JP2001314736A - 製膜原液および中空糸膜の製造方法 - Google Patents
製膜原液および中空糸膜の製造方法Info
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Abstract
得ることができる製膜原液を提供すること。 【解決手段】 下記の(1)または(2)の特徴を有す
る製膜原液。 (1)厚さが200μmになるようにガラス板にキャス
トされた製膜原液の光線透過率を1で、厚さが200μ
mになるようにガラス板にキャストされた製膜原液を3
0℃の水に浸漬して、製膜原液の白濁化が完了したとき
の製膜原液の光線透過率を0でそれぞれ表わしたとき
に、光線透過率が0.3以下になるまでに要する時間が
30℃の水に浸漬後3秒以内である。 (2)厚さが200μmになるように製膜原液がキャス
トされたガラス板を30℃の水に浸漬したときに、製膜
原液からなる膜がガラス板から剥離できるようになるま
でに要する時間が30℃の水に浸漬後10秒以内であ
る。
Description
糸膜の製造方法に関するものである。
操作に用いる技術が医療分野、工業分野等において実用
化されている。中空糸膜には、高い透過性と高い分画性
とが要求され、分画性および透過性を主に支配する内表
面の緻密層と、これを支持する多孔層とを備えた非対称
な膜構造を持つものが一般的である。例えば、緻密層と
多孔層とを備えた非対称構造を有するエチレン−ビニル
アルコール(以下、エチレン−ビニルアルコールを「E
VA」と略称する。)系重合体からなる中空糸膜が知ら
れている(特公昭58−36602号公報、特開昭58
−45239号公報、特開平5−42208号公報等を
参照)。
いて、中空糸膜に対してより高い性能を要求する傾向が
強まっている。例えば、血液透析治療においては、尿
素、クレアチニン等の低分子量物質を除去するのみでな
く、例えばβ2−ミクログロブリン(分子量1180
0)のような中高分子量物質をも除去することが要望さ
れている。しかしながら、これまでの中空糸膜は透過性
および分画性が十分でなく、中高分子量物質の除去性能
が必ずしも満足できるものではなかった。
目的としたものであって、高い透過性と高い分画性を有
する中空糸膜を得ることができる製膜原液を提供するこ
とを目的とする。
を達成するために鋭意努力した結果、分画性および透過
性に優れた中空糸膜は、水に対する凝固速度が速い製膜
原液を用いて製膜することにより得られることを見出
し、本発明に到達した。
(1)または(2)の特徴を有するものである。下記の
各製膜原液を用いて、分画性および透過性に優れた中空
糸膜を製造することができる。 (1)厚さが200μmになるようにガラス板にキャス
トされた製膜原液の光線透過率を1で、厚さが200μ
mになるようにガラス板にキャストされた製膜原液を3
0℃の水に浸漬して、製膜原液の白濁化が完了したとき
の製膜原液の光線透過率を0でそれぞれ表わしたとき
に、光線透過率が0.3以下になるまでに要する時間が
30℃の水に浸漬後3秒以内である。 (2)厚さが200μmになるように製膜原液がキャス
トされたガラス板を30℃の水に浸漬したときに、製膜
原液からなる膜がガラス板から剥離できるようになるま
でに要する時間が30℃の水に浸漬後10秒以内であ
る。
となる少なくとも1種類以上の高分子が溶媒に溶解され
て作製される。膜素材となる高分子は特に限定されるも
のではなく、例えばポリスルホン系、ポリアクリロニト
リル系、酢酸セルロースなどのセルロース系、ポリアミ
ド系、ポリカーボネート系、EVA系重合体等のポリビ
ニルアルコール系等の樹脂を用いることができる。医療
用途に用いる場合、EVA系重合体が生体適合性、化学
的安定性に優れ、溶出物が少ないことから好ましい。
(ランダム、ブロック、グラフト重合体がいずれも含ま
れる。)は、エチレン含有率10〜60モル%、ケン化
度95モル%以上であるものが好ましい。該EVA系重
合体には、例えば、メタクリル酸、ビニルクロライド、
メチルメタクリレート、アクリロニトリルなどの共重合
可能な重合性単量体が15モル%以下の範囲で共重合さ
れていてもよい。
メチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルア
セトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NM
P)等、あるいはこれらを成分とする混合溶媒を挙げる
ことができる。EVA系重合体を膜素材として用いる場
合は、本発明で目的とする膜構造および性能を有する中
空糸膜を容易に得ることができ、また比較的毒性が低い
点から、DMSOを用いることが好ましい。
量%の範囲であることが好ましく、10〜30重量%の
範囲がより好ましい。この範囲を外れて濃度が高すぎる
と透過性が下がり、濃度が低すぎると製膜原液の粘度が
低く曳糸性に乏しくなり、また、膜の機械的強度が低下
することがあることから好ましくない。
調整するために添加剤を添加してもよい。添加剤として
は、水、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ポリ
エチレングリコール、キトサン、キチン、デキストラ
ン、ポリビニルピロリドン等の高分子類、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸リチウム、
硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩類を挙げるこ
とができるが、揮発性、毒性の心配のない水が好適であ
る。また、内表面に目的とする緻密層を形成させるため
には凝固を促進する必要があり、リチウム塩を添加する
ことが好ましい。また、ポリスルホン系等の疎水性が高
い高分子を膜素材として用いる場合、膜全体の親水性を
高めるため、親水性高分子としてポリエチレングリコー
ル、ポリビニルピロリドン等を添加することが好まし
い。
0μmになるようにガラス板にキャストされた製膜原液
の光線透過率を1で、厚さが200μmになるようにガ
ラス板にキャストされた製膜原液を30℃の水に浸漬し
て、製膜原液の白濁化が完了したときの製膜原液の光線
透過率を0でそれぞれ表わしたときに、光線透過率が
0.3以下になるまでに要する時間が30℃の水に浸漬
後3秒以内である。製膜原液が相分離し、凝固すること
によって、製膜原液の膜中に不均質が生じると、光線透
過率が減少する。したがって、製膜原液の光線透過率が
0.3以下になるまでに要する時間が30℃の水に浸漬
後3秒以内であるとは、水に対する凝固速度が速いこと
を意味する。ここで、光線透過率とは、厚さが200μ
mになるように製膜原液がキャストされたスライドガラ
ス板に対して、波長が600nmの光線をキャスト面に
対して垂直の方向から照射し、スライドガラス板を透過
した光線をSiフォトダイオードで検出して、出力電流
を測定することにより求めたものである。
200μmになるように製膜原液がキャストされたガラ
ス板を30℃の水に浸漬したときに、製膜原液からなる
膜がガラス板から剥離できるようになるまでに要する時
間が30℃の水に浸漬後10秒以内である。製膜原液が
相分離し、凝固することによって、膜がガラス板から剥
離し易くなる。したがって、製膜原液からなる膜がガラ
ス板から剥離できるようになるまでに要する時間が30
℃の水に浸漬後10秒以内であるとは、水に対する凝固
速度が速いことを意味する。ここで、剥離できるように
なるまでに要する時間とは、厚さが200μmになるよ
うにガラス板にキャストされた後、30℃の水に浸漬さ
れた製膜原液の膜をピンセット等で摘み上げたときに、
製膜原液の膜が形態を保持したまま、ガラス板から剥離
されるのに必要な最低時間のことである。
空糸膜を製造する方法について述べる。本件各発明の製
膜原液を使用する際の製膜方法は特に限定されるもので
はなく、二重環状ノズルの内部に中空形成剤を注入しな
がら製膜原液を直接水浴中に押して凝固させる湿式製膜
法、製膜原液を空気中に押し出し、その後水浴中に導入
する乾湿式製膜法等が挙げられる。内表面から凝固させ
ることにより、内表面に緻密層を形成させ、外表面に緻
密層が形成されるのを防ぐためには乾湿式製膜法が好ま
しい。
めには、凝固を促進させることが必要であり、膜素材と
なる高分子を凝固させる作用を有する溶液を中空形成剤
として使用することが好ましい。中空形成剤としては、
膜素材となる高分子を凝固させる作用を有し、かつ上記
溶媒と混和性があれば特に制限なく用いることができ
る。かかる中空形成剤としては、通常、水性の媒体が使
用され、例えば、水、DMSO、DMAc、NMP、ア
ルコール等の水に可溶性である溶媒と水との混合物を挙
げることができる。また、必要に応じて、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸リチウム、
硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩、ポリエ
チレングリコール、キトサン、キチン、デキストラン、
ポリビニルピロリドン等の高分子類を含有する水溶液な
どを使用することもできる。
膜の膜厚は3〜2000μmの範囲であることが好まし
く、10〜1000μmであることがより好ましい。中
空糸膜の外径は、通常、40〜3000μm、好ましく
は100〜1000μmである。
膜は、水、温水によって洗浄され、必要に応じて、延伸
および熱処理が施され、最終的には乾燥される。その
後、公知の方法により適宜モジュールに組み込まれ、例
えば、血液透析、血漿分離等の医療用途、または、排水
処理等の工業用途等の各種用途に使用される。
具体的に説明する。実施例では、血液透析膜について例
示するが、これに限定されるものではない。なお、ミオ
グロビンの総括物質移動係数およびアルブミンの阻止率
は、ダイアライザー性能評価基準(佐藤威他:各種の血
液浄化法の機能と適応−血液浄化器の性能評価法と機能
分類.透析会誌29(8):1231〜1245、19
96)に従って求められ、ミオグロビンの総括物質移動
係数は水系、濾過流量QF’=0mL/min/m2で測
定したクリアランスから下式により算出し、アルブミン
の阻止率は牛血漿系、QF’=10mL/min/m2で
測定したものである。 K=QB/A×(1−Z)×ln(1−E×Z)/(1
−E) E=CL/QB Z=QB/QD K:総括物質移動係数(cm/min) CL:クリアランス(mL/min) QB:血液側入口流量(mL/min) QD:透析液側入口流量(mL/min) ミオグロビンの総括物質移動係数が大きく、かつ、アル
ブミンの阻止率も大きいものほど、本件発明の目的とし
た分画性および透過性に優れた膜である。
ン化度99%のEVA系重合体(株式会社クラレ製、E
VAL EC−F100A)16重量%、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)72重量%、水8重量%、酢酸リ
チウム4重量%を90℃で加熱溶解して製膜原液を得た
(原液組成を表1に示す。)。この製膜原液は、厚さが
200μmになるようにガラス板にキャストされたとき
の光線透過率を1で、厚さが200μmになるようにガ
ラス板にキャストされた製膜原液を30℃の水に浸漬し
て、製膜原液の白濁化が完了したときの製膜原液の光線
透過率を0でそれぞれ表わしたときに、光線透過率が
0.3以下になるまでに要する時間が、30℃の水に浸
漬後1.2秒であった。また、厚さが200μmになる
ように製膜原液がキャストされたガラス板を30℃の水
に浸漬したときに、製膜原液からなる膜がガラス板から
剥離できるようになるまでに要する時間が、30℃の水
に浸漬後7秒であった。二重環状ノズルの内部に水を注
入しながら30℃の上記製膜原液を押し出し、15℃の
空気中を通過させ水浴中に導入した。以下、常法に従
い、水洗、湿熱処理、乾燥、乾熱処理を行い、乾燥中空
糸膜を得た。中空糸の内径は175μm、膜厚は45μ
mであった。得られた膜の性能を表2に示した。
ン化度99%のEVA系重合体からなる表1に示した製
膜原液を用いて、表2に示したように製膜条件を変更す
る以外は実施例1と同様の製膜条件で製膜を行い、乾燥
中空糸膜を得た。この製膜原液は、厚さが200μmに
なるようにガラス板にキャストされたときの光線透過率
を1で、厚さが200μmになるようにガラス板にキャ
ストされた製膜原液を30℃の水に浸漬して、製膜原液
の白濁化が完了したときの製膜原液の光線透過率を0で
それぞれ表わしたときに、光線透過率が0.3以下にな
るまでに要する時間が、30℃の水に浸漬後2.2秒で
あった。また、厚さが200μmになるように製膜原液
がキャストされたガラス板を30℃の水に浸漬したとき
に、製膜原液からなる膜がガラス板から剥離できるよう
になるまでに要する時間が、30℃の水に浸漬後9秒で
あった。得られた膜の性能を表2に示した。
ン化度99%のEVA系重合体からなる表1に示した製
膜原液を用いて、表2に示したように製膜条件を変更す
る以外は実施例1と同様の製膜条件で製膜を行い、乾燥
中空糸膜を得た。得られた膜の性能を表2に示した。
ン化度99%のEVA系重合体からなる表1に示した製
膜原液を用いて、表2に示したように製膜条件を変更す
る以外は実施例1と同様の製膜条件で製膜を行ったとこ
ろ、調子が不良であり、製膜できなかった。
ン化度99%のEVA系重合体(株式会社クラレ製、E
VAL ES−G110A)15重量%、DMSO79
重量%、水4重量%、塩化リチウム2重量%を90℃で
加熱溶解して製膜原液を得た(原液組成を表1に示
す。)。この製膜原液は、厚さが200μmになるよう
にガラス板にキャストされたときの光線透過率を1で、
厚さが200μmになるようにガラス板にキャストされ
た製膜原液を30℃の水に浸漬して、製膜原液の白濁化
が完了したときの製膜原液の光線透過率を0でそれぞれ
表わしたときに、光線透過率が0.3以下になるまでに
要する時間が、30℃の水に浸漬後0.8秒であった。
また、厚さが200μmになるように製膜原液がキャス
トされたガラス板を30℃の水に浸漬したときに、製膜
原液からなる膜がガラス板から剥離できるようになるま
でに要する時間が、30℃の水に浸漬後5秒であった。
二重環状ノズルの内部に水を注入しながら30℃の製膜
原液を押し出し、15℃の空気中を通過させ水浴中に導
入した。以下、常法に従い、水洗、湿熱処理、乾燥、乾
熱処理を行い、乾燥中空糸膜を得た。中空糸の内径は1
75μm、膜厚は45μmであった。得られた膜の性能
を表2に示した。
コ社製、UDEL P−1700)18重量%、分子量
600のポリエチレングリコール(PEG)(三洋化成
工業株式会社製、PEG600)21.6重量%、ポリ
ビニルピロリドン(PVP)(BASF社製、K−9
0)1.0重量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)
59.4重量%を120℃で加熱溶解して製膜原液を得
た(原液組成を表1に示す。)。この製膜原液は、厚さ
が200μmになるようにガラス板にキャストされたと
きの光線透過率を1で、厚さが200μmになるように
ガラス板にキャストされた製膜原液を30℃の水に浸漬
して、製膜原液の白濁化が完了したときの製膜原液の光
線透過率を0でそれぞれ表わしたときに、光線透過率が
0.3以下になるまでに要する時間が、30℃の水に浸
漬後0.4秒であった。また、厚さが200μmになる
ように製膜原液がキャストされたガラス板を30℃の水
に浸漬したときに、製膜原液からなる膜がガラス板から
剥離できるようになるまでに要する時間が、30℃の水
に浸漬後3秒であった。二重環状ノズルの内部に60重
量%DMAc水溶液を注入しながら50℃の製膜原液を
押し出し、50℃の空気中を通過させ水浴中に導入し
た。以下、常法に従い、水洗、湿熱処理、乾燥、乾熱処
理を行い、乾燥中空糸膜を得た。中空糸の内径は200
μm、膜厚は40μmであった。得られた膜の性能を表
2に示した。
製膜原液を用いることにより、高い透過性と高い分画性
を有する選択透過性中空糸膜を製造することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 厚さが200μmになるようにガラス板
にキャストされた製膜原液の光線透過率を1で、厚さが
200μmになるようにガラス板にキャストされた製膜
原液を30℃の水に浸漬して、製膜原液の白濁化が完了
したときの製膜原液の光線透過率を0でそれぞれ表わし
たときに、光線透過率が0.3以下になるまでに要する
時間が、30℃の水に浸漬後3秒以内である製膜原液。 - 【請求項2】 厚さが200μmになるように製膜原液
がキャストされたガラス板を30℃の水に浸漬したとき
に、製膜原液からなる膜がガラス板から剥離できるよう
になるまでに要する時間が、30℃の水に浸漬後10秒
以内である製膜原液。 - 【請求項3】 製膜原液がエチレン−ビニルアルコール
系重合体を含む請求項1または2記載の製膜原液。 - 【請求項4】 製膜原液がジメチルスルホキシドを含む
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製膜原液。 - 【請求項5】 請求項1または2記載の製膜原液を用い
る中空糸膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000140039A JP2001314736A (ja) | 2000-05-12 | 2000-05-12 | 製膜原液および中空糸膜の製造方法 |
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JP2000140039A JP2001314736A (ja) | 2000-05-12 | 2000-05-12 | 製膜原液および中空糸膜の製造方法 |
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---|---|
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ID=18647393
Family Applications (1)
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- 2000-05-12 JP JP2000140039A patent/JP2001314736A/ja active Pending
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