JPH0528466A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JPH0528466A
JPH0528466A JP3204557A JP20455791A JPH0528466A JP H0528466 A JPH0528466 A JP H0528466A JP 3204557 A JP3204557 A JP 3204557A JP 20455791 A JP20455791 A JP 20455791A JP H0528466 A JPH0528466 A JP H0528466A
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compound
polymer
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JP3204557A
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Yasuro Nishikawa
康郎 西川
Hiroshi Fukui
寛 福井
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Fujifilm Holdings Corp
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、耐候性、走行特性(耐磨耗
性、滑り性等)、および電磁変換特性に優れた金属薄膜
型磁気記録媒体を提供することにある。 【構成】 本発明は、非磁性支持体上に設けられた強磁
性金属薄膜上もしくは強磁性金属薄膜上に設けられた保
護材上に、下記一般式(1)で表される鎖状または環状
シリコーン化合物の少なくとも一種を気相中で接触させ
ることにより、該シリコーン化合物のポリマーを設けた
ことを特徴とする。 (R1 HSiO)a (R2 3 SiO)b (R4 5 6 SiO1/2 c (I) ここで、R1 〜R6 は水素原子であるかまたは炭化水素
基であるが、ただしR1 〜R3 が同時に水素原子である
ことはないものとし、a、bは0以上の整数であり、c
が0の場合は、環状であり、2の場合は鎖状であるが、
ただし、cが0である場合にはaとbとの和が3以上の
整数であるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性金属薄膜を磁性
層として備えてなる磁気記録媒体に関し、特に耐候性お
よび/または走行特性(耐磨耗性および滑り性)の優れ
る金属薄膜型磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より磁気記録媒体としては、非磁性
支持体上に強磁性粉末の磁性材料を有機高分子結合剤中
に分散せしめたものを塗布し乾燥させる塗布型のものに
代わり、高密度記録への対応のために真空蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティング等のベーパーデポジシ
ョン法あるいは電気メッキ法、無電解メッキ等のメッキ
法により形成される強磁性金属薄膜を磁性層とする、バ
インダーを使用しない、いわゆる金属薄膜型磁気記録媒
体が実用化されている。
【0003】代表的な薄膜形成法である真空蒸着によっ
て、磁気記録媒体に望ましい抗磁力および角型性を有す
る磁性層を製造する方法としては米国特許334263
2号、同3342633号等に述べられている斜め蒸着
法が知られている。強磁性金属薄膜からなる磁気記録媒
体にかかわる大きな問題として耐候性、耐磨耗性、走行
性がある。
【0004】即ち、強磁性金属薄膜磁性層はその優れた
記録再生特性とは引換えに、腐食に対して弱い傾向があ
る。また磁気記録媒体は磁気信号の記録、再生および消
去の過程において磁気ヘッドと高速相対運動のもとにお
かれるが、極めて平滑な表面をもつ金属薄膜型磁気記録
媒体にとって、走行がスムーズにしかも安定に行われる
ことと、ヘッドとの磨耗もしくは破壊を防ぐ事は困難で
はあるが、実用上は極めて重要である。
【0005】以上のような背景から耐候性、走行特性を
向上させる方法として潤滑層や保護層を設けることが検
討されてきている。金属薄膜型磁気記録媒体の表面保護
材としては、気相または液相で形成された酸化珪素など
の酸化物、スパッター、プラズマ重合等で形成された有
機重合物、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト
状カーボンのほか熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があ
る。潤滑剤としては脂肪酸、脂肪酸の金属塩、脂肪酸エ
ステル、アルキル燐酸エステル、ペルフルオロポリエー
テル化合物、極性基で変成したペルフルオロポリエーテ
ル系化合物等の潤滑性物質を有機溶剤に溶解して塗布し
たり、ラングミュアーブロジェット法で形成したものが
ある(例えば、特開昭60−69824号公報、特開昭
60−85427号公報参照)。
【0006】有機シリコーン化合物で表面を被覆する試
みも種々行われている。例えば、特開昭62−8922
8号公報には、シロキサンポリマーやラダー型シリコー
ン化合物を磁性層表面に与えることが、また、特開昭5
4−45103号公報、特開昭59−77630号公報
等には、アルコキシシラン等のカップリング剤で磁性層
表面を処理あるいは被覆する技術が開示されている。
【0007】しましながらこうして得られた金属薄膜型
磁気記録媒体は特に保護層が薄い場合に高温高湿保存で
磁気特性(従って、電磁変換特性)が劣化したり、低湿
度、高湿度等の過酷条件下で高速摩擦、耐平滑材料摩擦
において走行特性が不十分であった。
【0008】このことは、これらのシリコーン被覆では
表面に存在するシリコーンの分子量をあまり大きくでき
ないことが大きな原因であることが分かってきた。即
ち、これらシリコーン化合物は有機溶剤に溶解し、かつ
塗布して設けなければならないと言うシリコーン化合物
を磁性層上に被覆する上で大きな制約があったためであ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐候
性、走行特性(耐磨耗性、滑り性等)、および電磁変換
特性に優れた金属薄膜型磁気記録媒体を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、非磁性
支持体上に設けられた強磁性金属薄膜上もしくは強磁性
金属薄膜上に設けられた保護材上に、下記一般式(1)
で表される鎖状または環状シリコーン化合物の少なくと
も一種を気相中で接触させることにより、該シリコーン
化合物のポリマーを設けたことを特徴とする金属薄膜型
磁気記録媒体により、達成される。 (R1 HSiO)a (R2 3 SiO)b (R4 5 6 SiO1/2 c (I) ここで、R1 、R2 、R3 は水素原子であるかまたは置
換基で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化
水素基であるが、ただしR1 、R2 、R3 が同時に水素
原子であることはないものとし、そしてR4 、R5 、R
6 は水素原子であるかまたは置換基で置換されているこ
とのある炭素数1〜10の炭化水素基であり、aは0以
上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは0また
は2であり、該シリコーン化合物は、0の場合は、環状
であり、2の場合は鎖状であるが、ただし、cが0であ
る場合にはaとbとの和が3以上の整数であるものとす
る。
【0011】また、本発明の目的は、上記の磁気記録媒
体の強磁性金属薄膜表面または保護材表面に一般式
(I)のシリコーン化合物のポリマーを設けた後、該ポ
リマーのSi−Hと反応し得る化合物を反応させたこと
を特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体により達成され
る。
【0012】即ち、本発明は、上記一般式(I)で表さ
れるシリコーン化合物(以下、本発明の化合物ともい
う)を金属薄膜型磁気記録媒体の磁性層表面もしくは保
護材表面に気相中で接触させて該本発明の化合物のポリ
マーを形成した金属薄膜型磁気記録媒体、および該ポリ
マーのSi−Hと反応し得る化合物を反応させたことを
特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体である。
【0013】即ち、本発明は、強磁性金属薄膜(以下、
磁性層という場合もある)上に本発明の化合物のポリマ
ーを気相反応により設けたことを最大の特徴とするもの
であり、極めて大きな分子量を有するシリコーン化合物
のポリマーを緻密に形成したことを特徴とするものであ
る。特に磁性層表面あるいは保護材と該ポリマーとの結
合性を強化し得たものであり、これは、該ポリマーの酸
素を介して磁性層金属または保護材との静電的結合を強
化し得たものと考えられる。
【0014】また、本発明の第2のものは、該ポリマー
に存在するSi−Hをこれと反応し得る化合物と反応さ
せて更に該ポリマー膜を緻密化したり、該ポリマー膜と
反応する化合物として特殊な機能性を担持させた機能性
基を導入した該化合物を選択し、反応させることにより
所望の機能を有するポリマー膜を設計することができ
る。
【0015】即ち、本発明の化合物を金属薄膜型磁気記
録媒体の磁性層表面もしくは保護材表面に気相接触させ
て該本発明の化合物のポリマーを形成した金属薄膜型磁
気記録媒体は、従来技術に比較して優れた耐候性および
/または走行特性をもつが、これは本発明の金属薄膜型
磁気記録媒体が表面にもつシリコーン化合物のポリマー
が、より緻密な構造をもつためおよびより大きな分子量
を持つためと考えられる。
【0016】従来より検討されてきた、例えば、シロキ
サンポリマーやラダー型シリコーン化合物を表面に与え
ることや、アルコキシシラン等のカップリング剤を反応
させることは、溶解、塗布などの制約からシリコーン化
合物の分子量をあまり大きくできなかった。
【0017】これに対し、本発明のシリコーン重合物、
即ち本発明の化合物のポリマー(以下、単に、本発明の
ポリマーという場合がある。)は、緻密で大規模な重合
が起こるために従来法では得られなかったガスバリヤ性
等の耐候性、耐磨耗性を持たせることができたと考えら
れる。
【0018】本発明のポリマー形成後に例えば、炭素−
炭素不飽和結合を持つ化合物等の該本発明のポリマーに
存在するSi−Hと反応可能な化合物で処理すると、こ
の緻密な本発明のポリマーの表面が更に密に覆われ低湿
度、高湿度等の厳しい条件下でのヘッド、ガイドポール
等に対する走行特性が著しく高められる。
【0019】特に、Si−Hと長鎖脂肪族基等の機能性
基をもつ不飽和化合物を反応させたとき走行特性に効果
があるのは、脂肪族鎖の境界潤滑作用が発揮されるため
と考えられる。
【0020】本発明のポリマーは、磁性層表面上または
磁性層上に設けられる保護材表面上に設けられるが、該
保護材は、磁性層が表面に部分的に露出した斑状のもの
であってもよい。また、本発明のポリマー膜は、連続被
膜であってもそうでなくともよく、また、該表面を全面
被覆したものでも部分的に被覆したものであってもよ
い。また、本発明のポリマー組成は、本発明の化合物か
ら構成されれば任意であり、一般式(I)の化合物の1
種以上からなる。
【0021】本発明のポリマーの分子量は、重量平均分
子量で通常15万以上である。本発明のポリマーの存在
量は、ESCAのうちXPS(X線電子分光法)で測定
され、例えば、磁性層の主成分がCoの場合、該ポリマ
ー中のSiと磁性層の構成原子(Co)の原子数比(S
2p/Co2p 3/2 )で規定でき、本発明では、この比を
O.02以上、望ましくは0.1以上に制御する。
【0022】本発明の化合物は、大きく2群に分けられ
る。第1の群は、一般式(I)において、c=0の場
合、即ち、下記一般式(II)で表される環状シリコーン
化合物である。
【0023】 (R1 HSiO)a (R2 3 SiO)b (II) だだし、式中、R1 、R2 、R3 、aおよびbは前記と
同じ意味であるが、好ましくはR1 、R2 、R3 が相互
に独立に置換基で置換されていることのある炭素数1〜
10、好ましくは1〜6の炭化水素基、例えば、アルキ
ル基等であり、aとbの和が3以上、好ましくは3以上
6以下である。
【0024】この具体例を以下に示す。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】上記化1および化2に示した化合物(A)
および(B)はそれぞれ単独でまたはそれらの混合物の
形で使用することできる。上記(A)および(B)の各
式において、n(またはa+b)は好ましくは3〜7で
ある。n(またはa+b)の値が、小さくなると沸点が
低下するので、蒸発して基体板上に吸着する速度が大き
くなる。特に3量体および4量体は、その立体的性質
上、重合し易いので特に適している。
【0028】前記一般式(II)の環状シリコーン化合物
の具体例としては、 (II)−1 ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテト
ラシロキサン (II)−2 トリハイドロジェンペンタメチルシクロテ
トラシロキサン (II)−3 テトラハイドロジェンテトラメチルシクロ
テトラシロキサン (II)−4 ジハイドロジェンオクタメチルシクロペン
タシロキサン (II)−5 トリハイドロジェンヘプタメチルシクロペ
ンタシロキサン (II)−6 テトラハイドロジェンヘキサメチルシクロ
ペンタシロキサン (II)−7 ペンタハイドロジェンペンタメチルシクロ
ペンタシロキサン 前記一般式(I)で表される化合物2群に内第2の群
は、一般式(I)においてc=2の場合に相当し、下記
一般式(III) で表される鎖状シリコーン化合物である。 (R1 HSiO)a (R2 3 SiO)b (R4 5 6 SiO1/2 2 (III) ここで、R1 、R2 、R3 、R4、R5 、R6 は互いに
独立に水素原子であるかまたは置換基で置換されている
ことのある炭素数1〜10の炭化水素基であるが、ただ
しR1 、R2 、R3 が同時に水素原子であることはない
ものとし、aは0以上の整数であり、bは0以上の整数
である。好ましくは、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
6 は互いに独立に、置換基で置換されていることのあ
る炭素数1〜10、好ましくは1〜6の炭化水素基、例
えば、アルキル基、Q 等、であり、aとbの和が3以
上、好ましくは3以上6以下である。
【0029】この化合物の代表例としては下記化3に示
した(C)化合物が挙げられる。
【0030】
【化3】
【0031】上記一般式(III) の直鎖状シリコーン化合
物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。 (III) −1…1,1,1,3,5,7,7,7−オクタ
メチルテトラシロキサン (III) −2…1,1,1,3,5,7,9,9,9−ナ
ノメチルペンタシロキサン (III) −3…1,1,1,3,5,7,9,11,1
1,11−デカメチルヘキサシロキサン 本発明において、強磁性金属薄膜磁性層またはその上に
設けた保護材の表面(以下、基板という)に設けられる
本発明のポリマーの形成法は、気相反応であれば特に制
限なく任意の方法が使用できる。
【0032】本発明のポリマーの形成法としては、特定
組成のシリコーン化合物からなる本発明の化合物の蒸気
を含む気体で満たされたチャンバーの中で好ましくは1
20℃以下、さらに好ましくは100℃以下の温度で大
気圧下好ましくは200mmHg以下更に好ましくは1
00mmHg以下の圧力において、該シリコーン化合物
の蒸気を基板表面に接触させる方法が挙げられる。
【0033】本発明の化合物を基板表面に接触させる方
法は任意であり、例えば、大気圧下、ロールにより本発
明の化合物の蒸気を接触させ、基板表面に本発明のポリ
マーを被覆する技術が挙げられる。
【0034】チャンバーへの本発明の化合物の導入法は
任意であるが、好ましくは、キャリアーガスと本発明の
化合物との混合ガスとして導入する方法が好ましい。キ
ャリアーガスと本発明の化合物の混合は、本発明の化合
物の蒸気圧が1mmHgになるまで該シリコーン化合物
を必要により加熱し、続いてキャリアーガス流を該シリ
コーン化合物中へまたは該シリコーン化合物の表面へ導
入することで実施することができる。
【0035】キャリアーガス流の供給速度は、例えば、
使用するシリコーン化合物の蒸気圧、基板の種類および
量ならびに処理容器の容量によって適当に決定すること
ができる。基板へ1分〜100時間で処理できるように
するのが好ましい。より安定して均一な膜厚を与えるに
は10分〜100時間の処理が好ましい。
【0036】キャリアーガスとしては、不活性気体、例
えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等が好ましいが、空気
や前記不活性気体中に水蒸気、メタノール蒸気またはエ
タノール蒸気を気体分子状態で混合した気体を使用する
こともできる。
【0037】上記特定のシリコーン化合物で気相接触処
理した後、形成されたポリマー膜に存在するSi−Hと
反応し得る化合物(以下、改質化合物ともいう)を接触
させて反応させる方法は特に制限はない。
【0038】該改質化合物としては、Si−Hと反応し
てSiと改質化合物構成原子間に共有結合が生成するの
であれば、その構造は特に制限なく任意の化合物が包含
される。また、該改質化合物としては、該結合反応で失
われない前記機能性基を有していることが好ましい。
【0039】機能性基としては、脂肪族基、芳香族基、
反応性基を有した脂肪族基等が例示できる。該改質化合
物を例示すれば、Si−Hと付加反応しえる基、例え
ば、OHまたはSH基を有する化合物、例えば、アミノ
酸(例えば、システイン等)、Si−Hと反応可能な炭
素−炭素不飽和結合を有する化合物、例えば、下記の不
飽和化合物等が挙げられる。
【0040】不飽和化合物として下記化4に示した一般
式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化4】
【0042】(ここで、式中、R7 、R8 、R9 、R10
は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メル
カプト基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アミノ基、
ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基あるいは炭素数1
〜30の置換または非置換の炭化水素基(脂肪族基、芳
香族基、複素環式基、脂環式基、スピロ化合物残基また
はテルペン化合物であるか、あるいはR7 、R9 は炭素
−炭素結合を意味し、−C=C−と一緒になって−C≡
C−結合を形成することができ、あるいはR7 、R9
−C=C−と一緒になって脂環式環を形成できるものと
する。)式(IV)で示される化合物において、炭化水素
基R7 、R8 、R9 およびR10は該化合物の2重結合ま
たは3重結合による付加反応に不利な影響を与えない限
り1個以上の不飽和炭化水素基および1個以上の官能基
で置換されていても良い。
【0043】式(IV)で表される化合物の具体例として
はα−オレフィンを始めとするアルケン類、アクリレー
ト、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミ
ドなどのアクリル酸誘導体、脂肪酸ビニルエステル等の
ビニル化合物等が挙げられる。これらの不飽和化合物の
うち、フッ素化された脂肪族鎖、フッ素化されたポリエ
ーテル鎖または炭素数10以上の長鎖脂肪族基を持つも
の(例えば、片末端カルボン酸タイプペルフルオロポリ
エーテルのビニルエステル等)が特に走行特性を高め
る。具体的には、以下の化合物等が例示できる。 (IV)−1…1−ドデセン (IV)−2…1−オクタデセン (IV)−3…アクリル酸オクタデシル (IV)−4…アクリル酸−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタ
デカフルオロノニル (IV)−5…アクリル酸−2,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカ
フルオロノニル (IV)−6…F(CF(CF3 )CF2 O)15−COO
CH2 −CH=CH2 (IV)−7…パーフルオロノナン酸ビニル (IV)−8…グリセロール−α−モノアリルエーテル (IV)−9…アリルグリシジルエーテル 本発明の化合物を基板に接触させることにより形成した
本発明のポリマーが持つSi−H部分へ反応し得る物質
の付加反応は、触媒存在下において300℃以下、好ま
しくは0〜250℃で気相あるいは液相で1分以上(好
ましくは20分以上)接触させることにより行うことが
できる。
【0044】触媒としては、白金族触媒、即ち、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム、白金の化合物が適しているが、特に白金とパラジウ
ムの化合物が好適である。
【0045】パラジウム系では、塩化パラジウム(I
I)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニ
ウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。白金系で
は、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化
白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)アンモニウム、
酸化白金(II)、水酸化白金(II)、酸化白金(IV)、
硫化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム等
が挙げられる。また、これらのパラジウム系化合物、白
金化合物にトリ−n−アルキル(炭素数1〜8)メチル
アンモニウムクロライドやトリ−n−アルキルアミンを
加えて水・有機溶剤系でイオン対抽出を行った後の有機
溶媒層を用いることもできる。さらに、アミン触媒例え
ばトリブチルアミンまたは重合開始剤を使用することが
できる。付加反応は、紫外線、γ線、電子線、プラズマ
等を利用して実施することもできる。
【0046】本発明のポリマーを基板上に形成後にSi
−Hと上記改質化合物とを反応させて処理すると、緻密
なシリコーンポリマーの表面がさらに密に覆われ効果が
高められる。特に機能性基として長鎖脂肪族基をもつ不
飽和化合物を反応させた時に走行特性に効果があるのは
脂肪族鎖の境界潤滑作用が発揮されるためと考えられ
る。
【0047】これら改質化合物の反応量は、所望により
適宜選定でき、本発明のポリマー膜表面に存在するSi
−Hの全部とでもその一部とでも反応することができる
が、好ましくはその全部と反応させる。従って、該改質
化合物と該Si−Hとを反応させる場合、改質化合物の
使用量は、反応可能な全Si−Hの当量数に対し0.1
倍当量以上、好ましくは1〜10倍当量、特に好ましく
は1.2〜3倍当量の範囲である。又、改質化合物を過
剰に使用すると処理の後に表面の洗浄、工程が必要とな
るが、これを省くために最適な反応量を選定できる。反
応後、改質化合物または触媒濃度が低下した場合、それ
らを添加してさらに次のシートの反応を行うことができ
る。
【0048】本発明が適用される磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に直接あるいは下地層を介して磁性層を設け
たもので、場合によっては磁性層の上に適当な保護材が
形成されていてもよい。
【0049】磁気記録媒体としての形態がテープ状であ
る場合は、支持体の裏面(強磁性金属薄膜とは反対面)
にバックコート層を設けることもできる。非磁性支持体
の素材としてはポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイ
アセテート、セルロースアセテートブチレート等のセル
ロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等
のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ
アミドイミド等のプラスチック、アルミニウム合金、チ
タン合金等の軽金属、アルミナガラス等のセラミックス
等が挙げられる。この非磁性支持体の形態としては、フ
ィルム、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれ
でもよい。
【0050】上記非磁性支持体にはその表面に山状突起
やシワ状突起等の突起を1種以上形成し、表面粗さをコ
ントロールしてもよい。上記山状突起は、例えば、高分
子フィルム成膜時に粒径500〜3000Åの無機微粒
子を内添することにより形成され、高分子表面からの高
さは100〜1000Å、密度はおよそ1×104 〜1
0×104 個/mm2 とする。山状突起を形成するため
に使用される無機粒子としては、炭酸カルシウムやシリ
カ、アルミナ等が適してしる。
【0051】上記シワ状突起は、例えば、特定の混合溶
媒を用いた樹脂の希薄溶液を塗布乾燥することにより形
成される突起であって、その高さは0.01〜10μ
m、好ましくは0.03〜0.5μm、突起間の最短間
隔は0.1〜20μmとする。このシワ状突起を形成す
るための樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル、ポリ
アミド、ポリスチロール、ポリカーボネート、ポリアク
リレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラー
ル、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂等の各
種樹脂の単体、混合体または共重合体であり、可溶性溶
剤を有するものが適している。そして、これらの樹脂を
その良溶媒に溶解せしめた樹脂濃度1〜1000ppm
の溶液に、その樹脂の貧溶媒であって前記良溶媒よりも
高い沸点を有する溶媒を樹脂に対して10〜100倍量
添加した溶液を、高分子フィルムの表面に塗布、乾燥す
ることにより、非常に微細なシワ状凹凸を有する薄膜を
得ることができる。
【0052】粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超微粒
子またはシリカ、金属粉等の無機微粒子を球状あるいは
半球状に付着させることにより形成される。この粒状突
起の高さは、50〜500Å、密度は1×106 〜50
×106 個/mm2 程度とする。
【0053】これらの突起の少なくとも1種以上を形成
すれば磁性層である強磁性金属薄膜の表面性が制御され
るが、2種以上を組み合わせることにより効果が増し、
特に山状突起を設けたベースフィルム上にシワ状突起と
粒状突起を形成すれば、極めて耐久性、走行性が改善さ
れる。
【0054】この場合、突起全体としての高さは、10
0〜2000Åの範囲内であることが好ましく、その密
度は1×105 〜1×107個/mm2 であることが好
ましい。
【0055】非磁性支持体と強磁性金属薄膜の間に、磁
性層の下地への密着性を向上する目的、ヘッドとの衝撃
を吸収する目的等で、金属・金属酸化物・有機物等の中
間層を設けることができる。
【0056】磁性層である強磁性金属薄膜は、真空蒸着
法やイオンプレーティング法、スパッタリング法等の真
空成膜技術または電解鍍金、無電解鍍金技術により連続
膜として形成される。
【0057】上記真空蒸着法は、10-4〜10-2Tor
rの真空下で、強磁性金属材料を抵抗加熱、高周波加
熱、電子ビーム加熱等により蒸発させ、支持体上に沈着
させるというものであり、一般に高い抗磁力を得るため
に支持体に対して強磁性金属材料を斜めに蒸着する斜方
蒸着が採用される。あるいは、より高い抗磁力を得るた
めに、雰囲気として、酸素あるいは酸素とアルゴンを導
入しながら上記蒸着を行ったものが好ましく用いられ
る。
【0058】また、強磁性金属薄膜への酸素導入法とし
ては前記の酸素の存在下での蒸着の他に、酸素の存在し
ない真空蒸着での蒸着膜を、例えば、60℃、30%R
H等の雰囲気中で強制酸化し、そのベースと反対側の表
面を酸化することもできる。
【0059】このような真空成膜形成技術により強磁性
金属薄膜を形成する際に使用される強磁性金属材料とし
てはFe、Co、Ni等の金属の他にCo−Ni合金、Co−Pt合
金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Co
−Ni合金、Fe−Co−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−
Cr合金あるいはこれらにMo、W、Ge、Cr、Al、Si、V 、
Nb、Ta、Ga、As、Sr、Zr、Rh、Pd、Sn、Sb、Te、Pm、R
e、Os、Ir、Au、Hg、Pb、Bi等の金属が含有されたも
の、あるいはこれらの酸化物、窒化物等が挙げられる。
【0060】より具体的には、強磁性金属薄膜磁性層は
Co-Ni を好ましくは酸素気流中で斜め蒸着して形成した
もの、Coを好ましくは酸素気流中で斜め蒸着して形成し
たもの、Co-Cr を好ましくはCo、Cr2 つの蒸発源を用い
て垂直蒸着して形成したもの、Co-Cr をスパッタ法(D
Cスパッタ、RFスパッタ等)で成膜したもの等が挙げ
られる。
【0061】基板表面は磁性層形成中に導入された酸
素、あるいは磁性層形成後の酸化処理等によって酸化さ
れている場合が多いが、本発明の処理は、表面酸化の有
無や程度によらず適用することができる。
【0062】このような手法により形成される磁性層の
膜厚は、0.04〜1μm、好ましくは、0.05〜
0.5μm程度である。本発明において基板の好ましい
態様は、基板が空気中の有機物に代表される、一般式
(I)で表されるシリコーン化合物の重合に対して促進
作用を持たない物質で被覆あるいは汚染されていない状
態である。
【0063】この問題のために、磁性層または保護材形
成装置から大気雰囲気を経ないでシリコーン化合物に気
相接触させることが行われるほか磁性層形成後、酸素、
窒素等のガスや有機物を除いた空気に触れさせることに
よって保存または酸化処理をしたものを基板として用い
ることが好ましい。
【0064】強磁性金属薄膜磁性層上に設けられる保護
材としては、気相または液相で形成された酸化珪素等の
酸化物、スパッター、プラズマ重合等で形成された有機
重合物、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト状
カーボンのほか熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等がある
が、これらのうちで好ましいのは酸化物保護層ついでス
パッター法で設けられたカーボン系保護材料である。
【0065】特にテープ状磁気記録媒体の場合、バック
コート層が形成されることが多い。バックコート層は、
結合剤樹脂と粉末成分とを有機溶媒に混合分散させたバ
ックコート用塗料を非磁性支持体面に塗布することによ
り形成される。
【0066】ここでバックコート用塗料に使用される結
合剤樹脂としては塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル
系共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル系共重合体、
塩化ビニルとビニルアルコール、マレイン酸および/ま
たはアクリル酸との共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース
樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニ
ルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキ
シ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げる
ことができる。
【0067】あるいは、粉末成分の分散性の改善を図る
ために、親水性極性基を持った結合剤樹脂を使用しても
よい。具体的には、−SO3 M、−OSO3 M、−PO
3 2 、−OPO3 2 、−CO2 M(Mは、水素、ア
ルカリ金属もしくはアンモニウム)から選ばれた1種以
上の極性基を少なくとも分子中に1個以上有するポリウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系重合体、
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−プロ
ピオン酸共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル系共重
合体などの共重合体であることが好ましい。これらの極
性基のなかで好ましいのは−SO3 M、−CO2 Mであ
り、更に好ましくは−SO3 Mである。これらの極性基
の含有量としてはポリマー1g当たり10-7〜10-3
量程度含むものが好ましく、更に好ましくは10-5〜5
×10-4当量である。これらの極性基は1種以上あれば
よく2種以上あってもよい。またさらに−OH基がある
とさらに分散性の向上に有効的である。
【0068】以上列挙の高分子結合剤は、単独または数
種混合で使用され、イソシアネート系の公知の架橋剤
(例えば、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシ
アネート3付加物など)を添加して硬化処理することも
できる。また、アクリル酸エステル系のオリゴマーと、
モノマーを結合剤として用い、放射線照射によって硬化
する結合剤も用いることができる。
【0069】一方、上記粉末成分としては、導電性を付
与するためのカーボン系微粉末、無機顔料(表面粗度の
コントロール及び耐久性向上のために添加されるα−F
eOOH、α−Fe2 3 、α−Al2 3 、Cr2
3 、TiO2 、ZnO、SiO、SiO2 、CaC
3 、MgCO3 、Sb2 3 等)が挙げられる。
【0070】更に上記バックコート用塗料の有機溶剤と
しては従来公知の各種溶剤を用いることができる。本発
明においては、本発明の化合物で気相処理した後、また
は気相処理後改質化合物で処理した後に従来公知の磁気
記録媒体用潤滑剤を付与することもできる。例えば、フ
ルオロポリエーテル系潤滑剤を併用すると耐久性が一層
向上する。
【0071】上記の磁性層の表面形状は、特に規定され
ないが、前述のごとく支持体表面に微粒子を存在させた
後、磁性層を形成することにより10〜1000Åの高
さの突起を有している場合、特に走行性・耐久性に優れ
る。
【0072】非磁性支持体の厚さはフレキシブル媒体の
場合、4〜50μm、好ましくは、6〜50μmが望ま
しい。
【0073】
【実施例】次に実施例をもって本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】実施例1 13μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に
コバルト−ニッケル磁性層(膜厚150nm)を斜め蒸
着し、磁気記録媒体の原反を調製した。蒸発源としては
電子ビーム蒸発源を使用し、これにコバルト−ニッケル
合金(Co:80重量%、Ni:20重量%)をチャー
ジし、真空度5×10-5Torr中にて入射角が50度
となるよう斜め蒸着を行った(原反A)。
【0075】この原反Aの磁性層表面にテトラハイドロ
ジェンテトラメチルシクロテトラシロキサン(前記例示
した本発明の化合物(II)−3)を原子数比(Si2p
Co2p 3/2 )(ESCAで測定される本発明のポリマー
のSiと磁性層の構成原子(Co)の原子数比)を10
になるように該本発明の化合物を大気圧下飽和蒸気圧
で、90℃の条件下、1分ロールにより接触処理して、
本発明の化合物をポリマー化し、磁性層表面に本発明の
ポリマーを被覆し実施例サンプル#1を作製した。
【0076】実施例2〜3 本発明の化合物の種類、ポリマー化条件等を表1に記載
の通り変更した以外は、実施例1と同様に実施例サンプ
ル#2、3を作製した。
【0077】実施例4 表1記載の条件で本発明の化合物のポリマー膜を設けた
後、改質化合物である1−オクタデセンを約2%のイソ
プロパノール溶液とし、塩化白金酸を50ppmとなる
ようにこれに添加し、上記ポリマーを形成した磁気記録
媒体を10分浸漬し、ポリマー内のSi−Hに改質化合
物を付加させ、実施例サンプル#4を作製した。
【0078】実施例5 実施例4において、表1に記載の因子を変更した以外
は、実施例4と同様にして、実施例サンプル#5を作製
した。
【0079】実施例6〜8 実施例1の原反Aを作製した後、RFスパッタリング
(13.5MHz)によって平均膜厚2nmのカーボン
ブラック保護材を磁性層表面に形成した(原反B)。
【0080】得られた磁気記録媒体の原反Bに対し表1
の条件で各本発明の化合物、あるいは実施例8にあって
は更に改質化合物を接触させ、実施例サンプル#6〜8
を作製した。
【0081】比較例1〜2 本発明の化合物を使用しない未処理の原反Aを比較例サ
ンプル#9、原反Bを比較例サンプル#10とした。
【0082】比較例3 原反Aの磁性層表面に本発明の化合物のガス処理の代わ
りに、潤滑剤ポリジメリルシロキサン(20℃での動粘
度100cSt)を10mg/m2 塗布し、比較例サン
プル#11を作製した。
【0083】比較例4 原反Bの保護材表面に本発明の化合物のガス処理の代わ
りに、潤滑剤ラダー型メチルシロキサン(20℃での動
粘度200cSt)を10mg/m2 塗布し、比較例サ
ンプル#12を作製した。
【0084】比較例5 原反Aの保護材表面に本発明の化合物のガス処理の代わ
りに、下記化5で示される平均構造を持つステアリン酸
変成シリコーンを10mg/m2 塗布し、比較例サンプ
ル#13を作製した。
【0085】
【化5】
【0086】
【表1】
【0087】比較例6 原反Aに下記化6に示した化合物とO2 との混合ガスを
真空度5×10-2Torrのプラズマ反応槽内で、平行平板
電極に20kHz、20Wの電力を印加してグロー放電
した。放電時の反応槽内の圧力は、0.1Torrであっ
た。そして、磁性層表面に膜厚100Åのプラズマ重合
膜を形成し、比較例サンプル#14を作製した。
【0088】
【化6】
【0089】得られた各磁気記録媒体シートサンプルに
バックコート(カーボンブラックをポリウレタン/ニト
ロセルロースに分散したもの)を施し、8mm幅にスリ
ットした。
【0090】得られた磁気テープについては、以下の評
価を行った。また、SiとCoの原子数比は、表1に示
した。 (1)水の接触角;共和科学製、接触角測定機 CA−
1を使用した。 (2)60℃、90%相対湿度、7日保存による減磁
(Bmの低下)の観測光学顕微鏡(300倍)による観
察 (3)(A)40℃、80%相対湿度および(B)15
℃、10%相対湿度におけるステンレス棒(粗さ0.1
μm)に対する摩擦係数(μ値) 測定法;磁気テープサンプルの磁性層面とステンレス棒
とを20gの張力(T1 )、巻きつけ角180°で接触
させ、自由回転ロールを介して磁気テープを14mm/
secの速度で水平に引き得るために必要な張力
(T2 )を測定し、この測定値より、下記式に基づき摩
擦係数μを計算した。
【0091】μ=(1/π)ln(T2 /T1 ) (4)5℃、10%において8mm型VTRでの繰り返
し走行耐久性およびスチル耐久性 ここで、繰り返し走行耐久性とは、50m長のテープを
8mm型VTR(富士写真フィルム(株);FUJIX
−8 M6型を改造したもの)で繰り返し再生し、走行
不安定による画面の乱れや摩擦係数の上昇による走行の
停止が起こるまでの再生回数である。またスチル耐久性
は、同型のVTR(ただしスチル再生時間を制限する機
能を取り去ってある。)で画像再生時にポーズボタンを
押し、画像がでなくなるまでの時間を測定して評価し
た。
【0092】得られた結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】このように、本発明の化合物である特定の
シリコーン化合物の気相接触により磁気記録媒体表面に
本発明のポリマー、即ちシリコーン重合物が形成される
ことが明確となった。そしてこのポリマーを表面に形成
した金属薄膜型磁気記録媒体および/またはさらにその
上に改質化合物である炭素炭素不飽和化合物を接触させ
て反応させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は比較例に
比べ著しく、耐候性および/または広範囲の環境条件で
の走行特性において優れ、かつその特徴が高湿から低湿
までの広範囲な条件の中で実現されていることが明らか
となった。
【0095】
【発明の効果】強磁性金属薄膜上または強磁性金属薄膜
上に形成された保護材上に前記一般式(I)で表される
シリコーン化合物を気相で接触させて該シリコーン化合
物の重合物を表面に設けてなる金属薄膜型磁気記録媒体
は、従来検討されてきた潤滑剤に比べ、著しく優れた耐
候性および/または温湿度適応性、走行性、耐久性を持
つことが明らかである。また、該重合物に存在するSi
−H部位に所望の機能性基を有する改質化合物を結合さ
せることにより、本発明のポリマーに所望の機能を発揮
させることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明のポリマーの分子量は、重量平均分
子量で通常15万以上である。本発明のポリマーの存在
量は、ESCAのうちXPS(X線電子分光法)で測定
され、例えば、磁性層の主成分がCoの場合、該ポリマ
ー中のSiと磁性層の構成原子(Co)の原子数比(S
2p/Co2p 3/2 )で規定でき、本発明では、この比を
0.02〜0.3、望ましくは0.1〜0.2に制御す
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】上記化1および化2に示した化合物(A)
および(B)はそれぞれ単独でまたはそれらの混合物の
形で使用することできる。上記(A)および(B)の各
式において、n(またはa+b)は好ましくは3〜
ある。n(またはa+b)の値が、小さくなると沸点が
低下するので、蒸発して基体板上に吸着する速度が大き
くなる。特に3量体および4量体は、その立体的性質
上、重合し易いので特に適している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】本発明のポリマーの形成法としては、特定
組成のシリコーン化合物からなる本発明の化合物の蒸気
を含む気体で満たされたチャンバーの中で好ましくは1
20℃以下、さらに好ましくは0〜100℃以下の温度
で大気圧下好ましくは200mmHg以下更に好ましく
10-2100mmHg以下の圧力において、該シリ
コーン化合物の蒸気を基板表面に接触させる方法が挙げ
られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】この原反Aの磁性層表面にテトラハイドロ
ジェンテトラメチルシクロテトラシロキサン(前記例示
した本発明の化合物(II)−3)を原子数比 (Si2p/Co2p 3/2 )(ESCAで測定される本発明
のポリマーのSiと磁性層の構成原子(Co)の原子数
比)を0.1になるように該本発明の化合物を大気圧下
飽和蒸気圧で、90℃の条件下、1分ロールにより接触
処理して、本発明の化合物をポリマー化し、磁性層表面
に本発明のポリマーを被覆し実施例サンプル#1を作製
した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正内容】
【0086】
【表1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に設けられた強磁性金属
    薄膜上もしくは強磁性金属薄膜上に設けられた保護材上
    に、下記一般式(1)で表される鎖状または環状シリコ
    ーン化合物の少なくとも一種を気相中で接触させること
    により、該シリコーン化合物のポリマーを設けたことを
    特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体。 (R1 HSiO)a (R2 3 SiO)b (R4 5 6 SiO1/2 c (I) ここで、R1 、R2 、R3 は水素原子であるかまたは置
    換基で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化
    水素基であるが、ただしR1 、R2 、R3 が同時に水素
    原子であることはないものとし、そしてR4 、R5 、R
    6 は水素原子であるかまたは置換基で置換されているこ
    とのある炭素数1〜10の炭化水素基であり、aは0以
    上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは0また
    は2であり、該シリコーン化合物は、0の場合は、環状
    であり、2の場合は鎖状であるが、ただし、cが0であ
    る場合にはaとbとの和が3以上の整数であるものとす
    る。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気記録媒体の強磁性金
    属薄膜表面または保護材表面に一般式(I)のシリコー
    ン化合物のポリマーを設けた後、該ポリマーのSi−H
    と反応し得る化合物を反応させたことを特徴とする金属
    薄膜型磁気記録媒体。
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