JP3117575B2 - ポリスルホン系中空繊維膜とその製造方法 - Google Patents

ポリスルホン系中空繊維膜とその製造方法

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JP3117575B2 JP05124863A JP12486393A JP3117575B2 JP 3117575 B2 JP3117575 B2 JP 3117575B2 JP 05124863 A JP05124863 A JP 05124863A JP 12486393 A JP12486393 A JP 12486393A JP 3117575 B2 JP3117575 B2 JP 3117575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリスルホン系中空繊維
膜およびその製造方法、特に中空繊維膜の内表面の緻密
層にビニルピロリドン系ポリマーを多量に存在させた、
血液処理に適したポリスルホン系中空繊維膜およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、選択透過性分離膜を用いた分離技
術である限外濾過法、逆浸透法、気体分離法等が各種の
分野において実用化されており、その多様な用途に各々
適する素材から作られた分離膜が上市されている。選択
透過性分離膜の素材としては、セルロース系、セルロー
スアセテート系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル
系、ポリビニルアルコール系、ポリメチルメタクリレー
ト系、ポリスルホン系、ポリオレフィン系などのポリマ
ーが使用されている。中でもポリスルホン系ポリマー
は、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐酸化性などの物
理化学的性質が優れていることから、最近医療用、工業
用分離膜の素材として注目されている。
【0003】しかしながら、ポリスルホン系ポリマーは
疎水性の素材であるために、これを素材とした選択透過
性分離膜は親水性ポリマーを素材とした選択透過性分離
膜に比べて、水濡れ性が悪く、また乾燥すると性能が低
下する。そこでポリスルホン系ポリマーからなる選択透
過性分離膜に親水性を付与して水濡れ性を向上させるた
めの検討がなされ、その一つの方法として、ポリスルホ
ン系ポリマー等の疎水性ポリマーからなる分離膜に、ポ
リビニルピロリドン等の親水性ポリマーを含有させた選
択透過性分離膜とその製法が提案されている。
【0004】例えば特公平2-18695 号にはポリスルホ
ン、分子量10万以上のポリビニルピロリドンおよびそれ
らの共通溶媒からなる原液を紡糸して製造された、分離
膜内に分子量10万以上のポリビニルピロリドンを5〜70
重量%含有させ、かつ11%以上の吸水能力を有するポリ
スルホン系分離膜とその製法が開示されている。特開昭
61-93801号には疎水性ポリマー、親水性ポリマーおよび
それらの共通溶媒からなる低粘度の原液を紡糸すること
により製造された、親水性ポリマーを1〜10重量%含有
させ、かつ3〜10%の吸水能力を有する血液処理用の中
空繊維膜とその製法が開示されている。
【0005】特開昭61-238306 号、同63-97666号にはポ
リスルホン系ポリマー、親水性ポリマー、該ポリスルホ
ン系ポリマーに対して非溶媒もしくは膨潤剤なる添加剤
を加えた系を製膜原液として用いたポリスルホン系分離
膜の製造方法が開示されている。また特開昭63-97205
号、同63-97634号には、上記方法で製造されたポリスル
ホン系分離膜に放射線処理および/または熱処理を施す
ことによって親水性ポリマーを不溶化する方法が開示さ
れている。さらに特開昭63-99325号には上記製膜原液を
用いて紡糸する際に、水溶性ポリマーを少なくとも5重
量%含有する注入液を使用して内表面を滑らかとしたポ
リスルホン系中空糸膜が開示されている。
【0006】特開昭61-238834 号、同63-99325号には、
上記製造法により得られた平均孔径が500 オングストロ
ーム以上の細孔を持ち、かつ親水性ポリマーを3〜30重
量%含有する透水量が1000 ml/m2・hr・mmHg以上である
ポリスルホン系多孔膜が開示されている。特開昭61-402
号、同62-38205号には、非対称構造を有する疎水性ポリ
マーからなる分離膜の緻密層側だけが、該疎水性ポリマ
ーと親水性ポリマーとの混合物からなる分離膜が開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記ポリスルホン系分
離膜は膜内に親水性ポリマーを存在させることにより疎
水性のポリスルホン系分離膜に水濡れ性を付与し、かつ
透水性能を向上させ、しかも、蛋白吸着等による膜の汚
染が防止される等の優れた性能を有しているが、生体適
合性についての十分な検討がなされておらず、抗血栓性
の点で必ずしも満足されるものではない。
【0008】例えば特開昭61-93801号には血液処理に適
したポリスルホン系中空繊維膜が開示されている。かか
る中空繊維膜について明細書中には補体活性を低く抑え
ることができる膜である旨の記載があるが、補体活性が
低く抑えられるという特性は中空繊維膜が疎水性である
ことによってのみ発現される性質である。すなわち特開
昭61-93801号に開示された中空繊維膜は血液が接触する
内表面が十分に親水化されておらず、依然として疎水性
が残っていることを示唆している。血液が接触する表面
に疎水性が残っていると血小板が付着しやすい状態にあ
る。いったん中空繊維膜の内表面に血小板が付着する
と、血小板の凝集、崩壊により血液凝固系を活性化する
物質が放出されて血液凝固が生じる。
【0009】また特公平2-18695 号に開示されたポリス
ルホン系分離膜は11%以上の吸水能を有しているので、
製膜後の保存中に空気中の水分を吸収する。そのため分
離膜保存のために特別な設備が必要となる。また吸水能
が高いことは、分離膜内のポリビニルピロリドンの存在
量が多いため、分離膜の機械的性能が低下し、透水性能
も低下する。
【0010】さらに特開昭61-238306 号、特開昭63-993
25号等で開示されたポリスルホン系分離膜の製法あるい
は特開昭61-238834 号等で開示されたポリスルホン系分
離膜は、製膜原液に親水性ポリマーを添加しているた
め、特開昭61-93801号に開示されたポリスルホン系中空
繊維膜と同様に分離膜の内表面を十分に親水化すること
ができない。またかかる製法は 500オングストローム以
上の大きな孔を有する分離膜の製法に適しているが、血
液透析用の分離膜の製法には適当でない。特開昭63-993
25号に開示されたポリスルホン系分離膜の製法は内部凝
固液中に水溶性ポリマーを含有させているが、このポリ
マーにより中空糸膜の内表面に平滑性を付与しているだ
けで中空繊維膜の内表面に水溶性ポリマーを残存させる
ものではない。
【0011】特開昭61-402号、同62-38205号に開示され
た非対称構造を有するポリスルホン系分離膜は緻密層の
みが親水化されているだけなので、分離膜を乾燥すると
透水性が著しく低下する。また、親水化されていない部
分での蛋白吸着が生じる。
【0012】したがって、本発明の目的は従来のポリス
ルホン系分離膜の上記問題を解消した、生体適合性に優
れ、かつ乾燥した後に透水性の低下のない、特に血液処
理に適したポリスルホン系中空繊維膜を提供することに
ある。本発明の他の目的は、上記ポリスルホン系中空繊
維膜の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
達成すべく従来のポリスルホン系中空糸膜とその製造方
法について検討したところ、意外にも中空糸膜にポリグ
リコール類とビニルピロリドン系ポリマーを含有させ、
かつ中空糸膜の内表面にビニルピロリドン系ポリマーを
多量に存在させると、ポリスルホン系ポリマーの優れた
物理化学的性能と、ビニルピロリドン系ポリマーの優れ
た親水性の両方の性能を併せ持つ、特に抗血栓性に優れ
た中空繊維膜が提供できることを見出し、更に検討した
結果本発明に到達したものである。
【0014】すなわち、本発明のポリスルホン系中空繊
維膜は、ポリスルホン系ポリマーからなる、内表面に緻
密層をもつ非対称構造の中空繊維膜であって、該中空繊
維膜はポリスルホン系ポリマーを主成分とし、少なくと
も1重量%のポリグリコール類と1〜8重量%のビニル
ピロリドン系ポリマーを含有し、かつ中空繊維膜の内表
面の緻密層に存在するポリスルホン系ポリマーとビニル
ピロリドン系ポリマーの重量比率が90:10〜60:40で、
しかも中空繊維膜の内表面の上記緻密層に存在するビニ
ルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に存在す
るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少なくとも
1.1倍であることを特徴とする。
【0015】また本発明にかかるポリスルホン系中空繊
維膜の製造方法は、ポリスルホン系ポリマーと重量平均
分子量が 200〜 6000のポリグリコール類および重量平
均分子量が少なくとも10000のビニルピロリドン系ポリ
マーとを混合溶解した製膜原液を環状オリフィスより吐
出させる工程と、 0.1〜4重量%のビニルピロリドン系
ポリマーを含有する溶液を上記吐出原液の環状の流れの
内部に供給してポリスルホン系中空繊維膜を形成する工
程と、該製膜されたポリスルホン系中空繊維膜を、該ポ
リスルホン系ポリマーに対して貧溶媒作用を有する溶液
で処理して、中空繊維膜の内表面の緻密層に存在するビ
ニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に存在
するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少なくと
も 1.1倍となるように調整する工程とを含んでなること
を特徴とする。
【0016】本発明のポリスルホン系中空繊維膜を製造
するために用いる原液は、基本的には、ポリスルホン系
ポリマー、重量平均分子量が 200〜6000のポリグリコー
ル類、重量平均分子量が少なくとも1万のビニルピロリ
ドン系ポリマーおよびそれらポリマーの共通溶媒からな
る4成分系で構成される。
【0017】ポリスルホン系ポリマーは、通常化学式
(1)または化学式(2)で示される繰り返し単位からなる
ものであるが、アルキル系やスルホン基等の官能基を含
んでもよい。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】原液中に含まれるポリスルホン系ポリマー
の濃度は、目的用途に適合した特性を有する中空繊維膜
の製造を可能とする濃度範囲であればよく、通常10〜25
重量%、好ましくは15〜20重量%である。10重量%未満
では中空繊維膜としての十分な強度を得ることができ
ず、また実用的な中空繊維膜が形成できなくなる。また
25重量%を越えると貫通孔が減少し膜の透過性能や透析
性能の低下を引き起こすため実用的でない。
【0021】ポリグリコール類は、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、これらの共重合体、
またはこれらのエステル、アミン、エーテル、アセター
ル誘導体で重量平均分子量が 200〜6000のポリマーが用
いられる。本発明では、ポリグリコール類を原液中に添
加するため次のような利点がある。まずポリグリコール
類の第1の作用は、ポリスルホンに対して貧溶媒の作用
があるので微孔形成剤として有効で、これを添加すると
ミクロ相分離効果が向上して空孔率や表面開孔率の高い
多孔性の膜が形成されやすくなり、優れた透過性能およ
び透析性能を有する分離膜を得ることができる。
【0022】第2に微孔形成剤として通常用いられてい
る水、アルコール類、グリセリン、無機塩類等と比べて
原液の増粘効果があり、しかも添加量による粘度の急激
な変化がないので中空繊維膜を製造するために好適な粘
性を有する原液を容易に調製することができる。
【0023】第3に原液中にポリグリコール類を添加す
ると、後述するように膜内に残存させるビニルピロリド
ン系ポリマーの含有効率が向上する傾向が認められ、少
ない添加量でも効率よくビニルピロリドン系ポリマーを
中空繊維膜に含有させることができる。原液中にポリグ
リコール類を添加するとビニルピロリドン系ポリマーの
含有効率が向上する理由は不明であるが、ポリグリコー
ル類は他の微孔形成剤と比較して凝固の挙動が異なる、
あるいは分散剤的な役割を果たす等の理由が考えられ
る。いずれにてしてもビニルピロリドン系ポリマーが少
ない添加量でも効率よく該ビニルピロリドン系ポリマー
を中空繊維膜中に含有させることができるので、コスト
面やビニルピロリドン系ポリマーの含有比率調整の点で
有利である。また、ビニルピロリドン系ポリマーの添加
量を少なくできるので、原液粘度を紡糸が安定な範囲に
抑えやすい。
【0024】第4に、原液中に添加したポリグリコール
類は完全に除去されず若干量が膜内に残存するが、膜内
にポリグリコール類とビニルピロリドン系ポリマーとを
共存させることで抗血栓性が増強される傾向が認められ
る。
【0025】このように、ポリグリコール類を用いるこ
とにより有利な点が多い。本発明において、上述の効果
を効果的に発揮させるためには、原液中へのポリグリコ
ール類の添加量は、ポリグリコール類の重量平均分子
量、ポリスルホン系ポリマー濃度や溶媒の種類によって
異なるが、ポリスルホン系ポリマーに対して50〜300 重
量%、通常 100〜200 重量%添加することが好ましい。
【0026】ビニルピロリドン系ポリマーは、主として
ポリスルホン系中空繊維膜に残存して疎水性のポリスル
ホン系中空繊維膜に親水性を付与させるものであり、ポ
リグリコール類よりも重量平均分子量の大きいポリマ
ー、通常重量平均分子量が少なくとも1万のポリマーが
用いられる。かかるビニルピロリドン系ポリマーとして
は、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビ
ニル共重合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共
重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニル
ピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重
合体等やこれらの変性ポリマーが挙げられる。
【0027】ビニルピロリドン系ポリマーは親水性効果
を発揮する量を膜内に残存させる必要があるが、原液中
にビニルピロリドン系ポリマーを大量に添加すると原液
の粘度が急激に増加して中空繊維膜の製造が困難となっ
たり、また、余剰のビニルピロリドン系ポリマーの抽出
に時間がかかり、洗浄が不十分となりやすい。さらに中
空繊維膜を乾燥させるとビニルピロリドン系ポリマーの
中空繊維膜の外表面側へのマイグレーションが著しくな
って中空繊維同士の膠着が発生し、中空繊維膜の取扱い
やモジュール化時の障害となる。さらにビニルピロリド
ン系ポリマーの添加量が増加すると中空繊維膜中の含有
重量比率が多くなって、ポリスルホン系ポリマーが持つ
機械的強度、耐熱性、耐薬品性等の物理的及び化学的特
性が損なわれるとともに、ビニルピロリドン系ポリマー
の膨潤に伴う水透過性能あるいは透析性能の低下を引き
起こすことになる。
【0028】したがってビニルピロリドン系ポリマーを
原液中に大量に添加することは必ずしも好ましいことで
はない。原液中へのビニルピロリドン系ポリマーの添加
量はポリスルホン系中空繊維膜に親水性を付与する最小
限の量が好ましい。ビニルピロリドン系ポリマーの添加
量はポリスルホン系ポリマーに対して2〜30重量%、通
常5〜15重量%添加される。
【0029】溶媒は、ポリスルホン系ポリマー、ポリグ
リコール類、ビニルピロリドン系ポリマーを全て溶解す
るものであり、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、スルホラン、ジオキサン等の多種の溶媒、ある
いは上記2種類以上の混合液からなる溶媒が用いられる
が、特にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
が好ましく用いられる。
【0030】上記組成の組み合わせにより、種々の性状
をもつ原液を得ることができる。例えば、溶解性の低い
溶媒を用い、かつポリグリコール類の添加量を多くする
と、特定の温度以上、または特定の温度以下でも相分離
する原液が得られる。この原液を用いて相分離温度付近
で紡糸すると精密濾過等に適した比較的ポーラスな孔を
有する中空繊維膜が製造できる。逆に、溶解性の良い溶
媒を用い、かつポリグリコール類の添加量を少なくする
と比較的安定な原液性状となり限外濾過や透析等に適し
た緻密な膜が製造できる。
【0031】以上の系からなる原液を用いてポリスルホ
ン系中空繊維膜を得る。製膜操作は公知の乾湿式法を用
いることができ、一定の温度に保温された上記原液及び
内部凝固液が2重管構造の環状ノズルより同時に吐出さ
れ、凝固浴に導入される。乾湿式法では、ノズル吐出か
ら凝固浴に浸漬する前に気体中(一般的には空気中)を
通過させる。ノズルの吐出面と凝固浴表面の気中走行距
離(以下ドライゾーン長という)は通常 0.1〜100cm 、
特に1〜50cmが好ましい。 0.1cmより短いと凝固浴の僅
かな波立ちでノズルが凝固浴に接触して乾湿式紡糸する
ことが困難となる。また 100cmを越えると多ホール紡糸
においては糸揺れによる中空繊維同士の膠着が発生す
る。ドライゾーン中を加湿させると空気中の水分により
ミクロ相分離や緩和な凝固が促進され、孔径の大きな多
数の微孔を有する外表面層を備えた中空繊維膜を容易に
得ることができる。この効果は、ドライゾーン長が 0.1
cmと非常に短くても認められ、凝固浴に直接浸漬する湿
式法とは全く異なった外表面層構造を有する中空繊維膜
が得られる。
【0032】さらに原液のノズル吐出口での線速度に対
する導糸速度の比(以下ノズルドラフトという)を変化
させることにより膜内外表面層の微細孔の形状を変化さ
せることもできる。ノズルドラフトを大きくすれば細長
いスリット状の微細孔となりやすく、逆に小さくすれは
比較的円形の微細孔となりやすい。しかし、極端にノズ
ルドラフトを大きくしたり、また小さくすると製造が不
安定となるので、ノズルドラフトは通常2〜5の範囲に
設定される。
【0033】また本発明においては、中空繊維膜内表面
の緻密層に存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量
比率を向上させるためにビニルピロリドン系ポリマーを
含有した内部凝固液を用いる。内部凝固液に使用される
ビニルピロリドン系ポリマーは、必ずしも原液に添加し
たものと同一である必要はなく、種類が異なっていたり
分子量の異なるものを使用してもよいが、重量平均分子
量が小さいポリマーを用いると凝固時に膜内部に拡散し
やすくなり、期待したほど内表面緻密層に存在する重量
比率が向上しない場合がある。透析膜等の緻密な膜では
重量平均分子量の小さいポリマーも使用できるが、一般
的には重量平均分子量10万以上の高分子量のものを用い
るほうが少ない添加量で効率よく内表面緻密層側に存在
する重量比率のみを増加できるので好ましい。
【0034】内部凝固液としては水、アルコール類、グ
リコール類等のポリスルホン系ポリマーに対して非溶媒
または貧溶媒の単独や2種類以上の混合液にビニルピロ
リドン系ポリマーを添加した系が用いられる。更に、こ
れらに溶媒を添加すると凝固速度が変化し孔径制御に役
立つので好適である。溶媒を添加する場合は溶媒重量比
率を10〜90%、特に30〜80%にすることが好ましい。10
%以下は溶媒の効果が少なく、90%以上では凝固速度が
非常におそくなるので紡糸が困難となる。また、塩化リ
チウム、塩化亜鉛、硝酸ナトリウム等の無機塩を添加す
ると表面開孔率が増加する等好ましい場合がある。内部
凝固液に添加するビニルピロリドン系ポリマーは、通常
0.1〜4重量%が好ましい。 0.1重量%以下では内表面
緻密層中に存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量
比率増加の効果が不十分であり、4重量%を越えると余
剰のビニルピロリドン系ポリマーの洗浄に時間がかかり
経済的ではない。また、内表面緻密層中に存在するビニ
ルピロリドン系ポリマーの重量比率が過剰となり透過性
能や透析性能の低下等の問題が発生する恐れがある。し
たがって、添加量については、ビニルピロリドン系ポリ
マーの種類、重量平均分子量、原液中のビニルピロリド
ン系ポリマー含量等を考慮にいれて選択する必要があ
る。ただし、内部凝固液はビニルピロリドン系ポリマー
が完全に溶解された溶液を使用する必要があり、この条
件を満たす組成、濃度に設定しなければならない。
【0035】凝固液には水、アルコール類、グリコール
類等のポリスルホン系ポリマーの非溶媒、または貧溶媒
の単独、あるいは2種類以上の混合液、さらにこれらと
溶媒との混合液が用いられるが、ポリスルホン系ポリマ
ーの貧溶媒または非溶媒の作用のあるもので極性溶媒、
ポリグリコール類及びビニルピロリドン系ポリマーと相
溶性がある溶液であれば特に制限はない。
【0036】凝固浴で凝固した中空繊維膜は、次いで水
洗または40〜70℃以下の温水洗浄で溶媒、ポリグリコー
ル類、ビニルピロリドン系ポリマーが抽出除去される。
この際ポリグリコール類は大部分が、ビニルピロリドン
系ポリマーは余剰分が抽出されるが、どちらも完全には
抽出されず膜中に残存する。ポリグリコール類、ビニル
ピロリドン系ポリマーが中空繊維膜中に残存する理由と
しては凝固の際に膜中に取り込まれ固定化されるためと
推測される。
【0037】次に、場合によっては80℃以上の熱水処理
を行う。熱水処理を予め行っておくと、溶媒、ポリグリ
コール類、ビニルピロリドン系ポリマーの洗浄効率が向
上する上に熱に対する安定性が向上し、たとえば 100℃
以上の高圧蒸気減菌を行った際に中空繊維膜の収縮等が
防止できるので有効である。
【0038】本発明では上記工程の後、さらに中空繊維
膜をポリスルホン系ポリマーに対して貧溶媒作用を有す
る溶液によって処理し、膜全体、特に外表面側の余剰の
ビニルピロリドン系ポリマーの抽出除去を行う。貧溶媒
作用を有する溶媒とは、ポリスルホン系ポリマーに対し
て溶解はしないが膨潤等の何らかの作用を有するもの
で、かつビニルピロリドン系ポリマーを溶解するものを
いい、アルコール類、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、グリセリン、重量平均分子量 600以下のポ
リエチレングリコールの単独や混合液またはそれらの1
重量%以上の水溶液が例示できる。また処理方法には、
中空繊維膜を凝固して洗浄した後に引き続き抽出処理す
る方法と、膜を乾燥してモジュールを作製したのちにモ
ジュール毎に抽出処理する方法があるが、例えば膜を乾
燥させたときに中空繊維膜同士の膠着が発生しモジュー
ル化時の障害となり得る場合は前者の方法を用い、膠着
の問題はあまりなくモジュール化後の方が効率的である
場合は後者の方法を用いるというように、製造条件、工
程通過性、製造効率、コスト等を考慮して選択すること
ができる。また、両方で処理することも可能である。該
処理は製造安定性を向上し、さらにビニルピロリドン系
ポリマーの含有量や分布状態を血液処理に適した状態に
調節することを目的としているので、処理液組成や処理
時間はこの点を充分考慮して設定する必要がある。
【0039】水洗、熱水洗処理、貧溶媒作用を有する溶
液での処理等を行うと余剰のポリグリコール類やビニル
ピロリドン系ポリマーが抽出除去され、中空繊維膜中に
取り込まれ固定化されたものだけが残存するため、使用
時にこれらが溶出することはほとんどない。
【0040】本発明の中空繊維膜は、透析型人工腎臓装
置承認基準に示された「透析器の品質および試験法」の
透析膜の溶出物試験(以下これを人工腎臓承認基準と略
称する)に記載されている方法により、溶出物の評価を
行うと、紫外線吸収スペクトルとして、層長10mmで波長
220〜350nm における吸光度が 0.1以下であり、そのま
まの状態でも人工腎臓承認基準に合格するものである。
このように、本発明の中空繊維膜は、例えば、熱処理、
アルカリ加熱処理、γ線処理等の従来公知の手段により
ビニルピロリドン系ポリマーを架橋構造化し、水に対し
て不溶化する処理を特別に行わなくても、血液処理装
置、特に透析型人工腎臓に使用できる。
【0041】これらの処理を終えた中空繊維膜は、たと
えば枠等に捲き取り、乾燥される。乾燥した中空繊維膜
は束ねられ、その両端部はポリウレタンなどの熱硬化性
ポリマーによりハウジングに固定されモジュール化され
る。該モジュールは、EOG滅菌、高圧蒸気滅菌等の公
知の方法で滅菌処理された後、体液等の処理装置とし
て、血液透析、血液濾過、血液濃縮などに供される。
【0042】上記製造方法により、ポリグリコール類を
少なくとも1重量%、ビニルピロリドン系ポリマーを1
〜8重量%含有し、かつ中空繊維膜の内表面緻密層に存
在するポリスルホン系ポリマーとビニルピロリドン系ポ
リマーの重量比率が90:10〜60:40で、しかも中空繊維
膜の内表面緻密層に存在するビニルピロリドン系ポリマ
ーの重量比率が外表面層に存在するビニルピロリドン系
ポリマーの重量比率の少なくとも 1.1倍である、特に血
液処理用に適したポリスルホン系中空繊維膜を得ること
ができる。
【0043】上記中空繊維膜中に存在するポリグリコー
ル類の重量比率およびビニルピロリドン系ポリマーの重
量比率はNMRによって決定され、中空繊維膜の内表面
緻密層と外表面層に存在するビニルピロリドン系ポリマ
ーの重量比率はX線光電子分光法(ESCA)によって
決定される。また、中空繊維膜の抗血栓性の良否を判断
する簡単な評価方法として、血液を流通させた後のモジ
ュールを解体し、血栓によって閉塞している中空繊維膜
の数を数える方法と、血小板損傷による放出因子である
βトロンボグロブリンの濃度の増加または血液凝固系の
活性によって最終段階であるフィブリノーゲンがフィブ
リンとなるときに生成されるフィブリノペプタイドAの
濃度の増加を測定する方法がある。
【0044】本発明のポリスルホン系中空繊維膜は以下
の理由により、ポリグリコール類とビニルピロリドン系
ポリマーの両方を含む必要がある。すなわち、中空繊維
膜がその内表面緻密層にビニルピロリドン系ポリマーを
ビニルピロリドン系ポリマーとポリスルホン系ポリマー
の重量比率が15/85となるように含有し、かつポリグリ
コール類の含有比率が2重量%となるように紡糸したポ
リスルホン系中空繊維膜(A)と、該中空繊維膜(A)
と同じ内表面緻密層における重量比率でビニルピロリド
ン系ポリマーを含むが、ポリグリコール類を含有しない
中空繊維膜(B)を用いて、それぞれ膜面積が 1.7m2
人工腎臓用モジュールを組み立てた後、同一の慢性腎不
全患者の治療に適用した。使用後モジュールを解体し血
液凝固によって閉塞した中空繊維の本数を数え閉塞率を
比較すると、ポリグリコール類を含有した中空繊維膜を
用いた人工腎臓(A)では閉塞率が5%に過ぎないが、
ポリグリコール類を含有しない中空繊維膜を用いた人工
腎臓(B)では閉塞率が65%となり、ポリスルホン系中
空繊維膜中にビニルピロリドン系ポリマーとポリグリコ
ール類とを共存させることが抗血栓性に対して極めて有
効であることが示された。
【0045】更に、本発明のポリスルホン系中空繊維膜
には、少なくとも1重量%のポリグリコール類が存在す
る必要がある。1重量%未満では抗血栓性に問題があり
血液処理用に適用することができない。
【0046】次にポリスルホン系中空繊維膜の内表面緻
密層に存在するポリスルホン系ポリマーとビニルピロリ
ドン系ポリマーの重量比率は90:10〜60:40であること
を要する。即ち、上記比率を種々に変えて製造したポリ
スルホン系中空繊維膜を用いて有効膜表面積 500 cm2
ミニモジュールを作成し、これらに新鮮な血液を流通さ
せた。ミニモジュールを通過する血液中のβトロンボグ
ロブリンおよびフィブリノペプタイドAの濃度を、血液
を流通させる血液回路のみのそれらの濃度(ブランク)
と対比した。少なくとも1重量%のポリグリコール類を
含んでなる中空繊維膜については、内表面緻密層に存在
するビニルピロリドン系ポリマーとポリスルホン系ポリ
マーの重量比率が少なくとも10/90であれば、βトロン
ボグロブリンおよびフィブリノペプタイドAの濃度はそ
れぞれブランク濃度の 110%以下及び 120%以下であり
抗血栓性に優れるのに対し、上記ビニルピロリドン系ポ
リマーとポリスルホン系ポリマーの重量比率が10/90未
満であれば、これら指標となる物質の濃度は、それぞれ
ブランク濃度の 350%及び 400%にもなり、抗血栓性に
劣る。血液流通後のミニモジュールを解体し、血栓によ
って閉塞している中空繊維膜の数を数えると、ビニルピ
ロリドン系ポリマーとポリスルホン系ポリマーの重量比
率が少なくとも10/90であれば数%程度の中空繊維膜が
閉塞してしるのに対し、上記重量比率が10/90未満では
50%以上の中空繊維膜の閉塞が観察された。一方、ビニ
ルピロリドン系ポリマーとポリスルホン系ポリマーの重
量比率が40/60より大であれば、βトロンボグロブリン
およびフィブリノペプタイドAの濃度はブランク濃度の
105%〜 110%であり、抗血栓性は維持されるが、親水
性ポリマーの膨潤により透水性能は小さくなる。これら
の点から、中空繊維膜が少なくとも1重量%のポリグリ
コール類を含有する場合に、優れた抗血栓性を有するた
めには、血液が接触する中空繊維膜内表面の緻密層に存
在するビニルピロリドン系ポリマーとポリスルホン系ポ
リマーのの重量比率を少なくとも10/90とする必要があ
り、透水性能や中分子量物質の透過性能を維持するため
には内表面の緻密層に存在するビニルピロリドン系ポリ
マーとポリスルホン系ポリマーの重量比率を40/60以下
に抑える必要がある。
【0047】また、本発明の中空繊維膜においては、膜
の内表面緻密層に存在するビニルピロリドン系ポリマー
の重量比率が外表面層に存在するビニルピロリドン系ポ
リマーの重量比率の 1.1倍以上である。このように、ビ
ニルピロリドン系ポリマーを中空繊維膜内表面緻密層に
多量に存在させると、中空繊維膜の内外表面層に存在す
るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が同じである
従来の中空繊維膜に比べ透水性が3倍以上、イヌリンの
透過率が2倍以上と透過性能を格段に向上させることが
できる。また本発明の中空繊維膜はアルブミンがほとん
ど透過しない(透過率5%以下)シャープな分画性を有
し、尿素などの低分子量物質のみならず、低分子量タン
パク質であるβ2−ミクログロブリンに至るまで高い透
析性能を有する。透過性能や透析性能が向上する理由
は、ビニルピロリドン系ポリマーを膜全体に比較的均一
に含有させるよりも内表面層に多量に存在させる方が、
膜全体のビニルピロリドン系ポリマーの含有量を少なく
できるのでビニルピロリドン系ポリマーの膨潤による透
過抵抗を小さくできるためである。なお、中空繊維膜の
抗血栓性に与える影響から、膜の内表面緻密層に存在す
るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に
存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の 1.5
倍以上、特に 2.0倍以上であることが好ましい。
【0048】さらに、親水性や優れた透水性能や物質の
透過性能を有するためには、中空繊維膜全体に含有され
るビニルピロリドン系ポリマーは1〜8重量%、通常2
〜5重量%が好ましい。1重量%未満では親水性が不十
分であり、8重量%を越えるとビニルピロリドン系ポリ
マーの膨潤に伴う透過性能や透析性能の低下が起り、更
にはポリスルホン系ポリマーのもつ機械的強度、耐熱
性、耐薬品性等の物理的または化学的特性が失われる。
【0049】本発明の中空繊維膜は、その内径が50〜50
0 μm 、膜厚が5〜250 μm である。内径が50μm 未満
では圧力損失が大きく、500 μm を越えるとモジュール
が大きくなりすぎて取扱が不便である。また膜厚が5μ
m 未満では紡糸が困難でリークが発生し易く、250 μm
を越えると透水性や透析性が著しく低下する他、モジュ
ールが大きくなり不経済である。
【0050】中空繊維膜の外表面層には0.05〜1μm の
微孔が多数存在し、内表面緻密層にはスリット幅0.001
〜0.05μm の多数のスリット状微孔を有している。ま
た、断面構造は、内表面側に厚さ 0.1〜3μm の実質的
に物質を分離する緻密層を有し、膜断面中央部に向かっ
て孔径が徐々に拡大し、中央部は平均孔径1〜5μm の
網状組織、外表面側は平均孔径 0.1〜0.5 μm の網状組
織で構成された非対称の膜構造である。
【0051】外表面に孔の認められないような緻密層を
有する中空繊維膜では、濾過速度が小さく、特に血液処
理に用いた場合、濾過速度が遅くなるとともに、除去対
象物質である低分子量タンパク質の透過性能や、分子量
数千〜1万付近の中分子量物質の透過性能も低くなり、
また、尿素などの低分子量物質の透析性能も著しく低下
するが、本発明のポリスルホン系中空繊維膜は内表面に
緻密層、外表面に中央部よりは緻密な網状構造を有して
いるので、機械的強度に優れリークが発生しにくく、か
つ優れた溶質透過性を保持することができる。
【0052】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものでは
ない。なお、透水性は有効長15cmの内圧型ラボモジュー
ルを作成し、25℃、通水圧 0.5Kg/cm2の条件で一定時間
内に中空繊維膜を透過した水の量を測定し、算出した。
【0053】また中空繊維膜内に存在するポリグリコー
ル類とビニルピロリドン系ポリマーのそれぞれの重量比
率は核磁気共鳴分析(NMR)法で測定した。また、中
空繊維膜の内表面緻密層または外表面層に存在するビニ
ルピロリドン系ポリマーの重量比率は、X線光電子分光
(ESCA)法で次のようにして求めた。すなわちポリ
スルホン系ポリマーの硫黄(S)とビニルピロリドン系
ポリマーの窒素(N)の存在比率を求め、このSとNの
存在比率をポリスルホン系ポリマーの重量(Wps)とビ
ニルピロリドン系ポリマーの重量(Wvp)にそれぞれ換
算し、内表面緻密層または外表面層に存在するビニルピ
ロリドン系ポリマーの重量比率(R%)を次式(1)に
より算出した。 R(%)=Wvp/(Wps+Wvp)× 100 ・・・(1)
【0054】また中空繊維膜の内表面緻密層に存在する
ビニルピロリドン系ポリマーの重量比率(Rin)と外表
面層に存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率
(Rout )の比(P)は次式(2)により算出した。 P=Rin/Rout ・・・(2)
【0055】実施例1 ポリスルホン(アモコ社製、ユーデルP1700、以下「P
S」と略称する)17重量%、ポリエチレングリコール
(三洋化成工業社製、PEG 600、重量平均分子量 60
0、以下「PEG」と略称する) 12.75重量%、ポリビ
ニルピロリドン(GAF社製、K−90、重量平均分子量
120万、以下「PVP」と略称する)2.55%、ジメチル
アセトアミド(以下、「DMA」と略称する)67.7%を
混合し、加熱攪拌して均一透明な原液を調製した。この
原液を45℃にて16時間静置し、脱泡した後、外径 0.5m
m、内径0.25mmの環状ノズルより、内部凝固液としてD
MA40重量%、PVP 0.5重量%、水59.5重量%で構成
される溶液と同時に50℃で吐出し、相対湿度80%、50℃
に調整した空気中に押し出した。ドライゾーン長10cmの
空中走行後、12 m/minの速度で50℃の水中に導いて凝固
させた。この時のノズルドラフトは 3.2であった。次い
で、60℃の温水洗浄および90℃の熱水処理、90℃の6重
量%グリセリン水溶液中に5分間の浸漬処理を行った後
に枠に巻き取り、乾燥して外径 280μm 、内径 200μm
の中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の透水性能は
200 l/m2・hr・(kg/cm2)、膜中にPVPとPEGが
それぞれ 5.5重量%、 2.0重量%存在し、内表面緻密層
に存在するPVPとPSの重量比率は23/77、また内表
面緻密層中のPVPの重量比率と外表面層に存在するP
VPの重量比率の比は 2.0であった。また、人工腎臓承
認基準により溶出物の評価を行ったところ、層長10mmで
波長 220nmの紫外線吸収スペクトルにおいて 0.051の吸
光度を示し、この中空繊維膜は上記基準に合格した。
【0056】この中空繊維膜を9700本束ね有効膜面積
1.7m2の人工腎臓用モジュールを組み立て、該モジュー
ルに各々エチレンオキサイドガス滅菌、高圧蒸気滅菌、
γ線滅菌を施した。これら滅菌済のモジュールをそれぞ
れ同一の慢性腎不全患者に適用し、残血状態(中空繊維
閉塞による)の比較を行ったところ、エチレンオキサイ
ドガス滅菌および高圧蒸気滅菌を施したものでは、中空
繊維閉塞による残血が殆ど無かったが、γ線滅菌を施し
たものでは明らかに多かった。なお、上記の中空繊維膜
をクロロホルムに溶解すると、γ線滅菌処理を施したも
ののみ不溶解成分が存在した。かかる不溶解成分は、P
VPが架橋構造化したものと考えられ、これにより残血
が多く、抗血栓性が低下したものと推定される。
【0057】実施例2 PS17重量%、PEG20.4重量%、PVP1.7 重量%、
DMA60.9重量%を混合し、加熱攪拌して均一透明な原
液を調製した。この原液を45℃にて16時間静置し、脱泡
した後、外径 0.5mm、内径 0.25mm の環状ノズルより、
DMA40重量%、PVP 0.3重量%、水59.7重量%から
なる内部凝固液とともに50℃で吐出し、50℃、相対湿度
80%に調整された空中に押し出し、ドライゾーン長10cm
の空中走行後、12m/min の速度で50℃の水中に導いて凝
固させた。この時のノズルドラフトは 3.2であった。次
いで、60℃の温水洗浄及び90℃の熱水処理、90℃の6重
量%グリセンリン水溶液中に5分間浸漬した後に枠に捲
きとり、乾燥して外径 280μm 、内径 200μm の中空繊
維膜を得た。なお、この中空繊維膜は乾燥後の膠着糸が
皆無であり、安定に製造することができた。
【0058】この膜は、図1に示す10000 倍の走査型電
子顕微鏡写真(以下SEM写真と略称する)から、中空
繊維膜の外表面層には0.05〜1μm の多数の微細孔が存
在していることが確認された。また図2に示す10000 倍
のSEM写真から中空繊維膜の内表面緻密層には幅0.00
1 〜0.03μm のスリット状の微細孔が多数存在している
ことが確認された。図3に示す1500倍の中空繊維膜の断
面を示すSEM写真、図4に示す外表面側の断面を示す
10000 倍のSEM写真、図5に示す中央部の断面を示す
10000 倍のSEM写真および図6に示す内表面側の断面
を示す10000 倍のSEM写真より、内表面側に厚さが
0.2〜1μm の緻密層が形成され、膜断面の中央部に向
かって徐々に孔径が拡大し、膜の中央部は1〜3μm の
網状組織、外表面側は 0.1〜0.3 μm の緻密な網状組織
からなる層で構成された非対称構造の膜であることが確
認された。得られた中空繊維膜の透水性能は 300 l/m2
・hr・(Kg/cm2)、膜中にPVPとPEGがそれぞれ 3.5
重量%、 2.2重量%存在し、内表面緻密層に存在するP
VPとPSの重量比率は23/77、内表面緻密層に存在す
るPVPの重量比率と外表面層に存在するPVPの重量
比率の比は 2.1であった。
【0059】実施例3 PS17重量%、PEG34.0重量%、PVP 0.4重量%、
DMA 48.6 重量%を混合加熱攪拌して均一透明な製膜
原液を調製した。この製膜原液を45℃にて16時間静置
し、脱泡した後、外径 0.5mm、内径0.25mmの環状ノズル
より、DMA40重量%、ポリビニルピロリドン(GAF
社製、K−120 、重量平均分子量250 万) 1.5重量%、
水58.5重量%からなる内部凝固液とともに50℃で吐出
し、50℃、相対湿度80%に調整した空中に押し出した。
ドライゾーン長10cmの空中走行後、12m/min の速度で50
℃の水中に導いて凝固させた。この時のノズルドラフト
は 3.2であった。次いで、60℃の温水洗浄及び90℃の熱
水処理、90℃の5重量%グリセンリン水溶液中に5分間
浸漬した後、枠に捲きとり、乾燥して外径 280μm 、内
径 200μm の中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の
透水性能は 400 l/m2 ・hr・(Kg/cm2)、膜中にPVPと
PEGがそれぞれ 2.8重量%、 2.2重量%存在し、内表
面緻密層に存在するPVPとPSの重量比率は32/68 、
内表面緻密層に存在するPVPの重量比率と外表面層に
存在するPVPの重量比率の比は16.5であった。なお、
この中空繊維膜は乾燥後の膠着糸が皆無であり、安定に
製造することができた。
【0060】実施例4 PS17重量%、PEG20.4重量%、ビニルピロリドン・
酢酸ビニル共重合体(GAF社製、S630、以下「P
VP/VA」と略称する) 1.7重量%、DMA60.9重量
%を混合加熱攪拌して均一透明な原液を調製した。45℃
にて16時間静置し、脱泡した後、外径 0.5mm、内径0.25
mmの環状ノズルより、DMA40重量%、PVP/VA
0.5重量%、水59.5重量%からなる内部凝固液とともに5
0℃で吐出し、50℃、相対湿度80%に調整した空中に押
し出した。ドライゾーン長10cmの空中走行後、12m/min
の速度で50℃の水中に導いて凝固させた。この時のノズ
ルドラフトは 3.2であった。次いで、60℃の温水洗浄及
び90℃の熱水処理、30℃の10重量%エタノール水溶液中
に5分間浸漬した後に枠に捲きとり、乾燥して外径 280
μm 、内径 200μmの中空繊維膜を得た。得られた中空
繊維膜の透水性能は 480 l/m2 ・hr・(Kg/cm2)、膜中に
PVP/VAとPEGがそれぞれ 3.2重量%、 2.1重量
%存在し、内表面緻密層に存在するPVP/VAとPS
の重量比率は21/79 、内表面緻密層に存在するPVP/
VAの重量比率と外表面層に存在するPVP/VAの重
量比率の比は 1.7であった。なお、この中空繊維膜は乾
燥後の膠着糸が皆無であり、安定に製造することができ
た。
【0061】実施例5 PS17重量%、PEG10.2重量%、PVP 1.7重量%、
DMA71.1重量%を混合加熱攪拌して均一透明な原液を
調製した。45℃にて16時間静置し、脱泡した後、外径
0.5mm、内径0.25mmの環状ノズルより、DMA40重量
%、PVP 0.5重量%、水59.5重量%からなる内部凝固
液とともに50℃で吐出し、50℃、相対湿度80%に調整さ
れた空中に押し出した。ドライゾーン長10cmの空中走行
後、12m/minの速度で50℃の水中に導いて凝固させた。
この時のノズルドラフトは 3.2であった。次いで、60℃
の温水洗浄及び90℃の熱水処理、80℃の8重量%グリセ
リン水溶液中に10分間浸漬した後に枠に捲きとり、乾燥
して外径 280μm 、内径 200μmの中空繊維膜を得た。
得られた中空繊維膜の透水性能は 260 l/m2 ・hr・(Kg/
cm2)、膜中にPVPとPEGがそれぞれ 2.8重量%、
1.9重量%存在し、内表面緻密層に存在するPVPとP
Sの重量比率は15/85 、内表面緻密層に存在するPVP
の重量比率と外表面層に存在するPVPの重量比率の比
は 1.9であった。なお、この中空繊維膜は乾燥後の膠着
糸が皆無であり、安定に製造することができた。
【0062】比較例1 PS17重量%、PEG34.0重量%、DMA49.0重量%を
混合加熱攪拌して均一透明な原液を調製した。45℃にて
16時間静置し、脱泡した後、外径 0.5mm、内径0.25mmの
環状ノズルより、DMA40重量%、水60重量%からなる
内部凝固液とともに50℃で吐出し、50℃、相対湿度80%
に調整された空中に押し出した。ドライゾーン長10cmの
空中走行後、12m/min の速度で50℃の水中に導いて凝固
させた。この時のノズルドラフトは 3.2であった。次い
で、60℃の温水洗浄及び90℃の熱水処理を行った後に、
90℃のグリセリン10重量%水溶液に15分間膜を浸漬した
後に枠に捲きとり、乾燥して外径 280μm、内径 200μm
の中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の透水性能
は 800 l/m2 ・hr・(Kg/cm2)であった。
【0063】比較例2 PS17重量%、水 1.0重量%、PVPを 6.0重量%、D
MA76.0重量%を混合加熱攪拌して均一透明な原液を調
製した。45℃にて16時間静置し、脱泡した後、外径 0.5
mm、内径0.25mmの環状ノズルより、DMA40重量%、水
60重量%からなる内部凝固液とともに50℃で吐出し、50
℃、相対湿度80%に調整された空中に押し出した。ドラ
イゾーン長10cmの空中走行後、12m/min の速度で50℃の
水中に導いて凝固させた。この時のノズルドラフトは
3.2であった。次いで、60℃の温水洗浄及び90℃の熱水
処理、80℃の8重量%グリセリン水溶液中に10分間浸漬
した後に枠に捲きとり、乾燥して外径 280μm 、内径 2
00μmの中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の透水
性能は 80 l/m2・hr・(Kg/cm2)、膜中にPVPが5重量
%存在し、内表面緻密層に存在するPVPとPSの重量
比率は16/84、内表面緻密層に存在するPVPの重量比
率と外表面層に存在するPVPの重量比率の比は 0.7で
あった。なお、この中空繊維膜は乾燥後の膠着糸が非常
に多く、安定に製造することができなかった。
【0064】比較例3 実施例2の原液を用い、DMA40重量%、水60重量%か
らなる内部凝固液とともに50℃で吐出し、50℃、相対湿
度80%に調整された空中に押し出した。ドライゾーン長
10cmの空中走行後、12m/min の速度で50℃の水中に導い
て凝固させた。この時のノズルドラフトは 3.2であっ
た。次いで、60℃の温水洗浄及び90℃の熱水処理、90℃
の6重量%グリセリン水溶液中に5分間浸漬した後に枠
に捲きとり、乾燥して外径 280μm 、内径 200μmの中
空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の透水性能は600
l/m2・hr・(Kg/cm2)、膜中にPVPとPEGがそれぞれ
3.0重量%、 2.1重量%存在し、内表面緻密層に存在す
るPVPとPSの重量比率は 8/92、内表面緻密層に存
在するPVPの重量比率と外表面層に存在するPVPの
重量比率の比は 0.8であった。
【0065】比較例4 実施例2の方法で得られた中空繊維膜を60℃の温水洗浄
し、90℃の熱水処理を行った後、グリセリン水溶液中へ
浸漬することなく、枠に捲きとり、乾燥して外径 280μ
m 、内径 200μm の中空繊維膜を得たが、乾燥後の中空
繊維膜同士の膠着が多く、安定に製造することができな
かった。また得られた中空繊維膜の透水性能は 125 l/m
2 ・hr・(Kg/cm2)と極めて低く実用上問題がある。
【0066】実施例6 PS17重量%、PEG22.0重量%、PVP 1.7重量%、
ジメチルホルムアミド59.3重量%を混合加熱攪拌して均
一透明な原液を調製した。45℃にて16時間静置し、脱泡
した後、外径 0.7mm、内径 0.3mmの環状ノズルより、ジ
メチルホルムアミド59.5重量%、PVP 0.5重量%、水
40重量%からなる内部凝固液とともに30℃で吐出し、相
対湿度80%、50℃に調整された空中に押し出した。ドラ
イゾーン長10cmの空中走行後、10.5m/min の速度で50℃
の水中に導いて凝固させた。この時のノズルドラフトは
3.8であった。次いで、60℃の温水洗浄及び90℃の熱水
処理、75℃の 7.5重量%グリセリン水溶液中に10分間浸
漬した後に枠に捲きとり、乾燥して外径 360μm 、内径
230μm の中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜の透
水性能は850 l/m2・hr・(Kg/cm2)、膜中にPVPとPE
Gがそれぞれ 2.7重量%、 1.8重量%存在し、内表面緻
密層に存在するPVPとPSの重量比率は20/80、内表
面緻密層に存在するPVPの重量比率と外表面層に存在
するPVPの重量比率の比は 3.0であった。なお、この
中空繊維膜は乾燥後の膠着糸が皆無であり、安定に製造
することができた。
【0067】実施例7 実施例2、3、5と比較例1〜3で得られた中空繊維膜
を9700本束ね有効膜面積 1.7m2の人工腎臓用モジュール
を組み立てた。これらはすべてウェット状態で高圧蒸気
滅菌を行った。該モジュールを用いて、UFR(限外濾
過速度)および透析性能を日本人工臓器学会の性能評価
基準に基づいて測定した。またアルブミン、イヌリンの
ふるい係数の測定は、ハイパフォーマンスメンブレン研
究会に示された方法(腎と透析 別冊 27 167 (1989))
で行った。測定結果を表1に示す。表1から、実施例
2、3、5は透析性能等すべてに優れ、しかも残血(中
空繊維の閉塞による)が少なく抗血栓性に優れていた。
一方比較例1は透析性能等すべてに優れているが、抗血
栓性に問題がある。また比較例2、3は透析性能が低
く、かつ抗血栓性にも問題があった。
【0068】
【表1】
【0069】 urea; 尿素、inu.イヌリン、Alb;アルブミン 注1) 単位:ml/(min ・m2・mmHg) 注2) 残血:◎;殆ど無、〇;少 △;やや多い
×;多
【0070】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリスルホン中
空繊維膜は、特に生体適合性、延いては抗血栓性に優れ
るような親水性高分子の種類、含有量、存在形態を有
し、さらに高い透水性、シャープな分画性を有している
ので、本発明のポリスルホン系中空繊維膜を使用して体
液処理を行うと、例えば、血液透析においては、優れた
抗血栓性の効果により残血(中空繊維の閉塞による)が
ない、または非常に少ないので安全に透析治療が実施で
きる。また、持続的血液濾過(CAVH)のように長時
間連続的に濾過を行う治療においては、少量のヘパリン
投与で、血栓による中空繊維膜の閉塞がなく長時間安定
して治療に用いることができ、さらに、中分子量物質は
透過されるが、有用タンパク質であるアルブミンはほと
んど除去されないので、血液の膠質浸透圧が維持可能で
ある。また本発明によるポリスルホン系中空繊維膜の製
造方法は、原液の粘度調整が容易で、かつ中空繊維膜の
外表面層に存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量
比率が低いため、中空繊維膜の製造工程において、中空
繊維膜同士の膠着がなく安定に中空繊維膜を製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたポリスルホン系中空繊維膜
の外表面層の構造を示す10000倍のSEM写真である。
【図2】上記中空繊維膜の内表面緻密層の構造を示す10
000 倍のSEM写真である。
【図3】上記中空繊維膜の断面構造を示す1500倍のSE
M写真である。
【図4】上記中空繊維膜の外表面側の断面構造を示す10
000 倍のSEM写真である。
【図5】上記中空繊維膜の中央部の断面構造を示す1000
0 倍のSEM写真である。
【図6】上記中空繊維膜の内表面側の断面構造を示す10
000 倍のSEM写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 賢作 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社 クラレ内 (56)参考文献 特開 昭62−38205(JP,A) 特開 昭61−93801(JP,A) 特開 平1−94902(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 69/00 - 71/68

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスルホン系ポリマーからなる、内表
    面に緻密層をもつ非対称構造の中空繊維膜であって、該
    中空繊維膜はポリスルホン系ポリマーを主成分とし、少
    なくとも1重量%のポリグリコール類と1〜8重量%の
    ビニルピロリドン系ポリマーを含有し、かつ中空繊維膜
    の内表面の緻密層に存在するポリスルホン系ポリマーと
    ビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が90:10〜60:
    40で、しかも中空繊維膜の内表面の上記緻密層に存在す
    るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に
    存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少な
    くとも 1.1倍であることを特徴とするポリスルホン系中
    空繊維膜。
  2. 【請求項2】 上記ポリグリコール類がポリエチレング
    リコールである請求項1に記載のポリスルホン系中空繊
    維膜。
  3. 【請求項3】 上記ビニルピロリドン系ポリマーがポリ
    ビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重
    合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体、
    ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニルピロリド
    ン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体およ
    びこれらの変性ポリマーよりなる群から選ばれる請求項
    1または2に記載のポリスルホン系中空繊維膜。
  4. 【請求項4】 中空繊維膜の内表面の緻密層に存在する
    ビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に存
    在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少なく
    とも 1.5倍である請求項1ないし3の何れかに記載のポ
    リスルホン系中空繊維膜。
  5. 【請求項5】 中空繊維膜の内表面の緻密層に存在する
    ビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に存
    在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少なく
    とも 2.0倍である請求項1ないし4の何れかに記載のポ
    リスルホン系中空繊維膜。
  6. 【請求項6】 ポリスルホン系ポリマーと重量平均分子
    量 200〜 6,000のポリグリコール類および重量平均分子
    量が少なくとも10,000のビニルピロリドン系ポリマーと
    を混合溶解した製膜原液を環状オリフィスより吐出させ
    る工程と、 0.1〜4重量%のビニルピロリドン系ポリマ
    ーを含有する溶液を上記吐出原液の環状の流れの内部に
    供給してポリスルホン系中空繊維膜を形成する工程と、
    該製膜されたポリスルホン系中空繊維膜を、該ポリスル
    ホン系ポリマーに対して貧溶媒作用を有する溶液で処理
    して、中空繊維膜の内表面の緻密層に存在するビニルピ
    ロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に存在するビ
    ニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少なくとも 1.1
    倍となるように調整する工程とを含んでなることを特徴
    とするポリスルホン系中空繊維膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記ポリグリコール類がポリエチレング
    リコールである請求項6に記載のポリスルホン系中空繊
    維膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記ビニルピロリドン系ポリマーがポリ
    ビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重
    合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体、
    ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニルピロリド
    ン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体およ
    びこれらの変性ポリマーよりなる群から選ばれる請求項
    6または7に記載のポリスルホン系中空繊維膜の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 上記ポリスルホン系ポリマーに対して貧
    溶媒作用を有する溶液が水、アルコール類、エチレング
    リコール、プロピレングリコール、グリセリン、重量平
    均分子量 600以下のポリエチレングリコールよりなる群
    から選ばれる少なくとも1種の液体である請求項6ない
    し8の何れかに記載のポリスルホン系中空繊維膜の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 中空繊維膜の内表面の緻密層に存在す
    るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に
    存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少な
    くとも 1.5倍となるように、ポリスルホン系中空繊維膜
    を該ポリスルホン系ポリマーに対して貧溶媒作用を有す
    る溶液で処理して調整する請求項6ないし9に記載のポ
    リスルホン系中空繊維膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 中空繊維膜の内表面の緻密層に存在す
    るビニルピロリドン系ポリマーの重量比率が外表面層に
    存在するビニルピロリドン系ポリマーの重量比率の少な
    くとも2倍となるように、ポリスルホン系中空繊維膜を
    該ポリスルホン系ポリマーに対して貧溶媒作用を有する
    溶液で処理して調整する請求項6ないし10に記載のポリ
    スルホン系中空繊維膜の製造方法。
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