JP5173752B2 - 圧電磁器及びその製造方法並びに圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器及びその製造方法並びにこの圧電磁器を用いた圧電素子に関する。更に詳しくは、本発明は、特定の複酸化物を含有する圧電磁器、及びこの特定の複酸化物を焼結助剤として用いて成形体を焼成する圧電磁器の製造方法、並びに特定の複酸化物を含有する圧電磁器を圧電体として備え、優れた圧電特性を有し、各種の用途において用いることができる圧電素子に関する。
圧電磁器は、従来、圧電発振子、圧電フィルタ、圧電アクチュエータ、圧電トランス及び圧電ブザー等の圧電デバイスとして多くの用途において使用されている。この圧電磁器として、AサイトにPbを含み、BサイトにNbを含む複酸化物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、近年、圧電素子の小型化、薄型化及び高性能化等に対する要望が高まり、積層型圧電素子の開発も盛んになされている。この積層型圧電素子では、圧電体と電極とが同時焼成により形成されるが、この場合、Ag等の安価な導電材を用いる、又は少なくともAg等の量比を高め、低コスト化を図ることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。更に、積層型圧電素子では、導電材としてCuを使用し、同時焼成することも検討されている。
特開平9−278520号公報 特開2005−179161号公報
しかし、特許文献1に記載された複酸化物は、焼成温度が1250〜1300℃と高く、Ag及びCu等の低融点の導電材と同時焼成することができないという問題がある。また、特許文献2では、圧電磁器として、AサイトにPbを含み、BサイトにZr及びTiを含む複酸化物が用いられており、Aサイトに特定の金属元素を固溶させることにより焼成温度の低下が図られている。この特許文献2の圧電磁器では、1000℃以下の低温焼成が可能であると記載されている。
本発明は、上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、LiとWとを含む特定の複酸化物を含有する圧電磁器、及び仮焼粉末に特定の複酸化物を配合し、焼結助剤として作用させて焼成する圧電磁器の製造方法を提供することを目的とする。また、LiとWとを含む特定の複酸化物を含有する圧電磁器を圧電体として備え、優れた圧電特性を有し、各種の用途において用いることができる圧電素子を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.AサイトにPbを含み、且つBサイトにZr及びTiを含むペロブスカイト型結晶構造を有する第1複酸化物と、Li及びWを含む第2複酸化物とを含有し、該第2複酸化物はLiWO及びLiのうちの少なくとも一方であることを特徴とする圧電磁器。
2.上記第2複酸化物に含まれるLiのモル数(ML1)と、上記第1複酸化物に含まれる上記Pbのモル数(MP1)との比(ML1/MP1)が0.010〜0.060である上記1.に記載の圧電磁器。
3.圧電歪定数(d33)が200pC/N以上である上記1.又は2.に記載の圧電磁器。
4.上記第1複酸化物となる原料粉末を混合し、その後、仮焼し、次いで、仮焼粉末を成形して成形体とし、その後、該成形体を焼成し、次いで、焼成体を分極処理する上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器の製造方法であって、上記仮焼粉末に上記第2複酸化物の粉末を配合することを特徴とする圧電磁器の製造方法。
5.上記焼成の温度は880〜950℃である上記4.に記載の圧電磁器の製造方法。
6.上記第2複酸化物の粉末に含まれるLiのモル数(ML2)と、上記仮焼粉末に含まれるPbのモル数(MP2)との比(ML2/MP2)が0.010〜0.060である上記4.又は5.に記載の圧電磁器の製造方法。
7.上記成形体の表面に一対の未焼成導体層が設けられており、該未焼成導体層は該成形体の該表面にCuを含有する導電ペーストを塗布することにより形成されている上記4.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器の製造方法。
8.上記焼成は酸素分圧が0.001Pa以下の雰囲気下になされる上記7.に記載の圧電磁器の製造方法。
9.上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器からなる圧電体と、該圧電体の表面に設けられた一対の電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
本発明の圧電磁器には、焼成時に焼結助剤として作用したLiとWとを含む第2複酸化物が含有されており、この第2複酸化物と、AサイトにPbを含み、BサイトにZr及びTiを含むペロブスカイト型結晶構造を有する第1複酸化物とは反応していない。即ち、Li及び/又はWは第1複酸化物に固溶していない。そのため、未焼成成形体を低温で焼成することができるともに、Li及び/又はWの固溶による圧電特性の低下もない。
また、第2複酸化物に含まれるLiのモル数(ML1)と、第1複酸化物に含まれるPbのモル数(MP1)との比(ML1/MP1)が0.010〜0.060である場合は、未焼成成形体を焼成して第1複酸化物とするときに、第2複酸化物が焼結助剤として十分に作用し、低温焼成が可能であるとともに、優れた圧電特性を有する圧電磁器とすることができる。
更に、圧電歪定数(d33)が200pC/N以上である場合は、この圧電磁器を圧電体として備え、優れた圧電特性を有する各種の圧電素子とすることができる。
本発明の圧電磁器の製造方法によれば、仮焼粉末に配合されたLiとWとを含む第2複酸化物が焼結助剤として有効に作用し、第2複酸化物を配合しないときと比べて200〜300℃程度も低い温度で焼成することができ、且つ第2複酸化物が有するLi及びWは第1複酸化物に固溶しないため、優れた圧電特性を有する圧電磁器を製造することができる。
また、焼成の温度が880〜950℃である場合は、圧電磁器を圧電素子、特に積層型圧電素子の圧電体として使用するときに、電極材料としてAg等の低融点、且つ安価な導電材を用いることができ、焼成時のエネルギーコストを低減させることもできる。
更に、第2複酸化物の粉末に含まれるLiのモル数(ML2)と、仮焼粉末に含まれるPbのモル数(MP2)との比(ML2/MP2)が0.010〜0.060である場合は、第2複酸化物が焼結助剤として十分に作用し、低温焼成であっても十分に焼結された圧電磁器を製造することができる。
また、成形体の表面に一対の未焼成導体層が設けられており、未焼成導体層は成形体の表面にCuを含有する導電ペーストを塗布することにより形成されている場合は、融点の低いCuを含有する導電ペーストであっても、成形体と同時焼成することができる。
更に、焼成時の酸素分圧が0.001Pa以下の雰囲気下に制御される場合は、第1複酸化物に含まれるPbの還元を抑えるとともに、Cuの酸化を抑えることができ、未焼成成形体とCuを含有する未焼成導体層とを同時焼成により一体に形成することができる。
本発明の圧電素子によれば、圧電体となる未焼成成形体を低温で焼成することができるため、AgやCu等の低融点の導電材を用いて同時焼成により電極を形成することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]圧電磁器
本発明の圧電磁器は、AサイトにPbを含み、且つBサイトにZr及びTiを含むペロブスカイト型結晶構造を有する第1複酸化物と、Li及びWを含む第2複酸化物とを含有し、第2複酸化物はLiWO及びLiのうちの少なくとも一方であることを特徴とする。
この第2複酸化物は、低融点であるため、圧電磁器の焼成時に液相となって焼結助剤として有効に作用し、焼結後は焼成前の組成そのままで圧電磁器に含有される複酸化物である。
上記「第1複酸化物」は、AサイトにPbを含み、且つBサイトにZr及びTiを含むペロブスカイト型結晶構造を有する。この第1複酸化物は、AサイトがPbからなり、且つBサイトがZr及びTiからなる複酸化物、即ち、AサイトのPb並びにBサイトのZr及びTiに他の金属元素が固溶されておらず、一般式Pb(ZrTi1−x)O(但し、xはモル比を表す。)で表される複酸化物であることが好ましい。xの値は目標とする圧電特性等により変化するが、通常、0.40≦x≦0.60であり、0.45≦x≦0.55、特に0.52≦x≦0.54であることが好ましい。
上記「第2複酸化物」は、LiとWとを含む特定の複酸化物であり、上記「LiWO」及び上記「Li」のうちの少なくとも一方である。LiとWとを含む複酸化物としては、他の構成の複酸化物も有り得るが、焼成時の高温において安定であり、且つ融点が低く焼結助剤として十分に作用するのは、LiWO及びLiの2種類である。また、これらの複酸化物のLiの一部が少量のNa及び/又はKにより置換されていてもよいが、置換されている場合、一般式[(Liy−1WO]及び[(Liz−1](但し、AはNa及び/又はKであり、y及びzはモル比を表す。)の各々におけるy及びzが0.10以下であり、特に0.05以下であることが好ましい。
第2複酸化物は、焼結助剤として十分に作用する含有量であればよいが、第2複酸化物に含まれるLiのモル数(ML1)と、第1複酸化物に含まれるPbのモル数(MP1)との比(ML1/MP1)が0.005〜0.100となる含有量とすることができる。このモル比が0.005〜0.100となる含有量であれば、第2複酸化物が焼結助剤として十分に作用し、且つ圧電磁器の圧電特性を低下させることもない。また、第2複酸化物は、このモル比が0.005〜0.080、特に0.010〜0.060となる含有量であることが好ましい。
本発明の圧電磁器は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電磁器として、優れた圧電特性を有しており、例えば、圧電歪定数(d33)が200pC/N以上、径方向振動モードの電気機械結合係数(k)が30%以上、キュリー点(T)が300℃以上の圧電磁器とすることができる。更に、d33が200〜450pC/N、特に220〜420pC/N、kが30〜65%、特に38〜60%、Tが300〜380℃、特に330〜370℃の圧電磁器とすることができる。
また、圧電磁器の主成分である第1複酸化物は、ペロブスカイト型の結晶構造を有し、その結晶相はX線回折により確認される。更に、X線回折によれば、圧電磁器には、ペロブスカイト型の結晶構造を有する第1複酸化物の他、第2複酸化物の回折ピークが明瞭にみられ、焼結助剤として仮焼粉末に配合した第2複酸化物が、焼成後の圧電磁器にそのまま含有されていることを確認することができる。
[2]圧電磁器の製造方法
本発明の圧電磁器の製造方法は、第1複酸化物となる原料粉末を混合し、その後、仮焼し、次いで、仮焼粉末を成形して成形体とし、その後、成形体を焼成し、次いで、焼成体を分極処理する圧電磁器の製造方法であって、仮焼粉末に第2複酸化物の粉末を配合することを特徴とする。
第1複酸化物となる上記「原料粉末」としては、Pb、Zr及びTiの各々の炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、硝酸塩、酸化物及び有機金属化合物等を用いることができる。これらの各種の化合物の形態も特に限定されず、粉末であってもよく、液状であってもよいが、粉末が用いられることが多い。また、それぞれの化合物に含まれる各々の金属元素は1種のみであってもよく、2種以上であってもよいが、1種のみ含まれる化合物が用いられることが多い。
上記「混合」の方法は特に限定されず、各々の化合物を、それぞれの化合物に含まれる各々の金属元素のモル比が第1複酸化物におけるそれぞれの所定のモル比となるように配合し、振動ミル等の通常の混合機によって乾式混合する方法、及び溶媒とともに、ボールミル等の通常の混合機によって湿式混合する方法等が挙げられる。湿式混合に用いる溶媒は特に限定されず、エタノール等の有機溶媒を用いることができる。また、湿式混合の場合、混合後、乾燥して溶媒を除去し、混合粉末とする。
上記「仮焼」は、混合、乾燥により作製された混合粉末を仮焼する工程である。この仮焼の温度、時間及び雰囲気等は特に限定されない。仮焼温度は、焼成温度より低い温度であり、650〜900℃、特に700〜800℃とすることができる。仮焼時間は仮焼温度によもよるが、1〜10時間、特に2〜4時間とすることができる。仮焼雰囲気は、酸化雰囲気、不活性雰囲気等のいずれであってもよい。また、仮焼物は、通常、粉砕され、整粒されて、後工程である成形工程に供される。
上記「成形」は、仮焼並びに粉砕及び整粒により作製された上記「仮焼粉末」を用いて上記「成形体」とする工程である。成形は、仮焼粉末に、有機バインダ、分散剤及び溶媒等を配合し、ボールミル等の通常の混合機によって湿式混合し、その後、乾燥して溶媒を除去し、次いで、造粒して所定粒径の造粒粉とし、この造粒粉を用いてなされる。成形は、通常、加圧成形によりなされ、この加圧成形の方法は特に限定されないが、例えば、一軸加圧法により一次成形し、その後、冷間等方静水圧プレス(CIP)等により二次成形して成形することができる。
本発明の圧電磁器の製造方法では、成形時、仮焼粉末に、有機バインダ、分散剤及び溶媒等とともに、第2複酸化物の上記「粉末」を配合する。このように第2複酸化物の粉末を配合した場合も、同様にして混合、乾燥、造粒をすることができ、作製された造粒粉を用いて同様にして成形することができる。第2複酸化物の粉末の配合量は焼結助剤として十分に作用する配合量であればよいが、第2複酸化物の粉末に含まれるLiのモル数(ML2)と、仮焼粉末に含まれるPbのモル数(MP2)との比(ML2/MP2)が0.005〜0.100となる配合量とすることができる。このモル比が0.005〜0.100となる配合量であれば、第2複酸化物の粉末が焼結助剤として十分に作用し、且つ圧電磁器の圧電特性を低下させることもない。また、第2複酸化物の粉末は、このモル比が0.005〜0.080、特に0.010〜0.060となる配合量であることが好ましい。
上記「焼成」は、成形体を焼成する工程である。この焼成の温度、時間及び雰囲気等は特に限定されない。焼成温度は成形体を焼結させることができる温度であればよいが、本発明の圧電磁器の製造方法では、焼結助剤として有効に作用する第2複酸化物の粉末が配合されているため、850℃という低温でも焼成することができる。焼成温度は、圧電素子の電極をPd、Pt等の高融点の導電材を用いて形成するときは、1200〜1300℃という高温でもよいが、それでは第2複酸化物の粉末を配合する意味があまりなく、低融点、且つ安価なAgを電極形成用の導電材として用いることを想定した焼成温度とすることができる。即ち、焼成温度は850〜1000℃とすることができ、880〜950℃とすることが好ましい。
焼成時間は焼成温度にもよるが、1〜60時間とすることができる。また、焼成雰囲気は、酸化雰囲気、不活性雰囲気等のいずれであってもよいが、大気雰囲気が一般的である。但し、電極形成用の導電材としてCuを使用し、成形体と同時焼成するときは、Cuの酸化を抑えるため、窒素雰囲気及びアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気などの不活性雰囲気とする必要がある。
Cuを電極形成用の導電材とする場合、成形体の表面にCuを含有する導電ペーストを塗布して一対の未焼成導体層を形成し、この未焼成導体層を成形体と同時焼成して極性の異なる一対の電極を形成するときは、焼成雰囲気は不活性雰囲気とする必要がある。この場合、Cuの酸化を抑えることと、Pbの還元の抑制とを併せて考慮すると、焼成雰囲気は、酸素分圧が0.001Pa以下の雰囲気とすることが好ましい。このように低酸素雰囲気とすることにより、Cuの酸化及びPbの還元を併せて抑えることができるためより好ましい。
また、Cuの酸化及びPbの還元を併せて抑えるためには、焼成雰囲気は、低酸素雰囲気とするとともに、例えば、少量の水蒸気等を含有させることにより、弱い還元雰囲気とすることもできる。このように雰囲気を細かく調整することによって、Cuの酸化とPbの還元とをより十分に抑えることができる。この場合、焼成温度も低温であることが好ましく、焼成温度は、850〜1000℃、特に880〜950℃とすることが好ましい。
上記「分極処理」は、焼結体に圧電特性を付与するための工程である。具体的には、焼成後、表面に電極が形成された焼結体、又は成形体と電極となる未焼成導体層とが同時焼成されてなる焼結体を、所定温度に保持された絶縁環境下(例えば、絶縁性の高い液体中)に静置し、電極間に0.5〜5kV/mmの直流電圧を1〜60分印加することにより分極処理することができる。
[3]圧電素子
本発明の圧電素子は、本発明の圧電磁器からなる圧電体と、この圧電体の表面に設けられた一対の電極とを備える。
上記「圧電体」は、本発明の圧電磁器からなり、その形状及び寸法は特に限定されず、振動検知、圧力検知、発振等の各々の用途に応じて適宜の形状及び寸法とすることが好ましい。圧電体の形状は、平面形状が方形、円形等の平板状、平面形状が方形、円形等であり、且つ中央部に断面が方形、円形等の貫通孔が厚さ方向に設けられた平板状、並びに角柱状及び円柱状等の種々の形状とすることができる。また、圧電素子は、これらの形状の圧電体が多数積層されてなる積層型圧電素子であってもよい。
上記「一対の電極」は、圧電体の表面に形成された導体層である。各々の電極は、それぞれ圧電体の一面と他面とに形成されていてもよく、圧電体の同一面に形成されていてもよい。更に、電極の形状、寸法及び材質等は特に限定されず、圧電体の寸法及び用途等により適宜の電極とすることが好ましい。この電極の形状は、特に、一対の電極の各々を圧電体の同一面に形成する場合は、櫛歯状の電極とすることもできる。電極の形成方法も特に限定されないが、Ag、Cu等の導電材を含有する導電ペーストを圧電体の表面に塗布した後、焼き付けて形成することができる。また、積層型圧電素子の場合は、導電ペーストを成形体の表面に塗布した後、同時焼成することにより形成することができる。
導電ペーストは、導電材と、ガラスフリットと、有機溶媒等とを混合して調製することができる。
導電材としては、Ag、Cu等の金属の粉末、2種以上の金属粉末の混合粉末、2種以上の金属、例えば、AgとPdとを含む合金の粉末などを用いることができる。導電材の平均粒径も特に限定されないが、スクリーン印刷等による成膜、並びに焼き付け及び同時焼成などを容易にするためには、20μm以下、特に10μm以下、更に1〜5μmであることが好ましい。また、導電ペーストにおける導電材の含有量も特に限定されないが、通常、導電ペーストに含まれる固形分の70〜99質量%となるように配合する。
ガラスフリットとしては、例えば、SiO、Al、ZnO及びTiO等を含有するフリットを用いることができる。このガラスフリットにより、圧電体と電極とをより強固に接合させることができる。
有機溶媒としては、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類等の、この種の用途の導電ペーストの調製に一般的に用いられるものを使用することができる。この有機溶媒は、導電ペーストを100質量%とした場合に、通常、10〜40質量%配合される。
図1は、圧電素子100の一例の模式的な斜視図である。この圧電素子100は、円板状であり、且つ平面方向の中央部に断面円形の貫通孔11が同心円状に設けられた圧電体1と、この圧電体1の表裏面の各々の全面に導電ペーストを塗布し、焼き付けてなる導体層21、22(一対の電極となる。)とを備える。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1〜6及び比較例1〜4
(1)圧電磁器(圧電素子)の製造
市販のPbO粉末、ZrO粉末、TiO粉末を使用し、ペロブスカイト型結晶構造を有する第1複酸化物であるPb(ZrTi1−x)Oのxが0.53となるように秤量し、振動ミルを用いて3時間乾式粉砕して混合粉末とした。その後、この混合粉末を大気雰囲気下650〜900℃で1〜10時間仮焼し、整粒して仮焼粉末とした。次いで、この仮焼粉末、LiWO粉末(実施例2及び4〜6、Liが表1に記載のモル比となる配合量)、Li粉末(実施例1、3、Liが表1に記載のモル比となる配合量)、又はLiCO粉末(比較例1、Liが表1に記載のモル比となる配合量)有機バインダ、分散剤及び溶媒をボールミルに投入し、湿式混合してセラミックスラリーを調製した。
その後、このセラミックスラリーを乾燥して溶媒を除去し、次いで、造粒し、この造粒粉を用いて、100〜150MPaの圧力で一軸プレスし、円板状に成形した。その後、大気雰囲気下、所定温度のもと10時間保持して脱脂し、次いで、表1のように、大気雰囲気下、950℃(実施例1〜4及び比較例1〜2)、大気雰囲気下、880℃(実施例5及び比較例3)、酸素分圧0.001Paの低酸素分圧下、950℃(実施例6及び比較例4)で10時間保持して焼成し、円板状の焼結体を作製した。
その後、焼結体の上下面を平行研磨し、次いで、直径15mm、且つ厚さ1.5mmに機械加工した。その後、上下の研磨面に、SiO、Al、ZnO及びTiOを含むガラスフリット、Ag粉末及び有機溶媒を用いて調製した導電ペーストをスクリーン印刷により塗布し、700℃で20分間焼き付けて導体層を形成した。次いで、導体層が形成された焼結体を100℃に保温した絶縁オイル(シリコーンオイル)に浸漬し、3kV/mmの直流電流を30分間印加して分極処理し、圧電磁器(圧電素子)を製造した。
Figure 0005173752
(2)密度及び圧電特性の測定
密度はアルキメデス法により測定した。また、圧電特性のうち、比誘電率(ε33 /ε)及び誘電損失(tanδ)は、室温(25℃)にて、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、型式「HP4194A」)を用いて測定し、1kHzにおける静電容量の値から算出した。また、電気機械結合係数(k;径方向振動モード及びk;厚み縦振動モード)及び圧電歪定数[d33(pC/N)]はEMAS−610に従い共振反共振法により求めた。更に、キュリー点[Tc(℃)]は試験片を電気炉で加熱しながらインピーダンスアナライザを用いて測定し、圧電性が消失してΔf(fp−fs)=0となる温度として求めた。
結果は表2のとおりである。
Figure 0005173752
表2の結果によれば、仮焼粉末に所定量のLiWO又はLiを配合し、大気雰囲気下、950℃で焼成した実施例1〜4の圧電磁器は、仮焼粉末に所定量のLiCOを配合した比較例1の圧電磁器と同等の密度を有している。一方、仮焼粉末のみを用いた比較例2では焼結不可であり、LiWO又はLiとLiCOとが焼結助剤として同様に作用していることが分かる。また、実施例1〜4の圧電磁器の圧電特性は、比較例1の圧電磁器と比べて、キュリー点が少し低いものの、その他の特性はすべて優れており、実施例1〜4では、低温で十分に焼結させることができ、且つ優れた圧電特性を有する圧電磁器が得られていることが分かる。
更に、焼成温度が880℃とより低い他は実施例4と同様にして製造した実施例5の圧電磁器は、密度及び圧電特性が低下する傾向にあるものの、十分に実用に供し得る圧電磁器であることが分かる。また、焼成雰囲気を低酸素雰囲気とした他は実施例2と同様にして製造した実施例6の圧電磁器は、十分な密度を有するとともに、圧電特性も少なくとも同等であり、焼成雰囲気によらず優れた圧電特性を有する磁器であることが分かる。尚、実施例5、6のキュリー点も問題のないレベルであった。
一方、LiWOを用いなかった他は実施例5と同様の成形体を用いた比較例3,及びLiWOを用いなかった他は実施例6と同様の成形体を用いた比較例4は,いずれも焼結不可であった。
(3)結晶相の同定
実施例3、4及び比較例1の圧電磁器の結晶相を、X線回折測定装置を用いて同定した。各々の結果はそれぞれ図2〜4の回折チャートのとおりである。これらの回折チャートによれば、いずれの圧電磁器にもペロブスカイト型結晶が含まれることが分かる。また、図2の回折チャートにはLiWOの回折ピーク(下向きの黒色の三角形が指すピーク)、図3にはLiの回折ピーク(下向きの黒色の三角形が指すピーク)、が明瞭に表れており、これらの複酸化物が含有されていることが確認された。更に、図4では、矢印のように、ペロブスカイト型結晶の回折ピークがスプリットしており、正方晶が菱面体晶になっている。このことから、配合したLiCOが仮焼粉末と反応し、ペロブスカイト型結晶にLiが固溶していることが分かる。
本発明の圧電磁器及び圧電素子は、振動検知、圧力検知及び発振等の圧電磁器の特性を利用した各種の用途において用いることができる。例えば、ノックセンサ及び燃焼圧センサ等の各種振動を検知するセンサ類、超音波探傷装置、超音波ソナー等の発振を利用した各種の装置等の他、圧電アクチュエータ、圧電フィルタ、圧電トランス、圧電ブザー、超音波モータ等の各種の圧電デバイスなどに利用することができる。
本発明の圧電素子の一例の斜視図である。 実施例3の圧電磁器のX線回折のチャートである。 実施例4の圧電磁器のX線回折のチャートである。 比較例1の圧電磁器のX線回折のチャートである。
符号の説明
100;圧電素子、1;圧電体、11;貫通孔、21、22;一対の電極。

Claims (9)

  1. AサイトにPbを含み、且つBサイトにZr及びTiを含むペロブスカイト型結晶構造を有する第1複酸化物と、Li及びWを含む第2複酸化物とを含有し、該第2複酸化物はLiWO及びLiのうちの少なくとも一方であることを特徴とする圧電磁器。
  2. 上記第2複酸化物に含まれるLiのモル数(ML1)と、上記第1複酸化物に含まれる上記Pbのモル数(MP1)との比(ML1/MP1)が0.010〜0.060である請求項1に記載の圧電磁器。
  3. 圧電歪定数(d33)が200pC/N以上である請求項1又は2に記載の圧電磁器。
  4. 上記第1複酸化物となる原料粉末を混合し、その後、仮焼し、次いで、仮焼粉末を成形して成形体とし、その後、該成形体を焼成し、次いで、焼成体を分極処理する請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器の製造方法であって、
    上記仮焼粉末に上記第2複酸化物の粉末を配合することを特徴とする圧電磁器の製造方法。
  5. 上記焼成の温度は880〜950℃である請求項4に記載の圧電磁器の製造方法。
  6. 上記第2複酸化物の粉末に含まれるLiのモル数(ML2)と、上記仮焼粉末に含まれるPbのモル数(MP2)との比(ML2/MP2)が0.010〜0.060である請求項4又は5に記載の圧電磁器の製造方法。
  7. 上記成形体の表面に一対の未焼成導体層が設けられており、該未焼成導体層は該成形体の該表面にCuを含有する導電ペーストを塗布することにより形成されている請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器の製造方法。
  8. 上記焼成は酸素分圧が0.001Pa以下の雰囲気下になされる請求項7に記載の圧電磁器の製造方法。
  9. 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の圧電磁器からなる圧電体と、該圧電体の表面に設けられた一対の電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
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