JP6201553B2 - 多孔質膜、多孔質膜を内蔵する浄水器および多孔質膜の製造方法 - Google Patents

多孔質膜、多孔質膜を内蔵する浄水器および多孔質膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、多孔質膜、多孔質膜を内蔵する浄水器および多孔質膜の製造方法に関する。特に、ウイルスを除去する多孔質膜に関する。
多孔質膜は、孔の大きさによって液体中の物質を篩い分けする膜分離に適しており、血液透析や血液ろ過などの医療用途、家庭用浄水器や浄水処理などの水処理用途、飲料品の除菌や果汁濃縮などの食品製造プロセスなど広い用途で用いられている。
なかでも、家庭用浄水器の分野においては、上下水道が完備されていない地域や発展途上国で、飲料用途とする水の中にウイルスや細菌が混入するリスクを回避するためにウイルス除去性能を有する家庭用浄水器が求められている。飲料用途とする水に混入リスクのあるウイルスのなかでも、ノロウイルスは経口感染によって食中毒をひきおこす。ノロウイルスが原因となる食中毒は、感染源の特定が困難な場合が多いが、飲料用途とする水が原因と疑われているケースが多くある。ノロウイルスはサイズが38nmと小さい。多孔質膜は大きさで物質を除去するため、小さい物質程除去性能が低下してしまう。また、ノロウイルスは感染力が強く、10〜100個のわずかな量でも人に感染する。そのため、食中毒を防ぐには高い除去性能が要求される。
すなわち、家庭用浄水器用途において、38nm以上の物質を、99.99%以上除去できる多孔質膜が求められている。
多孔質膜を用いて不純物の除去を行う浄水器は従来から広く用いられているが、除去目的が水道水中に含まれる悪臭物質や細菌であり、濾材として活性炭および精密濾過膜を用いたものが主流となっている。しかしながら、活性炭はウイルス吸着性能が低く、精密濾過膜は直径100nm以上の細菌や鉄錆びを除去ターゲットとしており、直径が38nmのウイルスを除去できない。
ウイルスを除去するために多孔質膜の孔を小さくすると透水性能が低下し、大量の水を短時間で得る必要のある浄水器用途では大きな問題となっていた。多孔質膜に求められるウイルス除去性能と透水性能は、多孔質膜の表面の孔径の影響を大きく受け、孔径が小さいとウイルス除去性能が上がるが透水性能が下がるという相反する関係にある。
また、家庭用浄水器用途においては、水道圧で使用されるため、高い水圧に耐える膜構造が必要となる。
多孔質膜の透水性能と除去性能を向上させるために、表面の孔を引き伸ばして孔の長径を短径に対して大きくする技術がある。多孔質膜の表面の孔を引き伸ばす方法として、多孔質膜が固化した後に延伸をかける方法と、多孔質膜が固化する前にドラフトをかける方法がある。
延伸をかけて製造された多孔質膜が特許文献1に開示されている。
ドラフトをかけて製造された多孔質膜が特許文献2、特許文献3に開示されている。
製膜原液の組成や製膜温度を調整し、相分離による孔の成長と凝固を制御することで、表面の孔を引き伸ばした形状にした多孔質膜が特許文献4、特許文献5に記載されている。
特開昭64−75015号公報 国際公開第2010/029908号公報 特開平6−165926号公報 国際公開第2010/074136号公報 特開平9−308685号公報
特許文献1には、延伸によって表面の孔の長径を短径の1.5倍以上にした多孔質膜に関する記載があるが、長径のバラツキについては記載も示唆もされていない。また、表面の孔の短径が3から30μmと大きく、ウイルスを除去することができない。
特許文献2には、ドラフトをかけて製造した表面の孔の短径と長径の比および開孔率が大きい浄水器用途の多孔質膜に関する記載がある。しかしながら、表面の孔の短径が1μmと大きくウイルスを除去することができない。また、孔径のバラツキについての記載がない。
特許文献3には、ドラフトをかけて製造した表面の孔の短径を1nmから50nmとした多孔質膜に関する記載がある。しかしながら、表面の孔の長径について記載がなく、孔径のバラツキに関しても明記されていない。
特許文献4には、表面の孔をスリット状にしてウイルスを除去する多孔質膜に関する記載がある。しかしながら、表面の孔の短径と長径およびバラツキに関して記載がない。表面の孔がスリット状の多孔質膜の性能は、透水性能が高いものの、ウイルス除去性能が低い。表面の孔の短径と長径を精密に制御しなければ、透水性能とウイルス除去性能の両方が高い多孔質膜は得られない。
特許文献5には、表面の孔の長径が短径の2倍以上で、短径が20nmから150nmの多孔質膜に関する記載がある。表面の短径が小さくウイルスをある程度除去可能である。表面の孔の短径を均一にするよう記載されているが、孔の長径のバラツキについては記載がない。表面の孔を引き伸ばす延伸やドラフトに関する記載がなく、孔の長径と短径のバラツキを精密に制御できていない可能性が高い。
本発明の目的は、ウイルス除去性能と透水性能を両立した多孔質膜を提供することにある。
本発明は上記課題を達成するために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明によれば、少なくとも一方の表面の孔の短径の平均値が10nm以上50nm以下であり、孔の短径の標準偏差が30nm以下であり、孔の長径の標準偏差が30nm以上150nm以下であり、孔の長径の平均値が短径の平均値の2.5倍以上である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、一方の表面の孔の短径の平均値が他方の表面の孔の短径の平均値よりも小さい多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記表面から膜厚方向に、下記式により円に換算した孔径が130nm以下の層が0.3μm以上20μm以下である多孔質膜が提供される。
式: 円に換算した孔径=(孔面積÷円周率) 0.5 ×2
また、本発明の好ましい形態によれば、前記表面の開孔率が1%以上、20%以下である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、非結晶性高分子からなる多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記非結晶性高分子がポリスルホン系高分子である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、多孔質膜中の親水性高分子量の重量平均分子量が2万以上8万以下である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、多孔質膜中の親水性高分子の含有量が1.5重量%以上8重量%以下である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、中空糸膜である多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、中空糸膜の内表面の孔の短径の平均値が外表面の孔の短径の平均値よりも小さい多孔質膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、ウイルスを除去する用途に用いられる多孔質膜が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、前記多孔質膜を内蔵する浄水器が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、スリットから製膜原液を吐出し、乾式部を通過後に凝固浴で固化させる多孔質膜の製造方法において、ドラフト比が1.7以上5.0以下であり、製膜原液中の親水性高分子の重量平均分子量が2万以上8万以下である多孔質膜の製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、乾式部の通過時間が0.05以上0.40秒以下である多孔質膜の製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、乾式部において貧溶媒を含有する凝固液と製膜原液が接触する多孔質膜の製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、製膜原液中の親水性高分子の濃度が、主として多孔質膜を構成する高分子の濃度の30%以上70%以下である多孔質膜の製造方法が提供される。
本発明によれば、以下に説明するとおり、ウイルス除去性能と透水性能を両立した多孔質膜を提供することができる。例えば、浄水器に内蔵することで、コンパクト性に優れ、水中の病原ウイルスを除去した安全な水を短時間で大量に得ることができる。
実施例1の方法により製造した多孔質膜の内表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1の方法により製造した多孔質膜の内表面のSEM像を二値化した図である。
本発明において鋭意検討の結果、少なくとも一方の表面の孔の短径の平均値が10nm以上50nm以下であり、孔の短径の標準偏差が30nm以下であり、孔の長径の標準偏差が30nm以上150nm以下であり、孔の長径の平均値が短径の平均値の2.5倍以上であることを特徴とする多孔質膜が、ウイルス除去性能と透水性能が高いことを見出した。
多孔質膜は除去対象物質を大きさによって篩い分けするため、ウイルス除去性能は表面の短径に依存する。孔によるサイズ篩いは、実際の孔径よりも大きなサイズまで効果を発揮するため、直径38nmのノロウイルスを充分に除去するには、表面の孔の短径の平均値50nm以下であること必要であり、38nm以下がより好ましい。さらにはバラツキを考慮して30nm以下がより好ましい。一方で、表面の孔の短径の平均値が小さいと透水性能が著しく低下するため、10nm以上が必要であり、15nm以上が好ましい。
表面の孔の短径にはバラツキがあり、短径の大きい孔があるとウイルスの除去性能が低下する。ウイルス除去のように高い除去性能が求められる場合には、特にバラツキを小さくする必要がある。そのため、ウイルス除去性能を上げるには表面の孔の短径は平均値だけでなくバラツキについても考慮する必要があり、孔の短径のバラツキを示す標準偏差は30nm以下が必要であり、15nm以下がより好ましい。表面の孔の短径のバラツキを小さくするには、表面の孔を引き伸ばすことが有効である。表面の孔を引き伸ばすと、孔の大きいものほど変形しやすいため、変形量を大きくすると大きい孔の短径はより小さくなり、小さい孔の短径はあまり変わらず、短径のバラツキが低減する。
表面の孔の短径を維持して長径を大きくすることで、ウイルス除去性能を維持したまま、水の透過抵抗が減って透水性能が向上する。長径の平均値が短径の平均値に対して大きい程、ウイルス除去性能に対する透水性能が大きくなる。そのため、表面の孔の長径の平均値が短径の平均値の2.5倍以上が必要であり、3.0倍以上がより好ましい。また、膜構造の強度の観点から、表面の孔の長径の平均値が短径の平均値の10倍以下が好ましく、8倍以下がより好ましい。
表面の孔の長径の平均値を短径の平均値に対して大きくする方法としては、孔を引き伸ばす方法が有効であり、多孔質膜が固化した後に引き伸ばす延伸法や、ドラフト比を大きくして多孔質膜が固化する前に引き伸ばす方法がある。ドラフト比を大きくする方法が、多孔質膜の製膜方法や素材の限定を受けることなく、広範に適用可能なため好ましい。延伸法は、多孔質膜の強度が強くないと適用できないため、膜素材が結晶性高分子などに限定される。
ドラフト比とは、多孔質膜の引き取り速度をスリットからの吐出線速度で除した値である。吐出線速度は、吐出流量をスリットの断面積で除した値である。ドラフト比を上げるには、引き取り速度を上げる、スリットの断面積を増やす、吐出流量を減らすといった方法がある。多孔質膜の形を変えずに延伸倍率を上げることが可能な、スリットの断面積を増やす方法が好ましい。引き取り速度を上げる方法と、吐出流量を減らす方法では、多孔質膜の断面積が減少するため、多孔質膜の物理的強度の低下が懸念される。
表面の孔の短径の平均値に対して長径の平均値を大きくすると、表面の構造強度が低くなる。表面の孔は引き伸ばされて形成されるため、孔は一方向に並行して存在する。長径の大きい孔が多数並ぶと、短径方向の繋がりが少ないので構造部分が細長くなり、構造強度が低くなる。多孔質膜の表面の構造強度が低いと、多孔質膜の使用時に、水圧によって破損や孔径の拡大がおこり、ウイルス除去性能が低下することがある。特に、50kPa以上の高い水圧でウイルス除去性能の達成が困難となる。表面の構造強度を上げるには、表面の開孔率を下げる、孔の短径に対して長径を小さくする、膜厚断面方向の緻密な層を厚くすることが有効だが、いずれの方法でも、透水性能が低下してしまう。
従来技術では、表面の孔の短径の平均値に対して長径の平均値が大きい多孔質膜において、高圧条件でウイルス除去性能の高い膜を得るのは困難であった。本発明者らは、多孔質膜の表面の構造強度を高くするためには、長径のバラツキを大きくすることが有効であることを見出した。長径の長い孔と短い孔を共存させることで、構造体が短径方向にも繋がって網目状になるため、構造強度が保たれるのである。このように、表面の孔の短径と長径の比と、長径のバラツキを制御することで、透水性能と構造強度を両立することが可能となる。表面の孔の長径の標準偏差は30nm以上が必要であり、40nm以上が好ましい。一方で、孔の長径のバラツキが大きすぎると、多孔質膜の性能バラツキが大きくなり、一定の性能が得られなくなる。そのため、表面の孔の長径の標準偏差は150nm以下が必要であり、100nm以下がより好ましい。
表面の孔の長径のバラツキを大きくするには、孔径バラツキの大きい孔を引き伸ばせばよい。表面の孔を引き伸ばすと、孔の大きいものほど変形しやすいため、変形量を大きくすると大きい孔の長径はより大きくなり、小さい孔の長径はあまり変わらず、長径のバラツキが大きくなる。引き伸ばす前の孔径のバラツキを大きくするには、造孔剤として製膜原液に添加する親水性高分子の重量平均分子量分布を大きくして相分離を不均一にすることや、相分離を進行させて表面の孔の成長を促進することが有効である。相分離が進行すると孔同士の融合によって孔が成長するため、孔の成長が衝突の確率によって偏り、形成される孔の大きさが不均一になる。相分離を進行させるには、製膜原液の組成、凝固液の組成、相分離過程の温度、固化までの時間などを調整すればよい。
親水性高分子の平均重量分子量が大きいことが有効であり、親水性高分子の平均重量分子量は2万以上が好ましい。一方で、製膜原液に添加する親水性高分子は、多孔質膜の形成過程において、孔と構造体の界面で局所的に濃度が高まる。表面の孔を引き伸ばす際に、親水性高分子の分子量が小さいと、構造体中の高分子と親水性高分子との分子鎖のからみつきが減少し、孔を引き伸ばす際に変形しやすくなる。そのため、多孔質膜に含まれる親水性高分子の平均重量分子量は8万以下が好ましく、5万以下がより好ましい。
多孔質膜に含まれる親水性高分子の平均重量分子量は、例えば次の方法で測定可能である。多孔質膜を溶媒で溶解し、親水性高分子の溶解度が高く、多孔質膜の構造体となる高分子の溶解度が低い溶媒で抽出する。抽出液中の親水性高分子の重量平均分子量をゲル濾過クロマトグラフィなどで測定する。このときの抽出条件などは、多孔質膜の構造体となる高分子と親水性高分子の組み合わせによって適宜変更すればよいが、親水性高分子の抽出率を高くすることで、より正確な重量平均分子量を測定できる。
製膜原液に貧溶媒を添加することで、相分離の進行が促進され、孔の長径のバラツキが大きくなる。製膜原液の組成や貧溶媒の種類によって最適な範囲は異なるが、貧溶媒として水を用いる場合、製膜原液中の水含有量は0.5%以上が好ましく、0.8%以上が好ましい。一方で、製膜原液中の貧溶媒の量が多いと、製膜原液が固化してしまうため、水含有量は3%以下が好ましい。
孔の長径および短径は、表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像から測定することができる。短径は短軸方向に最も長い直径であり、長径は長軸方向に最も長い直径である。SEMの観察において倍率50000倍で確認できる孔について、1μm×1μmの範囲の全ての孔について計測する。計測した孔の総数が50個未満の場合は、計測した孔の総数が50個以上になるまで、1μm×1μmの範囲の計測を繰り返して、データを追加する。計測結果から平均値および標準偏差を算出する。
多孔質膜の表面の開孔率が高い程、水の流路が増えるので透水性能が高くなる。一方で、開孔率を低くすると、表面の構造強度が上がり多孔質膜を50kPa以上の高い水圧で使用する際の、水圧による破損や孔径の拡大を抑制できる。
そのため、多孔質膜の表面の開孔率は1%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。一方で、開孔率は20%以下が好ましく、8%より低いことがより好ましい。
開孔率を高くするには、製膜原液に添加する親水性高分子の量を増やすことが有効である。
表面の開孔率は多孔質膜表面をSEMで観察した像から測定できる。10000倍で観察した像を画像処理して構造部分と孔の部分で二値化し、その測定面積に対する孔の部分の面積の百分率を算出して開孔率とする。
多孔質膜の膜厚方向断面の構造は、孔径が実質的に変化しない対称膜構造と、孔径が連続的あるいは不連続に変化し、一方の表面、内部、他方の表面で孔径が異なっている非対称膜構造に大別される。このうち非対称膜構造は、サイズ排除のための孔径が小さい層が薄いため、水の透過抵抗が小さく透水性能が高くなる。そのため、膜厚方向断面の構造は非対称膜構造が好ましい。
非対称性が高い程、透水性能に有利になる。非対称性は、膜厚方向断面における表層と中央層の平均孔径の差で表すことができる。膜厚方向断面の孔径は、表面とは異なり、短径、長径まで制御する必要はない。画像処理などにより孔の面積を算出し、円に換算したときの直径を孔径とした。多孔質膜の中央層の平均孔径が、少なくともどちらか一方の表層の平均孔径の1.5倍以上になることが好ましく、2倍以上がより好ましい。中央層とは、中央から各表面に1μmずつ計2μmの厚みの層とし、表層は、表面から膜厚方向に2μmの層とする。
非対称膜構造では、膜厚方向断面において、孔の短径の小さい表面側にウイルス除去に寄与できる孔径の緻密層があることで、ウイルス除去性能が上がる。ウイルスが厚み方向に段階的に除去される深層濾過がおこり、孔径の効果以上にウイルスを除去できる。1つの表面のみで99.99%の高いウイルス除去率を達成するには、孔の短径のバラツキを抑えた小さい孔が必要であり、制御が難しく透水性能が著しく小さくなる。緻密層でのウイルス除去によって、表面の孔に要求されるウイルス除去性能は低くなり、ある程度の孔径のバラツキを許容でき孔径も大きくできるため、透水性能を高くすることができる。また、緻密層が厚いと表面の構造が厚み方向の構造によっても保持されるため、表面の構造強度が上がり、50kPa以上の高い水圧で多孔質膜を使用する際に、水圧による破損や孔径の拡大が抑制される。飲料水に混入して胃腸炎の原因となるノロウイルスは直径が38nmである。直径38nmのノロウイルスの除去に寄与できる孔径は130nmである。一方で、緻密層の厚みが小さいと、透過抵抗が少なく透水性能が上がる。本発明において、緻密層とは、孔径130nm以下の層とした。表面から膜厚方向に孔径が130nm以下の層は0.3μm以上が好ましい。一方で、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
緻密層でのウイルス除去の効果を充分に発揮するには、水を表面の孔の短径の平均値が大きい側から表面の孔の短径の平均値が小さい側に向けて膜ろ過することが好ましい。
緻密層の厚みは、多孔質膜の断面をSEMで観察した像から測定することができる。断面の孔は不定形なので、画像処理によって観察した孔の面積を求め、円に換算して孔径を求める。膜厚方向で表面から最も近い、孔径が130nm以上の孔を特定し、表面からその孔までの長さを測定する。
緻密層を厚くするには、主として膜を構成する高分子の製膜原液中の濃度を上げて多孔質膜全体の孔径を小さくすることや、製膜原液の粘度を上げて相分離による孔の成長を抑制することや、製膜原液の固化を促進して孔径を小さくすることが有効である。
また、両側に緻密層を有する構造であってもよく、両側に緻密層があれば、除去層が二層になるためウイルス除去率が向上する。
多孔質膜の素材としては、非結晶性高分子が好適に用いられる。非結晶性高分子とは、結晶化しない高分子であり、示差走査熱量計の測定で結晶化による発熱ピークがない高分子である。
非結晶性高分子は構造変形をおこしやすいため、孔を引き伸ばす効果が高くなる。また、膜厚方向の構造制御が容易になる。非結晶性高分子を素材とした多孔質膜は、非結晶性高分子を溶媒に溶解して調整した製膜原液を、熱や貧溶媒によって相分離を誘起し、溶媒成分を除去することで得られる。溶媒に溶解している非結晶性高分子は運動性が高く、相分離時に凝集して濃度が高まり緻密な構造となる。膜厚方向で相分離の速度を変更することで、膜厚方向に孔径が異なる構造の膜を得ることができる。
多孔質膜の素材となる非結晶性高分子の例としては、アクリル系高分子、酢酸ビニル系高分子、ポリスルホン系高分子などがあげられる。なかでもポリスルホン系高分子が、孔径を制御しやすいことから好適に用いられる。本発明でいうポリスルホン系ポリマーは、主鎖に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基をもつもので、例えば、次式(1)、(2)の化学式で示されるポリスルホンが好適に使用されるが、本発明ではこれらに限定されない。式中のnは、例えば50〜80の如き整数である。
ポリスルホンの具体例としては、ユーデル(登録商標)ポリスルホンP−1700、P−3500(ソルベイ社製)、ウルトラゾーン(登録商標)S3010、S6010(BASF社製)、ビクトレックス(登録商標)(住友化学)、レーデル(登録商標)A(ソルベイ社製)、ウルトラゾーン(登録商標)E(BASF社製)等のポリスルホンが挙げられる。又、本発明で用いられるポリスルホンとしては上記式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位のみからなるポリマーが好適ではあるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマーと共重合していても良い。特に限定するものではないが、他の共重合モノマーは10重量%以下であることが好ましい。
製膜原液に親水性高分子を添加することで、多孔質膜に親水性高分子が含有され、水濡れ性が上がり透水性能が高くなる。そのため、多孔質膜中に親水性高分子が1.5wt%以上含まれていることが好ましい。一方で、多孔質膜中の親水性高分子の含有量を低くすることで、溶出物が少なくなるため8wt%以下が好ましい。
親水性高分子の含有量は、ポリマーの種類によって測定方法を選定する必要があるが、元素分析などの方法で測定することができる。
特に限定しないが、親水性高分子の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、およびそれらの誘導体などがあげられる。また、他のモノマーと共重合していても良い。
多孔質膜の素材や溶媒との親和性によって適宜選択すればよいが、多孔質膜の素材がポリスルホン系高分子の場合、相溶性が高いことからポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
多孔質膜の形態としては、用途に応じて平膜、管状膜、中空糸膜などから適宜選択すればよい。特に限定しないが、体積あたりの膜面積が大きくなり大面積の膜をコンパクトに収納できることが可能な中空糸膜が好ましい。中空糸膜は、二重管口金の内側の円管から注入液または注入気体を流し、外側のスリットから製膜原液を吐出することで作られる。この際に、注入液の貧溶媒濃度や温度または注入気体の温度を変更することで、中空糸膜の内表面の構造を制御することができる。ウイルス除去性能への影響が大きい、孔の短径の平均値の小さい側の表面の構造を制御しやすくするため、中空糸膜の内表面の孔の短径の平均値が外表面の孔の短径の平均値よりも小さいことが好ましい。
多孔質膜の膜厚は使用用途の圧力によって適宜決めればよいが、浄水器に用途では、水道圧に耐えるよう、膜厚は60μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。一方で、膜厚が小さいほど水の透過抵抗が下がり透水性能が上がるため、膜厚は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
多孔質膜が中空糸膜の場合は、耐圧性は膜厚と内径の比に相関を示し、膜厚と内径の比が大きいと、耐圧性が高くなる。内径を小さくすると、浄水器を小型にすることができ、耐圧性も向上する。しかしながら、内径を小さくするには製膜時に絞り込む必要があり、内径にしわがよった星型糸が発生しやすくなる。星型糸では相分離が不均一になるため、孔径のバラツキが大きくなり、ウイルス除去性能が低下する。浄水器を小型にし、かつウイルス除去性能、透水性、耐圧性を上げるには、中空糸膜の膜厚は50μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましい。一方で、240μm以下が好ましく、190μm以下がより好ましい。また、中空糸膜の膜厚/内径は0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。一方で、中空糸膜の膜厚/内径は1.00以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
本発明は、ウイルス除去性能と透水性能が高い多孔質膜なので、ウイルスを除去する用途に好適に用いられる。また、浄水器に内蔵する多孔質膜のように短時間で大量の水を処理する用途に好適に用いられる。
本発明の多孔質膜は、特に限定しないが、スリットから製膜原液を吐出し、気相からなる乾式部を通過後に凝固浴で固化させることで得られる。熱で相分離を誘起する場合は、乾式部で冷却した後に凝固浴で急冷して固化させる。貧溶媒で相分離を誘起する場合は、製膜原液に貧溶媒を含有する凝固液と接触させて吐出し、貧溶媒からなる凝固浴で固化させる。貧溶媒で相分離を誘起する方法では、膜厚方向には貧溶媒は拡散によって供給されるため、膜厚方向で貧溶媒の濃度差が生じ、非対称構造となりやすい。そのため、乾式部において貧溶媒を含有する凝固液と製膜原液が接触することが好ましい。
凝固液を貧溶媒と良溶媒の混合液として濃度を調製すれば、凝固性が変わり、表面の孔の径を変えることができる。
貧溶媒とは、製膜温度において、主として膜を構成する高分子を溶解しない溶媒である。貧溶媒としては、特に限定しないが、水が好適に用いられる。良溶媒としては特に限定しないが、N,N−ジメチルアセトアミドが好適に用いられる。
凝固液の組成の好適な範囲は、製膜原液の組成や貧溶媒と良溶媒の種類などの条件によっても代わるが、例えば貧溶媒濃度は50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましい。一方で、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましい。
ドラフト比を上げて固化前に引き伸ばすことで、表面の孔の長径を短径に対して長くすることができる。固化する前なので、延伸法で問題となる破断や亀裂の発生がおこらない。ドラフト比は1.7倍以上が必要であり、2倍以上がより好ましい。一方で、ドラフト比が大きすぎると、糸切れの発生につながるため、ドラフト比は5以下にすることが必要であり、4以下が好ましい。
粘度が高いと延伸応力が増し、表面の孔を引き伸ばす効果が増して孔の短径に対して長径を長くすることができる。相分離の進行とともに粘度が上昇するため、乾式部の通過間を延ばして相分離を進行する時間を延長することで、粘度を増した状態で引き伸ばすことができる。製膜原液の組成や温度などの相分離の進行に影響する条件にもよるが、乾式部の通過時間は0.05秒以上が好ましく、0.14秒以上がより好ましい。一方で、0.40秒以下が好ましく、0.35秒以下がより好ましい。
製膜原液の粘度を上げるためには、主として多孔質膜を構成する高分子および/または親水性高分子の増量や増粘剤を添加してもよく、吐出温度を下げてもよい。製膜原液の粘度は、吐出温度で0.5Pa・s以上が好ましく、1.0Pa・s以上がより好ましい。一方で、製膜原液の粘度が低いほど、吐出圧が下がり、吐出が安定化して均一な多孔質膜が得られるため、20Pa・s以下が好ましく、15Pa・s以下がより好ましい。
製膜原液に添加する親水性高分子量が多いと、多孔質膜の孔の形成過程において、孔と構造の界面の親水性高分子量が増し、構造中の高分子の分子鎖のからみつきが増して孔の変形が抑制される。一方で、親水性高分子の量を増やすことで、孔の数が増えて多孔質膜の表面の開孔率が上がる。そのため、製膜原液中の親水性高分子の濃度が、主として多孔質膜を構成する高分子の濃度の70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。一方で、親水性高分子の濃度を上げることで、表面の開孔率が増加するため、主として多孔質膜を構成する高分子の濃度の30%以上が好ましく、36%以上がより好ましい
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)透水性能の測定
多孔質膜が中空糸膜の場合の測定例を示す。
直径5mm、長さ17cmのハウジングに中空糸膜を外表面の膜面積が0.004mとなるように充填した。膜面積は下記の式で算出される。
膜面積(m)=外径(μm)×π×17(cm)×糸本数×0.00000001
両端をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤“クイックメンダー”でポッティングし、カットして開口することによって、中空糸膜モジュールを作製する。次いで、該モジュールの中空糸膜およびモジュール内部を蒸留水にて、100ml/minで1 時間洗浄した。中空糸膜外側に水圧13kPaをかけ、内側へ流出してくる単位時間当たりの濾過量を測定した。透水性能(UFR)は下記の式で算出した。
UFR(ml/hr/Pa/m)=Q/(P×T×A)
ここで、Q:濾過量(mL)、T:流出時間(hr)、 P:圧力(Pa)
(2)ウイルス除去性能の測定
多孔質膜が中空糸膜である場合の測定例を示す。
(1)の評価を終えたモジュールを使用して評価した。
ウイルス原液は、大きさが約25nmのバクテリオファージMS−2(BacteriophageMS−2 ATCC 15597−B1)を約1.0×10PFU/mlの濃度を含有する様に蒸留水中で調製した。ここで蒸留水は純水製造装置オートスチル(ヤマト科学製)の蒸留水を121℃で20分間高圧蒸気滅菌したものを用いた。温度約20℃、濾過差圧50kPaの条件でウィルス原液を外表面から中空部に向けて送液し、全ろ過した。濾過液の採取は、透過液の150mlを破棄した後、測定用の透過液を約5ml採取し、0、100、10000、100000倍に蒸留水で希釈した。Overlay agar assay、Standard Method 9211−D(APHA、1998、Standard methodsfor the examinationof water and wastewater, 18thed.)の方法に基づいて、希釈した透過液1mlを検定用シャーレに接種し、プラークを計数することによってバクテリオファージMS−2の濃度を求めた。プラークとは、ウイルスが感染して死滅した細菌の集団で、点状の溶菌斑として計数することができる。ウイルス除去性能をウイルス対数除去率(LRV)で表した。例えばLRV2とは−log10x=2すなわち0.01のことであり、残存濃度が100分の1(除去率99%)であることを意味する。また透過液中にプラークがまったく計測されない場合、LRV7.0とした。
バクテリオファージMS−2でウイルス対数除去率を測定すれば、より直径が大きい飲料水に混入するウイルスの除去性能を担保することになる。
(3)表面の孔径の測定
多孔質膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)(S−5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)にて50000倍で観察し、像をコンピュータに取り込んだ。多孔質膜が中空糸膜で、その内表面を観察する際には、中空糸膜を半円状に切断して観察を行った。
孔の短径は短軸方向に最も長い直径、長径は長軸方向に最も長い直径とした。1μm×1μmの範囲の全ての孔について計測した。計測した孔の総数が50個以上になるまで、1μm×1μmの範囲の計測を繰り返して、データを追加した。孔が深さ方向に二重に観察された場合は、深い方の孔の露出部で測定した。孔の一部が計測範囲から外れる場合は、その孔を除外した。短径と長径の差が大きく、全ての孔の長径が計測範囲に収まらない場合は、計測範囲を広げて2μm×1μmにした。1枚のSEM画像に長径が収まらない場合は、連続した2枚のSEM画像を合成して、計測を行った。短径と長径についてそれぞれの平均値と標準偏差を算出した。
(4)表面の開孔率の測定
多孔質膜の表面を走査型電子顕微鏡SEM(S−5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)にて10000倍で観察し、像をコンピュータに取り込んだ。(3)の測定で用いた試料で観察を行った。SEM像を6μm×6μmの範囲に切り取り、画像処理ソフトにて画像解析を行った。二値化処理によって構造体部分を明輝度に、それ以外の部分が暗輝度となるように閾値を決め、明輝度部分を白、暗輝度部分を黒とした画像を得た。画像内のコントラストの差によって、構造体部分とそれ以外の部分を分けられない場合、コントラストが同じ部分で画像を切り分けてそれぞれ二値化処理をした後に、元の通りに繋ぎ合わせて一枚の画像に戻した。または、構造体部分以外を黒で塗りつぶして画像解析をしてもよい。画像にはノイズが含まれ、連続したピクセル数が5個以下の暗輝度部分については、ノイズと孔の区別がつかないため、構造体として明輝度部分として扱った。ノイズを消す方法としては、連続したピクセル数が5以下の暗輝度部分をピクセル数の計測時に除外した。または、ノイズ部分を白く塗りつぶしてもよい。暗輝度部分のピクセル数を計測し、解析画像の総ピクセル数に対する百分率を算出して開孔率とした。10枚の画像で同じ測定を行い、平均値を算出した。
(5)断面の孔径の測定
多孔質膜の断面をSEM(S−5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)にて10000倍で観察し、像をコンピュータに取り込んだ。多孔質膜を水に5分間つけて濡らした後に液体窒素で凍結して速やかに折り、断面の観察試料とした。SEMで観察して断面の孔が閉塞している場合は試料作成をやりなおした。孔の閉塞は、切断処理時に応力方向に多孔質膜が変形しておこる場合がある。SEM像を膜厚方向に2μm、多孔質膜の表面と平行に6μmの範囲に切り取り、画像処理ソフトにて画像解析を行った。断面中央層の測定は、膜厚方向の中央から各表面に1μmずつ計2μmの範囲で行った。表層の測定は、表面から膜厚方向に2μmの範囲で行った。SEM像を二値化処理によって構造体部分を明輝度に、それ以外の部分が暗輝度となるように閾値を決め、明輝度部分を白、暗輝度部分を黒とした画像を得た。画像内のコントラストの差によって、構造体部分とそれ以外の部分を分けられない場合、コントラストが同じ部分で画像を切り分けてそれぞれ二値化処理をした後に、元の通りに繋ぎ合わせて一枚の画像に戻した。または、構造体部分以外を黒で塗りつぶして画像解析をしてもよい。画像にはノイズが含まれ、連続したピクセル数が5個以下の暗輝度部分については、ノイズと孔の区別がつかないため、構造体として明輝度部分として扱った。ノイズを消す方法としては、連続したピクセル数が5以下の暗輝度部分をピクセル数の計測時に除外した。または、ノイズ部分を白く塗りつぶしてもよい。孔が深さ方向に二重に観察された場合は、浅い方の孔で測定した。孔の一部が計測範囲から外れる場合は、その孔を除外した。画像内で既知の長さを示しているスケールバーのピクセル数を計測し、1ピクセル数あたりの長さを算出した。暗輝度部分のピクセル数を計測し、1ピクセル当たりの長さを乗することで、孔面積を求めた。孔の平均面積を計測し、下記式で円に換算した孔径を算出した。
孔径=(孔面積÷円周率)0.5×2
5箇所で同じ測定を行い、平均値を算出した。表層の孔径に対する中央層の孔径の倍率を算出した。
(6)緻密層厚みの測定
多孔質膜の断面をSEM(S−5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)にて10000倍で観察し、像をコンピュータに取り込んだ。(5)の測定で用いた試料で観察を行った。SEM像を多孔質膜の表面と平行に6μm、膜厚方向に任意の長さとなるように切り取り、画像処理ソフトにて画像解析を行った。解析範囲の膜方向の長さは、緻密層がおさまる長さであればよい。測定倍率の観察視野で緻密層がおさまらない場合は、緻密層がおさまるように2枚以上のSEM像を合成した。二値化処理によって構造体部分を明輝度に、それ以外の部分が暗輝度となるように閾値を決め、明輝度部分を白、暗輝度部分を黒とした画像を得た。画像内のコントラストの差によって、構造体部分とそれ以外の部分を分けられない場合、コントラストが同じ部分で画像を切り分けてそれぞれ二値化処理をした後に、元の通りに繋ぎ合わせて一枚の画像に戻した。または、構造体部分以外を黒で塗りつぶして画像解析をしてもよい。孔が深さ方向に二重に観察された場合は、浅い方の孔で測定した。孔の一部が計測範囲から外れる場合は、その孔を除外した。画像にはノイズが含まれ、連続したピクセル数が5個以下の暗輝度部分については、ノイズと孔の区別がつかないため、構造体として明輝度部分として扱った。ノイズを消す方法としては、連続したピクセル数が5以下の暗輝度部分をピクセル数の計測時に除外した。または、ノイズ部分を白く塗りつぶしてもよい。画像内で既知の長さを示しているスケールバーのピクセル数を計測し、1ピクセル数あたりの長さを算出した。孔のピクセル数を計測し、1ピクセル当たりの長さを乗することで、孔面積を求めた。円に換算して直径が130nmとなる孔面積が1.3×10(nm)以上の孔を特定し、その孔がない層を緻密層として、表面から垂直方向に緻密層の厚みを測定した。緻密層が表面に接している場合は、表面から最も近い孔径130nm以上の孔と表面の距離である。緻密層が表面に接しておらず緻密層と表面の間に孔径130nm以上の孔が存在する場合は、表面から垂直方向に最も近い孔径130nm以上の孔から、2番目に近い孔径130nm以上の孔との距離である。同じ画像の中で5箇所測定を行った。10枚の画像で同じ測定を行い、計50の測定データの平均値を算出した。
(7)元素分析
多孔質膜3gを凍結乾燥させ、全自動元素分析装置varioEL(エレメンタール社)にて、試料分解路950℃、還元炉500℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量20〜25ml/minで測定を行った。構造ポリマーとしてポリスルホン、親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合、測定された窒素含有量(w(wt%))から、親水性高分子の含有量(w(重wt%))は、下記式で計算して求めた。
=w×111/14
[実施例1]
ポリスルホン(ソルベイ社製ユーデルポリスルホン(登録商標)P−3500)20重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30重量平均分子量4万)11重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド68重量部と水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で6時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を二重管円筒型口金の環状スリットから吐出した。環状スリットの外径は0.59mm、内径は0.23mmとした。注入液としてN,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水28重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。口金は40℃に保温した。吐出された製膜原液は、露点26℃(温度30℃、湿度80%)の乾式部110mmを0.14秒で通過した後、40℃の水浴(凝固浴)に導き固化させた後に、凝固浴外の第1ローラーで40m/minの速度で引き取り、50℃の水浴で水洗し、40.5m/minでカセに巻き取った。長手方向に20cmに切断し、80℃で5時間熱水洗浄を行った後に100℃で2時間熱処理した。原液の吐出量と注入液の吐出量を調整することで、熱処理後の糸径が内径180μm、膜厚90μmの中空糸膜状の多孔質膜が得られた。ドラフト比は2.3だった。製膜原液の粘度は4.1Pa・sだった。
内表面の孔の短径に対して長径を大きくするために、口金の環状スリットの断面積を大きくしてドラフト比を高くした。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、内表面側の緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。本実施例の方法により製造した多孔質膜の内表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示した。
内表面の孔の短径の平均値と標準偏差が小さく、孔の短径に対して長径が大きく、孔の長径の標準偏差が大きく、開孔率が高く、非対称膜構造で、緻密層が厚い多孔質膜が得られた。高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。。
[実施例2]
注入液にN,N’−ジメチルアセトアミド73重量部および水27重量部からなる溶液を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は2.3だった。
実施例1に比較して、注入液の良溶媒濃度を上げることで、内表面の短径を大きくして透水性を上げた。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の最大孔径、断面の孔径の測定、内表面側の緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様に、高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。
[実施例3]
口金の温度を30℃に保温する以外は実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は2.3だった。製膜原液の粘度5.9Pa・sだった。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、内表面側の緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様に、高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。
[実施例4]
口金の環状スリットの外径は0.73mm、内径は0.23mmとし、注入液にN,N’−ジメチルアセトアミド75重量部および水25重量部からなる溶液を用い、乾式部を70mmにし、引き取り速度を30m/minにし、巻き取り速度を30.5m/minにし、内径177μm、膜厚92μmとした以外は、実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は3.7だった。
実施例1に比べて、環状スリットの断面積が大きいためドラフト比は高いが、一方で乾式部が短いため、内表面の孔の短径に対して長径は小さくなった。しかしながら、高圧条件のウイルス除去性能と透水性能が充分得られる孔形状となっている。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様に、高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。
[実施例5]
口金の温度を30℃に保温し、口金の環状スリットの外径は0.48mm、内径は0.23mmとし、注入液にN,N’−ジメチルアセトアミド69重量部および水31重量部からなる溶液を用い、乾式部を70mmにし、引き取り速度を30m/minにし、巻き取り速度を30.5m/minにし、内径180μm、膜厚91μmとした以外は、実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は1.8だった。
実施例1に比べて、口金の環状スリットの断面積を小さいためドラフト比が低く、乾式部も短いため、内表面の孔の短径に対して長径は小さくなった。しかしながら、高圧条件のウイルス除去性能と透水性能が充分得られる孔形状となっている。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様に、高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。
[実施例6]
口金の温度を30℃に保温し、口金の環状スリットの外径は0.62mm、内径は0.37mmとし、注入液にN,N’−ジメチルアセトアミド75重量部および水25重量部からなる溶液を用い、乾式部を70mmにし、引き取り速度を30m/minにし、巻き取り速度を30.5m/minにし、内径232μm、膜厚71μmとした以外は実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は2.9だった。
実施例1と比較して、口金の環状スリットの断面積を小さいが膜の断面積が小さいためドラフト比は高い。一方で乾式部が短いため、内表面の孔の短径に対して長径は小さくなった。しかしながら、高圧条件のウイルス除去性能と透水性能が充分得られる孔形状となっている。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様に、高圧条件でウイルス除去性能と透水性能に優れた多孔質膜だった。
[比較例1]
口金の温度を30℃に保温し、口金の環状スリットの外径は0.50mm、内径は0.23mmとし、注入液にN,N’−ジメチルアセトアミド75重量部および水25重量部からなる溶液を用い、乾式部を70mmにし、引き取り速度を30m/minにし、巻き取り速度を30.5m/minにし、内径232μm、膜厚93μmとした以外は実施例1と同様の実験を行った。ドラフト比は1.6だった。
実施例1に比較して、口金の環状スリットの断面積を小さくし、膜の断面積を大きくすることで、ドラフト比を低くした。内表面の孔の短径に対して長径は小さくなった。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
ドラフト比が小さいために、表面の孔の長径が短径に対して2.1倍と小さく、ウイルス除去性能が低かった。
[比較例2]
内径230μm、膜厚151μmとした以外は実施例6と同様の実験を行った。ドラフト比は1.0だった。
実施例6と比較して膜の断面積が大きいためドラフト比が低く、内表面の孔の短径に対して長径は小さくなった。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
ドラフト比が小さいために、表面の孔の長径が短径に対して1.5倍と小さく、表面の短径の平均値と標準偏差が低い多孔質膜であり、ウイルス除去性能が低かった。
[比較例3]
引き取り速度を80m/minにし、実施例1と同様の実験を行った。糸径を調整せずに製膜原液の吐出量も実施例1と同様にした。ドラフト比は6.0だった。乾式部で糸切れがおこり、多孔質膜を得られなかった。
[比較例4]
ポリスルホン(ソルベイ社製ユーデルポリスルホン(登録商標)P−3500)17重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K90重量平均分子量120万)7重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド75重量部と水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で6時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を二重管円筒型口金の環状スリットから吐出した。環状スリットの外径は0.59mm、内径は0.23mmとした。注入液としてN,N’−ジメチルアセトアミド65重量部および水35重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。口金は50℃に保温した。吐出された製膜原液は、露点26℃(温度30℃、湿度80%)の乾式部70mmを0.14秒で通過した後、40℃の水浴(凝固浴)に導き固化させた後に、凝固浴外の第1ローラーで30m/minの速度で引き取り、50℃の水浴で水洗し、30.5m/minでカセに巻き取った。長手方向に20cmに切断し、80℃で5時間熱水洗浄を行った後に100℃で2時間熱処理した。原液の吐出量と注入液の吐出量を調整することで、熱処理後の糸径が内径180μm、膜厚80μmの中空糸膜状の多孔質膜が得られた。ドラフト比は2.4だった。製膜原液の粘度は6.1Pa・sだった。
透水性能測定、ウイルス除去性能測定、内表面の孔径測定、内表面の開孔率測定、断面の孔径の測定、緻密層厚みの測定、元素分析を行い、結果を表1に示した。
含有する親水性高分子の重量平均分子量が大きいため、ドラフト比は高いが孔の長径が短径に対して充分に大きくなっていない。そのため、ウイルス除去性能に対して透水性能が低い膜となっている。

Claims (15)

  1. 少なくとも一方の表面の孔の短径の平均値が10nm以上50nm以下であり、孔の短径の標準偏差が30nm以下であり、孔の長径の標準偏差が30nm以上150nm以下であり、孔の長径の平均値が短径の平均値の2.5倍以上であることを特徴とする多孔質膜。
  2. 膜厚方向断面が非対称膜構造であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 前記表面から膜厚方向に、下記式により円に換算した孔径が130nm以下の層が0.3μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質膜。
    式: 円に換算した孔径=(孔面積÷円周率) 0.5 ×2
  4. 前記表面の開孔率が1%以上、20%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多孔質膜。
  5. 非結晶性高分子からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多孔質膜。
  6. 前記非結晶性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多孔質膜。
  7. 多孔質膜中の親水性高分子量の重量平均分子量が2万以上8万以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の多孔質膜。
  8. 多孔質膜中の親水性高分子の含有量が1.5重量%以上8重量%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の多孔質膜。
  9. 中空糸膜であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の多孔質膜。
  10. 中空糸膜の内表面の孔の短径の平均値が外表面の孔の短径の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の多孔質膜。
  11. ウイルスを除去する用途に用いられることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の多孔質膜。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の多孔質膜を内蔵することを特徴とする浄水器。
  13. スリットから製膜原液を吐出し、乾式部を通過後に凝固浴で固化させる多孔質膜の製造方法において、ドラフト比が1.7以上5.0以下であり、製膜原液中の親水性高分子の重量平均分子量が2万以上8万以下であることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  14. 乾式部の通過時間が0.05以上0.40秒以下であることを特徴とする請求項13に記載の多孔質膜の製造方法。
  15. 乾式部において貧溶媒を含有する凝固液と製膜原液が接触することを特徴とする請求項13または14に記載の多孔質膜の製造方法。
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