図する好ましい特性を付与するのに有用である。上記の操作は、静電気付与による好ましい特性の実現と同時に、洗浄操作としても位置付けることができる。具体的には、例えば、中空糸膜紡糸工程において、走行中の中空糸膜に水を噴霧して洗浄を行った後乾燥工程を経て巻取る方法、紡糸工程を経て得られた中空糸膜を糸束としてこれに水を噴霧し、洗浄を行う方法などが例示される。
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子により流れを止め全濾過とする。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃高温槽で保温した透析器へ純水を送り、透析液側から流出したろ液質量を1/100gまで測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と透析器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
透析器の膜面積は中空糸の内径基準として求めた。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸本数、πは円周率、dは中空糸の内径(m)、Lは透析器内の中空糸の有効長(m)である。
約10000本の中空糸膜よりなるモジュールの透析液側を水で満たし栓をする。血液側から室温で乾燥空気または窒素を送り込み1分間に0.5MPaの割合で加圧していく。圧力を上昇させ、中空糸膜が加圧空気によって破裂(バースト)し、透析液側に満たした液に気泡が発生した時の空気圧をバースト圧とした。
中空糸100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定した。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合の測定法を例示する。
透析型人工腎臓装置製造基準に定められた方法で抽出し、該抽出液中のポリビニルピロリドンを比色法で定量した。
すなわち、中空糸膜1gに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出した。得られた抽出液2.5mlに、0.2モルクエン酸水溶液1.25ml、0.006規定のヨウ素水溶液0.5mlを加えよく混合し、室温で10分間放置した後に470nmでの吸光度を測定した。定量は標品のポリビニルピロリドンを用いて上記方法に従い求めた検量線にて行った。
湿潤中空糸膜モジュールの場合は、モジュールの透析液側流路に生理食塩水を500mL/minで5分間通液し、ついで血液側流路に200mL/minで通液した。その後血液側から透析液側に200mL/minでろ過をかけながら3分間通液した後にフリーズドライをして乾燥膜を得て、該乾燥膜を用いて上記定量を行った。
親水性高分子の疎水性高分子に対する存在割合は、X線光電子分光法(ESCA法)で求めた。疎水性高分子としてポリスルホン系高分子を、親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合の測定法を例示する。
中空糸膜1本を試料台に貼り付けてX線光電子分光法(ESCA法)で測定を行った。測定条件は次に示す通りである。
測定装置:アルバック・ファイ ESCA5800
励起X線:MgKα線
X線出力:14kV,25mA
光電子脱出角度:45°
分析径:400μmφ
パスエネルギー:29.35eV
分解能:0.125eV/step
真空度:約10-7Pa以下
窒素の測定値(N)と硫黄の測定値(S)から、次の式により表面でのPVP含有比率を算出した。
<PVP添加PES(ポリエーテルスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×232)
<PVP添加PSf(ポリスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×442)
親水性高分子としてPVPを用いた場合の測定法を例示する。サンプルを、真空乾燥器を用いて、80℃で48時間乾燥させ、その10mgをCHNコーダー(ヤナコ分析工業社製、MT−6型)で分析し、窒素含有量からPVPの質量割合を下記式で計算し求めた。
PVPの質量割合(質量%)=窒素含有量(質量%)×111/14
中空糸膜外表面を10,000倍の電子顕微鏡で観察し写真(SEM写真)を撮影する。その画像を画像解析処理ソフトで処理して中空糸膜外表面の開孔率を求めた。画像解析処理ソフトは、例えばImage Pro Plus (Media Cybernetics,Inc.)を使用して測定する。取り込んだ画像を孔部と閉塞部が識別されるように強調・フィルタ操作を実施する。その後、孔部をカウントし、孔内部に下層のポリマー鎖が見て取れる場合には孔を結合して一孔とみなしてカウントする。測定範囲の面積(A)、および測定範囲内の孔の面積の累計(B)を求めて開孔率(%)=B/A×100で求めた。これを10視野実施してその平均を求めた。初期操作としてスケール設定を実施するものとし、また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外しないものとする。
前項と同様にカウントし、各孔の面積を求めた。また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外した。これを10視野実施してすべての孔面積の平均を求めた。
倍率200倍の投影機で中空糸膜の断面を投影し、各視野内で最大、最小、中程度の大きさの中空糸の内径(A)および外径(B)を測定し、各中空糸の膜厚を次式で求め、
膜厚=(B−A)/2
30視野90個の中空糸の膜厚の平均を算出した。
エンドトキシン濃度200EU/Lの透析液をモジュールの透析液入り口より流速500ml/minで送液し、中空糸膜の外側から内側へエンドトキシンを含有する透析液をろ過速度15ml/minで2時間ろ過を行い、中空糸膜の外側から中空糸膜の内側へろ過された透析液を貯留し、該貯留液のエンドトキシン濃度を測定した。エンドトキシン濃度はリムルスESIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用い、取り説の方法(ゲル化転倒法)に従って分析を行った。
生食にてプライミングしたモジュールを用いて、クエン酸を添加して凝固を抑制した37℃の牛血液を、血液浄化器に200mL/minで送液し、20mL/minの割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。60分後に血液浄化器のろ液を採取し、赤血球のリークに起因する赤色を目視で観察する。この血液リーク試験を各実施例、比較例ともに30本の血液浄化器を用い、血液リークしたモジュール数を調べる。
中空糸約10,000本を束ね、30mmφ〜35mmφのモジュールケースに装てんし、2液系ポリウレタン樹脂にて封止してモジュールを作成した。各水準5本リークテストを実施し、ウレタン樹脂封止不良となったモジュールの本数をカウントした。
膜面積1.5m2のモジュールの透析液側を生理食塩水で満たし、健康人から採取したヘパリン加血200mlを血液バッグに詰め、血液バッグとモジュールをチューブで連結し、37℃で血液流速100ml/min、1時間循環する。循環開始前と循環60分との血液をサンプリングし、白血球数、血小板数を測定する。測定した値はヘマトクリットの値で補正する。
補正値=測定値(60分)×ヘマトクリット(0分)/ヘマトクリット(60分)
補正値から白血球と血小板の変化率を算出する。
変化率=補正値(60分)/循環開始前値×100
60分循環終了後、生理食塩水で返血し、残血している糸の本数を数えた。残血している糸の本数が10本以下を○、11本以上30本以下を△、31本以上を×として評価を実施した。
モジュールの透析液側ポートに蓋をした状態で、血液側入口ポートから200mL/minで注射用蒸留水を流し、出口ポートに注射用蒸留水が到達した時点から10秒経過するまでの間にモジュールケースを鉗子で5回軽くたたいて脱泡した後、1分間の気泡の通過個数を目視にて確認した。判定は以下の基準で行った。
10個/分以下:○
11個/分以上30個/分未満:△
30個/分以上:×
本発明における血小板保持率とは、次の方法によって血液灌流の前後の血液中の血小板数から算出した値を示す。
(1)採血バッグに、濃度が5U/mLとなるよう予めヘパリンカルシウムを入れておき、健康な成人の血液をひじの内側の静脈からこの採血バッグに採取する。血液灌流に先立ち、血液成分の分析用に血液のサンプリングを行う。
(2)膜面積1.5m2の中空糸膜モジュールの血液側、透析液側を生理食塩水でプライミングし、このモジュールの血液側に上記ヘパリン加ヒト全血を150mL/minの流量で灌流する。この際、採血バッグから流れ出た血液はモジュールの血液側を通過し、採血バッグに戻るように回路を組む。
(3)37℃の環境下で60分の血液灌流を行った後、血液のサンプリングを行い、血液成分の分析を行う。
(4)灌流前後の血液中の血小板数から、次の式により血小板保持率を算出する。
(血小板保持率)[%]=100×[{(灌流後の血液中の血小板数)×(灌流前の血液のヘマトクリット)}/(灌流後の血液のヘマトクリット)]÷(灌流前の血液中の血小板数)
カリウム含量278mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)5200P)17質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)2.5質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)77.5質量%、RO水3質量%を50℃で均一に溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が蒸発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。製膜溶液を10μm、10μm、10μmの3段の焼結フィルターに順に通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで30分間脱気処理した60質量%DMAc水溶液を用いて吐出、紡糸管により外気と遮断された450mmの乾式部を通過後、60℃の20質量%DMAc水溶液中で凝固させ、湿潤状態のまま綛に捲き上げた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大61μm、最小59μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03、製膜溶液のドラフト比は1.1、乾式部の絶対湿度は0.13kg/kg乾燥空気であった。吐出直後の内腔形成剤吐出線速度が24737cm/min、ドープ吐出線速度が5089cm/minとなるよう吐出量を調整した。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工(0.5S)されたステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した。
ポリエーテルスルホンをカリウム含量360mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)7600P)に変更したこと、製膜溶液をフィルターを通過させないこと、および洗浄しないこと以外は実施例1と同様にして湿潤中空糸膜束を得た。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されていないベークライト(R)製のものを使用した。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。該血液浄化器内にRO水を充填し25kGyの吸収線量でγ線を照射し架橋処理を行った。得られた中空糸膜の内径は199μm、膜厚は28μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、9.7質量%であった。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を取り出し、顕微鏡にて観察したところ、未溶解成分の混入と思われる瘤状の欠陥が観察されたものがあった。該血液浄化器に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。牛血液を用いた血液リークテストではモジュール30本中、4本に血球リークがみられた。偏肉度、バースト圧が低いことから薄膜部の強度不足及び/又は欠陥があったものと思われる。エンドトキシン透過試験の結果、中空糸内側に透過したエンドトキシンが観察された。この原因としては、洗浄を行わなかったため、中空糸膜外表面のPVP存在割合が増加し、エンドトキシンが通過し易くなったものと思われる。その他の分析結果を表1に示した。
カリウム含量360mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)7600P)16質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)6質量%、DMAc75質量%、水3質量%を50℃で溶解した。製膜溶液の脱泡は行わなかった。この製膜溶液を100μmのフィルターに通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した30質量%DMAc水溶液を用いて同時に吐出、紡糸管により外気と遮断された600mmの乾式部を通過後、濃度10質量%、70℃のDMAc水溶液中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均100μmであり、最大110μm、最小90μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.22、ドラフト比は2.36、乾式部の絶対湿度は0.11kg/kg乾燥空気であった。得られた中空糸膜は40℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後、湿潤状態のまま巻き上げ、洗浄処理を行わずに、空気中で50℃で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は202μm、膜厚は28μmであった。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面処理無しのステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が未加工のベークライト(R)製のものを使用した。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、7.5質量%であった。
カリウム含量265mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)4800P)18質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)3.5質量%、DMAc73.5質量%、水5質量%を50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し10分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段のフィルターに通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した50質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された300mmのエアギャップ部を通過後、60℃の水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均45μmであり、最大45.5μm、最小44.5μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02、ドラフト比は1.1、乾式部の絶対湿度は0.12kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたステンレス製のもの(1.0S)、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した
カリウム含量360mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)7600P)16質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-30)9質量%、DMAc71質量%、水4質量%を50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−350mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し30分間放置した。この操作を2回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液をフィルターに通さずに、50℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め減圧脱気した水と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された300mmのエアギャップ部を通過後、50℃の水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均45μmであり、最大45.5μm、最小44.5μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02、ドラフト比は1.1、乾式部の絶対湿度は0.07kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は40℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。得られた10,000本の中空糸膜束は洗浄を行わず、そのまま空気雰囲気中で40℃で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は197μm、膜厚は27μmであった。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、7.7質量%であった。
実施例1と同じ製膜溶液をフィルターに通さずに、中空形成剤として予め減圧脱気した60質量%DMAc水溶液を用いて80℃に加温したチューブインオリフィスノズルから同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された400mmの長さの乾式部を通過後、70℃のRO水からなる凝固浴中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大65μm、最小55μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.18、ドラフト比は1.1、乾式部の絶対湿度は0.27kg/kg乾燥空気であった。凝固浴より引き揚げた中空糸膜を、次いで温度60℃の水洗浴に45秒間浸漬した後巻き上げ、洗浄処理を行わずに、70℃の乾熱オーブンで乾燥した。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されていないステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した。得られた中空糸膜の内径は200μm、膜厚は30μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、9.8質量%であった。
カリウム含量360mg/kgのポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)7600P)17質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK-90)7.5質量%、DMAc72.5質量%、水3質量%を50℃で溶解した。脱泡処理は行わなかった。得られた製膜溶液をフィルターに通さずに、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め減圧脱気した75質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された600mmのエアギャップ部を通過後、70℃水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大65μm、最小55μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.18、ドラフト比は1.1、乾式部の絶対湿度は0.23kg/kg乾燥空気であった。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されていないステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した。得られた中空糸膜を水洗し溶媒を除去した後、約10,000本の束に巻き上げた。ついで、30質量%、50℃のグリセリン水溶液に1時間浸漬した後、80℃で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は197μm、膜厚は30μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、10.5質量%であった。
Claims (5)
- ポリビニルピロリドンおよびポリスルホン系樹脂のみからなる中空糸膜の膜厚が10〜50μmであり、中空糸膜からのポリビニルピロリドンの溶出が10ppm以下であり、かつ中空糸膜の外表面におけるポリビニルピロリドンの存在割合が25〜50質量%であり、ポリスルホン系樹脂に対するポリビニルピロリドンの質量割合が1〜9質量%であり、さらにバースト圧が0.5MPa以上2.0MPa未満である中空糸膜からなる血液浄化器であって、血液浄化器の透水率が150ml/m2/hr/mmHg以上2000ml/m2/hr/mmHg以下であり、かつ、膜面積1.5m2の血液浄化器の血液流路にヘパリン加ヒト全血を150mL/minの流量で灌流した場合の60分後の血小板保持率が90%以上98%以下であることを特徴とする高透水性中空糸膜型血液浄化器。
- 中空糸膜外表面の開孔率が8〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の高透水性中空糸膜型血液浄化器。
- 中空糸膜外表面における平均孔面積が0.3〜1.0μm2であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の高透水性中空糸型血液浄化器。
- 中空糸膜の偏肉度が0.6以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高透水性中空糸型血液浄化器。
- ポリビニルピロリドンは架橋されかつ水に不溶化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高透水性中空糸膜型血液浄化器。
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