JP4992192B2 - 圧電磁器の製造方法及び圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子等の圧電体に用いられる圧電磁器の製造方法及び圧電素子に関するものである。
近年、圧電素子を応用した装置として、圧電体と内部電極とを交互に積み重ねてなる積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータが盛んに開発されている。圧電体は、例えばPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器により形成される。このような圧電アクチュエータを製造する場合は、上記の圧電磁器からなるグリーンシートに内部電極を形成し、この内部電極が形成されたグリーンシートを複数積層した後、各グリーンシートと各内部電極とを一体焼成する。
圧電アクチュエータは、小型であり、小さな電界で大きな変位が得られるという利点がある。しかし、従来より知られている圧電磁器では、1200℃以上の温度で焼成を行うため、内部電極を形成する金属材料としては、そのような高温に耐え得るパラジウム(Pd)等を用いる必要があった。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧電材料からなる圧電体を有する圧電素子に好適な電極材料の一つとしては、銀・パラジウム合金(Ag−Pd合金)が知られている。ただし、この材料では、Pdの含有量が多いと、焼成中にPdが還元反応を起こし、素子中のクラックや内部電極の剥離等が生じてしまう。また、Pdは高価な貴金属であるため、Pdの含有量が多いと、製造コストが高くなってしまうという問題もある。これらの問題を解消するためには、Pdの含有量を低くする必要があり、それには圧電磁器の焼成温度をできるだけ低くする必要がある。
圧電磁器の焼成温度を低下させる方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、複数種類の原料粉体を混合し、この混合粉体を仮焼成した後に、平均粒子径が所定値以下になるように混合粉体を微粉砕化するという手法がある。
特開平7−277822号公報
しかしながら、上記従来技術においては、仮焼成後の圧電磁器成形体を本焼成したときに、圧電磁器成形体毎に焼成温度が異なる等、圧電磁器成形体の焼結性のばらつきが生じるという問題があった。また、混合粉体を仮焼成した後に微粉砕化するだけでは、内部電極としてPdの含有量の少ない金属が使用可能となる程の焼成温度の低減には至らなかった。
本発明の目的は、圧電磁器の焼成温度を十分に且つ確実に低下させ、圧電磁器の焼結性を安定化させることができる圧電磁器の製造方法及び圧電素子を提供することである。
本発明者らは、Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器の焼結性について鋭意検討を重ねた結果、出発原料の一つであるZrOの水溶媒中でのゼータ電位が圧電磁器の焼成温度に影響を与えていることを、試行錯誤の末に見出した。具体的には、ZrOの水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であると、圧電磁器の焼成温度が安定して所定温度以下に抑えられることが分かった。本発明は、そのような検討結果に基づいて完成させたものである。
即ち、本発明は、少なくともPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器の製造方法であって、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して、Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器を形成することを特徴とするものである。なお、ここでいう圧電磁器は、固まり状のものに限らず、粉体状等のものも含んでいる。
このように出発原料の一つであるZrOとして水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上のものを使用することにより、複数種類の出発原料を合成して圧電磁器を形成するときに、ZrOが他の出発原料と混ざりやすくなるため、焼成に対する反応性の良い圧電磁器が得られると考えられる。これにより、圧電磁器の焼成温度を十分に且つ確実に低くし、圧電磁器の焼結性の安定化に寄与させることができる。
好ましくは、複数種類の出発原料を合成する際、複数種類の出発原料を混合して仮焼成する。この場合には、仮焼成時に異なる物質同士が単一相を生成するため、これに伴って、その後の圧電磁器の焼成(本焼成)においても焼結性が良くなる。また、予め混合原料の仮焼成を行っておくことで、圧電磁器の本焼成時に、不都合な反応が起こりにくくなると共に、圧電磁器の収縮率制御が行いやすくなるため、所望形状の焼結体が確実に得られる。
また、本発明は、圧電体と電極とを積層してなる圧電素子であって、圧電体は、少なくともPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器により形成され、Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器は、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して形成されていることを特徴とするものである。
このように圧電体を形成するPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器は、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料から形成されるので、圧電素子の製造工程において、上述したように圧電磁器の焼成温度を十分に且つ確実に低くし、圧電磁器の焼結性の安定化に寄与させることができる。
本発明によれば、圧電磁器の焼成温度を十分に且つ確実に低下させ、圧電磁器の焼結性を安定化させることができる。これにより、例えば本発明に係わる圧電磁器を用いて積層型圧電素子を作製する場合には、積層型圧電素子の内部電極として、高価なPdの含有量の少ない金属材料を使用できるので、製造コストを抑えることができる。また、素子の焼成時にPdの還元反応が起こりにくくなるため、素子中のクラックや電極の剥離等の発生を防止することができる。さらに、圧電磁器の焼成温度を低くできるので、素子焼成時の省電力化、使用する炉材や焼成道具材の長寿命化、焼成道具材の耐熱性低減による道具材の低コスト化等を図ることもできる。
以下、本発明に係わる圧電磁器の製造方法及び圧電素子の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる圧電素子の一実施形態として単板型圧電素子を示す斜視図である。同図において、本実施形態の単板型圧電素子1は、圧電体2と、この圧電体2を挟むように圧電体2の両面に形成された電極3A,3Bとを備えている。
圧電体2は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電セラミック材料で形成されている。なお、PZTの組成としては、例えばPb 0.99[(Zn1/3 Nb2/3)0.1 Ti 0.44 Zr 0.46]O3等が挙げられる。電極3A,3Bは、Ag、Au及びCuのいずれかを主成分とする導電材料で形成されている。電極3A,3B間に所定の電圧を印加すると、これらの電極3A,3Bに挟まれた圧電体2に電界が生じ、圧電体2が変位(伸縮動作)する。
このような単板型圧電素子1の製造工程を図2に示す。同図において、単板型圧電素子1を製造する場合は、まず出発原料としてPbO、TiO、ZrO、ZnO、Nbの粉体を用意し、これらの出発原料を所定量となるように秤量する(手順11)。
このとき、ZrOとしては、水溶媒中でのゼータ電位が+10mV以上であるものを使用する。「ゼータ電位」とは、液体中に分散された粒子の分散安定性の指標として用いられるものである。ゼータ電位の絶対値が増加すると、粒子間の反発が強くなり、粒子の分散安定性が高くなり、ゼータ電位がゼロに近くなると、粒子間の反発が弱くなり、粒子が凝集しやすくなる。ZrO粉体のゼータ電位は、ZrO粉体の焙焼温度等の製造条件を変えることで適宜設定可能である。
また、使用するZrOの粉体特性しては、他の原料との反応性を良好にするという観点から、BET比表面積が20〜50m/gであり、平均粒子径が1μm以下であるのが望ましい。
次に、安定化ジルコニアボールをメディアに用いたボールミルによって、上記の複数種類の出発原料の湿式混合を24時間行う(手順12)。続いて、混合された原料を乾燥させる(手順13)。そして、混合された原料の仮焼成を例えば800℃程度の温度で2時間程度実施する(手順14)。これにより、Pb、Zr、Ti元素を含有したペロブスカイト構造を有する複合型酸化物の圧電磁器組成物が得られる。続いて、ボールミルにより圧電磁器組成物の湿式粉砕を実施し(手順15)、これを乾燥させる(手順16)。これにより、圧電磁器粉体が得られる。
続いて、その圧電磁器粉体に対してポリビニールアルコール系バインダを加えて造粒し(手順17)、これを角板状に成形して圧電磁器成形体を得る(手順18)。続いて、その圧電磁器成形体をセッターに載せ、圧電磁器成形体の脱脂(脱バインダ)を大気雰囲気中で行う(手順19)。そして、圧電磁器成形体をセッターと共にマグネシア(MgO)製の密閉容器に入れ、圧電磁器成形体の焼成(本焼成)を例えば980℃程度の温度で2時間程度実施する(手順20)。これにより、焼結体としての圧電磁器素体(圧電体)2が得られる。
続いて、圧電磁器素体2を所望の高さとなるように加工し、焼付等により圧電磁器素体2の両面にAgの電極3A,3Bを形成する(手順21)。続いて、120℃程度のシリコーン油中において素子厚み方向に対する電界強度が3kV/mmとなるような電圧を素子に15分程度印加することにより、分極処理を実施する(手順22)。これにより、単板型圧電素子1が完成する。
このような単板型圧電素子1の製造工程に際し、出発原料の一つであるZrOとして、水溶媒中でのゼータ電位が異なるものを数種類用意して素子を作製し、焼成温度(焼結温度)の低減が可能な条件を探した。このとき、単板型圧電素子の外形寸法は、縦12mm×横3mm×高さ1mmとした。圧電体を形成する圧電材料としては、組成がPb 0.99[(Zn1/3 Nb2/3)0.1 Ti 0.44 Zr0.46]O3(前述)であるものを使用した。なお、ゼータ電位の値の異なるZrO粉体は、上述したようにZrOの焙焼温度等を変えることにより用意できる。
ZrOのゼータ電位ζは、溶媒を水とした時の電気移動度を測定し、その測定値から下記のSmoluchuskiの式を用いて求められる。なお、電気移動度の測定は、室温(25℃程度)下で行っている。
U=εζ/4πη(U:電気移動度、ε:溶媒の誘電率、η:溶媒の粘度)
使用したZrOが異なる各種の圧電磁器成形体を上記のように980℃程度の温度で2時間程度焼成した後、焼結体の加工前に、焼結体の磁器密度をアルキメデス法により評価した。その評価結果を図3に示す。
同図から、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを使用したときに、焼結体の磁器密度が安定して7.8kg/dm以上という良好な素子が得られることが分かった。焼結体の磁器密度が高いという事は、焼結体が十分に焼き締まっているという事であり、言い換えると焼成時に圧電磁器成形体が均一に焼けやすいという事である。圧電磁器成形体が均一に焼けやすいほど、圧電磁器成形体を低い温度で焼成可能となるため、焼結体の磁器密度が高くなるほど、圧電磁器成形体を低い温度で焼成可能となる。
また、使用したZrOが異なる各種素子の静電容量C、共振周波数fr及び反共振周波数faをインピーダンスアナライザーにより測定し、それらの測定結果から圧電歪定数d31を求めた。このとき、焼結体の磁器密度が7.8kg/dm以上の素子では、圧電歪定数d31として200pC/Nという所望の値が得られたが、磁器密度が7kg/dm以下の素子では、分極すら困難で、焼結不足により絶縁破壊が起こり、圧電特性の測定ができなかった。
以上のことから、出発原料の一つであるZrOとして、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上のものを使用することで、圧電磁器成形体を980℃以下という低温でも十分に焼成できるようになり、磁器密度の高い良好な焼結体が得られるようになると言える。その理由は、以下の通りであると考えられる。
即ち、ZrO粉体の水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であると、水溶媒中でのZrO粉体の粒子の分散状態が良くなるため、ZrO粉体を含む複数種類の出発原料を混合して乾燥させたときに、ZrO粉体の粒子が他の出発原料の粒子に結合しやすくなり、ZrO粉体が他の出発原料に均一に混ざるようになる。このため、その後の混合原料の仮焼成において、ZrO粉体と他の物質との反応性が良くなるので、良好な状態の圧電磁器粉体が得られる。これにより、その後の圧電磁器成形体の本焼成においても、異なる物質同士の反応性が良くなるので、980℃以下という低温であっても均一に安定して焼かれた焼結体が得られることになる。
以上のように本実施形態によれば、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して、Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器粉体を得るので、圧電磁器成形体の低温焼結が可能となり、製品毎の焼結性のばらつきが抑えられる。
PZTを主成分とする材料で形成された圧電体の焼成温度を低下させるためには、PZTに低融点のAgやAgO等を添加することも考えられる。この場合には、例えばAgOに換算して0.12モル%程度が圧電体の結晶中に固溶するが、固溶しきれないAgは圧電体の結晶粒界に残存し、シルバーマイグレーションを発生させ、例えば耐湿負荷信頼性試験における絶縁低下を引き起こすという問題がある。また、低融点の化合物の添加は、圧電機器の特性を劣化させるという問題もある。
これに対し本実施形態では、添加物により圧電磁器成形体の焼成温度を強制的に低減することは無いので、単板型圧電素子1の良好な圧電特性を確保しつつ、単板型圧電素子1の駆動中に、素子粒界中の残留物質によって単板型圧電素子1の絶縁破壊が起きることを防止できる。
さらに、本実施形態では、圧電磁器成形体を従来よりも低い温度で焼成するので、圧電磁器成形体を焼成する際の省電力化が図られ、電力コストの削減を図ることができる。また、焼成において使用される密閉容器やセッター等の長寿命化を図ることができる。さらに、密閉容器やセッター等の耐熱性の低減化が可能となるため、これらのコスト削減を図ることもできる。
図4は、本発明に係わる圧電素子の他の実施形態として積層型圧電素子を示す正面図であり、図5は、その積層型圧電素子の一側面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
各図において、本実施形態の圧電素子30は、直方体状の積層体31を備えている。積層体31は、圧電体32を介して内部電極33A,33Bを交互に積層してなる活性層34と、この活性層34を上下から挟み込むように形成され、複数の圧電体32を積層してなる上蓋層35及び下蓋層36とを有している。活性層34は、具体的には、図6に示すような内部電極33Aが形成された圧電体32と内部電極33Bが形成された圧電体32とを交互に積層したものである。
圧電体32は、PZTを主成分とする圧電セラミック材料で形成されている。内部電極33A,33Bは、PZTを用いた素子に好適な電極材として、Ag,Pdを主成分とする導電材料で形成されている。
積層体31は、互いに対向する側面31a,31bを有している。内部電極33Aは、積層体の側面31bよりも内側から側面31aに露出するように形成され、内部電極33Bは、積層体31の側面31aよりも内側から側面31bに露出するように形成されている。これにより、内部電極33A,33Bの一部が積層体31の積層方向に対して互いに重なり合うこととなる。圧電体32において、内部電極33A,33Bに挟まれる部分は、内部電極33A,33Bに電圧を印加したときに積層体31の積層方向に伸縮動作(変位)する圧電活性部である。
積層体31の側面31aには、各内部電極33Aと電気的に接続された外部電極37Aが設けられ、積層体31の側面31bには、各内部電極33Bと電気的に接続された外部電極37Bが設けられている。外部電極37A,37Bは、積層体31の積層方向に延びている。また、外部電極37A,37Bは、積層体31の側面31a,31bにおいて互いに反対側の端部近傍にそれぞれ設けられている。外部電極37A,37Bは、例えばAg、Au及びCuのいずれかを主成分とする導電材料で形成されている。
このような積層型圧電素子30の製造工程を図7に示す。同図において、手順41〜46については、上述した図2に示す手順11〜16と同様であるので、説明を省略する。
手順46で圧電磁器粉体が形成された後、圧電磁器粉体に有機バインダ、有機溶剤及び有機可塑剤等を加え、ボールミルにより20時間程度の混合を行って圧電磁器ペーストを作製する(手順47)。そして、ドクターブレード法によって圧電磁器ペーストをPET(ポリエチレンテレフタレート)製のベースフィルム上に塗布することにより、上記の圧電体32となるセラミックグリーンシートを所定の厚みに形成する(手順48)。
続いて、Ag:Pd=95:5の比率をもった導電ペーストを用い、スクリーン印刷法によってグリーンシート上に電極パターンを所望の形状となるように印刷し、更に乾燥させることにより、上記の内部電極33A,33Bを形成する(手順49)。続いて、内部電極33Aが印刷されたグリーンシートと内部電極33Bが印刷されたグリーンシートと内部電極33A,33Bが形成されていないグリーンシートとを所定の枚数だけ積層し、これらを加熱圧着した後、所定の形状となるように切断することで、積層体グリーンを作製する(手順50)。
続いて、積層体グリーンをセッターに載せ、積層体グリーンの脱脂(脱バインダ)を大気雰囲気中で行う(手順51)。そして、積層体グリーンをセッターと共に密閉容器に詰め、積層体グリーンの焼成(本焼成)を960℃程度の温度で3時間程度実施する(手順52)。これにより、焼結体としての上記積層体31が得られる。
続いて、焼付等により積層体31の側面31a,31bにAgの外部電極37A,37Bをそれぞれ形成する(手順53)。最後に、例えば温度120℃の環境下で、圧電体の厚みに対する電界強度が2kV/mmとなるように所定の電圧を例えば3分間印加することにより、分極処理を行う(手順54)。これにより、積層型圧電素子30が完成する。
以上のような本実施形態においては、上述した実施形態と同様に、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して、Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器粉体を得るので、積層体グリーンを980℃以下という低温で十分に焼成することができる。これにより、以下の理由により、Ag−Pd合金を主成分とする導電材料で形成された内部電極33A,33BにおけるPdの含有量を低くすることができる。
即ち、Ag−Pd合金を主成分とする導電材料で形成された内部電極では、Pdの含有量が30質量%を越えると、積層体グリーンの焼成中にPdが還元反応を起こし、積層体中にクラックが発生したり、内部電極の剥離等の欠陥が生じてしまうため、Pdの含有量は30質量%以下とするのが望ましい。Pdの含有量を30質量%以下とするには、Ag−Pdの系相図より、焼成温度を1150℃以下、好ましくは1120℃以下とする必要がある。さらに、PdはAgに比べてかなり高価であるため、製造コストを削減するためにも、Pdの含有量を低くするのが望ましく、それには出来る限り焼成温度を低くする必要がある。例えば、Pdの含有量を5質量%以下とするには、焼成温度を980℃以下、好ましくは960℃以下とする必要がある。
内部電極33A,33BにおけるPdの含有量を少なくすることにより、積層体グリーンの焼成時に、Pdの還元反応によるクラックの発生や内部電極33A,33Bの剥離等が生じることを防止できる。また、積層体グリーンとセッターとの反応性が低くなるので、セッターの更なる長寿命化を図ることができると共に、圧電磁器の組成変化が起こりにくくなるため、圧電磁器の良好な特性を確保することができる。さらに、Pdの蒸発量が少なくなるため、素子の特性ばらつきを低減することもできる。
ここで、上述した実施形態と同様に、出発原料の一つであるZrOとして、水溶媒中でのゼータ電位が異なるものを数種類用意して積層型圧電素子を作製し、評価を行った。このとき、積層体の外形寸法は、縦5.5mm×横5.5mm×厚み25mmとした。また、圧電体の1層当たりの厚さは80μm、内部電極の1層当たりの厚さは1.5μm、内部電極の層数は300とした。圧電体としては、上述した実施形態と同じ組成のものを使用した。
評価方法としては、使用したZrOが異なる各種素子の静電容量Cをインピーダンスアナライザーにより測定し、所望の静電容量Cが得られれば焼成OKとし、所望の静電容量Cが得られなければ焼成NGとした。水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOの圧電磁器を用いて積層型圧電素子を作製したところ、所望の静電容量Cが得られた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態は、圧電体と電極とを交互に積層してなる圧電素子についてであるが、本発明に係わる圧電磁器の製造方法は、少なくともPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器を製造するものであれば、圧電素子以外の素子にも適用可能である。
本発明に係わる圧電素子の一実施形態として単板型圧電素子を示す斜視図である。 図1に示した単板型圧電素子の製造工程を示すフローチャートである。 ZrOの水溶媒中でのゼータ電位と当該ZrOを含む複数種類の出発原料から得られた焼結体の磁器密度との関係を示すグラフである。 本発明に係わる圧電素子の他の実施形態として積層型圧電素子を示す正面図である。 図4に示した積層型圧電素子の一側面図である。 図4に示した内部電極付きの圧電体の平面図である。 図4及び図5に示した積層型圧電素子の製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1…単板型圧電素子、2…圧電体、3A,3B…内部電極、30…積層型圧電素子、32…圧電体、33A,33B…内部電極。

Claims (3)

  1. 少なくともPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器の製造方法であって、
    水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して、前記Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器を形成することを特徴とする圧電磁器の製造方法。
  2. 前記複数種類の出発原料を合成する際、前記複数種類の出発原料を混合して仮焼成することを特徴とする請求項1記載の圧電磁器の製造方法。
  3. 圧電体と電極とを積層してなる圧電素子であって、
    前記圧電体は、少なくともPb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器により形成され、
    前記Pb、Zr、Ti元素を含有した圧電磁器は、水溶媒中でのゼータ電位が10mV以上であるZrOを含む複数種類の出発原料を合成して形成されていることを特徴とする圧電素子。








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