JPH0741363A - 圧電磁器組成物 - Google Patents
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
囲気制御を行うために焼成時に特殊なさや鉢を用いたり
する必要がなく、また、圧電アクチュエータのような一
体焼成型のセラミックス素子を製造する場合に、内部電
極として高価なPtなどの材料を使用する必要のない圧
電磁器組成物を提供する。 【構成】 XPb(Niα/3Nb2/3)O3−YPbZr
O3−ZPbTiO3を基本組成とし、一般記号ABO3
で表されるペロブスカイト型の圧電磁器組成物の、X,
Y,Zをそれぞれ、0.20≦X≦0.60、0.15
≦Y≦0.60、0.30≦Z≦0.60の範囲とし、
かつ、BサイトのNi比率(α)を1<α<2の範囲と
して化学量論組成よりも過剰にする。
Description
に関し、詳しくは、圧電アクチュエータやブザーなどの
材料として用いるのに適した圧電d定数の大きな圧電磁
器組成物に関する。
として知られる、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbZ
rO3−PbTiO3を基本組成とする圧電体材料は、通
常、酸化鉛(PbO)、酸化ジルコニウム(Zr
O2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニッケル(Ni
O)、五酸化ニオブ(Nb2O5)などの酸化物原料を所
定の化学量論組成となるように調合し、ボールミルなど
を用いて混合分散させた後、所定の温度で仮焼し、さら
に、粉砕及びバインダー混合を行った後、所定の形状に
成形し、これを1200℃以上の高温で焼成して焼結反
応を行わせることにより製造されている。
造方法では、仮焼後の圧電磁器組成物(セラミックス)
の焼成温度が1200℃以上と高温であるため、セラミ
ックスからのPbの蒸発が激しく、セラミックス内部に
圧電性のばらつきを生じさせるという問題点がある。
焼成時に密閉度の高いさや鉢を用いたり、さや鉢の内部
にPbOなどを入れて過剰のPb雰囲気を作るというよ
うな雰囲気制御技術を用いたりすることが必要になる。
そして、その結果として、製造工程が複雑になったり、
品質にばらつきが生じたりするという問題点がある。ま
た、さや鉢は、高温で繰り返して使用されることからそ
の寿命が短く、製造コストが増大するという問題点があ
る。
成型のセラミックスを製造するにあたっては、焼成温度
が高いため、内部電極材料として、Ptなどの高融点の
貴金属を用いることが必要になり、これがセラミックス
素子のコストを上昇させる原因になるという問題点があ
る。
あり、低い温度で焼成することが可能で、Pbの蒸発が
少なく、焼成時に特殊なさや鉢を用いたり、Pbの雰囲
気制御を行ったりする必要がなく、また、圧電アクチュ
エータのような一体焼成型のセラミックス素子を製造す
る場合に、内部電極として高価なPtなどの材料を使用
する必要のない圧電磁器組成物を提供することを目的と
する。
に、この発明の圧電磁器組成物は、XPb(Niα/3N
b2/3)O3−YPbZrO3−ZPbTiO3を基本組成
とし、一般記号ABO 3で表されるペロブスカイト型の
圧電磁器組成物であって、X,Y,Zがそれぞれ、 0.20≦X≦0.60 0.15≦Y≦0.60 0.30≦Z≦0.60 の範囲にあり、かつ、BサイトのNi比率(α)が、 1<α<2 の範囲にあって、化学量論組成よりも過剰であることを
特徴とする。
積(SS)が、10m2/g以上(SS≧10m2/g)
であることを特徴とする。
のNiが低温焼結を可能にする詳細なメカニズムは必ず
しも明らかではないが、現時点ではおよそ次のように考
えられる。
ZT)系材料では、焼成途中に中間生成物としてパイロ
クロア相(PbとNbの酸化物)が生成しやすいことは
よく知られている。したがって、上記組成を有するこの
発明の圧電磁器組成物においては、焼成段階でパイロク
ロア相からPb(Ni,Nb)O3が生成する過程を経
ることになる。
分散性が悪いため、焼成前のセラミックス中には、Ni
が過剰の部分とNiが不足している部分が生じる。
は、焼成中にパイロクロア相からPb(Ni,Nb)O
3への反応が完全には進まず、一部がPbとのNbで構
成されるパイロクロア構造の中間生成物(Pb2Nb2O
7)として残存しやすくなる。このパイロクロア相の焼
結性はチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O
3)の焼結性と同等であり、この相が残っていると低温
での焼結は望めない。
は、パイロクロア相からPb(Ni,Nb)O3への反
応が完全に進行し、Pb2Nb2O7(パイロクロア構造
の中間生成物)として残存しにくくなり、また、パイロ
クロア相のうち、Pb3Nb2O 8はPb(Ni,Nb)
O3と反応する化合物であって、融点が925℃と低い
ために、液相となってPZTセラミックスの低温焼結に
寄与するものと考えられる。
ようにNiを化学量論組成以上に含有させて、組成物の
多くの部分でNiが過剰に存在する状態を生じさせるこ
とにより、低温で焼結することが可能になる。
て、X(すなわちPbのモル比)を0.20〜0.60
としたのは、Xが0.20未満では、中間生成物の生成
量が少なくなるため、焼結性への寄与が少なくなり、ま
た、Xの量が0.60を越えるとキュリー点(Tc)が
100℃以下となり、室温付近での共振周波数や変位特
性の温度安定性が悪くなることによる。
比)を0.15〜0.60としたのは、YがMPBから
離れる0.15未満や、0.60を越える範囲では圧電
性が小さく、高い電気機械結合係数(Kp)や比誘電率
(ε33/ε0)を必要とする圧電アクチュエータやブザ
ーなどの用途には適用できなくなることによる。
に、0.30〜0.60の範囲に限定される。
たのは、αの値が1以下ではパイロクロア相の生成を促
進することになり、低温焼結性を得ることができず、ま
た、αの値が2以上になると焼成中にNiが粒内に固溶
して電気特性を大きく変化させてしまい、必要な特性を
得ることができなくなることによる。
面積(SS)を、10m2/g以上(SS≧10m2/
g)とすることにより、低温焼結性をさらに向上させ、
1000℃を下回るような温度で焼結させることが可能
になる。これは、圧電磁器材料粉末の粒子が微細化する
ことにより、Niの分散性が向上するためであると考え
られる。
徴とするところをさらに具体的に説明する。
2,ZrO2,NiO,Nb2O5を用意し、これらの出発
原料を表1,表2に示すような組成となるように秤取
し、ボールミルを用いて湿式混合した後、700〜90
0℃で2時間仮焼し、粉砕(微粉砕)して仮焼粉末を得
た。それから、この仮焼粉末に酢酸ビニル系のバインダ
ーを加えてさらに湿式混合を行い、乾燥、造粒後に10
00〜2000kg/cm2の圧力で円板状に成形し、これ
を900〜1200℃で焼成し、直径10mm、厚さ1mm
の磁器円板を得た。
に、銀ペーストを塗布し、800℃で2時間焼き付けて
銀電極を形成した後、80℃のシリコンオイル中で3k
V/mmの直流電圧を印加して分極処理を施し、圧電磁器
円板(試料)を得た。
(ε33/ε0)、電気機械結合係数(Kp)、及び機械
的品質係数(Qm)を測定した。その結果を表1,表2
に示す。なお、表1,表2において、試料No.に*印を付
したものは、この発明の範囲外の組成を有する試料であ
る。
例にかかる各試料については、比誘電率(ε33/
ε0)、電気機械結合係数(Kp)、及び機械的品質係
数(Qm)に関し、ほぼ良好な結果が得られていること
がわかる。
(α=1.0)と試料No.19(α=1.5)の比較に
みられるように、αの値が1以下の場合には、パイロク
ロア相の生成を促進する結果となり、十分な低温焼結性
を得ることができないことがわかる。また、試料No.2
0(α=1.5)と試料No.22(α=2.5)の比較
にみられるように、αの値が2以上になると焼成中にN
iが粒内に固溶して電気特性が大きく変化する(すなわ
ち、Kpが小さくなり、Qmが大きくなる)ため好まし
くないことがわかる。
電磁器材料)(α=1.5)を用いた場合と、特にNi
を過剰としていない原料(α=1.0)を用いた場合の
焼結性、すなわち、焼成温度と焼結密度(焼結体の密
度)との関係を示す。図1より、Niを過剰とした原料
を用いると、低い温度で焼成した場合にも、焼結密度
が、Niを過剰としていない原料を用いた場合の焼結密
度よりも大きくなっており、低温焼結性が向上している
ことがわかる。
とにより、さらに、低温焼結性を高めることが可能であ
り、試料No.19(特に微粉砕しない原料粉末を使用)
と試料No.20(微粉砕した原料粉末を使用)との比較
にみられるように、Ni過剰で、かつ、仮焼後に微粉砕
した原料粉末を用いることにより、1000℃を下回る
ような温度(試料No.20では900℃)で焼成して
も、十分な圧電性が得られることがわかる。なお、この
発明では、粉砕粒度の指標として比表面積(SS)の値
を用いたが、このSS値が10m2/gより小さくなる
と1000℃を下回るような低温で焼成することが可能
な低温焼結性を得ることは困難になる。したがって、1
000℃を下回るような温度で焼成することが可能な低
温焼結性と圧電性とを両立させるためには、比表面積を
10m2/g以上にすることが必要になる。
実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内
において、その組成や製造方法を変化させるなどの応
用、変形を加えることが可能である。
物は、XPb(Niα/3Nb2/3)O 3−YPbZrO3
−ZPbTiO3を基本組成とし、一般記号ABO3で表
されるペロブスカイト型の圧電磁器組成物の、X,Y,
Zを上記所定の範囲とし、かつ、BサイトのNi比率
(α)を1<α<2と、化学量論組成よりも過剰にして
いるので、特に、共沈法や、ゾル−ゲル法などの化学的
合成方法を用いることなく、従来の酸化物を混合して合
成する方法をとりながら、必要な圧電性を確保しつつ焼
成温度を従来よりも相当に低下させることが可能にな
る。
の比表面積(SS)を10m2/g以上(SS≧10m2
/g)とすることにより、さらに低温で焼結させること
が可能になる。
よれば、従来の圧電磁器組成物を製造する場合のよう
に、焼成時に密閉度の高い特殊なさや鉢を用いたり、P
bの雰囲気制御を行ったりする必要がなくなるととも
に、焼成温度が低くなることから、さや鉢の寿命を大幅
に向上させることが可能になる。さらに、一体焼成の圧
電アクチュエータを製造する場合においても、内部電極
として、Ptなどの高融点の貴金属を用いる必要がな
く、比較的安価なAg−Pd合金などを使用することが
可能になるため、製造コストを大幅に削減することがで
きる。
場合と、Niを過剰としていない原料(α=1.0)を
用いた場合の焼成温度と焼結密度との関係を示す線図で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 XPb(Niα/3Nb2/3)O3−YPb
ZrO3−ZPbTiO3を基本組成とし、一般記号AB
O3で表されるペロブスカイト型の圧電磁器組成物であ
って、X,Y,Zがそれぞれ、 0.20≦X≦0.60 0.15≦Y≦0.60 0.30≦Z≦0.60 の範囲にあり、かつ、BサイトのNi比率(α)が、 1<α<2 の範囲にあって、化学量論組成よりも過剰であることを
特徴とする圧電磁器組成物。 - 【請求項2】 焼成前の圧電磁器材料粉末の比表面積
(SS)が、10m2/g以上(SS≧10m2/g)で
あることを特徴とする請求項1記載の圧電磁器組成物。
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1993
- 1993-07-29 JP JP20901593A patent/JP3384048B2/ja not_active Expired - Fee Related
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