JPWO2006068245A1 - 積層型圧電セラミック部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

内部電極層2は、Agを主成分とする導電部5と非導電部6とからなり、非導電部6はセラミック材が充填されたセラミック柱6aと空隙部6bとからなる。非導電部6の平均直径xと前記セラミック層の厚みyとの比は0.08〜0.33、内部電極層2の厚みzとセラミック層1の厚みyとの比は0.04〜0.40であり、内部電極層2の被覆率は60〜95%である。該積層型圧電セラミック部品は、金属粉末の比表面積よりも5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末を全固形分に対し20〜50重量%含有した導電性ペーストを使用し、0.5〜21体積%の低酸素雰囲気で焼成することにより製造される。また、空隙部6bは非導電部中の60%以上が好ましい。これにより大きな変位量を有し、かつ接合強度の優れた積層型圧電セラミック部品を得ることができる。

Description

本発明は積層圧電アクチュエータや積層圧電発音体等の積層型圧電セラミック部品、及び該積層型圧電セラミック部品の製造方法に関する。
従来より、この種の積層型圧電セラミック部品は、図5に示すように、圧電セラミック層101a〜101gと内部電極層102a〜102fとが交互に積層されてセラミック素体103を形成し、該セラミック素体103の端面に外部電極104a、104bが形成されている。
上記積層型圧電セラミック部品では、低コストで大きな変位量を有するものが要請されるが、そのためには内部電極層102a〜102fの薄層化が効果的である。
すなわち、この種の積層型圧電セラミック部品では、電界が印加された場合、セラミック層101b〜101fが伸縮するが、内部電極層102a〜102fの厚みが厚いとセラミック層101b〜101f間が内部電極層102a〜102fに拘束されるため、該セラミック層101b〜101fの伸縮を阻害してしまう。つまり、内部電極層102a〜102fの厚みが薄いほどセラミック層101b〜101fが伸縮しやすくなり、変位量も大きくなる。
しかしながら、上記積層型圧電セラミック部品では、内部電極層102a〜102fを薄層化すると内部電極の被覆率が低下し、このため電極面積が減少して電位降下が生じ、変位量が低下するという欠点がある。
一方、電位降下を解消する技術としては、内部電極の全面積に対し、内部電極に生じた貫通孔の総面積の占める割合を40〜0%とし、またセラミック層と同一もしくは類似組成のセラミック材料を10〜30重量%含んだペーストを使用して内部電極を形成した積層型電子部品が提案されている(特許文献1)。
この特許文献1では、セラミック層と同一もしくは類似組成のセラミック材料、すなわちセラミック共材を10〜30重量%含んだペーストを使用して内部電極を形成することにより、膜厚が2.5μm以下の内部電極層において、被覆率を60〜100%に向上させて電極面積を増加させ、これにより静電容量が低下するのを回避し、また内部電極層の収縮を抑制して焼成後に構造欠陥が発生するのを極力回避しようとしている。
また、被覆率を制御した技術としては、内部電極の負極にAg元素を含み、正極にAg元素を含まないようにし、内部電極の厚みが1〜3μmで被覆率50〜99%に制御した積層型圧電素子も提案されている(特許文献2)。
この特許文献2では、被覆率を50〜99%に制御することにより、マイグレーションやデラミネーションの発生を抑制して信頼性向上を図っている。
また、その他の従来技術としては、内部電極層がPd及び/又はPtを主成分とする金属材料からなり、かつ積層方向に貫通する複数の孔を有すると共に、該孔内部に圧電セラミック板と同材質からなり、内部電極を介して対向する各々圧電セラミック板を接続する共材を配設してなる積層圧電アクチュエータが提案されている(特許文献3)。
この特許文献3では、セラミック層の厚みに対し、最小内径寸法が1/2以下の貫通孔を設けて該貫通孔をセラミック共材で充填し、さらに貫通孔が形成された非電極部と電極部との面積比を1:1以下にすることにより、分極時の歪を抑制し、界面剥離が生じるのを回避している。
特開2002−164248号公報 特開2001−250994号公報 特開昭63−142875号公報
しかしながら、特許文献1の技術を積層型圧電セラミック部品に適用した場合、単に被覆率を制御しただけでは、内部電極層中の電極が形成されていない非導電部の大きさにバラツキが生じたり、非導電部による電位降下が大きくなり、このため所望の大きな変位量を得ることができないという問題点があった。
また、特許文献2は、被覆率を50〜99%に制御することにより、マイグレーションやデラミネーションの発生を抑制しているものの、特許文献1と同様、積層型圧電セラミック部品に適用した場合、単に被覆率を制御しただけでは非導電部の大きさにバラツキが生じたり、非導電部による電位降下が大きくなり、このため所望の大きな変位量を得ることができないという問題点があった。
特許文献3は、セラミック層の厚みに対し、最小内径寸法が1/2以下の貫通孔を設けているものの、これだけでは電位降下が生じるため所望の大きな変位量を得ることができず、また非電極部(非導電部)と電極部(導電部)との比を1:1以下とするのみでは十分な被覆率が得られず、内部電極層とセラミック層との間で界面剥離の生じるおそれがあるという問題点があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、内部電極層が薄層であっても、大きな変位量を有し、かつ接合強度の優れた積層型圧電セラミック部品、及び該積層型圧電セラミック部品の製造方法を提供することを目的とする。
積層型圧電セラミック部品では、低コストでかつ大きな変位量が求められるが、変位量の向上を阻害する主な要因としては、(1)電位降下、(2)残留応力、(3)変位阻害力の3つが考えられる。ここで、
(1)電位降下とは、内部電極層中に貫通孔等の非導電部が形成される結果、該非導電部に起因した電位降下が生じ、電界と圧電定数との積で規定される変位量が低下する現象であり、特に、内部電極層を薄層化すると構造的に非導電部が増大することから、非導電部での電位降下が顕著となる。
(2)残留応力とは、セラミック層の熱膨張率と内部電極層の熱膨張率との差異に起因して応力が残留し、セラミック層の変位が抑制される現象である。
(3)変位阻害力とは、電圧が印加されると、セラミック層が伸縮運動を行うが、該セラミック層は内部電極層で挟持されているため、前記セラミック層の変位が内部電極層によって阻害される現象である。
そして、内部電極層を薄層化しかつ内部電極層のセラミック層への被覆率を低下させることにより、残留応力や変位阻害力を低減することができ、変位量を向上させることができると考えられるが、内部電極を薄層化したり被覆率を低下させると、非導電部が増大するため電位降下が大きくなり、変位量が却って低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明者らは、変位量の向上を阻害する上記3つの要因、すなわち電位降下、残留応力及び変位阻害力を低減すべく鋭意研究を行ったところ、内部電極層のうち、非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xとセラミック層の厚みyとの比x/yを0.08〜0.33に制御すると共に、前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yを0.04〜0.40に制御し、かつ内部電極層のセラミック層への被覆率を60〜95%に制御することにより、電位降下による変位量の低下を最小限に抑制しつつ、残留応力や変位阻害力を低減することができ、これにより内部電極層が薄層の場合であっても変位量と信頼性の双方を向上させることが可能な積層型圧電セラミック部品を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る積層型圧電セラミック部品は、セラミック層と内部電極層とが交互に積層された積層型圧電セラミック部品において、前記内部電極層は、導電部と非導電部とからなり、前記非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xと前記セラミック層の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33であり、かつ前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であり、さらに、前記内部電極層の前記セラミック層への被覆率が60〜95%であることを特徴としている。
また、内部電極層は、セラミック層と内部電極層との間の接合強度向上等の観点から、後述するように固形分として金属粉末とセラミック粉末とを含有した導電性ペーストを使用して形成されるため、非導電部は、空隙部とセラミック粉末が充填されたセラミック部とを有することとなる。そして、本発明者らが、非導電部の構造を解析した結果、非導電部中の空隙率を60%以上とすることにより、接合強度を損なうことなく変位量のより一層の向上を図ることができることが分かった。
そこで、本発明の積層型圧電セラミック部品は、前記非導電部が、空隙部とセラミック粉末が充填されたセラミック部とからなると共に、前記空隙部が前記非導電部中の60%以上を占めることを特徴としている。
さらに、上記積層型圧電セラミック部品は、内部電極層の導電部材料の主成分として比較的安価なAgを使用した場合であっても、所望の大きな変位量を得ることができ、かつ信頼性の向上を図ることができることが分かった。
したがって、本発明の積層型圧電セラミック部品は、前記導電部は、Agを主成分とすることを特徴としている。
また、本積層型圧電セラミック部品は、セラミック層の抗電界の1/10以上の高電界でより大きな変位量を得ることができる。
すなわち、本発明の積層型圧電セラミック部品は、前記セラミック層の抗電界の1/10以上の電界で駆動されることを特徴としている。
また、本発明者らは、金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末を、その含有量が金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し20〜50重量%となるように、前記金属粉末と共に導電性ペースト中に分散させ、かつ焼成時の酸素濃度を0.1〜15体積%の低酸素濃度とすることにより、上述した内部電極層を有する積層型圧電セラミック部品を容易に製造することができるという知見を得た。
すなわち、本発明に係る積層型圧電セラミック部品の製造方法は、セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布して内部電極層となるべき所定の導電パターンを形成し、該導電パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層した後、導電パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を形成し、その後該積層体に焼成処理を施してセラミック素体を形成し、該セラミック素体の端面に外部電極を形成する積層型圧電セラミック部品において、前記導電性ペーストが、金属粉末と、該金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末とを含有すると共に、該セラミック粉末の含有量が、金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し、20〜50重量%となるように調製し、前記焼成処理を、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素雰囲気中で行なうことを特徴としている。
さらに、導電性ペーストに含有されるセラミック粉末は、焼成時にセラミックグリーンシート側にも拡散するため、特性変動を防ぐ観点からは、少なくとも主成分がセラミックグリーンシートと同一の成分組成を有する材料を使用するのが好ましい。
すなわち、本発明の積層型圧電セラミック部品の製造方法は、前記セラミック粉末は、少なくとも主成分が前記セラミックグリーンシートと同一の成分組成であることを特徴としている。
上記積層型圧電セラミック部品によれば、内部電極層が、導電部と非導電部とが混在した状態に形成されると共に、非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xとセラミック層の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33であり、かつ前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であり、さらに、内部電極層のセラミック層への被覆率が60〜95%であるので、微小かつ多数の非導電部が形成されることとなり、しかも内部電極層の厚みに対してセラミック層の厚みが適度に薄いことから、セラミック層に加わる内部電極層による残留応力や変位阻害力が低減される効果が大きくなる。そしてこれにより、電位降下による変位量低下を抑制しつつ、残留応力、及び内部電極層によるセラミック層の変位阻害力を低減することができ、したがって大きな変位量を有し、かつ良好な接合強度を有する信頼性の優れた積層型圧電セラミック部品を得ることができる。
また、前記非導電部が、空隙部とセラミック粉末が充填されたセラミック部とからなると共に、前記空隙部が前記非導電部中の60%以上を占めるので、内部電極層による残留応力や変位阻害力を効果的に低減することができ、変位量や接合強度をより一層向上させることができる。
また、前記導電部は、Agを主成分とするので、比較的安価なAgを主成分とした場合であっても、変位量と接合強度とを両立させた積層型圧電セラミック部品を得ることができる。
また、本積層型圧電セラミック部品は、前記セラミック層の抗電界の1/10以上の電界で駆動される場合により大きな変位量を得ることができる。
さらに、本発明の積層型圧電セラミック部品の製造方法は、前記導電性ペーストが、金属粉末と、該金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末とを含有すると共に、該セラミック粉末の含有量が、金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し、20〜50重量%となるように調製し、前記焼成処理を、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素雰囲気中で行なうので、微小なセラミック粉末は焼結時にセラミックグリーンシートに効果的に拡散すると共に、内部電極層中の金属成分のセラミックグリーンシート内への拡散を抑制でき、内部電極層に多数の微小な非導電部を形成することができる。特に、低酸素濃度雰囲気での焼成により、内部電極層内に形成され得る貫通孔の焼結が抑制されるので、微小な空隙部が内部電極層内に略均一に分布され、これにより被覆率が低下して変位量を向上させることができる。しかも、内部電極の被覆率低下や薄層化により導電性ペーストの使用量を削減することができるため、コストの低廉化を図ることもできる。
また、前記セラミック粉末は、少なくとも主成分が前記セラミックグリーンシートと同一の成分組成であるので、焼成時にセラミック粉末がセラミックグリーンシート側に拡散しても特性変動を防止することができる。
本発明に係る積層型圧電セラミック部品の一実施の形態を示す断面図である。 図1のB部拡大断面図である。 本発明実施例のSEM画像の一例を示す図である。 従来例のSEM画像の一例を示す図である。 積層型圧電セラミック部品の従来例を示す断面図である。
符号の説明
1 セラミック層
2 内部電極層
5 導電部
6 非導電部
6a セラミック部
6b 空隙部
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は本発明に係る積層型圧電セラミック部品としての積層圧電アクチュエータの一実施の形態を示す断面図であって、該積層圧電アクチュエータは、セラミック層1(1a〜1g)と内部電極層2(2a〜2f)とが交互に積層されて圧電セラミック素体3が形成され、さらに圧電セラミック素体3の上面又は下面から端面に架けて断面L字状のAg等の導電性材料からなる外部電極4(4a、4b)が形成されている。
すなわち、上記積層圧電アクチュエータは、内部電極2a、2c、2eの一端が一方の外部電極4bと電気的に接続され、内部電極2b、2d、2fの一端は他方の外部電極4aと電気的に接続されている。そして、積層圧電アクチュエータの分極方向は、内部電極2面に対し垂直方向とされ、一層毎に互いに逆方向に分極されている。そして、外部電極4aと外部電極4bとの間に電圧が印加されると、圧電横効果により矢印Aで示す長手方向に変位する。
図2は図1のB部拡大断面図である。尚、本実施の形態では、内部電極層2b〜2dの一部を拡大しているが、他の部分も同様の構造を有している。
すなわち、内部電極層2(2b〜2d)は、金属粉末が焼結されてなる導電部5と、金属粉末が存在しない非導電部6とからなり、さらに非導電部6は、少なくとも主成分がセラミック層1(1b〜1e)と同一の組成成分のセラミック粉末が存在するセラミック部6aと、固体の存在しない空隙部6bとを有している。尚、図中、C部に示すように、空隙部6bは必ずしも貫通している必要はない。また、例えば空隙部6bの一部にセラミック粉末が含まれていてもよい。また、図中、D部に示すように、セラミック部6aは、必ずしも内部電極層2をまたがる必要はなく、内部電極層2の一部に存在するようにしてもよい。
そして、本実施の形態では、非導電部6の断面積を円換算した場合の平均直径xとセラミック層1の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33となるように制御し、また内部電極層2のセラミック層1への被覆率が60〜95%となるように制御しており、これにより、非導電部6の大きさが微小化されて非導電部6における電位降下による変位量低下を抑制することができ、また微小な非導電部6を多数設けることにより内部電極層2の被覆率を低減することができる。そしてその結果、内部電極層2による残留応力や変位阻害力を低減することができ、積層圧電アクチュエータの変位量及び接合強度の向上を図ることができる。
比x/yは電位降下と相関関係があり、比x/yが小さくなるとセラミック層1の厚さに対して平均直径xが相対的に小さくなることから電位降下は小さくなり変位量が向上する。一方、比x/yが大きくなるとセラミック層1の厚みに対して平均直径xが相対的に大きくなることから、電位降下が大きくなり変位量が低下する。そして、前記被覆率が60%未満になると非導電部6が過剰に増加するため、電位降下が大きくなって変位量の低下を招き、またセラミック層1と内部電極層2との間の接合強度も低下して界面剥離が生じ易くなる。一方、前記被覆率が95%を超えると被覆率が過大となり、セラミック層1の伸縮運動を内部電極層2が拘束する変位阻害力が増大して変位量の低下を招く。また、共焼結時におけるセラミック層1の熱膨張率と内部電極層2の熱膨張率との差異に起因した残留応力により接合強度が低下するおそれがある。
したがって、内部電極層2のセラミック層1への被覆率を60〜95%に制御する必要がある。
また、前記比x/yを0.08〜0.33としたのは以下の理由による。
前記比x/yが0.08未満になると非導電部6の平均直径xが小さくなるため、被覆率の制御が難しく、被覆率が高くなってしまい、このためセラミック層1の内部電極層2への変位阻害力が増大して変位量の低下を招く。一方、前記比x/yが0.33を超えると非導電部6の平均直径xが大きくなるため、非導電部6に起因した電位降下の増加を招き、所望の大きな変位量を得ることができなくなる。
そこで、本実施の形態では前記非導電部6の前記平均直径xとセラミック層yとの比x/yが0.08〜0.33となるように制御している。
また、内部電極層2の厚みzとセラミック層1の厚みyとの比z/yは0.04〜0.40とするのが好ましい。
すなわち、セラミック層1の厚みyを内部電極層2の厚みzに対し薄くするほど、セラミック層1に負荷される内部電極層2による残留応力や変位阻害力が相対的に増加し、十分な変位量の増加を得ることができなくなるおそれがあり、斯かる観点からは前記比z/yを0.04以上とするのが好ましい。一方、前記比z/yが0.40を超えると内部電極層2の厚みzがセラミック層1の厚みに対して相対的に厚くなり、その結果内部電極層2の変位阻害力が大きくなるため、変位量の低下を招くおそれがある。したがって前記比z/yは0.04〜0.40とするのが好ましい。
尚、内部電極層2の厚みzは薄くなるほど、内部電極層2による残留応力や変位阻害力は低減されることから,内部電極層2の厚みzは可能な限り薄いのが望ましく、好ましくは厚みzは1〜2.4μmの範囲となるように制御するのが望ましい。
また、内部電極層2に形成された空隙部6bは、非導電部6(セラミック部6a及び空隙部6b)中の60%以上を占めるのが好ましい。
すなわち、金属粉末よりも微粒のセラミック粉末を含有した導電性ペーストを使用して内部電極層2を形成することにより、共焼結時にセラミック粉末がセラミック層1にも分散し、これによりセラミック層1と内部電極層2との接合強度を向上させることができる。しかしながら、非導電部6中の空隙部6bの割合が60%未満になると、内部電極層2中にセラミック部6aが多数形成され、このため接合強度が大きくなり過ぎて変位量の低下を招くおそれがある。したがって前記空隙部6bは、非導電部6中、60%以上を占めるのが好ましい。
また、導電部5は、Agを主成分とすることができ、例えばAgを70重量%以上含有したAg−Pdで形成することができる。
すなわち、Agを主成分として含有した内部電極層2では、Agが低融点材料のため、一般に被覆率が低下し、接合強度の低下が生じ易いが、内部電極層2の構造を上述のようにすることにより、接合強度の低下を抑制することが可能となり、比較的安価なAgを主成分とした金属粉末を使用することができ、製造コストの削減が可能となる。
また、上記積層圧電アクチュエータは、セラミック層1の抗電界の1/10以上の高電界で駆動させることにより、より一層大きな変位量を得ることができる。これは駆動電界が大きくなるほど変位量が増加するため、セラミック層1に負荷される内部電極層2による残留応力や変位阻害力を低減する効果がより顕著に現れるためである。
次に、上記積層圧電アクチュエータの製造方法について詳述する。
まず、セラミック素原料としてPb、ZrO、TiO、必要に応じてNb、NiOを所定量秤量した後、該秤量物をジルコニアボール等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入し、十分に混合粉砕する。そしてその後、得られた混合粉末を所定温度(例えば、700〜1000℃)で仮焼して仮焼物を得、該仮焼物に溶剤と分散剤とを添加して再度ボールミル内で湿式粉砕し、PZT系セラミック原料粉末を作製する。
次に、このようにして作製されたセラミック原料粉末に有機バインダや可塑剤を添加し、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、その後、ドクターブレード法等を使用して成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
一方、以下のようにして導電性ペーストを作製する。
まず、有機溶剤中に有機バインダを溶解させた有機ビヒクルを作製する。次いで、所定の比表面積(例えば1〜3m/g)を有する金属粉末を用意し、前記有機ビヒクルに前記金属粉末を混合させ、三本ロールミル等で混練し、これにより金属ペーストを得る。
次に、前記セラミック原料粉末と少なくとも主成分が同一の組成成分を有するセラミック原料を用意し、該セラミック原料をビーズ攪拌型粉砕機等の強制撹拌装置に投入して粉砕処理を施し、これにより金属粉末の比表面積S1に対し5〜20倍の比表面積S2を有するセラミック粉末(セラミック共材)を作製する。
次いで、このセラミック粉末と上記有機ビヒクルとを混合し、上記ビーズ攪拌型粉砕機等の強制撹拌装置を使用してセラミック粉末を有機ビヒクル中に十分に分散させ、これによりセラミックペーストを得る。
ここで、上述のようにセラミック粉末の比表面積S2を金属粉末の比表面積S1に対し5〜20倍となるようにしたのは以下の理由による。
すなわち、セラミック粉末の比表面積S2を金属粉末の比表面積S1に対し5倍未満とした場合は、セラミック粉末の平均粒径が大きくなって導電性ペースト中のセラミック粉末の分散性が低下し、内部電極層2の非導電部6の径が大きくなったり被覆率が低くなるため、十分な変位量や接合強度を得ることができなくなるおそれがある。一方、セラミック粉末の比表面積S2が金属粉末の比表面積S1に対し20倍を超える場合は、導電性ペースト中に含まれるセラミック粉末セラミック粉末の平均粒径が過度に細かくなり、その結果これらセラミック粉末同士が凝集してしまい、このためセラミック粉末がセラミック層中に十分に拡散せず、内部電極層2の非導電部6の径が大きくなり、変位量や接合強度の低下を招くおそれがある。
このような理由から本実施の形態では、セラミック粉末の比表面積S2を金属粉末の比表面積S1に対し5〜20倍となるようにしている。
次に、固形分(金属粉末及びセラミック粉末)中のセラミック粉末の含有量が20〜50重量%となるように上記金属ペーストと上記セラミックペーストとを三本ロールミル等で混練し、これにより導電性ペーストが作製される。
このようにセラミック粉末の含有量を固形分に対し、20〜50重量%とすることにより、焼成時にセラミック粉末をセラミックグリーンシート側に効果的に拡散することができる。
尚、セラミック粉末の含有量を20〜50重量%としたのは、セラミック粉末の含有量が20重量%未満になると、内部電極層中の非導電部の径が大きくなって被覆率が低下し、60%以上の被覆率を確保するのが困難となる。また前記含有量が50重量%を超えるとセラミック層1に拡散しなかったセラミック粉末がセラミック部6aを形成するため接合強度が過度に大きくなり、このため変位量の低下を招くおそれがあるからである。
次いで、上述した導電性ペーストを使用し、上記セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施して導電パターンを形成する。
尚、本実施の形態では、導電性ペーストに含まれるセラミック粉末は、少なくとも主成分が、セラミックグリーンシートを形成するセラミック材料と同一の組成成分を有するセラミック原料を使用しているが、必ずしも主成分が同一の組成成分である必要はない。しかしながら、導電性ペーストに含まれるセラミック粉末は、焼成時にセラミック層側に拡散するため、特性変動を防止する観点から、少なくとも主成分が、セラミックグリーンシートを形成するセラミック材料と同一の組成成分を有するセラミック原料を使用するのがより好ましい。
次に、これら電極パターンがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートを積層した後、電極パターンがスクリーン印刷されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を作製する。次いで、この積層体を所定寸法に切断してアルミナ製の匣(さや)に収容し、所定温度(例えば、200〜500℃)で脱バインダ処理を行った後、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素濃度雰囲気下、所定温度(例えば、950〜1100℃)で焼成処理を施し、セラミック層1と内部電極層2とが交互に積層された圧電セラミック素体3を形成する。
ここで、焼成雰囲気を上記低酸素雰囲気としたのは以下の理由による。
金属粉末よりも大きな比表面積を有するセラミック粉末をセラミック層中に積極的に拡散させることにより、微小な非導電部6を内部電極層2中に多数形成することができるが、さらに、大気中よりも低い酸素濃度0.1〜15体積%の酸素濃度雰囲気で焼成することにより、内部電極中の金属成分がセラミック層へ拡散することを防ぐと共に、非導電部6中の空隙部6bが焼結によって閉塞状態となるのを防止することができ、その結果、微小な空隙部6bを非導電部6全体に対し60%以上とすることができ、これにより上述した内部電極層2を有する積層圧電アクチュエータの製造が可能となる。
さらに、低酸素雰囲気で焼成した場合、内部電極層2の昇降温時の酸化膨張や還元収縮を抑制できるため、セラミック層1と内部電極層2との界面での接合強度を強固に維持することが可能となる。
そして、このような接合強度の強化と微小な非導電部6の形成との相乗効果により、より一層の変位量及び信頼性の向上した積層圧電アクチュエータを得ることが可能となる。
また、酸素濃度を0.1〜15体積%としたのは、酸素濃度が0.1体積%未満となると、被覆率が低下する傾向があり、空隙部6bの制御が難しくなるからであり、一方酸素濃度が15体積%を超えると焼成雰囲気が大気に近くなるため、空隙部6bが焼結により塞がれ易くなるため、上述した所望の内部電極層2を形成することができなくなり、変位量の向上を図ることができず、また接合強度の向上を図ることができなくなるからである。
尚、上述した低酸素雰囲気では、金属粉末としてPdを含有したAg−Pd粉末を使用した場合、Pdの酸化還元反応自体を抑制することができるため、昇降温時のPdの体積変化による接合強度の劣化を抑制することができ、これにより変位量の低下を招くことなく、接合強度のより一層の向上を図ることができる。
そしてこの後、圧電セラミック素体3の端面所定領域にAg等からなる外部電極用同導電性ペーストを塗布し、所定温度(例えば、750℃〜850℃)で焼付け処理を行って外部電極4a、4bを形成し、さらに所定の分極処理を行ない、これにより積層圧電アクチュエータが製造される。尚、外部電極4a、4bは、密着性が良好であればよく、例えばスパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成方法で形成してもよい。
このように本実施の形態では、金属粉末の比表面積S1の5〜20倍の比表面積S2を有するセラミック粉末を固形分(金属粉末及びセラミック粉末)に対し20〜50重量%含有した導電性ペーストを使用し、酸素濃度が0.1〜15体積%の低酸素濃度雰囲気で焼成処理を施しているので、内部電極層2は、導電部5に非導電部6が点在した状態に形成されると共に、非導電部6の平均直径xとセラミック層2の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33であり、内部電極層2の被覆率が60〜95%であり、さらに内部電極層2の厚みzとセラミック層1の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であり、しかも非導電部6中、空隙部6bが60%以上を占めるように内部電極層が形成されているので、変位量が大きくしかもセラミック層1と内部電極層2との間の接合強度が強く信頼性の優れた積層圧電アクチュエータを製造することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、金属ペーストとセラミックペーストとを混練させて導電性ペーストを作製しているが、金属粉末とセラミック共材とを所定量の配合比で混合させた後、有機ビヒクルと混練させて導電性ペーストを作製するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では積層型圧電セラミック部品として積層圧電アクチュエータを例に説明したが、高い圧電定数が要求される積層圧電発音体や積層圧電センサに好適であり、また、積層構造、素子形状、変位や力の方向、分極方向、電圧印加方向も上記実施の形態に限定されるものでもない。
さらに、上記実施の形態では、セラミック素原料としてPb等の酸化物を使用したが、炭酸塩や水酸化物等を使用することもできるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、セラミック素原料としてPb、ZrO、TiO、NiO、Nbを所定量秤量した後、該秤量物をジルコニア等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入し、24時間混合粉砕する。そしてその後、得られた混合粉末を温度900℃で仮焼して仮焼物を得た。次いでこの後、該仮焼物に溶剤と分散剤とを添加して再度ボールミルで24時間湿式粉砕し、組成式0.25Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−0.35PbZrO3−0.40PbTiO3で表されるPZT系セラミック原料粉末を作製した。
次に、上記セラミック粉末原料に対し、有機バインダとしてのエチルセルロース樹脂や分散剤としてのポリカルボン酸塩溶液を添加し、溶媒として水を用いてスラリーを作製し、ドクターブレード法を使用し、セラミックグリーンシートを作製した。尚、セラミックグリーンシートの厚みは、焼結後のセラミック層の厚みyが20μm又は40μmとなるように成形加工した。
次に、AgとPdとの重量比Ag/Pdが7/3〜9/1に配合された比表面積が1〜3m/gの金属粉末と、前記PZT系セラミック原料粉末と同一組成成分を有する比表面積が15〜40m/gのセラミック粉末(セラミック共材)を、セラミック共材の含有量が固形分(金属粉末及びセラミック共材)の総計に対し0〜50重量%となるように配合し、該配合物をエチルセルロース樹脂(有機バインダ)と共にテルペン系溶剤(有機溶媒)中に分散させ、これにより、導電性ペーストを作製した。
次に、焼結後の内部電極層の厚みzが1〜3μmとなるように塗布膜の厚みを調整しながら、上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷した。そして、これらスクリーン印刷が施されたセラミックグリーンシートを所定枚数積層した後、スクリーン印刷されていないセラミックグリーンシートで挟み、圧着して積層体を作製した。次いで、これらの積層体をアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、焼成温度が960℃〜1040℃、酸素濃度が0.3〜21体積%の焼成雰囲気で8時間焼成処理を施し、これにより各セラミック層の厚みyが20μm又は40μmで、総厚みが0.1〜0.6mmのセラミック素体を作製した。尚、焼成時の酸素濃度はNガスとOガスにより調整した。
続いてセラミック素体を縦3mm、横13mmに切断し、Ni−Cuをターゲットとしてスパッタリング処理を施し、セラミック素体の上下両面から側面部に架けてNi−Cu膜を形成し、さらにAgをターゲットとしてスパッタリング処理を施し、Ni−Cu膜上にAg膜を成膜し、これによりNi−Cu膜及びAg膜の2層構造からなる外部電極を形成した。
そしてその後、60℃の絶縁オイル中で、3kV/mmの電界を負荷して20分間分極処理を施し、これにより試料番号1〜24の積層圧電素子を作製した。
次に、試料番号1〜24の圧電定数|d31|及び引張強度Xを測定し、それぞれ積層圧電素子の変位量及び接合強度、すなわち信頼性を評価した。
ここで、圧電定数|d31|は、今回使用したセラミック材料の抗電界である1000V/mmの1/2、すなわち500V/mmの電界を印加したときの変位量を接触式変位計で測定し、算出した。
また、引張強度Xは、積層圧電素子の両主面に金属片をそれぞれ接着し、該金属片を引っ張り試験機で引っ張り、セラミック層と内部電極層との接合面が剥離したときの値を求めた。尚、本実施例では、引張強度で内部電極層とセラミック層との接合強度を評価した。
また、試料番号1又は試料番号12を基準とし、圧電定数の増加率Δ|d31|及び引張強度の増加率ΔXを算出した。
次に、セラミック層と内部電極層との接合面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、内部電極の被覆率、非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xを画像解析により求めて、比x/y、及び比z/yを算出した。
表1は試料番号1〜24の積層圧電素子の作製条件を示し、表2はその測定結果を示している。
Figure 2006068245
Figure 2006068245
試料番号1〜11はセラミック層の厚みyが40μmの場合である。このうち試料番号1は、内部電極層中にセラミック共材が含有されておらず、しかも酸素濃度が21体積%の大気雰囲気で焼成処理を行なった従来例であり、この試料番号1と試料番号2〜10とを対比することにより、各試料番号の変位量及び接合強度を評価することができる。
すなわち、試料番号6は、比x/yが0.37と大きく、非導電部の平均直径xが14.7μmと大きいため、被覆率が49%に低下し、このため圧電定数|d31|が324pC/Nと低く、試料番号1に対し1.5%も低下している。また、被覆率が49%と低いことから、引張強度Xも7.9MPaと低く、試料番号1に対し引張強度Xは7.1%も低下している。
試料番号10は、比x/yが0.41と大きく、非導電部の平均直径xが16.5μmと大きいため、被覆率が45%に低下し、このため圧電定数|d31|が315pC/Nと低く、試料番号1に対し4.3%も低下している。また、被覆率が45%と低いことから、引張強度Xも7.4MPaと低く、試料番号1に対し12.9%も低下している。
これに対して試料番号2〜5、7〜9、及び11は、比x/yが0.08〜0.33、被覆率が60〜94%であるので、圧電定数|d31|は338〜362pC/Nと大きく、試料番号1に対し2.7〜10.0%も増加しており、変位量が向上することが分かった。また、引張強度Xも8.5〜9.8MPaであり、試料番号11は試料番号1と引張強度Xは同等であるが、試料番号2〜5及び7〜9は、試料番号1に対し1.2〜21.2%も増加しており、接合強度が向上することが分かった。
試料番号12〜24はセラミック層の厚みyが20μmの場合である。このうち試料番号12は、内部電極層中にセラミック共材が含有されておらず、しかも酸素濃度が21体積%の大気雰囲気で焼成処理を行なった従来例であり、この試料番号12と試料番号13〜24とを対比することにより、各試料番号の変位量及び接合強度を評価することができる。
すなわち、試料番号17は、比x/yが0.65と大きく、非導電部の平均直径xが13.1μmと大きいため、被覆率が48%となって試料番号12に対し0.6%も低く、圧電定数|d31|も313pC/Nと低く、しかも、引張強度Xも8.4MPaとなって試料番号12に対し4.5%も低く、接合強度が低下している。これは金属粉末の比表面積S1に対するセラミック共材の比表面積S2の比S2/S1が「2」と小さく、したがってセラミック共材の平均粒径が大きいことから、該セラミック共材の分散性が低下し、その結果、上述のように内部電極層の非導電部の径が拡大して被覆率が低下し、諸特性の悪化を招いたものと思われる。
試料番号20は、比x/yが0.73と大きく、非導電部の平均直径xが14.7μmと大きいため、被覆率が48%に低下し、このため圧電定数|d31|が309pC/Nと低く、試料番号12に対し1.9%も低下している。また、被覆率が48%と低いことから、引張強度Xも8.0MPaと低く、試料番号12に対し引張強度Xは9.1%も低下している。
試料番号23は、比x/yが0.85と大きく、非導電部の平均直径xが17.0μmと大きいため、被覆率が41%に低下し、このため圧電定数|d31|が295pC/Nと低く、試料番号12に対し6.3%も低下している。また、被覆率が41%と低いことから、引張強度Xも7.1MPaと低く、試料番号12に対し19.3%も低下している。
これに対して試料番号13〜16、18、19、21、22、及び24は、比x/yが0.16〜0.33、被覆率が61〜95%であるので、圧電定数|d31|は324〜357pC/Nと大きく、試料番号12に対し2.9〜13.3%も増加しており、変位量が向上することが分かった。また、引張強度Xも8.8〜10.8MPaであり、試料番号24は試料番号12と引張強度Xは同等であるが、試料番号13〜16、18、19、21、及び22は、試料番号12に対し1.1〜22.7%も増加しており、接合強度が向上することが分かった。
また、表1から明らかなように、被覆率が60〜90%の範囲では、圧電定数の増加率Δ|d31|は5.8〜13.3%と大幅に増加し、また、被覆率が75〜95%の範囲で引張強度の増加率ΔXは4.5〜22.7%と大幅に増加することが分かった。
図3は試料番号19(本発明実施例)のSEM画像であり、黒く見えるのが非導電部である。また図4は試料番号12(従来例)のSEM画像である。
図4で示すように従来例は、セラミック層が内部電極層で完全に被覆されているのに対し、図3に示す本発明実施例は、非導電部が露出して均一に分布していることが観察され、したがって、セラミック共材を含有した導電性ペーストを使用し、低酸素濃度雰囲気で焼成することにより、内部電極の構造(被覆率及び非導電部の平均直径x)を制御できることが分かった。
まず、〔実施例1〕と同様の方法・手順で作製したセラミックグリーンシートを用意した。
また、AgとPdとの重量比Ag/Pdを7/3又は8/2に配合し、セラミック共材を固形分の総計に対し0重量%又は30重量%となるように配合した以外は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極用導電性ペーストを作製した。
次に、焼結後の内部電極層の厚みzが2.4μmとなるように上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷し、その後、〔実施例1〕と同様の方法・手順で積層体を作製した。次いで、これら積層体をアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、焼成温度が1000℃又は1040℃で、酸素濃度が0.5体積%又は21体積%の焼成雰囲気で8時間焼成処理を施し、これにより各セラミック層の厚みyが6〜100μmで、総厚みが0.1〜0.6mmのセラミック素体を作製し、その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号31〜41の積層圧電素子を作製した。
次に、〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号31〜41の圧電定数|d31|、その増加率Δ|d31|、引張強度X、その増加率ΔXを求め、各積層圧電素子の変位量及び接合強度、すなわち信頼性を評価した。また、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極の被覆率、比x/y、及び比z/yを算出した。
表3は試料番号31〜41の積層圧電素子の作製条件を示し、表4はその測定結果を示している。
Figure 2006068245
Figure 2006068245
表3、4中、**印を付した試料番号31、33、35、37及び39は、セラミック層の厚みyが6〜100μmの範囲で異なるが、内部電極層がセラミック共材を含有せずAg/Pdが7/3に配合された金属粉末からなり、また大気雰囲気(酸素濃度:21体積%)下、温度1040℃で焼成した場合であり、従来例を示している。
また、試料番号32、34、36、38及び40は、上記従来例に対応する本発明実施例であり、内部電極層に30重量%のセラミック共材を含有し、金属粉末をAg/Pdが8/2となるように配合し、また酸素濃度が0.5体積%の低酸素濃度雰囲気下、温度1000℃で焼成した場合を示している。
従来例(**印)と本発明実施例との対比から明らかなように、本発明実施例は内部電極層中に30重量%のセラミック共材を含有し、酸素濃度が0.5体積%の低酸素濃度雰囲気で焼成しているので、比x/yが0.08〜0.33であって被覆率が80〜94%に低減されているため、それぞれの従来例に対し圧電定数|d31|は0.9〜8.4%増加しており変位量が向上することが分かった。また、引張強度Xも5.0〜7.8%増加しており、接合強度が向上することが分かった。
また、試料番号41は、内部電極層中に30重量%のセラミック共材を含有し、酸素濃度が0.5体積%の低酸素濃度雰囲気で焼成しているものの、比x/yが0.38であり、0.33を超えており、したがって被覆率が97%と大きくても非導電部の平均直径xが大きくなるため、非導電部に起因した電位降下が大きくなり、圧電定数|d31|が270pC/Nとなって従来例よりも低下し、所望の大きな変位量を到底得ることができないことが分った。
まず、〔実施例1〕と同様の方法・手順で作製したセラミックグリーンシートを用意した。
また、AgとPdとの重量比Ag/Pdを7/3又は9/1に配合し、セラミック共材を固形分の総計に対し0重量%又は40重量%となるように配合した以外は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極用導電性ペーストを作製した。
次に、焼結後の内部電極層の厚みzが2μm又は3μmとなるように上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷し、その後、〔実施例1〕と同様の方法・手順で積層体を作製した。次いで、これら積層体をアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、焼成温度が960℃又は1040℃で、酸素濃度が0.5体積%又は21体積%の焼成雰囲気で8時間焼成処理を施し、これにより各セラミック層の厚みyが20μmで、総厚みが0.1〜0.6mmのセラミック素体を作製し、その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号51〜60の積層圧電素子を作製した。
次に、〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号51〜60の圧電定数|d31|を駆動電界を変更して測定し、またその増加率Δ|d31|、引張強度X、その増加率ΔXを求め、各積層圧電素子の変位量及び接合強度、すなわち信頼性を評価した。また、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極の被覆率、比x/y、及び比z/yを算出した。
表5は試料番号51〜60の積層圧電素子の作製条件を示し、表6はその測定結果を示している。
Figure 2006068245
Figure 2006068245
表5、6中、**印を付した試料番号51、53、55、57及び59は、駆動電界が1〜1000V/mmの範囲で異なるが、内部電極層がセラミック共材を含有せずAg/Pdが7/3に配合された金属粉末からなり、また大気雰囲気(酸素濃度:21体積%)下、温度1040℃で焼成した場合であり、従来例を示している。
また、試料番号52、54、56、58及び60は、上記従来例に対応する本発明実施例であり、内部電極層に40重量%のセラミック共材を含有し、金属粉末は、Ag/Pdが9/1に配合され、また酸素濃度が0.5体積%の低酸素濃度雰囲気下、温度960℃で焼成した場合を示している。
従来例(**印)と本発明実施例との対比から明らかなように、本発明実施例は内部電極層中に40重量%のセラミック共材を含有し、酸素濃度が0.5体積%の低酸素濃度雰囲気で焼成しているので、比x/yが0.30であって被覆率が82%に低減されており、それぞれの従来例に対し圧電定数|d31|は2.9〜10.7%増加しており変位量が向上することが分かった。また、引張強度Xも3.4%増加しており、接合強度が向上し、信頼性の向上することが分かった。
また、本実施例で使用しているセラミック層の抗電界は1000V/mmであるが、この抗電界の1/10以上の電界、すなわち100〜1000V/mmで駆動させた場合(試料番号54、56、58及び60)は、圧電定数|d31|が5.0〜10.7%と大幅に増加しており、また引張強度の増加率ΔXは同等であるので、セラミック層の抗電界の1/10以上の高電界で駆動させることにより、接合強度(信頼性)を損なうことなくより一層大きな変位量を得ることができることが分かった。
まず、〔実施例1〕と同様の方法・手順で作製したセラミックグリーンシートを用意した。
また、AgとPdとの重量比Ag/Pdを7/3又は8/2に配合し、セラミック共材を固形分の総計に対し0重量%又は25重量%となるように配合した以外は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極用導電性ペーストを作製した。
次に、焼結後の内部電極層の厚みzが2.4μmとなるように上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷し、その後、〔実施例1〕と同様の方法・手順で積層体を作製した。次いで、これら積層体をアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、焼成温度が1040℃で、酸素濃度が0.1〜21体積%の焼成雰囲気で8時間焼成処理を施し、これにより各セラミック層の厚みyが20μmで、総厚みが0.1〜0.6mmのセラミック素体を作製し、その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号61〜67の積層圧電素子を作製した。
次に、〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号61〜67の圧電定数|d31|、その増加率Δ|d31|、引張強度X、その増加率ΔXを求め、各積層圧電素子の変位量及び接合強度、すなわち信頼性を評価した。また、〔実施例1〕と同様の方法・手順で内部電極の被覆率、比x/y、及び比z/yを算出した。また、内部電極層をSEMで観察し画像解析して非導電部中の空隙率を求めた。
表7は試料番号61〜67の積層圧電素子の作製条件を示し、表8はその測定結果を示している。
Figure 2006068245
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表7、表8中、**印を付した試料番号61は、内部電極層がセラミック共材を含有せずAg/Pdが7/3に配合された金属粉末からなり、また大気雰囲気(酸素濃度:21体積%)下、温度1040℃で焼成した場合であり、従来例を示している。
これに対し試料番号62〜67は、内部電極層中に25重量%のセラミック共材を含有し、酸素濃度が0.5〜15体積%の低酸素濃度雰囲気で焼成しているので、比x/yが0.18〜0.27であって被覆率が79〜94%に低減されており、また非導電部の空隙率も62〜95%となりセラミック部の過剰な形成が抑制されており、その結果、従来例に対し圧電定数|d31|は2.5〜9.2%と増加し、引張強度Xも1.1〜9.2%と増加し、変位量及び接合強度(信頼性)が向上することが分かった。
また、酸素濃度が低くなるに伴い圧電定数の増加率Δ|d31|が増大し、変位量がより一層向上することも分かった。
本発明は、積層圧電アクチュエータや積層圧電発音体等の積層型圧電セラミック部品の製造方法に関する。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、内部電極層が薄層であっても、大きな変位量を有し、かつ接合強度の優れた積層型圧電セラミック部品の製造方法を提供することを目的とする。
そしてそのためには、金属粉末の5〜20倍の比表面積を有する微小なセラミック粉末を、その含有量が金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し20〜50重量%となるように、前記金属粉末と共に導電性ペースト中に分散させ、かつ焼成時の酸素濃度を0.1〜15体積%の低酸素濃度として製造する必要があるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る積層型圧電セラミック部品の製造方法は、セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布して内部電極層となるべき所定の導電パターンを形成し、該導電パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層した後、導電パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を形成し、その後前記積層体に焼成処理を施してセラミック層と内部電極層とが交互に積層されたセラミック素体を形成し、該セラミック素体の端面に外部電極を形成する積層型圧電セラミック部品の製造方法において、前記導電性ペーストが、金属粉末と、該金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末とを含有すると共に、該セラミック粉末の含有量が、金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し、20〜50重量%となるように調製し、前記焼成処理を、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素雰囲気中で行ない、前記内部電極層が導電部と非導電部とを有するように該内部電極層を形成することを特徴としている。
また、導電性ペーストに含有されるセラミック粉末は、焼成時にセラミックグリーンシート側にも拡散するため、特性変動を防ぐ観点からは、少なくとも主成分がセラミックグリーンシートと同一の成分組成を有する材料を使用するのが好ましい。
すなわち、本発明の積層型圧電セラミック部品の製造方法は、前記セラミック粉末は、少なくとも主成分が前記セラミックグリーンシートと同一の成分組成であることを特徴としている。
また、本発明の積層型圧電セラミック部品の製造方法は、前記非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xと前記セラミック層の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33となるように前記非導電部を形成し、さらに前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であって前記内部電極層の前記セラミック層への被覆率が60〜95%となるように前記内部電極層を形成することを特徴としている。
また、内部電極層は、セラミック層と内部電極層との間の接合強度向上等の観点から、上述したように固形分として金属粉末とセラミック粉末とを含有した導電性ペーストを使用して形成されているため、非導電部は、空隙部とセラミック粉末が充填されたセラミック部とを有することとなる。そして、本発明者らが、非導電部の構造を解析した結果、非導電部中の空隙率を60%以上とすることにより、接合強度を損なうことなく変位量のより一層の向上を図ることができることが分かった。
すなわち、本発明の積層型圧電セラミック部品の製造方法は、前記非導電部は、空隙部とセラミック粉末で充填されたセラミック部とを有し、前記空隙部が前記非導電部中の60%以上を占めるように前記非導電部を形成することを特徴としている。
上記積層型圧電セラミック部品の製造方法によれば、前記導電性ペーストが、金属粉末と、該金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末とを含有すると共に、該セラミック粉末の含有量が、金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し、20〜50重量%となるように調製し、前記焼成処理を、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素雰囲気中で行ない、前記内部電極層が導電部と非導電部とを有するように該内部電極層を形成するので、微小なセラミック粉末は焼結時にセラミックグリーンシートに効果的に拡散すると共に、内部電極層中の金属成分のセラミックグリーンシート内への拡散を抑制でき、内部電極層に多数の微小な非導電部を形成することができる。特に、低酸素濃度雰囲気での焼成により、内部電極層内に形成され得る貫通孔の焼結が抑制されるので、微小な空隙部が内部電極層内に略均一に分布され、これにより被覆率が低下して変位量を向上させることができる。しかも、内部電極の被覆率低下や薄層化により導電性ペーストの使用量を削減することができるため、コストの低廉化を図ることもできる。
また、前記セラミック粉末は、少なくとも主成分が前記セラミックグリーンシートと同一の成分組成であるので、焼成時にセラミック粉末がセラミックグリーンシート側に拡散しても特性変動を防止することができる。
また、前記非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xと前記セラミック層の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33となるように前記非導電部を形成し、さらに前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であって前記内部電極層の前記セラミック層への被覆率が60〜95%となるように前記内部電極層を形成するので、微小かつ多数の非導電部が形成されることとなり、しかも内部電極層の厚みに対してセラミック層の厚みが適度に薄いことから、セラミック層に加わる内部電極層による残留応力や変位阻害力が低減される効果が大きくなる。そしてこれにより、電位降下による変位量低下を抑制しつつ、残留応力、及び内部電極層によるセラミック層の変位阻害力を低減することができ、したがって大きな変位量を有し、かつ良好な接合強度を有する信頼性の優れた積層型圧電セラミック部品を得ることができる。
また、前記非導電部は、空隙部とセラミック粉末で充填されたセラミック部とを有し、前記空隙部が前記非導電部中の60%以上を占めるように前記非導電部を形成するので、内部電極層による残留応力や変位阻害力を効果的に低減することができ、変位量や接合強度をより一層向上させることができる積層型圧電セラミック部品を得ることができる。

Claims (6)

  1. セラミック層と内部電極層とが交互に積層された積層型圧電セラミック部品において、
    前記内部電極層は、導電部と非導電部とからなり、前記非導電部の断面積を円換算した場合の平均直径xと前記セラミック層の厚みyとの比x/yが0.08〜0.33であり、かつ前記内部電極層の厚みzと前記セラミック層の厚みyとの比z/yが0.04〜0.40であり、
    さらに、前記内部電極層の前記セラミック層への被覆率が60〜95%であることを特徴とする積層型圧電セラミック部品。
  2. 前記非導電部が、空隙部とセラミック粉末が充填されたセラミック部とからなると共に、前記空隙部が前記非導電部中の60%以上を占めることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電セラミック部品。
  3. 前記導電部は、Agを主成分とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層型圧電セラミック部品。
  4. 前記セラミック層の抗電界の1/10以上の電界で駆動されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の積層型圧電セラミック部品。
  5. セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布して内部電極層となるべき所定の導電パターンを形成し、該導電パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層した後、導電パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を形成し、その後前記積層体に焼成処理を施してセラミック素体を形成し、該セラミック素体の端面に外部電極を形成する積層型圧電セラミック部品において、
    前記導電性ペーストが、金属粉末と、該金属粉末の5〜20倍の比表面積を有するセラミック粉末とを含有すると共に、該セラミック粉末の含有量が、金属粉末及びセラミック粉末の総計に対し、20〜50重量%となるように調製し、
    前記焼成処理を、酸素濃度が0.1〜15体積%の酸素雰囲気中で行なうことを特徴とする積層型圧電セラミック部品の製造方法。
  6. 前記セラミック粉末は、少なくとも主成分が、前記セラミックグリーンシートと同一の成分組成であることを特徴とする請求項5記載の積層型圧電セラミック部品の製造方法。
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