JP4388302B2 - 血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器 - Google Patents

血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は適度な吸着除去性能を持ち、なおかつ血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器に関する。特に疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜を用いた医療用中空糸型血液浄化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液浄化などを目的とした医療用中空糸型血液浄化器に用いられる中空糸膜素材には、天然素材であるセルロース、またその誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、合成高分子としてはポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどが使用されている。血液と接触する膜がかかえる重大な問題点は、血液成分の膜への吸着である。特に疎水性ポリマーを単独で膜に成形した場合、血小板や蛋白質の吸着は顕著であり、血液浄化治療後の血液浄化器内の残血の原因になったり、膜性能が経時的に低下するという欠点になる。蛋白吸着を抑制する方法としては、疎水性高分子に親水性高分子をブレンドする方法が開発されている。親水性高分子をブレンドすることにより、膜の親水性が向上して血液中の蛋白が吸着しにくくなり、膜特性の経時的変化は少なく、分画特性に優れた膜となる。
【0003】
しかし、ブレンドする親水性高分子は水溶性であり、血液と接触すると容易に血中へ溶出する可能性がある。溶出した親水性高分子は患者にアナフィラキシー様反応などを引き起こす危険性が示唆されているため、膜から血中への親水性高分子の溶出量はできるだけ低く抑えることが望ましい。この課題を解決するための従来の技術として、ポリスルホン系樹脂と親水性高分子を混和溶解した溶液に該ポリスルホン系樹脂に対して非溶媒もしくは膨潤剤なる添加剤を加えた系を製膜原液としてとして製造したポリスルホン系樹脂半透膜に熱処理および/または放射線処理を施すことを特徴とするポリスルホン系樹脂半透膜の処理方法があり(例えば、特許文献1参照)、また、疎水性高分子を主たる素材とした膜の製造工程中で親水性成分を導入し該親水性成分を放射線または/および熱により水不溶化することを特徴とする親水化膜の製造法(例えば、特許文献2参照)、さらに、親水性高分子を含有するポリスルホン系中空糸膜において、該親水性高分子は架橋されて水に不溶化しており、かつ水を含有してヒドロゲル状態で膜構造中に存在することを特徴とするポリスルホン系選択透過性中空糸膜(例えば、特許文献3参照)がある。すなわち、これらは親水性高分子の溶出を放射線もしくは熱処理により、親水性高分子を架橋させることなどで積極的に水不溶化させる方法である。しかしこの架橋により親水性ポリマーが不溶化するためか、親水性ポリマーの効果は低下し、血小板が粘着、活性化し、透析膜内の残血が多くなる。
【0004】
血液浄化を目的とした中空糸膜において親水性ポリマーの役割は、前記した通り蛋白の不可逆的な過剰吸着の抑制であるが、中空糸膜中の親水性ポリマーの存在比が高くなると血中に溶出し、臨床上好ましくない。この相反する事象についての解決策の一つとして、中空糸膜表面に存在する親水性ポリマーの存在比を限定した、中空糸内膜表面のポリビニルピロリドンの濃度を30〜45%の範囲であることを特徴としたポリスルホン系中空糸型血液浄化膜(例えば、特許文献4参照)がある。中空糸膜表面のポリビニルピロリドンの存在比を規定することでポリビニルピロリドンの溶出量を低く抑え、さらに分画特性に優れた中空糸膜となることが記載されている。ところが、この中空糸膜では、膜内面の親水性が強すぎて、補体系が活性化し、血液適合性に問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−97205号公報(第1頁、特許請求の範囲1)
【特許文献2】
特開昭63−97634号公報(第1頁、特許請求の範囲2)
【特許文献3】
特開平4−300636号公報(第2頁、特許請求の範囲1)
【特許文献4】
特開平11−309355公報(第2頁、請求の範囲1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
疎水性高分子と親水性高分子とからなる中空糸型血液浄化器において、血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器を得ることにある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、以下のとおりのものである。
(1)共通溶媒と非溶媒の混合液に、ポリスルホン系高分子が30〜50重量部とポリビニルピロリドンが1〜10重量部となるように混合・溶解した紡糸原液を、該紡糸原液に対して非凝固性の内液を用いてノズルから吐出することにより凝固浴に導き、凝固浴内で、20〜60%の高倍率の延伸を掛けながら中空糸膜を凝固させることにより製造される中空糸膜を含む中空糸型血液浄化器において、中空糸膜の内表面のポリビニルピロリドンの存在比を15重量%以上、28重量%以下とし、さらに該中空糸膜表面には緻密層の形成が抑制されており、該中空糸型血液浄化器のビタミンB12の吸着量が30%未満、かつミオクロビンの吸着量が30%以上55%以下である吸着除去性能を持つことを特徴とする血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器。
(2)該中空糸膜の血液接触部である内表面の細孔形状が、配向方向に沿った変形が無く、孔径の均一性が高く、かつ孔の整列性の高い微細構造からなることを特徴とする請求項1記載の血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器。
(3)中空糸型血液浄化器の製造においてポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドンとからなる製膜原液を、凝固浴内で、20〜60%の高倍率の延伸を掛けながら中空膜を凝固させることにより製造することを特徴とする中空糸型血液浄化器用中空糸膜の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の中空糸型血液浄化器に用いる中空糸膜の素材は疎水性高分子と親水性高分子である。疎水性高分子には、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびそれらのポリマーブレンド物などが挙げられる。各種の疎水性高分子のうち、物理的特性の優れたポリスルホン系樹脂が好ましい。ポリスルホン系樹脂とは、スルホン結合を有する高分子化合物の総称であり、特に規定はしないが、化1式または化2式で示す化学構造を持つポリスルホンが入手容易なため好ましく中でも化2式のポリエーテルスルホン(PES)が好ましい。これらの高分子は、市販品として市場から容易に入手できる。
【化1】
Figure 0004388302
【化2】
Figure 0004388302
【0009】
親水性高分子にはポリビリルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコールモノエステル、カルボキシメチルセルロース、デンプン、酢酸セルロース、などが使用できる。特にポリビニルピロリドン(PVP)がポリスルホン系樹脂と相溶性が良く好ましい。
親水性高分子の分子量が、中空糸膜の孔径や、架橋反応に影響するので、その目的に応じて任意に選定しなければならないが、通常は500〜10000程度のもの、あるいは10000〜1200000程度のものが使用できる。ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量300〜100000程度のものが好適に使用できる。ポリビニルピロリドンの場合においては、N−ビニルー2−ピロリドンの繰り返し(n;80〜5000)程度のものがよく知られている。市販の製品としては、例えば、BASF社製の分子量10000(K−15)から分子量200000(K−90)を含む、通常の分子量10000〜1200000程度の市販のポリビニルピロリドンが使用できる。
【0010】
ビタミンB12の疎水性高分子からなる膜に対する吸着挙動は血液中の血小板の粘着と相関がある。血小板は膜に粘着した後に活性化して凝集反応を起こす。この過程で血小板は何種類もの物質を細胞外へ放出し、それらの物質の一部が血液凝固を促進させ、血栓形成へと導く。ビタミンB12の膜への吸着性能を調べることは、臨床における中空糸型血液浄化器の血小板粘着および活性化に関した血液適合性を間接的に知るために有用な方法である。中空糸膜へのビタミンB12と血小板との粘着挙動の相関性の根拠は不明であるが、ビタミンB12と血小板との部分的な高次構造の類似が膜への相互作用の相関と関係している可能性が考えられる。本発明の中空糸型血液浄化器に用いる中空糸膜へのビタミンB12の吸着量は30%未満が好ましい。この範囲であれば、血液浄化療法において、ビタミンB12と相関する血小板粘着数は十分に少なく、血小板活性化による血栓形成や血小板粘着そのものによる細孔の詰まりはほとんどなく、中空糸膜性能の低下もほとんどおこらない。30%以上では血小板の中空糸膜への粘着量が多すぎ、細孔の詰まりが原因の膜性能低下も著しいばかりか、血小板の活性化が進行し血液凝集による中空部の詰まりや残血も無視できなくなる。より好ましいビタミンB12の吸着量は、28%未満である。さらに好ましいビタミンB12の吸着量は25%未満である。
【0011】
本発明の中空糸型血液浄化器に用いる中空糸膜へのミオグロビンの吸着量は25%以上が好ましい。ミオグロビンは分子量17000の血液色素蛋白である。ミオグロビンの膜への吸着挙動から、同程度の分子量を持つ他の血液浄化法により除去を期待される物質の吸着挙動を予測する指標になる。ミオグロビンの吸着量が25%以上であれば、それらの物質の吸着除去効果による治療効果が期待できる。またミオグロビンの吸着量の上限は95%未満が好ましい。ミオグロビン吸着が95%以上になるとミオグロビン吸着と相関する同程度の物質などが膜表面へ吸着さらに積層化し、経時的な膜性能の低下を招く。物質の吸着による膜性能低下と吸着除去性能との相反する効果の兼ね合いから、より好ましいミオグロビン吸着量は30%以上、90%未満、さらに好ましくは35%以上、80%未満である。25%未満では臨床上の効果は望めない。
【0012】
本発明の中空糸型血液浄化器に用いる中空糸膜の表面に存在する親水性高分子の割合は15%以上、28%以下が好ましい。15%未満では親水性に乏しく蛋白や血小板の吸着、粘着が顕著であり残血も多い。また28%以上では、中空糸膜からの親水性高分子の溶出抑制のコントロールが困難である上に、膜表面の親水性が強すぎて補体の活性化が著しい。内表面近傍の親水性高分子の存在比をこのように15%以上、28%以下の存在比にコントロールすることで、中空糸膜への蛋白の吸着現象はみられるが、過剰な吸着ではなく、適度な吸着量にとどめることができ血液適合性に優れた膜となる。血液浄化療法中の膜性能の低下に至らない程度の吸着メカニズムの詳細は不明であるが、この適度な吸着は親水性高分子非存在の中空糸膜でみられる過剰な不可逆的吸着とは異なり、よりフレキシブルである可逆的吸着である可能性が考えられる。さらに、親水性高分子の量が極力少ないため膜からの溶出量も少ない。
【0013】
本発明の中空糸型血液浄化器に用いる中空糸膜の詳細な構造は、血液接触部である内表面の細孔形状が、配向方向沿った変形が無く、孔径の均一性が高く、かつ孔の整列性の高い微細構造からなる。本発明の中空糸膜を製造する典型的な方法の一つは、詳細に後述する詳細な説明および実施例などにおいてみるとおり、疎水性高分子と親水性高分子、共通溶媒、非溶媒戸からなる.紡糸原液をノズルから内液とともに吐出し走行部を経て凝固浴内に導き、凝固浴内で高倍率の延伸を掛けながら中空膜を凝固させる手法により入手することができるものである。この延伸速度、延伸倍率を適度に制御しないと、延伸方向に配向することによる、フイブリル化のような、いわゆる、孔が繊維方向につぶれるという現象が発生することが懸念されるが、本件発明ではこのような障害を克服している。
本発明の内表面の細孔形状が、配向方向沿った変形が無いということは、スポンジ構造の変形がないということであり、このような変形を防止する為に、延伸倍率、延伸速度などの延伸条件を微妙に制御することにより達成できる。また、孔径の均一性が高いということは、孔径のばらつきが少なく、ボイドのような孔も少ないということである。そして、本発明の中空糸膜の孔は不均一に形成されているわけではなく、多くの孔が整然と整列されたように配置されているということである。
また、中空糸膜の膜表面には緻密層の形成が抑制されているということは、通常の凝固方法においてよく見られる、膜表面に形成される皮層のことであり、本発明の中空糸膜においては、著しくその緻密層の形成が抑制されているということは予期せぬ材料挙動である。
このような構造の中空糸膜を製造する場合に、疎水性高分子、親水性高分子の種類、紡糸原液の仕様、凝固条件などの違いが構造にも微妙に影響するが、本発明は、従来公知の凝固条件からは予想されない、制御された延伸方法を採用することにより達成できたものである。
【0014】
このような中空糸膜を得る方法としては、ドープの組成と紡糸時の凝固条件を規定することが有効である。例えば、疎水性高分子がPES、親水性高分子がPVPの場合、ドープの各々の組成は、PESが30重量部から50重量部の範囲、PVPが1重量部から10重量部の範囲、溶媒はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、非溶媒にトリエチレングリコール(TEG)であり、それぞれを混合し加熱して均一状態とする。PESは、還元粘度で0.2から0.7であることが好ましく、さらには0.35から0.6であることが好ましい。この範囲のポリマーを使用することで、ドープが凝固液に入った際の凝固速度が適度に制御され、余剰な親水性高分子が洗い流され易くなり、使用時の溶出物量を低く抑制することができる。内液は非凝固性の液体または気体、凝固性液体を使用することができる。非凝固性の液体とは炭素数が12以上の高級炭化水素、炭素数12以上の高級脂肪酸エステルなどであり、単独で使用しても流動パラフィンなどのような混合物を使用してもよい。非凝固性の気体としては乾燥空気、窒素、アルゴンなどが使用できる。凝固性の液体としては、疎水性高分子に対する溶媒、非溶媒、水からなる混合物を使用することができ、目的とする膜特性(構造、性能)を得るために適宜調製するのが好ましい。ドープを二重紡糸口金の外側から、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアーギャップを通過させた後、凝固浴浸漬、純水洗浄工程を経て中空糸膜を得る。凝固浴の組成は5から70wt%のNMP水溶液が好ましい。さらには7から65wt%がより好ましい。このような凝固液を使用することで膜表面の緻密化が抑制され、余剰な親水性高分子が洗い流され易くなり、使用時の溶出物量を抑制できる。使用する凝固液の温度は室温以下であることが好ましい。具体的には0から30℃、さらに好ましくは5から25℃である。この条件にすることにより膜表面の緻密化を抑制できる。加えて、凝固浴中で1から60%の延伸を行うことが好ましい。2から55%の延伸を行うことがより好ましい。3から50%がさらに好ましい。具体的には、5%、10%、25%、40%、50%のような任意の延伸倍率において実施可能である。延伸が1%以下、例えば0.5%程度では、延伸による膜の性能特性に殆んど期待できない。一方、延伸が、60%以上、たとえば、65%、80%程度になると、膜の性能特性に悪い影響をする。ここで言う延伸とは凝固浴入口ローラー速度と凝固浴出口ローラー速度との比である。延伸は一般に細孔形状の変形や配向をもたらす。極端な延伸は細孔の変形、つぶれ、過度の配向につながり、このような内表面を持つ中空糸膜は血液と接触した際に血小板粘着および血中蛋白吸着の積層化により、膜性能が経時的に低下する。一方、PESのような結晶化しにくいポリマーを非凝固性の内液を用いて紡糸する場合は、凝固反応がゆるやかであり、凝固浴中における延伸効果はマイルドである。したがって、このような条件の延伸工程を得た中空糸膜は膜のスポンジ構造の変形が微視的であり、また血液接触部である内表面の状態は、細孔形状の変形が大きくなりすぎず、孔の整列性が高く、均一で平滑性のある状態となる。このような特徴をもつことにより、血小板の粘着は抑制され、血中蛋白の吸着は単分子層に抑制されるため、本発明の特徴である血小板や蛋白の適度な吸着特性が得られると考えられる。また、延伸をすることにより膜表面の緻密化を抑制し、過剰な親水性高分子が除去され易く、使用時の溶出物量を抑制する効果もある。
【0015】
本発明の中空糸膜を構成する疎水性高分子は、親水性高分子により親水化されており、特に膜表面は15〜30重量%程度の親水性高分子が存在する。
親水性高分子樹脂の血液への溶出を抑えるために、加熱処理、アルカリ加熱処理、紫外線、γ線、放射線などの任意の手段で架橋させることが可能であるが、本発明の場合には、その架橋をさせる必要がないほどの優れた特性を備えているが、もし、架橋を採用する場合には、架橋度を高くすると、溶出する物質が減少する一方で、親水性が阻害されるばかりでなく、ビタミンB12の吸着量、およびミオクロビンの吸着量に関する吸着除去性能にも影響するので、その架橋の採用の適否は膜全体の性能を考慮して決めることができる。
【0016】
本発明の中空糸型血液浄化器の血液適合性とは、臨床使用時において血球を過剰に吸着しないこと、および血小板を過剰に粘着、活性化しないことを意味し、特に血液浄化療法の前後において白血球や血小板数の変動が少ないこと、または、血液循環ののち、返血した後もモジュール内に血栓などの血液凝集物の残存が少ないことを意味する。
【0017】
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
(中空糸膜内表面の親水性高分子量の測定)
中空糸膜を両面テープの上に並べた後、カッターで繊維軸方向に切開し、中空糸膜の内側が表になるように押し広げたものを試料とし、X線光電子分光(ESCA)光電子脱出角度45度にて測定する。ポリビニルピロリドンの場合、C1s、O1s、N1s、S2pスペクトルの面積強度より、装置付属の相対感度係数を用いて窒素の表面濃度(N)と硫黄の表面濃度(S)を求め、
表面PVP濃度=N×100/(N×111+S×442)
より表面PVP濃度を算出する。
【0019】
(溶出物試験)
本発明における中空糸膜からの溶出物とは、人工腎臓装置承認基準に準じた方法による水抽出と、40v/v%エタノールによる抽出の二種の評価方法にて測定した値を意味する。水による抽出の溶出物評価方法を具体的に示す。中空糸膜1.0gを水100mlに浸漬し70℃水浴中1時間加温し試験液(抽出液)を調製する。試験液の吸光度を波長220〜350nmの範囲で測定する。なお人工腎臓装置承認基準では、本条件での規格を0.1以下としている。
【0020】
(溶出物試験−エタノール抽出試験)
40%v/vエタノールによる抽出の具体的方法は次の通りである。モジュールの透析液側流路を閉じた状態でシリコンチューブ回路に接続し、モジュール血液側に純水を流し、モジュール、回路とも純水で満たされた状態とした後、モジュール血液側に40v/v%エタノールを150ml/minの流速で、回路出口から100ml廃棄する。血液側を鉗子で閉じ、透析液側に40v/v%エタノールを満たし再び透析液側を閉じる。40v/v%エタノール、回路、モジュール全てを40℃にコントロールし150ml/minの流速で循環する。60分後、回路、モジュール内の液を全て排出し循環液とともに回収し体積を測定する。透析液側の液も別途回収し体積を測定する。それぞれの液についてPVP含量を測定する。PVP含量測定手順は次の通りである。サンプル2.5mlに0.2mol/Lクエン酸を1.25ml加え撹拌後、0.006規定ヨウ素を500μL加え撹拌、室温で10分静置後、470nmの吸光度を測定する。PVP濃度が高い場合は、原液を10倍、100倍に希釈して測定する。同条件で作成した検量線よりサンプル中のPVP量を算出し、モジュール(1.5m)あたりのPVP溶出量(mg/1.5m)を計算する。
【0021】
(クリアランス−ビタミンB12の吸着量の測定)
ビタミンB12を20ppm、尿素1000ppm、塩化ナトリウム180ppm、リン酸一ナトリウム(無水)40ppm、リン酸二ナトリウム(12水和物)480ppmにしたキンダリー希釈液(35倍希釈)を使い、膜面積1.5mのモジュールで測定する。血液側の流速は200±1ml/min、透析液側の流速は500±10ml/minとし、37℃で液を流した。流し始めてから1分後に3分間透析液側の液をサンプリング、その間血液側(out)の液のサンプリングを1分間、2回行い、それぞれの液についてビタミンB12の濃度を360nmで測定する。
中空糸膜への吸着率(%)=(1−Qf/(Qbi−Qbo))×100
上記式にて中空糸膜への吸着率を算出する。ここでQfは透析液側の濃度、Qbiは循環液の初期濃度、Qboは血液側(out)の液の濃度である。
【0022】
(クリアランス−ミオグロビンの吸着量の測定)
ミオグロビン100ppmをキンダリー液に溶解し、ガラスフィルターで濾過し試験液とする。膜面積1.5mのモジュールで測定する。血液側の流速は200±1ml/min、透析液側の流速は500±10ml/minとし、37℃で液を流した。流し始めてから1分後に3分間透析液側の液をサンプリング、その間血液側(out)の液のサンプリングを1分間、2回行い、それぞれの液についてミオグロビンの濃度を波長408nmの吸光度で測定する。
中空糸膜への吸着率(%)=(1−Qf/(Qbi−Qbo))×100
上記式にて中空糸膜への吸着率を算出する。ここでQfは透析液側の濃度、Qbiは循環液の初期濃度、Qboは血液側(out)の液の濃度である。
【0023】
(血液適合性の評価−血液循環試験)
膜面積1.5mのモジュールの透析液側を生理食塩水で満たし、健康人から採取したヘパリン加血200mlを血液バッグに詰め、血液バッグとモジュールをチューブで連結し、37℃で血液流速100ml/min、1時間循環する。循環開始前と循環60分との血液をサンプリングし、白血球数、血小板数を測定する。測定した値はヘマトクリットの値で補正する。
補正値=測定値(60分)×ヘマトクリット(0分)/ヘマトクリット(60分)
補正値から白血球と血小板の変化率を算出する。
変化率=補正値(60分)/循環開始前値×100
60分循環終了後、生理食塩水で返血し、残血している糸の本数を数えた。
【0024】
(実施例1)
ジメチルホルムアミド(DMF)中での還元粘度が0.48であるPES(住化ケムテックス社4800P)およびBASF社製PVP(K−90)をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)にそれぞれ40重量%、7重量%になるよう混合・溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金から吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性である流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分を経て凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み凝固させ、凝固浴中での50%延伸工程を経て中空糸膜として成形し、75m/minの速度で巻取った。中空糸膜巻き取りの過程において、水洗浴、30重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、さらに乾燥を行った。この際、内液となる流動パラフィンの流量を調節することで中空糸の内径を200μmに制御した。
【0025】
これらの中空糸膜10098本をポリエチレン製パイプに挿入し、所定の長さに切断後、乾燥しバンドルとした。
【0026】
バンドルを充填率60%でケースに充填し、端部をウレタン樹脂で接着し、樹脂を切り出しモジュールとした。このモジュールを脱酸素剤とともにアルミシールし、20kGyでガンマ線照射して滅菌済み完成品とした。
【0027】
完成したモジュールの中空糸膜について、膜内表面のPVPの量を測定した。結果を表1に示した。
【0028】
完成したモジュールについて、溶出物試験、エタノール抽出試験を実施した。結果を表1に示した。
【0029】
完成したモジュールについて、ビタミンB12とミオグロビンの吸着量を測定した。結果を表1に示した。
【0030】
完成したモジュールを用いて、血液循環試験を実施した。測定した白血球と血小板数の変化率、残血糸の本数を表1に示した。
【0031】
(実施例2)
DMF中での還元粘度が0.48であるPES(住化ケムテックス社4800P)およびBASF社製PVP(K−90)をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)にそれぞれ40重量%、3重量%になるよう混合・溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金から吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性である流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分を経て凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み凝固させ、凝固浴中での20%延伸工程を経て中空糸膜として成形し、75m/minの速度で巻取った。中空糸膜巻き取りの過程において、水洗浴、30重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、さらに乾燥を行った。この際、内液となる流動パラフィンの流量を調節することで中空糸の内径を200μmに制御した。
【0032】
モジュール化および評価は実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
【0033】
(比較例1)
DMF中での還元粘度が0.48であるPESおよびBASF社製PVP(K−90)をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)にそれぞれ40重量%、5重量%になるよう混合・溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金から吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性である流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分を経て凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み凝固させ、凝固浴中での延伸は行わず、中空糸膜として成形し、75m/minの速度で巻取った。中空糸膜巻き取りの過程において、水洗浴、30重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、さらに乾燥を行った。この際、内液となる流動パラフィンの流量を調節することで中空糸の内径を200μmに制御した。
【0034】
モジュール化および評価は実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
【0035】
(比較例2)
DMF中での還元粘度が0.48であるPESおよびBASF社製PVP(K−90)をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)にそれぞれ40重量%、7重量%になるよう混合・溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金から吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性である流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分を経て凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み凝固させ、凝固浴中での80%延伸工程を経て中空糸膜として成形し、75m/minの速度で巻取った。中空糸膜巻き取りの過程において、水洗浴、30重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、さらに乾燥を行った。この際、内液となる流動パラフィンの流量を調節することで中空糸の内径を200μmに制御した。
【0036】
モジュール化および評価は実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
【0037】
(比較例3)
市販品のPVP親水化PEPA膜について血液循環試験を実施した。測定した白血球と血小板数の変化率、残血糸の本数を表1に示した。
【0038】
【表1】
Figure 0004388302
【0039】
実施例1,2、比較例1ともに溶出物(UV値)は人工腎臓装置承認基準の0.1以下であり、エタノール抽出量も大差なかった。比較例1ではビタミンB12の吸着量が特に高く、比較例2ではビタミンB12吸着量、ミオグロビン吸着量の両方が高値であった。血液循環試験で実施例は白血球の変化率が比較例と比較してやや少なく、血小板の変化率は極めて少なく、また残血糸の数も少なく、実施例が比較例と比較して血液適合性に優れていることが分かった。
【0040】
【発明の効果】
疎水性高分子と親水性高分子とからなる中空糸を含む中空糸型血液浄化器において、ビタミンB12やミオグロビンの吸着除去効果をコントロールすることにより、血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器が得られる。

Claims (3)

  1. 共通溶媒と非溶媒の混合液に、ポリスルホン系高分子が30〜50重量部とポリビニルピロリドンが1〜10重量部となるように混合・溶解した紡糸原液を、該紡糸原液に対して非凝固性の内液を用いてノズルから吐出することにより凝固浴に導き、凝固浴内で、20〜60%の高倍率の延伸を掛けながら中空糸膜を凝固させることにより製造される中空糸膜を含む中空糸型血液浄化器において、中空糸膜の内表面のポリビニルピロリドンの存在比を15重量%以上、28重量%以下とし、さらに該中空糸膜表面には緻密層の形成が抑制されており、該中空糸型血液浄化器のビタミンB12の吸着量が30%未満、かつミオクロビンの吸着量が30%以上55%以下である吸着除去性能を持つことを特徴とする血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器。
  2. 該中空糸膜の血液接触部である内表面の細孔形状が、配向方向に沿った変形が無く、孔径の均一性が高く、かつ孔の整列性の高い微細構造からなることを特徴とする請求項1記載の血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器。
  3. 請求項1または2に記載の中空糸型血液浄化器の製造においてポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドンとからなる製膜原液を、凝固浴内で、20〜60%の高倍率の延伸を掛けながら中空膜を凝固させることにより製造することを特徴とする中空糸型血液浄化器用中空糸膜の製造方法。
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