JPWO2006123619A1 - 多層情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

多層情報記録媒体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

2以上の情報記録層を有し、前記各情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、基板を支持する工程と、前記基板の上に樹脂を供給する工程と、前記基板の上方で、スキージの最下部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程と、を含む。また、前記基板は、前記樹脂が塗布される樹脂塗布領域と、樹脂が塗布されない非樹脂塗布領域とを有してもよい。この場合、前記樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角が、前記非樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角よりも小さい。さらに、前記基板の上に樹脂を供給する工程の前に、前記基板の所定領域に前記樹脂に対する接触角が大きくなる撥油化処理を行う工程をさらに含んでもよい。

Description

本願は、日本国に2005年5月17日に出願した特願2005−143746号の日本特許出願を優先権主張の基礎とするものであり、この日本特許出願の内容は本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。
本発明は、再生または記録再生を目的とした多層情報記録媒体とその製造方法に関する。
近年、情報機器・映像音響機器等の分野において、必要とされる情報量の拡大に伴い、データアクセスの容易さ、大容量データの蓄積、機器の小型化に優れている光ディスクなどの情報記録媒体が注目され、記録情報の高密度化がなされている。例えば、光ディスクの分野においては、レーザ光の波長を約400nmとし、レーザ光を絞り込むための集光レンズの開口数(NA)を0.85とした再生ヘッドを用いることを前提に、単層で25GB程度、2層で50GB程度の記憶容量の光記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下に、特許文献1に記載された従来の多層情報記録媒体の構造及び製造方法について図2から図4を用いて説明する。
図2(a)〜(f)は、従来の多層情報記録媒体を作製するための基板作製用金型であるスタンパの製造方法を示している。このスタンパは、以下のようにして形成される。まず、ガラス板201上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜202を形成し(図2(a)参照)、その後レーザ光203により、ピットや案内溝等のパターンの露光を行う(図2(b)参照)。この露光によって、図2(b)に示すように露光された部分202aが形成される。露光部202aの感光材料は現像工程を経ることにより除去され、ピットや案内溝等のパターン204が形成された光記録原盤205が作製される(図2(c)参照)。この光記録原盤205上に形成されたピットや案内溝等のパターン204の上に、スパッタリングや蒸着等の方法により導電膜206を形成する。このようにして、感光膜202に形成されたピットや案内溝等のパターン204の形状が導電膜206に転写される(図2(d)参照)。さらに、導電膜206の剛性及び厚みを増加させるために、めっき膜207を形成する(図2(e)参照)。次に、感光膜202と導電膜206との界面から導電膜206およびめっき膜207を剥離することにより、スタンパ208が作製される(図2(f)参照)。
図3は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなるピットや案内溝の信号面が転写形成された第1信号基板301と、第1信号基板301の凹凸形状が設けられた信号面上に積層された第1薄膜層302と、第1薄膜層302と接着している面とは反対の面に凹凸形状からなるピットや案内溝の信号面が転写形成された第2信号基板303と、第2信号基板303の凹凸形状が設けられた信号面上に積層された第2薄膜層304と、第2信号基板303に対向配置された透明基板306と、第2薄膜層304と透明基板306とを貼り合わせるために設けられた透明層305により構成されている。
まず、第1信号基板301には、図2(f)に示したスタンパ208を用いて、射出圧縮成形等により片面にピットや案内溝が凹凸形状として転写形成されている。このようにして形成された凹凸形状からなる信号面の上に、薄膜層が積層される。この凹凸形状からなる信号面の上に薄膜層を積層したものを情報記録層と呼ぶ。なお、第1信号基板301の厚みは1.1mm程度である。
また、第1薄膜層302は、記録膜や反射膜を含んでおり、第1信号基板301のピットや案内溝が形成された信号面側に、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。
次に、第2信号基板303は、次のようにして作成される。まず、第1薄膜層302が積層された第1信号基板301の上に光硬化性樹脂をスピンコートした後、片面にピットや案内溝の信号面が形成された信号転写基板を、その信号面が第1信号基板301と対向するように光硬化性樹脂の層と貼り合わせる。その後、光硬化性樹脂を光硬化させた後、信号転写基板を光硬化性樹脂からなる樹脂層との界面から剥離することによって、信号面が形成された樹脂層である第2信号基板を得ることができる。この第2信号基板303の上に、第2薄膜層304が、第1薄膜層302の形成方法と同様の方法で形成される。
最後に、透明基板306は、記録再生光に対して透明な(透過性を有する)材料からなり、厚みが0.1mm程度である。透明層305は、透明基板306、積層基板307を互いに接着するために設けられており、光硬化性樹脂や感圧接着剤等の接着剤から形成されている。
このようにして作製された多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板306側から記録再生レーザ光を入射することによって行う。
図4(a)〜(j)は、上記とは異なる別の従来の多層情報記録媒体の製造方法について示すものである。図4(a)〜(j)を用いてこの製造方法を説明する。
まず、第1信号基板401は、真空吸引(バキューム)等の手段によって回転テーブル403上に固定される(図4(a)参照)。そして、第1信号基板401のピットや案内溝の第1の信号面が形成された面に、スパッタリングや蒸着等の方法により記録膜材料や反射膜材料を含んだ第1薄膜層402が積層されることにより第1の情報記録層が形成される。回転テーブル403に固定された第1信号基板401上の第1薄膜層402の上には、ディスペンサーによって光硬化性樹脂A404が、第1信号基板の内周部に同心円状に供給され(図4(b)参照)、回転テーブル403をスピン回転させることにより光硬化性樹脂A404の塗布を行う。塗布された光硬化性樹脂A404は、遠心力によって余分な樹脂と気泡が除去される。このとき、塗布される光硬化性樹脂A404の塗布厚みは、光硬化性樹脂A404の粘度やスピン回転の回転数、時間、スピン回転をさせている周りの雰囲気(温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の厚みに制御される。スピン回転停止後、塗布された光硬化性樹脂A404は光照射機405の光照射によって硬化される(図4(c)参照)。
次に、第1信号基板401の上に第2の情報記録面を形成するために、片面にピットや案内溝の信号面が形成された転写基板406が回転テーブル407上に固定される(図4(d)参照)。回転テーブル407に固定された転写基板406の上には、ディスペンサーによって光硬化性樹脂B408が転写基板406の内周部に同心円状に供給され(図4(e)参照)、回転テーブル407をスピン回転させることにより光硬化性樹脂B408の塗布を行う。塗布される光硬化性樹脂B408は光硬化性樹脂A404と同様に、所望の厚みに制御することができる。塗布された光硬化性樹脂B408はスピン回転停止後、光照射機409の光照射によって硬化される(図4(f)参照)。
2枚の基板410、411は、1つの回転テーブル403の上で、双方の光硬化後の樹脂層404、408が対向するように光硬化性樹脂C412を介して重ね合わされ(図4(g)参照)、一体化させた状態で回転テーブル403によってスピン回転させられる。光硬化性樹脂C412はスピン回転によって所望の厚みに制御された後に光照射機405の光照射によって硬化される(図4(h)参照)。光硬化性樹脂C412によって基板410、411が一体化された後に、転写基板406と光硬化後の樹脂層408の界面より、転写基板406を剥離する。このようにして、第1信号基板401の上に第2の信号面が形成される。
ここで用いる光硬化性樹脂A404は第1薄膜層402と光硬化性樹脂C412との接着性が良好なものを選定する。また、光硬化性樹脂B408は転写基板405との剥離性が良く、かつ光硬化性樹脂C412との接着性が良好なものを選定している。これらの光硬化性樹脂A、B、Cは異なる種類のものを使用してもよいし、同じ種類のものを使用してもよい。また、樹脂層をできるだけ薄く形成するために、それぞれの光硬化性樹脂の粘度は約0.15Pa・sとする。
続いて、第1信号基板401の上に形成された第2の信号面には、スパッタリングや蒸着等の方法により記録膜材料や反射膜材料を含んだ第2薄膜層413が形成され、第2の情報記録層となる。最後に、第2薄膜層413と透明基板414を貼り合わせる際に、記録再生光に対してほぼ透明(ほぼ透過)な透明層415が形成される。この透明層415は、第2薄膜層413の上に光硬化性樹脂を滴下した後に、スピン回転させることによって光硬化性樹脂に混入する気泡の除去や厚み制御を行い、樹脂を塗布した後に光照射して硬化することで形成される(図4(i)参照)。
特開2002−092969号公報
しかしながら、スピンコート法によって複数の情報記録層を分離するための透明な樹脂層を形成すると、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動を発生してしまい、特に複数積層する際には各樹脂層の膜厚変動の足し合わせで情報記録媒体全体としての厚みムラが大きくなる。また、信号基板の端面まで光硬化性樹脂が塗布されるため、スピン回転を停止させて光照射によって樹脂を硬化させる時に、信号基板の外周端部において表面張力による光硬化性樹脂の盛り上がりが発生し、信号基板の外周端部の膜厚が大きくなってしまう(図4(j)参照)。これにより、レーザを用いて媒体への信号の記録再生を行う際に、膜厚変動により発生する球面収差によって光スポットの絞りの変動や情報記録層上へ光スポットのフォーカス制御、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御に影響を与えてしまうことが問題となる。また、1層ずつスピンコートを実施する必要があるため、タクト時間の短縮が困難である。
そこで、情報記録層を分離するための樹脂層を作製する工程をスピンコート法以外で検討する。一般に、プラスチックシートやフィルムを製造する工法には、主として、以下のようなものがある。
(1)樹脂温度をあげて溶液状態になった樹脂をT型ダイスから押し出す工法(Tダイ法)。
(2)塗工剤槽からグラビアロールで塗工剤を汲み上げて過剰分をドクタブレードで除去し、回転ロール上に抱かれた支持体に塗工剤を転移させるグラビアコーター法。
(3)ロール間で圧延していくカレンダー法。
(4)有機溶剤や水に溶かした溶液を支持台上に流延していくキャスティング法。
ここで、多層記録情報媒体を製造するにあたっては信号基板上に直接に樹脂層を形成するため、信号基板や信号基板上に積層された情報記録層自身に熱的及び物理的負荷を与えることなく、樹脂等の塗布を行わなければならない。そういった点においては、(4)のキャスティング法が適していると言える。しかし、単にキャスティング法を用いるだけでは、上記のような50GBを越えるような多層情報記録媒体に要求される程度の厚みの均一性を実現するのが困難であった。
本発明の目的は、上述の従来の課題を解決するものであって、複数の情報記録層間に均一かつ高速に樹脂層を形成すること、及び、装置設備のメンテナンス頻度を減らし、製造コストを低減することを目的とした多層情報記録媒体及びその製造方法を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法は、2以上の情報記録層を有し、前記各情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、
基板を支持する工程と、
前記基板の上に樹脂を供給する工程と、
前記基板の上方で、スキージの最下部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程と、
を含む。
前記基板は、前記樹脂が塗布される樹脂塗布領域と、樹脂が塗布されない非樹脂塗布領域とを設けることが好ましい。この場合、前記樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角は、前記非樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角よりも小さい。
また、前記基板の上に樹脂を供給する工程の前に、
前記基板の所定領域に前記樹脂に対する接触角が大きくなる撥油化処理を行う工程をさらに含むことが好ましい。
前記撥油化処理を行う工程では、
前記基板の前記所定領域に金属膜を形成してもよい。この場合、前記金属膜の主成分は、少なくともAu、Cu、Niのいずれか一つを含むことが好ましい。
さらに、前記撥油化処理を行う工程では、
前記基板の前記所定領域に、形成する樹脂層の厚みよりも薄い撥油性シールを接着してもよい。
また、前記撥油化処理を行う前記所定領域は、前記基板の内周部及び外周部であってもよい。
前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程では、
前記スキージの底面部が前記基板の面に対して平行であって、前記スキージの底面部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させてもよい。
また、前記樹脂は、紫外線硬化樹脂であってもよい。
さらに、前記基板を保持する工程では、
基板保持台の上で前記基板を保持してもよい。この場合、前記基板保持台の内径が、前記基板の内径よりも大きく、前記基板保持台の外径が前記基板の外径よりも小さいことが好ましい。さらに、前記基板保持台が、前記樹脂に対して撥油性を有することが好ましい。
また、前記基板は、信号面を有する信号転写基板であってもよい。この場合、
前記信号転写基板の前記樹脂を塗布した面に、情報記録層が形成された信号基板を、前記情報記録層が対向するように貼り合せる工程と、
前記信号転写基板と前記信号基板との間の樹脂層を硬化させる工程と、
硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と
をさらに含んでもよい。
さらに、前記信号転写基板と、前記情報記録層が形成された信号基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行ってもよい。なお、前記信号転写基板は、ポリオレフィン樹脂であってもよい。
また、前記基板は、信号面が形成された信号基板であってもよい。この場合、
前記信号基板の前記樹脂を塗布した面に、信号面を有する信号転写基板を、前記信号面が対向するように貼り合せる工程と
前記信号基板と前記信号転写基板との間の樹脂層を硬化させる工程と、
硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と、
をさらに含んでもよい。
さらに、前記信号基板と、前記信号面を有する前記信号転写基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行ってもよい。
またさらに、本発明に係る多層情報記録媒体は、上記の本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法によって作製されたことを特徴とする。これにより、各々の情報記録層間の樹脂層の厚みの均一性に優れ、光源から各々の情報記録層までの媒体を通る光路長の変動が少なく、光学収差による光スポットの絞り変動を抑え、フォーカス制御、トラッキング制御を安定化させることができる多層情報記録媒体を提供することができる。
本発明に係る多層情報記録媒体及びその製造方法によれば、各情報記録層間の樹脂層の厚みの均一性に優れ、良好に信号の記録再生が行える多層情報記録媒体を実現することができる。
(a)は、本発明の実施の形態1における樹脂の塗布工程のうち、基板上に樹脂を供給する工程を示す断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。(c)は、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去する工程を示す断面図であり、(d)は、(c)の平面図である。(e)は、中心孔を越えてスキージを移動させた際の状態を示す断面図であり、(f)は、(e)の平面図である。 (a)〜(f)は、従来の多層情報記録媒体を作製するための基板作製用金型の製造方法の各工程の断面図である。 従来の多層情報記録媒体の断面図である。 (a)〜(j)は、従来の多層情報記録媒体の製造方法の各工程の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。 情報記録媒体が1回記録の場合の薄膜層(情報記録膜)の構成について示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の透明層の樹脂の塗布工程のうち、基板上に樹脂を供給する工程を示す断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。(c)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂の塗布工程のうち、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去する工程を示す断面図であり、(d)は、(c)の平面図である。(e)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂の塗布工程のうち、中心孔を越えてスキージを移動させた際の状態を示す断面図であり、(f)は、(e)の平面図である。 基板上において、撥油化処理された非樹脂塗布領域と、撥油化処理されていない樹脂塗布領域とを示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、基板を用意する工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、樹脂塗布領域をマスクする工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、撥油性材料を形成する工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、マスクを除去する工程を示す平面図である。 非樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が大きく、撥油性を示す概念図である。 樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が小さく、樹脂への濡れ性が良好なことを示す概念図である。
符号の説明
101 信号転写基板
102 信号面
103 テーブル
104、104a,104b 非樹脂塗布領域
105 樹脂塗布領域
106 紫外線硬化樹脂/紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)
107 スキージ
108 空間
109 マスク
110 撥油性材料
201 ガラス板
202 感光膜
203 レーザ光
204 ピットや案内溝等のパターン
205 光記録原盤
206 導電膜
207 めっき膜
208 スタンパ
301 第1信号基板
302 第1薄膜層
303 第2信号基板
304 第2薄膜層
305 透明層
306 透明基板
307 積層基板
401 第1信号基板
402 第1薄膜層
403 回転テーブル
404 光硬化性樹脂A/光硬化後の樹脂層
405 光照射機
406 転写基板
407 回転テーブル
408 光硬化性樹脂B/光硬化後の樹脂層
409 光照射機
410 基板
411 基板
412 光硬化性樹脂C/光硬化後の樹脂層
413 第2薄膜層
414 透明基板
415 透明層
501 第1信号基板
502 第1薄膜層
503 第2信号基板
504 第2薄膜層
505 第3信号基板
506 第3薄膜層
507 第4信号基板
508 第4薄膜層
509 透明層
601 第1信号基板
602 ピットや案内溝などの信号面
603 反射膜
604 誘電体膜
605 記録膜
606 誘電体膜
701 真空槽
703 真空ポンプ
704 加圧プレート
705 紫外線照射装置
801 真空槽
804 加圧プレート
805 紫外線照射装置
806 樹脂層
901 第1信号基板
902 記録面上
903 基盤保持台
904 非樹脂塗布領域
905 樹脂塗布領域
906 紫外線硬化樹脂
907 スキージ
908 中心穴
以下、本発明の実施の形態に係る多層情報記録媒体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は光ディスク形状の情報記録媒体の構造例について説明するが、光ディスクの形状に限定されるものではなく、例えばメモリカードなどの一般的な情報記録媒体にも適用することができる。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の断面図である。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された基板である第1信号基板501と、第1信号基板501の信号面上に配置された第1薄膜層502と、第1信号基板501と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第2信号基板503と、第2信号基板503の信号面上に配置された第2薄膜層504と、第2信号基板503と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第3信号基板505と、第3信号基板505の信号面上に配置された第3薄膜層506と、第3信号基板505と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第4信号基板507と、第4信号基板507の信号面上に配置された第4薄膜層508と、第4薄膜層508の上に配置された透明層509とによって構成される。
第1信号基板501は、情報記録媒体の反りや剛性を良くして、さらにCDやDVD、Blu−ray Discなどの光ディスクと機械的互換性を有するように、外径φ120mm、厚さが1.0〜1.1mm程度のポリカーボネイトやアクリル系樹脂の円板から形成されている。この第1信号基板501は、図2(f)で示した従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形によって片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が作製されている。各信号基板の中心部にはプレーヤが信号を記録再生する際に、ディスクを保持して回転させるために用いる直径φ15mmの中心穴が設けられている(図示せず)。本実施の形態においては、第1信号基板501としてポリカーボネイト製の基板を用いる。
第1信号基板501の上には、紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより作製される樹脂層(図5中の信号基板503、505、507や透明層509)が順次積層される。そのため、例えば信号面を上にした場合には、積層後の情報記録媒体の形状は紫外線硬化樹脂特有の特徴といえる硬化収縮によって、凹形状の反りが発生する。従って、第1信号基板501は予め信号面を上にして凸形状に反るように形成することで、樹脂層からなる各信号基板503、505、507や透明層509の積層後の情報記録媒体の反りが相殺されて、積層後の情報記録媒体が平坦になるように成形することができる。なお、ここでは、信号基板503、505、507とは、樹脂層からなるものであって、樹脂層に信号面が転写されたものを意味する。
第1薄膜層502は、情報記録媒体が再生専用型(ROM)である場合、再生されるレーザ光に対して全反射に近い特性を有する。例えば、Al、Ag、Au、Si、SiOなどの金属や半導体、誘電体をスパッタリングや蒸着等の方法を用いて薄膜を形成する。
一方、情報記録媒体が1回記録(Write Once)型である場合、図6を用いて、必要とされる薄膜層(記録膜)の詳細な構成について以下に説明する。まず第1信号基板601上に形成されたピットや案内溝などの信号面602に対して、スパッタリングや蒸着等の方法により、AlCrからなる反射膜603、ZnSからなる誘電体膜604、TeOPdからなる記録膜605、ZnSからなる誘電体膜606が順次積層される。ここで、第1薄膜層502とは、上記反射膜603、誘電体膜604、記録膜605、誘電体膜606を含むものである。なお、ここでは、反射膜603としてAlCrを使用したが、ROMと同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。また、薄膜層として色素膜等を含む構成を用いてもよい。第2薄膜層504および第3薄膜層506、第4薄膜層508についても、上記第1薄膜層502と同様の薄膜が形成されている。記録再生される際の光学特性によっては、反射膜603の厚みを調整してもよく、あるいは反射膜603自体の除去、誘電体膜604や記録膜605の厚みを調整してもよい。
第2信号基板503は、記録再生光に対して透明(高い透過性を有する)であることが望ましく、例えばアクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより形成される樹脂層である。紫外線硬化樹脂は吸収光波長を紫外線帯域に有し、任意の機会に紫外線を照射することにより硬化させることができる特徴を有しているので、樹脂層の形状制御において有効である。
この樹脂層からなる第2信号基板503は、以下のようにして形成される。まず、液体の紫外線硬化樹脂を第1薄膜層502の上に塗布した後に、凹凸形状で形成されたピットや案内溝などの信号面を有する信号転写基板を押し当て、紫外線を照射することによって硬化させた後に、信号転写基板を硬化後の紫外線硬化樹脂からなる樹脂層との界面から剥離する。これによって、樹脂層(第2信号基板)が形成される。ここで、紫外線硬化樹脂を塗布する領域は第1信号基板501の外径よりも小さく、また第1信号基板501の中心穴よりも大きく形成されている(図示せず)。なお、第3信号基板505および第4信号基板507についても、上記第2信号基板503と同様の方法および形状で形成されている。
さらに、透明層509も、記録再生光に対して透明(高い透過性を有する)であることが望ましく、例えばアクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を用いて形成されている。紫外線硬化樹脂はまず液体の状態(未硬化状態)で使用され、第4薄膜層508の上に塗布された後、紫外線照射により硬化される。形成された透明層は、各信号基板や各薄膜層を覆うように形成され、内周部と外周部において第1信号基板501と直接接着するように形成される。
次に、図1(a)〜(f)を用いて、本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法について説明を行う。図1(a)は、キャスティング装置において樹脂を基板上に供給した状態を横から見た概観図である。図1(b)は、装置に装着された基板上に樹脂が供給された状態を上から見た概観図である。図1(c)は、樹脂を塗布し始めた状態の装置及び基板を横から見た概観図である。図1(d)は、樹脂を塗布し始めた状態の装置及び基板を上から見た概観図である。図1(e)は、中心穴を越えて基板全体の半分以上の面積にわたってスキージを移動させて樹脂を塗布した状態の装置及び基板の断面図である。図1(f)は、半分以上の面積に樹脂を塗布した状態の装置及び基板を上から見た平面図である。
(a)まず、図1(a)及び図1(b)に示すように、信号転写基板101を、真空吸着などの手段によって、基板保持台であるテーブル103で固定する。この際、真空吸着の減圧効果により、信号転写基板101が変形しない程度に吸着吸引力を調整する。また、信号転写基板101の表面上には、信号面102が形成され、この面には、多層記録媒体上に形成する所望の溝又はピット形状を反転させた溝又はピットを形成しておく。また、信号転写基板101は、紫外線硬化樹脂106を塗布し硬化することにより得られる樹脂層との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン材料で形成されており、厚みが0.3〜0.6mmに形成されている。信号転写基板101にポリオレフィン材料を用いることによって、信号転写基板101の成形時と同様に従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形技術により片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面を容易に作製できる。またポリオレフィン材料は、紫外線を透過する特性も有しており、信号転写基板101を通して紫外線照射することにより、塗布された紫外線硬化樹脂を効率良く硬化させることができるという特徴を有する。ここでは、信号形成面102に深さ25nmの案内溝を形成した信号転写基板を使用する。
本実施の形態のように、情報記録層を分離するための樹脂層の形成方法としてキャスティング法を用いた場合、信号転写基板101の厚みムラ、及び信号面102の面精度がそのまま、信号転写基板101の上に形成する樹脂層の厚みに影響を与える。そのため、テーブル103の平滑性が高いこと、及び、吸着による信号転写基板101の変形ができるだけ小さいことが好ましい。そこで、本実施の形態では、厚み0.6mm(±5μm)の信号転写基板101を用い、φ2mmの吸着穴を40個設けたステンレス製のテーブル103を用いる。
このとき、テーブル103の内径は信号転写基板101の内径より大きく、テーブル103の外形は信号転写基板101の外形より小さいことが好ましい。これは、余剰分の樹脂がテーブルに接触することを防ぐためである。余剰分の樹脂がテーブルと接した場合、信号転写基板101の側面、及び裏面に樹脂が付着する可能性が高くなる。これを防ぐには、テーブル103の形状を信号転写基板101よりも小さくすることが好ましい。
(b)次に、非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bに施す撥油化処理について以下に説明する。この撥油化処理とは、非樹脂塗布領域104a、104bについて樹脂塗布領域105に比べて紫外線硬化樹脂の濡れ性が悪く、接触角が大きい撥油性を付与することを意味する。言い換えれば、撥油化処理とは、非樹脂塗布領域104a、104bの紫外線硬化樹脂に対する接触角が樹脂塗布領域105の樹脂に対する接触角より大きくなるように、非樹脂塗布領域又は樹脂塗布領域の少なくとも一方を処理することである。ここで接触角とは、樹脂(液体)の自由表面が基板と接する場所で液面と基板面とのなす角(液体の内部にある角)をいう。例えば、図12Aには、非樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が大きく、撥油性を示す場合の一例を示す。図12Bには、樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が小さく、樹脂に対する濡れ性が良好な場合の一例を示す。
一般的に、CD、DVDに代表される光ディスクでは、基板の内周側の領域は、信号を再生する際に、多層記録情報媒体を支持するためいわゆるクランプエリアとして用いられるため信号面として使用されていない。また、基板の外周側の領域は、射出成型によって作製される信号転写基板の最外周部に案内溝やピットを転写させることが困難であるため、信号面として使用されていない。そこで、信号転写基板101には、紫外線硬化樹脂を塗布する樹脂塗布領域105と紫外線硬化樹脂を塗布しない非樹脂塗布領域104a(内周部)、104b(外周部)とを設ける。
本実施の形態では、非樹脂塗布領域の内周部104aは、中心に形成されているφ15mmの穴の内周側面部、及び、中心穴の端面から半径10mmの範囲とする。また、非樹脂塗布領域の外周部104bは半径59.0mmから半径60.0mmの外周端にかけて、及び、ディスク外周部の外周側面部とする。
この撥油化処理には種々の方法があるが、ここでは撥油性材料を塗布することによって非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bに撥油性を付与する方法について説明する。この撥油性材料として用いられるものは、例えば、高級脂肪族カルボン酸、アミド類、金属塩類、リン酸の芳香族、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、フッ素系樹脂(商品名PTFE、デュポン社製)を用いてもよい。なお、このフッ素系樹脂を用いる場合、その厚みは3μm以下になるようにする。
次に、この撥油化処理の一例について図11A〜図11Dを用いて説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する(図11A)。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)樹脂塗布領域105をあらかじめマスク109する(図11B)。これは、樹脂塗布領域105に撥油性材料が塗布されないようにするためである。マスクの厚さは通常用いられるマスクの厚さでよいが、あまり厚くなると境界部分に撥油性材料を形成できなくなるので、マスクの厚さは500μm以下が好ましい。
iii)基板101の上に撥油性材料110をスプレーコートする(図11C)。なお、このスプレーコートの方法は、既知の方法によって実行すればよい。
iv)樹脂塗布領域105からマスク109部分を除去する(図11D)。
以上の撥油化処理によって、樹脂塗布領域105には撥油性材料が塗布されず、基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
(c)さらに、図1(a)及び図1(b)に示すように、上記撥油化処理を施した内周部104aと外周部104bとの非樹脂塗布領域と、撥油化処理されていない樹脂塗布領域105とを有する信号転写基板101の上に、紫外線硬化樹脂106を供給する。紫外線硬化樹脂106としては、密着性と硬化時間を考慮して、アクリル系オリゴマーにアクリル系モノマーを混入し、光重合開始剤を添加したアクリル系紫外線硬化樹脂を選択する。信号転写基板上に供給する紫外線硬化樹脂の量は、樹脂塗布領域105の面積と所望の厚みの積よりも大きい値にしておく。特に、塗布ムラができないように樹脂塗布領域105のほぼ全面に、所望の厚みよりも多くあらかじめ予備的に塗布しておくことが好ましい。本実施の形態では、厚み20μmの樹脂を塗布することを目的とする。
なお、紫外線硬化樹脂の供給時において、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂106との間の気泡、紫外線硬化樹脂中106内の気泡、異物混入が発生する場合があり、これらの気泡や異物は、誤った再生信号が検出される原因になる。このため、紫外線硬化樹脂の供給時には、ディスペンサー等を使用し、気泡、異物が混入しないよう、ゆっくり塗布することが好ましい。この紫外線硬化樹脂の供給プロセスは、例えば数秒間、具体的な例では約2secで行われる。
(d)次に、図1(c)及び図1(d)に示すように、スキージ107の最下部(底面部)を信号面102から20μmだけ距離を離した位置にセットし、信号転写基板101の上にわたって、スキージ107を図中の矢印方向に平行移動させる。このスキージ107によって、紫外線硬化樹脂106の過剰分を除去することができる。スキージ107の底面部は平らな形状となっているため、所望の樹脂厚み(20μm)に対して、紫外線硬化樹脂106の過剰分がスキージ107によって取り除かれる。
スキージ107の材料は、アルミニウムまたは、ステンレス等の金属製が好ましい。本実施の形態では、ステンレス材料のSUS304を用いる。また、スキージ107は、その移動方向に垂直な長さが信号転写基板101の直径よりも長く、信号転写基板の直径より数cm長いことが好ましい。
また、スキージ107の底面部(最下部)と信号面102との距離、平行度、また、スキージ107の底面部の平滑性は、形成される樹脂層の厚みと厚みの均一性に直接的に影響を及ぼす。そこで本実施の形態では、スキージ107の底面部の表面粗さの最大高さRmaxが1μm以下になるように加工を施す。
なお、樹脂層の厚みの均一性を高めるために、スキージ107の底面部の信号転写基板101に対する平行度の調整を繰り返し行う。この際、信号転写基板101は射出成型機で作製されているので、同じ成型機、同じ金型を用いて作成した複数の信号転写基板101の厚みムラは、それぞれが同様の方向性を有する。
また、信号転写基板101の厚みムラは、射出成形機に設置された金型の平行度及び平面度に起因し、平面度が十分小さい金型を用いて射出成形を行う場合は、金型の平行度が信号転写基板101の厚みムラの主要因となる。よって、ある直径方向について見ると、信号転写基板101のその直径の一方の最外周部の厚みが最も厚く、他方の最外周部が最も薄くなる。そのため、信号転写基板101をテーブル103に設置する際には、この信号転写基板101の厚みムラの方向も考慮に入れ、スキージ107を設置することが望ましい。
このようにして、紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより形成される樹脂層の厚みの均一性が高くなるように、スキージ107の底面部の、信号転写基板101に対する平行度の調整を行う。この結果、例えば、樹脂塗布領域105全面に形成される厚みの平均値は20μmとなる。また、樹脂層の厚みムラは±1μmである。なお、厚みの測定には、分光高度計の波長特性の変化から膜厚を測定する光学式膜厚測定装置(Steag社製、ETA−Optik GmbH)を使用する。
なお、本発明のスキージ107を用いた樹脂の余剰分の除去について、従来のスピンコート法と比較すれば、従来のスピンコート法で樹脂を塗布すると、内周部及び外周部について撥油化処理を行っていないので、ディスクの端面にまで樹脂が供給されるが、外周部に撥油性が付与されておらずその供給された樹脂が除かれないため、ディスクの外周端では、表面張力により外周端の樹脂厚みが厚くなる傾向にある(図4(j)参照。)。一方、本実施の形態の樹脂塗布方法によれば、外周端には樹脂が塗布されないため、外周部の盛り上がりを小さくすることができる。
なお、スキージ107の底面部と信号面102との距離を調整することで、形成される樹脂層の厚みの平均値を制御することができる。この調整により、樹脂層の形成厚みを10μmから25μmの間で変化させることができる。
(e)その後、非樹脂塗布領域の内周側104aについてスキージ107を通過させ、最終的にはスキージ107を信号転写基板101の全面にわたって通過させる。なお、図1(e)及び図1(f)は、スキージ107が内周側の非樹脂塗布領域104aを通過した後の模式図である。スキージ107が信号形成面上102を通過する際には、余分な紫外線硬化樹脂をかき取るため、樹脂の剰余分がスキージ107によって押し出される。信号転写基板101の外径からはみ出す余分な樹脂は、テーブル103が傾斜していることによって、重力により下部に落ちる。なお、この余分な樹脂回収の効率を高めるために、テーブル103の周りを減圧しておくことが好ましい。また、本実施の形態の信号転写基板101には内径10mmの穴が開いており、樹脂の剰余分は、重力により内径の穴より落下する。この際、樹脂の剰余分の落下を促進させるために、テーブルの中に空間108を設けておき、この部分を低圧にしておく。具体的には空間108をポンプ(図示せず)で、減圧しておくことが好ましい。これにより、落下した樹脂が跳ね返り、信号転写基板101の裏側についたりすることを防ぐことができる。
また、スキージ107の移動速度は、速いほうが製造のタクトに有利であるが、あまり速すぎると樹脂層中に気泡が発生したり、紫外線硬化樹脂が塗布できていない欠陥領域が発現する。そこで、スキージ107の移動速度は、100mm/s以下であることが好ましい。
本実施の形態では、紫外線硬化樹脂の供給プロセスを2sec、スキージの移動速度を70mm/s、樹脂層の形成タクトを4secとする。なお、供給プロセスとは、スキージを移動させる前に、ディスク(信号転写基板101)上に紫外線硬化樹脂を供給する上記プロセス(c)のことである。
上記の工程により、高速かつ高精度に、厚みの均一性に優れた紫外線硬化樹脂の樹脂層106を形成することができる。
なお、ここでは信号転写基板101が一枚だけ載置された場合について説明したが、複数枚の信号転写基板101を同一平面上に並べておき、樹脂を供給し、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去するようにしてもよい。このように複数枚の基板を並べておくことで、連続して樹脂の塗布工程を行うことができるため効率を向上させることができる。また、一枚の基板における余剰分の樹脂が隣接する基板への塗布に用いられるため、無駄を減らすことができる。
次に、信号転写基板101の上に厚みが均一に形成された紫外線硬化樹脂からなる樹脂層を第1信号基板501の上に移すと共に、樹脂層に信号転写を行う信号転写工程について説明する。図7A〜図7Dは、未硬化状態の樹脂層への信号転写工程の各工程の例を示す断面図である。
a)紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106の形成が完了した信号転写基板101は、真空槽701の中に搬送される。このとき同時に第1信号基板501も真空槽701の中に搬送される。第1信号基板501は、表面に案内溝またはピットからなる信号層が形成され、その上に第1薄膜層502が積層されている、厚みが1.1mmの基板である。信号転写基板101の中心部には、第1信号基板501とセンターボスを介して偏芯をとるための中心穴が設けられている(図7A参照)。
b)その後、真空槽701内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ703などによって排気され、短時間で真空雰囲気となる。真空槽701内が100Pa以下の真空度に達したときに、紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106が形成された信号転写基板101を第1信号基板501上に重ね合わせる。このとき、信号転写基板101の上部に設置されている加圧プレート704が信号転写基板101を加圧することによって紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106と第1信号基板501が貼り合わせる。真空槽701内が真空雰囲気であることから、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と第1信号基板501の間には気泡が混入することなく貼り合せることが可能となる(図7B参照)。
c)さらに、貼り合わされた信号転写基板101と第1信号基板501とを真空槽701から取り出す。次いで、信号転写基板101の上部に配置されている紫外線照射装置705によって紫外線を照射する(図7C参照)。このように信号転写基板101を介して全面を照射することにより紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106が硬化され、樹脂層503となる。
d)次いで、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂503との間に圧縮エアーを吹き込んで(図7C参照)、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と信号転写基板101の界面から信号転写基板101を剥離する(図7D参照)。
上記各工程によって、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に信号層が転写された樹脂層(硬化後)503が形成される。
なお、上記薄膜層及び樹脂層の積層と同様にして、樹脂層706が形成された第1信号基板501の上に、さらに複数層の薄膜層及び樹脂層を積層できる。例えば、第1薄膜層502と同様のスパッタリング等の方法による薄膜層の形成工程と、上述の信号転写基板の上への紫外線硬化樹脂の塗布工程と、上記信号転写基板と信号基板とを対向させて樹脂層に信号面を形成する信号転写工程とを繰り返し実施することにより、4つの情報記録面を第1信号基板501の上に設けることができる。
また、再生面である透明層509(図5)の形成は記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)なアクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂を使用し、樹脂を塗布した後に、スキージで余分な樹脂をかきとることによって形成する。この透明層509の厚みは、透明層の表面から最も遠い第1信号基板501上の情報記録層までの厚みが、記録再生ヘッドの球面収差が補正可能な範囲である100μm程度となるように、間に挟まれる樹脂層の厚みに応じて選定・形成される。例えば樹脂層(第2信号基板503、第3信号基板505、第4信号基板507)の厚さがそれぞれ25μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−25μm×3層=25μmとなるように選定している。また、樹脂層の厚さがそれぞれ10μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−10μm×3層=70μmとなるように選定している。
なお、この多層情報記録媒体の製造方法では、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層の外径を第1信号基板501の外径よりも小さく形成し、内径を第1信号基板501の内径よりも大きく形成している。また、透明層509を各々の樹脂層の領域よりも半径方向外側に大きく形成することにより、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層は、透明層509と第1信号基板501の間に包まれた構造となる。さらに、媒体の外周部で、ポリカーボネイト製の第1信号基板501と紫外線硬化樹脂でできた透明層509が接着されることにより各樹脂層は密閉され、各々の樹脂層や薄膜層の層間の剥離を防ぐことができる。
また、本実施の形態の多層情報記録媒体の製造方法によれば、基板の上に樹脂を塗布した後、スキージの最下部と基板の面との間隔を一定に保ちながら、スキージを基板の全面にわたって移動させることによって、形成する樹脂層の厚みを均一にし、厚みムラを抑制すると共に、余剰分の樹脂を除去できる。このとき、第1信号転写基板101の外周側面部に撥油化処理をしておくことが好ましい。この撥油化処理を行うことにより、非樹脂塗布領域104への紫外線硬化樹脂の侵入を抑制できると共に、紫外線硬化樹脂が第1信号転写基板101の裏側に回りこむことを防ぐことができる。また、外周部104bにおける樹脂層の厚みの増加を抑えることができる。
さらに、この多層情報記録媒体の製造方法によれば、多層情報記録媒体の各々の樹脂層の厚みを高速かつ均一に形成することができる。このとき、また気泡の混入や未硬化などの不良が無く、かつ高速に樹脂層への信号面の転写を行うことが出来る。上記効果により、良好な記録、再生が可能な多層情報記録媒体を製造することができる。なお、本実施の形態においては、4層の光情報記録媒体を例にとって説明したが、第1信号基板501と各々の樹脂層の厚み、透明層の厚みを調整することにより、さらに多層の情報記録媒体を製造することが出来る。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の金属元素を含む薄膜を形成する点で相違する。なお、その他の樹脂層の形成等は上記実施の形態1と同様である。この実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法では、撥油化処理として、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、信号転写基板の非樹脂塗布領域にAu薄膜(厚み40nm)を形成する。
以下に撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の金属元素を含む薄膜を形成する方法を説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)樹脂塗布領域105をあらかじめマスク109する。これは、樹脂塗布領域105に所定の金属元素を含む薄膜が形成されないようにするためである。マスクの厚さは通常用いられるマスクの厚さでよいが、あまり厚くなると境界部分に金属薄膜を形成できなくなるので、マスクの厚さは500μm以下が好ましい。
iii)次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に信号転写基板101を投入し、チャンバー内をいったん、1×10−4Pa以下の真空度に保った後、ポンプでチャンバー内を排気状態にしたまま、Arガスを導入する。なお、上記マグネトロンスパッタリング装置には、アルバック社製のSMEシリーズを用いる。
iv)チャンバー内の圧力が0.2Paで安定化した後に、ターゲットに300Wの直流電圧を3分間印加し、信号転写基板101の上に所望の厚みのAu薄膜を形成する。ここで形成するAu薄膜の樹脂に対する接触角は、第1信号転写基板101の材料(ポリオレフィン樹脂)のそれよりも大きいため、上記実施の形態1における撥油化処理と同様の効果が得られる。なお、ここでは薄膜の作製にマグネトロンスパッタリング装置を用いたが、これに限られず、例えば、蒸着装置等で金属薄膜を形成してもよい。この場合にも同様の効果が得られる。
v)樹脂塗布領域105からマスク109部分を除去する。
以上の撥油化処理によって、樹脂塗布領域105にはAu薄膜が塗布されず、基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
なお、英弘精機社製の自動接触角測定装置OCA20を用いて、紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、DVD001)に対する接触角を測定することができる。Au薄膜の紫外線硬化樹脂に対する接触角は、82度であり、第1信号転写基板の材料(ポリオレフィン樹脂)の紫外線硬化樹脂に対する接触角は、24度である。また、Au以外の金属でも、70度以上の接触角が得られるものであればほぼ同等の結果を得ることができる。本発明者は、他の金属元素の探索を行った結果、Auの他、Cu、Niが特に撥油性効果が優れていることを見出した。
なお、撥油化処理において、これらの金属元素のうち、1種類の金属元素を用いて薄膜を形成してもよいし、2種類以上の金属元素を用いて薄膜を形成してもよい。さらに、上記金属元素に加えて非金属元素を導入した薄膜を形成してもよい。
上述のように、Au薄膜を信号転写基板101の非樹脂塗布領域104に形成することにより、非樹脂塗布領域104の紫外線硬化樹脂に対する接触角が大幅に大きくなる。これによって、非樹脂塗布領域104には紫外線硬化樹脂を塗布することなく、樹脂塗布領域105にのみ、紫外線硬化樹脂を均一な厚みで塗布することができる。
この後、実施の形態1と同様に、信号転写基板と信号基板との貼り合わせ装置(図7A、図7B)を用いて、真空雰囲気中で、第1信号基板の上に紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)を転写し、露光により樹脂層を硬化させ、さらに情報記録層を積層できる。所望の情報記録層の数が得られるまで以上の手順を繰り返し、最後に透明層を形成して多層記録媒体を製造できる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1及び2に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の撥油性シールを貼り付ける点で相違する。なお、その他の樹脂層の形成等は上記実施の形態1と同様である。この実施の形態3に係る多層情報記録媒体の製造方法では、信号転写基板の非樹脂塗布領域に撥油性シールを貼り付けた後、紫外線硬化樹脂の塗布を行う。
以下に撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の撥油性シールを貼り付ける方法を説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。信号転写基板の非樹脂塗布領域の外周部104bを半径59.5mmから半径60mmの外周端にかけての範囲とする。また、信号転写基板の非樹脂塗布領域の内周部104aを、中心に形成されているφ15mmの中心穴の端面から半径10mmの範囲とする。
ii)次に、この第1信号転写基板101の非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付ける。ここでいう撥油性シールとは、表面に撥油化処理されたプラスチックフィルムである。この撥油性シールを所定領域に貼り付けることによって、その所定領域に撥油性を付与できる。この撥油性シールの材料としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートやポリイミドなどのプラスチックフィルムを用いることができる。この撥油性シールの厚みが、形成しようとする樹脂層の厚みよりも厚いとスキージとシールが接触してしまうため、所望の膜厚の樹脂層を形成できない。このため、非樹脂塗布領域104に貼り付ける撥油性シールの厚みは、形成する樹脂層の膜厚よりも薄いことが好ましい。なお、この実施の形態3で用いる撥油性シールは、主にコンデンサーの用途に用いられているシールで、ポリエチレンテレフタラート材料よりなる、厚み10μmのシールを使用する。
以上の撥油化処理によって、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールによって、信号転写基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
次に、非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付けた信号転写基板101に樹脂を塗布する工程について説明する。
この非樹脂塗布領域104a、104bに上記の撥油性シールを貼り付けた信号転写基板101に紫外線硬化樹脂を塗布し、樹脂の余剰分をスキージでかきとって除去する。その後、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールを取り除く。これらの作業により、非樹脂塗布領域104a、104bには樹脂層が形成されずに、樹脂塗布領域105には均一な厚みで紫外線硬化樹脂を塗布することができる。
この後、実施の形態1と同様に、信号転写基板と信号基板との貼り合わせ装置(図7A及び図7B)を用いて、真空雰囲気中で、第1信号基板の上に紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106を転写し、露光により樹脂層を硬化させ、さらに薄膜層を積層して情報記録面を形成し、最後に透明層を形成して、多層記録媒体を製造できる。なお、本実施の形態による樹脂層の形成、情報記録層の積層を繰り返し行うことにより、多層構造の情報記録媒体を製造できる。
本実施の形態3によれば、樹脂塗布領域にのみ均一な厚みで紫外線硬化樹脂を簡便に塗布することができ、多層情報記録媒体の各々の樹脂層(信号基板)の厚みを高速かつ均一に形成することができる。また、真空雰囲気下で信号転写基板101と第1信号基板501との貼り合わせを行うため、気泡の混入や未硬化などの不良が無く、かつ高速に樹脂層(未硬化状態)への信号転写を行うことができる。上記効果により、良好に記録、再生を行うことが可能な多層情報記録媒体を実現できる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1から3に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、特に、表面を覆う透明層の形成において、スキージを用いて余剰分の樹脂をかきとって除去する点で相違する。具体的には、この多層情報記録媒体の製造方法では、表面を覆う透明層を形成する際に、樹脂を塗布した後、信号基板の上に配置したスキージの最下部と信号基板の面との間隔を一定に保ちながら、表面全体にわたってスキージを移動させて、余剰分の樹脂をかきとって除去する。
また、この実施の形態4では、上記実施の形態1から3に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、第1信号転写基板101ではなく、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂を塗布する点で相違する。なお、第1信号基板501の上に樹脂層を形成する方法としては、このように第1信号基板501の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂を塗布した後に信号転写基板101を貼り合わせてもよいし、あるいは実施の形態1から3と同様にして、信号転写基板101の信号面に紫外線硬化樹脂を塗布した後に第1信号基板501を貼り合わせてもよい。また、紫外線硬化樹脂を塗布するにあたって、非樹脂塗布領域に撥油化処理を行い、撥油性を付与する撥油化処理については、実施の形態1から3と同様の方法を用いることができる。
ここでは、実施の形態3と同様に、非樹脂塗布領域に撥油性シールを貼り付ける方法について説明する。
i)まず、第1薄膜層502が積層された第1信号基板501を用意する。この第1信号基板501では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)次に、この第1薄膜層502が積層された第1信号基板501上の外周部104b、及び、内周部104aの非樹脂塗布領域に厚み15μmの撥油性シールを貼り付ける。
以上の撥油化処理によって、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールによって、信号転写基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
次に、非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付けた信号基板501に樹脂を塗布する工程について説明する。
この非樹脂塗布領域104a、104bに上記の撥油性シールを貼り付けた第1信号基板501に厚み20μmの紫外線硬化樹脂を塗布し、樹脂の余剰分をスキージでかきとって除去する。その後、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールを取り除く。これらの作業により、非樹脂塗布領域104a、104bには樹脂層が形成されずに、樹脂塗布領域105には均一な厚みで紫外線硬化樹脂を塗布することができる。
この後、樹脂層(未硬化状態)が形成された第1信号基板501の上に、信号面を有する信号転写基板101を用いて樹脂層に信号面を転写する。この信号転写工程について、図8Aから図8Dを用いて説明する。図8Aから図8Dは、実施の形態4における樹脂層(未硬化状態)への信号転写工程の一例を示す断面図である。
a)第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂の塗布が完了した後、真空槽801の中に搬送される。このとき同時に信号転写基板101についても真空槽801の中に搬送される。第1信号基板501は、表面に案内溝またはピット等の信号面が形成されており、その上に第1薄膜層502が形成されている、厚みが1.1mmの基板である。一方、信号転写基板101の中心部には、第1信号基板501とセンターボスを介して偏芯をとるための中心穴が設けられている(図8A参照)。
b)その後、真空槽801内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ803などによって排気され、短時間で真空雰囲気となる。真空槽801内が100Pa以下の真空度に達したときに、信号転写基板101を、紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106が形成された第1信号基板501上に重ね合わせる。このとき、信号転写基板101の上部に設置されている加圧プレート804が信号転写基板101を加圧することによって、紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106に信号転写基板101の信号面が転写される。真空槽801内が真空雰囲気であることから、樹脂層106と信号転写基板101の間には気泡が混入することなく貼り合せることが可能となる(図8B参照)。
c)さらに、貼り合わされた信号転写基板101と第1信号基板501とを真空槽801から取り出す。次いで、信号転写基板101の上部に配置されている紫外線照射装置805によって、信号転写基板101を介して全面に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂からなる樹脂層を硬化して樹脂層503とする(図8C参照。)。
d)次いで、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂503との間に圧縮エアーを吹き込んで(図8C参照)、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と信号転写基板101の界面から信号転写基板101を剥離する(図8D参照)。
上記各工程によって、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に信号面が転写された樹脂層503が形成される。これにより、第1信号基板501の上に、第2の信号面が形成される。
この後、この第2の信号面上に第2薄膜層(情報記録膜)を、例えば、マグネトロンスパッタ装置により形成する。
最後に、表面を覆う透明層509を形成する方法について、図9(a)〜(f)を用いて説明する。図9(a)〜(f)は、第2信号基板503(樹脂層)及び第2薄膜層504(情報記録層)が順に積層された第1信号基板501の上に、透明層509を形成する工程図を示す。
a)まず、第2信号基板(樹脂層)及び第2薄膜層(情報記録層)が順に積層された第1信号基板501において、透明層を形成する樹脂塗布領域と、透明層を形成しない非樹脂塗布領域を設ける。なお、透明層を形成する場合の非樹脂塗布領域は第2信号基板となる樹脂層を塗布する際の非樹脂塗布領域とは異なる。すなわち、第2信号基板となる樹脂層を塗布する際には、内周部904a及び外周部904bが非樹脂塗布領域であるが、透明層は外周部904bをも覆う必要があるため、外周部904bは樹脂塗布領域となる。一方、外周部904bにまで樹脂を塗布するため、外周側面部904cが非樹脂塗布領域となる。そこで、この場合は、内周部904a及び外周側面部904cが非樹脂塗布領域となる。そこで、例えば、外周部904bに貼り付けてあった撥油性のシールを除去し、外周側面部904cに撥油性のシールを貼り付けて撥油性を付与する。このように、紫外線硬化樹脂に対する撥油性が内周部904aと外周側面部904cだけが高い状態を作り上げる。
b)第2薄膜層(情報記録層)が形成された第1信号基板901を基板保持台903により、真空吸着で固定する。その後、図9(a)及び図9(b)に示すように、紫外線硬化樹脂906を第1信号基板901の記録面上902に供給する。
c)次に、図9(c)及び図9(d)に示すように、スキージ907の最下部と第1信号基板901の面との間隔を一定に保ちながら、スキージ907を移動させて、スキージ907により紫外線硬化樹脂906の余剰分をかきとり除去する。
d)その後、図9(e)及び図9(f)に示すように、非樹脂塗布領域の内周側904aについてスキージ907を通過させ、最終的にはスキージ907を第1信号基板901の全面にわたって通過させる。なお、図9(e)及び図9(f)は、スキージ907が非樹脂塗布領域の内周部904aを通過した後の模式図である。このとき、撥油性シールを貼り付けている内周部904a及び外周側面部904cの非樹脂塗布領域には、樹脂906が塗布されない。また、樹脂906の余剰分は基板保持台903(テーブル)の中心穴908や、第1信号基板901(ディスク)の外側から落下する。
e)樹脂906を光硬化させて、透明層906とする。
以上の工程を行うことにより、透明層906が均一な厚みで形成された多層情報記録媒体が得られる。
なお、スキージ907の底面部と記録面上902の距離を75μmに設定し、平行度を厳密に保持することにより、例えば、±1μmの精度で75μmの透明層906を形成することができる。
上述の通り、本発明は好ましい実施の形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
本発明に係る多層情報記録媒体及びその製造方法は、複数の情報記録面を1つの記録媒体中に有するような光ディスク等及びその製造方法として有効である。また、光ディスク以外の情報メモリカード等の用途にも応用できる。
本願は、日本国に2005年5月17日に出願した特願2005−143746号の日本特許出願を優先権主張の基礎とするものであり、この日本特許出願の内容は本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。
本発明は、再生または記録再生を目的とした多層情報記録媒体とその製造方法に関する。
近年、情報機器・映像音響機器等の分野において、必要とされる情報量の拡大に伴い、データアクセスの容易さ、大容量データの蓄積、機器の小型化に優れている光ディスクなどの情報記録媒体が注目され、記録情報の高密度化がなされている。例えば、光ディスクの分野においては、レーザ光の波長を約400nmとし、レーザ光を絞り込むための集光レンズの開口数(NA)を0.85とした再生ヘッドを用いることを前提に、単層で25GB程度、2層で50GB程度の記憶容量の光記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下に、特許文献1に記載された従来の多層情報記録媒体の構造及び製造方法について図2から図4を用いて説明する。
図2(a)〜(f)は、従来の多層情報記録媒体を作製するための基板作製用金型であるスタンパの製造方法を示している。このスタンパは、以下のようにして形成される。まず、ガラス板201上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜202を形成し(図2(a)参照)、その後レーザ光203により、ピットや案内溝等のパターンの露光を行う(図2(b)参照)。この露光によって、図2(b)に示すように露光された部分202aが形成される。露光部202aの感光材料は現像工程を経ることにより除去され、ピットや案内溝等のパターン204が形成された光記録原盤205が作製される(図2(c)参照)。この光記録原盤205上に形成されたピットや案内溝等のパターン204の上に、スパッタリングや蒸着等の方法により導電膜206を形成する。このようにして、感光膜202に形成されたピットや案内溝等のパターン204の形状が導電膜206に転写される(図2(d)参照)。さらに、導電膜206の剛性及び厚みを増加させるために、めっき膜207を形成する(図2(e)参照)。次に、感光膜202と導電膜206との界面から導電膜206およびめっき膜207を剥離することにより、スタンパ208が作製される(図2(f)参照)。
図3は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなるピットや案内溝の信号面が転写形成された第1信号基板301と、第1信号基板301の凹凸形状が設けられた信号面上に積層された第1薄膜層302と、第1薄膜層302と接着している面とは反対の面に凹凸形状からなるピットや案内溝の信号面が転写形成された第2信号基板303と、第2信号基板303の凹凸形状が設けられた信号面上に積層された第2薄膜層304と、第2信号基板303に対向配置された透明基板306と、第2薄膜層304と透明基板306とを貼り合わせるために設けられた透明層305により構成されている。
まず、第1信号基板301には、図2(f)に示したスタンパ208を用いて、射出圧縮成形等により片面にピットや案内溝が凹凸形状として転写形成されている。このようにして形成された凹凸形状からなる信号面の上に、薄膜層が積層される。この凹凸形状からなる信号面の上に薄膜層を積層したものを情報記録層と呼ぶ。なお、第1信号基板301の厚みは1.1mm程度である。
また、第1薄膜層302は、記録膜や反射膜を含んでおり、第1信号基板301のピットや案内溝が形成された信号面側に、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。
次に、第2信号基板303は、次のようにして作製される。まず、第1薄膜層302が積層された第1信号基板301の上に光硬化性樹脂をスピンコートした後、片面にピットや案内溝の信号面が形成された信号転写基板を、その信号面が第1信号基板301と対向するように光硬化性樹脂の層と貼り合わせる。その後、光硬化性樹脂を光硬化させた後、信号転写基板を光硬化性樹脂からなる樹脂層との界面から剥離することによって、信号面が形成された樹脂層である第2信号基板を得ることができる。この第2信号基板303の上に、第2薄膜層304が、第1薄膜層302の形成方法と同様の方法で形成される。
最後に、透明基板306は、記録再生光に対して透明な(透過性を有する)材料からなり、厚みが0.1mm程度である。透明層305は、透明基板306、積層基板307を互いに接着するために設けられており、光硬化性樹脂や感圧接着剤等の接着剤から形成されている。
このようにして作製された多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板306側から記録再生レーザ光を入射することによって行う。
図4(a)〜(j)は、上記とは異なる別の従来の多層情報記録媒体の製造方法について示すものである。図4(a)〜(j)を用いてこの製造方法を説明する。
まず、第1信号基板401は、真空吸引(バキューム)等の手段によって回転テーブル403上に固定される(図4(a)参照)。そして、第1信号基板401のピットや案内溝の第1の信号面が形成された面に、スパッタリングや蒸着等の方法により記録膜材料や反射膜材料を含んだ第1薄膜層402が積層されることにより第1の情報記録層が形成される。回転テーブル403に固定された第1信号基板401上の第1薄膜層402の上には、ディスペンサーによって光硬化性樹脂A404が、第1信号基板の内周部に同心円状に供給され(図4(b)参照)、回転テーブル403をスピン回転させることにより光硬化性樹脂A404の塗布を行う。塗布された光硬化性樹脂A404は、遠心力によって余分な樹脂と気泡が除去される。このとき、塗布される光硬化性樹脂A404の塗布厚みは、光硬化性樹脂A404の粘度やスピン回転の回転数、時間、スピン回転をさせている周りの雰囲気(温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の厚みに制御される。スピン回転停止後、塗布された光硬化性樹脂A404は光照射機405の光照射によって硬化される(図4(c)参照)。
次に、第1信号基板401の上に第2の情報記録面を形成するために、片面にピットや案内溝の信号面が形成された転写基板406が回転テーブル407上に固定される(図4(d)参照)。回転テーブル407に固定された転写基板406の上には、ディスペンサーによって光硬化性樹脂B408が転写基板406の内周部に同心円状に供給され(図4(e)参照)、回転テーブル407をスピン回転させることにより光硬化性樹脂B408の塗布を行う。塗布される光硬化性樹脂B408は光硬化性樹脂A404と同様に、所望の厚みに制御することができる。塗布された光硬化性樹脂B408はスピン回転停止後、光照射機409の光照射によって硬化される(図4(f)参照)。
2枚の基板410、411は、1つの回転テーブル403の上で、双方の光硬化後の樹脂層404、408が対向するように光硬化性樹脂C412を介して重ね合わされ(図4(g)参照)、一体化させた状態で回転テーブル403によってスピン回転させられる。光硬化性樹脂C412はスピン回転によって所望の厚みに制御された後に光照射機405の光照射によって硬化される(図4(h)参照)。光硬化性樹脂C412によって基板410、411が一体化された後に、転写基板406と光硬化後の樹脂層408の界面より、転写基板406を剥離する。このようにして、第1信号基板401の上に第2の信号面が形成される。
ここで用いる光硬化性樹脂A404は第1薄膜層402と光硬化性樹脂C412との接着性が良好なものを選定する。また、光硬化性樹脂B408は転写基板405との剥離性が良く、かつ光硬化性樹脂C412との接着性が良好なものを選定している。これらの光硬化性樹脂A、B、Cは異なる種類のものを使用してもよいし、同じ種類のものを使用してもよい。また、樹脂層をできるだけ薄く形成するために、それぞれの光硬化性樹脂の粘度は約0.15Pa・sとする。
続いて、第1信号基板401の上に形成された第2の信号面には、スパッタリングや蒸着等の方法により記録膜材料や反射膜材料を含んだ第2薄膜層413が形成され、第2の情報記録層となる。最後に、第2薄膜層413と透明基板414を貼り合わせる際に、記録再生光に対してほぼ透明(ほぼ透過)な透明層415が形成される。この透明層415は、第2薄膜層413の上に光硬化性樹脂を滴下した後に、スピン回転させることによって光硬化性樹脂に混入する気泡の除去や厚み制御を行い、樹脂を塗布した後に光照射して硬化することで形成される(図4(i)参照)。
特開2002−092969号公報
しかしながら、スピンコート法によって複数の情報記録層を分離するための透明な樹脂層を形成すると、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動を発生してしまい、特に複数積層する際には各樹脂層の膜厚変動の足し合わせで情報記録媒体全体としての厚みムラが大きくなる。また、信号基板の端面まで光硬化性樹脂が塗布されるため、スピン回転を停止させて光照射によって樹脂を硬化させる時に、信号基板の外周端部において表面張力による光硬化性樹脂の盛り上がりが発生し、信号基板の外周端部の膜厚が大きくなってしまう(図4(j)参照)。これにより、レーザを用いて媒体への信号の記録再生を行う際に、膜厚変動により発生する球面収差によって光スポットの絞りの変動や情報記録層上へ光スポットのフォーカス制御、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御に影響を与えてしまうことが問題となる。また、1層ずつスピンコートを実施する必要があるため、タクト時間の短縮が困難である。
そこで、情報記録層を分離するための樹脂層を作製する工程をスピンコート法以外で検討する。一般に、プラスチックシートやフィルムを製造する工法には、主として、以下のようなものがある。
(1)樹脂温度をあげて溶液状態になった樹脂をT型ダイスから押し出す工法(Tダイ法)。
(2)塗工剤槽からグラビアロールで塗工剤を汲み上げて過剰分をドクタブレードで除去し、回転ロール上に抱かれた支持体に塗工剤を転移させるグラビアコーター法。
(3)ロール間で圧延していくカレンダー法。
(4)有機溶剤や水に溶かした溶液を支持台上に流延していくキャスティング法。
ここで、多層記録情報媒体を製造するにあたっては信号基板上に直接に樹脂層を形成するため、信号基板や信号基板上に積層された情報記録層自身に熱的及び物理的負荷を与えることなく、樹脂等の塗布を行わなければならない。そういった点においては、(4)のキャスティング法が適していると言える。しかし、単にキャスティング法を用いるだけでは、上記のような50GBを越えるような多層情報記録媒体に要求される程度の厚みの均一性を実現するのが困難であった。
本発明の目的は、上述の従来の課題を解決するものであって、複数の情報記録層間に均一かつ高速に樹脂層を形成すること、及び、装置設備のメンテナンス頻度を減らし、製造コストを低減することを目的とした多層情報記録媒体及びその製造方法を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法は、2以上の情報記録層を有し、前記各情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、
基板を支持する工程と、
前記基板の上に樹脂を供給する工程と、
前記基板の上方で、スキージの最下部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程と、
を含む。
前記基板は、前記樹脂が塗布される樹脂塗布領域と、樹脂が塗布されない非樹脂塗布領域とを設けることが好ましい。この場合、前記樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角は、前記非樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角よりも小さい。
また、前記基板の上に樹脂を供給する工程の前に、
前記基板の所定領域に前記樹脂に対する接触角が大きくなる撥油化処理を行う工程をさらに含むことが好ましい。
前記撥油化処理を行う工程では、
前記基板の前記所定領域に金属膜を形成してもよい。この場合、前記金属膜の主成分は、少なくともAu、Cu、Niのいずれか一つを含むことが好ましい。
さらに、前記撥油化処理を行う工程では、
前記基板の前記所定領域に、形成する樹脂層の厚みよりも薄い撥油性シールを接着してもよい。
また、前記撥油化処理を行う前記所定領域は、前記基板の内周部及び外周部であってもよい。
前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程では、
前記スキージの底面部が前記基板の面に対して平行であって、前記スキージの底面部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させてもよい。
また、前記樹脂は、紫外線硬化樹脂であってもよい。
さらに、前記基板を保持する工程では、
基板保持台の上で前記基板を保持してもよい。この場合、前記基板保持台の内径が、前記基板の内径よりも大きく、前記基板保持台の外径が前記基板の外径よりも小さいことが好ましい。さらに、前記基板保持台が、前記樹脂に対して撥油性を有することが好ましい。
また、前記基板は、信号面を有する信号転写基板であってもよい。この場合、
前記信号転写基板の前記樹脂を塗布した面に、情報記録層が形成された信号基板を、前記情報記録層が対向するように貼り合せる工程と、
前記信号転写基板と前記信号基板との間の樹脂層を硬化させる工程と、
硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と
をさらに含んでもよい。
さらに、前記信号転写基板と、前記情報記録層が形成された信号基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行ってもよい。なお、前記信号転写基板は、ポリオレフィン樹脂であってもよい。
また、前記基板は、信号面が形成された信号基板であってもよい。この場合、
前記信号基板の前記樹脂を塗布した面に、信号面を有する信号転写基板を、前記信号面が対向するように貼り合せる工程と
前記信号基板と前記信号転写基板との間の樹脂層を硬化させる工程と、
硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と、
をさらに含んでもよい。
さらに、前記信号基板と、前記信号面を有する前記信号転写基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行ってもよい。
またさらに、本発明に係る多層情報記録媒体は、上記の本発明に係る多層情報記録媒体の製造方法によって作製されたことを特徴とする。これにより、各々の情報記録層間の樹脂層の厚みの均一性に優れ、光源から各々の情報記録層までの媒体を通る光路長の変動が少なく、光学収差による光スポットの絞り変動を抑え、フォーカス制御、トラッキング制御を安定化させることができる多層情報記録媒体を提供することができる。
本発明に係る多層情報記録媒体及びその製造方法によれば、各情報記録層間の樹脂層の厚みの均一性に優れ、良好に信号の記録再生が行える多層情報記録媒体を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る多層情報記録媒体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は光ディスク形状の情報記録媒体の構造例について説明するが、光ディスクの形状に限定されるものではなく、例えばメモリカードなどの一般的な情報記録媒体にも適用することができる。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の断面図である。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された基板である第1信号基板501と、第1信号基板501の信号面上に配置された第1薄膜層502と、第1信号基板501と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第2信号基板503と、第2信号基板503の信号面上に配置された第2薄膜層504と、第2信号基板503と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第3信号基板505と、第3信号基板505の信号面上に配置された第3薄膜層506と、第3信号基板505と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が形成された第4信号基板507と、第4信号基板507の信号面上に配置された第4薄膜層508と、第4薄膜層508の上に配置された透明層509とによって構成される。
第1信号基板501は、情報記録媒体の反りや剛性を良くして、さらにCDやDVD、Blu−ray Discなどの光ディスクと機械的互換性を有するように、外径φ120mm、厚さが1.0〜1.1mm程度のポリカーボネイトやアクリル系樹脂の円板から形成されている。この第1信号基板501は、図2(f)で示した従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形によって片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面が作製されている。各信号基板の中心部にはプレーヤが信号を記録再生する際に、ディスクを保持して回転させるために用いる直径φ15mmの中心穴が設けられている(図示せず)。本実施の形態においては、第1信号基板501としてポリカーボネイト製の基板を用いる。
第1信号基板501の上には、紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより作製される樹脂層(図5中の信号基板503、505、507や透明層509)が順次積層される。そのため、例えば信号面を上にした場合には、積層後の情報記録媒体の形状は紫外線硬化樹脂特有の特徴といえる硬化収縮によって、凹形状の反りが発生する。従って、第1信号基板501は予め信号面を上にして凸形状に反るように形成することで、樹脂層からなる各信号基板503、505、507や透明層509の積層後の情報記録媒体の反りが相殺されて、積層後の情報記録媒体が平坦になるように成形することができる。なお、ここでは、信号基板503、505、507とは、樹脂層からなるものであって、樹脂層に信号面が転写されたものを意味する。
第1薄膜層502は、情報記録媒体が再生専用型(ROM)である場合、再生されるレーザ光に対して全反射に近い特性を有する。例えば、Al、Ag、Au、Si、SiOなどの金属や半導体、誘電体をスパッタリングや蒸着等の方法を用いて薄膜を形成する。
一方、情報記録媒体が1回記録(Write Once)型である場合、図6を用いて、必要とされる薄膜層(記録膜)の詳細な構成について以下に説明する。まず第1信号基板601上に形成されたピットや案内溝などの信号面602に対して、スパッタリングや蒸着等の方法により、AlCrからなる反射膜603、ZnSからなる誘電体膜604、TeOPdからなる記録膜605、ZnSからなる誘電体膜606が順次積層される。ここで、第1薄膜層502とは、上記反射膜603、誘電体膜604、記録膜605、誘電体膜606を含むものである。なお、ここでは、反射膜603としてAlCrを使用したが、ROMと同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。また、薄膜層として色素膜等を含む構成を用いてもよい。第2薄膜層504および第3薄膜層506、第4薄膜層508についても、上記第1薄膜層502と同様の薄膜が形成されている。記録再生される際の光学特性によっては、反射膜603の厚みを調整してもよく、あるいは反射膜603自体の除去、誘電体膜604や記録膜605の厚みを調整してもよい。
第2信号基板503は、記録再生光に対して透明(高い透過性を有する)であることが望ましく、例えばアクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより形成される樹脂層である。紫外線硬化樹脂は吸収光波長を紫外線帯域に有し、任意の機会に紫外線を照射することにより硬化させることができる特徴を有しているので、樹脂層の形状制御において有効である。
この樹脂層からなる第2信号基板503は、以下のようにして形成される。まず、液体の紫外線硬化樹脂を第1薄膜層502の上に塗布した後に、凹凸形状で形成されたピットや案内溝などの信号面を有する信号転写基板を押し当て、紫外線を照射することによって硬化させた後に、信号転写基板を硬化後の紫外線硬化樹脂からなる樹脂層との界面から剥離する。これによって、樹脂層(第2信号基板)が形成される。ここで、紫外線硬化樹脂を塗布する領域は第1信号基板501の外径よりも小さく、また第1信号基板501の中心穴よりも大きく形成されている(図示せず)。なお、第3信号基板505および第4信号基板507についても、上記第2信号基板503と同様の方法および形状で形成されている。
さらに、透明層509も、記録再生光に対して透明(高い透過性を有する)であることが望ましく、例えばアクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を用いて形成されている。紫外線硬化樹脂はまず液体の状態(未硬化状態)で使用され、第4薄膜層508の上に塗布された後、紫外線照射により硬化される。形成された透明層は、各信号基板や各薄膜層を覆うように形成され、内周部と外周部において第1信号基板501と直接接着するように形成される。
次に、図1(a)〜(f)を用いて、本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法について説明を行う。図1(a)は、キャスティング装置において樹脂を基板上に供給した状態を横から見た概観図である。図1(b)は、装置に装着された基板上に樹脂が供給された状態を上から見た概観図である。図1(c)は、樹脂を塗布し始めた状態の装置及び基板を横から見た概観図である。図1(d)は、樹脂を塗布し始めた状態の装置及び基板を上から見た概観図である。図1(e)は、中心穴を越えて基板全体の半分以上の面積にわたってスキージを移動させて樹脂を塗布した状態の装置及び基板の断面図である。図1(f)は、半分以上の面積に樹脂を塗布した状態の装置及び基板を上から見た平面図である。
(a)まず、図1(a)及び図1(b)に示すように、信号転写基板101を、真空吸着などの手段によって、基板保持台であるテーブル103で固定する。この際、真空吸着の減圧効果により、信号転写基板101が変形しない程度に吸着吸引力を調整する。また、信号転写基板101の表面上には、信号面102が形成され、この面には、多層記録媒体上に形成する所望の溝又はピット形状を反転させた溝又はピットを形成しておく。また、信号転写基板101は、紫外線硬化樹脂106を塗布し硬化することにより得られる樹脂層との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン材料で形成されており、厚みが0.3〜0.6mmに形成されている。信号転写基板101にポリオレフィン材料を用いることによって、信号転写基板101の成形時と同様に従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形技術により片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの信号面を容易に作製できる。またポリオレフィン材料は、紫外線を透過する特性も有しており、信号転写基板101を通して紫外線照射することにより、塗布された紫外線硬化樹脂を効率良く硬化させることができるという特徴を有する。ここでは、信号形成面102に深さ25nmの案内溝を形成した信号転写基板を使用する。
本実施の形態のように、情報記録層を分離するための樹脂層の形成方法としてキャスティング法を用いた場合、信号転写基板101の厚みムラ、及び信号面102の面精度がそのまま、信号転写基板101の上に形成する樹脂層の厚みに影響を与える。そのため、テーブル103の平滑性が高いこと、及び、吸着による信号転写基板101の変形ができるだけ小さいことが好ましい。そこで、本実施の形態では、厚み0.6mm(±5μm)の信号転写基板101を用い、φ2mmの吸着穴を40個設けたステンレス製のテーブル103を用いる。
このとき、テーブル103の内径は信号転写基板101の内径より大きく、テーブル103の外形は信号転写基板101の外形より小さいことが好ましい。これは、余剰分の樹脂がテーブルに接触することを防ぐためである。余剰分の樹脂がテーブルと接した場合、信号転写基板101の側面、及び裏面に樹脂が付着する可能性が高くなる。これを防ぐには、テーブル103の形状を信号転写基板101よりも小さくすることが好ましい。
(b)次に、非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bに施す撥油化処理について以下に説明する。この撥油化処理とは、非樹脂塗布領域104a、104bについて樹脂塗布領域105に比べて紫外線硬化樹脂の濡れ性が悪く、接触角が大きい撥油性を付与することを意味する。言い換えれば、撥油化処理とは、非樹脂塗布領域104a、104bの紫外線硬化樹脂に対する接触角が樹脂塗布領域105の樹脂に対する接触角より大きくなるように、非樹脂塗布領域又は樹脂塗布領域の少なくとも一方を処理することである。ここで接触角とは、樹脂(液体)の自由表面が基板と接する場所で液面と基板面とのなす角(液体の内部にある角)をいう。例えば、図12Aには、非樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が大きく、撥油性を示す場合の一例を示す。図12Bには、樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が小さく、樹脂に対する濡れ性が良好な場合の一例を示す。
一般的に、CD、DVDに代表される光ディスクでは、基板の内周側の領域は、信号を再生する際に、多層記録情報媒体を支持するためいわゆるクランプエリアとして用いられるため信号面として使用されていない。また、基板の外周側の領域は、射出成型によって作製される信号転写基板の最外周部に案内溝やピットを転写させることが困難であるため、信号面として使用されていない。そこで、信号転写基板101には、紫外線硬化樹脂を塗布する樹脂塗布領域105と紫外線硬化樹脂を塗布しない非樹脂塗布領域104a(内周部)、104b(外周部)とを設ける。
本実施の形態では、非樹脂塗布領域の内周部104aは、中心に形成されているφ15mmの穴の内周側面部、及び、中心穴の端面から半径10mmの範囲とする。また、非樹脂塗布領域の外周部104bは半径59.0mmから半径60.0mmの外周端にかけて、及び、ディスク外周部の外周側面部とする。
この撥油化処理には種々の方法があるが、ここでは撥油性材料を塗布することによって非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bに撥油性を付与する方法について説明する。この撥油性材料として用いられるものは、例えば、高級脂肪族カルボン酸、アミド類、金属塩類、リン酸の芳香族、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、フッ素系樹脂(商品名PTFE、デュポン社製)を用いてもよい。なお、このフッ素系樹脂を用いる場合、その厚みは3μm以下になるようにする。
次に、この撥油化処理の一例について図11A〜図11Dを用いて説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する(図11A)。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)樹脂塗布領域105をあらかじめマスク109する(図11B)。これは、樹脂塗布領域105に撥油性材料が塗布されないようにするためである。マスクの厚さは通常用いられるマスクの厚さでよいが、あまり厚くなると境界部分に撥油性材料を形成できなくなるので、マスクの厚さは500μm以下が好ましい。
iii)基板101の上に撥油性材料110をスプレーコートする(図11C)。なお、このスプレーコートの方法は、既知の方法によって実行すればよい。
iv)樹脂塗布領域105からマスク109部分を除去する(図11D)。
以上の撥油化処理によって、樹脂塗布領域105には撥油性材料が塗布されず、基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
(c)さらに、図1(a)及び図1(b)に示すように、上記撥油化処理を施した内周部104aと外周部104bとの非樹脂塗布領域と、撥油化処理されていない樹脂塗布領域105とを有する信号転写基板101の上に、紫外線硬化樹脂106を供給する。紫外線硬化樹脂106としては、密着性と硬化時間を考慮して、アクリル系オリゴマーにアクリル系モノマーを混入し、光重合開始剤を添加したアクリル系紫外線硬化樹脂を選択する。信号転写基板上に供給する紫外線硬化樹脂の量は、樹脂塗布領域105の面積と所望の厚みの積よりも大きい値にしておく。特に、塗布ムラができないように樹脂塗布領域105のほぼ全面に、所望の厚みよりも多くあらかじめ予備的に塗布しておくことが好ましい。本実施の形態では、厚み20μmの樹脂を塗布することを目的とする。
なお、紫外線硬化樹脂の供給時において、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂106との間の気泡、紫外線硬化樹脂中106内の気泡、異物混入が発生する場合があり、これらの気泡や異物は、誤った再生信号が検出される原因になる。このため、紫外線硬化樹脂の供給時には、ディスペンサー等を使用し、気泡、異物が混入しないよう、ゆっくり塗布することが好ましい。この紫外線硬化樹脂の供給プロセスは、例えば数秒間、具体的な例では約2secで行われる。
(d)次に、図1(c)及び図1(d)に示すように、スキージ107の最下部(底面部)を信号面102から20μmだけ距離を離した位置にセットし、信号転写基板101の上にわたって、スキージ107を図中の矢印方向に平行移動させる。このスキージ107によって、紫外線硬化樹脂106の過剰分を除去することができる。スキージ107の底面部は平らな形状となっているため、所望の樹脂厚み(20μm)に対して、紫外線硬化樹脂106の過剰分がスキージ107によって取り除かれる。
スキージ107の材料は、アルミニウムまたは、ステンレス等の金属製が好ましい。本実施の形態では、ステンレス材料のSUS304を用いる。また、スキージ107は、その移動方向に垂直な長さが信号転写基板101の直径よりも長く、信号転写基板の直径より数cm長いことが好ましい。
また、スキージ107の底面部(最下部)と信号面102との距離、平行度、また、スキージ107の底面部の平滑性は、形成される樹脂層の厚みと厚みの均一性に直接的に影響を及ぼす。そこで本実施の形態では、スキージ107の底面部の表面粗さの最大高さRmaxが1μm以下になるように加工を施す。
なお、樹脂層の厚みの均一性を高めるために、スキージ107の底面部の信号転写基板101に対する平行度の調整を繰り返し行う。この際、信号転写基板101は射出成型機で作製されているので、同じ成型機、同じ金型を用いて作製した複数の信号転写基板101の厚みムラは、それぞれが同様の方向性を有する。
また、信号転写基板101の厚みムラは、射出成形機に設置された金型の平行度及び平面度に起因し、平面度が十分小さい金型を用いて射出成形を行う場合は、金型の平行度が信号転写基板101の厚みムラの主要因となる。よって、ある直径方向について見ると、信号転写基板101のその直径の一方の最外周部の厚みが最も厚く、他方の最外周部が最も薄くなる。そのため、信号転写基板101をテーブル103に設置する際には、この信号転写基板101の厚みムラの方向も考慮に入れ、スキージ107を設置することが望ましい。
このようにして、紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることにより形成される樹脂層の厚みの均一性が高くなるように、スキージ107の底面部の、信号転写基板101に対する平行度の調整を行う。この結果、例えば、樹脂塗布領域105全面に形成される厚みの平均値は20μmとなる。また、樹脂層の厚みムラは±1μmである。なお、厚みの測定には、分光高度計の波長特性の変化から膜厚を測定する光学式膜厚測定装置(Steag社製、ETA-Optik GmbH)を使用する。
なお、本発明のスキージ107を用いた樹脂の余剰分の除去について、従来のスピンコート法と比較すれば、従来のスピンコート法で樹脂を塗布すると、内周部及び外周部について撥油化処理を行っていないので、ディスクの端面にまで樹脂が供給されるが、外周部に撥油性が付与されておらずその供給された樹脂が除かれないため、ディスクの外周端では、表面張力により外周端の樹脂厚みが厚くなる傾向にある(図4(j)参照。)。一方、本実施の形態の樹脂塗布方法によれば、外周端には樹脂が塗布されないため、外周部の盛り上がりを小さくすることができる。
なお、スキージ107の底面部と信号面102との距離を調整することで、形成される樹脂層の厚みの平均値を制御することができる。この調整により、樹脂層の形成厚みを10μmから25μmの間で変化させることができる。
(e)その後、非樹脂塗布領域の内周側104aについてスキージ107を通過させ、最終的にはスキージ107を信号転写基板101の全面にわたって通過させる。なお、図1(e)及び図1(f)は、スキージ107が内周側の非樹脂塗布領域104aを通過した後の模式図である。スキージ107が信号形成面上102を通過する際には、余分な紫外線硬化樹脂をかき取るため、樹脂の剰余分がスキージ107によって押し出される。信号転写基板101の外径からはみ出す余分な樹脂は、テーブル103が傾斜していることによって、重力により下部に落ちる。なお、この余分な樹脂回収の効率を高めるために、テーブル103の周りを減圧しておくことが好ましい。また、本実施の形態の信号転写基板101には内径10mmの穴が開いており、樹脂の剰余分は、重力により内径の穴より落下する。この際、樹脂の剰余分の落下を促進させるために、テーブルの中に空間108を設けておき、この部分を低圧にしておく。具体的には空間108をポンプ(図示せず)で、減圧しておくことが好ましい。これにより、落下した樹脂が跳ね返り、信号転写基板101の裏側についたりすることを防ぐことができる。
また、スキージ107の移動速度は、速いほうが製造のタクトに有利であるが、あまり速すぎると樹脂層中に気泡が発生したり、紫外線硬化樹脂が塗布できていない欠陥領域が発現する。そこで、スキージ107の移動速度は、100mm/s以下であることが好ましい。
本実施の形態では、紫外線硬化樹脂の供給プロセスを2sec、スキージの移動速度を70mm/s、樹脂層の形成タクトを4secとする。なお、供給プロセスとは、スキージを移動させる前に、ディスク(信号転写基板101)上に紫外線硬化樹脂を供給する上記プロセス(c)のことである。
上記の工程により、高速かつ高精度に、厚みの均一性に優れた紫外線硬化樹脂の樹脂層106を形成することができる。
なお、ここでは信号転写基板101が一枚だけ載置された場合について説明したが、複数枚の信号転写基板101を同一平面上に並べておき、樹脂を供給し、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去するようにしてもよい。このように複数枚の基板を並べておくことで、連続して樹脂の塗布工程を行うことができるため効率を向上させることができる。また、一枚の基板における余剰分の樹脂が隣接する基板への塗布に用いられるため、無駄を減らすことができる。
次に、信号転写基板101の上に厚みが均一に形成された紫外線硬化樹脂からなる樹脂層を第1信号基板501の上に移すと共に、樹脂層に信号転写を行う信号転写工程について説明する。図7A〜図7Dは、未硬化状態の樹脂層への信号転写工程の各工程の例を示す断面図である。
a)紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106の形成が完了した信号転写基板101は、真空槽701の中に搬送される。このとき同時に第1信号基板501も真空槽701の中に搬送される。第1信号基板501は、表面に案内溝またはピットからなる信号層が形成され、その上に第1薄膜層502が積層されている、厚みが1.1mmの基板である。信号転写基板101の中心部には、第1信号基板501とセンターボスを介して偏芯をとるための中心穴が設けられている(図7A参照)。
b)その後、真空槽701内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ703などによって排気され、短時間で真空雰囲気となる。真空槽701内が100Pa以下の真空度に達したときに、紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106が形成された信号転写基板101を第1信号基板501上に重ね合わせる。このとき、信号転写基板101の上部に設置されている加圧プレート704が信号転写基板101を加圧することによって紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106と第1信号基板501が貼り合わせる。真空槽701内が真空雰囲気であることから、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と第1信号基板501の間には気泡が混入することなく貼り合せることが可能となる(図7B参照)。
c)さらに、貼り合わされた信号転写基板101と第1信号基板501とを真空槽701から取り出す。次いで、信号転写基板101の上部に配置されている紫外線照射装置705によって紫外線を照射する(図7C参照)。このように信号転写基板101を介して全面を照射することにより紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)106が硬化され、樹脂層503となる。
d)次いで、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂503との間に圧縮エアーを吹き込んで(図7C参照)、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と信号転写基板101の界面から信号転写基板101を剥離する(図7D参照)。
上記各工程によって、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に信号層が転写された樹脂層(硬化後)503が形成される。
なお、上記薄膜層及び樹脂層の積層と同様にして、樹脂層706が形成された第1信号基板501の上に、さらに複数層の薄膜層及び樹脂層を積層できる。例えば、第1薄膜層502と同様のスパッタリング等の方法による薄膜層の形成工程と、上述の信号転写基板の上への紫外線硬化樹脂の塗布工程と、上記信号転写基板と信号基板とを対向させて樹脂層に信号面を形成する信号転写工程とを繰り返し実施することにより、4つの情報記録面を第1信号基板501の上に設けることができる。
また、再生面である透明層509(図5)の形成は記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)なアクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂を使用し、樹脂を塗布した後に、スキージで余分な樹脂をかきとることによって形成する。この透明層509の厚みは、透明層の表面から最も遠い第1信号基板501上の情報記録層までの厚みが、記録再生ヘッドの球面収差が補正可能な範囲である100μm程度となるように、間に挟まれる樹脂層の厚みに応じて選定・形成される。例えば樹脂層(第2信号基板503、第3信号基板505、第4信号基板507)の厚さがそれぞれ25μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−25μm×3層=25μmとなるように選定している。また、樹脂層の厚さがそれぞれ10μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−10μm×3層=70μmとなるように選定している。
なお、この多層情報記録媒体の製造方法では、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層の外径を第1信号基板501の外径よりも小さく形成し、内径を第1信号基板501の内径よりも大きく形成している。また、透明層509を各々の樹脂層の領域よりも半径方向外側に大きく形成することにより、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層は、透明層509と第1信号基板501の間に包まれた構造となる。さらに、媒体の外周部で、ポリカーボネイト製の第1信号基板501と紫外線硬化樹脂でできた透明層509が接着されることにより各樹脂層は密閉され、各々の樹脂層や薄膜層の層間の剥離を防ぐことができる。
また、本実施の形態の多層情報記録媒体の製造方法によれば、基板の上に樹脂を塗布した後、スキージの最下部と基板の面との間隔を一定に保ちながら、スキージを基板の全面にわたって移動させることによって、形成する樹脂層の厚みを均一にし、厚みムラを抑制すると共に、余剰分の樹脂を除去できる。このとき、第1信号転写基板101の外周側面部に撥油化処理をしておくことが好ましい。この撥油化処理を行うことにより、非樹脂塗布領域104への紫外線硬化樹脂の侵入を抑制できると共に、紫外線硬化樹脂が第1信号転写基板101の裏側に回りこむことを防ぐことができる。また、外周部104bにおける樹脂層の厚みの増加を抑えることができる。
さらに、この多層情報記録媒体の製造方法によれば、多層情報記録媒体の各々の樹脂層の厚みを高速かつ均一に形成することができる。このとき、また気泡の混入や未硬化などの不良が無く、かつ高速に樹脂層への信号面の転写を行うことが出来る。上記効果により、良好な記録、再生が可能な多層情報記録媒体を製造することができる。なお、本実施の形態においては、4層の光情報記録媒体を例にとって説明したが、第1信号基板501と各々の樹脂層の厚み、透明層の厚みを調整することにより、さらに多層の情報記録媒体を製造することが出来る。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の金属元素を含む薄膜を形成する点で相違する。なお、その他の樹脂層の形成等は上記実施の形態1と同様である。この実施の形態2に係る多層情報記録媒体の製造方法では、撥油化処理として、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、信号転写基板の非樹脂塗布領域にAu薄膜(厚み40nm)を形成する。
以下に撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の金属元素を含む薄膜を形成する方法を説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)樹脂塗布領域105をあらかじめマスク109する。これは、樹脂塗布領域105に所定の金属元素を含む薄膜が形成されないようにするためである。マスクの厚さは通常用いられるマスクの厚さでよいが、あまり厚くなると境界部分に金属薄膜を形成できなくなるので、マスクの厚さは500μm以下が好ましい。
iii)次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に信号転写基板101を投入し、チャンバー内をいったん、1×10−4Pa以下の真空度に保った後、ポンプでチャンバー内を排気状態にしたまま、Arガスを導入する。なお、上記マグネトロンスパッタリング装置には、アルバック社製のSMEシリーズを用いる。
iv)チャンバー内の圧力が0.2Paで安定化した後に、ターゲットに300Wの直流電圧を3分間印加し、信号転写基板101の上に所望の厚みのAu薄膜を形成する。ここで形成するAu薄膜の樹脂に対する接触角は、第1信号転写基板101の材料(ポリオレフィン樹脂)のそれよりも大きいため、上記実施の形態1における撥油化処理と同様の効果が得られる。なお、ここでは薄膜の作製にマグネトロンスパッタリング装置を用いたが、これに限られず、例えば、蒸着装置等で金属薄膜を形成してもよい。この場合にも同様の効果が得られる。
v)樹脂塗布領域105からマスク109部分を除去する。
以上の撥油化処理によって、樹脂塗布領域105にはAu薄膜が塗布されず、基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
なお、英弘精機社製の自動接触角測定装置OCA20を用いて、紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、DVD001)に対する接触角を測定することができる。Au薄膜の紫外線硬化樹脂に対する接触角は、82度であり、第1信号転写基板の材料(ポリオレフィン樹脂)の紫外線硬化樹脂に対する接触角は、24度である。また、Au以外の金属でも、70度以上の接触角が得られるものであればほぼ同等の結果を得ることができる。本発明者は、他の金属元素の探索を行った結果、Auの他、Cu、Niが特に撥油性効果が優れていることを見出した。
なお、撥油化処理において、これらの金属元素のうち、1種類の金属元素を用いて薄膜を形成してもよいし、2種類以上の金属元素を用いて薄膜を形成してもよい。さらに、上記金属元素に加えて非金属元素を導入した薄膜を形成してもよい。
上述のように、Au薄膜を信号転写基板101の非樹脂塗布領域104に形成することにより、非樹脂塗布領域104の紫外線硬化樹脂に対する接触角が大幅に大きくなる。これによって、非樹脂塗布領域104には紫外線硬化樹脂を塗布することなく、樹脂塗布領域105にのみ、紫外線硬化樹脂を均一な厚みで塗布することができる。
この後、実施の形態1と同様に、信号転写基板と信号基板との貼り合わせ装置(図7A、図7B)を用いて、真空雰囲気中で、第1信号基板の上に紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)を転写し、露光により樹脂層を硬化させ、さらに情報記録層を積層できる。所望の情報記録層の数が得られるまで以上の手順を繰り返し、最後に透明層を形成して多層記録媒体を製造できる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1及び2に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の撥油性シールを貼り付ける点で相違する。なお、その他の樹脂層の形成等は上記実施の形態1と同様である。この実施の形態3に係る多層情報記録媒体の製造方法では、信号転写基板の非樹脂塗布領域に撥油性シールを貼り付けた後、紫外線硬化樹脂の塗布を行う。
以下に撥油化処理において、非樹脂塗布領域に所定の撥油性シールを貼り付ける方法を説明する。
i)まず、第1信号転写基板101を用意する。この第1信号転写基板101では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。信号転写基板の非樹脂塗布領域の外周部104bを半径59.5mmから半径60mmの外周端にかけての範囲とする。また、信号転写基板の非樹脂塗布領域の内周部104aを、中心に形成されているφ15mmの中心穴の端面から半径10mmの範囲とする。
ii)次に、この第1信号転写基板101の非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付ける。ここでいう撥油性シールとは、表面に撥油化処理されたプラスチックフィルムである。この撥油性シールを所定領域に貼り付けることによって、その所定領域に撥油性を付与できる。この撥油性シールの材料としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートやポリイミドなどのプラスチックフィルムを用いることができる。この撥油性シールの厚みが、形成しようとする樹脂層の厚みよりも厚いとスキージとシールが接触してしまうため、所望の膜厚の樹脂層を形成できない。このため、非樹脂塗布領域104に貼り付ける撥油性シールの厚みは、形成する樹脂層の膜厚よりも薄いことが好ましい。なお、この実施の形態3で用いる撥油性シールは、主にコンデンサーの用途に用いられているシールで、ポリエチレンテレフタラート材料よりなる、厚み10μmのシールを使用する。
以上の撥油化処理によって、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールによって、信号転写基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
次に、非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付けた信号転写基板101に樹脂を塗布する工程について説明する。
この非樹脂塗布領域104a、104bに上記の撥油性シールを貼り付けた信号転写基板101に紫外線硬化樹脂を塗布し、樹脂の余剰分をスキージでかきとって除去する。その後、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールを取り除く。これらの作業により、非樹脂塗布領域104a、104bには樹脂層が形成されずに、樹脂塗布領域105には均一な厚みで紫外線硬化樹脂を塗布することができる。
この後、実施の形態1と同様に、信号転写基板と信号基板との貼り合わせ装置(図7A及び図7B)を用いて、真空雰囲気中で、第1信号基板の上に紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106を転写し、露光により樹脂層を硬化させ、さらに薄膜層を積層して情報記録面を形成し、最後に透明層を形成して、多層記録媒体を製造できる。なお、本実施の形態による樹脂層の形成、情報記録層の積層を繰り返し行うことにより、多層構造の情報記録媒体を製造できる。
本実施の形態3によれば、樹脂塗布領域にのみ均一な厚みで紫外線硬化樹脂を簡便に塗布することができ、多層情報記録媒体の各々の樹脂層(信号基板)の厚みを高速かつ均一に形成することができる。また、真空雰囲気下で信号転写基板101と第1信号基板501との貼り合わせを行うため、気泡の混入や未硬化などの不良が無く、かつ高速に樹脂層(未硬化状態)への信号転写を行うことができる。上記効果により、良好に記録、再生を行うことが可能な多層情報記録媒体を実現できる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る多層情報記録媒体の製造方法では、上記実施の形態1から3に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、特に、表面を覆う透明層の形成において、スキージを用いて余剰分の樹脂をかきとって除去する点で相違する。具体的には、この多層情報記録媒体の製造方法では、表面を覆う透明層を形成する際に、樹脂を塗布した後、信号基板の上に配置したスキージの最下部と信号基板の面との間隔を一定に保ちながら、表面全体にわたってスキージを移動させて、余剰分の樹脂をかきとって除去する。
また、この実施の形態4では、上記実施の形態1から3に係る多層情報記録媒体の製造方法と比較すると、第1信号転写基板101ではなく、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂を塗布する点で相違する。なお、第1信号基板501の上に樹脂層を形成する方法としては、このように第1信号基板501の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂を塗布した後に信号転写基板101を貼り合わせてもよいし、あるいは実施の形態1から3と同様にして、信号転写基板101の信号面に紫外線硬化樹脂を塗布した後に第1信号基板501を貼り合わせてもよい。また、紫外線硬化樹脂を塗布するにあたって、非樹脂塗布領域に撥油化処理を行い、撥油性を付与する撥油化処理については、実施の形態1から3と同様の方法を用いることができる。
ここでは、実施の形態3と同様に、非樹脂塗布領域に撥油性シールを貼り付ける方法について説明する。
i)まず、第1薄膜層502が積層された第1信号基板501を用意する。この第1信号基板501では、例えば、内周部104aと外周部104bを非樹脂塗布領域とし、それ以外の部分を樹脂塗布領域105としている。
ii)次に、この第1薄膜層502が積層された第1信号基板501上の外周部104b、及び、内周部104aの非樹脂塗布領域に厚み15μmの撥油性シールを貼り付ける。
以上の撥油化処理によって、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールによって、信号転写基板101の非樹脂塗布領域の内周部104aと外周部104bのみに撥油性を付与することができる。
次に、非樹脂塗布領域104に撥油性シールを貼り付けた信号基板501に樹脂を塗布する工程について説明する。
この非樹脂塗布領域104a、104bに上記の撥油性シールを貼り付けた第1信号基板501に厚み20μmの紫外線硬化樹脂を塗布し、樹脂の余剰分をスキージでかきとって除去する。その後、非樹脂塗布領域104に貼り付けた撥油性シールを取り除く。これらの作業により、非樹脂塗布領域104a、104bには樹脂層が形成されずに、樹脂塗布領域105には均一な厚みで紫外線硬化樹脂を塗布することができる。
この後、樹脂層(未硬化状態)が形成された第1信号基板501の上に、信号面を有する信号転写基板101を用いて樹脂層に信号面を転写する。この信号転写工程について、図8Aから図8Dを用いて説明する。図8Aから図8Dは、実施の形態4における樹脂層(未硬化状態)への信号転写工程の一例を示す断面図である。
a)第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に紫外線硬化樹脂の塗布が完了した後、真空槽801の中に搬送される。このとき同時に信号転写基板101についても真空槽801の中に搬送される。第1信号基板501は、表面に案内溝またはピット等の信号面が形成されており、その上に第1薄膜層502が形成されている、厚みが1.1mmの基板である。一方、信号転写基板101の中心部には、第1信号基板501とセンターボスを介して偏芯をとるための中心穴が設けられている(図8A参照)。
b)その後、真空槽801内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ803などによって排気され、短時間で真空雰囲気となる。真空槽801内が100Pa以下の真空度に達したときに、信号転写基板101を、紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106が形成された第1信号基板501上に重ね合わせる。このとき、信号転写基板101の上部に設置されている加圧プレート804が信号転写基板101を加圧することによって、紫外線硬化樹脂からなる樹脂層(未硬化状態)106に信号転写基板101の信号面が転写される。真空槽801内が真空雰囲気であることから、樹脂層106と信号転写基板101の間には気泡が混入することなく貼り合せることが可能となる(図8B参照)。
c)さらに、貼り合わされた信号転写基板101と第1信号基板501とを真空槽801から取り出す。次いで、信号転写基板101の上部に配置されている紫外線照射装置805によって、信号転写基板101を介して全面に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂からなる樹脂層を硬化して樹脂層503とする(図8C参照。)。
d)次いで、信号転写基板101と紫外線硬化樹脂503との間に圧縮エアーを吹き込んで(図8C参照)、紫外線硬化樹脂の樹脂層106と信号転写基板101の界面から信号転写基板101を剥離する(図8D参照)。
上記各工程によって、第1信号基板501上の第1薄膜層502の上に信号面が転写された樹脂層503が形成される。これにより、第1信号基板501の上に、第2の信号面が形成される。
この後、この第2の信号面上に第2薄膜層(情報記録膜)を、例えば、マグネトロンスパッタ装置により形成する。
最後に、表面を覆う透明層509を形成する方法について、図9(a)〜(f)を用いて説明する。図9(a)〜(f)は、第2信号基板503(樹脂層)及び第2薄膜層504(情報記録層)が順に積層された第1信号基板501の上に、透明層509を形成する工程図を示す。
a)まず、第2信号基板(樹脂層)及び第2薄膜層(情報記録層)が順に積層された第1信号基板501において、透明層を形成する樹脂塗布領域と、透明層を形成しない非樹脂塗布領域を設ける。なお、透明層を形成する場合の非樹脂塗布領域は第2信号基板となる樹脂層を塗布する際の非樹脂塗布領域とは異なる。すなわち、第2信号基板となる樹脂層を塗布する際には、内周部904a及び外周部904bが非樹脂塗布領域であるが、透明層は外周部904bをも覆う必要があるため、外周部904bは樹脂塗布領域となる。一方、外周部904bにまで樹脂を塗布するため、外周側面部904cが非樹脂塗布領域となる。そこで、この場合は、内周部904a及び外周側面部904cが非樹脂塗布領域となる。そこで、例えば、外周部904bに貼り付けてあった撥油性のシールを除去し、外周側面部904cに撥油性のシールを貼り付けて撥油性を付与する。このように、紫外線硬化樹脂に対する撥油性が内周部904aと外周側面部904cだけが高い状態を作り上げる。
b)第2薄膜層(情報記録層)が形成された第1信号基板901を基板保持台903により、真空吸着で固定する。その後、図9(a)及び図9(b)に示すように、紫外線硬化樹脂906を第1信号基板901の記録面上902に供給する。
c)次に、図9(c)及び図9(d)に示すように、スキージ907の最下部と第1信号基板901の面との間隔を一定に保ちながら、スキージ907を移動させて、スキージ907により紫外線硬化樹脂906の余剰分をかきとり除去する。
d)その後、図9(e)及び図9(f)に示すように、非樹脂塗布領域の内周側904aについてスキージ907を通過させ、最終的にはスキージ907を第1信号基板901の全面にわたって通過させる。なお、図9(e)及び図9(f)は、スキージ907が非樹脂塗布領域の内周部904aを通過した後の模式図である。このとき、撥油性シールを貼り付けている内周部904a及び外周側面部904cの非樹脂塗布領域には、樹脂906が塗布されない。また、樹脂906の余剰分は基板保持台903(テーブル)の中心穴908や、第1信号基板901(ディスク)の外側から落下する。
e)樹脂906を光硬化させて、透明層906とする。
以上の工程を行うことにより、透明層906が均一な厚みで形成された多層情報記録媒体が得られる。
なお、スキージ907の底面部と記録面上902の距離を75μmに設定し、平行度を厳密に保持することにより、例えば、±1μmの精度で75μmの透明層906を形成することができる。
上述の通り、本発明は好ましい実施の形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
本発明に係る多層情報記録媒体及びその製造方法は、複数の情報記録面を1つの記録媒体中に有するような光ディスク等及びその製造方法として有効である。また、光ディスク以外の情報メモリカード等の用途にも応用できる。
(a)は、本発明の実施の形態1における樹脂の塗布工程のうち、基板上に樹脂を供給する工程を示す断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。(c)は、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去する工程を示す断面図であり、(d)は、(c)の平面図である。(e)は、中心孔を越えてスキージを移動させた際の状態を示す断面図であり、(f)は、(e)の平面図である。 (a)〜(f)は、従来の多層情報記録媒体を作製するための基板作製用金型の製造方法の各工程の断面図である。 従来の多層情報記録媒体の断面図である。 (a)〜(j)は、従来の多層情報記録媒体の製造方法の各工程の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層情報記録媒体の構造を示す断面図である。 情報記録媒体が1回記録の場合の薄膜層(情報記録膜)の構成について示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における第1信号基板への樹脂転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂層への信号転写工程の一工程を示す断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の透明層の樹脂の塗布工程のうち、基板上に樹脂を供給する工程を示す断面図であり、(b)は、(a)の平面図である。(c)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂の塗布工程のうち、スキージを移動させて余剰分の樹脂を除去する工程を示す断面図であり、(d)は、(c)の平面図である。(e)は、本発明の実施の形態4における多層情報記録媒体の製造方法の樹脂の塗布工程のうち、中心孔を越えてスキージを移動させた際の状態を示す断面図であり、(f)は、(e)の平面図である。 基板上において、撥油化処理された非樹脂塗布領域と、撥油化処理されていない樹脂塗布領域とを示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、基板を用意する工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、樹脂塗布領域をマスクする工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、撥油性材料を形成する工程を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体の製造方法の撥油化処理の工程のうち、マスクを除去する工程を示す平面図である。 非樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が大きく、撥油性を示す概念図である。 樹脂塗布領域において、樹脂に対する接触角が小さく、樹脂への濡れ性が良好なことを示す概念図である。
符号の説明
101 信号転写基板
102 信号面
103 テーブル
104、104a,104b 非樹脂塗布領域
105 樹脂塗布領域
106 紫外線硬化樹脂/紫外線硬化樹脂の樹脂層(未硬化状態)
107 スキージ
108 空間
109 マスク
110 撥油性材料
201 ガラス板
202 感光膜
203 レーザ光
204 ピットや案内溝等のパターン
205 光記録原盤
206 導電膜
207 めっき膜
208 スタンパ
301 第1信号基板
302 第1薄膜層
303 第2信号基板
304 第2薄膜層
305 透明層
306 透明基板
307 積層基板
401 第1信号基板
402 第1薄膜層
403 回転テーブル
404 光硬化性樹脂A/光硬化後の樹脂層
405 光照射機
406 転写基板
407 回転テーブル
408 光硬化性樹脂B/光硬化後の樹脂層
409 光照射機
410 基板
411 基板
412 光硬化性樹脂C/光硬化後の樹脂層
413 第2薄膜層
414 透明基板
415 透明層
501 第1信号基板
502 第1薄膜層
503 第2信号基板
504 第2薄膜層
505 第3信号基板
506 第3薄膜層
507 第4信号基板
508 第4薄膜層
509 透明層
601 第1信号基板
602 ピットや案内溝などの信号面
603 反射膜
604 誘電体膜
605 記録膜
606 誘電体膜
701 真空槽
703 真空ポンプ
704 加圧プレート
705 紫外線照射装置
801 真空槽
804 加圧プレート
805 紫外線照射装置
806 樹脂層
901 第1信号基板
902 記録面上
903 基盤保持台
904 非樹脂塗布領域
905 樹脂塗布領域
906 紫外線硬化樹脂
907 スキージ
908 中心穴

Claims (20)

  1. 2以上の情報記録層を有し、前記各情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、
    基板を支持する工程と、
    前記基板の上に樹脂を供給する工程と、
    前記基板の上方で、スキージの最下部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程と、
    を含む、多層情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記基板は、前記樹脂が塗布される樹脂塗布領域と、樹脂が塗布されない非樹脂塗布領域とを有し、前記樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角が、前記非樹脂塗布領域の前記樹脂に対する接触角よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記基板の上に樹脂を供給する工程の前に、
    前記基板の所定領域に前記樹脂に対する接触角が大きくなる撥油化処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  4. 前記撥油化処理を行う工程では、
    前記基板の前記所定領域に金属膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記金属膜の主成分は、少なくともAu、Cu、Niのいずれかひとつを含むことを特徴とする請求項4に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  6. 前記撥油化処理を行う工程では、
    前記基板の前記所定領域に、形成する樹脂層の厚みよりも薄い撥油性シールを接着することを特徴とする請求項3に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  7. 前記撥油化処理を行う前記所定領域は、前記基板の内周部及び外周部であることを特徴とする請求項3に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  8. 前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させて、前記樹脂の剰余分を除去する工程では、
    前記スキージの底面部が前記基板の面に対して平行であって、前記スキージの底面部が前記基板の面と一定の間隔を保持するように、前記基板の全領域にわたって前記スキージを移動させることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記樹脂は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記基板を保持する工程では、
    基板保持台の上で前記基板を保持することを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記基板保持台の内径が、前記基板の内径よりも大きく、前記基板保持台の外径が前記基板の外径よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  12. 前記基板保持台が、前記樹脂に対して撥油性を有することを特徴とする請求項10に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  13. 前記基板は、信号面を有する信号転写基板であることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  14. 前記信号転写基板の前記樹脂を塗布した面に、情報記録層が形成された信号基板を、前記情報記録層が対向するように貼り合せる工程と、
    前記信号転写基板と前記信号基板との間の樹脂層を硬化させる工程と、
    硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と
    をさらに含む、請求項13に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  15. 前記信号転写基板と、前記情報記録層が形成された信号基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行うことを特徴とする請求項14に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  16. 前記信号転写基板は、ポリオレフィン樹脂である請求項15に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  17. 請求項14に記載の製造方法で作製された多層情報記録媒体。
  18. 前記基板は、信号面が形成された信号基板であることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  19. 前記信号基板の前記樹脂を塗布した面に、信号面を有する信号転写基板を、前記信号面が対向するように貼り合せる工程と
    前記信号基板と前記信号転写基板との間の前記樹脂層を硬化させる工程と、
    硬化した樹脂層との界面から前記信号転写基板を剥離する工程と、
    をさらに含む、請求項18に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  20. 前記信号基板と、前記信号面を有する前記信号転写基板との貼り合わせ工程を真空雰囲気中で行うことを特徴とする請求項19に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
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