JP4666248B2 - 高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器 - Google Patents

高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器 Download PDF

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本発明は安全性およびモジュール組み立て性に優れた、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する医療用高透水性中空糸型血液浄化器に関する。
腎不全治療などにおける血液浄化療法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的で、天然素材であるセルロース、またその誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、合成高分子としてはポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの高分子を用いた透析膜や限外濾過膜を分離材として用いた血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器などのモジュールが広く使用されている。特に中空糸型の膜を分離材として用いたモジュールは体外循環血液量の低減、血中の物質除去効率の高さ、さらにモジュール生産時の生産性などの利点から透析器分野での重要度が高い。また、本願ではポリスホン系中空糸膜を用いることを特徴とするが、ポリスホン系中空糸膜は、その優れた膜としての細孔形成特性、機械強度特性を持つ素材として、この分野での応用が注目されている。
中空糸膜を用いた透析モジュールは、通常中空糸内空部に血液を流し、外側部に透析液を向流で流し、血液から透析液への拡散に基づく物質移動により尿素、クレアチニンなどの低分子量物質を血中から除くことを主眼としている。さらに、長期透析患者の増加に伴い、透析合併症が問題となり、近年では透析による除去対象物質は、尿素、クレアチニンなどの低分子量物質のみではなく、分子量数千の中分子量から分子量1〜2万の高分子量の物質まで拡大し、これらの物質をも除去できることが血液浄化膜に要求されている。特に、分子量11700のβ2ミクログロブリンは手根管症候群の原因物質であることがわかっており除去ターゲットとなっている。このような高分子量物質除去の治療に用いられる膜を得るためには、従来の透析膜より膜の細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたり、空孔率を上げたり、膜厚を薄くし膜の透水率を上げるのが好ましい。
ところが、透水率を上げるには、上記したごとく従来の透析膜より膜の細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたり、空孔率を上げたり、膜厚を薄くする等の改善が必要である。この改善を行うと親水性高分子の溶出が多くなり、かつ膜強度が低下するという課題が生ずる。親水性高分子の溶出が多くなると人体に取り異物である親水性高分子の長期透析時の体内蓄積が増え副作用や合併症等を引き起こす可能性がある。また、膜強度の低下は、製造工程や輸送工程、取扱時に、糸へダメージを与え、糸が破損し、治療中に血液リークを起こしやすいなどの問題に繋がる。
血液リークを抑制する手段としては、芯剤を従来の有機溶剤含有水溶液中の有機溶剤濃度をさらに下げ、ノズル吐出後の気相通過時間及び芯剤濃度の適正な範囲を見出す技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。すなわち、透水性をコントロールしつつ膜内面に薄い緻密層を形成させる方法である。しかし、膜内面の緻密層の形成状態は透水性に顕著に影響し、透水性能の範囲を狭く設定するのが困難となる。
特開2000−107577号公報
更に、前記した膜の細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたり、空孔率を上げたりすることは膜の外表面の親水性高分子の存在量が多くなり、このことにより、透析液に含まれるエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する可能性が高まり、発熱等の副作用を引き起こすことに繋がるとか、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士がくっつき(固着し)、モジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす。
上記した課題の内、エンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する課題に関しては、エンドトキシンが、その分子中に疎水性部分を有しており、疎水性材料へ吸着しやすいという特性を利用した方法が開示されている。(例えば、特許文献2参照)。すなわち、中空糸膜の外表面における疎水性高分子に対する親水性高分子の比率を5〜25質量%にすることにより達成できる。確かに、該方法はエンドトキシンの血液側への浸入を抑える方法としては好ましい方法ではあるが、この特性を付与するには、膜の外表面に存在する親水性高分子を洗浄で除去する必要があり、この洗浄に多大の処理時間を要し、経済的に不利であるという課題を有する。例えば、上記した特許の実施例では、60℃の温水によるシャワー洗浄および110℃の熱水での洗浄をそれぞれ1時間づつ掛けて行われている。
特開2000−254222号公報
また、膜の外表面に存在する親水性高分子量を低くすることは、エンドトキシンの血液側への浸入を抑える点では好ましいことであるが、外表面の親水性が低くなるため、モジュール組み立て後に組み立てのために乾燥した中空糸膜束を湿潤状態に戻す際に、湿潤のために用いる生理食塩水との馴染みが低くなるので、該湿潤操作の折の空気の追い出し性であるプライミング性が低下すると言う課題の発生に繋がるので好ましくない。この点を改良する方法として、例えばグリセリン等の親水性化合物を配合する方法が開示されている。(例えば、特許文献3、4参照)。しかし、該方法は適正な配合濃度範囲を逸脱すると親水性化合物が透析時の異物として働き、かつ該親水性化合物は光劣化等の劣化を受けやすいため、モジュールの保存安定性等に悪影響をおよぼすという課題を有する。また、モジュール組み立てにおいて中空糸膜束をモジュールに固定する時の接着剤の接着阻害を引き起こすという課題もある。
特開平2001−190934号公報 特許第3193262号公報
上記したもう一つの課題である中空糸膜同士の固着を回避する方法としては、膜の外表面の開孔率を25%以上にする方法が開示されている。(例えば、特許文献5参照)。確かに、該方法は固着を回避する方法としては好ましい方法であるが、開孔率が高いために膜強度が低くなり前記した血液リークの課題に繋がるという問題を有している。また、膜の外表面の開孔率や孔面積を特定値化した方法が開示されている。(例えば、特許文献6参照)。該方法は透水率が低いという課題を有している。
特開2001−38170号公報 特開2000−140589号公報
特許文献7には、親水性高分子を含有する疎水性高分子中空糸膜において、親水性高分子の中空糸膜よりの溶出が10ppm以下とする技術要件が開示されている。しかし、該先行技術は、従来の血液透析療法に比較して高い耐圧性やエンドトキシン排除性が求められる血液透析ろ過療法を意識した配慮はなされていない。例えば、外表面ポリビニリルピロリドンの存在割合、バースト圧、開孔率、平均孔面積に関する技術事項に関する記載はなく、特に、重要な偏肉度、傷に起因するバースト圧に関する技術事項を明示する記載はない。
特開2001−170171号公報
血液浄化器は、その医療器具としての要件から、滅菌に供されることが必要である。本願発明の血液浄化用中空糸膜は、親水性高分子とポリスルホン系高分子を部材とし、放射線滅菌を施される血液浄化器をその発明対象としている。放射線滅菌は、医療用具などへの付着している微生物などに対して、高エネルギー線によって、微生物中のタンパク質や拡散などを変性、分解させる作用によって、滅菌としての効果を得るのが、その作用機序である。しかしながら、当然この高エネルギーは、中空糸膜などの血液浄化器を構成する部材についても影響を及ぼす可能性を持っている。
ポリスルホン系樹脂は、p−フェニレンの主構造がスルホン基、エーテル基などを介して高分子を形成する基本構造を有する。これらの構造に由来して、エンジニアリングプラスチックとしての高強力性、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性などの高度な耐久性を持つことが知られている。また溶液からの製膜に関しての非常に優れた特性も有していおり、水溶性極性溶媒への溶解のし易さ、溶液からの液−液相分離法による細孔形成に優れる点などが、膜分野で広く使用されている背景である。これらの点は、いずれも医療用途としてもポリスルホン系樹脂の利点となっている。また前述のごとく医療機器に施される滅菌処理についても、薬剤による滅菌(エチレンオキサイドガス、ホルマリンなど)、熱による滅菌(高圧蒸気滅菌など)への耐久性をポリスルホン樹脂は有している。
しかしながら、非接触型、非侵蝕型の滅菌法として極めて有効な放射線滅菌(主にγ線滅菌)に対しては、ポリスルホン系樹脂の耐性は、満足するのもではない。ポリスルホン系樹脂におけるジフェニルスルホン構造は、放射線に対しての弱点を有することが知られている。(非特許文献1参照)。ここでは非酸化系での反応において、強度の放射線照射によりSO2ガスを伴う分解を起こすことが報告されており、従って、放射線暴露環境での部材としてポリスホン系樹脂を使用するのは適切ではないとされている。
「高機能芳香族系高分子材料」、2.3章、耐放射線性高分子の分子設計、高分子学会編、丸善
これらの背景から、ポリスホン系中空糸膜を用いた血液浄化器を放射線滅菌するには、滅菌保証としての線量の確保と部材劣化のバランスのもとに、ある程度のポリスルホン樹脂の劣化を容認した上での、放射線滅菌処理が施されている。すはなち、製品安全性の上ではマイナス要因を含んだ生産形態が取られているのが実状である。
放射線滅菌は、ポリスルホン系樹脂に限らず、被滅菌対象となる部材への特性変化の影響を有している。特にラジカル発生を伴う酸化反応が危惧されており、これを抑制する方策として、滅菌処理時に酸素の存在を低減、あるいは無酸素雰囲気にさせる方法が開示されている。中空糸膜の周囲が気体状態の場合(例えば、特許文献8、9参照)、液体の場合(例えば、特許文献10参照)などに応じて、放射線による過剰な部材の劣化を防止することが知られている。しかしながら、これらの先行技術は、γ滅菌照射時点における、高分子部材の表面における酸化劣化抑制の一般的な対処法を提示しており、γ線エネルギーが透過力を有する高分子固体の内部まで十分な劣化防止にはならない。また酸化劣化に主眼を置いているため、γ線エネルギーでの直接的な反応抑制への効果は期待できない。
特開平6−285162号公報 特開平3−10343号公報 特開平4−338223号公報
本発明は、安全性およびモジュール組み立て性、血液適合性に優れた、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する医療用中空糸型血液浄化器を提供することにある。
本発明は、主として親水性高分子を含有するポリスルホン系高分子からなる中空糸膜において、該中空糸膜の膜厚が10〜50μm、外表面開孔率が8〜25%、外表面における平均孔面積が0.4〜1.0μm2、偏肉度が0.6以上、外表面における親水性高分子の存在割合が25〜47質量%であり、該中空糸膜からの親水性高分子の溶出が10ppm以下であり、該中空糸膜のバースト圧が0.5MPa以上1.7MPa未満の特性を有する中空糸膜をハウジングした血液浄化器であって、純水の透水率が200〜1000ml/m2/hr/mmHgであり、γ線による放射線処理を施した際に、40kGy線量での中空糸膜の破断強度の値が、γ線処理前の中空糸膜の破断強度に対して80%以上であることを特徴とする高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器である。
本発明の中空糸型血液浄化器は、安全性およびモジュール組み立て性に優れており、さらに、血液灌流時の血小板保持率が所定範囲にあることで、血液適合性、血液接触使用時の性能保持性、安全性が高レベルで実現されているため、血液透析、血液濾過、血液透析濾過など慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する医療用中空糸型血液浄化器として好適である。
本発明に用いる中空糸膜は、親水性高分子を含有するポリスルホン系高分子で構成されているところに特徴を有する。本発明におけるポリスルホン系樹脂とは、スルホン結合を有する樹脂の総称であり特に限定されないが、例を挙げると化1、化2で示される繰り返し単位をもつポリスルホン樹脂やポリエーテルスルホン樹脂がポリスルホン系樹脂として広く市販されており、入手も容易なため好ましい。
Figure 0004666248
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本発明に用いられる親水性高分子としては、特に限定されることなく用いられるが、ポリスルホン系高分子と溶液中でミクロな相分離構造を形成するものが好ましく用いられる。ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を挙げる事ができるが、安全性や経済性よりポリビニルピロリドンを用いるのが好ましい実施態様である。ポリビニルピロリドンは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、例えばBASF社より「ルビテック」、ISP社より「プラスドン」、第一工業製薬社より「ピッツコール」の商品名で市販されており、それぞれ各種の分子量の製品がある。一般には、親水性の付与効率では低分子量のものが、一方、溶出量を低くする観点では高分子量のものを用いるのが好適であるが、最終製品の中空糸膜の要求特性に合わせて適宜選択される。単一の分子量のものを用いても良いし、分子量の異なる製品を2種以上混合して用いても良い。また、市販の製品を精製し、例えば分子量分布をシャープにしたものを用いても良い。ポリビニルピロリドンの分子量としては質量平均分子量10,000〜1,500,000のものを用いることができる。具体的には、例えばBASF社より市販されている分子量9,000のもの(K17)、以下同様に45,000(K30)、450,000(K60)、900,000(K80)、1,200,000(K90)を用いるのが好ましく、目的とする用途、特性、構造を得るために、それぞれ単独で用いてもよく、適宜2種以上を組み合わせて用いても良い。本願発明においては、K90を単独で用いるのが最も好ましい。
本発明におけるポリスルホン系分子に対する親水性高分子の膜中の構成割合は、中空糸膜に十分な親水性や、高い含水率を付与できる範囲であれば良く、ポリスルホン系高分子80〜99質量%に対する親水性高分子の質量割合で1〜20質量%が好ましい。ポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の質量割合が少なすぎる場合、膜の親水性付与効果が不足する可能性があるため、該質量割合は、2質量%以上がより好ましい。一方、該質量割合が多すぎると、親水性付与効果が飽和し、かつ親水性高分子の膜からの溶出量が増大し、後述の親水性高分子の膜からの溶出量が10ppmを超える場合がある。したがって、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは12質量%以下、特に好ましくは9質量%以下である。
本発明においては、前記した親水性高分子の中空糸膜よりの溶出量が10ppm以下にするのが好ましい。該溶出量が10ppmを超えた場合は、この溶出する親水性高分子による長期透析による副作用や合併症が起こることがある。該特性を満足させる方法は限定無く任意であるが、例えば、ポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の構成割合を上記した範囲にしたり、中空糸膜の製膜条件を最適化する等により達成できる。より好ましい親水性高分子の溶出量は8ppm以下、さらに好ましくは6ppm以下、よりさらに好ましくは4ppm以下である。また、生体に対する安全性の点より、親水性高分子の溶出量はゼロであることが好ましいが、親水性高分子の溶出量をゼロにすると血液接触面の親水性の度合いが低下し、血液適合性が低くなる可能性があるので、親水性高分子の溶出量は0.1ppm程度の溶出は許容範囲と思われる。
さらに、親水性高分子を架橋することにより不溶化することが好ましい実施態様である。架橋方法や架橋度合い等の限定無く任意である。例えば、架橋方法としては、γ線、電子線、熱、化学的架橋などが挙げられるが、中でも、開始剤などの残留物が残らず、材料浸透性が高い点で、γ線や電子線による架橋が好ましい。本発明では、モジュールに脱気したRO水を液密に充填、密封し、10kGy〜60kGyのγ線を照射するのが好ましい。γ線照射量が少なすぎると架橋が不十分になり溶出物量が増えることがあるため、15kGy以上のγ線を照射するのが好ましい。γ線照射量が多すぎると、疎水性高分子、親水性高分子、ハウジングケース、ウレタン樹脂が分解・劣化する可能性があるため、50kGy以下がより好ましい。さらに好ましくは40kGy以下、よりさらに好ましくは30kGy以下である。ここで、脱気したRO水とは、室温〜50℃に加温し、−500〜−760mmHgに減圧した状態で15分〜2時間撹拌したRO水を意味する。脱気されていない水を用いると、水中の溶存酸素により膜構成材料が酸化劣化し溶出物が増えることがある。
さらに、親水性高分子を架橋することにより不溶化することが好ましい実施態様である。架橋方法や架橋度合い等の限定無く任意である。例えば、架橋方法としては、γ線、電子線、熱、化学的架橋などが挙げられるが、中でも、開始剤などの残留物が残らず、材料浸透性が高い点で、γ線や電子線による架橋が好ましい。本発明では、モジュールに脱気した水を液密に充填、密封し、10kGy〜60kGyのγ線を照射するのが好ましい。γ線照射量が少なすぎると架橋が不十分になり溶出物量が増えることがあるため、15kGy以上のγ線を照射するのが好ましい。γ線照射量が多すぎると、ポリスルホン系高分子、親水性高分子、ハウジングケース、ウレタン樹脂が分解・劣化する可能性があるため、50kGy以下がより好ましい。さらに好ましくは40kGy以下、よりさらに好ましくは30kGy以下である。ここで、脱気した水とは、室温〜50℃に加温し、−500〜−760mmHgに減圧した状態で15分〜2時間撹拌した水を意味する。脱気されていない水を用いると、水中の溶存酸素により膜構成材料が酸化劣化し溶出物が増えることがある。
本発明における不溶化とは、架橋後の膜をジメチルホルムアミドに浸漬したときの溶解性をいう。すなわち、架橋後の膜1.0gを取り、100mlのジメチルホルムアミドに溶解し不溶分の有無を目視観察し判定される。モジュールに液が充填されたモジュールの場合は、まず充填液を抜き、つぎに透析液側流路に純水を500mL/minで5分間流した後、血液側流路に同じように純水を200mL/minで5分間流す。最後に血液側から透析液側に膜を透過するように200mL/minの純水を通液し洗浄処理を終了する。得られたモジュールより中空糸膜を取り出し、フリーズドライしたものを不溶成分測定用サンプルとする。乾燥中空糸膜モジュールの場合も、同様の洗浄処理を行い測定用サンプルとする。
本発明において、中空糸膜にγ線照射による処理を施した際に、40kGy線量での中空糸膜の破断強度の値が、γ線照射処理前の中空糸膜の破断強度に対して80%以上であることは、ポリスルホン系樹脂および親水性高分子を主成分としてなるポリスルホン系中空糸膜において、γ線による中空糸膜の劣化が、軽微に抑制されていることを示すものである。本発明の中空糸膜は、ポリスルホン系樹脂と親水性高分子のアロイ成分から形成されるが、中空糸膜としての強度保持の主体はポリスルホン系樹脂が担うものであり、99〜80重量%がポリスルホン系樹脂からなる中空糸膜である。また、特に中空糸膜のような多孔質体の形成では、高分子溶液からの低いドラフトによる製膜紡糸となり、分子配向などの繊維の高強力性を発現させるような紡糸ができず、多孔質の中空糸膜は、分子集合構造としては、ほぼアモルファス状態のまま固定されている。糸の破断強度は、糸の伸張に対して、高分子鎖の分子レベルでの相互作用に基づく伸張応力を担う部分の中空糸膜あたりの総量を示す値と考える事ができるが、本願発明のような中空糸膜では、相互作用の総量自体が少なく、構成高分子の部分的な劣化、分解などの変化が膜の強度に現れ易くなり、深刻な欠点となりうる。また、前述のような中空糸膜の低配向の性質上、糸の長さ方向の劣化状態は、膜の膜厚方向の劣化状態(バースト圧などの耐圧性)にも反映すると考えられる。さらに近年、ポリスルホン系樹脂を用いた血液透析膜は、高度な物質除去性能の獲得のために、多孔質度、空孔率が高くなる一方、膜厚を上げることができないということから、中空糸膜としての強力は、非常に弱いものとなってきており、この点も耐久性の低下につながっている。
本発明においては、上記した親水性高分子の中空糸膜の外表面における存在割合が25〜50質量%であるのが好ましい。外表面の親水性高分子の存在割合が25質量%未満では膜全体、特に膜内表面の親水性高分子の存在割合が低くなりすぎ、血液適合性や透過性能の低下が起こる可能性がある。また乾燥膜の場合、プライミング性が低下することがある。血液透析器を血液浄化療法に使用する時には、生理食塩水などを血液透析器の中空糸膜内外部に流すことにより、湿潤化および泡抜きを行う必要がある。このプライミング操作において、中空糸膜の真円度や端部の潰れ、変形、膜素材の親水性などが、プライミング性に影響を与えると考えられるが、ポリスルホン系高分子と親水性高分子からなる中空糸膜であって乾燥膜モジュールの場合には、中空糸膜の親疎水バランスがプライミング性に大きく影響する。したがって、より好ましい親水性高分子の存在割合は27質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。外表面の親水性高分子の存在割合が50質量%を超すと、透析液に含まれるエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する可能性が高まり、発熱等の副作用を引き起こすことに繋がるとか、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士がくっつき(固着し)、モジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす可能性がある。したがって、より好ましい存在割合は47質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。
中空糸膜の外表面における親水性高分子の存在割合を上記した範囲にする方法として、例えば、ポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の構成割合を前記した範囲にしたり、中空糸膜の製膜条件を最適化する等により達成できる。また、製膜された中空糸膜を洗浄することも有効な方法である。
エアギャップ部は外気を遮断するための部材で囲むのが好ましく、エアギャップ内部の湿度は、紡糸原液組成とノズル温度、エアギャップ長、外部凝固浴の温度、組成により調整するのが好ましい。例えば、ポリエーテルスルホン/ポリビニルピロリドン/ジメチルアセトアミド/水=10〜25/0.5〜12.5/52.5〜89.5/0〜10.0からなる紡糸原液を30〜60℃のノズルから吐出し、100〜1000mmのエアギャップを通過し、濃度0〜70質量%、温度50〜80℃の外部凝固浴に導く場合、エアギャップ部の絶対湿度は0.01〜0.3kg/kg乾燥空気となる。エアギャップ部の湿度をこのような範囲に調整することで、外表面開孔率および外表面平均孔面積、外表面親水性高分子含有率を適正な範囲にコントロールすることが可能となる。
内部凝固液としては、0〜80質量%のジメチルアセトアミド(DMAc)水溶液が好ましい。内部凝固液濃度が低すぎると、血液接触面の緻密層が厚くなるため、溶質透過性が低下する可能性がある。より好ましい内部凝固液濃度は15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、よりさらに好ましくは30質量%以上である。また、内部凝固液濃度が高すぎると、緻密層の形成が不完全になりやすく、分画特性が低下する可能性がある。より好ましい内部凝固液濃度は70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、よりさらに好ましくは50質量%以下である。
外部凝固液は0〜50質量%のDMAc水溶液を使用するのが好ましい。外部凝固液濃度が高すぎる場合は、外表面開孔率および外表面平均孔面積が大きくなりすぎ、透析使用時エンドトキシンの血液側への逆流入の増大や、バースト圧の低下を起こす可能性がある。したがって、外部凝固液濃度は、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは25質量%以下である。また、外部凝固液濃度が低すぎる場合には、紡糸原液から持ち込まれる溶媒を希釈するために大量の水を使用する必要があり、また廃液処理のためのコストが増大する。そのため、外部凝固液濃度の下限はより好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
本発明の中空糸膜の製造において、完全に中空糸膜構造が固定される以前に実質的に延伸をかけないことが好ましい。実質的に延伸を掛けないとは、ノズルから吐出された紡糸原液に弛みや過度の緊張が生じないように紡糸工程中のローラー速度をコントロールすることを意味する。吐出線速度/凝固浴第一ローラー速度比(ドラフト比)は0.7〜1.8が好ましい範囲である。前記比が0.7未満では、走行する中空糸膜に弛みが生じ生産性の低下に繋がることがあるので、ドラフト比は0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましく、0.95以上がよりさらに好ましい。1.8を超える場合には中空糸膜の緻密層が裂けるなど膜構造が破壊されることがある。そのため、ドラフト比は、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、よりさらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。ドラフト比をこの範囲に調整することにより細孔の変形や破壊を防ぐことができ、膜孔への血中タンパクの目詰まりを防ぎ経時的な性能安定性やシャープな分画特性を発現することが可能となる。
水洗浴を通過した中空糸膜は、湿潤状態のまま綛に巻き取り、3,000〜20,000本の束にする。ついで、得られた中空糸膜束を洗浄し、過剰の溶媒、親水性高分子を除去する。中空糸膜束の洗浄方法として、本発明では、70〜130℃の熱水、または室温〜50℃、10〜40vol%のエタノールまたはイソプロパノール水溶液に中空糸膜束を浸漬して処理するのが好ましい。
(1)熱水洗浄の場合は、中空糸膜束を過剰の水に浸漬し70〜90℃で15〜60分処理した後、中空糸膜束を取り出し遠心脱水を行う。この操作を水を更新しながら3、4回繰り返して洗浄処理を行う。
(2)加圧容器内の過剰の水に浸漬した中空糸膜束を121℃で2時間程度処理する方法をとることもできる。
(3)エタノールまたはイソプロパノール水溶液を使用する場合も、(1)と同様の操作を繰り返すのが好ましい。
(4)遠心洗浄器に中空糸膜束を放射状に配列し、回転中心から40℃〜90℃の洗浄水をシャワー状に吹きつけながらトータル時間として30分〜5時間遠心洗浄することも好ましい洗浄方法である。
前記洗浄方法を2つ以上組み合わせて行ってもよい。いずれの方法においても、処理温度が低すぎる場合には、洗浄回数を増やす等が必要になりコストアップに繋がることがある。また、処理温度が高すぎると親水性高分子の分解が加速し、逆に洗浄効率が低下することがある。上記洗浄を行うことにより、外表面親水性高分子の存在率の適正化を行い、固着抑制や溶出物の量を減ずることが可能となる。
なお、上記した親水性高分子の中空糸膜表面最表層の存在割合は、後述のごとくESCA法で測定し算出したものであり、中空糸膜表面の最表層部分(表層からの深さ数Å〜数十Å)の存在割合の絶対値を求めたものである。本発明においては、ESCA法(最表層)による中空糸膜外表面からの深さが10nm(100Å)程度までの親水性高分子(PVP)含量を中空膜外表面最表層の親水性高分子の存在割合とした。
本発明のもう1つの特徴は、バースト圧が0.5MPa以上の中空糸膜よりなる血液浄化器であり、該血液浄化器の透水率が150ml/m2/hr/mmHg以上であることが必要である。バースト圧が0.5MPa未満では後述するような血液リークに繋がる潜在的な欠陥を検知することができなくなる。また、透水率が150ml/m2/hr/mmHg未満では透析効率が低下する。透析効率を上げるためには細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたりするが、そうすると膜強度が低下したり欠陥ができるといった問題が生じやすくなる。しかし本発明の中空糸膜では、外表面の孔径を最適化することにより支持層部分の空隙率を最適化し、溶質透過抵抗と膜強度をバランスさせたものである。より好ましい透水率の範囲は200ml/m2/hr/mmHg以上、さらに好ましくは300ml/m2/hr/mmHg以上、特に好ましくは400ml/m2/hr/mmHg以上、最も好ましくは500ml/m2/hr/mmHg以上である。また、透水率が高すぎる場合、血液透析時の除水コントロールがしにくくなるため、2000ml/m2/hr/mmHg以下が好ましい。より好ましくは1800ml/m2/hr/mmHg以下、さらに好ましくは1500ml/m2/hr/mmHg以下、よりさらに好ましくは1300ml/m2/hr/mmHg以下、特に好ましくは1000ml/m2/hr/mmHg以下である。
本発明者らは、血液浄化器に用いられる中空糸膜の物理的性質を検討した。通常、血液浄化に用いるモジュールは、製品となる最終段階で、中空糸やモジュールの欠陥を確認するため、中空糸内部あるいは外部をエアによって加圧するリークテストを行う。加圧エアによってリークが検出されたときには、モジュールは不良品として、廃棄あるいは欠陥を修復する作業がなされる。このリークテストのエア圧力は血液透析器の保証耐圧(通常500mmHg)の数倍である1500〜2000mmHg(0.2〜0.27MPa)であることが多い。しかしながら、特に高い透水性を持つ中空糸型血液浄化膜の場合、通常の加圧リークテストで検出できない中空糸の微小な傷、つぶれ、裂け目などが、リークテスト後の製造工程(主に滅菌や梱包)、輸送工程、あるいは臨床現場での取り扱い(開梱や、プライミングなど)時に、中空糸の切断やピンホールの発生につながり、ひいては治療時に血液がリークする等のトラブルの元になっていることを本発明者らは見出した。上記事象に関して鋭意検討したところ、臨床使用時の中空糸の切断やピンホールの発生につながる潜在的な糸の欠陥は、通常の加圧エアリークテストにおける圧力では検出することができず、より高い圧力が必要であり、また中空糸膜の偏肉発生を抑えることが、上記した潜在的な欠陥の発生抑制に対して有効であることを見出し、本発明に至った。
本発明におけるバースト圧とは、中空糸をモジュールにしてからの中空糸膜の耐圧性能の指標で、中空糸膜内側を気体で加圧し、加圧圧力を徐々に上げていき、中空糸が内部圧に耐えきれずに破裂(バースト)したときの圧力である。バースト圧は高いほど使用時の中空糸膜の切断やピンホールの発生が少なくなるので0.5MPa以上が好ましく、0.55MPa以上がさらに好ましく、0.6MPa以上がよりさらに好ましい。バースト圧が0.5MPa未満では潜在的な欠陥を有している可能性がある。また、バースト圧は高いほど好ましいが、バースト圧を高めることに主眼に置き、膜厚を上げたり、空隙率を下げすぎると所望の膜性能を得ることができなくなることがある。したがって、血液透析膜として仕上げる場合には、バースト圧は2.0MPa未満が好ましい。より好ましくは、1.7MPa未満、さらに好ましくは1.5MPa未満、よりさらに好ましくは1.3MPa未満、特に好ましくは1.0MPa未満である。
本発明は、従来公知の膜強度等のマクロな特性により支配される血液リーク特性では長期透析における中空糸膜の安全性が十分に証明することができないという知見に基づいて見出したものである。すなわち、長期透析における血液リークの安全性を確保するには、マクロな特性に加え、上記したような潜在的な欠陥による欠点を含めた評価の確立について鋭意検討して本発明を完成したものである。
本発明における偏肉度とは、中空糸膜モジュール中の100本の中空糸膜断面を観察した際の膜厚の偏りのことであり、最薄部の膜厚最厚部の膜厚の比で示す。本発明では、100本の中空糸の最小の偏肉度は0.6以上であることを特徴とする。100本の中空糸に1本でも偏肉度0.6未満の中空糸が含まれると、その中空糸が臨床使用時のリーク発生となることがあるので、本発明の偏肉度は平均値でなく、100本の最小値を表す。偏肉度は高いほうが、膜の均一性が増し、潜在欠陥の顕在化が抑えられバースト圧が向上するので、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは0.85以上である。偏肉度が低すぎると、潜在欠陥が顕在化しやすく、前記バースト圧が低くなり、血液リークが起こりやすくなる。
中空糸膜の膜厚は10μm以上50μm以下が好ましい。50μmを超えると、透水性は高くても、移動速度の遅い中〜高分子量物質の透過性が低下することがある。膜厚は薄い方が物質透過性が高まり、47μm以下がより好ましく、45μm以下がさらに好ましい。また、膜厚が10μm未満では、膜強度が低く偏肉度を0.6以上としても、バースト圧が低くなることがある。そのため、膜厚は20μm以上がより好ましく、さらに好ましくは25μm以上、よりさらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは35μm以上である。
本発明においては、ポリスルホン系中空糸膜がγ線による放射線処理を施した際に、40kGy線量での中空糸膜の破断強度の値が、γ線照射処理前の中空糸膜の破断強度に対して80%以上であることが好ましい。これはγ線照射滅菌後のポリスルホン系中空糸膜が血液浄化器として使用される際の高い安全性を有することを示し、40kGyのγ線照射に伴う破断強度の未照射からの変化に対し、80%以上保持するとしている。これは、医療用具として通常行なわれるコバルト60線源による滅菌量の値での耐久性を示している。現在の医療用具の滅菌線量は、標準的な付着菌を用いたバリデーションから十分な滅菌保証の線量レベルとして20〜25kGyの線量で実施されており、本願に示す40kGyでの線量設定は、ほぼこの倍線量の安全係数をみたものである。γ線の照射対象への吸収線量は、線源の強さに応じ、これに被照射時間を乗することにより制御される。通常の医療用具の滅菌に使われるγ線照射装置は、線源の周辺をコンベヤーなどに積載した被照射対象が、ある時間移動しながらγ線照射されるという装置となっている。したがって、照射装置の運転状況、線源の強度変化、材料の形態や複合素材、梱包状態、他の照射物との混載による干渉などにより滅菌線量は、精緻には制御しにくい。上記の線量レベルは、これらのことから最低線量として設定されることが通常である。従って、ある程度の高い吸収線量を想定しての安全性への配慮は必要である。
滅菌製品の滅菌後品質の確認は、滅菌を破瓜した上での使用段階での破壊検査しか確認できないが、80%以上の安定性があると見なせれば、滅菌後の製品においても、滅菌前の製造工程における中空糸膜のハンドリング性(耐衝撃性、耐圧性など)と同様の耐久性を持っていると見ることができる。従って、γ線照射滅菌後に病院などに流通し、保管されて、治療に供されるまでの製品の安定性の保証ができることを意味する。破断強度が低下するなどの劣化を生じていると、使用時の中空糸膜からの血液リークなどの大きな治療のトラブルを生じる可能性があり、これを防止することが可能となり、製品の安全性の信頼度は向上する。血液透析器は、製品の性質上、振動や落下といった日常の衝撃が加わる可能性があり、ある規格化された条件でのこれらの耐性は抜取りでの製品検査としては実施は可能である。しかしながら、前述のごとくポリスルホン系樹脂からなる高性能な血液浄化用分離膜は、必ずしも高い強度を有した分離膜とは言えない。これに加えγ線滅菌による低下が起きることは、安全性上のリスクの拡大になる。これらの課題より、ポリスホン系樹脂からなる中空糸膜において40kGyのγ線照射に伴う破断強度の未照射からの変化に対し、80%以上保持が必要となる。また安全性の更なる確保には、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
本発明は、γ滅菌を施した血液浄化用中空糸膜に好適に使用でき、特に血液透析や血液透析濾過、血液濾過など、腎不全患者の治療に用いる中空糸膜として好適である。
このような血液浄化器に用いる中空糸膜の製造方法としては、前記した組成のポリスルホン系高分子と親水性高分子との配合物を、該配合物を溶解する溶媒に溶解した溶液を用い、乾湿式法により製造される。前記したバースト圧を0.5MPa以上にするためには前記したごとく中空糸膜の偏肉度を0.6以上にすることが有効であり好ましい実施態様である。該偏肉度を0.6以上にするための達成手段は、例えば、製膜溶液の吐出口であるノズルのスリット幅を厳密に均一にすることが好ましい。中空糸膜の紡糸ノズルは、一般的に、紡糸原液を吐出する環状部と、その内側に中空形成剤となる芯液吐出孔を有するチューブインオリフィス型ノズルが用いられるが、スリット幅とは、前記紡糸原液を吐出する外側環状部の幅を指す。このスリット幅のばらつきを小さくすることで、紡糸された中空糸膜の偏肉を減らすことができる。具体的にはスリット幅の最大値と最小値の比が1.00以上1.11以下とし、最大値と最小値の差を10μm以下とすることが好ましく、7μm以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは5μm以下、よりさらに好ましくは3μm以下である。また、ノズル温度を最適化する。ノズル温度は20〜100℃が好ましい。20℃未満では室温の影響を受けやすくなりノズル温度が安定せず、紡糸原液の吐出斑が起こることがある。そのため、ノズル温度は30℃以上がより好ましく、35℃以上がさらに好ましく、40℃以上がよりさらに好ましい。また、ノズル温度が100℃を超えると、紡糸原液の粘度が下がりすぎ吐出が安定しなくなることがあるし、親水性高分子の熱劣化・分解が進行する可能性がある。よって、ノズル温度は、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下である。
さらに、バースト圧を高くする方策として、中空糸膜表面の傷や異物および気泡の混入を少なくし潜在的な欠陥を低減するのも有効な方法である。傷発生を低減させる方法としては、中空糸膜の製造工程のローラーやガイドの材質や表面粗度を最適化する、モジュールの組み立て時に中空糸膜束をモジュール容器に挿入する時に容器と中空糸膜との接触あるいは中空糸膜同士のこすれが少なくなるような工夫をする等が有効である。本発明では、使用するローラーは中空糸膜がスリップして中空糸膜表面に傷が付くのを防止するため、表面が鏡面加工されたものを使用するのが好ましい。また、ガイドは中空糸膜との接触抵抗をできるだけ避ける意味で、表面が梨地加工されたものやローレット加工されたものを使用するのが好ましい。中空糸膜束をモジュール容器に挿入する際には、中空糸膜束を直接モジュール容器に挿入するのではなく、中空糸膜との接触面が例えば梨地加工されたフィルムを中空糸膜束に巻いたものをモジュール容器に挿入し、挿入した後、フィルムのみモジュール容器から抜き取る方法を用いるのが好ましい。
中空糸膜への異物の混入を抑える方法としては、異物の少ない原料を用いる、製膜用の紡糸原液をろ過し異物を低減する方法等が有効である。本発明では、中空糸膜の膜厚よりも小さな孔径のフィルターを用いて紡糸原液をろ過するのが好ましく、具体的には均一溶解した紡糸原液を溶解タンクからノズルまで導く間に設けられた孔径10〜50μmの焼結フィルターを通過させる。ろ過処理は少なくとも1回行えば良いが、ろ過処理を何段階かにわけて行うことも好ましい実施態様である。フィルターの孔径は10〜45μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましく、10〜35μmがよりさらに好ましい。フィルター孔径が小さすぎると背圧が上昇し、定量性が落ちることがある。また、気泡混入を抑える方法としては、製膜用のポリマー溶液の脱泡を行うのが有効である。紡糸原液の粘度にもよるが、静置脱泡や減圧脱泡を用いることができる。具体的には、溶解タンク内を−100〜−760mmHgに減圧した後タンク内を密閉し5分〜30分間静置する。この操作を数回繰り返し脱泡処理を行う。減圧度が低すぎる場合には、脱泡の回数を増やす必要があるため処理に長時間を要することがある。また減圧度が高すぎると、系の密閉度を上げるためのコストが高くなることがある。トータルの処理時間は5分〜5時間とするのが好ましい。処理時間が長すぎると、減圧の効果により親水性高分子が分解、劣化することがある。処理時間が短すぎると脱泡の効果が不十分になることがある。
また、本発明においては、中空糸膜外表面の開孔率が8〜25%であることや、中空糸膜外表面における開孔部の平均孔面積が0.3〜1.0μm2であることが前記した特性を付与するために有効であり、好ましい実施態様である。開孔率が8%未満や平均孔面積は0.3μm2未満の場合には、透水率が低下する可能性がある。そのため、開孔率は9%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。平均孔面積は0.4μm2以上がより好ましく、0.5μm2以上がさらに好ましく、0.6μm2以上がよりさらに好ましい。また、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士が固着し、モジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす。逆に開孔率が25%を超えたり、平均孔面積が1.0μm2を超える場合には、バースト圧が低下することがある。そのため、開孔率は23%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、17%以下がよりさらに好ましく、特に好ましくは15%以下である。平均孔面積は0.95μm2以下がより好ましく、0.90μm2以下がさらに好ましい。
膜中のポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の質量割合を上記範囲にコントロールする具体的手段として、例えば、紡糸原液中のポリスルホン系高分子と親水性高分子の組成比を95:5〜67:33にしたり、外部凝固液の条件を5〜40質量%に調製したり、製膜後に熱水洗浄やアルコール洗浄を施すことにより達成することが可能である。
γ滅菌後後の中空糸強度を高度に維持するための手段として、本願発明者らはジフェニルスルホン構造のγ線の高エネルギーに対して安定化に寄与するものが有効との観点から鋭意検討したところ、2価イオンが、この構造の耐γ滅菌性に寄与している知見を得た。このメカニズムは詳細には不明であるが、ポリスルホン系樹脂の末端基に由来する放射線での分解性を減じる効果を2価イオンが有しているのかもしれない。ポリスルホン系樹脂は、ほとんどが重合のモノマーとしてジクロロジフェニルスルホンと両末端フェノール性基を持つユニット(ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビスフェノールAなど)を構成成分として縮重合される。この方法では、必ず末端基に塩素を有するクロロフェニル構造またはフェノール性末端が存在する。これらの末端基に由来する放射線での分解性を減じる効果を2価イオンが有している可能性がある。また2価イオンとスルホン基とのイオン的な保護作用、ないしは2価イオン性物質を介してのスルホン基と他の基との分子間、あるいは分子内のイオン架橋的な構造形成が保護に作用している可能性も推定される。このような性質は、他の化学物質においても、例えば、硫酸エステル基を有する高分子が、2価イオン物質の存在で耐熱性が向上するなどの挙動との類似性があるのかもしれない。しかし2価イオンの残留量としては、痕跡程度のもので効果があることから、前者の末端基への効果が有力であろうと考えられる。
本発明のポリスルホン樹脂に対しての2価イオンの添加は、(1)紡糸原液状態、(2)中空糸への成形後の状態、いずれかの方策が考えられる。直接ポリスルホン樹脂に作用させるには前者の方法が有利であり、中空糸膜への十分な残留効果を得るには後者が有利であるが、本願発明では、中空糸膜を洗浄処理することにより、最適な親水性高分子の分布状態とすることをその目的としている。このことから、後処理でのポリスルホン系高分子への十分な2価イオンの処理は制御が難しく、前者の処理が、確実な手法と考えられる。また、2価イオン成分を中空糸膜の製造工程で添加しなくとも、あらかじめ使用原料がこれを含有するものを用いても同様の効果が期待できる。
樹脂に作用させる2価イオンの種類は、カルシウム、マグネシウムなどアルカリ土類金属イオンが適している。重金属イオンを用いた場合は、逆に重金属による分解触媒作用が現れる可能性が危惧される。上記イオンの添加は、紡糸原液、中空糸膜と接する水などへの溶解性を有する塩として添加する方法が挙げられる。
添加濃度は、ポリスルホン系樹脂の重量あたりに、どの程度のイオンが総量として接触し得るかで決定できる。紡糸原液への添加が最も見積もり易い方法である。本発明では、ポリスホン系樹脂1kgに対して、数mg〜数10mgの作用により効果を得ることが可能である。紡糸原液への添加については、好ましくは、ポリスルホン系樹脂1kgに対してイオン原子として1mg以上である。添加が少ないと十分な効果が得られない。更に好ましくは5mg以上である。また、上限については、溶解性の問題もあり、過剰の添加は好ましくない。従って、好ましくは100mg以下である。より好ましくは80mg以下、さらに好ましくは70mg以下、よりさらに好ましくは60mg以下、特に好ましくは50mg以下である。
本発明においては、前記した親水性高分子の中空糸膜の外表面における存在割合の最適化とバースト圧との最適化、γ線処理後の糸強力の保持課題などの課題を解決すべく別個の技術として鋭意検討を進め本発明に至ったものであるが、驚くべきことに一見無関係に見える各技術を同時に実行することにより下記のような予想外の相乗効果があることを見出し本発明を完成した。すなわち、近年、血液透析療法においては、従来用いられてきた拡散の効果を主眼においた血液透析療法に濾過の効果を加え、低分子タンパク領域までの除去を目的とした血液濾過透析療法が考案され、注目を集めている。血液濾過透析療法においてはポンプ負荷などにより血液と透析液との間でより高い圧力差を生じさせることにより、血液と透析液との間で強制的に液置換を行う。したがって、中空糸膜には従来にない耐圧性が求められる。そのため、従来では特に問題とされなかった潜在的な膜の欠陥が、本療法では顕在化する可能性が考えられるが、バースト圧を一定値以上にすることで膜の欠陥を予め検知でき、製品として十分に血液濾過透析療法に対応可能な安全性を確保できることを見出した。また、血液濾過透析療法では先述のように血液と透析液との間で大量の液置換を行う。すなわち、モジュール血液入り口部では血液から透析液の方向へ順濾過が生じ、血液出口部では透析液から血液の方向へ逆濾過による透析液の逆流入が生じる。このとき、中空糸膜中の膜素材由来の溶出物や透析液中に含まれるエンドトキシン等が血液中に混入した場合、アナフィラキシー様反応など重篤な症状を呈する危険性が指摘されている。本発明の中空糸膜は、外表面の親水性高分子量を特定の範囲にし、また膜面開孔率、開孔面積を特定の範囲にすることで、透水率が高い(すなわち膜孔径が大きく空隙率の高い)中空糸膜においても、血液ろ過や血液透析ろ過使用時にリークを起こさず、血液中への異物の混入を抑制するという溶質除去性と安全性を高い次元で両立させたものである。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.透水率
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子により封止する。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃高温槽で保温した透析器へ純水を送り、透析液側から流出したろ液質量を1/100gまで測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水率(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水率は膜面積と透析器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水率(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水率(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
2.膜面積の計算
透析器の膜面積は中空糸の内径基準として求めた。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸本数、πは円周率、dは中空糸の内径(m)、Lは透析器内の中空糸の有効長(m)である。
3.バースト圧
約10000本の中空糸膜よりなるモジュールの透析液側を水で満たし栓をする。血液側から室温で乾燥空気または窒素を送り込み1分間に0.5MPaの割合で加圧していく。圧力を上昇させ、中空糸膜が加圧空気によって破裂(バースト)し、透析液側に満たした液に気泡が発生した時の空気圧をバースト圧とした。
4.偏肉度
中空糸100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定した。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
5.親水性高分子の溶出量
親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合の測定法を例示する。
透析型人工腎臓装置製造基準に定められた方法で抽出し、該抽出液中のポリビニルピロリドンを比色法で定量した。
すなわち、中空糸膜1gに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出した。得られた抽出液2.5mlに、0.2モルクエン酸水溶液1.25ml、0.006規定のヨウ素水溶液0.5mlを加えよく混合し、室温で10分間放置した後に470nmでの吸光度を測定した。定量は標品のポリビニルピロリドンを用いて上記方法に従い求めた検量線にて行った。
湿潤中空糸膜モジュールの場合は、モジュールの透析液側流路に生理食塩水を500mL/minで5分間通液し、ついで血液側流路に200mL/minで通液した。その後血液側から透析液側に200mL/minでろ過をかけながら3分間通液した後にフリーズドライをして乾燥膜を得て、該乾燥膜を用いて上記定量を行った。
6.親水性高分子の外表面における存在割合
親水性高分子のポリスルホン系高分子に対する存在割合は、X線光電子分光法(ESCA法)で求めた。親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合の測定法を例示する。
中空糸膜1本を試料台に貼り付けてX線光電子分光法(ESCA法)で測定を行った。測定条件は次に示す通りである。
測定装置:アルバック・ファイ ESCA5800
励起X線:MgKα線
X線出力:14kV,25mA
光電子脱出角度:45°
分析径:400μmφ
パスエネルギー:29.35eV
分解能:0.125eV/step
真空度:約10-7Pa以下
窒素の測定値(N)と硫黄の測定値(S)から、次の式により表面でのPVP含有比率を算出した。
<PVP添加PES(ポリエーテルスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×232)
<PVP添加PSf(ポリスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×442)
7.膜中の親水性高分子の質量割合
親水性高分子としてPVPを用いた場合の測定法を例示する。サンプルを、真空乾燥器を用いて、80℃で48時間乾燥させ、その10mgをCHNコーダー(ヤナコ分析工業社製、MT−6型)で分析し、窒素含有量からPVPの質量割合を下記式で計算し求めた。
PVPの質量割合(質量%)=窒素含有量(質量%)×111/14
8.中空糸膜外表面の開孔率
中空糸膜外表面を10,000倍の電子顕微鏡で観察し写真(SEM写真)を撮影する。その画像を画像解析処理ソフトで処理して中空糸膜外表面の開孔率を求めた。画像解析処理ソフトは、例えばImage Pro Plus (Media Cybernetics,Inc.)を使用して測定する。取り込んだ画像を孔部と閉塞部が識別されるように強調・フィルタ操作を実施する。その後、孔部をカウントし、孔内部に下層のポリマー鎖が見て取れる場合には孔を結合して一孔とみなしてカウントする。測定範囲の面積(A)、および測定範囲内の孔の面積の累計(B)を求めて開孔率(%)=B/A×100で求めた。これを10視野実施してその平均を求めた。初期操作としてスケール設定を実施するものとし、また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外しないものとする。
9.中空糸膜外表面の開孔部の平均孔面積
前項と同様にカウントし、各孔の面積を求めた。また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外した。これを10視野実施してすべての孔面積の平均を求めた。
10.中空糸膜の膜厚み
倍率200倍の投影機で中空糸膜の断面を投影し、各視野内で最大、最小、中程度の大きさの中空糸の内径(A)および外径(B)を測定し、各中空糸の膜厚を次式で求め、
膜厚=(B−A)/2
30視野90個の中空糸の膜厚の平均を算出した。
11.エンドトキシン濃度
エンドトキシン濃度200EU/Lの透析液をモジュールの透析液入り口より流速500ml/minで送液し、中空糸膜の外側から内側へエンドトキシンを含有する透析液をろ過速度15ml/minで2時間ろ過を行い、中空糸膜の外側から中空糸膜の内側へろ過された透析液を貯留し、該貯留液のエンドトキシン濃度を測定した。エンドトキシン濃度はリムルスESIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用い、取り説の方法(ゲル化転倒法)に従って分析を行った。
12.血液リークテスト
生食にてプライミングしたモジュールを用いて、クエン酸を添加して凝固を抑制した37℃の牛血液を、血液浄化器に200mL/minで送液し、20mL/minの割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。60分後に血液浄化器のろ液を採取し、赤血球のリークに起因する赤色を目視で観察する。この血液リーク試験を各実施例、比較例ともに30本の血液浄化器を用い、血液リークしたモジュール数を調べる。
13.中空糸膜の固着性
中空糸約10,000本を束ね、30mmφ〜35mmφのモジュールケースに装てんし、2液系ポリウレタン樹脂にて封止してモジュールを作成した。各水準5本リークテストを実施し、ウレタン樹脂封止不良となったモジュールの本数をカウントした。
14.中空糸膜の残血性
膜面積1.5m2のモジュールの透析液側を生理食塩水で満たし、健康人から採取したヘパリン加血200mlを血液バッグに詰め、血液バッグとモジュールをチューブで連結し、37℃で血液流速100ml/min、1時間循環する。循環開始前と循環60分との血液をサンプリングし、白血球数、血小板数を測定する。測定した値はヘマトクリットの値で補正する。
補正値=測定値(60分)×ヘマトクリット(0分)/ヘマトクリット(60分)
補正値から白血球と血小板の変化率を算出する。
変化率=補正値(60分)/循環開始前値×100
60分循環終了後、生理食塩水で返血し、残血している糸の本数を数えた。残血している糸の本数が10本以下を○、11本以上30本以下を△、31本以上を×として評価を実施した。
15.プライミング性
モジュールの透析液側ポートに蓋をした状態で、血液側入口ポートから200mL/minで注射用蒸留水を流し、出口ポートに注射用蒸留水が到達した時点から10秒経過するまでの間にモジュールケースを鉗子で5回軽くたたいて脱泡した後、1分間の気泡の通過個数を目視にて確認した。判定は以下の基準で行った。
10個/分以下:○
11個/分以上30個/分未満:△
30個/分以上:×
16.糸の破断強度の測定
有効試料長10cmの中空糸試験片を用い、テンシロン(東洋ボールドウィン製UTM11)を用い、クロスヘッドスピード10cmの条件で引張り試験を行ない、破断点を測定した。サンプルは30本を測定し、平均値を結果とした。測定は、20±5℃、60±10%RHの温湿度環境下で実施した。中空糸が湿潤状態のものは、測定環境下で24hrの放置を行ない実質的に乾燥状態となったものを用いて実施した。
(実施例1)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)5200P)17質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)3.0質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)77.0質量%、RO水3質量%の組成からなる紡糸原液に対して、塩化マグネシウムをマグネシウム量がポリエーテルスルホンの20ppm相当量添加し、50℃で均一に溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が蒸発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。製膜溶液を30μm、15μmの2種の焼結フィルターに順に通した後、55℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで30分間脱気処理した55質量%DMAc水溶液を用いて吐出、紡糸管により外気と遮断された400mmの乾式部を通過後、70℃の20質量%DMAc水溶液中で凝固させ、湿潤状態のまま綛に捲き上げた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大61μm、最小59μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03、製膜溶液のドラフト比は1.06、乾式部の絶対湿度は0.18kg/kg乾燥空気であった。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたステンレス製のもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたステンレス製のものを使用した。
該中空糸膜約10,000本の束の周りに中空糸束側表面が梨地加工されたポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後80℃の熱水中で30分間×4回洗浄し、洗浄終了後40℃の窒素雰囲気中で乾燥処理を行った。得られた中空糸膜の内径は200.2μm、膜厚は31.0μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、4.5質量%であった。
このようにして得られた中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立て、リークテストを行った結果、中空糸同士の固着に起因するような接着不良は認められなかった。
該血液浄化器内にRO水を充填し25kGyの吸収線量でγ線を照射した。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は6ppmであり問題ないレベルであった。
該血液浄化器に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のリークテスト合格品を以後の試験に用いた。また、血液浄化器より中空糸膜を取り出し、外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。また、クエン酸加新鮮牛血を血液流量200mL/min、ろ過速度10mL/minで血液浄化器に流したが、血球リークはみられなかった。中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他の分析結果を表1に示した。
同様に作製した、血液浄化モジュールを用いて、該血液浄化器内にRO水を充填し40kGy線量でγ線滅菌処理を行った。γ線照射の前後での血液浄化器より中空糸膜を切り出し、破断強度の測定を行なった。γ線照射前の強度は、14.6gであり、40kGyのγ線照後の強度は、13.4gであり、十分は強度を保持していた。
(実施例2)
実施例1と同様にして作製した血液透析器を、アルミ薄/ポリエチレンテレフタレート(PET)積層フィルムより作製した袋に入れ、窒素置換を数回繰返し内部雰囲気を窒素にした後完全にシールした。この後γ線40kGyでの滅菌処理を実施した。血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験、糸強度試験を実施例1と同様の試験を実施した。
PVP溶出量は6ppmと良好であった。また血液浄化器より中空糸膜を取り出し、外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。牛血液を用いた血液リークテストでは血球リークはみられなかった。また、エンドトキシン透過試験の結果、中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他の分析結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1と同じ製膜溶液をフィルターを通過させないこと、および洗浄しないこと以外は実施例1と同様にして中空糸膜束を得た。得られた中空糸膜の内径は199.0μm、膜厚は30.5μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、4.7質量%であった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。該血液浄化器内にRO水を充填し25kGyの吸収線量でγ線を照射した。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を取り出し、顕微鏡にて観察したところ、未溶解成分の混入と思われる瘤状の欠陥が観察されたものがあった。該血液浄化器に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。牛血液を用いた血液リークテストではモジュール30本中、2本に血球リークがみられた。偏肉度、バースト圧が低いことから薄膜部の強度不足及び/又は欠陥があったものと思われる。エンドトキシン透過試験の結果、中空糸内側に透過したエンドトキシンが観察された。この原因としては、洗浄を行わなかったため、中空糸膜外表面のPVP存在割合が増加し、エンドトキシンが通過し易くなったものと思われる。また溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は9ppmであった。
同様に作製した、血液浄化モジュールを用いて、RO水を充填し40kGyでの滅菌処理を実施した。γ線照射の前後での血液浄化器より中空糸膜を切り出し、破断強度の測定を行なった。γ線照射前の強度は、13.9gであり、40kGyのγ線照射後の強度は、12.6gであり十分は強度を保持していた。その他の分析結果を表1に示した。
(比較例2)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)5200P)16質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)6質量%、DMAc75質量%、水3質量%を50℃で溶解した。2価イオンは添加しなかった。ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。この製膜溶液を30μmのフィルターに通した後、60℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した45質量%DMAc水溶液を用いて同時に吐出、紡糸管により外気と遮断された600mmの乾式部を通過後、濃度10質量%、70℃のDMAc水溶液中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均100μmであり、最大110μm、最小90μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.22、ドラフト比は2.41、乾式部の絶対湿度は0.08kg/kg乾燥空気であった。得られた中空糸膜は40℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後、湿潤状態のまま巻き上げ空気中で50℃で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は200.8μm、膜厚は30.0μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、7.5質量%であった。
このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。該血液浄化器に純水を充填した状態で25kGyの吸収線量でγ線を照射し架橋処理を行った。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は12ppmであった。中空糸膜の洗浄不良が考えられた。該血液浄化器に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のモジュールを試験に用いた。牛血液を用いた血液リークテストではモジュール30本中、2本に血球リークがみられた。偏肉度が小さいことと外表面孔径が大きすぎることより、ピンホールの発生及び/または破れが発生したものと思われる。エンドトキシン透過試験の結果、中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンが検出された。外表面PVP量が多く、開孔率も大きいためエンドトキシンが透過し易くなったものと推測する。その他分析結果を表1に示した。
同様に作製した、血液浄化モジュールを用いて、RO水を充填し40kGyでの滅菌処理を実施した。γ線照射の前後での血液浄化器より中空糸膜を切り出し、破断強度の測定を行なった。γ線照射前の強度は、13.8gであり、40kGyのγ線照射後の強度は、9.7gであり強度低下を示した。
(実施例3)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)4800P)19質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K-90)3.5質量%、DMAc72.5質量%、水5質量%の組成からなる紡糸原液に対して、塩化マグネシウムをマグネシウム量がポリエーテルスルホンの10ppm相当量添加し、50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し10分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段のフィルターに通した後、60℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した50質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された600mmのエアギャップ部を通過後、60℃の水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均45μmであり、最大45.5μm、最小44.5μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02、ドラフト比は1.06、乾式部の絶対湿度は0.12kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。紡糸工程中の糸道変更のためのローラーは表面が鏡面加工されたものを使用し、固定ガイドは表面が梨地処理されたものを使用した。
該中空糸膜約10,000本の束の周りに実施例1と同様のポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、30℃の40vol%イソプロパノール水溶液で30分×2回浸漬洗浄した後、イソプロパノール水溶液を水に置換し、60℃の窒素気流中で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は198.9μm、膜厚は30.8μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、4.7質量%であった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。リークテストを行った結果、中空糸同士の固着に起因するような接着不良は認められなかった。
該血液浄化器は、アルミ薄/PET積層フィルムより作製した袋に入れ、窒素置換を数回繰返し内部雰囲気を窒素にした後完全にシールした。この後、γ線25kGyでの滅菌処理を実施した。血液浄化器より中空糸膜を切り出し、実施例1と同様の試験を実施した。PVP溶出量は5ppmと良好であった。また血液浄化器より中空糸膜を取り出し、外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。牛血液を用いた血液リークテストでは血球リークはみられなかった。また、エンドトキシン透過試験の結果、中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他の分析結果を表1に示した。
同様に作製した、血液浄化モジュールを用いて、アルミ薄/PET積層フィルムより作製した袋に入れ、窒素置換を数回繰返し内部雰囲気を窒素にした後完全にシールした。この後γ線40kGyでの滅菌処理を実施した。γ線照射の前後での血液浄化器より中空糸膜を切り出し、破断強度の測定を行なった。γ線照射前の強度は、16.0gであり、40kGyのγ線照射後の強度は、14.1gであり十分は強度を保持していた。
(実施例4)
実施例3において、紡糸原液への添加をマグネシウムからカルシウムに変更し、塩化カルシウムをカルシウム量がポリエーテルスルホンの20ppm相当量添加したこと以外は、同様に中空糸膜束および血液浄化器を作製した。得られた中空糸膜および血液透析器の特性を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、紡糸原液への塩化マグネシウム添加実施を行わないこと以外は、同様にして中空糸膜束および血液浄化器を得た。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。
(比較例4)
実施例3において、紡糸原液へ塩化マグネシウム添加実施を行わないこと以外は、同様にして中空糸膜束および血液浄化器を得た。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。
(実施例5)
ポリスルホン(アモコ社製P-3500)18質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製K-60)8質量%、DMAc69質量%、水5質量%の組成からなる紡糸原液に対して、塩化マグネシウムをマグネシウム量がポリスルホンの20ppm相当量添加し、50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−300mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2種のフィルターに通した後、45℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め減圧脱気した40質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された600mmのエアギャップ部を通過後、50℃の水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大61μm、最小59μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03、ドラフト比は1.01、乾式部の絶対湿度は0.06kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。該中空糸膜約10,000本の束を純水に浸漬し、121℃×1時間オートクレーブにて洗浄処理を行った。洗浄後の中空糸膜束の周りに実施例1と同様のポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、45℃の窒素気流中で乾燥した。紡糸工程中の糸道変更のためのローラーは表面が鏡面加工されたものを使用し、固定ガイドは表面が梨地処理されたものを使用した。得られた中空糸膜の内径は201.0μm、膜厚は41.9μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、7.4質量%であった。
得られた中空糸膜よりモジュールを作製し、リークテストを行った結果、中空糸同士の固着に起因するような接着不良は認められなかった。このようにして得られた中空糸膜を用いて、血液浄化器を組み立てた。該血液浄化器内にRO水を充填し25kGyの吸収線量でγ線を照射し架橋処理を行った。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は7ppmであり問題ないレベルであった。該血液浄化器に、0.1MPaの圧力で加圧空気を充填し、10秒間の圧力降下が30mmAq以下のリークテスト合格品を以後の試験に用いた。また、血液浄化器より中空糸膜を取り出し、外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。また、クエン酸加新鮮牛血を血液流量200mL/min、ろ過速度10mL/minで血液浄化器に流したが、血球リークはみられなかった。中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他分析結果を表1に示した。
同様に作製した、血液浄化モジュールを用いて、RO水を充填し40kGyでの滅菌処理を実施した。γ線照射の前後での血液浄化器より中空糸膜を切り出し、破断強度の測定を行なった。γ線照射前の強度は、15.7gであり、40kGyのγ線照射後の強度は、14.1gであり十分な強度を保持していた。
(比較例5)
実施例5において、紡糸原液への塩化マグネシウム添加を実施しなかった以外は、同様にして中空糸膜束および血液浄化器を得た。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。
Figure 0004666248
本発明の中空糸膜型血液浄化器は、安全性や性能の安定性が高く、かつモジュール組立て性に優れており、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する血液浄化器用として好適である。したがって、産業の発展に寄与することが大である。

Claims (4)

  1. 主として親水性高分子を含有するポリスルホン系高分子からなる中空糸膜において、該中空糸膜の膜厚が10〜50μm、外表面開孔率が8〜25%、外表面における平均孔面積が0.4〜1.0μm2、偏肉度が0.6以上、外表面における親水性高分子の存在割合が25〜47質量%であり、該中空糸膜からの親水性高分子の溶出が10ppm以下であり、該中空糸膜のバースト圧が0.5MPa以上1.7MPa未満の特性を有する中空糸膜をハウジングした血液浄化器であって、純水の透水率が200〜1000ml/m2/hr/mmHgであり、γ線による放射線処理を施した際に、40kGy線量での中空糸膜の破断強度の値が、γ線処理前の中空糸膜の破断強度に対して80%以上であることを特徴とする高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器。
  2. 前記ポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の質量割合が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器。
  3. 前記親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器。
  4. 前記親水性高分子は架橋され水に不溶化していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度高透水性中空糸膜型血液浄化器。
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