JPWO2006120749A1 - 靴底の緩衝装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の靴底の緩衝装置は、アウターソール2とミッドソールMとアウターソール2とミッドソールMとの間の変形要素3とを備える。前記変形要素3は後足部1Bの周縁に配置されると共に、後足部1Bの中心から前記周縁に向って開口した曲げ変形部材30を有する。前記曲げ変形部材30は、下板部31と、下板部31に対し所定の開き角をなす上板部32と、前記下板部31と上板部32とを連ねる屈曲部33とを有する。上板部32と下板部31とは、前記屈曲部から遠ざかるに従い互いに徐々に離れる。下板部31と上板部32との間には、ゴム様または鞘様の圧縮変形部材35が装着されている。前記曲げ変形部材30に着地の衝撃が加わると、圧縮変形部材35が圧縮されながら前記下板部31および/または上板部32が前記屈曲部33を中心に回転するように変位ないし撓む。

Description

本発明は靴底の緩衝装置に関する。
靴底は、軽量であることや、足を安定した状態に保持する機能の他に、着地の衝撃を吸収して緩和する緩衝機能等が要求される。近時、かかる諸機能に加え、反発機能を備えた靴が提案されている。反発機能は、着地の衝撃を変形のエネルギーとして靴底に蓄積して、離地の際に前記変形のエネルギーを放出する機能である。この機能は着用者の運動能力を高めるのに役立つ。
前記変形のエネルギーは、靴底の要素が圧縮され、または、屈曲されることなどにより、当該要素内に蓄積される。しかし、靴底の緩衝部材として一般的に用いられる発泡樹脂のようなヤング率の小さい粘弾性体は、変形の際にエネルギーが熱等として散逸されるので、一般に、高い反発機能を発揮し得ない。
前記反発機能を有する靴の構造としては、下記の特許文献が挙げられる。
特開平10−257904号(要約) 特開平10−262706号(要約) 特開平3−026202号(要約) 特開平1−274705号(要約) USP6,598,320号(要約) USP6,694,642号(要約) USP6,568,102号(要約)
特開平10−257904号および同262706号に開示された履物では、後足全体が1つの板バネで支持される。そのため、後足の支持が不安定になるかもしれない。
特開平10−257904号、同262706号および特開平3−026202号に開示された履物では、板バネやコイルスプリングが後足部に配置されている。そのため、これらのスプリング内にエネルギーが蓄積されるので、反発機能が高い。しかし、これらの先行技術では、衝撃が散逸されにくく、足が安定して保持されないかもしれない。
前記特開平3−026202号に開示された靴底のバネ101はソール内に収容されている。そのため、着地時の衝撃エネルギーのうち、前記ソールに吸収されて散逸された残りの部分が前記バネに吸収される。したがって、バネが蓄積し得るエネルギーの量が低下する。
特開平1−274705号に開示された靴では、靴底内に空洞部が形成されている。前記空洞部にはリアクションプレートが内蔵されている。当該リアクションプレートは上下対向辺および該上下の対向辺を連結する前後の湾曲部を有する。前記リアクションプレート内にはゲル状の緩衝部材が設けられている。
この先行技術の靴においても、リアクションプレートが靴底内に収容されているので、前記特開平3−026202号に開示された靴と同様のデメリットが存在するかもしれない。このリアクションプレートのうち、着地の衝撃により変形エネルギーを蓄積する部分は、主として前後の湾曲部であり、上下の対向辺ではないと推測される。
この先行技術において、着地時の衝撃力は、前記ソールで散逸された後に前記楕円状のバネに負荷される。そのため、前記分散された衝撃エネルギーが前記U字状のバネの各部に分布荷重として負荷されるので、無端状のバネの撓み量は小さくなると考えられる。したがって、エネルギーをU字状のバネ内に十分に蓄積することができない。
USP6,598,320号および6,694,642号は、断面略V字状ないしU字状の曲げ変形部材を開示していない。
USP6,658,102号に開示された靴底では、プレートは後足部全体にわたって配置されている。
したがって、本発明の目的は、足を安定した状態で保持しつつ、着地の際の衝撃力を吸収して蓄積することで高い衝撃吸収機能および反発機能を発揮する靴底の緩衝装置を提供することである。
図9Aは本発明のある靴底の衝撃装置の要部を示す。
図9Aにおいて、アウターソールとミッドソールとの間の変形要素3が、後足部の周縁の少なくとも一部に配置される。前記変形要素は、前記後足部の中心から前記周縁に向って開口した曲げ変形部材30を有する。前記曲げ変形部材30は、前記アウターソールの上面に接合された下板部31と、前記ミッドソールの下面に接合され前記下板部31に対し所定の開き角をなす上板部32と、前記下板部31と上板部32とを連ねる屈曲部33とを有する。前記下板部31、上板部32および屈曲部33は合成樹脂で一体に形成されている。
前記上板部32と前記下板部31とは、それぞれ、対向面52,51を有する。前記上板部32の対向面52と前記下板部31の対向面51とは、無負荷の状態で前記屈曲部33から遠ざかるに従い互いに徐々に離れている。前記下板部31と前記上板部32との間には、圧縮されたときに変形しながらエネルギーを吸収しつつ反発する力を蓄えるゴム様または鞘様の圧縮変形部材35が装着されている。
図9Aにおいて、上板部32の周縁側の端部に偏った荷重が負荷されると、上板部32が屈曲部33を中心に回転する。すなわち、上板部32が下板部31に近づくように撓みながら下方に変位する。この時、圧縮変形部材35は屈曲部33側から開口側までの概ね全領域において圧縮される。前記上板部32と下板部31とがテーパ状に配置されている、すなわち、上下の板部32,31が開口に近づくに従い互いに徐々に離れるように形成されているので、圧縮変形部材35の歪(変形前の単位高さあたりの変形量)は屈曲部33側の部分から開口側の部分までの概ね全ての領域において均等に近くなる。
一方、図9Gのように、上板部32と下板部31とが互いに平行であると、前記屈曲部33側の部分の歪みと開口側の部分の歪とが大きく異なる。つまり、開口側の歪が屈曲部33側の歪よりも著しく大きくなり易く、靴の安定性が損なわれるかもしれない。
すなわち、図9Gの断面U字状の変形要素3の場合、圧縮変形部材35が一定の厚さであるから、周縁側の端部に偏った荷重が負荷された時(ファーストストライク時の着地の衝撃を受ける際など)、屈曲部33に近い部分において圧縮変形部材35の歪が開口側の部分よりも小さくなる。一方、図9Aのように、圧縮変形部材35の上下の厚さがテーパ状に変化していると、偏った荷重が負荷された時に、屈曲部33近傍の圧縮変形部材35の歪が開口側のそれと概ね同等になり得る。
ところで、図9Gのように、曲げ変形部材30が断面U字状だと上下に圧縮された際に、屈曲部33が水平方向に変位する。この変位は曲げ変形部材30とミッドソールとの接合が難しくなる原因となる。これに対し、図9Aのように、曲げ変形部材30が断面略V字状だと、屈曲部33を中心に上下の板部32,31が相対的に回転するように変位ないし撓んで反発力が前記曲げ変形部材に蓄えられる。すなわち、屈曲部33が差程変位しない状態で、上下の板部32,31が互いに近づくように上下方向に変位する。したがって、曲げ変形部材30とミッドソールとの接合が容易となる。
また、圧縮変形部材35がテーパ状に形成されていることにより、足の外周へのズレや倒れが抑制され、足の支持が安定する。
さらに、上下の板部32,31がテーパ状に配置されているので、成型時の型抜きが容易になる。
本発明の変形要素を後足部に加え前足部に配置することも可能である。
本発明において、接合とは直接的に接合することおよび間接的に接合することのいずれをも含む概念である。
「ゴム様または鞘様の圧縮変形部材」は、圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄える部材であって、熱可塑性エラストマーや加硫ゴムなどのゴム弾性を発揮する部材の他に、エアやゲル状物質又は軟質のゴム様弾性体などが充填された鞘(pod )状ないし袋状の部材を含む。なお、熱可塑性エラストマーとは、常温において加硫ゴムの性質を呈するが、高温において可塑化されてプラスチック加工機で成型可能な高分子材料をいう。
本明細書において、ゴム様の部材つまりゴム弾性を発揮する部材とは、大きな変形が可能で(例えば、破断伸度が100%以上)、かつ、応力σを取り除くと元の形状に復元する性質を有する部材をいい、該部材においては、図10の応力−歪線図の実線L1で示すように、一般に、歪δが大きくなるに従い歪δの変化に対する応力σの変化が大きくなる。
したがって、同図において破線L2で示すように、ある程度以上の応力σが生じると、殆ど応力σが増大することなく歪δが増大する部材、たとえば樹脂の発泡体は、一般に、ゴム弾性を発揮する部材ではない。
同図に示すように、かかる樹脂の発泡体の弾性比例限界σF は前記ゴム様部材の弾性比例限界σG よりも小さい。そのため、かかる樹脂の発泡体では、局所的な負荷を受けた場合に、足の支持が不安定となり得る。
ここで、“弾性比例限界”とは、圧縮変形部材に負荷した圧縮荷重の変化と当該部材の縮みの変化との関係、つまり、圧縮応力の変化と歪みの変化との関係が概ね比例する範囲での最大の応力をいう。
本発明において、ミッドソールは、少なくとも後足部の概ね全体を支持し、一般に樹脂の発泡体で形成される。該ミッドソールは変形要素から伝わる衝撃を分散できるものであればよく、軟質樹脂等の非発泡体で形成されてもよい。
本発明において、前記ミッドソールまたは圧縮変形部材のヤング率は、前記曲げ変形部材のそれよりも小さい。ここにいう、ヤング率とは、図10の素材の変形の初期PI における歪に対する応力の比をいう。
本発明の好ましい実施例においては、前記屈曲部が前記回転の概ね中心となるヒンジ部を更に備え、かつ、前記曲げ変形部材が断面略V字状である。
曲げ変形部材が屈曲部において急激に折れ曲がっている場合、つまり、明確なヒンジ部を有する場合、該ヒンジ部から離れた端部への衝撃を受けた際、該ヒンジ部を中心に上下の板部が相対的に回転するように曲げ変形部材が変形する。したがって、屈曲部の水平方向の変位が小さい。
この場合、更に好ましくは、前記下板部は前記ヒンジ部の近傍の第1下領域と、前記第1下領域よりも前記ヒンジ部から離れた第2下領域とを有し、前記上板部は前記ヒンジ部の近傍の第1上領域と、前記第1上領域よりも前記ヒンジ部から離れた第2上領域とを有し、前記第1上領域と前記第1下領域とがなす第1開き角θ1は、前記第2上領域と前記第2下領域とがなす第2開き角θ2よりも大きく、かつ、前記第2開き角θ2が約5°以上である。前記両開き角θ1,θ2は、無負荷の状態で測定される。
前記第1開き角θ1が大きい屈曲部は、ヒンジ部の中心から少し離れると上下の板部の間隔が大きくなる。そのため、大きな厚さの圧縮変形部材を装着することが可能である。一方、圧縮変形時においては、第2開き角θ2が小さいので圧縮変形部材が開口に向って逃げにくい。
前記第1開き角θ1は30°以上であるのが好ましく、45°以上であるのが更に好ましい。
一方、前記第2開き角θ2は約10°〜約30°程度が更に好ましい。
本発明の好ましい実施例では、前記ミッドソールは足の底面から側面に沿って巻き上がる第1巻上部を有し、前記曲げ変形部材は前記第1巻上部に沿って巻き上がる別の巻上部が前記上板部に連なって一体に形成されている。
このように、曲げ変形部材の巻上部が上板部と連なって一体に形成されている場合、曲げ変形では図9Fの巻上部39の先端に行くに従い急激に撓みが大きくなるので、巻上部39が設けられていることにより、周縁において、ミッドソールからの荷重を曲げ変形部材で支えることが容易になる。
本発明の別の態様の靴底の緩衝装置は、変形要素が後足部の周縁に配置されている。前記変形要素は前記後足部の中心から前記周縁に向って開口した断面略V字状ないし略U字状の曲げ変形部材を有する。前記曲げ変形部材は、前記アウターソールの上面に接合された下板部と、前記ミッドソールの下面に接合された上板部と、前記下板部と上板部とを連ねるヒンジ部とを有し、前記下板部、上板部およびヒンジ部は合成樹脂で一体に形成されている。前記下板部と前記上板部との間に、圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄えるゴム様または鞘様の圧縮変形部材が装着されている。
ここにおいて、前記曲げ変形部材は、後足部の内側または外側の少なくとも一方のサイドから後足部の後端を含む部位に設けられている。前記下板部が前記一方のサイドと前記後端との間の部位において前後に分離されている。
曲げ変形部材が後足部の内側または外側から後足部の後端にわたって切れ目なく連なっていると、後足部の後端が着地した後、足裏が徐々に接地する動作をスムースに行えないかもしれない。
これに対し、本態様の曲げ変形部材では、下板部が分離されているので、部位に応じた変形を実現し易く、かつ、後足部が後端から着地して足が前方に屈曲する動作がスムースに行われ得る。
本発明において、「断面略V字状の曲げ変形部材」は、曲げ変形部材が、後足部の中心から周縁に向って延びる断面線に沿った断面において、略V字状であることを意味し、かかる形状の曲げ変形部材においては、上板部と下板部とが開口に向かうに従い互いに離れる。
本発明において、「断面略U字状の曲げ変形部材」は、曲げ変形部材が、後足部の中心から周縁に向って延びる断面線に沿った断面において、略U字状であることを意味し、かかる形状の曲げ変形部材においては、上板部と下板部とが互いに略平行に配置されている。
また、本発明において、「断面略V字状ないし略U字状の曲げ変形部材」とは、前記「略V字状の曲げ変形部材」および「略U字状の曲げ変形部材」の双方を含む他、これらの形状に近似した断面カップ状等の曲げ変形部材を含むことを意味する。
応力が集中し易い屈曲部の剛性は、上板部や下板部のそれよりも大きくてもよい。この場合、屈曲部の厚さが上板部等の厚さよりも大きくてもよい。
本態様の好ましい実施例では、前記上板部が前記一方のサイドから前記後端に至る範囲において連なっている。
この実施例の場合、上板部が連なっているので、着地の衝撃が分散され易い上、ミッドソールとの接合も容易になる。
本態様の好ましい実施例では、前記サイドの前記下板部には、ヒンジ部から離れた端部において切欠された切欠部が形成されている。この切欠部は略U字状であってもよい。
この場合、前記着地した後の足の動作が切欠部により更にスムースになる。
本態様の好ましい実施例では、前記曲げ変形部材には、靴底の踏まず部を補強する第1補強部が一体に形成されている。
この第1補強部は踏まず部のネジレ防止に役立つ。
本態様の好ましい実施例では、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材との間には、これらの両者を互いに連結する連結部材が介挿され、前記連結部材は後足部の内側、後端、外側および前端において連なったループ状に形成されている。
かかる後足部においてループ状の連結部材は後足のネジレ防止に役立つ。
この場合、前記連結部材には、靴底の踏まず部を補強する第2補強部が一体に形成されているのが更に好ましい。
この連結部材の第2補強部は、踏まず部のネジレ防止に役立つ。
本態様の好ましい実施例では、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材との間に、これら両者を互いに連結する連結部材が介挿される。前記連結部材を構成する素材のヤング率が前記ミッドソールのそれよりも大きく、かつ、前記曲げ変形部材のそれよりも小さい。
着地の衝撃が比較的硬い曲げ変形部材により分散され、更に比較的軟質の連結部材により分散されるので、衝撃の分散機能が高まると共に、足裏への感触がソフトになり得る。
図1Aは本発明の第1実施例にかかる靴の外側面図、図1Bは同靴の内側面図である。 図2は、靴底の底面側から見た斜視図である。 図3は、靴底の底面側から見た分解斜視図である。 図4は、靴底の上面側から見た分解斜視図である。 図5Aは曲げ変形部材およびゴム様部材の上面側から見た分解斜視図、図5Bは同下面側から見た分解斜視図である。 図6Aは本実施例のゴム様部材の底面図、図6Bおよび図6Cは変形例のゴム様部材の底面図である。 図7は、図6AのVII-VII 線断面図である。 図8Aは図6AのVIIIA-VIIIA 線断面図、図8Bは図6AのVIIIB-VIIIB 線断面図である。 図9A〜図9Gは、曲げ変形部材の種々の例を示す概略断面図である。 図10は応力ー歪線図である。
符号の説明
19:第1巻上部
2:アウターソール
2a:接地面
3:変形要素
30:曲げ変形部材
31:下板部
31a:第1下領域
31b:第2下領域
32:上板部
32a:第1上領域
32b:第2上領域
33:ヒンジ部
35:ゴム様部材(圧縮変形部材)
37:切欠部
38:第1補強部
39:第3巻上部(別の巻上部)
4:連結部材
42:第2補強部
51,52:対向面
M:ミッドソール
θ1:第1開き角
θ2:第2開き角
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
以下、本発明の実施例が図面を参照して説明される。
第1実施例
図1〜図8は第1実施例を示す。
図1Aは第1実施例の靴(左足用)の外側面を示し、図1Bは同靴の内側面を示す。
図1Aおよび図1Bに示すように、本実施例の靴底は、ミッドソールM、アウターソール2、変形要素3および連結部材4を備える。変形要素3は曲げ変形部材30およびゴム様部材(圧縮変形部材の一例)35から構成される。
前記ミッドソールMの前足部(爪先部)1Fの下面には、アウターソール2が接合されている。前記ミッドソールMの中足部(アーチ部)1Mから後足部(ヒール部)1Bにかけての範囲の下面には連結部材4が接合されている。前記連結部材4の下面には曲げ変形部材30の上面が接合されており、該曲げ変形部材30に挟み込まれるようにゴム様部材35が配置される。曲げ変形部材30の下面にはアウターソール2が接合されている。前記ミッドソールMの上には、インソール(図示せず)が接着される。
図1Aおよび図1Bにおいて、各部材の関係を明瞭にするために、連結部材4は網かけを付して図示されている。
ミッドソールMは、たとえばEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)やポリウレタンなどの樹脂の発泡体などの衝撃吸収に適した素材で形成される。なお、前記ミッドソールMやインソールの上方には、足の甲を包むのに適したアッパーU(図1の二点鎖線で示される)が配置される。前記アウターソール2は、前記ミッドソールMよりも耐摩耗性の大きい材料で形成されており、路面や床面に接地する接地面2aを有する。
前記連結部材4および曲げ変形部材30は、中足部1Mの前端でアウターソール2とミッドソールMとの間に挟み込まれている。
図2において、前足部のアウターソールの図示は省略されている。以下の図において、INは足の内側を示し、OUTは足の外側を示す。
図2に示すように、後足部1Bの周縁に沿って、アウターソール2は、3つに分割された状態で配置されている。前記3つのアウターソール2は、後足部1Bの外側、後足部1Bの内側および後足部の後端に、互いに離間して、配置されている。図3のアウターソール2の上の曲げ変形部材30は、中足部1M(図1A)から後足部1B(図1A)にかけて、足の周縁に沿って配置されている。曲げ変形部材30の上の連結部材4は、中足部から後足部にかけて足の周縁に沿って配置されると共に、ミッドソールMの中足部の略全域を覆う。
図3および図4は、図2における変形要素3、連結部材4およびミッドソールMの分解斜視図である。図3は底面側から見た図、図4は上面側から見た図である。
図3に示すように、変形要素3の曲げ変形部材30は、平面視略馬蹄形(U字に近似した蹄鉄形状)に形成されており、中足部の内側INから、後足部の内側IN、後端、外側OUTを通って中足部の外側OUTまで延びている。曲げ変形部材30のうちの中足部に位置する部分は踏まず部のネジレを抑制するための第1補強部38を構成している。後足部において、曲げ変形部材30はアウターソール2側の下板部31とミッドソールM側の上板部32とを有する。この上下の板部32,31の間にゴム様部材35が嵌め込まれている。曲げ変形部材30は、連結部材4の下面に形成された接合面4aおよびミッドソールMの下面に接合される。
変形要素3とミッドソールMとの間に介挿される連結部材4は中足部から後足部にかけて広がっている。後足部において、連結部材4は、後足部の内側IN、後端および外側OUTを通るループ状に形成されており、後足部の中央(後足部の中心)には開口41が形成されている。一方、中足部において、連結部材4はミッドソールMのほぼ全域を覆うように形成されており、踏まず部における靴のネジレを抑制する第2補強部42を構成している。連結部材4は、ミッドソールMの下面に形成された接合面12に接合される。
中足部の中央において、連結部材4とミッドソールMとは互いに接合されていない。すなわち、中足部の中央においては連結部材4とミッドソールMとは互いに上下方向に離間している。また、連結部材4には前記開口41が設けられているため、後足部の中央ではミッドソールMの下面が連結部材4にも変形要素3にも覆われずに露出している(図2)。このように構成することで、着地時にミッドソールMの後足部の中央が沈み込むことが可能となり、これにより緩衝性能が向上する。
変形要素3:
図5A、図5Bに示すように、変形要素3は1つの曲げ変形部材30と3つのゴム様部材35とを有する。曲げ変形部材30は、連結部材4を介して間接的にミッドソールMの下面に接合される上板部32と、アウターソール2の上面に接合される下板部31と、前記上下の板部32,31を連結するヒンジ部(屈曲部の一例)33とを有する。曲げ変形部材30の前記上下の板部32,31およびヒンジ部33は合成樹脂で一体に形成されている。
図5Aに示すように、前記上板部32は、後足部の周縁に沿って連なって設けられており、中足部の前記第1補強部38に連なっている。上板部32の後端は部分的に切欠されている(図3)。また、上板部32には、複数個の略方形の貫通孔55が設けられている。
図5Bに示すように、前記下板部31は、後足部の周縁に沿って設けられている。下板部31は、後足部の後端と内側の間の位置、および、後足部の後端と外側の間の位置において前後に分離されている。これにより、下板部31は、後足部の内側、後足部の後端および後足部の外側の3つの部位に分かれている。下板部31の前記各部位にはヒンジ部33から離れた端部に略U字状の切欠部37が形成されている。
前記3つのゴム様部材35は前記上下の板部32,31の間に挟み込まれた状態で、上下の板部32,31に接着されている。ゴム様部材35の平面形状は、図6Aに示すように、概ね前記下板部31に合致した形状であり、前記切欠部37(図5B)に対応する位置に切欠された切欠部35cを有している。
図5Aに示すように、ゴム様部材35の上面には上方に突出した上突出部35aが設けられている。この上突出部35aが前記上板部32の貫通孔55に嵌合して係合する。これにより、製造時の接着工程において変形要素3が上下に圧縮された時に、ゴム様部材35は上下の板部32,31の間で安定して保持される。なお、ゴム様部材35を上下の板部32,31間で安定して保持させるには、上板部32および/または下板部31に貫通孔および/または突部が設けられてもよい。
このように、下板部31が3つの部位に分離され、この3つの部位に対応して3つのゴム様部材35が配置されることで、後足部の各部位に応じた変形が容易になると共に、後足部が後端から着地して足が前方に屈曲するまでの足の動作がスムースに行える。更に、前記下板部31の切欠部37および該切欠部37に対応したゴム様部材35の切欠部35cにより、前記足の動作をさらにスムースにし得る。
曲げ変形部材30を構成する材料のヤング率は、ミッドソールMを構成する材料のそれおよびアウターソール2を構成する材料のそれよりも大きく設定されている。また、曲げ変形部材30を構成する材料のヤング率が連結部材4を構成する材料のそれよりも大きく、かつ、連結部材4を構成する材料のヤング率がミッドソールMを構成する材料のそれよりも大きく設定されるのが好ましい。これにより、着地の衝撃が比較的硬い曲げ変形部材30により分散され、更に連結部材4により分散されるので、足裏への感触がソフトになり得る。
緩衝性および安定性の観点から、ゴム様部材35のヤング率(弾性比例限界における弾性率)は約0.1kgf/mm2 〜5.0kgf/mm2 に設定されるのが好ましく、0.3kgf/mm2 〜3.0kgf/mm2 に設定されるのが更に好ましく、0.3kgf/mm2 〜2.0kgf/mm2 に設定されるのが最も好ましい。この場合、曲げ変形部材30のヤング率は、約1.0kgf/mm2 〜30kgf/mm2 に設定されるのが好ましく、2.0kgf/mm2 〜15kgf/mm2 に設定されるのが更に好ましく、3.0kgf/mm2 〜10kgf/mm2 に設定されるのが最も好ましい。
ゴム様部材35としては、たとえば、ゴムやゴム様の合成樹脂(熱可塑性エラストマー)などを用いることができる。ゴム様部材35がゴム様の合成樹脂、たとえば、いわゆるゲル(緩衝部材の商業上の呼称)である場合、当該ゴム様部材35の材質としては、当該ゴム様部材35と曲げ変形部材30との接着力を向上させるために、たとえば、ポリウレタンゲルやスチレン系ゲルを用いるのが好ましい。
一方、曲げ変形部材30を構成する材料としては、たとえば、ナイロン、ポリウレタン、FRPなどの非発泡の樹脂を用いることができる。ゴム様部材35に代えて、エアや液体の充填された鞘様部材などの圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄えるものが用いられてもよい。
変形要素の断面形状:
本実施例では、図7、図8Aに示すように、ヒンジ部33からゴム様部材35が装着された部位において、曲げ変形部材30は断面略V字状であり、後足部の周縁に向って開いた開口56を有する。すなわち、上板部32と下板部31の互いに対向する面52,51は、ヒンジ部33から離れるにしたがい、すなわち、ヒンジ部33から開口56に向かうにしたがい、互いに徐々に遠ざかるように設けられている。
前記下板部31は、前記ヒンジ部33の近傍の第1下領域31aと、前記第1下領域31aよりも前記開口56の近傍のゴム様部材35の接触している第2下領域31bとを有する。前記上板部32は前記ヒンジ部33の近傍の第1上領域32aと前記開口56の近傍のゴム様部材35の接触している第2上領域32bとを有する。
図9Bに示すように前記第1上領域32aと第1下領域31aとのなす角(第1開き角)θ1は前記第2上領域32bと第2下領域31bとのなす角(第2開き角)θ2よりも大きく設定されている。すなわち、上下の板部32,31のなす角は、ヒンジ部33の近傍で大きく、開口56の近傍で小さく設定されている。
無負荷の状態での第1開き角θ1は約30°〜120°に設定されるのが好ましく、約50°〜100°に設定されるのが更に好ましく、約60°〜90°に設定されるのが最も好ましい。無負荷の状態での第2開き角θ2の平均値は約5°〜60°に設定されるのが好ましく、約10°〜50°に設定されるのが更に好ましく、約15°〜45°に設定されるのが最も好ましい。
本実施例では、前記第2下領域31bは、路面に概ね平行に設けられている。しかし、第2下領域31bは必ずしもそのように設ける必要はなく、後足部の中央から周縁に向って下方または上方に傾くように設けられてもよい。
図7、図8Aおよび図8Bに示すように、後足部の周縁において、ミッドソールMには足の底面から側面に沿って巻き上がる第1巻上部19が一体に形成されている。該第1巻上部19の外側には、連結部材4の第2巻上部49が配置されており、前記第1巻上部19に沿って延びている。さらに、前記第2巻上部49の外側には、前記曲げ変形部材30の上板部32から連なる第3巻上部(別の巻上部の一例)39が配置されており、前記第1巻上部19に沿って延びている。かかる第1〜第3巻上部19,49,39により、後足部の周縁において、ミッドソールMからの荷重を曲げ変形部材30で支えることが容易になる。
図7において、前記ゴム様部材35は前記上下の板部32,31の間で前記曲げ変形部材30の断面形状に合うように前記ヒンジ部33から遠ざかるに従い上下方向の厚さが徐々に大きくなっている。ゴム様部材35は、上下の板部32,31の表面(対向面51,52)に密着するように配置されている。
ここで、前記のように上下の板部32,31のなす角は、ヒンジ部33の近傍で大きく、開口56の近傍で小さく設定されているので、ミッドソールMの後足部の中央の厚さが薄くならない。したがって、比較的大きな厚さのゴム様部材35を配置することができ、そのため、より優れた緩衝性を得ることができる。
ゴム様部材35の前記開口56側の面は上下の中央部が若干凹んだ凹面に形成されている。圧縮された際に、ゴム様部材35が変形し易くするためである。このゴム様部材35の開口側の面は必ずしもかかる凹面状とする必要はなく、図9Bのように形成してもよい。
図6Aの平面図と図5A、図5Bに示すように、ゴム様部材35は、前記下板部31の略U字状の切欠部37に対応する部分において、切欠部37に合わせて凹んでいると共に、後足部の中央に向って突出した内突出部35bが設けられている。そのため、図8Aの断面図に示すように、切欠部37に対応する部分においてゴム様部材35がヒンジ部33まで隙間なく入り込んで曲げ変形部材30の表面に密着している。かかる密着によりゴム様部材35が上下の板部32,31の間に安定して保持される。一方、図7の断面図に示すように、それ以外の部分では、ゴム様部材35とヒンジ部33との間には空隙が設けられている。かかる空隙により、ゴム様部材35が圧縮された際に足の中心に向って逃げることができるので、変形し易くなる。
ゴム様部材35の形状は、前記図6Aに示す形状に限られず、他の形状が採用されてもよい。ゴム様部材35は、例えば、図6Bのように、後足部の中央に向って突出する内突出部を設けない、すなわち、ゴム様部材35の後足部の中央側の部分の形状を曲げ変形部材30のヒンジ部33に沿うような形状にしてもよい。この場合、ヒンジ部33の略全部にゴム様部材35が隙間なく入り込んで密着している。そのため、ゴム様部材35の安定した支持が図れると共に、ヒンジ部33とゴム様部材35との間の隙間への異物等の混入やそれに伴う曲げ変形部材の破損等を防止し得る。
また、ゴム様部材35に、図6Cのように、後足部の中央に向って突出する3つの内突出部35bを設けてもよい。この場合、内突出部35bがゴム様部材35の両端部と中央部に設けられているので、ゴム様部材35とヒンジ部33との隙間は密閉された状態となる。したがって、ゴム様部材の変形し易さを維持しつつ、前記隙間への異物の混入等を防止し得る。
なお、曲げ変形部材30は本実施例のような断面略V字状ないし台形状であるのが好ましいが、その他の断面形状であってもよい。また、屈曲し易さや隙間への異物の混入の観点から、前記ゴム様部材35の断面形状も種々のものが想定され得る。かかる種々の形状の例として、図9A〜図9Fに示すような変形要素3が挙げられる。
例えば、互いに傾斜角の異なる第1および第2上領域を設けずに、図9Aのように、上板部32が概ねフラットに形成されてもよい。この場合でも、同図の一点鎖線で示すように、上下の板部32,31が互いに相対的に回転し得る。
また、図9Cまたは図9Dのように、ヒンジ部33を滑らかな断面略円弧状に形成し、かつ、概ねフラットな上下の板部32,31がヒンジ部33から離れるに従い互いに離れるように形成してもよい。同図の場合、ゴム様部材35は、図9Cのように、ヒンジ部33まで隙間なく入り込むように設けられている。
図9Dや図9Eのように、ゴム様部材35に中空の中空部35eやスリット35dが設けられてもよい。また、ゴム様部材35の角部にアールを形成してゴム様部材35の角部に剪断変形が生じるようにしてもよい。
曲げ変形部材30は図9Gのように、断面略U字状、すなわち、上下の板部32,31が概ね平行であってもよい
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、連結部材を設けずに、曲げ変形部材を直接ミッドソールに接合してもよいし、曲げ変形部材とアウターソールとの間に別の部材を介挿してもよい。ミッドソールが上下や前後に分割されていてもよい。
変形要素を内外のいずれかのみに配置してもよいし、後足部に加え前足部に変形要素が設けられてもよい。また、変形要素の切欠部は必ずしも設ける必要はない。
ゴム様部材の数は前記実施例に限られるものでなく、4つ以上の互いに分離された下板部およびゴム様部材を後足部に配置してもよい。
また、上板部の貫通孔やゴム様部材の上突出部は必ずしも設ける必要はなく、ゴム様部材を曲げ変形部材で単に挟み込んで支持してもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
本発明は、運動靴などの種々の靴の靴底に適用することができる。

Claims (18)

  1. 靴底の緩衝装置であって、
    着地時に接地する接地面と前記接地面とは逆の上面とを有するアウターソールと、前記アウターソールの上方に配置されると共に下面を有するミッドソールと、前記アウターソールとミッドソールとの間に配置された変形要素とを備え、
    前記変形要素は後足部の周縁の少なくとも一部に配置され、
    前記変形要素は、前記後足部の中心から前記周縁に向って開口した曲げ変形部材を有し、
    前記曲げ変形部材を構成する材料のヤング率は前記ミッドソールおよびアウターソールを構成する材料のヤング率よりも大きく、
    前記曲げ変形部材は、前記アウターソールの上面に接合された下板部と、前記ミッドソールの下面に接合され前記下板部に対し所定の開き角をなす上板部と、前記下板部と上板部とを連ねる屈曲部とを有し、前記下板部、上板部および屈曲部は合成樹脂で一体に形成されており、
    前記上板部と前記下板部とは、それぞれ、対向面を有し、前記上板部の対向面と前記下板部の対向面とは前記屈曲部から遠ざかるに従い互いに徐々に離れ、
    前記下板部と前記上板部との間に、圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄えるゴム様または鞘様の圧縮変形部材が装着され、
    前記圧縮変形部材は、前記屈曲部から遠ざかるに従い厚さが徐々に大きくなり、
    前記曲げ変形部材に着地の衝撃が加わると、前記圧縮変形部材が圧縮されながら前記下板部および/または上板部が前記屈曲部を中心に回転するように変位ないし撓んで前記開き角が小さくなることにより、反発力が前記曲げ変形部材に蓄えられる靴底の緩衝装置。
  2. 請求項1において、前記屈曲部が前記下板部および/または上板部の回転の概ね中心となるヒンジ部を更に備え、かつ、前記曲げ変形部材が断面略V字状である靴底の緩衝装置。
  3. 請求項2において、前記下板部は前記ヒンジ部の近傍の第1下領域と、前記第1下領域よりも前記ヒンジ部から離れた第2下領域とを有し、
    前記上板部は前記ヒンジ部の近傍の第1上領域と、前記第1上領域よりも前記ヒンジ部から離れた第2上領域とを有し、
    前記第1上領域と前記第1下領域とがなす第1開き角は、前記第2上領域と前記第2下領域とがなす第2開き角よりも大きく、かつ、前記第2開き角が約5°以上である靴底の緩衝装置。
  4. 請求項3において、前記第1開き角が30°以上である靴底の緩衝装置。
  5. 請求項1において、前記ミッドソールは足の底面から側面に沿って巻き上がる第1巻上部を有し、前記曲げ変形部材には前記第1巻上部に沿って巻き上がる別の巻上部が前記上板部に連なって一体に形成されている靴底の緩衝装置。
  6. 請求項1において、前記変形要素が後足部の内側、後足部の外側または後足部の後端のうちのいずれか1以上に設けられている靴底の緩衝装置。
  7. 請求項1において、前記圧縮変形部材はゴム様部材であり、該ゴム様部材のヤング率が約0.1kgf/mm2 〜約5.0kgf/mm2 である靴底の緩衝装置。
  8. 請求項7において、前記曲げ変形部材を構成する材料のヤング率は約1.0kgf/mm2 〜約30kgf/mm2 である靴底の緩衝装置。
  9. 請求項1において、前記圧縮変形部材の上面または下面には突部が設けられ、前記曲げ変形部材には前記突部に係合する貫通孔が設けられている靴底の緩衝装置。
  10. 靴底の緩衝装置であって、
    着地時に接地する接地面と前記接地面とは逆の上面とを有するアウターソールと、前記アウターソールの上方に配置されると共に下面を有するミッドソールと、前記アウターソールとミッドソールとの間に配置された変形要素とを備え、
    前記変形要素は後足部の周縁の少なくとも一部に配置され、
    前記変形要素は前記後足部の中心から前記周縁に向って開口した断面略V字状ないし略U字状の曲げ変形部材を有し、
    前記曲げ変形部材を構成する材料のヤング率は前記ミッドソールおよびアウターソールを構成する材料のヤング率よりも大きく、
    前記曲げ変形部材は、前記アウターソールの上面に接合された下板部と、前記ミッドソールの下面に接合された上板部と、前記下板部と上板部とを連ねる屈曲部とを有し、前記下板部、上板部および屈曲部は合成樹脂で一体に形成されており、
    前記下板部と前記上板部との間に、圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄えるゴム様または鞘様の圧縮変形部材が装着され、
    前記曲げ変形部材は、後足部の内側または外側の少なくとも一方のサイドから後足部の後端を含む部位に設けられ、
    前記下板部が前記一方のサイドと前記後端との間の部位において前後に分離されている靴底の緩衝装置。
  11. 請求項10において、前記上板部が前記一方のサイドから前記後端に至る範囲において連なっている靴底の緩衝装置。
  12. 請求項10において、前記サイドの前記下板部には、屈曲部から離れた端部において切欠された切欠部が形成されている靴底の緩衝装置。
  13. 請求項10において、前記曲げ変形部材には、靴底の踏まず部を補強する第1補強部が一体に形成されている靴底の緩衝装置。
  14. 請求項10において、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材との間には、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材とを互いに連結する連結部材が介挿され、
    前記連結部材は後足部の内側、後端、外側および前端において連なったループ状に形成されている靴底の緩衝装置。
  15. 請求項14において、前記連結部材には、靴底の踏まず部を補強する第2補強部が一体に形成されている靴底の緩衝装置。
  16. 請求項10において、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材との間には、前記ミッドソールと前記曲げ変形部材とを互いに連結する連結部材が介挿され、
    前記連結部材を構成する素材のヤング率が前記ミッドソールのそれよりも大きく、かつ、前記曲げ変形部材のそれよりも小さい靴底の緩衝装置。
  17. 請求項10において、前記圧縮変形部材の上面または下面には突部が設けられ、前記曲げ変形部材には前記突部に係合する貫通孔が設けられている靴底の緩衝装置。
  18. 靴底の緩衝装置であって、
    着地時に接地する接地面と前記接地面とは逆の上面とを有するアウターソールと、前記アウターソールの上方に配置されると共に下面を有するミッドソールと、前記アウターソールとミッドソールとの間に配置された変形要素とを備え、
    前記変形要素は後足部の周縁の少なくとも一部に配置され、
    前記変形要素は、前記後足部の中心から前記周縁に向って開口した曲げ変形部材を有し、
    前記曲げ変形部材を構成する材料のヤング率は前記ミッドソールおよびアウターソールを構成する材料のヤング率よりも大きく、
    前記曲げ変形部材は、前記アウターソールの上面に接合された下板部と、前記ミッドソールの下面に接合され前記下板部に対し所定の開き角をなす上板部と、前記下板部と上板部とを連ねる屈曲部とを有し、前記下板部、上板部および屈曲部は合成樹脂で一体に形成されており、
    前記上板部と前記下板部とは、それぞれ、対向面を有し、前記上板部の対向面と前記下板部の対向面とは前記屈曲部から遠ざかるに従い互いに徐々に離れ、
    前記下板部と前記上板部との間に、圧縮されたときに変形しながら反発する力を蓄えるゴム様または鞘様の圧縮変形部材が装着され、
    前記圧縮変形部材は、前記曲げ変形部材に着地の衝撃が加わると、前記圧縮変形部材が圧縮されながら前記下板部および/または上板部が前記屈曲部を中心に回転して、前記開き角が小さくなる靴底の緩衝装置。
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