JP2006129987A - 中空糸膜型分離膜およびその製造方法ならびにその使用方法 - Google Patents

中空糸膜型分離膜およびその製造方法ならびにその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、タンパク質水溶液を容易に濃縮することができる中空糸膜型分離膜およびその製造方法ならびにその使用方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
本発明の中空糸膜型分離膜は、タンパク質および/もしくはペプチド分析前処理用の分離膜において、該分離膜の、重量平均分子量10000のデキストランに対するふるい係数が0.4以下であることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は生体成分、特にヒトの血液、尿等に含まれる成分から構成される水溶液を分析用溶液として濃縮するための中空糸膜型分離膜およびその製造方法ならびにその使用方法に関する。
近年、ポストゲノム研究として、プロテオーム解析研究(プロテオミクス)が注目され始めた。遺伝子産物であるタンパク質は遺伝子よりも疾患の病態に直接リンクしていると考えられることから、タンパク質を網羅的に調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用できると期待されている。しかも、ゲノム解析では発見できなかった病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性が高い。
プロテオーム解析の急速に進展しだしたのは、技術的には質量分析装置(mass spectrometer: MS)による高速構造分析が可能となってきたことが大きく、MALDI-TOF-MS (matrix assisted laser desorption ionizationtime-of-flight mass spectrometry) 等の実用化によって、ポリペプチドのハイスルースループット超微量分析が可能となり、従来検出し得なかった微量タンパク質までが同定可能となり、疾患関連因子の探索に強力なツールとなってきている。
プロテオーム解析の臨床応用の第一目的は、疾患によって誘導あるいは消失するバイオマーカータンパク質の発見である。バイオマーカーは、病態に関連して挙動するため、診断のマーカーとなり得るほか、創薬ターゲットとなる可能性も高い。すなわち、プロテオーム解析の成果は、特定遺伝子よりも診断マーカーや創薬ターゲットとなる可能性が高いため、ポストゲノム時代の診断と治療の切り札(エビデンス)技術となり、同定されたバイオマーカーは患者の薬剤応答性評価や副作用発現予測という直接的に患者が享受しえる利益につながることから、いわゆるテーラーメード医療(オーダーメード医療)の推進に大きな役割を果たすといえる。
臨床研究にプロテオーム解析(臨床プロテオミクス)を導入する場合には、大量の検体を迅速、確実に解析することが求められており、しかも臨床検体は微量で貴重なために高分解能・高感度・高機能測定を迅速に行う必要がある。この大きな推進力となったのは質量分析(mass spectrometry)であり、質量分析装置のもつ超高感度でハイスループットの特性の貢献するところが大きい。しかしながら、その手法や機器が急速に改良されてきてはいるものの、プロテオーム解析が臨床現場で簡便かつ迅速に実施できる状況にはまだない。
ヒト・タンパク質は10万種以上とも推定されているが、血清中に含まれるタンパク質だけでも約1万種類にものぼるといわれ、総量としての血清中濃度は約60〜80mg/mLである。血清中の高含量のタンパク質は、アルブミン(分子量66kDa)、免疫グロブリン(150〜1000kDa)、トランスフェリン(80kDa)、ハプトグロビン(>85kDa)、リポタンパク質(数100kDa)等であり、いずれも大量(>mg/mL)に存在する。一方、病態のバイオマーカーや病因関連因子と考えられているペプチドホルモン、インターロイキン、サイトカイン等の生理活性タンパク質の多くは、極微量 (<ng/mL)にしか存在せず、その含有量比は高分子の高含量成分に比べて、実にnanoからpicoレベルである。タンパク質の大きさという点では、タンパク質全種類の70%以上は分子量60kDa以下であり、上記の極微量なバイオマーカータンパク質はいずれもこの領域に含まれる場合がほとんどである(例えば非特許文献1)。これらのタンパク質は腎臓を通過して尿中に一部排泄されるため、血液のみならず尿を検体として測定することも可能である。
一般的な血清学的検査でプロテオーム解析するには、病因関連の微量成分検出の妨害となる分子量6万以上の高分子成分を除外し、分子量6万未満の成分についてはできるだけ多く回収することが必須となる。また、これらの回収液を分析可能な濃度に濃縮することも必須となる。
この高分子量タンパク質の分離手段として、現状では高速液体クロマトグラフィー (liquid chromatography: LC) や二次元電気泳動 (2 dimensional-polyacrylamide gel electrophoresis: 2D-PAGE) が用いられているが、これらは、微量のサンプルしか処理できないために、目的とするサンプル量も少なく、MS分析、2次元電気泳動分析などのタンパク質分析を行っても検出されない場合がある。
この点が解決されると、臨床プロテオーム解析による臨床検査の診断の迅速性は飛躍的に向上すると期待できる。具体的には、効率的に目的タンパク質群を分画・分離および濃縮できるデバイスがあればよい。
分画の対象物質としてすでに実用化されている製品あるいは開示されている技術は、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体(たとえば、日本ミリポア社:"Montage Albumin Deplete Kit(登録商標)"、日本バイオ・ラッド社:AffiGel Blueゲル(登録商標))、高分子量成分を遠心分離ろ過によって分画する遠心管形式の装置(たとえば、日本ミリポア社:"アミコンウルトラ(登録商標)")、Cohnのエタノール沈澱などの伝統的な沈殿法やクロマトグラフィーによって分画する方法(例えば非特許文献2)などがある。
濃縮を目的としてすでに実用化されている製品あるいは開示されている技術は、日本ミリポア社:"アミコンウルトラ(登録商標)"、ザルトリウス社:“ビバスピン(登録商標)”のほか、支持層と緻密層の二重構造からなる限外ろ過メンブレン、たとえば、日本ミリポア社:"限外ろ過メンブレンPTシリーズなどのメンブレンフィルターがある。
しかしこれらは、いずれも分離分画性能が十分ではなかったり、サンプル処理量によって不適当であったり、あるいは膜への残液量が無視できなかったりするなどの問題点がある。
アンダーソン・NL(Anderson NL),アンダーソン・NG( Anderson,NG)著,「ザ・ヒューマン・プラズマ・プロテオーム:ヒストリー・キャラクター・アンド・ダイアグノスティック・プロスペクツ (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ザ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2002年,第1巻,p845-867. 日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年
上述のとおり、臨床プロテオーム解析を行う際に、希薄なタンパク質水溶液を濃縮することが必要である。
本発明の目的は、タンパク質水溶液を容易に濃縮することができる中空糸膜型分離膜およびその製造方法ならびにその使用方法を提供することである。
本発明に係る分離膜は以下の(1)から(7)のような構成をとる。
(1)タンパク質および/もしくはペプチド分析前処理用の分離膜において、該分離膜の、重量平均分子量10000のデキストランに対するふるい係数が0.4以下であることを特徴とする中空糸膜型分離膜。
(2)該中空糸膜型分離膜の透水性能が、5ml/hr/mmHg/m以上であることを特徴とする(1)からなる中空糸膜型分離膜。
(3)該中空糸膜型分離膜の重量平均分子量5000のデキストランに対するふるい係数が0.6以下であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
(4)該中空糸膜型分離膜のふるい係数が0.9であるときのデキストラン重量平均分子量が3000の以下のであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
(5)該中空糸膜型分離膜が、非対称膜であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
(6)該中空糸膜型分離膜が、ポリスルホン系膜であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
(7)該中空糸膜型分離膜を構成する膜素材に親水性高分子が含まれることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
(8)該親水性高分子の含有量が、膜素材の1〜10重量%であることを特徴とする(7)に記載の中空糸膜型分離膜。
(9)該親水性高分子が、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンであることを特徴とする(8)に記載の中空糸膜型分離膜。
(10)製膜原液を用いて分析前処理用の分離膜を製造する方法において、該製膜直後から、乾燥により膜重量に対して水分量が0.05%以下になるまでの間に、30℃以上100℃以下の恒温、および50%RH以上100%RH以下の恒湿雰囲気下で10分間以上の乾燥工程を経ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜の製造方法。
(11)分析用原液が血液、血漿、血清などの血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水、細胞抽出液もしくは培養液に含まれるタンパク質、ペプチドおよび/もしくは糖鎖から構成されることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜の使用方法。
(12)該分析用原液を濃縮することを特徴とする(11)に記載の中空糸膜型分離膜の使用方法。
本発明における分離膜を用いることにより、生体成分液、特に血液、血清、血漿をはじめとする生体成分水溶液から従来検出されなかった微量のタンパク質を数多く検出することが可能となる。すなわち、本発明の中空糸膜型分離膜によれば、プロテオーム解析に必要なタンパク質水溶液を分画性よく濃縮することができるため、極微量なバイオマーカータンパク質でも分析することが可能となる。
本発明でいう「分離」とは回収目的のタンパク質と廃棄目的の低分子物質および水を弁別することをいう。主なタンパク質を分離する手法は、有機溶媒や酸を用いた沈殿濃縮、膜を用いた限外濾過法などが挙げられる。
「中空糸膜型分離膜」とは多孔性の中空状分離膜のことである。一般に、中空糸は処理液量あたりの膜表面積が大きく、圧損も少なくできるため、最も効率よく用いることができる。処理液量あたりの膜表面積を大きくするためには、中空糸内径は小さい方が好ましく、1000μm以下がより好ましく、500μm以下がさらに好ましい。特に下限は設けないが、中空糸膜の圧力損出が大きくなり過ぎないように50μm以上であることが好ましい。
「中空糸膜型分離膜モジュール」は、膜をハウジング内に収納してなるものである。このハウジングには、分離される溶液が流入する入口及び流出する出口と分離された溶液が流出する分離液流出口が備えられている。上記ハウジングの素材は特に限定しないが、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のプラスチック製のものを挙げることができる。
本分離膜の素材としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンおよびこれらの誘導体からなる群より1種類以上選択される素材を例示することができる。この中でも近年透析器などに良く用いられているポリスルホンは分画特性が良好であるために好ましい素材である。
本分離膜において、重量平均分子量10000のデキストランのふるい係数が0.4以下であることが好ましく、さらには0.2以下であることが好ましい。この値が0.4より高い値であると、回収目的のタンパク質が透過するため、回収率が悪くなる。
本分離膜において、透水性能は5ml/hr/mmHg/m以上であることが好ましく、さらには6ml/hr/mmHg/m以上であることが好ましい。この値が5ml/hr/mmHg/mより小さいと処理時間が長くなり、作業効率が悪くなる。
本分離膜において、重量平均分子量5000のデキストランのふるい係数が0.6以下であることが好ましく、さらには0.5以下であることが好ましい。この値が0.6より高い値であると、分画性能がブロードになり、回収目的のタンパク質が透過するため、回収率が悪くなる。
本分離膜において、ふるい係数が0.9であるときのデキストラン重量平均分子量は3000以下であることが好ましく、さらには2000以下であることが好ましい。この値が3000より大きいと、回収目的のタンパク質が漏洩する。また、下限値は特に設けないが、この値があまりにも低い分離膜の場合、廃棄目的の低分子タンパク質、塩類および水分を分離する能力が低くなることが懸念されるため、好ましくは500以上であることが好ましい。
本分離膜の構造に関しては、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなる非対称構造を有する膜を用いることが好ましい。電子顕微鏡を用いて膜の断面構造を1000倍の観察条件にて観察した場合に膜厚み方向に対して空孔が確認できない層と空孔が確認できる層の両者が存在するものを非対称構造とする。また、この非対称構造は被処理液を接触する面近傍が最も緻密であることが好ましい。これは濾過をかけたときの目詰まりを低減できるからである。
本分離膜はできるだけタンパク質が吸着しないことが好ましく、親水性の膜であることが好ましい。これらの親水性膜は必要とするタンパク質の吸着を抑え、無駄なく回収する効果がある。親水性膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられるが、親水化されていればその方法は特に限定されない。
「親水性高分子」とは、膜の素材より親水性の高いものであれば特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンなどの親水性高分子を好ましく用いることができる。親水性成分の含有量は、膜素材の1〜10重量%であることが好ましく、さらには2〜10重量%であることが好ましい。親水性成分の含有量が少なすぎるとタンパク質の吸着を抑えることができない。また、親水性成分が多すぎると親水性成分により孔が塞がれることで透水性能が低下する。
本分離膜を得る方法として、特に限定はしないが、以下の方法で得ることができる。まず、親水性高分子を含む製膜原液を紡糸吐出部へ送り、オリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出する。この時、芯液としてはN,N'−ジメチルアセトアミドおよび水からなる溶液を内側の管より吐出することで、中空糸型を成型する。吐出された製膜原液は、温度30℃の雰囲気のドライゾーンを通過した後、凝固浴(水浴)を通過し、水洗工程を経た後、紡速40m/minで巻き取る。次いで、この巻き取った湿潤状態の膜束を、温湿度を管理した乾燥を行うことで得ることができる。
本分離膜を乾燥により得る方法として、湿潤状態から、乾燥により膜重量に対して水分量が0.05%以下になるまでの間に、50℃以上100℃以下の恒温、および50%以上100%以下の恒湿雰囲気下で10分間以上乾燥することが好ましい。ここでの「恒温」および「恒湿」とは、日本試験機工業会による性能基準(JTM K01−1998)に準じた恒温恒湿槽を用いてコントロールした温湿度分布を示す。温度は30℃以上100℃以下の恒温が好ましく、さらには50℃以上95℃の恒温が好ましい。30℃より低い温度による乾燥では、膜構造の収縮が小さいため、デキストラン分子量分画性能が高分子側にシフトする。また、湿度は50%RHから100%RH以下の恒湿が好ましく、さらには60%RHから95%RHの恒湿の恒湿が好ましい。50%RHより低い湿度による乾燥では、膜乾燥速度が速いために膜収縮が小さく、さらに膜の分画性能バラツキが無視できない。乾燥時間は10分以上が好ましく、さらには30分以上、さらには1時間以上がより好ましい。乾燥時間の上限は特には設けないが、分離膜製造工程の作業効率より、72時間以内であることが好ましい。
「分析用原液」とは本発明の生体成分分離溶液(分析用溶液)を作製するための、原溶液であり、予め、特定タンパク質を他の分離膜、またはアフィニティーリガンドを固定化した担体で除去した溶液も好ましく用いることができる。
この生体成分分離溶液(分析用溶液)は、希薄なタンパク質水溶液が分析可能な濃度にまで良く調整されているため、タンパク質分析に好ましく用いられる。分析法としては特に限定しないがLCや2D-PAGE、核磁気共鳴(NMR)、MALDI-TOF-MSやESI-MS等を例示することができる。これらは、極微量にしか存在しないタンパク質を分析する際には、分析感度が低くなる可能性があり、本溶液を用いることによって、高感度分析が可能となる。
生体成分分離溶液(分析用溶液)とは血液などの生体成分を特定の処理を行いタンパク質の構成および濃度を変えた溶液のことである。ここで、「血液」とはヒトなどの動物血液のことであり、血清、血漿など血液中の一部の成分からなる溶液も含まれる。「生体由来の溶液」(生体成分原液)とは血液の他、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、腹水、胸水もしくは細胞からの抽出液、培養液など生体関連の物質でタンパク質を含む溶液のことである。
本発明でいう「濃縮」とは回収目的の特定タンパク質濃度を濃厚にすることをいう。
(デキストラン分子量分画性能の測定方法)
「ふるい係数」とは、以下の方法により測定できる。まず、内径200μmの中空糸膜100本を、直径約5mm、長さ17cmのガラス製ハウジングに充填し、分離される溶液が流入する入口及び流出する出口をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤“クイックメンダー”でポッティングすることによって、中空糸膜型分離膜モジュールを作製する。次いで、該モジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて、1時間洗浄する。
次に、FULKA社製デキストラン 平均分子量〜1500(No.31394)、平均分子量〜6000(No.31388)、平均分子量15000〜20000(No.31387)、平均分子量〜40000(No.31389)、平均分子量〜60000(No.31397)、平均分子量〜200000(No.31398)を各々0.5mg/mL(溶質全体では3.0mg/mL)になるように蒸留水で溶解し、デキストラン水溶液(原液)を作成する。モジュールに対して、原液側の液を循環するポンプと濾過をかけるポンプを準備し、37℃に保温した限外濾過水を用いて、原液循環流量が5ml/min、濾過流量が0.2mL/minになるように流速を調整する。次いで、充填している限外濾過水を37℃に保温した原液に置換した後、濾過を開始する。この時、モジュール出口の原液は戻さずに廃棄する。60分から75分後の液を採取し、モジュール原液入口、出口および濾液中のデキストラン濃度を測定し、これらの測定値からデキストランのふるい係数を算出する。デキストラン濃度の測定は、次のように行った。サンプリングした水溶液を細孔径0.5ミクロンのフィルターで濾過し、その濾液をGPC用カラム(東ソーTSK-gel-G3000PWXL)、カラム温度40℃、移動相を液クロ用蒸留水1mL/min、サンプル打ち込み量100μlで分析を行い、示差屈折率計(東ソー社製 RI-8020)にてslice time 0.02min、base-line-range 4.5〜11.0minで測定する。カラムのキャリブレーションは、測定直前に単分散のデキストラン(Fluka社製デキストランスタンダード No.31416,No.31417,No.31418,No.31420 ,No.31422)を用いて行う。ふるい係数は、モジュール原液入口のデキストラン濃度(Ci)、出口のデキストラン濃度(Co)、濾液のデキストラン濃度(Cf)を測定し、以下の式によりふるい係数(SC)を算出することができる。
SC=2Cf/(Ci+Co)
(透水性能の測定方法)
本膜の「透水性能」とは、以下の方法により好ましく測定できる。まず、5本以上の中空糸膜の内径、外径を測定し、平均内径および平均外径の差より、膜厚を算出する。次に、中空糸膜を100本充填した直径約5mm、長さ17cmのガラス製中空糸膜モジュールを準備する。計算に用いる中空糸膜面積は、前記測定の中空糸外径(OD)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。中空糸膜外側にモジュール原液入口を一箇所、中空糸膜内側にろ液出口を一箇所設ける。予め純水にて、中空糸膜およびモジュールに充填し、内部の空気を除去する。37℃に加温した純水を500±10ml/minで30分間送液し、モジュールの保温および洗浄を行う。濾液出口を大気開放し、モジュール原液入口の圧力を測定する(P1)。この時、圧力測定ポイントで水頭圧差が生じないように、大気開放した濾液出口、モジュール原液入口圧測定ポイントの高さを調節する。次に中空糸膜を充填していないポリカーボネート製モジュール(P1測定と同一のケース)と同一回路を接続し、同様に500±10ml/minで37℃純水を送液し、この時のモジール原液入口圧力を測定する(P2)。ここで、(P1−P2)は、中空糸膜で純水をろ過した時の正味の膜間圧差である。次に下記式により中空糸膜の透水性(UFRS)を計算することができる。
UFRS=500(ml/min)×60(min/hr)÷(P1−P2)(mmHg)÷A(mm)
ここで、A(m)=OD×L×中空糸本数
(濃縮性能の評価)
プロテオーム解析に必要な希薄タンパク質を濃縮するための分画性能としての評価は、デキストラン分子量分画の測定結果を用いて、β2−ミクログロブリン分子量(11.6kDa)相当分子量と重量平均分子量3000のデキストランの漏出割合を算出し、両者の漏出割合を評価した。漏出割合は、以下のモジュール原液入口示差屈折率(RIin)と濾液示差屈折率(RIf)から示した。
漏出割合(%)=(RIf)/(RIin)×100
以下実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
ポリスルホン(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P-3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(ISP社製K30)9重量部をN,N'−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で10時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を温度30℃の紡糸吐出部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。芯液としてN,N'−ジメチルアセトアミド60重量部および水40重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、温度30℃の雰囲気のドライゾーン350mmを通過した後、40℃の凝固浴(水浴)を通過させ、80℃30秒の水洗工程を通過させ、紡速40m/minで巻き取り、湿潤状態の中空糸膜束とした。得られた中空糸膜の寸法は、内直径200μm膜厚40μmであり、中空糸膜構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。得られた中空糸膜144本ずつの束にしてガーゼに包み、予め、10℃32%RHに設定していおいたESPEC(株)製小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。次いで、該中空糸膜を100本束ね、中空糸中空部を閉塞しないようにポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、モジュールを作成した。該モジュールの内直径は約5mm、長さは約17cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に中空糸の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有している。該モジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。この中空糸の透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは30.2、重量平均分子量10000のふるい係数は0.094、重量平均分子量5000のふるい係数は0.536、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2750であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は5.4%、重量平均分子量3000の漏出割合は86.8%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例2)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、10℃50%に設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは62.4、重量平均分子量10000のふるい係数は0.200、重量平均分子量5000のふるい係数は0.681、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は3060であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は12.4%、重量平均分子量3000の漏出割合は91.8%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例3)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、10℃75%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは41.4、重量平均分子量10000のふるい係数は0.083、重量平均分子量5000のふるい係数は0.509、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2510であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は4.8%、重量平均分子量3000の漏出割合は84.1%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例4)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、30℃23%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは41.4、重量平均分子量10000のふるい係数は0.089、重量平均分子量5000のふるい係数は0.504、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2600であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は5.4%、重量平均分子量3000の漏出割合は85.4%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例5)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、30℃50%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは34.4、重量平均分子量10000のふるい係数は0.061、重量平均分子量5000のふるい係数は0.445、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2550であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は3.4%、重量平均分子量3000の漏出割合は84.4%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例6)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、30℃75%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは22.6、重量平均分子量10000のふるい係数は0.019、重量平均分子量5000のふるい係数は0.215、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2740であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は1.1%、重量平均分子量3000の漏出割合は64.6%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例7)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、50℃17%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは33.0、重量平均分子量10000のふるい係数は0.087、重量平均分子量5000のふるい係数は0.483、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2490であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は5.5%、重量平均分子量3000の漏出割合は84.6%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例8)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、50℃50%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは19.1、重量平均分子量10000のふるい係数は0.022、重量平均分子量5000のふるい係数は0.247、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は1900であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は1.1%、重量平均分子量3000の漏出割合は69.4%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例9)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、50℃75%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは9.2、重量平均分子量10000のふるい係数は0.011、重量平均分子量5000のふるい係数は0.083、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は1330であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は1.0%、重量平均分子量3000の漏出割合は39.3%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例10)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、80℃11%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは15.3、重量平均分子量10000のふるい係数は0.018、重量平均分子量5000のふるい係数は0.212、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は1650であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は0.9%、重量平均分子量3000の漏出割合は63.3%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例11)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、80℃50%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは5.9、重量平均分子量10000のふるい係数は0.013、重量平均分子量5000のふるい係数は0.109、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は1560であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は0.8%、重量平均分子量3000の漏出割合は51.4%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例12)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、80℃75%RHに設定していおいた小型恒温恒湿器SU-220内に入れ、24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは3.9、重量平均分子量10000のふるい係数は0.024、重量平均分子量5000のふるい係数は0.190、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は1850であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は1.6%、重量平均分子量3000の漏出割合は61.8%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
(実施例13)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、湿度設定20%RHにしておいたアズワン(株)製デシケーターオートドライジャンボSP(登録商標)SP-S内に入れ、室温16±2℃で24時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは38.8、重量平均分子量10000のふるい係数は0.143、重量平均分子量5000のふるい係数は0.452、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は2150であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は10.9%、重量平均分子量3000の漏出割合は79.9%であり、解析に必要なタンパク質濃縮に良好な分離膜であった。
以上から、重量平均分子量10000のデキストランのふるい係数が0.4以下である分離膜を用いることによって、解析に必要なタンパク質を良好に濃縮することが可能になる。
(比較例1)
実施例1同様、紡糸して得られた湿潤状態の内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を100本束ね、中空糸中空部を閉塞しないようにポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、モジュールを作成した。この透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは920.7、重量平均分子量10000のふるい係数は0.978、重量平均分子量5000のふるい係数は1.000、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は19540であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は98.4%、重量平均分子量3000の漏出割合は100%であり、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜であった。
(比較例2)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、湿度設定20%RHにしておいたアズワン(株)製デシケーターオートドライジャンボSP(登録商標)SP-S内に入れ、室温16±2℃で4時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは888.1、重量平均分子量10000のふるい係数は0.977、重量平均分子量5000のふるい係数は1.000、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は18330であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は96.0%、重量平均分子量3000の漏出割合は98.3%であり、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜であった。
(比較例3)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、湿度設定20%RHにしておいたアズワン(株)製デシケーターオートドライジャンボSP(登録商標)SP-S内に入れ、室温16±2℃で8時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは833.20、重量平均分子量10000のふるい係数は0.961、重量平均分子量5000のふるい係数は0.980、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は17820であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は95.0%、重量平均分子量3000の漏出割合は97.8%であり、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜であった。
(比較例4)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、湿度設定20%RHにしておいたアズワン(株)製デシケーターオートドライジャンボSP(登録商標)SP-S内に入れ、室温16±2℃で16時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは791.60、重量平均分子量10000のふるい係数は0.974、重量平均分子量5000のふるい係数は0.999、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は17820であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は95.6%、重量平均分子量3000の漏出割合は99.8%であり、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜であった。
(比較例5)
実施例1同様、紡糸して得られた内直径200μm膜厚40μmの中空糸膜を、予め、湿度設定20%RHにしておいたアズワン(株)製デシケーターオートドライジャンボSP(登録商標)SP-S内に入れ、室温16±2℃で20時間乾燥した。これを実施例1同様、モジュールを作成し、透水性能および透過比率を評価したところ、UFRSは535.90、重量平均分子量10000のふるい係数は0.955、重量平均分子量5000のふるい係数は0.989、ふるい係数0.9の時の重量平均分子量は14720であった。また、透過比率測定結果から、β2−ミクログロブリン分子量相当の漏出割合は94.2%、重量平均分子量3000の漏出割合は98.6%であり、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜であった。
以上から、重量平均分子量10000のデキストランのふるい係数が0.4より大きい濃縮膜を用いると、解析に必要なタンパク質がほとんど漏出される分離膜になった。
Figure 2006129987

Claims (12)

  1. タンパク質および/もしくはペプチド分析前処理用の分離膜において、該分離膜の、重量平均分子量10000のデキストランに対するふるい係数が0.4以下であることを特徴とする中空糸膜型分離膜。
  2. 該中空糸膜型分離膜の透水性能が、5ml/hr/mmHg/m以上であることを特徴とする請求項1からなる中空糸膜型分離膜。
  3. 該中空糸膜型分離膜の重量平均分子量5000のデキストランに対するふるい係数が0.6以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかからなる中空糸膜型分離膜。
  4. 該中空糸膜型分離膜のふるい係数が0.9であるときのデキストラン重量平均分子量が3000の以下のであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜。
  5. 該中空糸膜型分離膜が、非対称膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜。
  6. 該中空糸膜型分離膜が、ポリスルホン系膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜。
  7. 該中空糸膜型分離膜を構成する膜素材に親水性高分子が含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜。
  8. 該親水性高分子の含有量が、膜素材の1〜10重量%であることを特徴とする請求項7に記載の中空糸膜型分離膜。
  9. 該親水性高分子が、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項7または8に記載の中空糸膜型分離膜。
  10. 製膜原液を用いて分析前処理用の分離膜を製造する方法において、該製膜直後から、乾燥により膜重量に対して水分量が0.05%以下になるまでの間に、30℃以上100℃以下の恒温、および50%RH以上100%RH以下の恒湿雰囲気下で10分間以上の乾燥工程を経ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜の製造方法。
  11. 分析用原液が血液、血漿、血清などの血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水、細胞抽出液もしくは培養液に含まれるタンパク質、ペプチドおよび/もしくは糖鎖から構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の中空糸膜型分離膜の使用方法。
  12. 該分析用原液を濃縮することを特徴とする請求項11に記載の中空糸膜型分離膜の使用方法。
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